JP2012131934A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】エラストマー配合による難燃性の低下の問題がなく、難燃性及び耐衝撃性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、シリコーン系エラストマー0.1〜15重量部と、ビニル芳香族化合物系エラストマー0.1〜15重量部と、リン系難燃剤2〜35重量部とを含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。特定の2種類のエラストマーを併用することにより、エラストマーの配合による難燃性の低下の問題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びその成形品に関する。詳しくは、難燃性及び耐衝撃性に優れ、特に、太陽光発電モジュール用接続構造体の成形材料として好適なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物とその成形品に関する。
近年、環境保護や省エネルギーの要請から、建物の屋根等の外被部分に、太陽の光エネルギーを電気に変換する太陽光発電モジュールを設置し、自然エネルギーである太陽光のエネルギーを電力に変換して、当該建物内の電力源として利用するとともに、余剰の電力を売電する技術が実用化されている。
太陽光発電モジュールには、その電気を有用な形で取り出すため、モジュール間のケーブルを接続するためのジャンクションボックスやコネクタといった接続構造体が、モジュール毎に設けられている。この太陽光発電モジュール用接続構造体には、構造体としての機械的強度はもちろんのこと、更に、次のような特性が要求される。
(1) 耐熱性に優れる。
ジャンクションボックス内には、バイパスダイオード等が配置され、太陽光発電モジュールの表面に部分的な影がかかったり、電池セルが故障してモジュールの出力が低下したりする場合でも、その影響を最小限に抑える工夫がなされているが、その際、バイパスダイオードが発熱するため、ジャンクションボックス全体が耐熱性を有することが求められる。
(2) 難燃性に優れる。
ジャンクションボックス等の太陽光発電モジュール部品は、建物等に設置されるため、建物火災時等の更なる延焼を防止するために高い難燃性が要求される。また、ジャンクションボックス内の配線のショート等による発火による火災防止のためにも、難燃性に優れることが求められる。
(3) 耐衝撃性に優れる。
ジャンクションボックスは、太陽光発電モジュールの付属部品として、屋根上等の屋外に設置されることもあるため、飛来物に対する耐衝撃性を有することが求められ、特に低温時においても耐衝撃性を有することが求められる。太陽光発電モジュール用コネクタについてもジャンクションボックスと同様に耐衝撃性が求められている。
(4) 耐候性に優れる。
ジャンクションボックス等の太陽光発電モジュール部品は、屋外に設けられる場合が多く、紫外線や風雨、外気温の変化に対する耐候性、耐久性が求められる。
(5) 耐トラッキング性に優れる。
ジャンクションボックス内の配線のショート等を防止するために耐トラッキング性(絶縁性)に優れることが求められる。
また、太陽光発電モジュール用接続構造体は建物に設置されることから、これらの構造体の存在を目立ち難くし、また、耐候性向上のために、一般的には黒色であること、更には工業製品であることから、成形時の金型汚染や成形歩留りも重要である。
ところで、ポリフェニレンエーテル樹脂は、耐熱性、電気特性、耐酸、耐アルカリ性等に優れ、しかも低比重、低吸水性である等の優れた特性を有する樹脂であることから、各種の構造体の成形材料として広く用いられており、ポリフェニレンエーテル系樹脂製太陽光発電モジュール用接続構造体も提案されている(特許文献1)。この特許文献1には、耐衝撃性の向上を目的としてエラストマー(水添ブロック共重合体)を配合すると共に、難燃性の向上を目的としてリン酸エステル系難燃剤を配合することが記載されている。
特開2010−123933号公報
しかしながら、本発明者による検討により、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物にエラストマーを配合すると難燃性が低下し、配合した難燃剤による難燃性の向上効果が十分に得られない問題があることが判明した。エラストマーを配合しない場合、或いは、エラストマーの配合量を少なくした場合には、難燃剤の配合で良好な難燃性が得られるが、この場合には、成形品に必要な耐衝撃性が得られなくなる。このようなことから、従来のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物にあっては、難燃性と耐衝撃性の両立が困難であった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、エラストマーの配合による難燃性の低下の問題がなく、難燃性及び耐衝撃性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と、このポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の2種類のエラストマーを併用することにより、エラストマーの配合による難燃性の低下の問題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明(請求項1)のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、シリコーン系エラストマー0.1〜15重量部と、ビニル芳香族化合物系エラストマー0.1〜15重量部と、リン系難燃剤2〜35重量部とを含有することを特徴とする。
請求項2のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1において、前記シリコーン系エラストマーが、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムに、1種以上のビニル系化合物単量体をグラフトさせたグラフト共重合体であることを特徴とする。
請求項3のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1又は2において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーが、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物からなる群より選ばれることを特徴とする。
請求項4のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項3において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーが、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)であることを特徴とする。
請求項5のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーの含有量が、前記シリコーン系エラストマーの含有量の0.1〜15倍であることを特徴とする。
請求項6のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リン系難燃剤が、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする。
Figure 2012131934
(式中、R、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、nは1〜5の数を表す。)
請求項7のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル樹脂100〜75重量%と、スチレン系樹脂25〜0重量%を含むことを特徴とする。
請求項8のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対してカーボンブラックを0.01〜5重量部含有することを特徴とする。
請求項9のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし8のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して難燃助剤を0.01〜3重量部含有することを特徴とする。
請求項10のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、請求項1ないし9のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対してアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩を0.1〜20重量部含有することを特徴とする。
本発明(請求項11)の成形品は、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
請求項12の成形品は、請求項11において、太陽光発電モジュール用接続構造体であることを特徴とする。
本発明によれば、エラストマーとしてシリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーとを併用することにより、エラストマーを配合することによる難燃性の低下を防止して、難燃性及び耐衝撃性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することができる。このため、薄肉であっても十分な耐衝撃性と難燃性を有する成形品を実現することができる。
本発明において、シリコーン系エラストマーとしては、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムに、1種以上のビニル系化合物単量体をグラフトさせたグラフト共重合体が好ましく(請求項2)、ビニル芳香族化合物系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物からなる群より選ばれるものが好ましく(請求項3)、特に、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)が好ましい(請求項4)。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中のビニル芳香族化合物系エラストマーの含有量は、シリコーン系エラストマーの含有量の0.1〜15倍であることが好ましい(請求項5)。
また、本発明で用いるリン系難燃剤は、前記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤が好ましい(請求項6)。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂100〜75重量%と、スチレン系樹脂25〜0重量%を含むことが好ましく(請求項7)、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は更に、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対してカーボンブラックを0.01〜5重量部、難燃助剤を0.01〜3重量部、アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩を0.1〜20重量部含有することが好ましい(請求項8〜10)。
本発明の成形品は、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなり、その優れた難燃性と耐衝撃性により、ジャンクションボックス等の太陽光発電モジュール用接続構造体に好適である(請求項11,12)。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物〕
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、シリコーン系エラストマー0.1〜15重量部と、ビニル芳香族化合物系エラストマー0.1〜15重量部と、リン系難燃剤2〜30重量部とを含有することを特徴とする。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂]
本発明の樹脂組成物の樹脂成分としてのポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とし、必要に応じてさらにスチレン系樹脂等の他の樹脂成分を含むものである。なお、ここで、主成分とは、その成分中最も多く含有されている成分をさす。
<ポリフェニレンエーテル樹脂>
本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(2)で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体の何れであっても良い。
Figure 2012131934
(式中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表し、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRがともに水素原子になることはない。)
及びRとしては、水素原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−、3−若しくは4−メチルペンチル基又はヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基又は1−エチルプロピル基が挙げられる。特に、Rは第1級若しくは第2級の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。Rは水素原子であることが好ましい。
好適なポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられる。共重合体としては、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
本発明におけるポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体が好ましい。また、特開2005−344065号公報に記載されているような末端基数と銅含有率を規定したポリフェニレンエーテル樹脂も好適に使用できる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gのものが好ましく、0.3〜0.6dl/gのものがより好ましい。固有粘度を0.2dl/g以上とすることにより、樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあり、0.8dl/g以下とすることにより、流動性が向上し、成形加工が容易になる傾向にある。また、固有粘度の異なる2種以上のポリフェニレンエーテル樹脂を併用して、この固有粘度の範囲としてもよい。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、例えば、2,6−ジメチルフェノール等のモノマーをアミン銅触媒の存在下、酸化重合する方法を採用することができ、その際、反応条件を選択することにより、固有粘度を所望の範囲に制御することができる。固有粘度の制御は、重合温度、重合時間、触媒量等の条件を選択することにより達成できる。
本発明において、ポリフェニレンエーテル樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<スチレン系樹脂>
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体及びスチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。
本発明で使用されるスチレン系樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン・IPN型ゴム共重合体等の樹脂、又は、これらの混合物が挙げられる。さらにシンジオタクティクポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
スチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、上限は、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
このようなスチレン系樹脂の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
本発明において、スチレン系樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<含有割合>
本発明の樹脂組成物の樹脂成分であるポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂75〜100重量%と、スチレン系樹脂25〜0重量%からなることが好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂85〜100重量%と、スチレン系樹脂15〜0重量%からなることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂が75重量%以上であることにより、難燃性、荷重撓み温度及び機械的強度が良好なものとなる。特に、薄肉成形品で高い難燃性が求められる場合は、ポリフェニレンエーテル樹脂が85重量%以上であることが好ましい。
<他の樹脂成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂以外のその他の樹脂を、樹脂成分の一部として用いてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらその他の樹脂の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂中の50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
[エラストマー]
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性の向上のために、以下のシリコーン系エラストマー及びビニル芳香族化合物系エラストマーを必須とするエラストマーを含有する。
本発明で用いるエラストマーは、従来から知られている製造方法によって製造することができる。該エラストマーは、ガラス転移温度が0℃以下であるものが好ましく、−5℃以下がより好ましい。エラストマーのガラス転移温度を0℃以下とすることにより、低温時の耐衝撃性を良好とすることができる。
<シリコーン系エラストマー>
本発明で用いるシリコーン系エラストマーとしては、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムに、1種以上のビニル系化合物単量体から構成されるビニル系重合体をグラフトさせたグラフト共重合体(以下、単に「グラフト共重合体」と略記する場合がある。)が好ましい。ここで、「アルキル(メタ)アクリレート」は「アルキルアクリレート」と「アルキルメタクリレート」の一方又は双方をさす。
その基本的な重合体構造としては、ガラス転移温度の低い架橋成分であるポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとが相互に絡み合った構造から成る内核層と、1種以上のビニル系化合物単量体から構成されるビニル系重合体からなる外殻層とを有する多層構造重合体である。外殻層を構成するビニル系重合体は、樹脂組成物のマトリックス成分との接着性を改善する効果を有する。このようなグラフト共重合体は、例えば、特開2004−359889号公報に開示された方法で製造することができる。
シリコーン−アクリル複合ゴムの製造に用いるポリオルガノシロキサンは、特に限定されないが、例えば、ジメチルシロキサン単位を構成単位として含有する重合体が好ましい。ポリオルガノシロキサンを構成するジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。これらの中でも、粒子径分布の制御しやすさから、主成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有するシロキサンを構成成分として含有するものが好ましい。ここで、ビニル重合性官能基を含有するシロキサンとは、ビニル重合性官能基を含有し、かつ、ジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基を含有するシロキサンの中でも、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。これらビニル重合性官能基を含有するシロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン系架橋剤によって架橋されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンの製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。まず、ジメチルシロキサンと、必要に応じてビニル重合性官能基含有シロキサンとを含む混合物または、さらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させてラテックスを調製し、そのラテックスを微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンラテックスを得る。ラテックスの調製には、ホモジナイザーを使用する方法が、粒子径分布が狭くなる傾向にあり好ましい。
上記製造方法で使用される乳化剤としてはジメチルシロキサンを乳化できれば特に制限されないが、アニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられ、これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、ミセル形成能のない硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、さらに、ポリオルガノシロキサンラテックス中の乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができるという点で好ましい。
ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径は、10nm以上であることが好ましく、50nm〜5μmであることがより好ましく、100nm〜3μmであることがさらに好ましい。ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径を10nm以上とすることにより、シリコーン−アクリル複合ゴム中のポリアルキル(メタ)アクリレート量が多くなりすぎず、耐衝撃性の低下を抑制することができる。
シリコーン−アクリル複合ゴムの製造に用いるポリアルキル(メタ)アクリレートとは、アルキル(メタ)アクリレート単位と、好ましくは多官能性単量体単位とを構成成分として含有する重合体である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、及び、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上併用して用いることができる。特に、シリコーン系エラストマーを含む樹脂組成物の耐衝撃性及び成形品外観を考慮すると、n−ブチルアクリレートが好ましい。
また、シリコーン−アクリル複合ゴムの製造に用いる多官能性単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上併用して用いることができる。
多官能性単量体を使用する場合の含有量には特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート100重量%中の0.1〜2重量%であることが好ましく、0.3〜1重量%であることがより好ましい。多官能性単量体の含有量を0.1重量%以上とすることにより、複合ゴムのモルフォロジーの変化による衝撃強度の低下を抑制できる傾向にあり、また、多官能性単量体の含有量を2重量%以下とすることにより、衝撃強度がより向上する傾向にある。
シリコーン−アクリル複合ゴムは、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下に、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート、更に必要に応じて用いられる多官能性単量体を乳化重合することによって調製することができる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
シリコーン系エラストマーは、以上説明したシリコーン−アクリル複合ゴムに、1種以上のビニル系化合物単量体から構成されるビニル系重合体をグラフト重合させることにより得られる。
上記ビニル系化合物単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有化合物、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有化合物、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、窒素含有化合物の1種又は2種以上を用いることが好ましい。
このグラフト共重合体の具体的な製造方法としては、例えば、シリコーン−アクリル複合ゴムのラテックスに、ビニル系化合物単量体を加え、ラジカル重合法により一段であるいは多段で乳化グラフト重合する方法が挙げられる。グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。また、グラフト重合において用いる単量体中には、グラフト共重合体の分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
グラフト重合には、重合ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体の平均粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。この乳化剤は特に限定されないが、カチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好ましく、スルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤とカルボン酸塩乳化剤を併用することが特に好ましい。
グラフト共重合体の数平均粒子径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上である。グラフト共重合体の数平均粒子径の上限は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、特に定めるものではないが通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。グラフト共重合体の数平均粒子径が50nm未満の場合、得られる樹脂組成物からなる成形品の低温時の耐衝撃性とのバランスが低下してしまう。また、数平均粒子径を10μm以下とすることにより、得られる樹脂組成物からなる成形品の耐衝撃性および表面外観がより向上する傾向にある。なお、本発明におけるグラフト共重合体の数平均粒子径とは、走査透過電子顕微鏡(STEM)観察により、マトリックスのポリフェニレンエーテル系樹脂中に分散した、グラフト共重合体の1次粒子径を測定して求めた値である。
グラフト共重合体中の複合ゴム含有量は、グラフト共重合体100重量%中、70〜90重量%であることが好ましい。複合ゴムの含有量を70重量%以上とすることにより、耐衝撃性がより向上する傾向にあり、90重量%以下とすることにより、耐衝撃性を良好に保ちつつ、分散性がより向上する傾向にある。
また、グラフト共重合体中のSi含有量は、ICP/AES法で検出される値として、0.1〜25重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましく、1〜15重量%がさらに好ましい。Si含有量を0.1重量%以上とすることにより、耐衝撃性、難燃性が向上する傾向にあり、Si含有量を25重量%以下とすることにより、成形品外観を良好に保つことができる。
シリコーン系エラストマーの上記グラフト共重合体は、ラテックスとして得られる場合は、アセトン溶媒に対する可溶分を取り除いた重合体成分を指す。実際の乳化重合法では上記溶媒の可溶分すなわちグラフトしていないビニル系化合物単量体又はその重合体が共に得られることが多い。本発明において、シリコーン系エラストマーとしてのグラフト共重合体は、このビニル系化合物単量体又はその重合体との混合物として用いても良いし、単独で用いても良い。
本発明おいて、シリコーン系エラストマーとしては、ポリオルガノシロキサン−ポリアルキル(メタ)アクリレート複合ゴムに、メタクリル酸アルキル重合体をグラフト重合させたグラフト重合体、ポリオルガノシロキサン−ポリアルキル(メタ)アクリレート複合ゴムに、アクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト重合させたグラフト共重合体が好ましく、これらは、三菱レイヨン社から「メタブレンSシリーズ」として上市されている。
また、シリコーン系エラストマーとしての上記グラフト共重合体は、1種を単独で用いてもよく、シリコーン−アクリル複合ゴムの種類や、シリコーン−アクリル複合ゴムにグラフト重合する単量体組成などの異なるものを2種以上併用してもよい。
また、本発明においては、上記シリコーン系エラストマーを後述のビニル芳香族化合物系エラストマーの項で述べる変性剤で変性して用いてもよく、さらにラジカル発生剤を変性剤と同時に配合して変性してもよい。
本発明の樹脂組成物中の上記シリコーン系エラストマーの含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.4〜13重量部、特に好ましくは0.8〜10重量部である。シリコーン系エラストマーが上記下限より少ないとシリコーン系エラストマーを配合することによる耐衝撃性及び難燃性の向上効果が小さく、上記上限より多いと難燃性が低下し、また、耐熱性、硬度の低下の問題がある。
<ビニル芳香族化合物系エラストマー>
本発明で用いるビニル芳香族化合物系エラストマーは、好ましくは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物であり、より好ましくは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)である。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物(以下、「ブロック共重合体及びその水素添加物」と略記することがある。)とは、前記スチレン系樹脂以外のエラストマーである。このブロック共重合体の水素添加物とは、ブロック共重合体に水素添加することによりブロックbの脂肪族不飽和基が減少したブロック共重合体を意味する。ブロックa及びブロックbの配列構造は、線状構造、分岐構造等いずれの構造であってもよい。また、これらの構造のうちで、一部にビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これら構造の中では、線状構造のものが好ましく、a−b−a型のトリブロック構造のものがより好ましい。上記a−b−a型のブロック共重合体中には、a−b型のジブロック構造のものを含んでいてもよい。これらのブロック共重合体及びその水素添加物は2種以上併用してもよい。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成するビニル芳香族化合物としては、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられ、より好ましくは、スチレンである。共役ジエン系化合物ブロックbを構成する共役ジエン系化合物としては、好ましくは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが挙げられる。
ブロック共重合体及びその水素添加物におけるビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、10〜70重量%の範囲が好ましく、10〜40重量%の範囲がより好ましく、15〜25重量%の範囲がさらに好ましい。10重量%未満であると、熱安定性が低下するため、樹脂組成物製造及び成形時に酸化劣化を受けやすくなる。70重量%を超えると、耐衝撃性が低下する傾向にある。
また、ブロック共重合体の水素添加物における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエン系化合物に由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。ビニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合は、水素添加されていてもよいが、水素添加された芳香族性不飽和結合の割合は、25重量%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体及びその水素添加物としては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が、1,3−ブタジエンであるスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)や、共役ジエン系化合物が2−メチル−1,3−ブタジエンであるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等の種々のa−b−a型トリブロック構造のものが市販されており、容易に入手可能である。
これらブロック共重合体及びその水素添加物の数平均分子量は、好ましくは50,000〜300,000の範囲である。数平均分子量を50,000以上とすることにより、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性と寸法安定性が優れ、さらに、該樹脂組成物から得られる成形品の外観の良好とすることができる。また、数平均分子量を300,000以下とすることにより、最終的に得られる樹脂組成物の流動性が維持され、成形加工が容易になるので好ましい。数平均分子量のより好ましい範囲は55,000〜250,000であり、中でも特に好ましいのは55,000〜220,000である。
これらのビニル芳香族化合物系エラストマーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
また、本発明においては、前記シリコーン系エラストマー、上記ビニル芳香族化合物系エラストマーを、変性剤で変性して用いてもよく、さらにラジカル発生剤を変性剤と同時に配合して変性してもよい。
変性剤として用いられる不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はその誘導体としては、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、クロロ(無水)マレイン酸、(無水)シトラコン酸、ブテニル(無水)コハク酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ならびに、これらの酸ハライド、アミド、イミド、炭素数1〜20のアルキル又はグリコールのエステルが挙げられ、具体的には、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。ここで「(無水)」とは、無水不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸であることを示す。これらの中で好ましくは不飽和ジカルボン酸又はその酸無水物であり、(無水)マレイン酸又は(無水)イタコン酸がより好ましい。これらの不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はその誘導体は、2種以上併用してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等の1種又は2種以上
が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシオクタン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の中でも特に好ましいのは、寸法安定性や耐衝撃性の点で、10時間での半減期温度が120℃以上のラジカル発生剤である。
本発明の樹脂組成物中の上記ビニル芳香族化合物系エラストマーの含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜13重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。ビニル芳香族化合物系エラストマーが上記下限より少ないとビニル芳香族化合物系エラストマーを配合することによる耐衝撃性及び難燃性の向上効果が小さく、上記上限より多いと難燃性が低下し、また、耐熱性、硬度の低下の問題がある。
<その他のエラストマー>
本発明の樹脂組成物は、上記シリコーン系エラストマー、ビニル芳香族化合物系エラストマー以外のエラストマーを含有していてもよく、他のエラストマーとしては、オレフィン系重合体、オレフィン−ビニル系共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)が挙げられる。
エラストマーとして用いられるオレフィン系重合体とは、好ましくは炭素数2〜20のオレフィン系単量体を重合して得られる単独重合体又は共重合体である。
オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。これらの中でもより好ましくは2〜10の直鎖状のオレフィン系単量体であり、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、1−ブテンである。
オレフィン系共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−ブテン共重合体(EBR)などが挙げられる。
エラストマーとして用いられるオレフィン−ビニル系共重合体とは、オレフィン単量体とビニル系単量体を重合してなる共重合体である。
オレフィン系単量体としては、例えば、上記オレフィン系重合体で使用されるものと同様の単量体を使用することができる。
ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル基含有化合物、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸及びその金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜20のアルキルエステル等の不飽和カルボン酸エステル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリアルキル酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のビニル芳香族化合物等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、不飽和グリシジル基含有化合物、不飽和カルボン酸である。
上記のオレフィン系単量体及びビニル系単量体は、2種以上を併用してもよい。
オレフィン−ビニル系共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−g−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−g−ポリスチレン共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる(なお、「−g−」はグラフト共重合であることを示し、以下同様である)。中でも、靭性の点から、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
MBSとは、ジエン系ゴム、例えば、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体などのブタジエン系重合体に、メタクリル酸エステル成分および芳香族ビニル成分、さらには所望によりシアン化ビニル成分を、例えば、塊状重合、懸濁重合、塊状・懸濁重合、溶液重合または乳化重合などの方法でグラフト重合させたものである。特に、乳化重合法でグラフト重合させたものが好ましい。ここにブタジエン系重合体の使用量は通常10〜85重量%、好ましくは30〜70重量%であり、ブタジエン系重合体中のブタジエン成分の割合は50重量%以上が好ましい。ブタジエン系重合体の使用量が10重量%未満の場合は、得られる樹脂組成物からの成形品の耐衝撃性が低く、85重量%を超えると樹脂組成物の成形性が低下し好ましくない。
MBSを構成するメタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜4のアルキルエステルが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、ハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが例示されるが、特にスチレンが好ましい。またシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−ハロゲン化アクリロニトリルなどが例示され、特にアクリロニトリルが好適である。
また、MBSは、MBS100重量部に対し、フェノール系熱安定剤とチオエーテル系熱安定剤とを、フェノール系熱安定剤及びチオエーテル系熱安定剤の合計量が0.1〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量部、かつ重量比が1/0〜1/1となるよう含有してなるものも好ましい。MBS中でフェノール系熱安定剤の配合率よりチオエーテル系熱安定剤の配合率が高くなると、耐熱着色性、耐熱劣化性が低下する場合がある。
MBSに配合されるフェノール系熱安定剤としては、フェノール系化合物のOH基の性質を隠蔽した分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましい。特に、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジターシャリーブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3’ターシャリーブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、MBSに配合されるチオエーテル系熱安定剤としては、例えば、ジアルキル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス[メチレン−3(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−ターシャリーブチルフェニル]スルフィドが好ましい。
フェノール系熱安定剤とチオエーテル系熱安定剤とを特定量、特定比率で含有してなるMBSが乳化重合法で製造される場合には、これらの熱安定剤を同時に或いは別個に乳化分散させ、重合終了時に投入しても良いし、凝固、脱水或いは乾燥工程中に配合してもよい。
また、本発明においては、上記その他のエラストマーを、変性剤で変性して用いてもよく、さらにラジカル発生剤を変性剤と同時に配合して変性してもよい。変性剤、ラジカル発生剤としては、上記シリコーン系エラストマー、ビニル芳香族化合物系エラストマーの変性に用いるものと同じものを使用することができる。
これらのその他のエラストマーも、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の樹脂組成物が、上記のようなその他のエラストマーを含む場合、その含有量は、シリコーン系エラストマー及びビニル芳香族化合物系エラストマーの好適な含有量を確保した上で、本発明の樹脂組成物中のエラストマーの合計の含有量が15重量%以下となるように配合することが、エラストマーの配合による難燃性の低下や耐熱性、硬度の低下の問題を抑制する上で好ましい。
ただし、他のエラストマーの配合は難燃性の低下を引き起こすため、本発明においては、シリコーン系エラストマー及びビニル芳香族化合物系エラストマー以外のエラストマーを配合しないことが好ましい。
[リン系難燃剤]
本発明の樹脂組成物には、難燃性を付与するためにリン系難燃剤を含有する。
リン系難燃剤としては、組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、リン酸エステル化合物が好適である。
本発明で用いるリン酸エステル化合物としては、例えば下記式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012131934
(式中、R11、R12、R13、R14は互いに独立して、置換されていても良いアリール基を示し、Xは他に置換基を有していても良い2価の芳香族基を示す。mは0〜5の数を示す。)
一般式(3)においてR11〜R14で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またXで示される2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基や、例えばビスフェノールから誘導される基等が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。mが0の場合はリン酸エステルであり、nが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物であっても良い)である。
このようなリン酸エステル化合物としては、具体的には、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合体などを例示できる。
かかる成分として好適に用いることができる市販の縮合リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業(株)より、「CR733S」(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、(株)ADEKAより「FP500」(レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート))といった商品名で販売されており、容易に入手可能である。特に、CR733Sは、低ガス性で好ましい。
また、本発明において好ましく用いられるリン系難燃剤として、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物も挙げられ、このリン酸エステル化合物であれば、難燃剤の配合による耐熱性の低下や成形時のガス発生を抑えるという効果があり、好ましい。
Figure 2012131934
(式中、R、Rは各々独立に水素原子又はメチル基、好ましくは水素原子を表し、nは1〜5の数を表す。)
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤としては、好ましくは以下の一般式(1A),(1B)で表されるリン酸エステル化合物が挙げられる。
Figure 2012131934
Figure 2012131934
前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の合成方法は特に制限されず、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとフェノールとオキシ塩化リンを塩化マグネシウムなどの触媒の存在下に反応させ脱塩酸するか、トリフェニルホスフェイトと4,4’−ジヒドロキシビフェニルをエステル交換反応することで合成可能である。
前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物よりなるリン酸エステル系難燃剤においては、前記一般式(1)におけるn=1であるリン酸エステル化合物が90重量%未満であることが好ましい。但し、この割合が、80重量%未満では製造工程において実用的ではないため、80重量%以上が好ましい。
本発明の樹脂組成物中の上記リン系難燃剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して2〜35重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。リン系難燃剤が上記下限より少ないと難燃効果が小さく、上記上限より多いと耐衝撃性が低下し、発生ガスによる成形品割れの問題が発生するので好ましくない。
[リン系難燃剤とシリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーの含有割合]
本発明においては、耐衝撃性の向上のために配合するエラストマーによる難燃性の低下の問題を、エラストマーとしてシリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーとを組み合わせて配合することにより解決する。このため、本発明の樹脂組成物中のリン系難燃剤とシリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーは、各成分の含有量を上記範囲とした上で、その互いの含有割合に好適範囲が存在し、シリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーとは、その重量比でシリコーン系エラストマー:ビニル芳香族化合物系エラストマー=1:0.1〜15、特に1:0.2〜10となるように組み合わせて用いることが好ましい。
また、シリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーとの合計の含有量は、リン系難燃剤の含有量に対して、5〜80重量%、特に10〜65重量%であることが好ましく、また、本発明の樹脂組成物中のシリコーン系エラストマーとビニル芳香族化合物系エラストマーとの合計の含有量は、2〜20重量%、特に3〜15重量%であることが好ましい。
[カーボンブラック]
本発明の樹脂組成物は、黒色の着色を付与すると共に、耐候性を高めるための成分としてカーボンブラックを含むことが好ましい。
カーボンブラックとしては、平均一次粒子径が5〜30nm、さらには10〜25nm、特に10〜20nmで、DBP吸油量が20〜90cm/100g、さらには20〜60cm/100g、特に40〜60cm/100gのものが好ましい。
カーボンブラックの粒子径が上記上限以下であることにより、後述のL値が小さく黒色性が良好となり、成形性、機械的特性が良好なものとなり、耐トラッキング性の低下を抑制しやすい傾向にある。一方、粒子径が上記下限以上であることにより、耐トラッキング性が改善され、また溶融混練時の吐出性が良好となる傾向にある。
また、カーボンブラックのDBP吸油量が上記上限以下であることにより、耐トラッキング性が良好となり、上記下限以上であることにより、L値が小さく黒色性が良好となる傾向にある。
このように、適切な平均一次粒子径、DBP吸油量を有するカーボンブラックを選択することにより、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物のL値と耐トラッキング性をバランスよく良好なものとすることができる。
なお、カーボンブラックの平均一次粒子径は、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して得られた値であり、DBP吸油量はJIS K6217規格に準拠して測定された値である。
カーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、平均一次粒子径やDBP吸油量の異なるものを2種以上併用してもよい。
本発明の樹脂組成物がカーボンブラックを含有する場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.2〜1重量部である。カーボンブラックの含有量が上記下限以上であることにより、カーボンブラック配合による黒色性、耐候性を高めることができ、上記上限以下であることにより、耐トラッキング性の低下を抑制すると共に、成形性、機械的特性の低下を防止することができる。
[難燃助剤]
本発明の樹脂組成物には、難燃性をさらに向上させるために、難燃助剤の1種又は2種以上を配合しても良い。難燃助剤としては、フッ素樹脂、特にポリフルオロエチレンが好ましく、ポリフルオロエチレンの中でもフィブリル形成能を有するもので、樹脂成分中に容易に分散し、且つ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものが好ましい。
また、ポリフルオロエチレンを含有した樹脂組成物を溶融成形した成形品の外観を向上させるためには、有機系重合体で被覆された被覆ポリフルオロエチレンを用いることが好ましい。この被覆ポリフルオロエチレンとしては、被覆ポリフルオロエチレン中のポリフルオロエチレンの含有比率が40〜95重量%、中でも43〜80重量%、更には45〜70重量%、特には47〜60重量%であるものが好ましい。
このような被覆ポリフルオロエチレンを配合することにより、良好な難燃性を維持しつつ、成形品表面の白色異物の発生を抑制することができる。被覆ポリフルオロエチレン中のポリフルオロエチレンの含有比率が上記下限以上であると、難燃性の向上効果に優れ、上記上限以下であると、白点異物を低減しやすい傾向にある。
また、有機系重合体により被覆されるポリフルオロエチレンとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、中でも、重合体中に容易に分散し、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すため、フィブリル形成能を有するものが好ましい。
このような被覆ポリフルオロエチレンは、公知の種々の方法により製造することができ、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固又はスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固又はスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固又はスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
ポリフルオロエチレンを被覆する有機系重合体としては、特に制限されるものではないが、樹脂に配合する際の分散性の観点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂との親和性が高いものが好ましい。
この有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの単量体の中でも、ポリフェニレンエーテル系樹脂との親和性の観点から、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体から選ばれる1種以上の単量体が好ましく、特に(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく、これらの単量体を10重量%以上含有する単量体が好ましい。
本発明で好ましく使用される被覆ポリフルオロエチレンとしては、例えば三菱レイヨン(株)製のメタブレン「A−3800」、「KA−5503」や、PIC社製の「Poly TS AD001」等がある。
本発明の樹脂組成物が難燃助剤を含む場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、さらには0.05〜1重量部、特に0.1〜0.7重量部であることが好ましい。難燃助剤の含有量が上記下限以上であると難燃性の改良効果を十分に得ることができ、上記上限以下であると、成形品外観の低下を防止しやすい傾向にある。
また、本発明の樹脂組成物中の前記リン系難燃剤と難燃助剤の配合比率(リン系難燃剤/難燃助剤の重量比)は、バランスの良い性能を有する樹脂組成物を得るという点から、通常0.1〜1000であり、更には1〜700、特には5〜500である。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂組成物には、上記の成分以外に他の各種樹脂添加剤を含有させることができる。
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は、離型性を向上させる目的で、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、ポリオレフィン系ワックス、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系ワックスが好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリスチルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
ポリオレフィン系ワックスとしては、オレフィンの単独重合体及び共重合体等が挙げられる。オレフィンの単独重合体としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等及びこれらの部分酸化物又はこれらの混合物等が挙げられる。オレフィンの共重合体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン等の共重合体、これらのオレフィンと共重合可能なモノマー、例えば、不飽和カルボン酸又はその酸無水物(無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステル等)等の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。オレフィン共重合体は、通常、エチレンと、他のオレフィン及び重合性モノマーから選択された少なくとも1種のモノマーとの共重合体である。これらのポリオレフィン系ワックスのうち、ポリエチレンワックスが最も好ましい。なお、ポリオレフィンワックスは、線状又は分岐構造であってよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪族エステル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル等が挙げられる。 シリコーンオイルの動粘度としては、25℃における動粘度が、50,000cSt以上であること好ましく、150,000cSt以上であることがより好ましく、更に好ましくは500,000cSt以上である。動粘度の上限は、通常10,000,000cSt程度である。
これらの離型剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部、さらには0.15〜2.5重量部、特に0.2〜2重量部であることが好ましい。離型剤の含有量が上記下限以上であることにより、その離型効果を十分に得ることができ、上記上限以下であることにより、耐熱性の低下、金型汚染、可塑化不良といった問題を防止しやすい傾向にある。
<熱安定剤>
本発明の樹脂組成物には、組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、硫黄系化合物、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の熱安定剤を配合してもよい。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例として、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ホスファイト系化合物の具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられ、好ましくは、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ホスホナイト系化合物の具体例としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、好ましくは、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトである。
硫黄系化合物の具体例としては、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−テトラデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−トリデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイト等が挙げられる。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系酸化防止剤は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、好適に用いることができる。 硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3000である。
酸化亜鉛としては、例えば、平均粒子径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒子径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。
本発明の樹脂組成物にこれらの熱安定剤を配合する場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対し、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部である。熱安定剤の配合量が上記下限以上であることにより、熱安定性の改善効果を十分に得ることができ、上記上限以下であることにより金型汚染の発生、機械的強度の低下などを防止することができる。
<充填材>
本発明においては、主に、樹脂組成物を補強し、剛性、耐熱性、寸法精度等を向上させる目的で充填材の1種又は2種以上を配合してもよい。充填材の形状等に特に制限はなく、有機充填材でも無機充填材でもよい。その具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩又は硫酸塩、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、酸化チタン、酸化マグネシウム、窒化硼素、チタン酸カリウィスカー、シリカ、マイカ、タルク、ワラストナイト等が挙げられるが、これらの中でも、機械的強度の点からガラス繊維が、耐トラッキング性の点からアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩、特に、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい例として挙げられる。
本発明で好ましく使用されるガラス繊維は、平均直径が20μm以下のものが好ましく、さらに1〜15μmのものが、物性バランス(耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、並びに成形反りをより一層低減させる点で好ましい。
ガラス繊維の長さは特定されるものでなく、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)等から選択して用いることができる。この場合の集束本数は、100〜5,000本程度であることが好ましい。また、樹脂組成物混練後の樹脂組成物中のガラス繊維の長さが平均0.1mm以上で得られるならば、いわゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉砕品でもよく、また、連続単繊維系のスライバーのものでもよい。原料ガラスの組成は、無アルカリのものも好ましく、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス等が挙げられるが、本発明では、Eガラスが好ましく用いられる。
本発明で好ましく使用されるアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩は、耐トラッキング性改善のために配合される成分であり、本発明においては、アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩の配合による耐衝撃性の低下が少なく、耐トラッキング性を向上させることができる。
アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩のアルカリ土類金属は、周期表第IIa族に含まれる元素の少なくとも1種であるが、好ましくはカルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウムであり、カルシウム、バリウムがより好ましい。
アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩としては、特に、耐トラッキング性及び耐衝撃性の改善効果、黒色度の保持等の点から炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。
アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩の平均粒子径については特に制限はなく、平均粒子径0.1〜5μm程度の市販品を用いることができる。好ましい平均粒子径は、0.1〜3μmである。なお、炭酸カルシウムについては、粒子径の大きいものを使用すると、耐衝撃性の低下、成形品の白化、成形品表面の凹凸といった問題が生じる恐れがあるため、これらの問題を防止するために、炭酸カルシウムの粒子径は、平均粒子径として1μm以下、例えば0.1〜1μmであることが好ましい。なお、アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩の平均粒子径とは、粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均粒子径をいう。
アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の樹脂組成物に、これらの充填材を配合する場合、その配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜60重量部である。充填材の配合量を上記下限以上とすることにより機械的強度を効果的に改良できる傾向にあり、上記上限以下とすることにより流動性及び成形品外観をより良好なものとすることができる。
アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩を配合する場合は、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜12重量部である。アルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩の含有量が上記下限以上であることにより、耐トラッキング性、更には耐衝撃性の改善効果を十分に得ることができ、上記上限以下であることにより、黒色度の低下を抑制することができる。
<その他>
その他、本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カーボンブラック以外の耐侯性改良剤、造核剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、分散剤、導電剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を配合することができる。
[製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造は、特定の方法に限定されるものではないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用化されている混練方法が適用できる。例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、シリコーン系エラストマー、ビニル芳香族化合物系エラストマー、リン系難燃剤及び必要に応じて用いられるその他の成分等を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。各成分は混練機に一括でフィードしても、順次フィードしてもよく、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。また、特にカーボンブラックについては、予め、スチレン系樹脂等の樹脂成分とマスターバッチ化されたものを用いてもよい。
混練温度と混練時間は、所望とする樹脂組成物や混練機の種類等の条件により任意に選ぶことができるが、通常、混練温度は200〜350℃、好ましくは220〜320℃、混練時間は20分以下が好ましい。この温度が高過ぎると、ポリフェニレンエーテル樹脂やスチレン系樹脂の熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観不良を生じることがある。
[成形方法]
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形、プレス成形等の各種成形法によって成形することができる。
〔ポリフェニレンエーテル系樹脂成形品〕
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる成形品の形状には特に制限はなく、フィルム状、シート状ないしは箱状等、各種の成形品を提供することができる。
また、その適用分野についても特に制限はなく、前述の太陽光発電モジュール用接続構造体等の太陽光発電モジュール部品、その他自動車用部品、電気・電子・OA機器用部品、建築用部品等、本発明の成形品は幅広い分野において各種用途に適用可能であるが、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる成形品は、耐衝撃性、難燃性に優れ、その他の物性バランスにも優れることから、ジャンクションボックス等の太陽光発電モジュール部品に特に有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の例で使用した材料、得られた樹脂組成物の評価法及び試験片の成形条件は次の通りである。
[材料]
ポリフェニレンエーテル樹脂:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(ポリキシレノールシンガポール社製「PX100L」、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度0.47dl/g)
スチレン系樹脂:ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、PSジャパン社製「HT478」、重量平均分子量(Mw)200,000、MFR3.2g/10分
リン系難燃剤−1:ADEKA社製リン酸エステル系難燃剤「FP−800」(前記一般式(1)において、n=1のものが86重量%、R,Rは水素原子)
リン系難燃剤−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業社製「CR741」)
リン系難燃剤−3:レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業社製「CR733S」)
リン系難燃剤−4:トリフェニルフォスフェート(大八化学工業社製「TPP」)
シリコーン系エラストマー−1:三菱レイヨン社製「S2006」(ポリジメチルシロキサン−ポリアクリル酸アルキル複合ゴム/ポリメタクリル酸アルキルグラフト共重合体)
シリコーン系エラストマー−2:三菱レイヨン社製「SRK200」(ポリジメチルシロキサン−ポリアクリル酸アルキル複合ゴム/(ポリアクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体)
シリコーン系エラストマー−3:三菱レイヨン社製「メタブレンS−2030」(ポリジメチルシロキサン−ポリアクリル酸アルキル複合ゴム/ポリメタクリル酸アルキルグラフト共重合体)
アクリル系エラストマー:ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「パラロイドEXL2315」(ポリブチルアクリレート(コア)/ポリメチルメタクリレート(シェル)からなるコア・シェア型エラストマー)
SEBS:クラレプラスチックス社製「セプトン8006」
カーボンブラック:レジノカラー工業社製カーボンブラックマスターバッチ「BLACK SBF−M8800」(カーボンブラック(三菱化学(株)製「MCF88」)含有量45重量%のポリスチレンベースマスターバッチ)
難燃助剤:三菱レイヨン社製ポリテトラフルオロエチレン「メタブレンA−3800」
離型剤:三洋化成社製酸化型ポリエチレンワックス「サンワックス151P」
熱安定剤−1:ADEKA社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤「アデカスタブAO−80」
熱安定剤−2:ADEKA社製ホスファイト系酸化防止剤「アデカスタブPEP−36」
熱安定剤−3:ADEKA社製チオエーテル系酸化防止剤「アデカスタブAO−412S」
炭酸カルシウム:白石工業社製「Vigot−15」、平均粒子径0.15μm
硫酸バリウム:堺化学工業社製「B−55」、平均粒子径0.8μm
<評価法>
(1)難燃性
下記記載の方法で得られた樹脂組成物ペレットを80℃で2時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製「J50EP」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で以下の試験片(いずれも厚さは2.0mm)を作製し、UL94−5VA,94−5VB規格に準拠して測定を行い、UL94−5VA,94−5VB規格を満たすものを「○」、満たさないものを「×」とした。
棒状試験片:長さ125mm,幅13mm
板状試験片:150mm×150mm
(2)落鍾試験
下記記載の方法で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で2時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所社製「J75ED」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、150mm×100mm×厚み2.6mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を直径70mmの筒状サンプル台に取り付け、鍾(先端R6.35mm)に重り(重さ2kg)を2m上方より落下させた。落鍾が試験片を完全に貫通しない場合を合格とし、合格する最大高さを求めた。なお、同じ高さで3回試験を行い、3回とも合格した場合に、その高さに対して合格とした。
(3)シャルピー衝撃強度
下記記載の方法で得られた樹脂組成物ペレットを80℃で2時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「EC160NII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件でISO試験片を作製し、ノッチ加工を施し、ISO179規格に準じて、23℃でのシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)耐トラッキング性
下記記載の方法で得られた樹脂組成物ペレットを80℃で2時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「EC160NII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で、大きさが100mm×100mmで、厚みが3mmの試験片を作製し、IEC60112規格に準拠して比較トラッキング指数(CTI)を測定した。なお、印加電圧は25V単位で行った。
[実施例1〜44、比較例1〜11]
表1〜6に示す配合成分を、表1〜6に示す割合でタンブラーミキサーにて均一に混合し、得られた混合物を、池貝社製二軸押出機「PCM−30」にて、バレル温度280℃、回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランド状に押出して冷却し、切断してペレットを作製した。
[評価結果]
評価結果を表1〜6に示す。
Figure 2012131934
Figure 2012131934
Figure 2012131934
Figure 2012131934
Figure 2012131934
Figure 2012131934
表1〜6より次のことが分かる。
エラストマーを用いていない比較例1では、難燃性の低下の問題はないが、耐衝撃性が劣る。シリコーン系エラストマー又はSEBSを少量配合した比較例2,3では、難燃性の低下の問題はないが、耐衝撃性が十分ではない。
シリコーン系エラストマー又はSEBSを増やした比較例4〜7では耐衝撃性は上がるが、難燃性が劣るものとなる。
アクリル系エラストマーとSEBSを併用した比較例8〜11では、耐衝撃性が良好であるが難燃性低下の問題がある。
これに対して、シリコーン系エラストマーとSEBSとを併用した実施例1〜44では、いずれも難燃性の低下の問題を引き起こすことなく、適切なエラストマーの配合で良好な耐衝撃性が得られる。特にSEBSの配合量を増やした場合には、非常に高い耐衝撃性が得られる。
しかも、実施例1は、シリコーン系エラストマー及びSEBSの合計配合量(3.12重量部)が比較例4〜7のシリコーン系エラストマー又はSEBSの配合量(3.26重量部)と同等であるにもかかわらず、エラストマー配合による難燃性の低下がなく、特定の2種類のエラストマーを併用することにより、優れた難燃性を発揮することができる。 また、炭酸カルシウム又は硫酸バリウムを配合した実施例21〜44では、耐トラッキング性が向上することがわかる。

Claims (12)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、シリコーン系エラストマー0.1〜15重量部と、ビニル芳香族化合物系エラストマー0.1〜15重量部と、リン系難燃剤2〜35重量部とを含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 請求項1において、前記シリコーン系エラストマーが、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムに、1種以上のビニル系化合物単量体をグラフトさせたグラフト共重合体であることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーが、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaと共役ジエン系化合物重合体ブロックbとのブロック共重合体及びその水素添加物からなる群より選ばれることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  4. 請求項3において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーが、ビニル芳香族化合物重合体ブロックaを構成する単量体がスチレンであり、共役ジエン系化合物重合体ブロックbを構成する単量体である共役ジエン系化合物が1,3−ブタジエンである、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)であることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ビニル芳香族化合物系エラストマーの含有量が、前記シリコーン系エラストマーの含有量の0.1〜15倍であることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リン系難燃剤が、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤であることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2012131934
    (式中、R、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、nは1〜5の数を表す。)
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル樹脂100〜75重量%と、スチレン系樹脂25〜0重量%を含むことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対してカーボンブラックを0.01〜5重量部含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して難燃助剤を0.01〜3重量部含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対してアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は硫酸塩を0.1〜20重量部含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
  12. 請求項11において、太陽光発電モジュール用接続構造体であることを特徴とする成形品。
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