JP2012127409A - 電磁式リニア弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】プランジャの自励振動の発生を抑制可能な電磁式リニア弁を提供する。
【解決手段】(a)筒部28の内部を2つの液室58,60に区画し、貫通穴62が形成された区画部30を有するハウジング20と、(b)本体部とロッド部74とを有し、一方の液室58内に配設され、ロッド部の先端部が貫通穴の開口に着座するプランジャ22とを備えた電磁式リニア弁10において、筒部が、プランジャの本体部が挿入される部分の内径より小さな内径のロッド部被挿入部54を有し、ロッド部被挿入部によって液室58が第1液室82と第2液室84とに区画され、第1液室と筒部の外周面とに開口する貫通路90と、第2液室と筒部の外周面とに開口する貫通路92とが流出ポートとして機能するように構成する。このように構成すれば、作動液がプランジャ本体部に作用し難くなるとともに、液室から気泡を排出することが可能となり、自励振動の発生を抑制可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、プランジャとそのプランジャがそれの軸線方向に移動可能に設けられるハウジングとを備え、プランジャを移動させて弁を開閉する電磁式リニア弁に関する。
電磁式リニア弁には、(a)筒状をなすハウジング筒部と、そのハウジング筒部の一端を塞ぐコア部と、ハウジング筒部の内部を2つの液室に区画する区画部と、それら2つの液室を連通するように区画部を貫通する貫通穴とを有するハウジングと、(b)本体部とロッド部とを有し、コア部の側に位置する液室内に軸線方向に移動可能に配設され、弁体としてのロッド部の先端部が弁座として機能する貫通穴の開口に着座するプランジャとを備える電磁式リニア弁がある。そのようなプランジャとハウジングとを備えた電磁式リニア弁は、弁体が弁座に着座している状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを禁止し、弁体が弁座から離れている状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを許容する。さらに、弁体が弁座に接近する方向と弁座から離間する方向との一方にプランジャを付勢する弾性体と、その弾性体がプランジャを付勢する方向とは反対の方向にプランジャを移動させるための磁界を形成するコイルとを備えており、コイルへの通電量を制御することで、高圧側の作動液路内の作動液の液圧(以下、「高圧側作動液圧」という場合がある)と低圧側の作動液路内の作動液の液圧(以下、「低圧側作動液圧」という場合がある)との差圧を制御可能に変更することが可能とされている。下記特許文献には、高圧側作動液圧と低圧側作動液圧との差圧を制御可能な構造の電磁式リニア弁の一例が記載されている。
特開2001−208233号公報
上記構造の電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられており、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用,プランジャが配設される液室内の気泡等が自励振動の発生要因として考えられている。したがって、これら種々の発生要因を考慮してプランジャの自励振動を抑制することで、電磁式リニア弁の実用性を向上させることが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い電磁式リニア弁を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の電磁式リニア弁は、ハウジング筒部が、(a)プランジャの本体部が挿入される本体部被挿入部と、(b)ロッド部が挿入されるとともに、本体部被挿入部の内径より小さな内径のロッド部被挿入部とを有し、プランジャが配設されている液室が、(A)ロッド部被挿入部と区画部とによって区画される第1の液室と、(B)本体部とロッド部との間の段差面と、本体部被挿入部とロッド部被挿入部との間の段差面とによって区画される第2の液室とを含んで構成され、第1の液室とハウジング筒部の外周面とに開口する第1貫通路と、第2の液室とハウジング筒部の外周面とに開口する第2貫通路とが2つの流出ポートとして機能するように構成される。
本発明の電磁式リニア弁においては、ロッド部が挿入されるロッド部被挿入部によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャの本体部に作用し難くされている。さらに、そのロッド部被挿入部によって区画される第1の液室と第2の液室との各々とハウジングの外周面とに開口する2本の流出ポートがハウジング筒部に形成されており、それら2つの液室から気泡が排出され易くされている。したがって、本発明の電磁式リニア弁によれば、自励振動の発生を抑制することが可能となり、電磁式リニア弁の実用性を高くすることが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(4)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、それぞれ相当する。
(1)(a)筒状をなすハウジング筒部と、(b)そのハウジング筒部の一端を塞ぐコア部と、(c)前記ハウジング筒部の内部を前記コア部の側に位置する液室と前記コア部とは反対側に位置するもう1つの液室とに区画し、それら2つの液室を連通するように自身を貫通する貫通穴が形成された区画部と、(d)前記コア部とは反対側に位置する前記液室と連通する流入ポートとを有するハウジングと、
(A)強磁性材料により形成された本体部と、(B)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すロッド部とを有し、軸線方向に移動可能に前記コア部の側に位置する前記液室内に配設され、前記ロッド部の先端部が前記貫通穴の開口に着座するプランジャと、
前記ロッド部の先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
を備えた電磁式リニア弁であって、
前記ハウジング筒部が、
(a)前記プランジャの前記本体部が挿入される本体部被挿入部と、(b)その本体部被挿入部に連続し、前記ロッド部が挿入されるとともに、前記本体部被挿入部の内径より小さな内径のロッド部被挿入部とを有し、
前記プランジャが配設されている前記液室が、
(A)前記プランジャの前記ロッド部の先端部のまわりにおいて区画された第1の液室と、(B)前記本体部と前記ロッド部との間の段差面と、前記本体部被挿入部と前記ロッド部被挿入部との間の段差面とによって区画された第2の液室とを含んで構成され、
それぞれが前記ハウジング内から作動液を流出させるための流出ポートとして機能し、一端部が前記第1の液室に開口するとともに他端部が前記ハウジング筒部の外周面に開口する第1貫通路と、一端部が前記第2の液室に開口するとともに他端部が前記ハウジング筒部の外周面に開口する第2貫通路とが、前記ハウジング筒部に形成された電磁式リニア弁。
電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられているが、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用が自励振動の発生要因の1つとして考えられている。そこで、本項に記載された電磁式リニア弁においては、自励振動の発生を抑制するべく、内径の比較的小さなロッド部被挿入部がハウジング筒部に形成されている。ロッド部が挿入されるロッド部被挿入部の内径を小さくすることで、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャの本体部へ作用し難くし、自励振動の発生を抑制することが可能となるのである。
ただし、そのロッド部被挿入部によって、プランジャが配設される液室(以下、「プランジャ液室」という場合がある)が、区画部の側に位置する第1の液室と、区画部とは反対側に位置する第2の液室とに区画されており、ロッド部とロッド部被挿入部とのクリアランスが小さくされているため、その第2の液室に気泡が入り込んでしまうとその気泡を低圧側の作動液路へ排出し難くなってしまう。プランジャは移動時において、プランジャ液室内の作動液によって減衰されるが、その液室内に気泡が入り込んでいると、作動液による減衰効果が低下する虞がある。作動液によるプランジャの減衰効果の低下も、プランジャの自励振動の発生要因の1つとして考えられており、プランジャ液室内の気泡は排出されることが望ましい。そこで、本項に記載の電磁式リニア弁においては、第1の液室とハウジング筒部の外周面とに開口する第1貫通路と、第2の液室とハウジング筒部の外周面とに開口する第2貫通路とをハウジング筒部に形成し、それら2つの貫通路を流出ポートとして機能させている。これにより、第2の液室に気泡が入り込んでしまった場合でも、その気泡を低圧側の作動液路へ容易に排出させることが可能となる。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャの本体部へ作用し難くするとともに、プランジャ液室内の気泡を容易に排出させることが可能となり、プランジャの自励振動の発生を好適に抑制することが可能となる。
(2)前記第1貫通路と前記第2貫通路とが、前記ハウジング筒部の軸線に垂直な面への前記ハウジング筒部の投影図において重ならないように、前記ハウジング筒部に形成されている(1)項に記載の電磁式リニア弁。
プランジャの本体部と区画部との間の空間、つまり、上記第1の液室と第2の液室とが位置する空間は比較的小さいため、ハウジング筒部のその空間を区画する部分の軸線方向の長さは比較的短い。そのような軸線方向の長さの比較的短いハウジング筒部の部分に、2本の貫通路を形成すると、それら2本の貫通路の間のハウジング筒部の肉厚を充分に確保することができなくなる虞がある。特に、2本の貫通路を、軸線方向からの視点において重なるようにハウジング筒部に形成すると、その重なる部分でのハウジング筒部の肉厚は相当薄いものとなる虞がある。一方で、2本の貫通路を、軸線方向からの視点において重なるようにハウジング筒部に形成し、その重なる部分でのハウジング筒部の肉厚を確保するためには、ハウジング筒部を長くし、電磁式リニア弁を大型化する必要がある。本項に記載の電磁式リニア弁では、2本の貫通路が、軸線に垂直な面へのハウジング筒部の投影図において重ならないように配設されている。つまり、軸線方向において透視した場合に、2本の貫通路が重ならないように配設されている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、大型化することなく、2本の貫通路の間のハウジング筒部の肉厚を充分に確保することが可能となる。
(3)前記第1貫通路と前記第2貫通路とが、それぞれ、前記ハウジング筒部の径方向に延びるように形成されている(1)項または(2)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁によれば、貫通路の構造を簡便なものとすることが可能となり、電磁式リニア弁の製造工程を簡素化することが可能となる。
(4)前記プランジャが配設されている液室が、
さらに、前記第2の液室より前記コア部に近い位置に区画された第3の液室を含んで構成され、その第3の液室と前記第2の液室との間の作動液の流れを補助するべく、前記第2の液室と前記第3の液室とを連通する連通路が前記プランジャに形成されている(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
プランジャ液室内には、上記第1の液室および第2の液室だけでなく、第2の液室より区画部から離れる方向の側に位置する第3の液室も存在する。具体的に言えば、例えば、コア部とプランジャとによって区画される液室,プランジャの外周面およびハウジングの内周面が段付形状とされている場合にはプランジャの段差面とハウジングの段差面とによって区画される液室等が存在する。そのような第3の液室と第2の液室とは、プランジャの本体部とハウジング筒部とのクリアランスを介して連通されているが、そのクリアランスは概して小さくされている。このため、第3の液室内の気泡を、そのクリアランスを介して第2の液室へ排出させ難くなっている。本項に記載の電磁式リニア弁においては、そのクリアランスとは別に、第2の液室と第3の液室とを連通する連通路が形成されており、第2の液室内の気泡だけでなく、第3の液室内の気泡をも低圧側の作動液路へ容易に排出することが可能となっている。
(5)前記プランジャの前記本体部が、
(a)前記ロッド部の側に位置する小径部と、(b)その小径部に連続して前記ロッド部とは反対側に位置する大径部とを有して、段付形状とされており、
前記ハウジングの前記本体部被挿入部が、
(A)強磁性を有し、前記大径部が挿入された大径部被挿入部と、(B)強磁性を有し、前記大径部被挿入部の内径より小さな内径とされて前記大径部被挿入部に連続し、前記小径部が挿入された小径部被挿入部とを有し、
前記小径部と前記小径部被挿入部とのクリアランスが、前記大径部と前記大径部被挿入部とのクリアランスより小さくされた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
プランジャの自励振動の抑制方法としては、上述したように、作動液がプランジャへ作用し難くする,プランジャ液室内から気泡を排出する等,種々の方法が考えられており、プランジャとハウジングの内周面との間に生じる摩擦力を大きくすることで自励振動を抑制する方法も考えられている。ただし、プランジャとハウジングの内周面との摩擦力を大きくすれば、自励振動を抑制することは可能であるが、そのような摩擦力が大きくなれば、高圧側作動液圧と低圧側作動液圧との差圧の制御を適切に実行できなくなる虞がある。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、プランジャが段付形状にされるとともに、それを保持するハウジングの内周面も段付形状にされている。さらに、小径部と小径部被挿入部とのクリアランスが、大径部と大径部被挿入部とのクリアランスより小さくされている。このような構造により、プランジャの移動時において、小径部と小径部被挿入部とは摺接するが、大径部と大径部被挿入部とは摺接しないようになっている。また、プランジャの大径部と小径部との間でプランジャの断面積が急変するため、プランジャの小径部での磁気飽和によって、プランジャとハウジングの内周面との接触部分に流れる磁束の量は、プランジャ内を流れる全ての磁束の量より少なくなっている。つまり、プランジャ内にある程度の量の磁束が流れても、プランジャとハウジングの内周面との接触部分に流れる磁束の量を減らすことが可能となっている。
プランジャとハウジングの内周面との接触部分に流れる磁束の量は、後に詳しく説明するが、プランジャとハウジングの内周面との間に生じる摩擦力と大きく関係しており、接触部分に流れる磁束の量が多くなれば摩擦力も大きくなる。一方、プランジャ内を流れる磁束の量は、これも後に詳しく説明するが、プランジャの移動時に生じる電磁誘導に依拠した起電力と大きく関係しており、プランジャ内を流れる磁束の量が多くなれば、その起電力も大きくなる。その起電力は、プランジャの移動を妨げる方向に生じる。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、ある程度大きな起電力を生じさせつつ、プランジャとハウジングの内周面との摩擦力を小さくすることが可能となる。つまり、プランジャとハウジングの内周面との間に大きな摩擦力を生じさせることなく、プランジャの自励振動を抑制することが可能となる。
(6)前記弾性体が、前記ロッド部の先端部が前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢するものである(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁は、常閉弁の電磁式リニア弁に限定されている。プランジャの自励振動の発生頻度は、一般的に、常開弁の電磁式リニア弁より、常閉弁の電磁式リニア弁のほうが高いことが知られている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁では、プランジャの自励振動の発生を抑制する効果が充分に活かされる。
請求可能発明の実施例である電磁式リニア弁を示す概略断面図である。 図1に示すAA線における断面図である。 図2に示すBB線における断面図である。 比較例の電磁式リニア弁を示す概略断面図である。 図1の電磁式リニア弁の拡大図と比較例の電磁式リニア弁の拡大図とを並べて示す図である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<電磁式リニア弁の構成>
図1に、本発明の実施例の電磁式リニア弁10を示す。本電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12および低圧側の作動液路14に接続されており、通常、弁体が弁座に着座することで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。一方、弁体が弁座から離れることで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容し、作動液の流れを許容する際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変更することが可能とされている。
電磁式リニア弁10は、図1に示すように、中空形状のハウジング20と、そのハウジング20内に自身の軸線方向に移動可能に設けられたプランジャ22と、ハウジング20の外周に設けられた円筒状のコイル24とを備えている。ハウジング20は、上端部に設けられた円柱状のコア26と、壁面を構成する概して円筒状の壁部材28と、その壁部材28の下端部に嵌入された有蓋円筒状の弁部材30とを有している。コア26と壁部材28とは、強磁性材料により形成されており、それらコア26と壁部材28とは、非磁性材料により形成された円筒状のスリーブ32を介して、離間した状態で連結されている。
壁部材28は、それの内部が段付形状とされており、上端部に位置する上端部50と、その上端部50の下方に位置するとともに、上端部50の内径より小さい内径の第1中間部52と、その第1中間部52の下方に位置するとともに、第1中間部52の内径より小さい内径の第2中間部54と、下端部に位置する下端部56とに区分けすることができる。その下端部56に区画部としての弁部材30が固定的に嵌入されており、その弁部材30によってハウジング20内が、コア26の側に位置する上液室58とコア26とは反対側に位置する下液室60との2つの液室に区画されている。下液室60はハウジング20の下端面に開口しており、その開口が流入ポートとして機能することで、高圧側の作動液路12が下液室60に接続されている。また、弁部材30には軸線方向に貫通する貫通穴62が形成されている。その貫通穴62の上方の開口64はテーパ状に形成され、その開口64が弁座として機能している。
プランジャ22は、スリーブ32と壁部材28とによって構成されるハウジング筒部に挿入されており、そのハウジング筒部とコア26と弁部材30とによって区画された上液室58内において、軸線方向に移動可能とされている。プランジャ22は、強磁性材料により形成されており、外径の最も大きい大径部70と、その大径部70の下方に位置するとともに、大径部70の外径より小さい外径の小径部72と、その小径部72の下方に位置するとともに、小径部72の外径より小さい外径のロッド部74とによって構成されることで、段付形状とされている。
プランジャ22の大径部70は、コア部としてのコア26と対向するように設けられるとともに、壁部材28の上端部50に挿入されており、小径部72は第1中間部52に、ロッド部74は第2中間部54に、それぞれ挿入されている。つまり、プランジャ22の大径部70と小径部72とによって構成されるプランジャ22の本体部が、壁部材28の上端部50と第1中間部52とによって構成される本体部被挿入部に挿入されている。
ちなみに、プランジャ22の外径とハウジング20の内径との関係は、以下のようになっている。プランジャ22の大径部70の外径は、大径部被挿入部としての上端部50の内径より僅かに小さくされており、小径部72の外径は、小径部被挿入部としての第1中間部52の内径より僅かに小さくされている。そして、ロッド部74の外径は、ロッド部被挿入部としての第2中間部54の内径より僅かに小さくされている。つまり、大径部70と上端部50との間,小径部72と第1中間部52との間,ロッド部74と第2中間部54との間には隙間(クリアランス)が有り、プランジャ22は、ハウジング20内を円滑に移動できるようになっている。また、小径部72と第1中間部52との間のクリアランスは、大径部70と上端部50との間,ロッド部74と第2中間部54との間のクリアランスよりも小さくされている。このため、プランジャ22の軸線とハウジング20の軸線とがズレた場合には、プランジャ22とハウジング20とは、小径部72と第1中間部52とだけで接触するようになっている。つまり、プランジャ22の軸線とハウジング20の軸線とがズレても、大径部70と上端部50とは接触せず、さらに、ロッド部74と第2中間部54とも接触しないようになっている。
また、プランジャ22の小径部72の外周面には、周方向の一箇所において軸線方向に延びるようにして切欠部80が形成されており、その切欠部80によって上液室58内の2つの液室が連通されている。詳しく言えば、上液室58は、壁部材28の第2中間部54と弁部材30とによって区画される第1プランジャ液室82と、プランジャ22の小径部72とロッド部74との間の段差面と壁部材28の第1中間部52と第2中間部54との間の段差面とによって区画される第2プランジャ液室84と、プランジャ22の大径部70と小径部72との間の段差面と壁部材28の上端部50と第1中間部52との間の段差面とによって区画される第3プランジャ液室86と、コア26と壁部材28の上端面とによって区画される第4プランジャ液室88との4つの液室によって構成されている。それら4つの液室のうちの第2プランジャ液室84と第3プランジャ液室86とが、切欠部80によって連通されている。
それら4つのプランジャ液室うちのロッド部74の先端部が位置する液室、つまり、第1の液室としての第1プランジャ液室82には、ハウジング20の壁部材28を径方向に貫通する1対の第1貫通路90が開口している。つまり、1対の第1貫通路90は、それぞれ、一端部において第1プランジャ液室82に開口するとともに、他端部において壁部材28の外周面に開口しており、流出ポートとして機能している。1対の第1貫通路90は、壁部材28の周方向の2等配の位置に形成されており、1直線上に位置している。また、その第1プランジャ液室90の上側に位置する液室、つまり、第2プランジャ液室84には、図1におけるA−A断面図である図2、および、その図2におけるB−B断面図である図3に示すように、ハウジング20の壁部材28を径方向に貫通する1対の第2貫通路92が開口しており、それら1対の第2貫通路92も流出ポートとして機能している。1対の第2貫通路92も、壁部材28の周方向の2等配の位置に形成されており、1直線上に位置しているが、軸線方向からの視点において、上記第1貫通路90に対して90°位相がズレた位置に形成されている。このため、1対の第1貫通路90と1対の第2貫通路92とは、軸線方向からの視点において、図2に示すように、4等配に位置している。つまり、1対の第1貫通路90と1対の第2貫通路92とは、軸線に直角な面へのハウジング20の壁部材28の投影図(図2参照)において重ならない位置に形成されている。
また、プランジャ22のロッド部74の先端は、半球状とされており、弁部材30に形成された貫通穴62の開口64と向かい合うようにされている。そのロッド部74の先端は、開口64に着座するようにされており、弁体として機能するものとされている。その弁体として機能するロッド部74の先端が、弁座として機能する開口64に着座することで、貫通穴62を塞ぐことが可能とされている。ちなみに、プランジャ22は強磁性材料により形成された単一の素材を加工して成形されている。その1つの素材から成形されたプランジャ22においては、表面の硬度を高くするための表面熱処理、詳しく言えば、浸炭焼入れ処理が全表面に施されており、プランジャ22の硬度、特に貫通穴62の開口64に着座するロッド部74の先端の硬度が高くされている。
また、ハウジング20のコア26の下端面には、プランジャ22の上端面に形成された凸部100と対向するように凹部102が形成されており、その凹部102に、プランジャ22の軸線方向への移動に伴って、プランジャ22の凸部100が進入するようになっている。そのプランジャ22の凸部100の上端面には、有底穴104が形成されており、その有底穴104には圧縮コイルスプリング106が挿入されている。圧縮コイルスプリング106の上端部はプランジャ22の上端面から突出しており、圧縮コイルスプリング106は、コア26に形成された凹部102の底面と有底穴104の底面とによって圧縮された状態で配設されている。このため、プランジャ22は、弾性体としての圧縮コイルスプリング106の弾性力によってコア26から離れる方向に付勢されている。つまり、プランジャ22のロッド部74の先端が開口64に接近する方向(以下、「接近方向」という場合がある)に付勢されている。なお、有底穴104には、圧縮コイルスプリング106に囲まれるようにして棒状のストッパ108が挿入されており、そのストッパ108によって、プランジャ22の上方への移動量が制限されている。
また、コイル24は、樹脂製の保持部材110によってハウジング20の外周部において保持されており、その保持部材110とともに、強磁性材料によって形成されたコイルケース112によって覆われている。コイルケース112は、上端部においてコア26に固定されるとともに、下端部において壁部材28に固定されている。このため、コイル24による磁界の形成に伴って、コイルケース112,コア26,プランジャ22,壁部材28に磁路が形成されるようになっている。
<電磁式リニア弁の作動>
上述した構造によって、電磁式リニア弁10は、コイル24に電流が供給されていないときには、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止しており、コイル24に電流を供給することによって、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容するとともに、作動液の流れが許容される際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変化させる構造とされている。
詳しく説明すれば、コイル24に電流が供給されていない場合には、圧縮コイルスプリング106の弾性力によって、プランジャ22のロッド部74の先端が高圧側の作動液路12に繋がる貫通穴62の開口64に着座することで、電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。この際、ロッド部74の先端には、高圧側の作動液路12内の作動液の液圧(以下、「高圧側作動液圧」という場合がある)と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧(以下、「低圧側作動液圧」という場合がある)との差に基づく力F1が作用している。この圧力差に基づく力F1と圧縮コイルスプリング106の弾性力F2とは互いに逆向きに作用するが、弾性力F2は圧力差に基づく力F1と比較してある程度大きくされているため、電磁式リニア弁10は、コイル24への電流非供給時には開弁しないようになっている。
一方、コイル24に電流が供給されると、磁界の形成に伴って、磁束が、コイルケース112,コア26,プランジャ22,壁部材28を通過する。そして、ロッド部74の先端が貫通穴62の開口64から離間する方向(以下、「離間方向」という場合がある)にプランジャ22を移動させようとする磁気力が生じる。コイル24に電流が供給されて磁界が形成されている際に、プランジャ22には、圧力差に基づく力F1と磁気力によってプランジャ22が上方に付勢される力F3との和と、圧縮コイルスプリング106の弾性力F2とが互いに逆向きに作用する。この際、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より大きい間は、ロッド部74の先端によって塞がれていた開口64が開き、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14へ作動液が流れる。
そして、高圧の作動液が低圧側の作動液路14へ流れることで、低圧側作動液圧が増加し、圧力差に基づく力F1が減少する。その圧力差に基づく力F1が減少することで、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなれば、電磁式リニア弁10は閉弁され、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れが阻止される。このため、低圧側作動液圧は、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなった時点の低圧側作動液圧に維持される。つまり、コイル24への通電量を制御することで、低圧側作動液圧と高圧側作動液圧との圧力差を制御することが可能となり、低圧側作動液圧を目標とする作動液圧まで増加させることが可能となっている。
<本電磁式リニア弁と他の電磁式リニア弁との比較>
本電磁式リニア弁10においては、プランジャ22が段付形状とされるとともに、そのプランジャ22を保持するハウジング20の内周面も段付形状とされている。このように段付形状のプランジャ22およびハウジング20を備えた電磁式リニア弁に対して、概して円柱状のプランジャ200および内径の均一なハウジング202を備えた電磁式リニア弁204を、比較例として、図4に示す。比較例の電磁式リニア弁204は、プランジャ200およびハウジング202を除き、本電磁式リニア弁10と略同様の構成であるため、プランジャ200およびハウジング202を中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
比較例の電磁式リニア弁204の備えるハウジング202は、図4に示すように、壁面を構成する概して円筒状の円筒部材206を有している。その円筒部材206は強磁性材料により形成されており、円筒部材206の内径は均一とされている。その均一な内径の円筒部材206の内部には、強磁性材料により形成された円柱状のプランジャ本体208を有するプランジャ200が挿入されている。プランジャ本体208の外径は、円筒部材206の内径より僅かに小さくされており、プランジャ200はハウジング202内を軸線方向に円滑に移動できるようになっている。ちなみに、プランジャ本体208の外径は、本電磁式リニア弁10の有するプランジャ22の大径部70の外径と略同じとされている。
プランジャ本体208の下端面には、有底穴210が形成されており、その有底穴210に、プランジャ本体208とは別の部材であるロッド部材212が固定的に嵌合されている。ロッド部材212の下端は、円筒部材206の下端部に嵌合された弁部材30に向かい合っており、その弁部材30に形成された貫通穴62の開口64に着座するものとされている。一方、プランジャ本体208の上端面にも、有底穴214が形成されており、その有底穴214の底面とコア26との間に圧縮コイルスプリング106およびストッパ108が配設されている。
上述した構造によって、変形例の電磁式リニア弁204においても、本電磁式リニア弁10と同様に、コイル24に電流が供給されていないときには、閉弁しており、コイル24に電流を供給することによって、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを許容するとともに、高圧側の作動液路内の作動液の液圧と低圧側の作動液路内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変化させる構造とされている。変形例の電磁式リニア弁204と本電磁式リニア弁10とを比較すると、プランジャの移動時にプランジャの軸線とハウジングの軸線とがズレた場合には、変形例の電磁式リニア弁204においては、プランジャ本体208と円筒部材206とが摺接し、本電磁式リニア弁10においては、プランジャ22の小径部72と壁部材28の第1中間部52とが摺接するようにされている。このため、変形例の電磁式リニア弁204でのプランジャ本体208と円筒部材206との間に生じる摩擦力は、本電磁式リニア弁10での小径部72と第1中間52との間に生じる摩擦力より大きくなる傾向にある。
詳しく説明すれば、変形例の電磁式リニア弁204において、コイル24に電流が供給された場合には、磁界が形成されて、磁束がハウジング202,プランジャ200等を流れる。この際の磁力線は、図5(a)の矢印のように示すことができる。この図は、プランジャ200の軸線とハウジング202の軸線とがズレて、プランジャ本体208が、図での右側面において、ハウジング202の円筒部材206に接触している状態を示している。この状態でコイル24へ通電されることによって、例えば、コア26からプランジャ本体208の上端へ6本の磁力線に相当する磁束が流れた場合には、プランジャ本体208と円筒部材206とが接触している側(図での右側)に5本の磁力線に相当する磁束が流れ、プランジャ本体208と円筒部材206とが接触していない側(図での左側)に1本の磁力線に相当する磁束が流れる。このため、プランジャ200には、プランジャ本体208と円筒部材206とが接触している側に流れる磁束と接触していない側に流れる磁束との差に相当する力が作用する。つまり、プランジャ200と円筒部材206との間には、4本の磁力線に相当する磁束に依拠した吸引力が生じ、その吸引力に応じた摩擦力が生じる。
一方、本電磁式リニア弁10の有するコイル24に通電された場合における磁力線は、図5(b)の矢印のように示すことができる。この図は、プランジャ22の軸線とハウジング20の軸線とがズレて、プランジャ22の小径部72が、図での右側面において、ハウジング20の壁部材28の第1中間部52に接触している状態を示している。この状態でコイル24へ通電されることによって、例えば、コア26からプランジャ22の大径部70の上端へ6本の磁力線に相当する磁束が流れた場合には、プランジャ22の大径部70から小径部72へ、2本の磁力線に相当する磁束しか流れない。磁束が大径部70から小径部72に流れる際に、磁束の流れる箇所の断面積が急激に減少し、小径部72において磁気飽和が生じるためである。このため、大径部70から小径部72に流れることができなかった磁束が、大径部70から壁部材28の上端部50へ、それらの間のクリアランスを介して流れる。詳しくは、大径部70と壁部材28の上端部50との間において、図での右側に2本の磁力線に相当する磁束が流れ、図での左側に2本の磁力線に相当する磁束が流れる。また、大径部70から小径部72へ流れた2本の磁力線に相当する磁束は、小径部72と壁部材28の第1中間部52とが接触している側(図での右側)に流れる。このため、プランジャ22とハウジング20の内周面との間には、2本の磁力線に相当する磁束に依拠した吸引力が生じ、プランジャ22の小径部72と壁部材28の第1中間部52との間に、その吸引力に応じた摩擦力が生じる。
したがって、コアからプランジャへ同じ量の磁束が流れた場合には、プランジャとハウジングの内周面との間に生じる摩擦力に関して言えば、本電磁式リニア弁10のほうが変形例の電磁式リニア弁204より小さくすることが可能となっている。プランジャとハウジングの内周面との摩擦力は、プランジャが停止していても移動していても生じるものであり、プランジャの移動を阻止する力である。電磁式リニア弁は、プランジャに作用する上向きの力と下向きの力とのバランスを制御することで、高圧側の作動液路内の作動液の液圧と低圧側の作動液路内の作動液の液圧との差圧を制御するものであるため、プランジャの移動を阻止する摩擦力が大きければ、差圧の制御に影響を及ぼす虞がある。このため、本電磁式リニア弁10においては、比較例の電磁式リニア弁204より、好適に高圧側の作動液圧と低圧側の作動液圧との差圧を制御することが可能となっている。
また、プランジャの移動を阻止する力は、上記摩擦力以外にも発生する場合がある。磁束が流れる状況下において導体が移動すると、電磁誘導効果によって、その導体の移動を阻止しようとする力、つまり、起電力が生じる。電磁誘導によって生じる起電力は、導体の移動速度が高くなるほど、大きくなるものであり、導体が停止している場合には発生しない。つまり、電磁式リニア弁においても、コイルへの通電時に磁束がプランジャ,ハウジング等に流れている際に、プランジャが移動すれば、上記起電力が生じる。ただし、電磁誘導によって生じる起電力は、プランジャ停止時には発生せず、プランジャが低速で移動する場合には相当小さなものとなるため、差圧の制御への影響は小さいと考えることができる。
電磁式リニア弁には、差圧を制御する際の自励振動の問題がある。自励振動とは、プランジャを付勢するコイルスプリングのばね定数等に依拠した固有の振動数でプランジャが振動するものであり、このような振動は望ましくない。つまり、自励振動を抑制、言い換えれば、減衰することが望ましく、自励振動に対して大きな減衰力を作用させることが望ましい。上記電磁誘導によって生じる起電力は、プランジャの移動速度が高くなるほど、大きくなるものであることから、自励振動を好適に減衰することが可能である。電磁誘導によって生じる起電力は、プランジャの移動速度に依拠するが、プランジャを流れる磁束の量にも依拠する。つまり、プランジャの移動速度が同じであれば、プランジャを流れる磁束の量が多いほど、起電力は大きくなる。本電磁式リニア弁10のプランジャ22を流れる磁束の量は、プランジャ22の大径部70の外径と比較例のプランジャ200のプランジャ本体208の外径とが略同じであることから、比較例の電磁式リニア弁204のプランジャ200を流れる磁束の量と殆ど同じである。このため、本電磁式リニア弁10は、比較例の電磁式リニア弁204と同等に自励振動を減衰することが可能となっている。つまり、本電磁式リニア弁10は、比較例の電磁式リニア弁204と比較して、自励振動の減衰効果を低減させることなく、プランジャとハウジングの内壁面との間の摩擦力を低下させることが可能となっている。
また、比較例の電磁式リニア弁204が開弁された場合には、貫通穴62から流入した作動液がプランジャ本体208の下面を押し上げるようにしてハウジング202内を流れる。一方、本電磁式リニア弁10が開弁された場合には、貫通穴62から流入した作動液は、ハウジング20の壁部材28の第2中間部54によって、プランジャ22の小径部72の下面側には流れ難くされている。ハウジング内に流入した作動液が勢いよくプランジャに作用することは、プランジャの自励振動の要因の1つとして考えられていることから、本電磁式リニア弁10は、比較例の電磁式リニア弁204と比較して、自励振動を抑制することが可能となっている。
さらに、プランジャが収容される液室、つまり、上液室内に気泡が入り込んでいる場合には、作動液によるプランジャの減衰効果が低下し、プランジャの自励振動が生じ易くなると考えられている。このため、上液室内に入り込んでいる気泡は低圧側の作動液路へ排出されることが望ましい。ただし、プランジャの外周面とハウジングの内周面とのクリアランスは比較的小さいため、上液室の上方に位置するプランジャ液室内に入り込んでいる気泡を、低圧側の作動液路にまで排出させることは困難である。本電磁式リニア弁10では、先に説明したように、摩擦力等の問題に対処するために、プランジャ22の小径部72と壁部材28の第1中間部52とのクリアランスは小さくされており、さらに、作動液のプランジャ22への作用を低減させるために、壁部材28に第2中間部54が形成されている。このため、上液室58内の気泡を排出し易くするべく、上液室58の第2の液室としての第2プランジャ液室84と第3の液室としての第3プランジャ液室86とを連通する切欠部80が、プランジャ22の側面に形成されている。そして、その第2プランジャ液室84とハウジング20の外周面とに開口する第2貫通路92が、ハウジング20の壁部材28に形成されている。このため、本電磁式リニア弁10においては、連通路としての切欠部80によって、第3プランジャ液室86から第2プランジャ液室84に気泡を排出し、さらに、第2貫通路92によって低圧側の作動液路14へ気泡を排出することが可能となっている。
また、本電磁式リニア弁10では、流出ポートとして機能する第1貫通路90および第2貫通路92の形成箇所に工夫を凝らすことで、リニア弁としての利便性を高めている。具体的には、第1貫通路90および第2貫通路92は、図2に示すように、軸線方向からの視点において位相がズレるように壁部材28に形成されている。このため、第1貫通路90と第2貫通路92との間の壁部材28の肉厚を充分確保することが可能となっている。例えば、第1貫通路90と第2貫通路92とを軸線方向からの視点において同じ位相に形成した場合には、第1貫通路90と第2貫通路92との間の壁部材28の肉厚を充分確保することができず、リニア弁の信頼性が低いものとなってしまう虞がある。このような観点から、本電磁式リニア弁10の利便性は高いものとなっている。また、例えば、第1貫通路90と第2貫通路92とを軸線方向からの視点において同じ位相に形成し、それらの間の壁部材28の肉厚を充分確保するためには、リニア弁の全長を長くする必要がある。しかし、本電磁式リニア弁10では、第1貫通路90と第2貫通路92との位相をずらすことで、リニア弁の全長を長くすること無く、それらの間の壁部材28の肉厚を確保することが可能となっている。したがって、このような観点からも、本電磁式リニア弁10の利便性は高いものとなっている。
10:電磁式リニア弁 20:ハウジング 22:プランジャ 24:コイル 26:コア(コア部) 28:壁部材(ハウジング筒部) 30:弁部材(区画部) 32:スリーブ(ハウジング筒部) 50:上端部(本体部被挿入部)(大径部被挿入部) 52:第1中間部(本体部被挿入部)(小径部被挿入部) 54:第2中間部(ロッド部被挿入部) 58:上液室 60:下液室 62:貫通穴 64:開口 70:大径部(本体部) 72:小径部(本体部) 74:ロッド部 80:切欠部(連結路) 82:第1プランジャ液室(第1の液室) 84:第2プランジャ液室(第2の液室) 86:第3プランジャ液室(第3の液室) 90:第1貫通路 92:第2貫通路 106:圧縮コイルスプリング(弾性体)

Claims (4)

  1. (a)筒状をなすハウジング筒部と、(b)そのハウジング筒部の一端を塞ぐコア部と、(c)前記ハウジング筒部の内部を前記コア部の側に位置する液室と前記コア部とは反対側に位置するもう1つの液室とに区画し、それら2つの液室を連通するように自身を貫通する貫通穴が形成された区画部と、(d)前記コア部とは反対側に位置する前記液室と連通する流入ポートとを有するハウジングと、
    (A)強磁性材料により形成された本体部と、(B)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すロッド部とを有し、軸線方向に移動可能に前記コア部の側に位置する前記液室内に配設され、前記ロッド部の先端部が前記貫通穴の開口に着座するプランジャと、
    前記ロッド部の先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
    前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
    を備えた電磁式リニア弁であって、
    前記ハウジング筒部が、
    (a)前記プランジャの前記本体部が挿入される本体部被挿入部と、(b)その本体部被挿入部に連続し、前記ロッド部が挿入されるとともに、前記本体部被挿入部の内径より小さな内径のロッド部被挿入部とを有し、
    前記プランジャが配設されている前記液室が、
    (A)前記プランジャの前記ロッド部の先端部のまわりにおいて区画された第1の液室と、(B)前記本体部と前記ロッド部との間の段差面と、前記本体部被挿入部と前記ロッド部被挿入部との間の段差面とによって区画された第2の液室とを含んで構成され、
    それぞれが前記ハウジング内から作動液を流出させるための流出ポートとして機能し、一端部が前記第1の液室に開口するとともに他端部が前記ハウジング筒部の外周面に開口する第1貫通路と、一端部が前記第2の液室に開口するとともに他端部が前記ハウジング筒部の外周面に開口する第2貫通路とが、前記ハウジング筒部に形成された電磁式リニア弁。
  2. 前記第1貫通路と前記第2貫通路とが、前記ハウジング筒部の軸線に垂直な面への前記ハウジング筒部の投影図において重ならないように、前記ハウジング筒部に形成されている請求項1に記載の電磁式リニア弁。
  3. 前記プランジャが配設されている液室が、
    さらに、前記第2の液室より前記コア部に近い位置に区画された第3の液室を含んで構成され、その第3の液室と前記第2の液室との間の作動液の流れを補助するべく、前記第2の液室と前記第3の液室とを連通する連通路が前記プランジャに形成されている請求項1または請求項2に記載の電磁式リニア弁。
  4. 前記プランジャの前記本体部が、
    (a)前記ロッド部の側に位置する小径部と、(b)その小径部に連続して前記ロッド部とは反対側に位置する大径部とを有して、段付形状とされており、
    前記ハウジングの前記本体部被挿入部が、
    (A)強磁性を有し、前記大径部が挿入された大径部被挿入部と、(B)強磁性を有し、前記大径部被挿入部の内径より小さな内径とされて前記大径部被挿入部に連続し、前記小径部が挿入された小径部被挿入部とを有し、
    前記小径部と前記小径部被挿入部とのクリアランスが、前記大径部と前記大径部被挿入部とのクリアランスより小さくされた請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
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