JP2011127728A - 電磁式リニア弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構造の電磁式リニア弁において自励振動の発生を抑制する。
【解決手段】第1液室34と第2液室36とに区画する区画部30を有するハウジング20と、弁体として機能する一端部が弁座40に着座可能、かつ、軸線方向に移動可能に第1液室内に設けられたプランジャ22とを備えた電磁式リニア弁10において、ハウジングの壁を貫通し、プランジャと区画部との間の弁室64とハウジングの外周面とに開口する壁穴70と、一端部においてその壁穴に嵌合されるとともに、弁室内に延び出す棒状の延出部材74とを備えるように構成する。このように構成すれば、壁穴に棒状の部材を嵌合するだけで、その棒状の部材の弁室内に延び出した部分によって、プランジャに向かう弁室内の作動液の流れを妨げることが可能となる。したがって、簡便な構造の電磁式リニア弁において、プランジャの自励振動の発生を抑制することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】第1液室34と第2液室36とに区画する区画部30を有するハウジング20と、弁体として機能する一端部が弁座40に着座可能、かつ、軸線方向に移動可能に第1液室内に設けられたプランジャ22とを備えた電磁式リニア弁10において、ハウジングの壁を貫通し、プランジャと区画部との間の弁室64とハウジングの外周面とに開口する壁穴70と、一端部においてその壁穴に嵌合されるとともに、弁室内に延び出す棒状の延出部材74とを備えるように構成する。このように構成すれば、壁穴に棒状の部材を嵌合するだけで、その棒状の部材の弁室内に延び出した部分によって、プランジャに向かう弁室内の作動液の流れを妨げることが可能となる。したがって、簡便な構造の電磁式リニア弁において、プランジャの自励振動の発生を抑制することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、プランジャとそのプランジャがそれの軸線方向に移動可能に設けられるハウジングとを備え、プランジャを移動させて弁を開閉する電磁式リニア弁に関する。
電磁式リニア弁は、一端部が弁体として機能するプランジャと、その弁体として機能するプランジャの一端部が着座する弁座が設けられたハウジングとを備えており、弁体が弁座に着座している状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを禁止し、弁体が弁座から離れている状態において、高圧側の作動液路から低圧側の作動液路への作動液の流れを許容している。さらに、電磁式リニア弁は、弁体が弁座に接近する方向と弁座から離間する方向との一方にプランジャを付勢する弾性体と、その弾性体がプランジャを付勢する方向とは反対の方向にプランジャを移動させるための磁界を形成するコイルとを備えており、コイルへの通電量を制御することで、高圧側の作動液路内の作動液の液圧(以下、「高圧側作動液圧」という場合がある)と低圧側の作動液路内の作動液の液圧(以下、「低圧側作動液圧」という場合がある)との差圧を制御可能に変更することが可能とされている。下記特許文献には、高圧側作動液圧と低圧側作動液圧との差圧を制御可能な構造の電磁式リニア弁の一例が記載されている。
上記構造の電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられているが、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用が自励振動の発生要因の1つとして考えられている。そこで、上記特許文献1に記載された電磁式リニア弁では、プランジャと弁座との間の液室、いわゆる弁室内に作動液の流れを妨げる部材を配設し、その部材によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャへ作用し難くされている。ただし、弁室は比較的狭いため、作動液の流れを妨げる部材の構造が複雑になったり、そのような部材の取付け工程が困難である場合がある。本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、簡便な構造かつ、簡便な取付け工程によって弁室内に配設可能な部材によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャへ作用し難くすることが可能な電磁式リニア弁を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の電磁式リニア弁は、(A)ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、弁室とハウジングの外周面とに開口する壁穴と、(B)一端部において壁穴に嵌合されるとともに、弁室内に延び出す棒状の延出部材とを備えるように構成される。
本発明の電磁式リニア弁においては、棒状の延出部材の一端部がハウジングに形成された壁穴に嵌合されて、延出部材が弁室内に延び出しており、その延出部材の弁室内に延び出した部分によって、弁室内の作動液の流れを妨げることが可能となっている。したがって、本発明の電磁式リニア弁によれば、簡便な構造かつ、簡便な取付け工程によって弁室内に配設可能な部材によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液をプランジャへ作用し難くすることが可能となる。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項および(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(4)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(5)項および(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項4に(8)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1に(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項6に(11)項および(12)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、請求項6または請求項7に(13)項および(14)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項8に、請求項8に(15)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項9に、請求項1ないし請求項9のいずれか1つに(17)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項10に、それぞれ相当する。
(1)内部を第1液室と第2液室とに区画する区画部と、前記第1液室と前記第2液室とを連通するように前記区画部を貫通する貫通穴とを有し、作動液が充填されるハウジングと、
(a)本体部と、(b)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すとともに、先端部が弁体として機能するロッド部とを有し、弁座として機能する前記貫通穴の前記第1液室への開口に前記ロッド部の前記先端部が着座可能、かつ、軸線方向に移動可能に前記第1液室内に設けられたプランジャと、
前記ハウジングに設けられ、前記第1液室に連通する流出ポートと、
前記ハウジングに設けられ、前記第2液室に連通する流入ポートと、
前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
を備えた電磁式リニア弁であって、
前記第1液室が、
前記本体部と前記区画部とによって区画されて、前記ロッド部の周りに存在する弁室を含んで構成され、
当該電磁式リニア弁が、
(A)前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する壁穴と、(B)一端部において前記壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す棒状の延出部材とを備えた電磁式リニア弁。
(a)本体部と、(b)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すとともに、先端部が弁体として機能するロッド部とを有し、弁座として機能する前記貫通穴の前記第1液室への開口に前記ロッド部の前記先端部が着座可能、かつ、軸線方向に移動可能に前記第1液室内に設けられたプランジャと、
前記ハウジングに設けられ、前記第1液室に連通する流出ポートと、
前記ハウジングに設けられ、前記第2液室に連通する流入ポートと、
前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
を備えた電磁式リニア弁であって、
前記第1液室が、
前記本体部と前記区画部とによって区画されて、前記ロッド部の周りに存在する弁室を含んで構成され、
当該電磁式リニア弁が、
(A)前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する壁穴と、(B)一端部において前記壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す棒状の延出部材とを備えた電磁式リニア弁。
電磁式リニア弁においては、プランジャがハウジング内で弾性体によって支持されていることから、弁の開閉に伴って自励振動が生じる虞がある。プランジャの自励振動の発生要因としては種々のものが考えられているが、例えば、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液のプランジャへの作用が自励振動の発生要因の1つとして考えられている。このため、自励振動の発生を抑制するべく、弁室内に作動液の流れを妨げるための部材が配設された電磁式リニア弁が検討されている。弁室内に作動液の流れを妨げるための部材を設けることで、その部材によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液がプランジャへ作用し難くし、自励振動の発生を抑制するのである。ただし、弁室は比較的狭く、さらに、弁室には、プランジャのロッド部,弁座等が設けられているため、作動液の流れを妨げる部材の構造が複雑になったり、そのような部材の取付け工程が困難である場合がある。
本項に記載された電磁式リニア弁においては、ハウジングの壁に弁室とハウジングの外周面とに開口する壁穴を形成し、その壁穴に棒状の部材の一端部が嵌合されており、その棒状の部材が弁室内に延び出している。つまり、棒状の部材の一端部をハウジングの壁穴に嵌合することで、その棒状の部材の一部を弁室内に位置させることが可能となり、その棒状の部材の弁室内に位置する部分によって、弁室内の作動液の流れを妨げることが可能となっている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、簡便な構造かつ、簡便な取付け工程によって弁室内に配設可能な部材によって、高圧側の作動液路からハウジング内に流入する作動液をプランジャへ作用し難くすることが可能となる。
本項に記載された「延出部材」は、プランジャのロッド部と接触しないように弁室内に延び出していればよい。例えば、延出部材の他端部の側の端面とロッド部の外周面とが対向するように、延出部材が弁室内に延び出していてもよく、延出部材がロッド部を挿通させる挿通部を有し、その挿通部をロッドが挿通した状態で延出部材が弁室内に延び出していてもよい。その延出部材の断面形状は、どのような形状であってもよく、例えば、円形であっても、多角形であってもよい。また、本項に記載された「コイル」は、磁界の形成に伴って、磁束がプランジャ内をそれの軸線方向に流れるように、ハウジングの外周面に固定的に設けられていればよく、ハウジングの外周面を囲うようにして設けられていればよい。
(2)前記延出部材が、前記ロッド部が挿通する挿通部を有する(1)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、延出部材をロッド部の外周面の比較的近くに位置させることが可能となり、弁座として機能する開口からプランジャ本体に向かう作動液の流れを、延出部材によって効果的に妨げることが可能となる。本項に記載の「挿通部」は、プランジャが軸線方向へ移動してもロッド部と延出部材とが接触しない形状であればよく、例えば、延出部材の他端部の側の端面に形成された溝であってもよく、延出部材を貫通する穴であってもよい。
(3)前記挿通部が、前記延出部材を貫通する穴を有する(2)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、延出部材によってロッド部の外周面を囲うことが可能となり、作動液の流れを、延出部材によってさらに効果的に妨げることが可能となる。
(4)前記延出部材が、
前記挿通部の前記穴から、前記壁穴に嵌合される前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面まで前記延出部材の軸線方向に延びるようにして形成されるとともに、前記プランジャが前記第1液室内に設けられた状態のハウジングへの前記延出部材の組付け時に前記プランジャの前記ロッド部によって開かれるスリットを有する(3)項に記載の電磁式リニア弁。
前記挿通部の前記穴から、前記壁穴に嵌合される前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面まで前記延出部材の軸線方向に延びるようにして形成されるとともに、前記プランジャが前記第1液室内に設けられた状態のハウジングへの前記延出部材の組付け時に前記プランジャの前記ロッド部によって開かれるスリットを有する(3)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁では、プランジャが第1液室内に設けられた状態のハウジングに延出部材を組付ける際に、ハウジングの外部から壁穴に延出部材をそれの他端部から挿入し、ロッド部によって延出部材の他端部を変形させることでスリットを開くとともに、そのスリットをロッド部によって開いた状態で延出部材をハウジング内に押し込むことで、ロッド部をスリット内を通過させて挿通部の穴内に位置させることが可能となる。つまり、電磁式リニア弁の製造工程において、ハウジング内にプランジャを配設した後であっても、プランジャのロッド部を延出部材に形成された穴に挿通させるとともに、延出部材の一端部をハウジングに形成された壁穴に嵌合させることが可能となる。
(5)当該電磁式リニア弁が、
前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口するとともに、前記ハウジングの外周面への開口が前記流出ポートとして機能する流出穴を備えた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口するとともに、前記ハウジングの外周面への開口が前記流出ポートとして機能する流出穴を備えた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
(6)前記流出穴が、前記プランジャの軸線を挟んで前記壁穴の反対側の位置に設けられた(5)項に記載の電磁式リニア弁。
(7)前記流出穴が、前記壁穴と一直線上に設けられた(6)項に記載の電磁式リニア弁。
上記3つの項に記載の電磁式リニア弁においては、ハウジングの外周面への開口が流出ポートとして機能する流出穴に関して限定されている。プランジャの自励振動の発生要因としては、弁室内に流入した作動液のプランジャへの作用の他に、例えば、プランジャの設けられる液室内の作動液の液圧の不均一が考えられている。液室内の作動液の液圧の不均一は種々の要因によって生じるが、気泡が液室内に存在する場合に液圧が不均一となることが多い。高圧側の作動液路から弁室内に流入した作動液を、効率良く低圧側の作動液路に流すことができれば、弁室内に流入した作動液がプランジャに作用し難くなり、さらに、気泡もハウジング内に留まり難くなる。2つ目の項に記載の電磁式リニア弁においては、高圧側の作動液路から弁室内に流入した作動液を、弁室内に延び出した延出部材によって、流出穴に導くことが可能となっている。したがって、2つ目の項に記載の電磁式リニア弁によれば、弁室内に流入した作動液がプランジャに作用し難くなり、さらに、気泡もハウジング内に留まり難くすることが可能となる。
3つ目の項に記載の電磁式リニア弁では、流出穴と壁穴とが、プランジャの軸線を中心として対称的に設けられており、電磁式リニア弁の製造工程において、それら2つの穴をハウジングに形成し易くなっている。また、3つ目の項に記載の電磁式リニア弁においては、延出部材の他端部を流出穴に嵌合してもよい。ただし、延出部材の他端部を流出穴に嵌合する場合には、流出穴の開口を流出ポートとして機能させるべく、延出部材の他端部に、その他端部が流出穴に嵌合された状態でハウジングの外部と弁室とを連通する連通路が形成される必要がある。
(8)当該電磁式リニア弁が、
前記壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
前記壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、フィルタとして機能する円環状のバンドによって、延出部材の一端部が嵌合された状態の壁穴の開口を塞ぐことが可能となる。つまり、延出部材の一端部を壁穴に固定しなくとも、その円環状のバンドによって、延出部材の壁穴からの抜けを防止することが可能となる。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁によれば、延出部材の一端部を壁穴に固定する必要がなくなり、電磁式リニア弁の製造工程を簡便にすることが可能となる。
(9)前記バンドが、
前記壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆うための円弧状の第1円弧部材と、前記バンドの前記第1円弧部材を除いた部分を構成する円弧状の第2円弧部材とが組み合わされてなり、
前記第1円弧部材と前記延出部材とが、一体化されている(8)項に記載の電磁式リニア弁。
前記壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆うための円弧状の第1円弧部材と、前記バンドの前記第1円弧部材を除いた部分を構成する円弧状の第2円弧部材とが組み合わされてなり、
前記第1円弧部材と前記延出部材とが、一体化されている(8)項に記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁においては、バンドを構成する2つの円弧状の部材のうちの一方と延出部材とが一体的に形成されており、電磁式リニア弁の製造工程を簡便にすることが可能となる。
(10)当該電磁式リニア弁が、
(a)前記軸線方向における前記壁穴である第1壁穴の位置とその軸線方向での同じ位置において前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する第2壁穴と、(b)前記延出部材である第1延出部材とは別の棒状の部材であって、一端部において前記第2壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す第2延出部材とを備え、前記第1壁穴に嵌合される前記第1延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合い、前記第2壁穴に嵌合される前記第2延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合う構造とされた(1)項に記載の電磁式リニア弁。
(a)前記軸線方向における前記壁穴である第1壁穴の位置とその軸線方向での同じ位置において前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する第2壁穴と、(b)前記延出部材である第1延出部材とは別の棒状の部材であって、一端部において前記第2壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す第2延出部材とを備え、前記第1壁穴に嵌合される前記第1延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合い、前記第2壁穴に嵌合される前記第2延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合う構造とされた(1)項に記載の電磁式リニア弁。
(11)前記第1延出部材の前記他端部の側の端面が、円弧状に切り欠かれた形状とされ、
前記第2延出部材の前記他端部の側の端面が、円弧状に切り欠かれた形状とされている(10)項に記載の電磁式リニア弁。
前記第2延出部材の前記他端部の側の端面が、円弧状に切り欠かれた形状とされている(10)項に記載の電磁式リニア弁。
(12)当該電磁式リニア弁が、
前記第1延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面と前記第2延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面とによって前記プランジャの軸線方向に延びる穴が形成されるとともに、その穴を前記ロッド部がクリアランスのある状態で挿通する構造とされた(11)項に記載の電磁式リニア弁。
前記第1延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面と前記第2延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面とによって前記プランジャの軸線方向に延びる穴が形成されるとともに、その穴を前記ロッド部がクリアランスのある状態で挿通する構造とされた(11)項に記載の電磁式リニア弁。
(13)前記第2壁穴が、前記プランジャの軸線を挟んで前記第1壁穴の反対側の位置に設けられた(10)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
(14)前記第2延出部材が、
それの前記一端部に形成されるとともに、その一端部が前記第2壁穴に嵌合された状態で前記ハウジングの外部と前記弁室とを連通する連通路を有し、
前記第2延出部材の前記一端部の側の端面への開口が、前記流出ポートとして機能する(10)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
それの前記一端部に形成されるとともに、その一端部が前記第2壁穴に嵌合された状態で前記ハウジングの外部と前記弁室とを連通する連通路を有し、
前記第2延出部材の前記一端部の側の端面への開口が、前記流出ポートとして機能する(10)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
(15)当該電磁式リニア弁が、
前記第1壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた(14)項に記載の電磁式リニア弁。
前記第1壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた(14)項に記載の電磁式リニア弁。
(16)前記バンドが、
前記第1壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆うための円弧状の第1円弧部材と、前記バンドの前記第1円弧部材を除いた部分を構成する円弧状の第2円弧部材とが組み合わされてなり、
前記第2円弧部材が、前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆う構造とされ、
前記第1円弧部材と前記第1延出部材とが一体化されるとともに、前記第2円弧部材と前記第2延出部材とが一体化されている(15)項に記載の電磁式リニア弁。
前記第1壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆うための円弧状の第1円弧部材と、前記バンドの前記第1円弧部材を除いた部分を構成する円弧状の第2円弧部材とが組み合わされてなり、
前記第2円弧部材が、前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆う構造とされ、
前記第1円弧部材と前記第1延出部材とが一体化されるとともに、前記第2円弧部材と前記第2延出部材とが一体化されている(15)項に記載の電磁式リニア弁。
上記7つの項に記載の電磁式リニア弁は、2本の延出部材が弁室内に延び出す構造とされている。したがって、2本の延出部材によって、高圧側の作動液路から弁室内に流入した作動液の流れを、さらに効果的に妨げることが可能となる。なお、上記7つの項に記載の電磁式リニア弁に関する説明は、1本の延出部材が弁室内に延び出す構造の電磁式リニア弁が記載されている項における説明と重複するため、省略する。
(17)前記弾性体が、
弾性力によって、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢する構造とされ、
当該電磁式リニア弁が、
前記コイルによる磁界の形成に伴って、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口から離間する方向の磁気力が生じる構造とされた(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
弾性力によって、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢する構造とされ、
当該電磁式リニア弁が、
前記コイルによる磁界の形成に伴って、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口から離間する方向の磁気力が生じる構造とされた(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
本項に記載の電磁式リニア弁は、常閉弁の電磁式リニア弁に限定されている。プランジャの自励振動の発生頻度は、一般的に、常開弁の電磁式リニア弁より、常閉弁の電磁式リニア弁のほうが高いことが知られている。したがって、本項に記載の電磁式リニア弁では、プランジャの自励振動の発生を抑制する効果が充分に活かされる。
以下、請求可能発明の実施例およびいくつかの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、本発明の実施例の電磁式リニア弁10を示す。本電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12および低圧側の作動液路14に接続されており、通常、弁体が弁座に着座することで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。一方、弁体が弁座から離れることで、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容し、作動液の流れを許容する際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変更することが可能とされている。
電磁式リニア弁10は、図1に示すように、中空形状のハウジング20と、そのハウジング20内に自身の軸線方向に移動可能に設けられたプランジャ22と、ハウジング20の外周に設けられた円筒状のコイル24とを備えている。ハウジング20は、上端部に設けられた円柱状のコア部としての固定コア26と、外壁面を構成する概して円筒状の円筒部材28と、その円筒部材28の下端部に固定的に嵌入された有蓋円筒状の弁部材30とを有している。固定コア26と円筒部材28とは、強磁性材料により形成されており、それら固定コア26と円筒部材28とは、非磁性材料により形成された円筒状のスリーブ32を介して、離間した状態で連結されている。
ハウジング20の内部は、区画部としての弁部材30によって、第1液室34と第2液室36とに区画されており、第1液室34には、プランジャ22が設けられている。第2液室36はハウジング20の下端面に開口しており、その流入ポートとして機能する開口に高圧側の作動液路12が接続されている。また、弁部材30の蓋部には軸線方向に貫通する貫通穴38が形成されており、第1液室34と第2液室36とを連通している。その貫通穴38の上方の開口40はテーパ状に形成され、その開口40が弁座として機能している。
また、プランジャ22は、強磁性材料により形成された円柱形状の本体部としてのプランジャ本体50と、そのプランジャ本体50の下端面に設けられたロッド部としてのロッド部材52とを有している。プランジャ本体50の外径は、ハウジング20の円筒部材28の内径より僅かに小さくされており、プランジャ22はハウジング20内を軸線方向に円滑に移動できるようになっている。プランジャ本体50の下端面には、有底穴54が形成されており、その有底穴54に、ロッド部材52の上端部が固定的に嵌合されている。ロッド部材52の下端は、球状とされており、弁部材30に形成された貫通穴38の開口40と向かい合うようにされている。そのロッド部材52の下端は、その開口40に着座可能とされており、弁体として機能するものとされている。その弁体として機能するロッド部材52の下端が、弁座として機能する開口40に着座することで、貫通穴38が塞がれるのである。
プランジャ本体50の上端面には有底穴56が形成されており、その有底穴56にスプリング58が挿入されている。スプリング58の上端部はプランジャ本体50の上端面から突出しており、スプリング58は、固定コア26と有底穴56の底面とによって圧縮された状態で配設されている。このため、プランジャ22は、弾性体としてのスプリング58の弾性力によって固定コア26から離れる方向に付勢されている。つまり、弁体として機能するロッド部材52の下端が弁座として機能する開口40に接近する方向に付勢されている。なお、有底穴56には、スプリング58に囲まれるようにして棒状のストッパ60が挿入されており、そのストッパ60によって、プランジャ22の上方への移動量が制限されている。
また、第1液室34は、プランジャ22によって、プランジャ本体部50の上端面と固定コア26の下端面との間のばね室62と、プランジャ本体部50の下端面と弁部材30の上端面との間の弁室64とに区画されている。それらばね室62と弁室64とは、プランジャ本体50と円筒部材28との間のクリアランスを介して連通されているが、そのクリアランスは比較的狭いことから、プランジャ本体50の外周面には軸線方向に延びるようにして面取部66が形成されている。このプランジャ本体50の面取部66と円筒部材28との間を介して、ばね室62と弁室64との間を作動液が、比較的多くの量流れることが可能とされている。
その弁室64とハウジング20の外部とを連通するように円筒部材28に2つの壁穴70,72が形成されている。(それら2つの壁穴70,72を区別するべく、図1での左側に位置する壁穴を第1壁穴70と言い、右側に位置する壁穴を第2壁穴72と言う場合がある。)それら第1壁穴70と第2壁穴72とは、プランジャ22の軸線を中心に対称的に形成されており、第1壁穴70には、丸棒状のプラグ74が弁室64内に延び出すように嵌合されている。その延出部材であるプラグ74の軸線方向における中間部には、図1および、図1におけるA−A断面図である図2に示すように、プラグ74の径方向に延びるように貫通穴76が形成されており、その挿通部としての貫通穴76を、ロッド部材52がクリアランスのある状態で挿通している。なお、第1壁穴70に嵌合されるプラグ74の一端部には、大径部78が形成されており、その大径部78によってプラグ74の弁室64内への延出量が規定されている。
第2壁穴72の円筒部材28の外周面への開口には、低圧側の作動液路14が接続されており、その開口が流出ポートとして機能している。つまり、第2壁穴72は流出穴として機能している。流出ポートとして機能する第2壁穴72の開口と、第1壁穴70の円筒部材28の外周面への開口とを覆うように、円環状のフィルタ80が円筒部材28の外周面に固定的に嵌合されている。バンドとしてのフィルタ80は、樹脂製材料により一体形成されたものであり、プラグ74の一端部が挿入された状態の第1壁穴70の開口を塞ぐことで、そのプラグ74が第1壁穴70から抜け落ちることを防止している。なお、弁部材30の下端にも、フィルタ82が設けられており、そのフィルタ82によって、流入ポートとして機能する第2液室36の開口が覆われている。
また、円筒状のコイル24は、樹脂製の保持部材84によってハウジング20の外周部において保持されており、その保持部材84とともに、強磁性材料によって形成されたコイルハウジング86によって覆われている。そのコイルハウジング86は、固定コア26の外周面および、円筒部材28の外周面の概ね上半分を囲うようにして、ハウジング20の外周面に固定されており、コイル24による磁界の形成に伴って、磁束が、コイルハウジング86,固定コア26,円筒部材28,プランジャ本体50を流れるようになっている。
上述した構造によって、電磁式リニア弁10は、コイル24に電流が供給されていないときには、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止しており、コイル24に電流を供給することによって、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを許容するとともに、作動液の流れが許容される際の高圧側の作動液路12内の作動液の液圧と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧との差圧を制御可能に変化させる構造とされている。
詳しく説明すれば、コイル24に電流が供給されていない場合には、スプリング58の弾性力によって、ロッド部材52の先端部が高圧側の作動液路12に繋がる貫通穴38の開口40に着座しており、電磁式リニア弁10は、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れを禁止している。この際、弁体として機能するロッド部材52の先端には、高圧側の作動液路12内の作動液の液圧(以下、「高圧側作動液圧」という場合がある)と低圧側の作動液路14内の作動液の液圧(以下、「低圧側作動液圧」という場合がある)との差に基づく力F1が作用している。この圧力差に基づく力F1とスプリング58の弾性力F2とは互いに逆向きに作用するが、弾性力F2は圧力差に基づく力F1と比較してある程度大きくされているため、電磁式リニア弁10は、コイル24への電流非供給時には開弁しないようになっている。
一方、コイル24に電流が供給されると、磁界の形成に伴って、磁束が、コイルハウジング86,固定コア26,円筒部材28,プランジャ本体50を通過する。そして、ロッド部材52の先端部が貫通穴38の開口40から離間する方向にプランジャ22を移動させようとする磁気力が生じる。コイル24に電流が供給されて磁界が形成されている際に、プランジャ22には、圧力差に基づく力F1と磁気力によってプランジャ22が上方に付勢される力F3との和と、スプリング58の弾性力F2とが互いに逆向きに作用する。この際、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より大きい間は、ロッド部材52の先端が開口40から離間し、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14へ作動液が流れる。そして、高圧の作動液が低圧側の作動液路14へ流れることで、低圧側作動液圧が増加し、圧力差に基づく力F1が減少する。その圧力差に基づく力F1が減少することで、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなれば、電磁式リニア弁10は閉弁され、高圧側の作動液路12から低圧側の作動液路14への作動液の流れが阻止される。このため、低圧側作動液圧は、圧力差に基づく力F1と磁気力による付勢力F3との和が、弾性力F2より小さくなった時点の低圧側作動液圧に維持される。つまり、コイル24への通電量を制御することで、低圧側作動液圧と高圧側作動液圧との圧力差を制御することが可能となり、低圧側作動液圧を目標とする作動液圧まで増加させることが可能となっている。
上述したように、電磁式リニア弁10は、プランジャ22を上方に付勢する力と下方に付勢する力とのバランスを制御することで、低圧側作動液圧と高圧側作動液圧との圧力差を制御するものであり、プランジャ22を上方に付勢する力と下方に付勢する力とは同じぐらいの大きさとなることがある。また、そのプランジャ22は、スプリング58によってハウジング20内に弾性支持されていることから、プランジャ22がそのスプリング58のばね定数に依拠した固有の振動数で振動する問題、いわゆる、プランジャ22の自励振動の問題がある。自励振動の発生要因としては、プランジャが設けられる液室内の作動液の液圧の不均一、流入ポートからハウジング内へ勢いよく流入する作動液のプランジャへの作用等、種々の要因が考えられている。
本電磁式リニア弁10では、流入ポートから第2液室36,貫通穴38等を介して作動液が流入する弁室64内に、プランジャ22の径方向に延びるようにプラグ74が配置されており、そのプラグ74によって、弁室64内に流入した作動液がプランジャ本体50に作用し難くされている。従来の電磁式リニア弁では、そのようなプラグは弁室内に配置されておらず、弁室内に勢いよく流入した作動液が、プランジャを押し上げようとする方向にプランジャ本体に作用し、プランジャの自励振動が生じる場合がある。本電磁式リニア弁10では、弁室64内に流入した作動液の上方への流れが、プラグ74によって妨げられるため、プランジャ22の自励振動の発生を抑制することが可能となっている。
また、例えば、プランジャ22が設けられる第1液室34内のばね室62に気泡が入り込むと、そのばね室62内の作動液の液圧と弁室64内の作動液の液圧とが異なることになり、プランジャ22の自励振動が生じ易くなる。本電磁式リニア弁10では、弁室64内に流入した作動液は、図3の実線矢印に示すように、プラグ74によって第2壁穴72に導かれ易くなっており、弁室64への作動液の流入に伴って、弁室64内に気泡が生じた場合であっても、その気泡は第2壁穴72から低圧側の作動液路14に流れ易くされている。また、例えば、気泡がばね室62内に入り込んでしまっても、ばね室62内の気泡が、図3の点線矢印に示すように、プランジャ本体50の面取部66とハウジング20の内周面との間を介して弁室64に流れ、そして、第2壁穴72から低圧側の作動液路14に流れ易くされている。したがって、本電磁式リニア弁10では、プランジャ22の設けられている第1液室34内に気泡が留まり難くされており、プランジャ22の自励振動が生じ難くなっている。
上記電磁式リニア弁10においては、プラグ74をハウジング20に組付ける場合には、プラグ74の貫通穴76にプランジャ22のロッド部材52を挿通させる必要があるため、ハウジング20内にプランジャ22を配設する前にプラグ74をハウジング20に組付けなければならない。変形例の電磁式リニア弁では、プラグの先端から貫通穴までプラグの軸線方向に延びるようにしてスリットが形成されており、ハウジング内にプランジャを配設した後でもプラグをハウジングに組付けることができるようになっている。変形例の電磁式リニア弁は、プラグを除いて、上記電磁式リニア弁10と同様の構成とされているため、変形例の電磁式リニア弁の説明については、図1におけるA−A断面図に相当する図のみを用い、プラグを中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
変形例の電磁式リニア弁90においては、図4に示すように、ハウジング20に形成された第1壁穴70に嵌合されたプラグ92には、プランジャ20のロッド部材52を挿通させるための貫通穴94が形成されており、その貫通穴94からプラグ92の先端部にわたって、プラグ92の軸線方向に延びるようにスリット96が形成されている。プラグ92は、樹脂製材料により形成されており、ある程度変形しても元の形状に戻るものとされている。このため、プラグ92をハウジング20に組付ける際に、第1液室34内にプランジャ22が配設された状態のハウジング20の外部から第1壁穴70にプラグ92を挿入し、ロッド部材52によってスリット96を開くとともに、そのスリット96を開いた状態でプラグ92をハウジング内に押し込むことで、ロッド部材52をスリット96内を通過させて貫通穴94内に位置させることが可能となる。
また、ハウジング内にプランジャを配設した後にプラグをハウジングに組付けることが可能な電磁式リニア弁としては、例えば、2つのプラグを第1壁穴と第2壁穴とに嵌合し、それら2つのプラグの端面によって穴を形成し、その穴にロッド部材を挿通させる構造のものが考えられる。そのような構造の電磁式リニア弁を、第2の変形例の電磁式リニア弁として以下に説明する。第2の変形例の電磁式リニア弁は、プラグを除いて、上記電磁式リニア弁10と略同様の構成であるため、プラグを中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
第2の変形例の電磁式リニア弁100においては、図5に示すように、ハウジング20に形成された第1壁穴70には、弁室64内に延び出すように第1延出部材としての第1プラグ102が嵌合されており、第2壁穴72には、弁室64内に延び出すように第2延出部材としての第2プラグ104が嵌合されている。第1プラグ102の先端部の側の端面と、第2プラグ104の先端部の側の端面とは、それぞれ、図5におけるB−B断面図である図6に示すように、円弧状に切り欠かれており、それら2つのプラグ102,104の端面によって、プランジャ22の軸線方向に延びるような穴が形成されている。そして、その穴にプランジャ22のロッド部材52が挿通している。また、第2壁穴72に嵌合された第2プラグ104の一端部には、図5および図5におけるC−C断面図である図7に示すように、第2プラグ104の軸線方向に延びるように切欠部106が形成されており、その切欠部106によって、弁室64と低圧側の作動液路14とが連通されている。つまり、その切欠部106が連通路として機能するとともに、第2壁穴の外周面への開口が流出ポートとして機能している。このような構造の電磁式リニア弁によっても、ハウジング内にプランジャを配設した後にプラグをハウジングに組付けることが可能である。
また、上述した電磁式リニア弁10,90,100は、プラグに形成された貫通穴をロッド部材が挿通する構造とされているが、プラグの端面に溝を形成し、その溝内をロッド部材が挿通する構造の電磁式リニア弁であっても、プランジャの自励振動を抑制することは可能である。そのような構造の電磁式リニア弁を、第3の変形例の電磁式リニア弁として以下に説明する。第3の変形例の電磁式リニア弁は、上記第2の変形例の電磁式リニア弁100から第2プラグ104を取り外したものと略同様の構成とされているため、第3の変形例の電磁式リニア弁の説明については、図5におけるB−B断面図に相当する図のみを用い、第1プラグを中心に説明し、同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
第3の変形例の電磁式リニア弁110においては、図8に示すように、第1壁穴70に上記第1プラグ102と略同形状のプラグ112が嵌合されており、第2壁穴72には何も嵌合されていない。プラグ112の先端部の側の端面には、プラグ112の径方向に延びるようにして挿通部としての溝114が形成されており、その溝114内をロッド部材52が挿通している。また、第1壁穴70と第2壁穴72とを覆う円環状のフィルタ116は、2つの部材が組み合わされて形成されるものであり、第1壁穴70を覆うための第1円弧部材118と、第2壁穴72を覆うための第2円弧部材120とにより構成されている。それら2つの部材118,120は、それぞれ、樹脂性とされており、延出部材としてのプラグ112も樹脂性とされている。第1円弧部材118とプラグ112とは、樹脂製材料により一体形成されており、ハウジング20にプラグ112を組付ける際には、一体形成された第1円弧部材118とプラグ112とをハウジング20に取付け、そして、第1円弧部材118の両端部と第2円弧部材120の両端部とが固着されるようになっている。第3の変形例の電磁式リニア弁110では、ロッド部材52の外周部の全てをプラグ112によって囲まれてはいないが、弁室64内に流入した作動液の上方への流れが、プラグ112によってある程度妨げられるようになっており、プランジャ22の自励振動の発生を抑制することが可能となっている。
また、上記第3の変形例の電磁式リニア弁110においては、第2壁穴72に第2プラグは嵌合されていないが、例えば、図9に示すように、第2壁穴72に上記第2プラグ104と略同形状の第2プラグ122を嵌合するとともに、その第2プラグ122と第2円弧部材120とを樹脂製材料により予め一体形成しておいてもよい。
10:電磁式リニア弁 20:ハウジング 22:プランジャ 24:コイル 30:弁部材(区画部) 34:第1液室 36:第2液室(流出ポート) 38:貫通穴 40:開口(弁座) 50:プランジャ本体(本体部) 52:ロッド部材(ロッド部)(弁体) 58:スプリング(弾性体) 64:弁室 70:壁穴(第1壁穴) 72:壁穴(第2壁穴)(流出穴)(流出ポート) 74:プラグ(延出部材) 76:貫通穴(挿通部)(穴) 80:フィルタ(バンド) 90:電磁式リニア弁 92:プラグ(延出部材) 94:貫通穴(挿通部)(穴) 96:スリット 100:電磁式リニア弁 102:第1プラグ(第1延出部材) 104:第2プラグ(第2延出部材) 106:切欠部(連通路) 110:電磁式リニア弁 112:プラグ(延出部材) 114:溝(挿通部) 116:フィルタ(バンド) 118:第1円弧部材 120:第2円弧部材 122:第2プラグ(第2延出部材)
Claims (10)
- 内部を第1液室と第2液室とに区画する区画部と、前記第1液室と前記第2液室とを連通するように前記区画部を貫通する貫通穴とを有し、作動液が充填されるハウジングと、
(a)本体部と、(b)その本体部の外径より小さい外径を持ち、その本体部の一端部から延び出すとともに、先端部が弁体として機能するロッド部とを有し、弁座として機能する前記貫通穴の前記第1液室への開口に前記ロッド部の前記先端部が着座可能、かつ、軸線方向に移動可能に前記第1液室内に設けられたプランジャと、
前記ハウジングに設けられ、前記第1液室に連通する流出ポートと、
前記ハウジングに設けられ、前記第2液室に連通する流入ポートと、
前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向と前記開口から離間する方向との一方に前記プランジャを付勢する弾性体と、
前記ハウジングの周りに設けられ、前記弾性体が前記プランジャを付勢する方向とは反対の方向に前記プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルと
を備えた電磁式リニア弁であって、
前記第1液室が、
前記本体部と前記区画部とによって区画されて、前記ロッド部の周りに存在する弁室を含んで構成され、
当該電磁式リニア弁が、
(A)前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する壁穴と、(B)一端部において前記壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す棒状の延出部材とを備えた電磁式リニア弁。 - 前記延出部材が、前記ロッド部が挿通する挿通部を有し、
その挿通部が、前記延出部材を貫通する穴を有する請求項1に記載の電磁式リニア弁。 - 前記延出部材が、
前記挿通部の前記穴から、前記壁穴に嵌合される前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面まで前記延出部材の軸線方向に延びるようにして形成されるとともに、前記プランジャが前記第1液室内に設けられた状態のハウジングへの前記延出部材の組付け時に前記プランジャの前記ロッド部によって開かれるスリットを有する請求項2に記載の電磁式リニア弁。 - 当該電磁式リニア弁が、
前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口するとともに、前記ハウジングの外周面への開口が前記流出ポートとして機能する流出穴を備え、
その流出穴が、前記プランジャの軸線を挟んで前記壁穴の反対側の位置に設けられた請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。 - 当該電磁式リニア弁が、
前記壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記流出ポートとして機能する前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた請求項4に記載の電磁式リニア弁。 - 当該電磁式リニア弁が、
(a)前記軸線方向における前記壁穴である第1壁穴の位置とその軸線方向での同じ位置において前記ハウジングの壁をそのハウジングの径方向に貫通し、前記弁室と前記ハウジングの外周面とに開口する第2壁穴と、(b)前記延出部材である第1延出部材とは別の棒状の部材であって、一端部において前記第2壁穴に嵌合されるとともに、前記弁室内に延び出す第2延出部材とを備え、前記第1壁穴に嵌合される前記第1延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合い、前記第2壁穴に嵌合される前記第2延出部材の前記一端部とは反対側の端部である他端部の側の端面と前記ロッド部の外周面とが向かい合う構造とされた請求項1に記載の電磁式リニア弁。 - 前記第1延出部材の前記他端部の側の端面が、円弧状に切り欠かれた形状とされ、
前記第2延出部材の前記他端部の側の端面が、円弧状に切り欠かれた形状とされるとともに、
当該電磁式リニア弁が、
前記第1延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面と前記第2延出部材の前記他端部の側の円弧状に切り欠かれた端面とによって前記プランジャの軸線方向に延びる穴が形成されるとともに、その穴を前記ロッド部がクリアランスのある状態で挿通する構造とされた請求項6に記載の電磁式リニア弁。 - 前記第2壁穴が、前記プランジャの軸線を挟んで前記第1壁穴の反対側の位置に設けられるとともに、
前記第2延出部材が、
それの前記一端部に形成されるとともに、その一端部が前記第2壁穴に嵌合された状態で前記ハウジングの外部と前記弁室とを連通する連通路を有し、
前記第2延出部材の前記一端部の側の端面への開口が、前記流出ポートとして機能する請求項6または請求項7に記載の電磁式リニア弁。 - 当該電磁式リニア弁が、
前記第1壁穴の前記ハウジングの外周面への開口と前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口とを覆うようにして前記ハウジングの外周面に固定されるとともに、少なくとも前記第2壁穴の前記ハウジングの外周面への開口を覆う部分が作動液をろ過するためのフィルタとして機能する円環状のバンドを備えた請求項8に記載の電磁式リニア弁。 - 前記弾性体が、
弾性力によって、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口に接近する方向に前記プランジャを付勢する構造とされ、
当該電磁式リニア弁が、
前記コイルによる磁界の形成に伴って、前記ロッド部の前記先端部が前記貫通穴の前記開口から離間する方向の磁気力が生じる構造とされた請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の電磁式リニア弁。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20130305 |