JP2012127397A - 摩擦クラッチ、ステアリング入力装置及び動力伝達装置 - Google Patents

摩擦クラッチ、ステアリング入力装置及び動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うことができる摩擦クラッチ、及び、該摩擦クラッチが用いられるステアリング入力装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る摩擦クラッチ100は、相対回転可能なハウジング20及び入力軸10のそれぞれに係合して、軸方向に交互に配置された複数のアウター・クラッチ板110及びインナー・クラッチ板120と、前記アウター・クラッチ板110と前記インナー・クラッチ板120との間で一方に固定され、他方に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる摩擦摺動材130とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、操舵フィーリング調整のための入力などに供される摩擦クラッチ、及び、該摩擦クラッチが用いられるステアリング入力装置並びに動力伝達装置に関する。
従来の摩擦クラッチとして、例えば特許文献1に記載のものがある。この摩擦クラッチは、クラッチドラムに係合するメーティングプレート(アウター・クラッチ板)と出力軸に係合する摩擦板(インナー・クラッチ板)とを備え、摩擦板にペーパー系の摩擦材が設けられている。
これらメーティングプレート及び摩擦板をピストンの油圧制御等によって締結することで、クラッチドラム及び出力軸間のトルク伝達を行わせることができる。
しかしながら、上述した従来の摩擦クラッチでは、伝達トルクの制御をピストンの油圧制御等によって行わなければならず、装置が大型化し、また、微細な制御には限界があった。
特開平8-247190号公報
解決しようとする問題点は、摩擦クラッチの装置が大型化すると共に微細な制御には限界があった点である。
本発明は、装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うことができる摩擦クラッチであって、相対回転可能な外側部材及び内側部材のそれぞれに係合して、軸方向に交互に配置された複数のアウター・クラッチ板及びインナー・クラッチ板と、前記アウター・クラッチ板と前記インナー・クラッチ板との間で一方に固定され、他方に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる摩擦摺動材と、を備えたことを最も主な特徴とする。
本発明では、上記構成であることによって、装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うことができる。
ステアリング入力装置の断面図である。(実施例1) (a)は、摩擦クラッチ100近傍を示す拡大断面図であり、(b)は、(a)のA−A断面図である。(実施例1) (a)は、摩擦摺動材130の構成を説明するための断面図(無電場時)であり、(b)は、摩擦摺動材130の構成を説明するための断面図(電場時)である。(実施例1) 変更例に係る摩擦クラッチ100近傍を示す拡大断面図である。(実施例1) 摩擦クラッチ200近傍を示す拡大断面図である。(実施例2) 変更例に係る摩擦クラッチ200近傍を示す拡大断面図である。(実施例2) 動力伝達装置の断面図である(実施例3)。 図7の動力伝達装置の正面図である(実施例3)。 その他の実施例に係る摩擦クラッチ近傍を示す拡大断面図である。
装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うという目的を、アウター・クラッチ板とインナー・クラッチ板との間で一方に固定され、他方に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる摩擦摺動材により実現した。
以下において、本発明の実施例1に係るステアリング入力装置について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)ステアリング入力装置の概略構成、(2)摩擦クラッチの構成、(3)作用・効果、(4)実施例1の変更例について説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)ステアリング入力装置の概略構成
まず、実施例1に係るステアリング入力装置1の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施例1に係るステアリング入力装置の断面図である。
図1に示すように、ステアリング入力装置は、例えば自動車等のステアリング・シャフトに連動構成されて回転に対する抵抗を入力するものである。このステアリング入力装置は、入力軸10と、ハウジング20と、ベアリングユニット30と、摩擦クラッチ100とを備えている。
入力軸10は、例えば炭素鋼等の金属からなり、ステアリング・シャフト(不図示)からの入力に伴って回転可能な軸である。この入力軸10は、ハウジング20内に設けられて、ハウジング20と相対回転可能な内側部材(つまり、ステアリング・シャフトに連動回転する軸)を構成する。
具体的には、入力軸10が、入力用のセレーション部10a、軸受嵌合部10b、10cを備えている。軸受嵌合部10b、10c間には、相対的に大径の大径部10dが設けられ、大径部10dの外周にスプライン10eが設けられている。
ハウジング20は、静止側に固定されて入力軸10と相対回転する。従って、ハウジング20は、入力軸10と相対回転可能な外側部材(つまり、固定側のカバー)を構成する。このハウジング20は、例えば樹脂やアルミ等の金属によって形成され、トップカバー21と、エンドカバー22と、連結カバー23とによって大略構成される。
トップカバー21及びエンドカバー22は、連結カバー23の両端に螺合により取り付けられている。トップカバー21には、挿通孔21aを介して入力軸10が挿通し、入力軸10は、セレーション部10aが外部に突出している。エンドカバー22には、挿通孔23aに対してグロメット40が取り付けられている。連結カバー23には、その内周に入力軸10のスプライン10eに対向してインナースプライン23aが設けられている。このハウジング20には、ベアリングユニット30を介して入力軸10が支持されている。
ベアリングユニット30は、ベアリング31,32と、ベアリングホルダ34,35とによって構成され、入力軸10をハウジング20側に回転自在に支持する。
ベアリング31,32は、入力軸10の軸受嵌合部10b、10c外周に嵌合すると共に大径部10dに軸方向内側で突き当てられている。このベアリング31,32は、ベアリングホルダ34,35に支持される。
ベアリングホルダ34,35は、ハウジング20側に取り付けられており、端壁部34a,35aと、軸受支持部34b、35bと、中間壁部34c、35cと、シール支持部34d、35dとを備えている。なお、ベアリングホルダ34,35は、略対称な構成となっているため、一方のベアリングホルダ34について説明し、他方のベアリングホルダ35については、対応付する符号を付して詳細な説明を省略する。
端壁部34aは、周回板状に形成されている。この端壁部34aは、ハウジング20のインナースプライン23aに隣接すると共にハウジング20の径方向に沿っている。
端壁部34aの外周部には、結合用のフランジ部34eが一体に設けられている。フランジ部34eは、ボルト36によりハウジング20の連結カバー23内周面に対して締結固定されている。
また、端壁部34aの外周部には、フランジ部34eとは異なる位置に変位部34fが設けられている。変位部34fは、傾斜部34gを介してハウジング20のインナースプライン23に対して離反している。なお、端壁部35aの傾斜部35gには、貫通孔35iが設けられている。
端壁部34aの内周部には、軸受支持部34bが一体に設けられている。
軸受支持部34bは、入力軸10と同心の筒状に形成されている。この軸受支持部34bは、端壁部34aから軸方向に突出しており、入力軸10の軸受嵌合部10cの外周側に配置されている。軸受支持部34bの内周には、ベアリング31が嵌合支持されている。この軸受支持部34bの先端部には、中間壁部34cが一体に設けられている。
中間壁部34cは、周回板状に形成されハウジング20の径方向に沿って配置されいる。この中間壁部34cは、ベアリング31の軸方向外側に突き当てられている。従って、中間壁部34cは、入力軸10の大径部10dと共にベアリング31を軸方向で支持している。
中間壁部34cの内周部には、シール支持部34dが一体に設けられている。
シール支持部34dは、入力軸10と同心の筒状であり、中間壁部34cから軸方向に突出している。シール支持部34dの先端は、ハウジング20のトップカバー21の内面に突き当てられている。このシール支持部34dの先端には、径方向に貫通形成された貫通孔34hが設けられている。シール支持部34dの内周には、入力軸10との間のオイルシール50が支持されている。
摩擦クラッチ100は、入力軸10の回転をハウジング20に伝達する。摩擦クラッチ100は、ベアリングホルダ34,35の端壁部34a,35bの間にスペーサー60を介して設けられ、且つ入力軸10とハウジング20(連結カバー23)との間に設けられる。
(2)摩擦クラッチの構成
次に、上述した摩擦クラッチ100の構成について、図面を参照しながら説明する。図2(a)は、実施例1に係る摩擦クラッチ100近傍を示す拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図3(a)は、実施例1に係る摩擦摺動材130の構成を説明するための断面図(無電場時)であり、図3(b)は、実施例1に係る摩擦摺動材130の構成を説明するための断面図(電場時)である。
図2に示すように、摩擦クラッチ100は、複数のアウター・クラッチ板110と、複数のインナー・クラッチ板120と、複数の摩擦摺動材130と、電力供給部142(図1参照)とを備える。
アウター・クラッチ板110は、外周側がハウジング20のインナースプライン23aにスプライン係合している。このアウター・クラッチ板110は、軸方向(方向SD)にインナー・クラッチ板120と交互に配置されている。
インナー・クラッチ板120は、内周側が入力軸10のスプライン10eにスプライン係合している。このインナー・クラッチ板120には、摩擦摺動材130が固定されている。摩擦摺動材130が固定されたインナー・クラッチ板120は、複数のアウター・クラッチ板110の各間において、背中合わせの対で介設される。
具体的には、各インナー・クラッチ板120は、相互に背中合わせの第1インナー・クラッチ板121と第2インナー・クラッチ板122とからなっている。
第1インナー・クラッチ板121と第2インナー・クラッチ板122とは、所定の範囲(例えば、0.25mm)離れて設けられる。例えば、第1インナー・クラッチ板121と第2インナー・クラッチ板122との間には、両者を付勢するバネなどが設けられていてもよい。
これらの第1及び第2インナー・クラッチ板121,122は、それぞれアウター・クラッチ板110に対向する第1インナー面121A,122Aを有している。
摩擦摺動材130は、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120との間で一方に固定され、他方に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる構成となっている。本実施例の通電制御は、後述する回転検出部140による回転検出に応じて、電力供給部142によって行われる。
実施例1では、図2(a)に示すように、摩擦摺動材130は、インナー・クラッチ板120がアウター・クラッチ板110に対向する面にのみに固定される。つまり、摩擦摺動材130は、上述した第1インナー面121Aに固定される第1摩擦摺動材131と、上述した第2インナー面122Aに固定される第2摩擦摺動材132とを備えている。
摩擦摺動材130(第1摩擦摺動材131及び第2摩擦摺動材132)の外周縁131a,132a又は内周縁131b,132bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板110の内周110A又はインナー・クラッチ板120の外周120Aと面一に形成される。なお、摩擦摺動材130の外周縁131a,132a又は内周縁131b,132bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板110の内周110A又はインナー・クラッチ板120の外周120Aよりも径方向(方向RD)に短くてもよい。
このような摩擦摺動材130への通電制御は、アウター・クラッチ板110及びインナー・クラッチ板120間での通電により行われる。図2(b)に示すように、アウター・クラッチ板110とハウジング20(連結カバー23)とのスプライン係合間(又は、インナー・クラッチ板120と入力軸10とのスプライン係合間)には、電気的な接触を接圧付勢する端子部150が介設されている。すなわち、端子部150は、例えば板ばねからなり、ハウジング20のインナースプライン23a内に固定されている。摩擦摺動材130への通電制御は、この端子部150を介して行われる。
摩擦摺動材130は、図3に示すように、電流が印加可能な粒子130A(例えば、有機無機複合型のER粒子(Electro-rheological))を含有させたエラストマ130B(例えば、シリコンゲル)である。
摩擦摺動材130は、電力(電場)が印加されることによって表面の粘着性が高速かつ可逆的に変化する。この特性を電気粘着効果(Electro-adhesive effect)と称する。より具体的には、エラストマ130Bを電極としてのアウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120とで挟み込み、さらにエラストマ130Bをインナー・クラッチ板120表面で滑りが生じないように物理的に接着している。
無電場時(図3(a)参照)において、表面に分散した低摩擦で滑り特性の良い粒子130Aが移動側のアウター・クラッチ板110(図3では左側)を支持するため、アウター・クラッチ板110をスライドした際に発生する摺動抵抗が低い。
一方で、摩擦摺動材130に電場が印加される(図3(b)参照)と、粒子130Aの沈み込み作用で粘着性の高いエラストマ130Bが変形して粒子130Aの周囲に集まり,移動側のアウター・クラッチ板110表面に接触して粘着する。
これにより、摩擦摺動材130を介してアウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120とが締結し、該アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120とが摩擦係合する。従って、入力軸10からの回転がハウジング20にトルク伝達される。
回転検出部140は、磁石140aと、エンコーダー140bとによって構成される。
磁石140aは、磁石ホルダー140cを介して入力軸10の端部内周に嵌合固定されている。この磁石140aに対向してエンコーダー140bが設けられている。
エンコーダー140bは、磁気式エンコーダーである。エンコーダー140bは、磁石140aの回転から入力軸10の回転を検出する。エンコーダー140bの配線は、ハウジング20の挿通穴23a及びグロメット40を介して外部に引き出されている。このエンコーダー140bは、エンコーダーベース140dを介してベアリングホルダ35に支持されている。
エンコーダーベース140dは、外周側に凸部140eが設けられている。この凸部140eは、ベアリングホルダ35の貫通孔35iに嵌合している。これにより、エンコーダーベース140dは、ベアリングホルダ35に固定されている。
電力供給部142は、回転検出部140の検出に応じた電力を摩擦摺動材130に供給する。この電力供給部142は、基板からなり、ベアリングホルダ35の変位部35fにボルト36によって締結固定されている。この電力供給部142は、端子部150に導通接続されている。電力供給部142の配線は、ハウジング20の挿通穴23a及びグロメット40を介して外部に引き出されている。
この電力供給部142は、例えば図示しないコントローラの制御により、車速や入力軸10の回転数等に応じて摩擦摺動材130に電力を供給し、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120との締結を行わせる。
(3)作用・効果
実施例1では、インナー・クラッチ板120に固定され、アウター・クラッチ板110に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる摩擦摺動材130が設けられる。これにより、従来の摩擦クラッチのように、伝達トルクの制御をピストンの油圧制御等によって行う必要がない。従って、装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うことができる。
つまり、本発明のステアリング入力装置では、装置の小型化を実現し、ステアリング・コラム周辺への配置を容易とするとともに、従来のようなピストンの油圧制御等によって行う場合と比べて、ステアリングの操舵フィーリングの調整を微細に行わせることができる。
実施例1では、摩擦摺動材130が固定されたインナー・クラッチ板120は、複数のアウター・クラッチ板110間において、背中合わせの対で介設され、摩擦摺動材130は、インナー・クラッチ板120がアウター・クラッチ板110に対向する面にのみに固定される。
これにより、1つのインナー・クラッチ板120の両面に摩擦摺動材130が固定される場合と比べて、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120との間において、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120との締結の調整が容易となる。
従って、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120とを締結する性能の安定化、つまり、より微細な制御を行うことができる。
実施例1では、摩擦摺動材130は、通電制御により摩擦係数を変化させるエラストマ130Bを含む。これにより、構造の簡素化を実現しつつ、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120とを締結する性能の安定化をも実現できる。
実施例1では、アウター・クラッチ板110とハウジング20(連結カバー23)とのスプライン係合間(又は、インナー・クラッチ板120と入力軸10とのスプライン係合間)には、電気的な接触を接圧付勢する端子部150が介設されている。これにより、アウター・クラッチ板110の導通接続性を確保することができながら、アウター・クラッチ板110とハウジング20とのガタツキを防止できる。
(4)(実施例1の変更例)
次に、実施例1の変更例について、図面を参照しながら説明する。図4は、実施例1の変更例に係る摩擦クラッチ100近傍を示す拡大断面図である。
上述した実施例1では、摩擦摺動材130の外周縁131a,132a又は内周縁131b,132bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板110の内周110A又はインナー・クラッチ板120の外周120Aと面一に形成される。
これに対して、実施例1の変更例では、図4に示すように、摩擦摺動材130の外周縁131a,132a又は内周縁131b,132bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板110の内周110A又はインナー・クラッチ板120の外周120Aよりも径方向(方向RD)へ突出形成されている。
実施例1の変更例によれば、絶縁性を確保し、アウター・クラッチ板110とインナー・クラッチ板120との間でショートすることを防止できる。
以下において、本発明に係る実施例2に係る摩擦クラッチ200について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)摩擦クラッチの構成、(2)作用・効果、(3)実施例2の変更例について、説明する。なお、上述した実施例2に係る摩擦クラッチ100と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
(1)摩擦クラッチの構成
まず、実施例2に係る摩擦クラッチ200の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、実施例2に係る摩擦クラッチ200近傍を示す拡大断面図である。
図5に示すように、摩擦クラッチ200は、複数のアウター・クラッチ板210と、複数のインナー・クラッチ板220と、複数の摩擦摺動材230と、実施例1と同様の構成である回転検出部140及び電力供給部142とを備える。
アウター・クラッチ板210及びインナー・クラッチ板220は、実施例1同様に交互に配置されている。本実施例では、アウター・クラッチ板210を相互に背中合わせの第1アウター・クラッチ板211と第2アウター・クラッチ板212とで形成し、インナー・クラッチ板220を単一のプレートで形成している。
第1及び第2のアウター・クラッチ板211,212は、それぞれインナー・クラッチ板220に対向する第1アウター面211A及び第2アウター面212Aを備えている。
本実施例の摩擦摺動材230は、アウター・クラッチ板210に固定される。具体的には、摩擦摺動材230は、第1アウター面211Aに固定される第1摩擦摺動材231と、及び第2アウター面212Aに固定される第2摩擦摺動材232とを備える。
摩擦摺動材230(第1摩擦摺動材231及び第2摩擦摺動材232)の外周縁231a,232a又は内周縁231b,232bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板210の内周210A又はインナー・クラッチ板220の外周220Aと面一に形成される。なお、摩擦摺動材230の外周縁231a,232a又は内周縁231b,232bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板210の内周210A又はインナー・クラッチ板220の外周220Aよりも径方向(方向RD)に短くてもよい。
回転検出部140は、入力軸10の回転を検出し、電力供給部142は、回転検出に応じて、アウター・クラッチ板210やインナー・クラッチ板220を介して摩擦摺動材230(第1摩擦摺動材231及び第2摩擦摺動材232)に電力を供給する。
(2)作用・効果
実施例2では、上述した実施例1と同様に、従来の摩擦クラッチのような伝達トルクの制御をピストンの油圧制御等によって行う必要がないため、装置の小型化を実現するとともに、より微細な制御を行うことができる。
(3)実施例2の変更例
次に、実施例2の変更例について、図面を参照しながら説明する。図6は、実施例2の変更例に係る摩擦クラッチ200近傍を示す拡大断面図である。
上述した実施例2では、摩擦摺動材230の外周縁231a,232a又は内周縁231b,232bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板210の内周210A又はインナー・クラッチ板220の外周220Aと面一に形成される。
これに対して、実施例2の変更例では、図6に示すように、摩擦摺動材230の外周縁231a,232a又は内周縁231b,232bの少なくとも一方は、アウター・クラッチ板210の内周210A又はインナー・クラッチ板220の外周220Aよりも径方向(方向RD)へ突出形成されている。
実施例2の変更例によれば、絶縁性を確保し、アウター・クラッチ板210とインナー・クラッチ板220との間でショートすることを防止できる。
以下において、本発明に係る実施例3に係る動力伝達装置1Bについて、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)動力伝達装置の概略構成、(2)作用・効果について説明する。なお、上述した実施例1と対応する構成は、同符号を或いは同符号にBを付して重複した説明を省略する。
(1)動力伝達装置の概略構成
まず、実施例3に係る動力伝達装置1Bの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、実施例3に係る動力伝達装置の断面図、図8は、図7の動力伝達装置の正面図である。
図7及び図8の動力伝達装置1Bは、例えば四輪駆動車のトランスファとリヤ・デファレンシャルとの間に配置され、トランスファ側の入力回転軸(不図示)及びリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸(不図示)間での動力の伝達を断続する。
すなわち、動力伝達装置1Bでは、上記実施例1と同様の摩擦クラッチ100を、入力軸10B及びハウジング20B間に備えている。入力軸10B及びハウジング20Bは、それぞれトランスファ側の入力回転軸及びリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸に連動連結されて一体回転するようになっている。
このため、動力伝達装置1Bでは、ハウジング20Bがベアリング(不図示)を介して静止側に回転自在に支持されている。このハウジング20Bは、実施例1同様、トップカバー21Bと、エンドカバー22Bと、連結カバー23Bとによって大略構成されている。
トップカバー21B及びエンドカバー22Bは、連結カバー23Bの両端にボルト36Bによって締結固定されている。締結は、例えばハウジング20Bの周方向で所定間隔毎に行われ、本実施例では、6箇所で締結が行われている。
トップカバー21Bには、軸心部の挿通孔21Baを介して入力軸10Bが挿通し、入力軸10Bは、セレーション部10Baが外部に突出している。エンドカバー22Bには、その外側面の軸心部に出力軸11が一体に設けられている。出力軸11の先端外周には、セレーション部11aが設けられ、このセレーション部11aを介してリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸が一体回転自在に連動連結される。
出力軸11の基端側外周には、絶縁リング13を介してスリップリング15が設けられている。スリップリング15の外周には、カーボンブラシ17bが摺接している。カーボンブラシ17bは、電線17の先端にブラシホルダ17aを介して設けられている。
スリップリング15の内周には、絶縁リング13、出力軸11及びエンドカバー20Bを貫通する配線19の一端が接続されている。配線19の他端は、エンコーダー140b及び電力供給部142に接続されている。
このハウジング20Bと入力軸10Bとの間には、上記実施例1と同様、摩擦クラッチ100の他に、入力軸10Bを支持するためのベアリングユニット30Bが配置されている。本実施例のベアリングユニット30Bは、実施例1のベアリングユニット30と略同一構成である。
ただし、ベアリングユニット30Bでは、ベアリングユニット30の一方のベアリングホルダ34を省略して、トップカバー21Bに軸受支持部34Bb及びシール支持部34Bdが設けられている。
軸受支持部34Bbは、周回状の凹部からなり、挿通孔21Ba内周に形成されている。軸受支持部34Bbの軸方向外側には、挿通孔21Baの内周によってシール支持部34Bdが区画形成されている。軸受支持部34Bbとシール支持部34Bdとの間には、ベアリング31の突き当て用の段部34Bcが設けられている。
軸受支持部34Bbの外周側には、ハウジング20Bのトップカバー21Bの内側面により、インナースプライン23Baに隣接する端壁部34Baが形成されている。
(2)作用・効果
実施例3では、通電制御によって摩擦クラッチ100を断続制御、つまりトランスファとリヤ・デファレンシャルとの間の動力伝達を断続制御する。
通電制御が行われていない場合は、摩擦クラッチ100が締結されずに動力伝達装置1が動力伝達状態にはない。従って、トランスファ側の入力回転軸から動力伝達装置1の入力軸10Bに入力された回転動力は、摩擦クラッチ100で遮断されてリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸へ伝達されることはない。
一方、通電制御が行われると、摩擦クラッチ100が締結されて動力伝達装置1が動力伝達状態となる。従って、トランスファ側の入力回転軸から動力伝達装置1の入力軸に入力された回転動力は、摩擦クラッチ100、ハウジング20B、出力軸11を介してリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸に伝達される。
かかる本実施例の動力伝達装置1Bにおいても、摩擦クラッチ100を備えていることにより、装置の小型化を実現すると共により微細な制御を行うことができる等の上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
[実施例3の変更例]
実施例3では、上記実施例1と同一の摩擦クラッチ100を備えていたが、これに代えて実施例1の変更例と同一の摩擦クラッチや実施例2及びその変更例の摩擦クラッチ200を備えていてもよい。
また、入力軸10B及びハウジング20Bは、上記とは逆に、それぞれリヤ・デファレンシャル側の出力回転軸及びトランスファ側の入力回転軸に連動連結されて一体回転する構成としてもよい。
[その他の実施例]
上述したように、本発明の実施例を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施例は、次のように変更することができる。具体的には、ステアリング入力装置は、自動車のステアリング装置(不図示)に使用されるトルク伝達手段として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ブレーキやダンパ装置に使用されるトルク伝達手段であってもよい。
また、実施例では、摩擦摺動材130(摩擦摺動材230)では、第1摩擦摺動材131(第1摩擦摺動材231)と第2摩擦摺動材132(第2摩擦摺動材232)とが別体であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第1摩擦摺動材と第2摩擦摺動材とが一体に形成されていてもよい。
また、実施例1(実施例3)では、インナー・クラッチ板120が第1及び第2インナー・クラッチ板121,122とを備え、実施例2では、アウター・クラッチ板210が第1及び第2のアウター・クラッチ板211,212とを備えるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、アウター・クラッチ板310及びインナー・クラッチ板320がれぞれ1つであってもよい。この場合、摩擦摺動材330は、アウター・クラッチ板310又はインナー・クラッチ板320の何れか一方に固定されていればよい。
また、実施形態では、回転検出部140は、磁気式エンコーダーであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、センサ式エンコーダーであってもよいことは勿論である。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…ステアリング入力装置、10…入力軸、20…ハウジング、21…トップカバー、22…エンドカバー、23…連結カバー、30…ベアリングユニット、31,32…ベアリング、34,35…ベアリングホルダ、40…グロメット、50…オイルシール、60…スペーサー、100,200…摩擦クラッチ、110,210,310…アウター・クラッチ板、120,220,320…インナー・クラッチ板、130,230,330…摩擦摺動材、130A…粒子、130B…エラストマ、130C…電極、131…第1摩擦摺動材、132…第2摩擦摺動材、140…回転検出部、140A…磁石、140B…エンコーダー、140C…磁石ホルダー、140D…エンコーダーベース、142…電力供給部

Claims (7)

  1. 相対回転可能な外側部材及び内側部材のそれぞれに係合し、軸方向に交互に配置された複数のアウター・クラッチ板及びインナー・クラッチ板と、
    前記アウター・クラッチ板と前記インナー・クラッチ板との間で一方に固定され、他方に摩擦摺動しながら通電制御に応じて摩擦係数を変化させる摩擦摺動材と、
    を備えたことを特徴とする摩擦クラッチ。
  2. 請求項1に記載の摩擦クラッチであって、
    前記摩擦摺動材が固定された前記アウター・クラッチ板と前記インナー・クラッチ板は、前記インナー・クラッチ板又は前記アウター・クラッチ板の何れかの間において、背中合わせの対で介設され、
    前記摩擦摺動材は、前記アウター・クラッチ板又は前記インナー・クラッチ板が前記インナー・クラッチ板又は前記アウター・クラッチ板に対向する面にのみに固定される、
    ことを特徴とする摩擦クラッチ。
  3. 請求項1又は2に記載の摩擦クラッチであって、
    前記摩擦摺動材は、通電制御により摩擦係数を変化させるエラストマを含む、
    ことを特徴とする摩擦クラッチ。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の摩擦クラッチであって、
    前記摩擦摺動材への通電制御は、前記アウター・クラッチ板及び前記インナー・クラッチ板間での通電により行われ、
    前記摩擦摺動材の外周縁又は内周縁の少なくとも一方は、アウター・クラッチ板の内周又は前記インナー・クラッチ板の外周よりも径方向へ突出形成された、
    ことを特徴とする摩擦クラッチ。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の摩擦クラッチであって、
    前記摩擦摺動材への通電制御は、前記アウター・クラッチ板及び前記インナー・クラッチ板間での通電により行われ、
    前記アウター・クラッチ板は、前記外側部材にスプライン係合し、
    前記インナー・クラッチ板は、前記内側部材にスプライン係合し、
    前記スプライン係合間には、電気的な接触を接圧付勢する導電性弾性体が介設される、
    ことを特徴とする摩擦クラッチ。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の摩擦クラッチが用いられるステアリング入力装置であって、
    前記外側部材は、固定側のカバーであり、
    前記内側部材は、ステアリング・シャフトに連動回転する軸である、
    ことを特徴とするステアリング入力装置。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の摩擦クラッチが用いられ入力回転軸及び出力回転軸間で動力の伝達を断続する動力伝達装置であって、
    前記外側部材は、前記入力回転軸及び出力回転軸の一方と一体回転するカバーであり、
    前記内側部材は、前記入力回転軸及び出力回転軸の他方と一体回転する軸である、
    ことを特徴とする動力伝達装置。
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