JPH10292829A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

駆動力伝達装置

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JPH10292829A
JPH10292829A JP9337749A JP33774997A JPH10292829A JP H10292829 A JPH10292829 A JP H10292829A JP 9337749 A JP9337749 A JP 9337749A JP 33774997 A JP33774997 A JP 33774997A JP H10292829 A JPH10292829 A JP H10292829A
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electromagnet
driving force
bearing
rotating member
transmission device
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Akihiko Ikeda
暁彦 池田
Shinji Ogawa
真治 小川
Koichi Suzuki
浩一 鈴木
Mitsuru Oba
充 大葉
Satoshi Ashida
敏 芦田
Akiyuki Kanou
盟之 加納
Toshibumi Sakai
俊文 酒井
Hiroshi Takuno
博 宅野
Kunihiko Suzuki
邦彦 鈴木
Naoyuki Kokubo
直之 小久保
Masayuki Shimada
正幸 島田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギャップの精度を可及的に向上させ、かつ、
軸線方向における部品の配置スペースを抑制することの
可能な駆動力伝達装置を提供する。 【解決手段】 カップリングケース7およびシャフト2
0と、カップリングケース7とシャフト20とのトルク
伝達を制御するパイロットクラッチ49と、パイロット
クラッチ49の動作を制御する電磁石35と、電磁石3
5にギャップE1,F1を介して配置された内筒部28
および外筒部30と、カップリングケース7を支持する
デファレンシャルキャリヤ1とを備えた駆動力伝達装置
において、ギャップE1,F1を設定する軸受41と、
デファレンシャルキャリヤ1と電磁石35との相対回転
を防止する凸部44および凹部45と、シール軸受16
とを備え、軸受41とシール軸受16とが軸線A1方向
のほぼ同一位置に半径方向にオーバーラップして配置さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のトランス
ミッションまたはトランスファまたはデファレンシャル
またはプロペラシャフトの中途部位などに適用される駆
動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両の駆動力伝達装置には複数
の回転部材が配置されており、エンジンの出力が複数の
回転部材を介して車輪に伝達される。また、駆動力伝達
装置において、複数の回転部材同士の間にクラッチ機構
が配置されている場合は、必要に応じてクラッチ機構の
係合・解放を行うことで、トルクの伝達または遮断を任
意に切り換えることが可能である。このように、複数の
回転部材のトルク伝達経路にクラッチ機構が配置された
駆動力伝達装置の一例が特開平3−282019号公報
に記載されている。
【0003】この公報に記載された駆動力伝達装置は、
中空に形成されたキャリヤ(固定部材)と、キャリヤの
内部に挿入された連結軸(第1回転部材)と、キャリヤ
の内部に配置され、かつ、連結軸と相対回転可能なハブ
(第2回転部材)とを備えている。連結軸とハブとが軸
線上に配置され、キャリヤと連結軸との間には軸受が装
着されている。
【0004】また、キャリヤには環状の電磁石が取り付
けられ、ボルトにより電磁石とキャリヤとが回り止め固
定されている。さらに、連結軸には円筒状の側壁(磁性
体)が固定されており、側壁と電磁石との間には所定の
ギャップが設定されている。さらに、側壁の外周にはド
ラムが接続されており、ドラムとハブとの間には、パイ
ロットクラッチとメインクラッチとが配置されている。
【0005】パイロットクラッチは、ドラムの内周にス
プライン嵌合されたクラッチディスクと、ハブの外周に
軸線方向に移動可能に取り付けられたカム部材と、カム
部材の外周にスプライン嵌合されたクラッチプレート
と、電磁力により側壁側に吸引されるアーマチュアとに
より構成されている。また、メインクラッチは、ドラム
の内周にスプライン嵌合されたクラッチディスクと、ハ
ブのフランジにスプライン嵌合されたクラッチプレート
とにより構成されている。さらに、カム部材とメインク
ラッチとの間には、軸線方向に移動可能な押圧部材が配
置されている。さらにまた、カム部材と押圧部材との間
にはボールが挿入されている。
【0006】上記構成の駆動力伝達装置によれば、電磁
石に電流が供給されない場合はパイロットクラッチが解
放されており、連結軸のトルクはハブに伝達されない。
また、電磁石に電流が供給された場合は、側壁とアーマ
チュアとを磁束が通過して電磁力によりアーマチュアが
側壁側に吸引される。すると、パイロットクラッチが係
合されてカム部材が回転され、カム部材の回転がボール
に伝達されて押圧部材が軸線方向に動作し、メインクラ
ッチが係合されて連結軸のトルクがハブに伝達される。
【0007】このように、上記公報に記載された駆動力
伝達装置においては、電磁石により形成される電磁力に
より、パイロットクラッチの係合・解放が制御される。
言い換えれば、電磁石と側壁との間に設定されるギャッ
プの透磁率により、連結軸からハブに伝達されるトルク
の伝達特性が決定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載された駆動力伝達装置においては、側壁が、連結軸お
よび軸受を介してキャリヤに取り付けられている。一
方、電磁石が、ボルトによりキャリヤに回り止め固定さ
れている。つまり、側壁と電磁石との間に形成されるギ
ャップが、ボルトと軸受との複数の部材により設定され
ている。このため、側壁と電磁石とのギャップの設定精
度が低下する可能性がある。
【0009】その結果、アーマチュアを動作させるため
の磁気吸引力の制御が困難になり、パイロットクラッチ
の係合力(トルク容量)、ひいてはメインクラッチの係
合力が所期の値に制御されず、駆動力伝達機能が低下す
る可能性があった。
【0010】この発明は上記事情を背景としてなされた
もので、電磁石と磁性体との間に形成されるギャップの
精度を可及的に向上させることの可能な駆動力伝達装置
を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するため請求項1の発明は、軸線を中心として相
対回転可能に配置された第1回転部材および第2回転部
材と、この第1回転部材と第2回転部材との間のトルク
伝達を制御するクラッチ機構と、このクラッチ機構を係
合・解放させる電磁力を発生する電磁石と、この電磁石
に対してギャップを介して配置された磁性体と、前記電
磁石を支持するために回転不能に配置された固定部材と
を備えた駆動力伝達装置において、前記第1回転部材と
前記電磁石との間に配置されて前記ギャップを設定する
ように前記第1回転部材を支持する第1軸受と、前記固
定部材と前記電磁石との相対回転を防止する回り止め機
構と、前記固定部材と前記第1回転部材との間に配置さ
れてこの第1回転部材を支持する第2軸受とを備え、前
記第1軸受と前記第2軸受とが前記軸線方向のほぼ同一
位置に半径方向にオーバーラップして配置されているこ
とを特徴とする。前記第1回転部材には、第1回転部材
自体と、第1回転部材と一体的に回転される部材とが含
まれる。
【0012】請求項1の発明によれば、第1回転部材と
電磁石との間に配置された単一の第1軸受によりギャッ
プが設定される。ここで、第1軸受は装着される部材と
支持する部材との半径方向の相対位置を正確に設定する
ことのできる寸法精度を本来備えているため、ギャップ
の設定精度が可及的に向上する。したがって、クラッチ
機構の係合力、言い換えればトルク容量の制御が容易に
なり、第1回転部材と第2回転部材との間で相互に伝達
される駆動力の伝達機能が向上する。
【0013】また、請求項1の発明によれば、第1軸受
と第2軸受とが軸線方向のほぼ同一位置に半径方向にオ
ーバーラップして配置されている。このため、二つの軸
受の軸線方向の配置スペースが可及的に抑制され、駆動
力伝達装置を軸線方向に小型化することが可能になる。
【0014】請求項2の発明は、軸線を中心として相対
回転可能に配置された第1回転部材および第2回転部材
と、この第1回転部材と第2回転部材との間のトルク伝
達を制御するクラッチ機構と、このクラッチ機構を係合
・解放させる電磁力を発生し、かつ、前記軸線を中心と
して配置された環状の電磁石と、この電磁石に対してギ
ャップを介して配置された磁性体と、前記第1回転部材
および前記電磁石を保持するために回転不能に配置され
た固定部材とを備えた駆動力伝達装置において、前記第
1回転部材と前記電磁石との間に配置されて前記ギャッ
プを設定するように前記電磁石を支持する第1軸受と、
前記固定部材と前記電磁石との相対回転を防止する回り
止め機構と、前記電磁石を前記固定部材に対して半径方
向に位置決めする位置決め機構とを備えていることを特
徴とする。ここで、第1回転部材および電磁石は、固定
部材により直接または間接により保持されている。
【0015】請求項2の発明によれば、第1回転部材と
電磁石との間に配置された単一の第1軸受によりギャッ
プが設定される。ここで、第1軸受は装着される部材と
支持する部材との半径方向の相対位置を正確に設定する
ことのできる寸法精度を本来備えているため、ギャップ
の設定精度が可及的に向上する。したがって、クラッチ
機構の係合力、言い換えればトルク容量の制御が容易に
なり、第1回転部材と第2回転部材との間で相互に伝達
される駆動力の伝達機能が向上する。
【0016】請求項3の発明は、請求項2の構成に加
え、前記位置決め機構が、前記電磁石と前記固定部材と
を相互に嵌合させて、前記電磁石を前記固定部材に対し
て半径方向に位置決めする構成であることを特徴とす
る。
【0017】請求項3の発明によれば、請求項2と同様
の作用を得られる他、固定部材と電磁石とを半径方向に
位置決めするために格別の部品を必要としない。したが
って、駆動力伝達装置の部品点数を抑制することができ
る。
【0018】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項
3のいずれかの構成に加え、前記電磁石と、この電磁石
に電流を供給する電線を接続するためのコネクタとが一
体的に設けられ、前記回り止め機構が、前記コネクタと
前記固定部材とを係合させて前記固定部材と前記電磁石
との相対回転を防止する構成であることを特徴とする。
【0019】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
請求項3のいずれかと同様の作用を得られる他、コネク
タにより電磁石の回り止めを行うことができ、部品点数
が抑制される。また、電磁石の回り止めが完了した状態
で、コネクタが固定部材に対して所定の位置に係合され
るため、電線をコネクタに接続する作業を容易に行え
る。
【0020】請求項5の発明は、請求項1の構成に加
え、前記固定部材と前記第1回転部材との間に配置され
てこの第1回転部材を支持する第3軸受を備え、前記第
1回転部材の軸線方向の一端が前記第2軸受により支持
され、前記第1回転部材の軸線方向の他端が前記第3軸
受により支持されていることを特徴とする。
【0021】請求項5の発明によれば、請求項1と同様
の作用を得られる他、第1回転部材が半径方向に高精度
に位置決めされる。したがって、第1回転部材の振動
と、この振動に起因する騒音が抑制される。
【0022】請求項6の発明は、請求項2の構成に加え
て、前記電磁石を前記固定部材の外側にて支持する支持
機構を備えていることを特徴とする。
【0023】請求項6の発明によれば、請求項2と同様
の作用を得られる他、電磁石が、固定部材の外側で支持
されているため、当該駆動力伝達装置をプロペラシャフ
ト上に配置した状態でも車両に搭載することができる。
【0024】請求項7の発明は、請求項2の構成に加え
て、前記電磁石を前記固定部材に取り付ける弾性部材を
備えていることを特徴とする。
【0025】請求項7の発明によれば、請求項2と同様
の作用を得られる他、電磁石が弾性部材を介して固定部
材に取り付けられている。このため、弾性部材が車体側
の振動を吸収または緩衝して、駆動力伝達装置における
電磁石の組付け部位への悪影響を防止する。したがっ
て、駆動力伝達装置を専用のケースに収容することなく
そのままの状態で、かつ何等機能を全く損なうことな
く、車両の所望の場所に配設することができる。
【0026】また、電磁石を車両の任意の位置に固定す
る場合には、弾性部材を介して固定している。このた
め、弾性部材が車体側の振動を吸収または緩衝して、駆
動力伝達装置における電磁石の組付け部位への悪影響を
防止する。
【0027】請求項8の発明は、請求項7の構成に加え
て、前記第1回転部材が、プロペラシャフトを構成する
駆動側シャフトに連結され、かつ、前記第2回転部材
が、前記プロペラシャフトを構成する従動側シャフトに
連結されていることを特徴とする。
【0028】請求項8の発明によれば、請求項7と同様
の作用を得られる他、第1回転部材が、プロペラシャフ
トを構成する駆動側シャフトに連結されている。また、
第2回転部材が、プロペラシャフトを構成する従動側シ
ャフトに連結されている。このため、駆動力伝達装置を
プロペラシャフトの途中に配設することができる。ま
た、専用のケースを要することなく駆動力伝達装置を配
置することができる。さらに、トランスファーやディフ
ァレンシャルを改装することなく、駆動力伝達装置を配
置することができ、四輪駆動車をコンパクトに構成する
ことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を添付
図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、ス
タンバイ四輪駆動車に搭載された駆動力伝達装置を示す
正面半断面図である。また、図1および図2は、請求項
1または請求項5の発明に対応する実施例である。この
駆動力伝達装置は、プロペラシャフトとデファレンシャ
ルとの間に配置されている。図1および図2において、
1はデファレンシャルキャリヤで、デファレンシャルキ
ャリヤ1は回転不能に固定されている。このデファレン
シャルキャリヤ1の内部には軸線A1を中心として回転
されるドライブピニオンシャフト2が配置されている。
デファレンシャルキャリヤ1の内周には軸受3が装着さ
れており、軸受3によりドライブピニオンシャフト2が
回転可能に支持されている。
【0030】ドライブピニオンシャフト2には、軸受3
の軸線A1方向の両側にスリーブ4とナット5とが取り
付けられている。このスリーブ4とナット5とにより軸
受3が挟み付けられて、ドライブピニオンシャフト2と
デファレンシャルキャリヤ1とが軸線A1方向に位置決
めされている。なお、デファレンシャルキャリヤ1の内
部には、公知の歯車機構により構成されたデファレンシ
ャルが配置されている。
【0031】また、デファレンシャルキャリヤ1の開口
端には、軸線A1を中心とする円筒状のカバー6が固定
されている。そして、カバー6の外部からカバー6の内
部およびデファレンシャルキャリヤ1の内部に亘り、有
底円筒状のカップリングケース7が配置されている。こ
のカップリングケース7は、アルミニウムなどの非磁性
材料により構成されている。カップリングケース7は、
小径円筒部9と底部10と環状の接続部11と大径円筒
部12とを備えている。
【0032】この小径円筒部9はカバー6の開口部8に
配置され、底部10により、小径円筒部9におけるカバ
ー6の外部側端部が閉塞されている。環状の接続部11
は、小径円筒部9におけるカバー6の内部側端部から外
周側に向けて張り出されている。大径円筒部12は、接
続部11の外周端からデファレンシャルキャリヤ1の内
部側に向けて配置されている。
【0033】小径円筒部9には軸線A1方向に貫通され
たオイル注入孔9Aが形成されている。このオイル注入
孔9Aはカップリングオイル室(後述)にオイルを注入
するためのもので、オイル注入後にはオイル注入孔9A
にボール9Bが圧入されて液密にシールされる。また、
オイル注入孔9Aの入口側がかしめられており、カップ
リングオイル室の圧力によりボール9Bがオイル注入孔
9Aから抜け出すことが防止されている。なお、小径円
筒部9の外部端面には、軸線A1を中心とする円周上に
4箇所の雌ねじ部9Cが形成されている。
【0034】前記カバー6の開口部8側の端部内周には
シール軸受13が固定されている。また、デファレンシ
ャルキャリヤ1におけるカバー6側の端面14には、軸
線A1を中心としてカバー6側に向けて突出された円筒
部15が形成されている。この円筒部15の外周にはシ
ール軸受16が固定されている。これらシール軸受1
3,16は内輪と外輪との間をシールするためのシール
部材が取り付けられた公知の構造のものである。
【0035】また、シール軸受13,16の内部には潤
滑用のグリースが封入されている。そして、シール軸受
13の内輪がカップリングケース7の小径円筒部9の外
周に装着され、シール軸受16の外輪が大径円筒部12
のデファレンシャルキャリヤ1側の端部内周に装着され
ている。つまり、カップリングケース7はシール軸受1
3,16により軸線A1を中心として回転可能に支持さ
れている。
【0036】一方、カップリングケース7の小径円筒部
9におけるカバー6の外部側端面にはフランジ17が取
り付けられている。フランジ17には軸線A1を中心と
する円周上に4箇所の孔17Aが形成されている。そし
て、各孔17Aにそれぞれボルト18が挿入され、各ボ
ルト18が雌ねじ部9Cにねじ込まれて締め付けられ、
小径円筒部9とフランジ17とが固定されている。フラ
ンジ17は、プロペラシャフト(図示せず)に接続され
る。なお、小径円筒部9の外周には円筒状のダストデフ
レクター19が嵌合されており、ダストデフレクター1
9により外部からのダストの侵入が防止されている。ま
た、開口部8はシール軸受13によりシールされてい
る。
【0037】前記カバー6の内部には軸線A1を中心と
して回転されるシャフト20が配置されている。このシ
ャフト20の内部には隔壁21により軸線A1方向に区
画された凹部22,23が形成されている。凹部22,
23は軸線A1を中心とする円柱状の空間である。そし
て、デファレンシャルキャリヤ1側に配置された凹部2
2の内周にはドライブピニオンシャフト2の先端がスプ
ライン嵌合されている。
【0038】また、シャフト20の軸線A1方向の長さ
は、デファレンシャルキャリヤ1の開口端からカップリ
ングケース7の小径円筒部9の内方に到達する値に設定
されている。そして、小径円筒部9の内周と、シャフト
20の小径円筒部9側の端部外周との間に軸受24が装
着され、軸受24によりシャフト20が回転可能に支持
されている。さらに、小径円筒部9の内周に装着された
スナップリング25と、シャフト20の外周に装着され
たスナップリング26とにより軸受24が挟み付けら
れ、シャフト20とカップリングケース7とが軸線A1
方向に位置決めされている。
【0039】前記シャフト20の外周側には環状の回転
子27が配置されている。この回転子27は、カップリ
ングケース7の内部からデファレンシャルキャリヤ1の
内部に到達する軸線A1方向の長さを備えている。回転
子27は軸線A1を中心として回転可能であり、回転子
27は、半径方向の断面形状がほぼL字形の内筒部28
と、内筒部28の外周に固定された環状の遮断部材29
と、遮断部材29の外周に固定された外筒部30とによ
り構成されている。
【0040】内筒部28および外筒部30は鉄などの磁
性材料により構成され、遮断部材29は非磁性材料によ
り構成されている。そして、回転子27の外筒部30が
カップリングケース7の内周にねじ結合され、かつ、溶
接により回転不能に固定されているため、カップリング
ケース7と回転子27とが一体的に回転される。
【0041】また、回転子27の内筒部28の内周には
金属製のブッシュ31が嵌合されている。そして、ブッ
シュ31によりシャフト20が支持され、回転子27と
シャフト20とが相対回転可能に構成されている。さら
に、内筒部28の内周とシャフト20の外周との間に
は、ゴム状弾性体により構成されたXリング32が装着
されている。このXリング32により、シャフト20と
回転子27との間が液密にシールされている。さらに、
外筒部30の外周とカップリングケース7の内周との間
には、ゴム状弾性体により構成されたOリング33が装
着されている。このOリング33により、回転子27と
カップリングケース7との間が液密にシールされてい
る。
【0042】さらにまた、デファレンシャルキャリヤ1
の内周における軸受3と円筒部15との間には、ゴム状
弾性体および金属補強環により構成されたオイルシール
34が装着されている。オイルシール34によりデファ
レンシャルキャリヤ1と回転子27との間が液密にシー
ルされている。そして、デファレンシャルキャリヤ1の
内部に、Xリング32およびオイルシール34により液
密にシールされたデファレンシャルオイル室B1が形成
されている。前記ドライブピニオンシャフト2はデファ
レンシャルオイル室B1に配置されている。
【0043】また、デファレンシャルキャリヤ1とカバ
ー6とカップリングケース7と回転子27とにより取り
囲まれた空間が、オイルシール34とOリング33とシ
ール軸受13とにより周囲の空間から液密および気密に
シールされて電磁石収納室C1が形成されている。さら
に、カップリングケース7とシャフト20と回転子27
とにより取り囲まれた空間が、Oリング33とXリング
32とにより周囲の空間から液密にシールされてカップ
リングオイル室D1が形成されている。
【0044】前記電磁石収納室C1には電磁石35が配
置されている。この電磁石35は、磁性材料により構成
された環状の鉄心36と、鉄心36に巻き付けられたコ
イル37と、コイル37に電流を供給する電線38とを
備えている。前記回転子27の内筒部28と外筒部30
との間には、環状の凹部39が形成されている。この凹
部39内に電磁石35が配置されている。
【0045】そして、鉄心36のデファレンシャルキャ
リヤ1側に一体的に形成された円筒部40と、回転子2
7の内筒部28との間には軸受(ラジアル軸受)41が
装着され、電磁石35と回転子27とが相対回転可能に
構成されている。さらに、軸受41と、内筒部28に装
着されたスナップリング42と、鉄心36に装着された
スナップリング43とにより、電磁石35と回転子27
とが軸線A1方向に位置決めされ、かつ、半径方向に位
置決めされている。このようにして、鉄心36の内周と
内筒部28との間のギャップ(エアギャップ)E1と、
鉄心36の外周と外筒部30との間のギャップ(エアギ
ャップ)F1とが、単一の軸受41により設定されてい
る。
【0046】また、電磁石35とデファレンシャルキャ
リヤ1とが回り止め機構により相対回転不能に接続され
ている。この回り止め機構について図3を参照しながら
説明する。図3は鉄心36の円筒部40およびデファレ
ンシャルキャリヤ1の円筒部15の半径方向の断面図で
ある。鉄心36の円筒部40の外周には、外側に突出さ
れた複数の凸部44が形成されている。そして、凸部4
4の内のいずれか一つの凸部44の内部に電線38が埋
めこまれている。
【0047】一方、デファレンシャルキャリヤ1の円筒
部15の内周には、複数の凸部44に対応する位置に複
数の凹部45が形成されている。そして、鉄心36の円
筒部40がデファレンシャルキャリヤ1の円筒部15の
内部に配置され、複数の凸部44が複数の凹部45にそ
れぞれ没入されている。この凸部44と凹部45との係
合力によりデファレンシャルキャリヤ1と電磁石35と
の相対回転が防止される。なお、凸部44および凹部4
5は各々一つ以上設けられていればよい。これら、円筒
部15および凸部44ならびに凹部45は、カバー6の
開口部6Aおよびデファレンシャルキャリヤ1の開口部
1Aに臨み配置されている。
【0048】このようにして、軸線A1を中心として軸
受41の半径方向の外側に、デファレンシャルキャリヤ
1と電磁石35との相対回転を防止する回り止め機構が
配置され、回り止め機構の半径方向の外側にシール軸受
16が配置されている。なお、円筒部15には、一つの
凹部45と円筒部15の外周面とを連通する切り欠き4
6が形成されている。この切り欠き46は、電磁石35
の円筒部40をデファレンシャルキャリヤ1の円筒部1
5の内部に挿入する際に、電線38を通過させるための
ものである。
【0049】前記デファレンシャルキャリヤ1のカバー
6側の端面14には溝14Mが形成されており、電線3
8が溝14Mに沿って配置されている。また、電線38
は、デファレンシャルキャリヤ1とカバー6との当接面
に形成された貫通溝47を介してデファレンシャルキャ
リヤ1およびカバー6の外部に取り回され、図示しない
電源に接続されている。さらに、デファレンシャルキャ
リヤ1の円筒部15の外周には環状のシム48が取り付
けられ、シム48の端面にはシール軸受16が当接され
ている。そして、溝14に通された電線38がシム48
により押さえ付けられ、電線38が固定されている。
【0050】前記カップリングオイル室D1には、電磁
石35の電磁力により係合・解放されるパイロットクラ
ッチ49と、パイロットクラッチ49の係合に連動して
係合されてカップリングケース7のトルクをシャフト2
0に伝達するメインクラッチ50とが配置されている。
【0051】パイロットクラッチ49は、アーマチュア
51と複数のクラッチディスク52と複数のクラッチプ
レート54とを備えている。このアーマチュア51は、
回転子27から所定間隔をおいた位置に配置されてい
る。また、複数のクラッチディスク52は、アーマチュ
ア51と回転子27との間に配置されている。さらに、
複数のクラッチディスク52と複数のクラッチプレート
54とは交互に配置されている。これらアーマチュア5
1および複数のクラッチディスク52の外周が、カップ
リングケース7の内周にスプライン嵌合されている。
【0052】また、シャフト20の外周には環状のカム
53が装着されており、クラッチプレート54の内周が
カム53の外周にスプライン嵌合されている。環状のカ
ム53とシャフト20とは相対回転可能に構成されてい
る。また、カム53と回転子27の内筒部28との間に
はスラスト軸受20Aが配置されている。スラスト軸受
20Aは、カム53に作用するスラスト荷重を受け止
め、かつ、回転子27とカム53とを相対回転可能に維
持するために配置されている。
【0053】一方、メインクラッチ50はパイロットク
ラッチ49とカップリングケース7の小径円筒部9との
間に配置されている。このメインクラッチ50は、複数
のクラッチディスク55と、複数のクラッチディスク5
5と交互に配置された複数のクラッチプレート56とを
備えている。これら複数のクラッチディスク55の外周
がカップリングケース7の内周にスプライン嵌合され、
クラッチプレート56の内周がシャフト20の外周にス
プライン嵌合されている。
【0054】さらに、メインクラッチ50とパイロット
クラッチ49との間には環状のピストン57が配置され
ている。ピストン57はシャフト20の外周にスプライ
ン嵌合されている。図4に示すように、ピストン57と
カム53との対向面には、断面台形の溝58,59が形
成されている。溝58,59には逆方向に傾斜された受
圧面58A,59Aがそれぞれ形成されている。そし
て、溝58,59にはボール60が配置されている。
【0055】上記カップリングオイル室D1には、クラ
ッチディスク52,55およびクラッチプレート54,
56の耐摩耗性およびオイル切れ性ならびに耐ジャダー
性を良好に維持する特性を備えたカップリングオイルが
封入されている。このカップリングオイルとしては、鉱
油系の潤滑油に各種の添加剤を加えたものが例示され
る。また、デファレンシャルオイル室B1には、温度に
よる粘度変化が少なく、また、流動点が低く、さらに、
耐熱および酸化安定性がよく、耐荷重性に優れた特性の
潤滑油が封入されている。この潤滑油としては、鉱油系
の潤滑油が例示される。
【0056】ここで、上記駆動力伝達装置の構成と、こ
の発明との対応関係を説明する。すなわち、デファレン
シャルキャリヤ1とカバー6とがこの発明の固定部材に
相当し、カップリングケース7と回転子27とがこの発
明の第1回転部材に相当する。また、シャフト20とド
ライブピニオンシャフト2とがこの発明の第2回転部材
に相当し、パイロットクラッチ49がこの発明のクラッ
チ機構に相当し、外筒部30と内筒部28とが、この発
明の磁性体に相当する。
【0057】さらに、デファレンシャルキャリヤ1の円
筒部15と、円筒部15に形成された凹部45と、鉄心
36の円筒部40と、円筒部40に形成された凸部44
とがこの発明の回り止め機構に相当する。さらにまた、
軸受41がこの発明の第1軸受に相当し、シール軸受1
6がこの発明の第2軸受に相当する。また、シール軸受
13がこの発明の第3軸受に相当する。
【0058】そして、上記のように一体的に組み付けら
れたカップリング7とパイロットクラッチ49とメイン
クラッチ50と電磁石35とにより、一つのユニットが
構成されている。
【0059】つぎに、上記構成の駆動力伝達装置の動作
を説明する。まず、電磁石35に電流が供給されない場
合は、パイロットクラッチ49およびメインクラッチ5
0が解放されている。このため、図示しないプロペラシ
ャフトからカップリングケース7に伝達されたトルク
は、シャフト20およびドライブピニオンシャフト2に
は伝達されない。
【0060】一方、電磁石35に電流が供給されると、
鉄心36と外筒部30とアーマチュア51と内筒部28
とを磁束が通過して磁気回路が形成される。このため、
電磁力(磁気吸引力)により、アーマチュア51が、外
筒部30および内筒部28側に移動する。すると、複数
のクラッチディスク52と、複数のクラッチプレート5
4とが係合される。その結果、カップリングケース7の
トルクが、パイロットクラッチ49を介してカム53に
伝達される。
【0061】カム53にトルクが伝達されると、図4に
示すようにカム53とピストン57とが矢印方向に相対
回転する。すると、ボール60が、同一方向に傾斜され
た受圧面58A,59Aに押し付けられ、受圧面58
A,59Aがボール60を溝58,59の外部に押し出
す力が作用する。その結果、カム53とピストン57と
が、軸線A1方向において相互に離反する向きのスラス
ト荷重が生じる。
【0062】ここで、カム53はスラスト軸受20Aに
より受け止められており、回転子27側に移動すること
が防止されている。このため、前記スラスト荷重によ
り、ピストン57がメインクラッチ50側に押し付けら
れ、複数のクラッチディスク55と、複数のクラッチプ
レート56とが係合される。つまり、パイロットクラッ
チ49の係合力が、カム53とボール60とピストン5
7とにより増幅され、メインクラッチ50に伝達され
る。メインクラッチ50が係合されると、カップリング
ケース7のトルクがメインクラッチ50を介してシャフ
ト20およびドライブピニオンシャフト2に伝達され
る。
【0063】そして、上記の駆動力伝達装置によれば、
内筒部28と電磁石35との間に装着された単一の構成
部材である軸受41によりギャップE1,F1が設定さ
れる。ここで、ラジアル軸受である軸受41は、装着さ
れる部材と支持する部材との半径方向の相対位置を正確
に設定することのできる寸法精度を、本来備えている。
このため、ギャップE1,F1の設定精度が可及的に向
上する。
【0064】したがって、複数のクラッチディスク52
と、複数のクラッチプレート54との係合力(トルク容
量)の制御が容易になる。その結果、複数のクラッチデ
ィスク55と、複数のクラッチプレート56との係合力
(トルク容量)の制御が容易になる。つまり、カップリ
ングケース7からシャフト20に伝達される駆動力の伝
達機能が向上する。
【0065】また、軸受41および回り止め機構ならび
にシール軸受16などの構成要素が、軸線A1方向のほ
ぼ同一位置に半径方向にオーバーラップして配置されて
いる。このため、これらの構成要素の軸線A1方向の配
置スペースが可及的に抑制され、駆動力伝達装置を軸線
A1方向に小型化することが可能になる。なお、軸受4
1と回り止め機構とシール軸受16とを、軸線A1方向
に部分的にオーバーラップする構成を採用することも可
能である。
【0066】さらに、この実施例では、カップリングケ
ース7の軸線A1方向の一端がシール軸受16により支
持され、カップリングケース7の軸線A1方向の他端が
シール軸受13により支持されている。このため、カッ
プリングケース7が半径方向に高精度に位置決めされ、
カップリングケース7の振動と、この振動に起因する騒
音(こもり音)とが抑制される。
【0067】さらに、電磁石35とデファレンシャルキ
ャリヤ1との相対回転を防止する回り止め機構が、電磁
石35自体に形成された凸部44と、デファレンシャル
キャリヤ1自体に形成された凹部45とを備えており、
凸部44と凹部45との係合力により回り止め機能が生
じる。
【0068】ここで、デファレンシャルキャリヤ1に対
してユニットを組み付ける作業を説明する。すなわち、
電磁石35とデファレンシャルキャリヤ1とを軸線A1
方向に相対移動させ、電磁石35の円筒部40をデファ
レンシャルキャリヤ1の円筒部15内部に挿入させる。
上記の簡単な作業により、電磁石35とデファレンシャ
ルキャリヤ1との回り止めを達成できる。したがって、
駆動力伝達装置の組み立て作業を容易、かつ迅速に行う
ことができる。
【0069】また、電磁石35とデファレンシャルキャ
リヤ1との相対回転を防止するために別部品などを取り
付ける必要がなく、駆動力伝達装置の部品点数が抑制さ
れる。したがって、駆動力伝達装置の組み立て作業性が
一層向上し、かつ、駆動力伝達装置の軽量化を図ること
が可能になる。
【0070】また、電磁石収納室C1が、オイルシール
34とOリング33とシール軸受13とにより流体密
(液密および気密)にシールされている。そして、電磁
石収納室C1には、電磁石35およびギャップE1,F
1が配置されている。このため、デファレンシャルオイ
ル室B1に封入されているデファレンシャルオイル、ま
たはギヤ同士の噛み合いにより生じる摩耗粉などの異物
が、電磁石収納室C1に侵入することが抑制される。
【0071】また、Oリング33により、カップリング
オイル室D1に封入されているカップリングオイルが電
磁石収納室C1に侵入することが抑制される。さらに、
シール軸受13により、デファレンシャルキャリヤ1の
外部の水や異物が電磁石収納室C1に侵入することが防
止される。さらにまた、シール軸受13、シール軸受1
6の内部に封入されている潤滑用のグリースが電磁石収
納室C1に漏れることが抑制される。
【0072】このため、電磁石35の鉄心36と、回転
子27の外筒部30および内筒部27との間に形成され
るギャップE1,F1に空気だけが介在され、ギャップ
E1,F1に水またはオイルまたは異物などが侵入する
ことを防止できる。その結果、ギャップE1,F1の透
磁率を均一に維持することが可能になり、電磁石35に
より形成される磁気吸引力が安定する。言い換えれば、
電磁石35に通電される電流とパイロットクラッチ49
の係合力との関係が安定する。したがって、メインクラ
ッチ50の係合力の制御が容易になり、駆動力伝達装置
の駆動力伝達機能が向上する。
【0073】さらに、この実施例では、内部のカップリ
ングオイル室D1およびデファレンシャルオイル室B1
が液密にシールされている。また、電磁石収納室C1が
空気の部屋となっており、この電磁石収納室C1に対面
する位置に貫通溝47が形成されている。この貫通溝4
7に電線38が挿入されている。このため、貫通溝47
からオイルなどが外部に漏れる可能性がなく、貫通溝4
7に格別のシール機構を施す必要がない。したがって、
デファレンシャルキャリヤ1とカバー6との組み付け作
業性が簡略化されて作業性が向上する。
【0074】また、貫通溝47のシールが不要であるた
め、貫通溝47をデファレンシャルキャリヤ1とカバー
6との突き合せ面に形成することが可能になる。したが
って、電磁石35をデファレンシャルキャリヤ1および
カバー6の内部に取り付ける際に、電線38を挿入でき
る大きさの貫通溝47を形成するだけで済む。つまり、
デファレンシャルキャリヤ1またはカバー6に対して、
電線38の先端に設けられているソケット(図示せず)
を通過させるための大きな貫通孔を形成する必要がな
く、スペース的に設計自由度が増大する。
【0075】また、この実施例ではカップリングケース
7の内部に、Oリング33およびXリング32により液
密にシールされたカップリングオイル室D1が形成され
ている。そして、カップリングオイル室D1にパイロッ
トクラッチ49およびメインクラッチ50が配置されて
いる。また、カップリングオイル室D1には、カップリ
ングオイルが封入されている。ここで、Xリング32
は、その構造により耐圧性に優れている。このため、カ
ップリングオイル室D1のカップリングオイルがデファ
レンシャルオイル室B1に侵入したり、デファレンシャ
ルオイル室B1のデファレンシャルオイルがカップリン
グオイル室D1に侵入したりすることが抑制される。
【0076】このため、カップリングオイル室D1に要
求される特性に適合したオイルと、デファレンシャルオ
イル室B1に要求される特性や性能に適合したオイルと
を別個に選択して封入することが可能になる。具体的に
は、カップリングオイル室D1には、パイロットクラッ
チ49およびメインクラッチ50を構成するクラッチ板
の耐摩耗性およびオイル切れ性ならびに耐ジャダー性を
良好に維持する特性を備えたカップリングオイルが封入
される。このカップリングオイルとしては、鉱油系の潤
滑油に各種の添加剤を加えたものが例示される。また、
デファレンシャルオイル室B1には、温度による粘度変
化が少なく、流動点が低く、耐熱および酸化安定性がよ
く、耐荷重性に優れた潤滑油が封入される。この潤滑油
としては、鉱油系の潤滑油が例示される。
【0077】そして、この駆動力伝達装置の搭載箇所と
しては、例えばトランスミッション、またはプロペラシ
ャフトとデファレンシャルとの間、あるいは四輪駆動車
のトランスファなどが挙げられる。駆動力伝達装置をい
ずれの箇所に搭載する場合でも、ほかの動力伝達機構や
構成部品に要求される機能や特性との適合性に関わりな
く、パイロットクラッチ49またはメインクラッチ50
の特性や性能に適合するカップリングオイルを選択する
ことができる。したがって、駆動力伝達装置の搭載位置
やレイアウトの自由度が拡大される。
【0078】また、この実施例においては、カップリン
グケース7とパイロットクラッチ49とメインクラッチ
50とを備えた単独のユニットが形成される。そして、
このユニット単独で、パイロットクラッチ49またはメ
インクラッチ50の耐摩耗性およびオイル切れ性ならび
に耐ジャダー性などのトルク伝達特性を、管理または評
価することが可能になる。したがって、車両の製造工程
において、駆動力伝達装置を車両に搭載する前の段階
で、ユニット単位で性能を管理することが容易になる。
【0079】さらに、シャフト20と回転子27との間
が、Xリング32により液密にシールされている。この
ため、デファレンシャルオイル室B1側で発生した摩耗
粉などの異物がカップリングオイル室D1に侵入するこ
とが抑制される。したがって、異物がパイロットクラッ
チ49のクラッチディスク52とクラッチプレート54
との間、またはメインクラッチ50のクラッチディスク
55とクラッチプレート56との間に侵入する可能性も
ない。その結果、パイロットクラッチ49、メインクラ
ッチ50の係合・解放動作が安定し、かつ、クラッチ板
の摩耗や損傷が防止され、駆動力伝達機能および耐久性
が向上する。
【0080】さらにまた、シャフト20に凹部23が形
成され、この凹部23がカップリングオイル室D1に開
口されている。そして、凹部23によりカップリングオ
イル室D1の容積が拡大されている。つまり、カップリ
ンクケース7内部のデッドスペースであるシャフト20
自体を利用して凹部23が形成され、凹部23にもカッ
プリングオイルが収容されている。したがって、カップ
リングケース7を大型化させずにカップリングオイルの
収容量を可及的に増大させることが可能になり、カップ
リングオイルの耐久性が向上する。
【0081】図5は、上記駆動力伝達装置の他の実施例
を示す部分的な断面図である。図5においては、回転子
27の支持機構、および電磁石35の支持機構が、図1
ないし図4の実施例と相違している。図5においては、
デファレンシャルキャリヤ1の内部に形成された円筒部
15の外周には複数の凸部61が形成されている。ま
た、円筒部15の内周に軸受62が固定され、この軸受
62により回転子27が回転可能に支持されている。
【0082】また、外筒部30の内周にシール軸受63
が固定され、このシール軸受63により電磁石35が回
転可能に支持されている。また、シール軸受63によ
り、電磁石35の鉄心36と、内筒部28および外筒部
30との間のギャップE1,F1が設定されている。
【0083】さらに、鉄心36の円筒部40の内周には
複数の凹部64が形成されており、複数の凸部61と複
数の凹部64とが相互に係合されている。この複数の凹
部64と複数の凸部61との係合により、デファレンシ
ャルキャリヤ1と電磁石35とが相対回転不能に回り止
めされている。これら、複数の凸部61と複数の凹部6
4とが、開口部1A,6Aに臨み配置されている。そし
て、軸線A1を中心とする軸受62の半径方向の外周側
に円筒部15と複数の凸部61と円筒部40と複数の凹
部64とが配置されている。また、円筒部40の半径方
向の外周側にシール軸受(ラジアル軸受)63が配置さ
れている。その他の構成は、図1および図2の実施例と
同様である。
【0084】ここで、図5の構成とこの発明との対応関
係を説明すれば、シール軸受63がこの発明の第1軸受
に相当し、円筒部15と円筒部40と複数の凸部61と
複数の凹部64とがこの発明の回り止め機構に相当し、
軸受62がこの発明の第2軸受に相当する。この図5の
実施例においても、図1および図2の実施例と同様の効
果を得られる。
【0085】なお、図1ないし図5の実施例において、
電磁石収納室C1に冷却用のオイルを封入する構成を採
用する場合もある。この場合は、冷却用のオイルがシー
ル軸受16によりシールされて、デファレンシャルキャ
リヤ1およびカバー6の外部に漏れることはない。
【0086】また、Oリング33およびオイルシール3
4により、電磁石収納室C1と、デファレンシャルオイ
ル室B1およびカップリングオイル室D1とが液密にシ
ールされている。このため、電磁石収納室C1に封入し
た冷却用オイルが、デファレンシャルオイル室B1また
はカップリングオイル室D1に浸入することもない。そ
して、冷却用のオイルにより、メインクラッチ50とパ
イロットクラッチ49と電磁石35とが冷却される。
【0087】さらに、図1ないし図5の実施例におい
て、シール軸受41,62に代えて、シールの設けられ
ていない軸受を用いることも可能である。つまり、デフ
ァレンシャルオイル室D1と電磁石収納室C1との間が
オイルシール34により液密にシールされているため、
デファレンシャルオイル室D1に封入されているオイル
が電磁石収納室C1側に浸入する可能性がないからであ
る。
【0088】図6および図7は、請求項2または請求項
3の発明に対応する駆動力伝達装置を示す正面半断面図
である。図1および図2の実施例と、図6および図7の
実施例とを比較した場合、電磁石の構成と、電磁石の回
り止め機構の構成と、カップリングケースとフランジと
の固定機構の構成と、カップリングケース7と回転子2
7との結合機構とが相違している。以下、これらの相違
点について具体的に説明する。
【0089】まず、電磁石35の鉄心36には、軸線A
1を中心とする円筒部65が形成され、円筒部65と、
回転子27との間に軸受(ラジアル軸受)41が装着さ
れている。さらに、軸受41と、内筒部28に取り付け
られたスナップリング42と、鉄心36に取り付けられ
たスナップリング43とにより、電磁石35と回転子2
7とが軸線A1方向に位置決めされている。
【0090】一方、デファレンシャルキャリヤ1の内周
には、軸線A1を中心とする環状の凹部66が形成され
ている。この凹部66の内周に円筒部65が嵌合されて
いる。つまり、凹部66と円筒部65とにより、インロ
ウ継手が構成されている。そして、軸受41と凹部66
とが、半径方向にオーバーラップして配置されている。
その結果、鉄心36が、凹部66および軸受41により
半径方向に位置決めされている。このように、鉄心36
の内周と内筒部27との間のギャップE1と、鉄心36
の外周と外筒部30との間のギャップF1とが設定され
ている。
【0091】また、凹部66の端面と円筒部65との間
には、環状のシム67と、環状の皿ばね68とが配置さ
れている。この皿ばね68の弾性力により鉄心36が図
中左側に付勢されている。
【0092】前記鉄心36の外周の一部には突出部69
が形成され、突出部69には切欠部70が形成されてい
る。一方、カバー6におけるデファレンシャルキャリヤ
1との突き合わせ端面には、孔71が形成されている。
この孔71には回り止めピン72が嵌合され、回り止め
ピン72の先端が切欠部70に配置されている。
【0093】この回り止めピン72と突出部69との係
合により、カバー6と鉄心36との相対回転が防止され
ている。つまり、孔71と回り止めピン72と突出部6
9と切欠部70とにより、回り止め機構が構成されてい
る。そして、この実施例では、これらの回り止め機構
が、開口部1A,6Aに臨み配置されている。
【0094】一方、電磁石35のコイル37には、ボビ
ン73を介して電線74が接続されている。この電線7
4はコイル37に電流を供給するための構成である。そ
して、カバー6には孔75が形成されており、電線74
に取り付けたグロメット76が孔75に嵌合されてい
る。なお、孔75におけるグロメット76よりも外部側
には、接着剤77が埋め込まれている。
【0095】つぎに、カップリングケース7とフランジ
17との固定機構について説明する。図6に示すよう
に、カップリングケース7とフランジ17とが植込みボ
ルト78により固定されている。植込みボルト78は、
円周方向に4本配置されている。この植込みボルト78
には、その長さ方向に植込み側雄ねじ部79と、ナット
側雄ねじ部80とが形成されている。そして、植込み側
雄ねじ部79の外径が、ナット側雄ねじ部80の外径よ
りも大きい値に設定されている。
【0096】植込み側雄ねじ部79は雌ねじ部9Cに植
え込まれている。そして、植込み側雄ねじ部79の先端
が雌ねじ部9Cの奥端に当接することにより、植込みボ
ルト78と小径円筒部9とのねじ込み方向の位置決めが
行われている。
【0097】植込みボルト80はフランジ17の孔17
Aに挿入されている。そして、ナット側雌ねじ部80に
はナット81が螺着され、ナット81の締め付けによ
り、カップリングケース7とフランジ17とが相互に固
定されている。なお、フランジ17とナット81との間
にはワッシャ82が介在されている。
【0098】さらに、カップリングケース7と回転子2
7との結合機構について説明する。外筒部30の外周に
はナット83がねじ結合されている。そして、ナット8
3とカップリングケース7との対向面同士が当接されて
いる。このため、カップリングケース7が、図中右側に
押圧された場合は、その荷重に対応する反力がナット8
3に生じる。その結果、カップリングケース7と回転子
27のねじ部のガタ分だけ、回転子27がカップリング
ケース7に対して移動することが抑制される。このた
め、カップリングケース7の軸線A1方向の荷重によ
り、メインクラッチ50およびパイロットクラッチ49
の伝達トルクが変動することが抑制される。その他の構
成は図1および図2の実施例と同様である。
【0099】ここで、図6および図7の構成と、この発
明の構成との対応関係を説明する。すなわち、デファレ
ンシャルキャリヤ1とカバー6とが、この発明の固定部
材に相当し、カップリングケース7と回転子27とがこ
の発明の第1回転部材に相当する。また、シャフト20
とドライブピニオンシャフト2とがこの発明の第2回転
部材に相当し、パイロットクラッチ49がこの発明のク
ラッチ機構に相当し、外筒部30と内筒部28とが、こ
の発明の磁性体に相当する。
【0100】さらに、突出部69と回り止めピン72と
がこの発明の回り止め機構に相当する。さらにまた、軸
受41がこの発明の第1軸受に相当し、円筒部65と凹
部66とがこの発明の位置決め機構に相当する。
【0101】このように、図6および図7に示された駆
動力伝達装置においても、電磁石35に供給される電流
の有無により、トルクの伝達または遮断が制御される。
また、図6および図7に示された駆動力伝達装置におい
ては、凹部66と円筒部65との嵌合により、電磁石3
5とデファレンシャルキャリヤ1との半径方向の位置決
めが行われている。そして、単一の軸受41によりギャ
ップE1,F1が設定されている。ここで、軸受41は
装着される部材と支持する部材との半径方向の相対位置
を正確に設定することのできる寸法精度を本来備えてい
るため、ギャップE1,F1の設定精度が可及的に向上
する。したがって、メインクラッチ50の係合力、言い
換えればトルク容量の制御が容易になり、カップリング
ケース7からシャフト20およびドライブピニオンシャ
フト2に伝達される駆動力の伝達機能が向上する。
【0102】また、図6および図7の実施例では、軸受
41と円筒部65と凹部66とが半径方向にオーバーラ
ップして配置されている。言い換えれば、軸受41と円
筒部65と凹部66とが、軸線A1を中心として同心状
に配置されている。このため、軸線A1方向における軸
受41および円筒部65ならびに凹部66の配置スペー
スが抑制される。したがって、駆動力伝達装置を軸線A
1方向において可及的に小型化することができる。
【0103】さらに、図6および図7の実施例では、円
筒部65と凹部66との嵌合により、デファレンシャル
キャリヤ1に対する電磁石35の半径方向の位置決めが
行われている。つまり、デファレンシャルキャリヤ1と
電磁石35とを半径方向に位置決めするために軸受など
の部品を必要としない。したがって、駆動力伝達装置の
部品点数が抑制され、駆動力伝達装置の製造工数の低減
と、駆動力伝達装置の軽量化と、駆動力伝達装置の製造
コストの低減とを図ることができる。
【0104】図8は他の実施例を示す部分的な正面半断
面図である。この図8は、図6および図7に示された回
り止め機構と、電磁石の位置決め機構とを変更した場合
の実施例である。
【0105】まず、電磁石35の半径方向の位置決め機
構について説明する。デファレンシャルキャリヤ1には
軸線A1を中心とする円筒部84が形成されている。一
方、鉄心36には軸線A1を中心とする円筒部85が形
成されている。そして、円筒部84の外周に円筒部85
が嵌合されて、デファレンシャルキャリヤ1に対する電
磁石35の半径方向の位置決めが行なわれている。
【0106】さらに、外筒部30と円筒部85との間に
は、軸受(ラジアル軸受)41が配置され、軸受41に
より電磁石35と回転子27とが相対回転可能に構成さ
れている。上記位置決め機構および軸受41により、ギ
ャップE1,F1が設定されている。軸受41は、外筒
部30に取り付けられたスナップリング43、および円
筒部85に取り付けられたスナップリング42により、
軸線A1方向に位置決めされている。
【0107】また、円筒部85の内周側には、環状のシ
ム35Yおよび環状のコニカルスプリング35Xが配置
されている。このコニカルスプリング35Xの弾性力に
より鉄心36が図中左方向に付勢されている。
【0108】つぎに、電磁石35の回り止め機構につい
て説明する。デファレンシャルキャリヤ1には孔86が
形成され、孔86には回り止めピン87が嵌合されてい
る。一方、円筒部85には切欠部88が形成され、回り
止めピン87の先端が切欠部88に挿入されている。そ
して、回り止めピン87と円筒部85との係合力によ
り、電磁石35の回り止めが行なわれる。これらの回り
止め機構は、開口部1A,6Aに臨み配置されている。
その他の構成は、図6および図7の実施例と同様であ
る。
【0109】ここで、図8の実施例の構成と、この発明
の構成との対応関係を説明する。すなわち、回り止めピ
ン87と切欠部88とがこの発明の回り止め機構に相当
する。さらにまた、軸受41がこの発明の第1軸受に相
当し、円筒部84と円筒部85とがこの発明の位置決め
機構に相当する。そして、図8の実施例においても、図
6および図7の実施例と同様の効果を得られる。
【0110】図9および図10は、請求項2および請求
項3ならびに請求項4の発明に対応する駆動力伝達装置
の実施例を示す正面半断面図である。図9および図10
の実施例と、図6および図7の実施例とを比較した場
合、電磁石35の構成と、電磁石35の回り止め機構と
が相違している。
【0111】具体的には、電磁石35の鉄心36の外周
に結合部89が形成されている。すなわち、鉄心36と
結合部89とが磁性材料により一体化されている。この
結合部89は、デファレンシャルキャリヤ1側に向けて
突出している。また、結合部89は有底円筒状に構成さ
れ、結合部89の軸線G1と、軸線A1とが平行に配置
されている。また、結合部89の外周には環状の取付溝
90が形成され、取付溝90にはOリング91が取り付
けられている。
【0112】一方、デファレンシャルキャリヤ1には取
付孔92が形成され、結合部89が取付孔92内に嵌合
されている。そして、取付孔92と結合部90との間が
Oリングによりシールされている。このように結合部8
9が取付孔92に嵌合され、結合部89とデファレンシ
ャルキャリヤ1との係合力により、電磁石35が回り止
めされている。これらの回り止め機構は、開口部1A,
6Aに臨み配置されている。また、結合部89の固定孔
93がデファレンシャルキャリヤ1の外部側に開口さ
れ、固定孔93には電線(リード線)を接続するための
コネクタ94が固定されている。なお、その他の構成は
図6および図7の実施例と同様である。
【0113】ここで、図9および図10の実施例の構成
と、この発明との対応関係を説明する。すなわち、コネ
クタ94と結合部89と取付孔92とがこの発明の回り
止め機構に相当する。つまり、この回り止め機構は、デ
ファレンシャルキャリヤ1とカバー6との当接面の内側
に配置されている。
【0114】このように、図9および図10に示された
駆動力伝達装置においても、図6および図7の実施例と
同様の構成部分については、図6および図7の実施例と
同様の作用効果を得られる。
【0115】また、図9および図10の実施例によれ
ば、格別の部品を用いることなく、電磁石35に一体化
された結合部89により、電磁石35の回り止めが行わ
れる。このため、駆動力伝達装置の部品点数が抑制さ
れ、動力伝達装置の製造工数の低減と、駆動力伝達装置
の軽量化と、駆動力伝達装置の製造コストの低減とを図
ることができる。
【0116】さらに、図9および図10の実施例によれ
ば、結合部89にコネクタ94が取り付けられている。
このため、結合部89を取付孔92に嵌合させるだけ
で、デファレンシャルキャリヤ1に対するコネクタ94
の取り回しと、デファレンシャルキャリヤ1に対する電
磁石35の回り止めと、結合部89の外周のシールとを
完了させることができる。したがって、駆動力伝達装置
の組み立て作業性が向上し、かつ、駆動力伝達装置の組
み立て工数が低減される。
【0117】図11は、請求項2または請求項3の発明
に対応する実施例を示す正面半断面図である。図11の
実施例では、電磁石35の鉄心36の外周に突出部95
が形成され、この突出部95に電線38が埋め込まれて
いる。また、カバー6とデファレンシャルキャリヤ1と
の突き合わせ端面には貫通溝47が形成され、電線38
が貫通溝47に挿入されている。
【0118】さらに、デファレンシャルキャリヤ1の内
周には、一対の係止爪96が円周方向に形成され、突出
部95が一対の係止爪96の間に配置されている。つま
り、突出部95と一対の係止爪96との係合により、電
磁石35の回り止めが行われている。これら、突出部9
5および一対の係止爪96などの回り止め機構が、開口
部1A,6Aに臨み配置されている。
【0119】一方、シャフト20が円筒形状に構成さ
れ、シャフト20の一端側の内周にドライブピニオンシ
ャフト2がスプライン嵌合されている。また、カップリ
ングケース7におけるフランジ17側の端部に開口部9
7が形成され、開口部97には盲蓋98が嵌合されてい
る。さらに、カップリングケース7の小径円筒部9の内
周にXリング99が取り付けられ、Xリング99によ
り、カップリングケース7とシャフト20との間が液密
にシールされている。
【0120】さらに、カップリングケース7と回転子2
7とシャフト20とにより取り囲まれた空間が、Oリン
グ33およびXリング32ならびにXリング99により
液密にシールされ、カップリングオイル室D1を形成し
ている。その他の構成は、図1の実施例または図6の実
施例と同様である。具体的には、カップリングケース7
とフランジ17との固定機構が、図1の実施例と同様に
構成されている。また、デファレンシャルキャリヤ1に
対する電磁石35の半径方向の位置決め機構が、図6の
実施例と同様に構成されている。
【0121】ここで、図11の実施例とこの発明の構成
との対応関係を説明する。突出部95と一対の係止爪9
6とがこの発明の回り止め機構に相当する。つまり、回
り止め機構が、カバー6とデファレンシャルキャリヤ1
との当接面の内周側に配置されている。
【0122】そして、図11の実施例によれば、図1の
実施例と同様の構成部分については図1の実施例と同様
の作用効果を得られ、図6の実施例と同様の構成部分に
ついては図6の実施例と同様の作用効果を得られる。ま
た、図11の実施例によれば、鉄心36の外周に突出部
95が半径方向に突出され、突出部95の外側に貫通溝
47が形成されている。言い換えれば、突出部95と貫
通溝47との間に障害物が存在しない。このため、電線
38をほぼ直線状に取り回すことができ、駆動力伝達装
置の組み立て作業性が向上する。
【0123】図12は、請求項2または請求項6の発明
に対応する実施例の正面断面図である。図12の実施例
と、図1ないし図11の実施例との相違点は、カップリ
ングケース7の外側にカバーが配置されていないことに
ある。すなわち、電磁石35を構成する環状の鉄心10
0の外周にはフランジ101が形成されている。フラン
ジ101には円周方向に複数の軸孔102が形成されて
いる。
【0124】また、鉄心100の内周と、回転子27の
内筒部28との間には軸受41が配置されている。この
軸受41によりギャップE1,F1が設定されている。
さらに、カップリングケース7の内周にはオイルシール
103が取り付けられている。
【0125】一方、フランジ101におけるデファレン
シャルキャリヤ1側の端面には、軸線A1を中心とする
円筒部104が形成され、円筒部104の外周にはOリ
ング105が取り付けられている。そして、デファレン
シャルキャリヤ1には円周方向に複数の雌ねじ106が
形成され、軸孔102に挿入されたボルト107が雌ね
じ106にねじ込まれて締め付けられている。
【0126】つまり、ボルト107により電磁石35が
半径方向に位置決めされ、かつ、ボルト107により電
磁石35が回り止めされている。そして、Oリング10
5により、デファレンシャルキャリヤ1と鉄心101と
の間が液密にシールされている。つまり、図11の実施
例ではデファレンシャルオイル室B1が、Xリング32
とOリング105とオイルシール105とによりシール
されている。その他の構成は図1および図2の実施例と
同様である。
【0127】ここで、図11の実施例とこの発明の構成
との対応関係を説明する。すなわち、フランジ101と
ボルト107とがこの発明の回り止め機構に相当し、フ
ランジ101とボルト107とがこの発明の位置決め機
構に相当する。
【0128】このように、図12に示された駆動力伝達
装置においても、電磁石35に供給される電流の有無に
より、トルクの伝達または遮断が制御される。また、図
12の実施例によれば、単一の軸受41によりギャップ
E1,F1が設定されているため、ギャップE1,F1
の設定精度が可及的に向上する。したがって、メインク
ラッチ50の係合力、言い換えればトルク容量の制御が
容易になり、カップリングケース7からシャフト20お
よびドライブピニオンシャフト2に伝達される駆動力の
伝達機能が向上する。
【0129】さらに、図12の実施例では、デファレン
シャルキャリヤ1と円筒部104との嵌合により、デフ
ァレンシャルキャリヤ1に対する電磁石35の半径方向
の位置決めが行われている。つまり、デファレンシャル
キャリヤ1と電磁石35とを半径方向に位置決めするた
めに軸受などの部品を必要としない。したがって、駆動
力伝達装置の部品点数が抑制され、駆動力伝達装置の軽
量化と、駆動力伝達装置の組み立て工数の低減と、駆動
力伝達装置の製造コストの抑制とを図ることができる。
【0130】さらにまた、図12の実施例では、カップ
リングケース7の後端側が、回転子27および電磁石3
5を介してデファレンシャルキャリヤ1に間接的に支持
されている。このため、図1ないし図11の実施例に示
されたカバーを設ける必要がなく、駆動力伝達装置の部
品点数が抑制される。したがって、駆動力伝達装置の軽
量化と、駆動力伝達装置の組み立て工数の低減と、駆動
力伝達装置の製造コストの抑制とを図ることができる。
また、カバーが無いため、メインクラッチ50およびパ
イロットクラッチ49ならびに電磁石35の放熱性が向
上する。
【0131】つぎにこの発明のさらに他の実施例を図1
3ないし図15に基づいて説明する。図13ないし図1
5は、請求項6ないし請求項8の発明のいずれかに対応
する実施例である。この実施例では、車両の駆動軸と従
動軸との間等のように、車両の両回転軸間に駆動力伝達
装置が配設されている。そして、両回転軸間のトルク伝
達を行うために、駆動力伝達装置が、電磁的に作動を制
御する電磁石(電磁手段)を備えている。
【0132】従来、電磁的に作動を制御する電磁手段を
有する駆動力伝達装置の一形式として、特開平3−21
9123号公報に記載された連結装置が提案されてい
る。この公報に記載された連結装置は、互いに同軸的、
かつ、相対回転可能に位置する内側回転部材および外側
回転部材の間に配設されたメインクラッチ機構と、電磁
式パイロットクラッチ機構と、同パイロットクラッチ機
構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する摩擦
係合力に変換するカム機構とを備えた形式の車両用駆動
力伝達装置である。
【0133】当該形式の駆動力伝達装置においては、前
記パイロットクラッチ機構が、同パイロットクラッチ機
構を構成する電磁コイルへの通電により作動して、前記
メインクラッチ機構を摩擦係合させて前記両回転部材間
のトルク伝達を行うものである。例えば、この駆動力伝
達装置が、四輪駆動車のプロペラシャフトを構成する駆
動軸と従動軸との間に配設され、これら両軸間のトルク
伝達を行うべく機能する。
【0134】ところで、当該形式の駆動力伝達装置にお
いては、電磁コイルへの通電が不可欠であることから、
電磁コイルと電源とを接続する必要がある。このため、
電磁コイルを、駆動力伝達装置を構成する外側回転部材
や内側回転部材に固定することはできない。そこで、上
記公報に示されているように、駆動力伝達装置が、トラ
ンスファーまたはディファレンシャルの内部に組込まれ
ている。具体的には、電磁コイルを、トランスファーの
ケース、またはディファレンシャルのケースに固定する
か、駆動力伝達装置を専用のケースに収容して、電磁コ
イルを同ケースに固定する機構が採用されている。
【0135】このため、当該形式の駆動力伝達装置は、
専用のケースに収容しない状態では、その配設位置が、
トランスファー内またはディファレンシャル内等に限定
される不都合がある。特に、四輪駆動車を構成する場合
に、駆動力伝達装置をプロペラシャフトの途中に配設す
ることはできない。また、車両の所望の場所に配設する
場合には、駆動力伝達装置を収容する専用のケースを作
製する必要がある。かつ、駆動力伝達装置を収容した専
用のケースを、特殊な取付け手段により車体に固定しな
ければならないという問題がある。
【0136】そこで、図13ないし図15の実施例の目
的は、当該形式の駆動力伝達装置を、専用のケースに収
容することなく、車両の所望の場所に配設し得るように
することにある。また、望ましくは、駆動力伝達装置
を、四輪駆動車におけるプロペラシャフトの途中に配設
し得るようにすることにある。
【0137】以下、図13ないし図15の実施例を具体
的に説明する。図13には、本発明に係る駆動力伝達装
置200の一例が示されている。当該駆動力伝達装置2
00は、電磁的に作動を制御する電磁石(電磁手段)2
01を有する。この駆動力伝達装置200は、図14に
示すように、四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達
経路に配設されている。
【0138】当該車両において、エンジン202の出力
側にはトランスアクスル203が連結されている。トラ
ンスアクスル203は、トランスミッション(図示せ
ず)およびトランスファ(図示せず)を備えている。ト
ランスアクスル203の出力側にはフロントデファレン
シャル204が配置されている。
【0139】そして、エンジン202から出力されたト
ルクが、トランスアクスル203およびおよびフロント
ディファレンシャル204を介して両アクスルシャフト
205に伝達されて両前輪206が駆動される。また、
フロントディファレンシャル204に伝達されたトルク
の一部が、第1プロペラシャフト207に伝達される。
【0140】第1プロペラシャフト207は、駆動力伝
達装置200を介して第2プロペラシャフト208に連
結されている。そして、第1プロペラシャフト207と
第2プロペラシャフト208とがトルク伝達可能に連結
された場合は、エンジン202のトルクがリアデファレ
ンシャル209に伝達される。リヤデファレンシャル2
09に伝達されたトルクが、両アクスルシャフト210
へ出力されて両後輪211が駆動される。当該車両にお
いては、第1プロペラシャフト207が駆動軸を構成す
るとともに、第2プロペラシャフト208が従動軸を構
成している。
【0141】そして、駆動力伝達装置200は図13に
示すように、外側回転部材であるアウタハウジング21
2と、内側回転部材であるインナシャフト213と、メ
インクラッチ機構214と、パイロットクラッチ215
機構と、カム機構216とを備えている。
【0142】アウタハウジング212は、軸線A1を中
心とする有底円筒状のアウタケース217と、アウタケ
ース217の一端開口部に螺着され、かつ、同開口部を
覆蓋する環状のカバー体218とを備えている。カバー
体218は磁性材料により構成されている。インナシャ
フト213は、カバー体218の中央部を液密的に貫通
してアウタケース217内に延びている。また、インナ
シャフト218は軸線A1を中心として配置され、軸線
A1方向の移動を規制された状態で回転可能に支持され
ている。さらに、インナシャフト213とカバー体21
8との間には、シールリング219が配置されている。
さらにまた、インナシャフト213とカバー体218と
の間には、ブッシュ220が配置されている。
【0143】前記アウタハウジング212におけるアウ
タケース217の先端部には、第1プロペラシャフト2
07が固着されている。すなわち、アウタケース217
の端面に植込みボルト217Aが植え込まれ、植込みボ
ルト217Aにナット217Bが螺着されている。ま
た、インナシャフト213の内孔221内には、第2プ
ロペラシャフト208がトルク伝達可能にスプライン嵌
合されている。
【0144】ここで、第1プロペラシャフト207を支
持する支持機構222の構成を説明する。この支持機構
222は、第1プロペラシャフト207を回転可能に支
持した軸受(インナリング)223と、軸受223の外
側に配置された環状のアウタリング224と、軸受22
3とアウタリング224とを連結したゴム製の制振材2
25と、アウタリング224および制振材225の外周
側に固定され、かつ、車体226の下面に取り付けられ
るブラケット227とを備えている。
【0145】前記メインクラッチ機構214は多板式の
もので、複数のクラッチディスク228およびクラッチ
プレート229を備えている。各クラッチプレート22
9はその外周側にて、アウタケース217の内周側に設
けたスプラインに嵌合されている。つまり、複数のクラ
ッチプレート229は、アウタケース217と一体回転
可能で、かつ、軸線A1方向に移動可能に組み付けられ
ている。
【0146】また、各クラッチディスク228はその内
周側にて、インナシャフト213の中間部の外周に設け
たスプラインに嵌合されている。つまり、各クラッチデ
ィスク228は、インナシャフト213と一体回転可能
であり、かつ、軸線A1方向に移動可能に組み付けられ
ている。
【0147】そして、各クラッチディスク228と各ク
ラッチプレート229とが交互に配置され、アウターケ
ース217の底部側に嵌合した環状のリテーナ230に
より受承されるように構成されている。そして、各クラ
ッチディスク228と各クラッチプレート229とが互
いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して開
放状態になる。
【0148】なお、リテーナ230の内周および外周に
はシールリング231が取付けられ、リテーナ230と
アウタケース217との間がシールリング231により
液密にシールされている。また、アウタケース217の
内周にはシールリング232が取付けられ、アウタケー
ス217とインナシャフト213との間がシールリング
232により液密にシールされている。さらに、カバー
体218の外周にもシールリング233が取付けられ、
カバー体218とアウタケース217との間がシールリ
ング233により液密にシールされている。
【0149】そして、アウタケース217とインナシャ
フト213とカバー体218とにより取り囲まれた空間
が、各種のシールリング219,231,232,23
3により液密に維持され、カップリングオイル室234
を形成している。このカップリングオイル室234の内
部には、前記メインクラッチ機構214とパイロットク
ラッチ機構215とカム機構216とが配置されてい
る。また、カップリングオイル室234にはオイル(図
示せず)が封入されている。
【0150】前記パイロットクラッチ機構215は電磁
式のもので、クラッチディスク235と、複数のクラッ
チプレート236と、アーマチュア237と、電磁コイ
ル238とを備えている。パイロットクラッチ機構21
5において、クラッチディスク238はその内周側に
て、カム部材239の外周に設けたスプラインに嵌合さ
れている。つまり、クラッチディスク238は、カム部
材239と一体回転可能であり、かつ、軸線A1方向に
移動可能に組み付けられている。
【0151】また、各クラッチプレート236はその外
周側にて、アウタケース217の内周に設けたスプライ
ンに嵌合されている。各クラッチプレート236によ
り、クラッチディスク235を挟んだ状態になってい
る。このようにして、各クラッチプレート236は、ア
ウタケース217と一体回転可能であり、かつ、軸線A
1方向に移動可能に組み付けられている。
【0152】前記アーマチュア237はリング状に構成
され、このアーマチュア237が、アウタケース217
に固定したストッパリング240とクラッチプレート2
36との間に配置されている。このようにして、アーマ
チュア237が軸線A1方向に移動可能に組み付けられ
ている。また、電磁コイル238はコイルケース241
に埋設されてコイルケース238と一体化されている。
この電磁コイル238とコイルケース241とにより電
磁石201が構成されている。
【0153】この電磁石201は、カバー体218の外
側面に設けた環状凹所242Aに配置されている。そし
て、コイルケース241の内周とカバー体218との間
には軸受242が配置され、軸受242によりコイルケ
ース241が回転可能に支持されている。さらに、軸受
242により、コイルケース241とカバー体218と
が半径方向に位置決めされている。つまり、コイルケー
ス241の内外周面と、カバー体218との間に形成さ
れるエアギャップE1,F1が、軸受242により設定
されている。
【0154】また、図13および図15に示すように、
コイルケース241は、取付機構243により車体22
6の下面側(外側)に取り付けられている。この取付機
構243は、ゴム製の弾性部材244と、2本の取付ボ
ルト245,256とから構成されている。弾性部材2
44には各取付ボルト245,256が植設されてい
る。そして、一方の取付ボルト245をコイルケース2
41に螺着し、他方の取付ボルト256を車体226の
下面に螺着することにより、コイルケース241が車体
226の下面に取付けられている。このように弾性部材
244は、組み付け性の向上のため、各取付ボルト24
5,256を螺着した後、取付けられるようになってい
る。
【0155】前記パイロットクラッチ機構215におい
ては、電磁コイル238への通電により、カバー体21
8と各クラッチプレート236とクラッチディスク23
5とアーマチュア237との間に磁路が形成される。す
ると、アーマチュア237が磁気誘導作用により電磁コ
イル238側に引き付けられる。このため、アーマチュ
ア237が、クラッチディスク235およびクラッチプ
レート236をカバー体218に対して押圧する。その
結果、クラッチディスク235とクラッチプレート23
6とが互いに摩擦係合される。
【0156】前記カム機構216は、環状の第1カム部
材239と、環状の第2カム部材257と、カムフォロ
ワー258とから構成されている。第1カム部材239
はインナシャフト213の外周に回転可能に組み付けら
れている。また、第1カム部材239の外周に設けた外
スプラインには、クラッチディスク235の内周側が嵌
合している。また、第2カム部材257はインナシャフ
ト213の外周に一体回転可能に、かつ、軸線A1方向
に移動可能に組み付けられている。さらに、第2カム部
材257は、ストッパリング240と、メインクラッチ
機構214のクラッチプレート229との間に配置され
ている。
【0157】また、第1カム部材239および第2カム
部材257の互いに対向する面に、円周方向に所定間隔
をおいて多数のカム溝259,260が形成されてい
る。各カム溝259,260はほぼV字状を呈するもの
で、互いに対向するカム溝259,260同士の間にボ
ール状のカムフォロワー258が嵌合されている。この
状態において、第1カム部材239はニードルベアリン
グ261を介してカバー体218に受承され、また第2
カム部材257はニードルベアリング262を介してク
ラッチプレート229に受承されている。
【0158】これにより、カム機構216は、両カム部
材239,257に相対回転が生じると、両カム溝25
9,260とカムフォロワー258との作用により、第
2カム部材257が図中左方向に移動する。すると、第
2カム部材257により、メインクラッチ機構214の
クラッチディスク228とクラッチプレート229とが
押圧され、クラッチディスク228とクラッチプレート
229とが摩擦係合する。
【0159】ここで、図13ないし図15の実施例と、
この発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、ア
ウタハウジング212とカバー体218とがこの発明の
第1回転部材に相当し、インナシャフト213がこの発
明の第2回転部材に相当し、カバー体218がこの発明
の磁性体に相当し、車体226がこの発明の固定部材に
相当する。また、取付機構243が、この発明の回り止
め機構および位置決め機構および支持機構に相当する。
さらに、第1プロペラシャフト207がこの発明の駆動
側シャフトに相当し、第2プロペラシャフト208がこ
の発明の従動側シャフトに相当する。
【0160】このように構成した駆動力伝達装置200
は、例えば図14に示すように、アウタハウジング21
2が第1プロペラシャフト207に取付けられる。ま
た、インナシャフト213が第2プロペラシャフト20
8に取付けられて、四輪駆動車の後輪211側への駆動
力伝達装置として機能する。
【0161】当該駆動力伝達装置200においては、パ
イロットクラッチ機構215の電磁コイル238が非通
電状態にある場合は、パイロットクラッチ機構215と
カム機構216とメインクラッチ機構214とが非作動
の状態にある。このため、第1プロペラシャフト207
からアウタハウジング212に伝達されるトルクは、イ
ンナシャフト213および第2プロペラシャフト208
には伝達されない。
【0162】一方、パイロットクラッチ機構215の電
磁コイル238に通電されると、アーマチュア237が
電磁誘導作用により電磁コイル238側に引き付けられ
る。このため、アーマチュア238がクラッチディスク
235およびクラッチプレート236をカバー体218
に対して押圧し、クラッチディスク235とクラッチプ
レート236とを互いに摩擦係合させる。
【0163】この結果、カム機構216を構成する第1
カム部材239と第2カム部材257との間に相対回転
が生じる。すると、両カム溝259,260とカムフォ
ロワー258との作用により、第2カム部材257がメ
インクラッチ機構214側に押圧される。このため、メ
インクラッチ機構214のクラッチディスク228とク
ラッチプレート229とが摩擦係合する。その結果、第
1プロペラシャフト207からアウタハウジング212
に伝達されるトルクが、クラッチディスク228および
クラッチプレート229を介して、インナシャフト21
3および第2プロペラシャフト208に伝達される。
【0164】上記動作中、パイロットクラッチ機構21
5の摩擦係合力は、電磁コイル238に付与される電流
値に比例して増大する。そして、電流値の増大に応じて
カム機構216にて発生する押圧力が増大し、メインク
ラッチ機構214の摩擦係合力が増大し、アウタハウジ
ング212からインナシャフト213に伝達されるトル
クは漸次増大する。
【0165】ところで、当該駆動力伝達装置200は、
電磁コイル238をコイルケース241に埋設した状態
で、アウタハウジング212のカバー体218に回転可
能に組み付けて、車体226の下面(外側)に固定する
構成である。このため、駆動力伝達装置200を専用の
ケースに収容することなく、そのままの状態で、かつ駆
動力伝達機能を全く損なうことなく、車両の所望の場所
に配置することができる。
【0166】また、電磁コイル238を任意の位置に固
定する場合には、弾性部材244を介して固定してい
る。このため、弾性部材244が車体226側の振動を
吸収または緩衝して、駆動力伝達装置200におけるコ
イルケース241の組み付け部位への悪影響を防止す
る。
【0167】したがって、アウタハウジング212を第
1プロペラシャフト207に連結し、インナシャフト2
13を第2プロペラシャフト208に連結して、プロペ
ラシャフトの途中に配設することができる。このため、
専用のケースを要することなく、かつトランスファーや
デファレンシャルを改装することなく駆動力伝達装置2
00を搭載することが可能になり、四輪駆動車をコンパ
クトに構成することができる。
【0168】さらに、駆動力伝達装置200において
は、カバー体218と電磁石201との間に配置された
単一の軸受242によりエアギャップE1,F1が設定
される。ここで、軸受242は装着される部材と支持す
る部材との半径方向の相対位置を正確に設定することの
できる寸法精度を本来備えているため、エアギャップE
1,F1の設定精度が可及的に向上する。したがって、
メインクラッチ機構214の係合力、言い換えればトル
ク容量の制御が容易になり、駆動力の伝達機能が向上す
る。
【0169】図16には、当該駆動力伝達装置200に
おいて、電磁コイル238を埋設したコイルケース24
1を、異なる取付機構263を採用して車体226の下
面(外側)に取付けた例が示されている。取付機構26
3は、第1プロペラシャフト207を支持する支持機構
222とほぼ同一に構成されている。取付機構263と
支持機構222とは、半径方向の寸法が異なる。
【0170】つまり、取付機構263は、コイルケース
241の外周に固定されたインナリング264と、イン
ナリング264の外側に配置された環状のアウタリング
265と、インナリング264とアウタリング265と
を連結したゴム製の制振材266と、アウタリング26
5および制振材266の外周側に固定され、かつ、車体
226の下面(外側)に取り付けられるブラケット26
7とを備えている。そして、取付機構263により、電
磁石201の半径方向の位置決めおよび回り止めが行な
われている。その他の構成は図13ないし図15の実施
例と同様である。
【0171】ここで、図16の実施例と、この発明の構
成との対応関係を説明する。すなわち、取付機構263
が、この発明の回り止め機構および位置決め機構および
支持機構に相当する。そして、図16の実施例において
も、図13ないし図15の実施例と同様の作用効果を得
られる。
【0172】図17は、当該駆動力伝達装置200にお
いて、電磁コイル238を埋設したコイルケース241
を、取付機構268を介して、四輪駆動車のデファレン
シャルキャリヤ269の外部に取付けた例が示されてい
る。この取付機構268は、図13および図15に示さ
れた取付機構243と類似する構成を備えている。
【0173】すなわち、取付機構268は、ゴム製の弾
性部材270と、2本のボルト271,272とから構
成されている。各取付ボルト271,272が弾性部材
270に植設されている。そして、取付ボルト271を
コイルケース241の外端面に螺着し、かつ、取付ボル
ト272をデファレンシャルキャリヤ269の外壁に螺
着することにより、コイルケース241がデファレンシ
ャルキャリヤ269の外側に取付けられている。なお、
この実施例では、デファレンシャルキャリヤ269の内
部に配置されているドライブピニオンシャフト273の
先端が、インナシャフト213の内孔221にスプライ
ン嵌合されている。
【0174】ここで、図17の実施例と、この発明の構
成との対応関係を説明する。すなわち、取付機構268
が、この発明の回り止め機構および位置決め機構および
支持機構に相当し、デファレンシャルキャリヤ269が
この発明の固定部材に相当する。そして、図17の実施
例においても、図13ないし図15の実施例と同様の作
用効果を得られる。
【0175】なお、特に図示しないが、電磁石を支持す
る取付機構として、図13および図16ならびに図17
に示された取付機構とは異なる構成の取付機構により、
コイルケースを車体側、デファレンシャルキャリヤ側に
固定する場合もある。この場合においても、図13およ
び図16ならびに図17に示された取付機構を採用した
場合と同様の作用効果を奏するものである。
【0176】ここで、上記の具体例における特徴的な構
成を列挙すれば、以下のとおりである。すなわち、図1
ないし図5に開示された第1の特徴的な構成は、相対回
転可能に配置された第1回転部材および第2回転部材
と、この第1回転部材と第2回転部材とのトルク伝達を
制御するクラッチ機構と、このクラッチ機構を係合・解
放させる電磁力を発生する電磁石と、この電磁石にギャ
ップを介して配置される磁性体とを備えた駆動力伝達装
置において、前記電磁石および前記磁性体が配置される
空間を周囲の空間から流体密に隔てて空気室(電磁石収
納室)を形成する隔離機構とを備えている。第1の特徴
的な構成の隔離機構としては、カップリングケースとシ
ャフトと回転子とオイルシールとOリングとシール軸受
とが例示される。
【0177】また、図1ないし図5に開示された第2の
特徴的な構成は、相対回転可能に配置された第1回転部
材および第2回転部材と、この第1回転部材と第2回転
部材とのトルク伝達を制御するクラッチ機構と、このク
ラッチ機構を制御する電磁力を発生する電磁石と、前記
クラッチ機能の機能を保持するオイルとを備えた駆動力
伝達装置において、前記クラッチ機構が配置された空間
を周囲の空間から液体密に隔ててオイル室を形成する隔
離機構を備えている。第2の特徴的な構成の隔離機構と
しては、カップリングケースとシャフトと回転子とXリ
ングとOリングとが例示される。
【0178】さらに、図13ないし図17に開示された
第3の特徴的な構成は、電磁的に作動を制御する電磁手
段を有する駆動力伝達装置において、当該駆動力伝達装
置をプロペラシャフト上に配置するとともに、前記電磁
手段を車両を構成するボデーまたはケース外側にて支持
したことを特徴とする車両用の駆動力伝達装置である。
【0179】さらにまた、図13ないし図17に開示さ
れた第4の特徴的な構成は、互いに同軸的かつ相対回転
可能に位置する内側回転部材および外側回転部材間に配
設されたメインクラッチ機構と、電磁式パイロットクラ
ッチ機構と、同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を
前記メインクラッチ機構に対する摩擦係合力に変換する
カム機構とを備え、前記パイロットクラッチ機構の作動
により前記メインクラッチ機構を摩擦係合させて前記両
回転部材間のトルク伝達を行うようにした形式の車両用
駆動力伝達装置において、前記パイロットクラッチ機構
を構成する電磁コイルを、前記内外両回転部材の一方ま
たは両者間に回転可能に組付けるとともに、車体または
同車体側の固定部材に対して弾性部材を介して固定した
ことを特徴とするものである。
【0180】さらにまた、図13ないし図17に開示さ
れた第5の特徴的な構成は、電磁コイルを内外両回転部
材の一方または両者間に回転可能に組付けて、車両の任
意の位置に固定することができるように構成している。
このため、駆動力伝達装置を専用のケースに収容するこ
となくそのままの状態で、かつ何等機能を全く損なうこ
となく、車両の所望の場所に配設することができる。ま
た、電磁コイルを車両の任意の位置に固定する場合に
は、弾性部材を介して固定しているため、弾性部材が車
体側の振動を吸収または緩衝して、駆動力伝達装置にお
ける電磁コイルの組付け部位への悪影響を防止する。
【0181】さらにまた、図13ないし図17に開示さ
れた第6の特徴的な構成は、当該駆動力伝達装置におい
ては、内外両回転部材の一方をプロペラシャフトを構成
する駆動側シャフトに連結し、内外両回転部材の他方を
プロペラシャフトを構成する従動側シャフトに連結して
いる。このため、駆動力伝達装置をプロペラシャフトの
途中に配設することができる。したがって、専用のケー
スを要することなく、かつトランスファーやディファレ
ンシャルを改装することなく、四輪駆動車をコンパクト
に構成することができる。
【0182】さらにまた、図13ないし図17に開示さ
れた第7の特徴的な構成は、上記駆動力伝達装置におい
て、当該駆動力伝達装置がプロペラシャフトの途中に配
設され、内外両回転部材の一方が前記プロペラシャフト
を構成する駆動側シャフトに連結され、かつ前記内外両
回転部材の他方が前記プロペラシャフトを構成する従動
側シャフトに連結されていることを特徴とするものであ
る。
【0183】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、第1回転部材と電磁石との間に配置された単一
の第1軸受によりギャップが設定される。ここで、第1
軸受は装着される部材と支持する部材との半径方向の相
対位置を正確に設定することのできる寸法精度を本来備
えているため、ギャップの設定精度が可及的に向上す
る。
【0184】したがって、クラッチ機構の係合力、言い
換えればトルク容量の制御が容易になり、第1回転部材
と第2回転部材との間で相互に伝達される駆動力の伝達
機能が向上する。また、第1軸受と第2軸受とが軸線方
向のほぼ同一位置に半径方向にオーバーラップして配置
されている。このため、第1軸受と第2軸受との軸線方
向の配置スペースが可及的に抑制され、駆動力伝達装置
を軸線方向に小型化することが可能になる。
【0185】請求項2の発明によれば、第1回転部材と
電磁石との間に配置された単一の第1軸受によりギャッ
プが設定される。ここで、第1軸受は装着される部材と
支持する部材との半径方向の相対位置を正確に設定する
ことのできる寸法精度を本来備えているため、ギャップ
の設定精度が可及的に向上する。したがって、クラッチ
機構の係合力、言い換えればトルク容量の制御が容易に
なり、第1回転部材と第2回転部材との間で相互に伝達
される駆動力の伝達機能が向上する。
【0186】請求項3の発明によれば、請求項2と同様
の効果を得られる他、固定部材と電磁石とを半径方向に
位置決めするために格別の部品を必要としない。したが
って、駆動力伝達装置の部品点数を抑制することができ
る。
【0187】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
請求項3のいずれかと同様の効果を得られる他、コネク
タにより電磁石の回り止めを行うことができ、部品点数
が抑制される。また、電磁石の回り止めが完了した状態
で、コネクタが固定部材の所定の位置に係合されるた
め、電線をコネクタに接続する作業を容易に行える。
【0188】請求項5の発明によれば、請求項1と同様
の効果を得られる他、第1回転部材が半径方向に高精度
に位置決めされる。したがって、第1回転部材の振動
と、この振動に起因する騒音が抑制される。
【0189】請求項6の発明によれば、請求項2と同様
の効果を得られる他、電磁石が、固定部材の外側で支持
されているため、当該駆動力伝達装置をプロペラシャフ
ト上に配置した状態でも車両に搭載することができる。
【0190】請求項7の発明によれば、請求項2と同様
の効果を得られる他、電磁石が弾性部材を介して固定部
材に取り付けられている。このため、弾性部材が車体側
の振動を吸収または緩衝して、駆動力伝達装置における
電磁石の組付け部位への悪影響を防止する。したがっ
て、駆動力伝達装置を専用のケースに収容することなく
そのままの状態で、かつ何等機能を全く損なうことな
く、車両の所望の場所に配設することができる。
【0191】請求項8の発明によれば、請求項7と同様
の効果を得られる他、第1回転部材が、プロペラシャフ
トを構成する駆動側シャフトに連結され、第2回転部材
が、プロペラシャフトを構成する従動側シャフトに連結
されている。このため、駆動力伝達装置をプロペラシャ
フトの途中に配設することができる。また、専用のケー
スを要することなく駆動力伝達装置を配置することがで
きる。さらに、トランスファーやディファレンシャルを
改装することなく、駆動力伝達装置を配置することがで
き、四輪駆動車をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の駆動力伝達装置の実施例を示す正面
半断面図である。
【図2】図1の駆動力伝達装置の残りの半分を示す正面
半断面図である。
【図3】図1のIII −III 線において、電磁石の円筒部
とデファレンシャルキャリヤの円筒部との構成を示す側
面断面図である。
【図4】図1および図2に示されたメインクラッチを係
合するための構成であり、カムとボールとピストンとの
関係を示す部分的な断面図である。
【図5】この発明の駆動力伝達装置に適用される回り止
め機構および第1軸受ならびに第2軸受の他の構成例を
示す部分的な正面半断面図である。
【図6】この発明の駆動力伝達装置の他の実施例を示す
正面半断面図である。
【図7】図6の駆動力伝達装置の残りの半分を示す正面
半断面図である。
【図8】図6の駆動力伝達装置の構成を部分的に変更し
た他の実施例を示す部分的な正面半断面図である。
【図9】この発明の駆動力伝達装置の他の実施例を示す
正面半断面図である。
【図10】図9の駆動力伝達装置の残りの半分を示す正
面半断面図である。
【図11】この発明の駆動力伝達装置の他の実施例を示
す正面半断面図である。
【図12】この発明の駆動力伝達装置の他の実施例を示
す正面断面図である。
【図13】この発明の一例に係る駆動力伝達装置を示す
一部縦断正面図である。
【図14】この発明の駆動力伝達装置を搭載した四輪駆
動車を示す概略構成図である。
【図15】この発明の駆動力伝達装置を示し、図13の
XV−XV線における右側面断面図である。
【図16】図13の駆動力伝達装置の他の実施例であ
り、電磁石のコイルケースを、異なる取付機構を採用し
て取付けた例を示す一部縦断正面図である。
【図17】図13の駆動力伝達装置の他の実施例であ
り、電磁石のコイルケースをさらに異なる取付機構を採
用して取付けた例を示す一部縦断正面図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャルキャリヤ 2 ドライブピニオンシャフト 6 カバー 7 カップリングケース 13,16,62,63 シール軸受 15 円筒部 20 シャフト 27 回転子 28 内筒部 30 外筒部 32 Xリング 33 Oリング 34 オイルシール 35 電磁石 40 円筒部 41 軸受 44,61 凸部 45,64 凹部 49 パイロットクラッチ 50 メインクラッチ 65 円筒部 66 凹部 69 突出部 70,88 切欠部 72,87 回り止めピン 84 円筒部 85 円筒部 89 結合部 92 取付孔 94 コネクタ 101 フランジ 107 ボルト A1 軸線 E1,F1 ギャップ 200 駆動力伝達装置 201 電磁石 207 第1プロペラシャフト 208 第2プロペラシャフト 212 アウタハウジング 213 インナシャフト 218 カバー体 226 車体 242 軸受 243,263,268 取付機構 269 デファレンシャルキャリヤ 273 ドライブピニオンシャフト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 浩一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大葉 充 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 芦田 敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 加納 盟之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 酒井 俊文 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 宅野 博 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 鈴木 邦彦 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 小久保 直之 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 島田 正幸 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線を中心として相対回転可能に配置さ
    れた第1回転部材および第2回転部材と、この第1回転
    部材と第2回転部材との間のトルク伝達を制御するクラ
    ッチ機構と、このクラッチ機構を係合・解放させる電磁
    力を発生する電磁石と、この電磁石に対してギャップを
    介して配置された磁性体と、前記第1回転部材を支持す
    るために回転不能に配置された固定部材とを備えた駆動
    力伝達装置において、 前記第1回転部材と前記電磁石との間に配置されて前記
    ギャップを設定するように前記電磁石を支持する第1軸
    受と、前記固定部材と前記電磁石との相対回転を防止す
    る回り止め機構と、前記固定部材と前記第1回転部材と
    の間に配置されてこの第1回転部材を支持する第2軸受
    とを備え、前記第1軸受と前記第2軸受とが前記軸線方
    向のほぼ同一位置に半径方向にオーバーラップして配置
    されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 軸線を中心として相対回転可能に配置さ
    れた第1回転部材および第2回転部材と、この第1回転
    部材と第2回転部材との間のトルク伝達を制御するクラ
    ッチ機構と、このクラッチ機構を係合・解放させる電磁
    力を発生し、かつ、前記軸線を中心として配置された環
    状の電磁石と、この電磁石に対してギャップを介して配
    置された磁性体と、前記第1回転部材および前記電磁石
    を保持するために回転不能に配置された固定部材とを備
    えた駆動力伝達装置において、 前記第1回転部材と前記電磁石との間に配置されて前記
    ギャップを設定するように前記電磁石を支持する第1軸
    受と、前記固定部材と前記電磁石との相対回転を防止す
    る回り止め機構と、前記電磁石を前記固定部材に対して
    半径方向に位置決めする位置決め機構とを備えているこ
    とを特徴とする駆動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 前記位置決め機構が、前記電磁石と前記
    固定部材とを相互に嵌合させて、前記電磁石を前記固定
    部材に対して半径方向に位置決めする構成であることを
    特徴とする請求項2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 前記電磁石と、この電磁石に電流を供給
    する電線を接続するためのコネクタとが一体的に設けら
    れ、前記回り止め機構が、前記コネクタと前記固定部材
    とを係合させて前記固定部材と前記電磁石との相対回転
    を防止する構成であることを特徴とする請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 前記固定部材と前記第1回転部材との間
    に配置されてこの第1回転部材を支持する第3軸受を備
    え、前記第1回転部材の軸線方向の一端が前記第2軸受
    により支持され、前記第1回転部材の軸線方向の他端が
    前記第3軸受により支持されていることを特徴とする請
    求項1に記載の駆動力伝達装置。
  6. 【請求項6】 前記電磁石を前記固定部材の外側にて支
    持する支持機構を備えていることを特徴とする請求項2
    に記載の駆動力伝達装置。
  7. 【請求項7】 前記電磁石を前記固定部材に対して取付
    ける弾性部材を備えていることを特徴とする請求項2に
    記載の駆動力伝達装置。
  8. 【請求項8】 前記第1回転部材が、プロペラシャフト
    を構成する駆動側シャフトに連結され、かつ、前記第2
    回転部材が、前記プロペラシャフトを構成する従動側シ
    ャフトに連結されていることを特徴とする請求項7に記
    載の駆動力伝達装置。
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