JP2012118909A - 走行支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制する。
【解決手段】車両進行方向の周辺環境を認識し、認識した周辺環境に対する自車位置と自車姿勢を検出し、これら周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を予め蓄積しておく。そして、蓄積された情報を自車位置に基づいて参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定すると共に、自車位置と自車姿勢に基づいて、自車位置から各参照経路に至るまでの導入経路を算出する。そして、導入経路の算出結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択し、選択した一つの参照経路と、この参照経路に至るまでの導入経路とを合わせて最終的な自車両の走行経路を設定する。
【選択図】図7

Description

本発明は、走行支援装置に関するものである。
CCDカメラやレーザレーダからの情報に基づいて、道路形状や障害物までの距離を認識すると共に、自車両周辺環境の二次元マップを作成し、狭路があるか否か、及び通行できるか否かを判定し、自車両の走行経路を演算して運転支援を行うものがあった(特許文献1参照)。
特開2002−352397号公報
上記特許文献1に記載されたような背景技術では、車速や操舵角など車両情報、並びに自車両周辺環境情報に基づいて、絶えず走行経路の演算を行っているため、計算コストが増大してしまう。
本発明の課題は、走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制することである。
本発明に係る走行支援装置は、車両進行方向の周辺環境を認識し、認識した周辺環境に対する自車位置と自車姿勢を検出し、これら周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を予め蓄積しておく。そして、蓄積された情報を自車位置に基づいて参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定すると共に、自車位置と自車姿勢に基づいて、自車位置から各参照経路に至るまでの導入経路を算出する。そして、導入経路の算出結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択し、選択した一つの参照経路と、この参照経路に至るまでの導入経路とを合わせて最終的な自車両の走行経路を設定する。
本発明に係る走行支援装置によれば、周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積しておき、その情報を随時参照して自車両の走行経路を設定してゆくメモリベースドな技術であるため、走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制することができる。
走行支援装置の概略構成図である。 走行支援装置で実行する演算ブロック図である。 走行履歴保存処理を示すフローチャートである。 走行支援制御処理を示すフローチャートである。 導入経路算出処理を示すフローチャートである。 導入経路算出の参考図である。 走行シーンの一例である。 走行支援装置で実行する第二実施形態の演算ブロック図である。 走行支援装置で実行する第三実施形態の演算ブロック図である。 走行可能領域の一例を示す図である。 狭路度合の異なる参照経路を示す図である。 走行支援装置で実行する第四実施形態の演算ブロック図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第一実施形態》
《構成》
先ず、走行支援装置100の概略構成について説明する。
図1は、走行支援装置の概略構成図である。
図2は、走行支援装置で実行する演算ブロック図である。
走行支援装置100は、車両1に対して前向きに設置されたカメラ2と、走行支援コントローラ3と、車両情報データベース4と、走行履歴データベース5と、ディスプレイ6と、タッチパネル7と、車両コントローラ8と、車両センサ群9と、制御ユニット群10と、を備える。
カメラ2は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたものであり、車両1の車内ミラー部の裏側に、車両前方を撮像可能な方向に設置される。撮像された画像は走行支援コントローラ3へ送られる。
走行支援コントローラ3は、撮像画像を用いた自車位置推定や走行支援経路選択などの処理を行う電子制御ユニットである。走行支援コントローラ3は、他の制御に用いるコントローラと兼用してもよい。走行支援コントローラ3は、一般的なコントローラと同様にCPU、ROM、RAM等で構成され、ROMには後述する各種処理部を実現するプログラムが格納されている。
車両情報データベース4は、車両1やカメラ2に関する各種パラメータが記憶された記憶部である。車両情報データベース4には、例えば車両1の最小旋回半径、車幅、トレッド長、タイヤ半径など、後述する導入経路算出部が必要とする車両モデルに関する情報や、カメラ2の内部パラメータや光軸方向や画角などのカメラ設計値に関する情報が記憶されている。
走行履歴データベース5は、カメラ2で撮像された撮像画像を、撮像時のカメラ位置、車両位置、車両姿勢などの付加情報と併せて記憶する記憶部であり、例えばハードディスク、メモリーカードなどの記憶媒体を用いればよい。
ディスプレイ6は、例えば車両1の室内のセンタコンソールに設置され、走行支援の際に、カメラ画像に自車の予測進路と推奨経路を重畳して表示する。なお、ディスプレイ6は一般にナビゲーション装置に用いるディスプレイと兼用してもよい。
タッチパネル7は、ディスプレイ6の表示部に配置され、ユーザが接触した部位の座標位置や接触箇所の移動軌跡を特定できる一般的なタッチパネルである。本実施形態では、ユーザが、走行支援を開始するかどうかを選択したり、運転支援の中止を指示したりする際に利用される。なお、ユーザからの指示入力インタフェースとしては、タッチパネル7の代わりに、ボタン、マウス、キーボード、音声入力などの入力インタフェースを用いてもよい。
車両コントローラ8は、エンジンやブレーキ等の作動を制御する電子制御ユニットであり、エンジン制御コントローラ、ブレーキ制御コントローラ、電動パワーステアリング制御コントローラ等の制御ユニット群10に接続される。車両コントローラ8は、走行支援コントローラ3からの出力に基づき、アクセル開度、ブレーキ制御量、ステアリング操舵角を算出し、制御ユニット群10に駆動指令を送ることで、走行支援コントローラ3が算出した走行軌跡に沿って車両を制御することが可能である。
車両センサ群9は、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、車速センサ、加速度センサなどの各種車載センサで構成され、走行支援コントローラ3に接続される。走行支援コントローラ3は、車両センサ群9からの各種出力値に基づいて、車両2の車速、加速度、操舵角や、ドライバのアクセル操作量、ブレーキ操作量などを算出するように構成される。
次に、走行支援コントローラ3で実行される演算ブロックについて説明する。
走行支援コントローラ3は、特徴点検出部31と、データ蓄積部32と、自車位置検出部33と、自車姿勢検出部34と、参照経路設定部35と、導入経路算出部36と、参照経路選択部37と、走行支援部38と、を備える。
特徴点検出部31は、カメラ2の撮像画像や、走行履歴データベース5に蓄積された過去の撮像画像に対し、画面内特徴点を検出する。特徴点とは、画面が移動した際に追従可能な点のことを指し、一般的には縦方向、横方向ともに輝度差がある点を指す。検出方法としては、SIFT、 SURF、fast等がある。
データ蓄積部32は、カメラ2の撮像画像と、特徴点検出部により得られた特徴点と、自車位置検出部33で推定される自車位置と、自車姿勢検出部34で推定される自車姿勢とを関連付けて、走行履歴データベース5に保存する。
ここで特徴点は、カメラ2の撮像画像と走行履歴データベース5に蓄積された撮像画像を用いて照合を行うことで、三次元位置計測を行い、さらに世界座標系に変換した上で、保存される。このとき、カメラから特徴点までの位置計測結果はカメラ座標系で表されており、これを世界座標系に変換するためには、世界座標系におけるカメラの位置と、特徴点の三次元構成とを、同時に求めておく必要がある。このように、マップの生成と自車位置の推定を同時に行う手法としては、SLAMが提案されており、これに関しては様々なアルゴリズムが発表されている。カメラを使用したSLAMとしてはMono‐SLAMやPTAM等がある。
自車位置検出部33は、カメラ2の撮像画像と、走行履歴データベース5に蓄積された撮像画像及び特徴点と、車両情報データベース4に蓄積された車両情報と、を用いて自車位置を推定する。
具体的には、先ず事前知識(以前のタイムステップにおける自車位置推定結果や、車両センサ群9から算出される車速、操舵角等の情報)を用いて自車位置の事前推定を実施する。事前推定により自車両の位置と姿勢が得られたら、それに基づいて、走行履歴データベース5に蓄積されている特徴点の中から、カメラ2の撮像画像に写り得る特徴点を選別し、撮像画像内での位置を推定し、その画像内位置推定値を中心として特徴点を画像内で検索を行う。これにより、事前推定値から想定される画像内位置と実際に検出された画像内位置とのずれを検出する。そして、画像内特徴点位置と、自車位置の事前推定値から算出した特徴点位置のずれから、自車位置を算出する。これを事後推定と呼ぶ。ここでは、事前位置推定の結果を、特徴点の位置が実際の計測位置に合うように調整することで事後推定を実施し、最終的な自車位置推定結果を得る。
自車姿勢検出部34は、カメラ2の撮像画像と、走行履歴データベース5に蓄積された撮像画像及び特徴点と、車両情報データベース4に蓄積された車両情報と、を用いて自車姿勢を推定する。この自車姿勢は、自車位置検出部33での演算と同様の手順に従って、自車位置と共に推定されるので、ここでは説明を省略する。
参照経路設定部35は、走行履歴データベース5に蓄積された過去の自車位置の軌跡を複数読込み、参照経路とする。例えば、過去に2回分の走行履歴があれば、2つの参照経路を算出する。
このとき、走行履歴データベース5に蓄積された複数の撮像画像を照合して得られる三次元特徴点群も同時に算出される。参照経路である過去の自車位置の軌跡は、特徴点算出に用いられる撮像画像の、撮像時のカメラ位置から算出され、三次元特徴点群との相対関係で規定されることになる。
導入経路算出部36は、参照経路設定部35で設定された各参照経路の夫々に対し、現在の自車位置及び自車姿勢から、参照経路に合流するまでの過度経路(補助経路)を導入経路として算出する。詳細な手順は後述する。
参照経路選択部37は、導入経路の経路長が最短の参照経路を選択し、該参照経路と対応する導入経路を接続することで、最終的な走行支援経路を算出する。
走行支援部38は、参照経路選択部37が一意に定めた走行支援経路を用いて、走行支援を行う。具体的には、作成した走行支援経路情報を、カメラ2のカメラ座標系に変換した上で、ディスプレイ6に、撮像画像に走行支援経路を重畳して表示する。さらに走行支援部38は、走行軌跡と車両の位置・姿勢のずれ量を車両コントローラ8に送付することで、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御し、自動運転を行うことができる。
次に、走行支援装置100の処理手順を図3と図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。第一実施形態における走行支援装置100の処理は、走行履歴構成時と走行支援時で異なる。
図3は、走行履歴保存処理を示すフローチャートである。
図4は、走行支援制御処理を示すフローチャートである。
なお、図3及び図4に示す処理内容は、走行支援コントローラ3において、例えば100msec程度の間隔で連続的に行われる。
先ず、走行履歴保存処理について説明する。
ステップS110では、ディスプレイ6に走行履歴保存を開始するか否かのボタンを表示し、タッチパネル7を通じて、ドライバからの開始指示があるか否かを判定する。ここで、ドライバから開始指示があれば、ステップS111に移行する。一方、開始指示がなければ、ドライバからの入力を待つ。
ステップS111では、走行履歴データベースに過去の走行履歴が存在するか否かを判定する。ここで、走行履歴が存在しなければ、ステップS112に移行する。一方、走行履歴が存在すればステップS113に移行する。
ステップS112では、走行履歴初期化処理を行う。
先ず、カメラ2の撮像画像から特徴点検出部31を用いて特徴点を算出する。
次に、再びカメラ2から撮像画像を取り込み、同様に特徴点を算出し、先ほど取得した特徴点と比較することで、特徴点の追跡を行う。なお、特徴点追跡手法は、KLT‐Tracker等、一般に知られる画像処理手法を適用すればよい。
そして、継続的に特徴点追跡を行いながら、車両が一定距離(例えば0.5m)進行したところで、最初の撮像画像と、現在の撮像画像の特徴点を比較し、一般に知られた8点法などの手法を用いて、特徴点の三次元化を行うと共に、特徴点との相対関係として、車両の初期自車位置と初期自車姿勢を規定する。
こうして走行履歴の初期化を行う。
続くステップS113からステップS116の処理は、車両の進行と共に繰り返し行われる処理群である。
ステップS113では、カメラ2の撮像画像から、前述した自車位置検出部33と自車姿勢検出部34とを用いて、獲得済み三次元特徴点群との相対関係で、自車位置と自車姿勢を検出(推定)する。
続くステップS114では、ステップS113で得られた自車位置・姿勢情報に基づいて、走行環境を示すマップとなる三次元特徴点を構成する。
具体的には、ステップS113で取得した撮像画像の特徴点と、直前に撮像された画像又は走行履歴データベース5に保存された撮像画像のうち撮像位置が近い画像の特徴点とを比較し、一般に知られた8点法などの手法を用いて、特徴点の三次元化を行い、既知の特徴点群に追加する。
続くステップS115では、ステップS112からステップS114で取得した撮像画像、三次元特徴点群、自車位置・姿勢を走行履歴データベース5に保存する。なお、走行履歴データベース5には、車両センサ群9から算出される車速、操舵角等の各種車両情報を、自車位置・姿勢と関連付けて保存してもよい。
続くステップS116では、ディスプレイ6に走行履歴保存を終了するか否かのボタンを表示し、タッチパネル7を通じて、ドライバからの終了指示があるか否かを判定する。ここで、ドライバから終了指示がない場合は再び前記ステップS113に戻る。一方、終了指示があれば、走行履歴保存処理を終了してから所定のメインプログラムに復帰する。
次に、走行支援制御処理について説明する。
なお、この走行支援制御処理に先立ち、走行履歴保存処理は既に複数回行われているものとする。
先ずステップS120では、ディスプレイ6に走行支援を開始するか否かのボタンを表示し、タッチパネル7を通じて、ドライバからの開始指示があるか否かを判定する。ここで、ドライバから開始指示があれば、ステップS121に移行する。一方、開始指示がなれば、ドライバからの入力を待つ。
ステップS121では、走行履歴データベース5より三次元特徴点群を読込み、三次元特徴点群との相対関係で規定される、過去の自車位置の軌跡を参照経路として算出する。なお、走行履歴データベース5には、複数の走行履歴が保存されているため、参照経路は複数算出される。
続くステップS122では、カメラ2の現在の撮像画像を用いて、前述した自車位置検出部33と自車姿勢検出部34とを用いて、読込まれた三次元特徴点群との相対関係で、初期の自車位置と自車姿勢を検出する。
続くステップS123では、ステップS122で算出された複数の参照経路に対して、導入経路を算出する。詳細な手順は後述する。
続くステップS124では、複数の参照経路の中から、ステップS123で算出した導入経路の長さが最短となる参照経路を選択し、導入経路と、この導入経路が接続(合流)する地点以降の参照経路とを合わせた経路を、走行支援経路として生成する。
続くステップS125では、ディスプレイ6に自動運転を行うか否かのボタンを表示し、タッチパネル7を通じて、ドライバからの自動運転指示があるか否かを判定する。ここで、ドライバから自動運転指示があれば、ステップS126に移行する。一方、自動運転指示がなければ、ステップS128に移行する。
ステップS126では、ステップS124で算出した走行支援経路に基づき、自動運転を行う。このとき、車速は例えば一定車速とし、操舵角は、走行支援経路に従って自車位置と姿勢が変化するように制御される。車両コントローラ8で、算出結果を実現するためのアクセル開度、ブレーキ制御量、ステアリング操舵角を算出し、制御ユニット群10に指令値を送ることで、走行支援経路に沿って車両を自動運転する。
続くステップS127では、自車位置が走行支援経路の終端の一定範囲内に到達したか否かを判定する。ここで、到達していなければ、前記ステップS125に移行する。一方、終端の一定範囲内に到達していれば、走行支援処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS128では、ステップS124で算出した走行支援経路に基づき、走行支援を行う。例えば、カメラ2の撮像画像をディスプレイ6に表示させた上で、カメラ2の座標系に変換した走行支援経路と、現在の操舵角に基づく予想軌跡とを、重畳表示させることで、ドライバが走行支援経路に沿って運転することを支援する。他の走行支援手法としては、例えばステップS126で算出したステアリング操舵角に基づき、EPS制御を行い、反力でステア操舵誘導を行ってもよい。
次に、導入経路算出処理について説明する。
図5は、導入経路算出処理を示すフローチャートである。
図6は、導入経路算出の参考図である。
ここでは、ある一つの参照経路に対して導入経路を算出する処理について説明する。
なお、図6において、P0はステップS122で算出した初期自車位置・姿勢を示し、X0、X1、…、Xeは参照経路を構成する位置座標群を示し、X0が始点を、Xeが終点を表す。
先ずステップS130では、参照経路の経路始点であるX0を処理対象の軌跡点(経路点)Xiとして設定する。
続くステップS131では、軌跡点Xiに対し、初期自車位置・姿勢P0からの到達経路を算出する。
先ず、車両情報データベース4に保存されている車両の最小回転半径等の各種車両緒元データを元に、一般に知られる車両の2輪モデルをシミュレータ上に構成する。車速は前進方向に一定とし、操舵角はXiとの角度差から決定し、シミュレーション上で車両モデルを走行させ、Xiの所定距離内に到達する、又はXiまでの距離の一定倍(例えば1.5倍)の距離だけ前進させてシミュレーションを行う。
このシミュレーションは、自車位置と軌跡点Xiとを結ぶ直線ルートではなく、参照経路に対して滑らかに接続する(合流する)ように、軌跡点Xiに到達するルートに沿って行われる。すなわち、軌跡点Xiでは自車姿勢が参照経路に対する略接線となるようにシミュレーションが行われる。
このときの経路をシミュレーション経路とする。このシミュレーション経路の算出手法としては、本実施形態以外でも、初期自車位置・姿勢P0から、経路点Xiまでの車両1で実現可能な算出手法であれば、他のどんな手法を用いてもよい。
続くステップS132では、ステップS132で算出したシミュレーション経路が、Xiの所定距離内に到達しているか否かを判定する。ここで、Xiの所定距離内に到達していれば、このシミュレーション経路を仮導入経路とし、ステップS134に移行する。一方、Xiの所定距離内に到達していなければ、ステップS133に移行する。
ステップS133では、Xiの次の経路点Xi+1を、処理対象の経路点Xiとして設定してから前記ステップS131に移行する。
ステップS134では、ステップS132で算出した導入経路の経路長を算出する。経路長としては、例えばシミュレーション上で車両モデルが通過した各点間の距離の総和でもよいし、簡易的にP0とXiとの直線距離で算出してもよい。
上記ステップS130〜S134の処理を、全ての参照経路に対して実行してから、導入経路算出処理を終了する。
《作用》
車速や操舵角などの車両情報、並びに自車両周辺の環境情報に基づいて、絶えず一から(最初から)走行経路の演算を行うと、計算コストが増大してしまう。
そこで、先ずは予め走行履歴を保存しておく。すなわち、カメラ画像から抽出した三次元特徴点群を周辺環境として認識すると共に、認識した三次元特徴点群に対する自車両の相対的な自車位置と自車姿勢とを検出し(S112〜S114)、これらを対応付けて走行履歴データベース5に保存しておく(S115)。
そして、走行支援を行う際には、自車位置に基づいて、過去の走行履歴を参照する(読込む)ことで、複数の参照経路を設定する(S121)。さらに、自車位置及び自車姿勢に基づいて、自車位置から各参照経路に至るまでの夫々の導入経路を算出する(S123)。そして、導入経路の算出結果に基づいて、一つの参照経路を選択し、この参照経路と、この参照経路に至るまでの導入経路とを組み合わせて、最終的な走行経路を設定する(S124)。
このように、本実施形態は、周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積しておき、その情報を随時参照しながら自車両の走行経路を設定してゆくメモリベースドな技術であるため、走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制することができる。
図7は、走行シーンの一例である。
例えば進行方向の正面に障害物があるとする。
このとき、先ず自車両にとって走行可能な走行経路を走行履歴データベース5から読込む。ここでは、障害物の左側に迂回する参照経路1と、障害物の右側に迂回する参照経路2と、が設定される。これら参照経路1、2は、自車位置近傍に存在する過去に走行したことのある走行軌跡である。
次に、自車位置及び自車姿勢に基づいて、参照経路1に至るまでの導入経路1と、参照経路2に至るまでの導入経路2と、を算出する。これらは、自車位置から各参照経路1、2へとスムーズに合流するまでの最短ルートである。
そして、導入経路1、2のうち、最も短い導入経路を選択する。ここでは、導入経路1よりも導入経路2の方が短いので、この導入経路2に対応する参照経路2を選択する。そして、導入経路2と、参照経路2とを合成したものを最終的な走行経路として設定することになる。
このように、最短となる導入経路を算出すると共に、さらに複数の導入経路のうちの最短となるものに対応した参照経路を選択することで、短時間で通過可能な合理的な走行経路を設定することができる。
また、導入経路の算出は、自車位置のみならず自車姿勢をも考慮して算出されるので、参照経路に対して滑らかに合流し、参照経路を正確に沿った走行支援を実施することができる。そして、導入経路と参照経路との継目で、車両挙動の変化を最小限に抑制することができる。
また、カメラで撮像した画像データから特徴点群を抽出し三次元化することで、周辺環境を認識しているので、段差や路面勾配などにも対応することができる。
以上のように、走行履歴保存時には、カメラにより抽出した特徴点を用いて自車位置・姿勢を推定し、構築した特徴点群に対して、複数の走行軌跡を保存するので、走行支援時に、過去の走行履歴を読込むことで、複数の参照経路を算出することができる。
また、走行支援時には、読込んだ特徴点群に対して自車位置だけでなく自車姿勢も推定し、高精度な自車位置・姿勢情報に基づき、参照経路までの補助経路として最適な導入経路を算出し、算出した導入経路長に基づき最終的な走行支援経路を算出するので、現在の車両状態に最適な経路を、低い計算コストで算出することができる。これにより、前述した図7に示すような状況で、人が直感的に合理的と考えられる参照経路2を算出することができる。
メモリベースドな走行支援及び自動運転技術は、白線を容易に認識可能でなく、どこが走路かを容易に算出できない駐車場環境や、道路境界の曖昧な一般道などでの走行に非常に有効な手法であり、第一実施形態では、カメラ情報を用いているため、三次元的に複雑な走行環境にも適用できる。
《効果》
以上より、カメラ2、及びステップS111、S112、S114の処理が「周辺環境認識手段」に対応し、ステップS113、S122の処理が「自車位置検出手段」に対応し、ステップS113、S122の処理が「自車姿勢検出手段」に対応する。また、走行履歴データベース5、及びステップS115の処理が「情報蓄積手段」に対応し、ステップS121の処理が「参照経路設定手段」に対応し、ステップS123の処理が「導入経路算出手段」に対応し、ステップS124の処理が「参照経路選択手段」に対応する。また、ステップS124の処理が「走行経路設定手段」に対応する。
(1)走行支援装置は、カメラ2で撮像した画像に基づいて車両進行方向の周辺環境を認識し、認識した周辺環境に対する自車位置と自車姿勢を検出し、これら周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積する。そして、自車位置に基づいて蓄積された情報を参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定し、自車位置、及び自車姿勢に基づいて、自車位置から各参照経路に至るまでの導入経路を算出する。この算出結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択し、選択した一つの参照経路と、この参照経路に至るまでの導入経路とを合わせて自車両の走行経路を設定する。
このように、周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積しておき、その情報を随時参照して自車両の走行経路を設定してゆくことで、走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制することができる。
(2)走行支援装置は、周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた自車両の走行経路情報を履歴として蓄積し、自車位置に基づいて、蓄積された走行経路情報の履歴を参照し、この複数の走行経路情報を複数の参照経路として設定する。
このように、自車位置に基づいて、過去の走行経路情報の履歴を参照し、そのまま参照経路として利用するので、計算時間が短くなる。
(3)走行支援装置は、自車位置から各走行経路に至るまでの最短となる導入経路を算出し、算出した導入経路のうちの最短となる導入経路に対応する参照経路を選択する。
このように、最短となる導入経路に対応する参照経路を選択することで、短時間で通過可能な合理的な走行経路を設定することができる。
(4)走行支援装置は、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた点列で構成される参照経路を設定し、その点列のうち、自車位置及び自車姿勢から予め定められた範囲内の移動量で到達可能であり、且つその移動量が最短となる点までの導入経路を算出する。
このように、実現可能で最短の導入経路を算出することで、短時間で通過可能な合理的な走行経路を設定することができる。
(5)走行支援装置は、車両進行方向を撮像するカメラを備え、このカメラで撮像した画像データから特徴点群を抽出し三次元化することで、周辺環境を認識する。
このように、カメラで撮像した画像データから特徴点群を抽出し三次元化することで、周辺環境を認識しているので、段差や路面勾配などにも対応することができる。
《第二実施形態》
《構成》
第二実施形態は、レーザレーダ11を用いて周辺環境を認識するものである。
すなわち、第二実施形態では、カメラ2の代わりにレーザレーダ11を用いたことを除いては、前述した第一実施形態と同様であるため、同一部分について詳細な説明を省略する。
図8は、走行支援装置で実行する第二実施形態の演算ブロック図である。
走行支援装置200は、カメラ2の代わりにレーザレーダ11を備える。
レーザレーダ11は、一般にレーザレンジファインダとも呼ばれ、レーザ光の到達時間を計るタイムオブフライトの手法を用いて、直接対象物体までの距離を算出可能で、車両前方に取り付けることで、例えば前方150°の範囲を0.25°おきに距離情報取得可能な二次元距離取得装置である。このほか、対象物体までの距離を二次元的に取得可能な装置であれば何を用いてもよい。
カメラ2の代わりにレーザレーダ11を用いたことで、走行支援コントローラ3は、特徴点検出部31の代わりに地図構成部39を備える。
以下、第一実施形態と構成及び処理内容が異なる要素について説明する。
走行履歴データベース5は、レーザレーダ11で取得されたデータ、データ取得時の車両位置、車両姿勢、地図構成部39が構成する二次元グリッドマップ等の情報を関連付けて記憶する記憶部であり、例えばハードディスク、メモリーカードなどの記憶媒体を用いればよい。
データ蓄積部32は、レーザレーダ11で取得されたデータと、自車位置検出部33で推定される自車位置と、自車姿勢検出部34で推定される自車姿勢と、地図構成部39が構成する二次元グリッドマップと、を関連付けて、走行履歴データベース5に保存する。
自車位置検出部33、自車姿勢検出部34、地図構成部39は、一般に知られるSLAM技術を用いて、同時に実行される。
具体的には、レーザレーダ11で取得されたデータと、走行履歴データベース5に蓄積された過去の二次元グリッドマップとを用いて、一般に知られたICPアルゴリズム等を用いて、データ間の重ね合わせを行うことで、先ず、二次元グリッドマップとの相対関係で示される、地表平面上での自車位置と、向きを示す自車姿勢が算出される。次に、地図構成部39では、過去の二次元グリッドマップとレーザレーダ11で取得されたデータとの重ねあわせから、二次元グリッドマップを再構築し、走行履歴データベース5に蓄積する。
参照経路設定部35は、走行履歴データベース5に蓄積された過去の自車位置の軌跡を複数読込み、参照経路とする。例えば、過去に2回分の走行履歴があれば、2つの参照経路を算出する。
このとき、走行履歴データベース5に蓄積された二次元グリッドマップも同時に読込まれる。参照経路である過去の自車位置の軌跡は、二次元グリッドマップとの相対関係で規定されることになる。
走行支援部38は、参照経路選択部37が一意に定めた走行支援経路を用いて、走行支援を行う。具体的には、作成した走行支援経路情報と現在の自車位置情報を鳥瞰図で表現し、ディスプレイ6に表示する。さらに走行支援部38は、走行軌跡と車両の位置・姿勢のずれ量を車両コントローラ8に送付することで、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御し、自動運転を行うことができる。
上記以外の構成は第一実施形態と同じである。
次に、走行支援装置200の処理手順を説明する。第二実施形態における処理手順は第一実施形態とほぼ同じであるため、図3、図4のフローチャートを用いて、第一実施形態と異なる処理ステップのみ説明する。
先ず、図3の走行履歴保存処理について説明する。
ステップS110、S111の処理は、第一実施形態と同じである。
ステップS112では、走行履歴初期化処理として、レーザレーダ11で取得されたデータを二次元グリッドマップの初期状態として構成し、走行履歴データベース5に保存する。
ステップS113では、レーザレーダ11で取得したデータから、前述した自車位置検出部33と自車姿勢検出部34とを用いて、獲得済み二次元グリッドマップとの相対関係で、自車位置と自車姿勢を推定する。
ステップS114では、ステップS113で得られた自車位置・姿勢情報に基づき、地図構成部39を用いて、走行環境を構成するマップである、二次元グリッドマップを構成する。なお、第一実施形態と異なり、構成される地図は三次元ではなく二次元である。
ステップS115では、ステップS112からステップS114で取得したレーザレーダ11の取得データ、二次元グリッドマップ、自車位置・姿勢を走行履歴データベース5に保存し、ステップS116に移行する。なお走行履歴データベース5には、車両センサ群9から算出される車速、操舵角等の各種車両情報を、自車位置・姿勢と関連付けて保存してもよい。
ステップS116の処理は、第一実施形態と同じである。
以上で、走行履歴構成の処理を終了する。
次に、図4の走行支援制御処理について説明する。
なお、この走行支援制御処理に先立ち、走行履歴保存処理は既に複数回行われているものとする。
ステップS120の処理は、前述した第一実施形態と同様である。
ステップS121では、走行履歴データベース5より二次元グリッドマップを読込み、二次元グリッドマップとの相対関係で規定される、過去の自車位置の軌跡を、参照経路として算出し、ステップS122に移行する。なお、走行履歴データベース5には、複数の走行履歴が保存されているため、参照経路は複数算出される。
ステップS122では、レーザレーダ11の現在の取得データを用いて、前述した自車位置検出部33と自車姿勢検出部34とを用いて、読込まれた二次元グリッドマップとの相対関係で、初期の自車位置と自車姿勢を推定する。
ステップS123からステップS127の処理は第一実施形態と同じである。
ステップS128では、ステップS124で算出した走行支援経路に基づき、走行支援を行う。具体的には、作成した走行支援経路情報と現在の自車位置情報を鳥瞰図で表現し、ディスプレイ6に表示する。さらに、現在の操舵角に基づく予想軌跡を重畳表示させることで、ドライバが走行支援経路に沿って運転することを支援する。他の走行支援手法としては、例えばステップS126で算出したステアリング操舵角に基づき、EPS制御を行い、反力でステア操舵誘導を行ってもよい。
以上で、走行支援の処理を終了する。
《作用》
本実施形態では、レーザレーダを用いて、二次元グリッドマップを構築し、二次元グリッドマップとの相対関係で走行履歴を保存し、読込んだ走行履歴に基づき、複数の経路候補から最適な走行支援経路を算出できるので、カメラで実施する場合よりも、走行履歴として保存すべき情報量が少なく済む。また、計算コストを低く抑えることができる。比較的走路が平らで、障害物がレーザレーダで認識できる位置に存在する環境下では、カメラよりも簡便に実現が可能なシステムを構築できる。
なお、第二実施形態では二次元データを取得可能なレーザレーダを用いて、二次元グリッドマップを構築したが、三次元距離情報を直接取得可能な三次元レーザスキャナを用いて、三次元地図で実現してもよい。
《効果》
以上より、レーザレーダ11、及びステップS111、S112、S114の処理が「周辺環境認識手段」に対応する。その他の対応関係は、前述した第一実施形態と同様である。
(1)走行支援装置は、レーザレーダ11を利用した二次元グリッドマップに基づいて車両進行方向の周辺環境を認識し、認識した周辺環境に対する自車位置と自車姿勢を検出し、これら周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積する。そして、自車位置に基づいて蓄積された情報を参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定し、自車位置、及び自車姿勢に基づいて、自車位置から各参照経路に至るまでの導入経路を算出する。この算出結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択し、選択した一つの参照経路と、この参照経路に至るまでの導入経路とを合わせて自車両の走行経路を設定する。
このように、周辺環境、自車位置、及び自車姿勢を対応付けた情報を蓄積しておき、その情報を随時参照して自車両の走行経路を設定してゆくことで、走行支援のための走行経路の演算を容易にし、計算コストを抑制することができる。
その他の作用効果は、前述した第一実施形態と同様である。
《第三実施形態》
《構成》
第三実施形態は、自車両の走行可能領域を算出すると共に、走行可能領域の狭路度合を算出するものである。
すなわち、第三実施形態では、走行可能領域算出部301と、狭路度合算出部302と、導入経路可否判断部303とを新たに追加したことを除いては、前述した第一実施形態と同様であるため、同一部分についての詳細な説明を省略する。
図9は、走行支援装置で実行する第三実施形態の演算ブロック図である。
走行支援装置300は、走行可能領域算出部301と、狭路度合算出部302と、導入経路可否判断部303と、を備える。
走行可能領域算出部301は、走行履歴データベース5が蓄積した三次元特徴点群と車両情報データベース4が蓄積した車両1の車幅などの情報を元に、車両が走行可能な走行可能領域を二次元平面上に算出する。先ず、三次元特徴点群を車両が走行する地表の二次元平面に投影し、各グリッドに障害物が存在するかどうかの情報を含む二次元グリッドマップを構築する。次に、車両情報データベース4の車幅を元に、二次元グリッドマップの障害物占有領域を車幅の半分だけ拡張させる。そして、二次元グリッドマップ上で、障害物が占有していない領域が、走行可能領域として算出される。
図10は、走行可能領域の一例を示す図である。
狭路度合算出部302は、参照経路設定部35が設定した複数の参照経路夫々に対し、走行可能領域算出部301が算出した走行可能領域と比較することで、狭路度合を算出する。先ず、参照経路上の各経路点に対し、走行可能領域内での幅を算出する。ここでの幅とは、経路方向に対して直角な向きでの走行可能領域の長さを示す。全経路点のうち、前述の幅が最短の経路点での幅を、その参照経路における狭路度合として算出する。
導入経路可否判断部303は、導入経路算出部36が算出した導入経路に対し、走行可能領域算出部301が算出した走行可能領域と比較することで、導入経路が走行可能領域内に存在しているかどうかを判定する。
参照経路選択部304は、複数の参照経路から、一つの参照経路を選択し、この参照経路と対応する導入経路を接続することで、最終的な走行支援経路を算出する。
具体的には、先ず導入経路可否判断部303が算出した導入経路の走行可否判断に基づいて、導入経路が走行不能な参照経路を除外する。次に、狭路度合算出部302が算出した、狭路度合が、ある閾値よりも大きい参照経路を除外する。そして、残った参照経路のうち、導入経路が最短の経路を、最終的な参照経路として算出する。
なお、参照経路の選択手法としては、上記のほかに、参照経路の狭路度合と導入経路の経路長とを元に、重み付けを行い、総合的に評価する方法も考えられる。
上記以外の構成は第一実施形態と同じである。
次に、走行支援装置300の処理手順を説明する。第三実施形態における処理手順は第一実施形態とほぼ同じであり、走行支援制御処理におけるステップS124のみ異なるので、ステップS124の処理についてのみ説明する。
ステップS124では、先ず走行可能領域算出部301により、二次元平面での走行可能領域を算出する。次に、算出した走行可能領域に基づき、狭路度合算出部302により、各参照経路の狭路度合を算出し、導入経路可否判断部303により、導入経路の走行可否判断を行う。そして、狭路度合と導入経路の走行可否判断結果に基づき、参照経路選択部304により、最終的な走行支援経路を算出する。各処理部の詳細は、前述した通りである。
《作用》
本実施形態では、カメラにより算出した三次元特徴点から走行可能領域を算出し、参照経路の狭路度合と導入経路の走行可否判断を行い、その結果も踏まえて走行支援経路を選択するので、第一実施形態よりも、ロバストで実現性の高い経路選定が可能となる。
図11は、狭路度合の異なる参照経路を示す図である。
例えば、障害物の左側に迂回する参照経路1が狭路ではないのに対して、障害物の右側に迂回する参照経路2が狭路であるとする。参照経路1に至るまでの導入経路1と、参照経路2に至るまでの導入経路2と、を比較すると、導入経路2の方が短いので、前述した第一実施形態では、狭路となる参照経路2が選択されてしまうが、本実施形態では、狭い道を避けて、参照経路1を選択することができる。
走行支援経路は、全て過去の走行履歴により構成されているため、車が通れないことはないはずだが、例えば走行支援経路を逆向きに利用する場合などでは、内輪差などの車両特性により、反対向きには走行できない状態もあり得る。また、走行支援時の経路トレースには誤差が生じるため、あまり狭い道を通ることは避けた方が望ましい。
したがって、上記のような環境下では、狭路度合を考慮に入れた本実施形態による経路選択が非常に有効となる。
《効果》
以上より、走行可能領域算出部301が「走行可能領域算出手段」に対応し、狭路度合算出部302が「狭路度合算出手段」に対応し、導入経路可否判断部303が「導入経路可否判断手段」に対応する。その他の対応関係は、前述した第一実施形態と同様である。
(1)走行支援装置は、走行履歴データベース5に蓄積された情報に基づいて、自車両の走行可能領域を算出し、走行可能領域、及び参照経路に基づいて、走行可能領域の狭路度合を算出する。そして、導入経路の算出結果、及び狭路度合の算出結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択する。
このように、走行可能領域を算出することで、過去の状況ではあるが、自車位置から見通せない場所も含めて、走行経路上の周辺環境を認識することができる。また、狭路度合を算出することで、スペースが広く余裕度の高い参照経路を選択することができる。
(2)走行支援装置は、算出した導入経路が走行可能領域にあるか否かを判断し、導入経路の算出結果、狭路度合の算出結果、及び導入経路の可否判断結果に応じて、複数の参照経路のうちの一つを選択する。
このように、導入経路が走行可能領域にあるか否かを判断することで、走行可能領域から外れた導入経路を除外し、通行しやすい走行経路を設定することができる。
《第四実施形態》
《構成》
第四実施形態は、車両外部との通信によって各種情報の授受を行うものである。
すなわち、第四実施形態では、走行履歴データベース5の代わりに、車両外部に設置された経路情報管理装置401を用い、また自車位置測位部404を追加したことを除いては、前述した第一実施形態と同様であるため、同一部分についての詳細な説明を省略する。
図12は、走行支援装置で実行する第四実施形態の演算ブロック図である。
走行支援装置400は、走行履歴データベース5の代わりに、受信データ蓄積部402及び蓄積データ選択部403を有する経路情報管理装置401と、自車位置測位部404と、を備える。
データ蓄積部32は、カメラ2の撮像画像と、特徴点検出部により得られた特徴点と、自車位置検出部33で推定される自車位置と、自車姿勢検出部34で推定される自車姿勢とを関連付けて、経路情報管理装置401に送付する。また、必要に応じて、経路情報管理装置401から、撮像画像、自車位置の軌跡、三次元特徴点群などの情報を受け取り、各処理部に送付する。
経路情報管理装置401は、車両外部に設置され、複数の車両と無線通信可能な通信部を備えた所謂サーバであり、受信データ蓄積部402と、蓄積データ選択部403と、を備える。なお、経路情報管理装置401は、複数の車両と通信可能であれば、ある一台の車両に搭載されていてもよい。
受信データ蓄積部402はデータ蓄積部32から送付される、カメラで撮像された撮像画像、撮像時のカメラ位置、車両位置、車両姿勢などの情報を、複数の車両から受取り記憶する記憶部であり、例えばハードディスク、メモリーカードなどの記憶媒体を用いればよい。
蓄積データ選択部403は、自車位置測位部404が算出した自車位置を受信し、自車位置に基づき、蓄積されたデータ群から、車両の自車位置に適したデータ群を選択し、走行支援コントローラ3に送付する。
自車位置測位部404は、例えば一般の車両に搭載されるナビゲーションシステムから出力されるおおよその自車位置を示す情報であり、GPS情報と道路情報とを複合して自車位置とする。
上記以外の構成は第一実施形態と同じである。
次に、走行支援装置400の処理手順を説明する。第四実施形態における処理手順は第一実施形態とほぼ同じであるため、図3及び図4の表記を用い、第一実施形態と異なるステップのみ説明する。
先ず、図3の走行履歴保存処理について説明する。
ステップS111では、通信部を通じて、経路情報管理装置401に過去の走行履歴が存在するかどうかを確認する。走行履歴が存在しない場合は、ステップS112へ進み、走行履歴が存在する場合はステップS113に移行する。
ステップS115では、ステップS112からステップS114で取得した撮像画像、三次元特徴点群、自車位置・姿勢を通信部を通じて経路情報管理装置401に送付し、ステップS116に移行する。経路情報管理装置401では、受信したデータを受信データ蓄積部402により保存する。
次に、図4の走行支援制御処理について説明する。
ステップS121では、先ず自車位置測位部404により、自車位置を推定し、推定結果を通信部を通じて経路情報管理装置401に送付する。経路情報管理装置401では、蓄積データ選択部403により、送付された自車位置に基づき、全データの中から、自車位置周辺の三次元特徴点群と、自車位置の閾値範囲内を通過する過去の自車位置の軌跡を選択した上で、走行支援コントローラ3に送付する。最後に、参照経路設定部35で、送付された複数の走行軌跡を、参照経路として算出し、ステップS122に移行する。
その他の処理ステップは、第一実施形態とほぼ同じであるため、省略する。
《作用》
本実施形態では、全走行履歴データの中から、自車位置が近いデータのみ選出するため、データ数が膨大に膨れ上がっても、合理的に関連する経路のみ選定が可能で、計算処理コストを抑えることができる。
また、経路情報管理装置401との間で情報の授受を行うので、複数の車両から、走行履歴情報を収集することが可能となるため、自車が通行したことのない経路であっても、他車が通過済みであれば走行支援が可能となり、自車が走行したことのない経路であっても走行可能となる。
《効果》
以上より、自車位置測位部404が「自車位置測位手段」に対応し、経路情報管理装置401の通信部が「通信手段」に対応する。その他の対応関係は、前述した第一実施形態と同様である。
(1)走行支援装置は、ナビゲーションシステムに含まれ、自車位置を測位する自車位置測位部404を備え、自車位置測位部404で測位した自車位置、及び自車位置検出部33で検出した自車位置に基づいて、過去の走行履歴を参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定する。
このように、ナビゲーションシステムから得られる自車位置に基づいて候補を抽出し、必要となる情報を絞り込んでゆけるので、蓄積データが増えても、安定して計算コストを抑制することができる。
(2)経路情報管理装置401は、自車両の外部に設けられ、自車両を含む複数の車両との間で、情報の送受信を行う通信部を備える。
このように、複数の車両からの受信データを蓄積できるため、他の車両の走行履歴を参照することができる。すなわち、自車両が走行したことのない経路であっても、走行支援を実施することができる。
1 車両
2 カメラ
3 走行支援コントローラ
4 車両情報データベース
5 走行履歴データベース
6 ディスプレイ
7 タッチパネル
8 車両コントローラ
9 車両センサ群
10 制御ユニット群
11 レーザレーダ
31 特徴点検出部
32 データ蓄積部
33 自車位置検出部
34 自車姿勢検出部
35 参照経路設定部
36 導入経路算出部
37 参照経路選択部
38 走行支援部
39 地図構成部
100 走行支援装置
200 走行支援装置
300 走行支援装置
301 走行可能領域算出部
302 狭路度合算出部
303 導入経路可否判断部
304 参照経路選択部
400 走行支援装置
401 経路情報管理装置
402 受信データ蓄積部
403 蓄積データ選択部
404 自車位置測位部

Claims (9)

  1. 車両進行方向の周辺環境を認識する周辺環境認識手段と、
    前記認識手段で認識した周辺環境に対する自車位置を検出する自車位置検出手段と、
    前記認識手段で認識した周辺環境に対する自車姿勢を検出する自車姿勢検出手段と、
    前記周辺環境認識手段で認識した周辺環境、前記自車位置検出手段で検出した自車位置、及び前記自車姿勢検出手段で検出した自車姿勢を対応付けた情報を蓄積する情報蓄積手段と、
    前記自車位置検出手段で検出した自車位置に基づいて、前記情報蓄積手段に蓄積された情報を参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定する参照経路設定手段と、
    前記自車位置検出手段で検出した自車位置、及び前記自車姿勢検出手段で検出した自車姿勢に基づいて、自車位置から前記参照経路設定手段で設定した各参照経路に至るまでの導入経路を算出する導入経路算出手段と、
    前記導入経路算出手段による算出結果に応じて、前記参照経路設定手段で設定した複数の参照経路のうちの一つを選択する参照経路選択手段と、
    前記参照経路選択手段で選択した一つの参照経路、及び当該参照経路に至るまでの導入経路を合わせて自車両の走行経路を設定する走行経路設定手段と、を備えることを特徴とする走行支援装置。
  2. 前記情報蓄積手段は、前記周辺環境認識手段で認識した周辺環境、前記自車位置検出手段で検出した自車位置、及び前記自車姿勢検出手段で検出した自車姿勢を対応付けた自車両の走行経路情報を履歴として蓄積し、
    前記参照経路設定手段は、前記自車位置検出手段で検出した自車位置に基づいて、前記情報蓄積手段に蓄積された走行経路情報の履歴を参照し、当該複数の走行経路情報を前記複数の参照経路として設定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
  3. 前記導入経路算出手段は、自車位置から各走行経路に至るまでの最短となる導入経路を算出し、
    前記参照経路選択手段は、前記導入経路算出手段で算出した導入経路のうちの最短となる導入経路に対応する参照経路を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の走行支援装置。
  4. 前記参照経路設定手段は、前記自車位置検出手段で検出した自車位置、及び前記自車姿勢検出手段で検出した自車姿勢を対応付けた点列で構成される参照経路を設定し、
    前記導入経路算出手段は、前記点列のうち、自車位置及び自車姿勢から予め定められた範囲内の移動量で到達可能であり、且つ当該移動量が最短となる点までの導入経路を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の走行支援装置。
  5. 前記情報蓄積手段に蓄積された情報に基づいて、自車両の走行可能領域を算出する走行可能領域算出手段と、
    前記走行可能領域で算出した走行可能領域、及び前記参照経路設定手段で設定した参照経路に基づいて、走行可能領域の狭路度合を算出する狭路度合算出手段と、を備え、
    前記参照経路選択手段は、前記導入経路算出手段による算出結果、及び前記狭路度合算出手段による算出結果に応じて、前記参照経路設定手段で設定した複数の参照経路のうちの一つを選択することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の走行支援装置。
  6. 前記導入経路算出手段で算出した導入経路が、前記走行可能領域算出手段で算出した走行可能領域にあるか否かを判定する導入経路可否判断手段を備え、
    前記参照経路選択手段は、前記導入経路算出手段による算出結果、前記狭路度合算出手段による算出結果、及び導入経路可否判断手段による判定結果に応じて、前記参照経路設定手段で設定した複数の参照経路のうちの一つを選択することを特徴とする請求項5に記載の走行支援装置。
  7. ナビゲーションシステムに含まれ、自車位置を測位する自車位置測位手段を備え、
    前記参照経路設定手段は、自車位置測位手段で測位した自車位置、及び前記自車位置検出手段で検出した自車位置に基づいて、前記情報蓄積手段に蓄積された情報を参照することで、自車両にとって走行可能な複数の走行経路を参照経路として設定することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の走行支援装置。
  8. 前記情報蓄積手段は、自車両の外部に設けられ、自車両を含む複数の車両との間で、前記情報の送受信を行う通信手段を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の走行支援装置。
  9. 前記周辺環境認識手段は、車両進行方向を撮像するカメラを備え、当該カメラで撮像した画像データから特徴点群を抽出し三次元化することで、周辺環境を認識することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の走行支援装置。
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