JP2012116941A - 樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂及びビスマレイミド化合物を含有する熱硬化性樹脂と、固形分中60〜85質量%の割合で含有する充填材とを含む熱硬化性樹脂組成物を、ケトン系溶剤に含有させたことを特徴とする、樹脂ワニス。
【選択図】なし
Description
また、プリプレグ上に金属箔等の導体層を設けて導体回路層を形成することにより作製したプリント配線板は、前記プリプレグが有する樹脂組成物量を大きくすることで、誘電率及び誘電正接が比較的高いガラスクロスから導体回路層までの間隔が広くなるため、低誘電率化、低誘電正接化を図ることができる。
しかし、プリプレグが有する樹脂組成物量を大きくすると、プリプレグが厚くなってしまうため、プリプレグの樹脂組成物量を大きくし、且つ、プリプレグの厚さを従来と同等に維持し或いは従来よりも薄くするためには、薄いガラスクロスを用いる必要がある。
しかしながら、薄いガラスクロスを用いて作製したプリプレグは、ガラスクロスに対する樹脂組成物量は大きいが、樹脂の弾性率や熱膨張率の影響が大きくなるため、プリプレグ全体の弾性率低下、熱膨張率増大が起こる。そこで従来は、樹脂組成物中の充填材の含有量を大きくすることによってプリプレグの弾性率低下、熱膨張率増大を阻止していた。さらに、充填材は樹脂に比べても誘電正接が低いため、樹脂組成物中に充填材を多量に含有させることにより、プリプレグの誘電正接をさらに低くすることができる。
また、本発明の別の目的は、前記樹脂ワニスをガラスクロスに保持させた後、前記ケトン系溶剤を除去することにより得られる、誘電特性に優れ、導体層との密着性及び回路埋め込み性に優れ、ボイドの発生がないプリプレグを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、前記プリプレグを用いて作製した金属張積層板を提供し、前記プリプレグ又は前記金属張積層板を用いてプリント配線板を提供し、前記プリント配線板を用いて作製した半導体装置を提供することにある。
(2)前記ケトン系溶剤が、シクロヘキサノン、イソホロン及びメチルシクロヘキサノンのうち少なくとも1種を含み、且つ、シクロヘキサノン、イソホロン及びメチルシクロヘキサノンの含有量の総量が70質量%以上である、上記(1)に記載の樹脂ワニス。
(3)前記熱硬化性樹脂が、さらにシアネート樹脂を含むものである、上記(1)又は(2)に記載の樹脂ワニス。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載の樹脂ワニスを、ガラスクロスに保持させた後、前記ケトン系溶剤を除去することにより得られるプリプレグ。
(5)前記ガラスクロスの単位面積あたり重量が24g/m2〜49g/m2で、且つ前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が48g/m2〜279g/m2である、上記(4)に記載のプリプレグ。
(6)前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の2倍〜5.7倍である上記(4)又は(5)に記載のプリプレグ。
(7)上記(4)乃至(6)のいずれか一に記載のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られることを特徴とする金属張積層板。
(8)上記(7)に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
(9)内層回路上に、上記(4)乃至(6)のいずれか一に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
(10)上記(8)又は(9)に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
また、本発明によれば、前記樹脂ワニスを用いて、誘電特性に優れ、導体層との密着性及び回路埋め込み性に優れ、ボイドの発生がないプリプレグを得ることができる。
さらに、本発明によれば、前記プリプレグを用いて、金属張積層板を得ることができ、前記プリプレグまたは前記金属張積層板を用いてプリント配線板を得ることができ、前記プリント配線板を用いて半導体装置を得ることができる。
本発明の樹脂ワニスは、エポキシ樹脂及びビスマレイミド化合物を含有する熱硬化性樹脂と、固形分中60〜85質量%の割合で含有する充填材とを含む熱硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することがある。)を、ケトン系溶剤に含有させたことを特徴とする。
なお、本発明において熱硬化性樹脂組成物とは、樹脂ワニスの溶剤以外の全成分、すなわち固形分を意味し、液状の樹脂成分等も固形分に含まれる。
また、本発明において熱硬化性樹脂組成物を溶剤に含有するとは、前記熱硬化性樹脂組成物に含まれる可溶性の樹脂等は溶剤に溶解し、不溶性の充填材等は溶剤に分散していることを意味する。
本発明者らは鋭意検討の結果、ビスマレイミド化合物とケトン系溶剤とを組み合わせることにより、多量の充填材を含有しているにも関わらず、溶剤を含んだ状態では、樹脂と充填材とが分離しにくい高すぎない流動性を有し、当該樹脂ワニスを用いて得られるプリプレグが、コア基板用基材として用いる時の導体層との密着性、及び、ビルドアップ用絶縁材として用いる時の回路埋め込みに優れ、ボイドの発生がなく、加熱加圧成形した時にスジ状のムラが発生しないことを見出した。
ビスマレイミド化合物は、極性が高いため、極性の低い溶剤には溶解せず、また、ビスマレイミド化合物の二重結合部分がルイス酸的な性質を有するため、アルコール等のプロトン性極性溶剤には溶解しない。また、ビスマレイミド化合物は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素非プロトン性極性溶剤には溶解するが、これらの溶剤に溶解させた場合、ビスマレイミド化合物と含窒素非プロトン性極性溶剤の相互作用が強く、流動性が高くなってしまう。これに対し、本発明者らは、ケトン系化合物を溶剤として用いた場合、ビスマレイミド化合物が溶解し、かつ、ワニスの流動性が低下することを見出した。これは、ビスマレイミド化合物の二重結合部分のルイス酸的な性質と、ケトン系溶剤のカルボニル部分が適度に相互作用し、溶解するものの、ケトン系溶剤の疎水性であるアルキル鎖部分が適度に反発することで、ワニスの流動性が低下するものと考えられる。また、本発明者らは、ケトン系溶剤の中でも、特にシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロンなどの環状ケトン類が、カルボニル基の極性が高く、ワニスの高い溶解性と流動性の低下を両立できることを見出した。また、本発明の樹脂ワニス中のビスマレイミド化合物とケトン系溶剤とは、相互作用して平衡状態となっており、一部のビスマレイミド化合物が硬化反応し難い状態となる。硬化反応し難い状態となったビスマレイミド化合物の一部は、樹脂ワニスを加熱乾燥した後にも存在し、樹脂組成物の硬化反応の進行を遅くするため、半硬化状態での樹脂組成物の粘度を下げると考えられる。従って、本発明の樹脂ワニスを用いて得られるプリプレグは、樹脂組成物中に充填材を多量に含有しているにも関わらず、コア基板用基材として用いる時の導体層との密着性、及び、ビルドアップ用絶縁材として用いる時の回路埋め込みに優れ、ボイドが発生しない。
さらに、本発明の樹脂ワニスを用いて得られるプリプレグは、本発明の樹脂ワニスが、エポキシ樹脂を含むことで導体層との密着性に優れ、ビスマレイミド化合物を含むことで、誘電特性(誘電率、誘電正接)に優れ、充填材を多量に含有することで高弾性及び低熱膨張性であり、誘電正接がより低い。
前記熱硬化性樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂及びビスマレイミド化合物を含有する熱硬化性樹脂と、充填材とを含有する。
前記熱硬化性樹脂は、硬化性及び導体層との密着性の観点からエポキシ樹脂を含み、硬化性及び誘電特性(低誘電率、低誘電正接)の観点からビスマレイミド化合物を含む。さらに、ビスマレイミド化合物は、本発明の樹脂ワニスに含まれるケトン系溶媒と組み合わせることにより、前記樹脂ワニスの流動性を下げる効果がある。また、前記熱硬化性樹脂は、難燃性を向上させ、熱膨張係数を小さくし、プリプレグの誘電特性(低誘電率、低誘電正接)、導体層との密着性等を向上させ、さらには耐熱性、剛性等を向上させる点から、シアネート樹脂を含むことがより好ましい。
これらのエポキシ樹脂の中でも特に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これにより、低吸水性、耐熱性及び難燃性が向上する。
前記ビスマレイミド化合物は、単独で用いてもよいし、種類の異なるビスマレイミド化合物を併用したり、ビスマレイミド化合物とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応等により、例えば3量化することで得られるものであり、ワニスの成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
前記充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等の無機充填材、シリコンゴム、アクリルゴム粒子、ポリスチレンパウダー等の有機充填材を用いることができる。
また、前記充填材の形状は、破砕状、球状等が挙げられるが、プリプレグ製造において樹脂組成物のガラスクロスに対する含浸性を確保するため、球状であることが好ましく、特に球状シリカを使うことが好ましい。
本発明に用いられる充填材としては、平均粒径が単分散及び/または、多分散の充填材を1種類単独で用いることもできるし、2種類以上併用することもできる。
前記硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定することなく用いることができ、エポキシ樹脂の硬化剤として公知の脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂等を用いることができる。これらの硬化剤は、単独で用いても2種類以上を併用しても良い。これらの中でも、耐熱性の観点から芳香族アミンが好ましい。
なお、前記熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用いる場合はシアネート樹脂とアミノ基が激しく反応するため、前記硬化剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で0〜5重量%が好ましく、特に0〜2重量%が好ましい。
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述した本発明の樹脂ワニスをガラスクロスに保持させた後、前記樹脂ワニス中の溶剤を除去することにより得られる。プリプレグ作製の際の加熱乾燥工程では、樹脂ワニス中の溶剤が除去されると同時に、樹脂ワニスが含有する樹脂組成物の硬化反応が進行し、加熱乾燥後の樹脂層は半硬化状態となる。
本発明のプリプレグは、上述の樹脂ワニスを用いて作製されるため、多量の充填材が含まれているにも関わらず、樹脂ワニスを基材に含浸させる際に樹脂と充填材とが分離しない。よって、加熱加圧成形して積層板を製造する際にも、スジ状のムラが発生する等の外観不良が生じない。
また、本発明のプリプレグの樹脂層は、加熱乾燥時の硬化反応の進行が、ビスマレイミド化合物と残留ケトン溶剤との相互作用によって遅くなるため、半硬化状態においてボイドが発生せず、当該プリプレグをコア基板用基材として用いる時の樹脂層と導体層との密着性、及び当該プリプレグをビルドアップ用絶縁材として用いる時の樹脂層への回路埋め込み性にも優れる。
また、本発明のプリプレグは、本発明の樹脂ワニスが、エポキシ樹脂を含むことで導体層との密着性に優れ、ビスマレイミド化合物を含むことで、誘電特性(誘電率、誘電正接)に優れ、充填材を多量に含有することで高弾性及び低熱膨張性であり、誘電正接がより低い。
前記ガラスクロスを構成するガラスは、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもEガラス、Tガラス、または、Sガラスが好ましい。これにより、ガラスクロスの高弾性化を達成することができ、熱膨張係数も小さくすることができる。
次に、金属張積層板について説明する。
本発明の金属張積層板は、上述のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られる。前記プリプレグは、1枚で用いても良いし、2枚以上積層した積層体を用いても良い。プリプレグを1枚で用いるときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。プリプレグを2枚以上積層した積層体を用いるときは、当該積層体の最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。
次に、本発明のプリント配線板について説明する。
本発明のプリント配線板は、上記の金属張積層板を内層回路基板に用いてなる。
または、本発明のプリント配線板は、上記のプリプレグを絶縁層に用いてなる。
前記内層回路基板は、例えば、本発明の金属張積層板の金属箔にエッチング等を行って、所定パターンの導体回路を形成し、当該導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
前記絶縁層としては、本発明のプリプレグを用いることができる。尚、前記絶縁層として、本発明のプリプレグを用いる場合は、前記内層回路基板は本発明の金属張積層板からなるものでなくてもよい。
前記金属張積層板の片面又は両面に、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等の公知の方法により回路形成し、内層回路基板を作製する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、メッキ等で両面の電気的接続をとることもできる。この内層回路基板に前記プリプレグを重ね合わせて加熱加圧成形することで絶縁層を形成する。同様にして、前記公知の方法により導体回路層と絶縁層とを交互に繰り返し形成することにより、多層プリント配線板を得ることができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られたプリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンブを介して、前記プリント配線板との接続を図る。そして、プリント配線板と半導体素子との間には封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマス等からなる合金で構成されることが好ましい。
(1)ワニスの調製
8.0重量部のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、9.1重量部の2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)、12.3重量部のフェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)、0.1重量部の2−フェニルイミダゾール(四国化成製、2PZ)、0.5質量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)、70.0質量部の溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)を42.8重量部のシクロヘキサノンに加え、不揮発分(固形分)が70質量%となるように調整して熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。
上記で得られたワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.032mm、旭化成エレクトロニクス製)31g/m2に対して、ワニスを熱硬化性樹脂組成物の固形分で151g/m2含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、熱硬化性樹脂組成物含有量83.0質量%のプリプレグを作製した。なお、このとき、熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたりの重量は、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の4.9倍であった。
上記で得られたプリプレグを4枚重ね、その最も外側の上下両面に厚さ12μmの電解銅箔(古河サーキットホイル製、F2WS−12)を重ねて、圧力4MPa、温度220℃で180分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.4mmの両面銅張積層板を得た。
上記で得られた両面銅張積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、無電解メッキで上下銅箔間の導通を図り、両面の銅箔をエッチングすることにより内層回路を両面に形成した(L(導体回路幅(μm))/S(導体回路間幅(μm))=50/50)。
次に、内層回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製、テックSO−G)をスプレー吹き付けすることにより、粗化処理による凹凸形成を行った。
次に、前記プリプレグを内層回路上に真空積層装置を用いて積層し、温度170℃、時間60分間加熱硬化し、積層体を得た。
その後、得られた積層体が有するプリプレグに、炭酸レーザー装置を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレートコンパクト CP)に15分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
次に、脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜による約0.5μmの給電層を形成した。この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製、AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20μm/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬社製81−HL)を3A/dm2にて30分間行い、厚さ約25μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱ガス化学社製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド社製、マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
そして、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製、AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。次に、絶縁層を温度200℃、時間60分で最終硬化させ、最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製、PSR4000/AUS308)を形成し、プリント配線板を得た。
プリント配線板は、前記で得られたプリント配線板であって、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製、CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
ワニスに含まれる2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)の添加量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)をナフタレン骨格変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬製、NC−7300L、エポキシ当量230)に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)をアントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学製、YX−8800、エポキシ当量210)に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれる2.2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)をビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成製、BMI−70)に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれる2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)をポリフェニルメタンマレイミド(大和化成製、BMI−2300)に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)、溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)の添加量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)、溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)の添加量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
実施例1のワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.039mm、旭化成エレクトロニクス製)25g/m2に対して、ワニスを樹脂組成物の固形分で142g/m2含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂組成物含有量85.0質量%のプリプレグを作製した以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。なお、実施例9で得られたプリプレグの熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたりの重量は、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の5.7倍であった。
実施例1のワニスを用いて、ガラス織布(厚さ0.045mm、旭化成エレクトロニクス製)49g/m2に対して、ワニスを樹脂組成物の固形分で126g/m2含浸させて、180℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂組成物含有量73.5質量%のプリプレグを作製した以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。なお、実施例10で得られたプリプレグの熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたりの重量は、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の2.6倍であった。
実施例1の溶剤を3−メチルシクロヘキサノンに変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
実施例1の溶剤をイソホロンに変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
実施例1の溶剤をシクロヘキサノン32.8重量部及びメチルイソブチルケトン10.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ワニスに含まれるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)を9.5重量部、2.2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)12.5重量部に変え、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)を用いず、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(三井化学製、APB)を7.4重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ビスマレイミド化合物を用いず、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)の添加量を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ビスマレイミド化合物を用いず、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬製、NC−3000H、エポキシ当量285)の添加量を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
ビスマレイミド化合物を用いず、アントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学製、YX−8800、エポキシ当量210)の添加量を表2に示すように変えた以外は、実施例4と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
エポキシ樹脂を用いず、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製、BMI−80)、フェノールノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)の添加量を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)の添加量を表2に示すように30.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
溶融シリカ粒子(アドマテックス製、SO−25R、平均粒径0.5μm)の添加量を表2に示すように200.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
溶剤をジメチルホルムアミドに変えた以外は、実施例1と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
溶剤をジメチルホルムアミドに変えた以外は、実施例5と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
溶剤をジメチルホルムアミドに変えた以外は、実施例14と同様にして、ワニスの調製、プリプレグの製造、金属張積層板の製造、プリント配線板の製造、半導体装置の製造を行った。
各実施例および各比較例で得られた金属張積層板又はプリント配線板を用いて以下の評価を行った。評価内容を項目と共に示す。また、各実施例により得られた評価結果を表1に示し、各比較例により得られた評価結果を表2に示す。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板表面のスジ状のムラの発生状況を目視により評価した。スジ状のムラが確認されなかったものを「問題なし」とし、スジ状のムラが確認されたものを「スジあり」とした。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、ボイドの発生状況を目視により評価した。ボイドが確認されなかったものを「問題なし」とし、ボイドが確認されたものを「ボイドあり」とした。なお、両面銅張積層板に発生するボイドは、プリプレグに発生したボイドが加熱加圧により硬化したものであるので、両面銅張積層板にボイドが確認されたものは、当該両面銅張積層板の製造に用いられたプリプレグにもボイドが発生していたことを意味する。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×20mmの試験片を作製し、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30〜300℃、昇降温速度10℃/分、荷重5gの条件で、温度30〜300℃の昇降温を1サイクルとし、2サイクル目の50〜100℃における線膨張係数(CTE)を測定した。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板から100mm×20mmの試験片を作製し、23℃におけるピール強度を測定した。尚、ピール強度測定は、JIS C 6481に準拠して行った。
各実施例及び各比較例で得られた両面銅張積層板を全面エッチングし、97×25mm、53×25mm、38×25mmに切断し、0.018mmの圧延銅箔を貼り付け、トリプレート線路共振器を作成し、マイクロ波ネットワークアナライザHP8510C、HP83651A、HP8517B(アジレントテクノロジー製)を用いて、トリプレート線路共振器法で誘電率及び誘電正接を測定した。
各実施例及び各比較例で得られたプリント配線板の回路部分の断面を研磨し、蛍光液(マークテック社製蛍光浸透探傷剤、SUPER GLO OD−2800N)とともに圧力容器に入れ、125℃、1.5気圧で15分間浸透させた後、プリント配線板の回路部分の断面を落射蛍光顕微鏡により観察した。回路埋め込み不良により、回路の導体部分と絶縁層の間に埋め込みができなかった空隙部分が生じ、その空隙部分に蛍光浸透探傷剤が浸透し、蛍光が見られたものを「埋め込み不良」とし、蛍光が見られなかったものを「異常なし」とした。
比較例2では、ビスマレイミド化合物を用いず、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を多く使用したため、誘電正接が悪化した。
比較例3では、ビスマレイミド化合物を用いず、アントラセン型エポキシ樹脂を多く使用したため、スジ状のムラが発生した。
比較例4では、エポキシ樹脂を用いなかったため、銅箔ピール強度が悪化した。
比較例5では、充填材の量が少ないため、熱膨張係数及び誘電正接が高かった。
比較例6では、充填材の量が多いため、ボイドが発生し、回路埋め込み性が悪く、銅箔ピール強度が悪化した。
比較例5、6、7では、溶剤としてケトン系溶剤を用いず、含窒素非プロトン性極性溶媒を用いたため、樹脂ワニスの流動性が大きく、スジ状のムラが発生した。
一方、実施例1〜14では、誘電特性に優れ、導体層との密着性及び回路埋め込み性に優れ、スジ状のムラやボイドの発生もなく、低熱膨張性、銅箔ピール強度に優れる等の基本的な要求品質も満たしていた。
2…含浸槽
3…樹脂ワニス
4…ディップロール
5…スクイズロール
6…乾燥機
7…プリプレグ
8…上部ロール
Claims (10)
- エポキシ樹脂及びビスマレイミド化合物を含有する熱硬化性樹脂と、固形分中60〜85質量%の割合で含有する充填材とを含む熱硬化性樹脂組成物を、ケトン系溶剤に含有させたことを特徴とする、樹脂ワニス。
- 前記ケトン系溶剤が、シクロヘキサノン、イソホロン及びメチルシクロヘキサノンのうち少なくとも1種を含み、且つ、シクロヘキサノン、イソホロン及びメチルシクロヘキサノンの含有量の総量が70質量%以上である、請求項1に記載の樹脂ワニス。
- 前記熱硬化性樹脂が、さらにシアネート樹脂を含むものである、請求項1又は2に記載の樹脂ワニス。
- 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂ワニスを、ガラスクロスに保持させた後、前記ケトン系溶剤を除去することにより得られるプリプレグ。
- 前記ガラスクロスの単位面積あたり重量が24g/m2〜49g/m2で、且つ前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が48g/m2〜279g/m2である、請求項4に記載のプリプレグ。
- 前記熱硬化性樹脂組成物の単位面積あたり重量が、ガラスクロスの単位面積あたりの重量の2倍〜5.7倍である請求項4又は5に記載のプリプレグ。
- 前記請求項4乃至6のいずれか一項に記載のプリプレグ上に金属箔を積層し、加熱加圧して得られることを特徴とする金属張積層板。
- 前記請求項7に記載の金属張積層板を内層回路基板に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
- 内層回路上に、前記請求項4乃至6のいずれか一項に記載のプリプレグを絶縁層に用いてなることを特徴とするプリント配線板。
- 前記請求項8又は9に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
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