JP2012116927A - インクジェット記録用分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】増粘・凝集・固化等の問題を起こすことなく、着色剤を高濃度まで濃縮したインクジェット記録用分散体を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】〔1〕着色剤、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマー、及び水を混合して、着色剤分散体を得る工程(I)、工程(I)で得られた着色剤分散体の固形分濃度を5〜35%に調整した後、架橋剤を用いて架橋処理して、着色剤分散体を得る工程(II)、及び工程(II)で得られた着色剤分散体を、〔工程(II)における固形分濃度+5%以上〕となるように濃縮する工程(III)を有するインクジェット記録用分散体の製造方法、〔2〕その方法によって得られるインクジェット記録用分散体、及び〔3〕その分散体を含有するインクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用分散体の製造方法、その方法で得られる分散体、及びその分散体を含有するインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能という数多くの利点があるため普及が著しい。その中でも、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となっている。
また、インクジェット記録ヘッドの高精細化に伴い着色剤をより微細化する方向にあり、微細化した着色剤を安定に分散させるためにポリマー等の分散剤が用いられている。
着色剤を微細化すると保存安定性が問題となるが、この問題を改善するための提案として、特許文献1には、有機顔料(A)と、極性基を有する顔料誘導体(B)とを含有する架橋ポリマー粒子であって、分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物でポリマーを架橋して得られた架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水分散体が開示されている。
一方、インクジェット記録用水系インクに着色剤を高濃度で含有させるために、水系インクに含まれる着色剤水分散体を高濃度化することが試みられている。
例えば、特許文献2には、着色剤を高濃度で含有させ、かつ保存安定性を維持することを目的として、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子を含む水分散体であって、着色剤の含有量が30重量%を超え、かつ該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基量が0.5mmol/g以上であるインクジェット記録用水分散体が開示されている。
上記特許文献1及び2では、ポリマーを架橋して得られた着色剤含有架橋ポリマー粒子を用いているが、その架橋処理は、水分散体を濃縮した後の最終工程で行われている。
特開2008−156465号 特開2009−108116号
より小粒径の着色剤含有粒子を有する着色剤分散体を得るためには、使用するポリマーの分散性を上げる必要がある。本発明者らは、分散性を上げるために酸価が高いポリマーを使用することに着目し、種々の検討を行った。しかしながら、従来のポリマー架橋を行う方法では、分散体からの脱溶剤及び濃縮を行った後、最後にポリマー架橋を行っていたため、酸価が高いポリマーを含有した着色剤分散体を高濃度まで濃縮しようとすると、その段階で増粘・凝集・固化等の問題が発生し、高濃度の色材が得ることができなかった。
本発明は、酸価が高いポリマーを含有した着色剤分散体においても、増粘・凝集・固化等の問題を起こすことなく、着色剤を高濃度まで濃縮したインクジェット記録用分散体を効率的に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のポリマーを用いた着色剤分散体を低濃度下で架橋した後に、濃縮することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕下記工程(I)〜(III)を有するインクジェット記録用分散体の製造方法。
工程(I):着色剤、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマー、及び水を混合して、着色剤分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた着色剤分散体の固形分濃度を5〜35%に調整した後、架橋剤を用いて架橋処理して、着色剤分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた着色剤分散体を、〔工程(II)における固形分濃度+5%以上〕となるように濃縮する工程
〔2〕前記〔1〕の製造方法によって得られるインクジェット記録用分散体。
〔3〕前記〔2〕の分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
本発明のインクジェット記録用分散体の製造方法によれば、増粘・凝集・固化等を起こすことなく、高濃度まで濃縮したインクジェット記録用分散体を効率的に製造することができる。
[インクジェット記録用分散体の製造方法]
本発明のインクジェット記録用分散体の製造方法は、下記工程(I)〜(III)を有することを特徴とする。
工程(I):着色剤、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)、及び水を混合して、着色剤分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた着色剤分散体の固形分濃度を5〜35%に調整した後、架橋剤を用いて架橋処理して、着色剤分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた着色剤分散体を、〔工程(II)における固形分濃度+5%以上〕となるように濃縮する工程
<工程(I)>
工程(I)は、着色剤、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマー、及び水を混合して、着色剤分散体を得る工程である。
工程(I)で得られる着色剤分散体の固形分濃度は、生産効率を高めるために、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。また着色分散体の粘度を低減することで均一に混合することを容易にする観点から、40%以下が好ましく、30%がより好ましく、25%が更に好ましい。なお、固形分濃度は、実施例に記載の方法により求めることができる。
また、工程(I)により得られる着色剤分散体は、架橋剤、有機溶媒、中和剤、界面活性剤等を含有していてもよい。なお、架橋剤は、下記工程(II)の架橋処理には必須の成分であるが、上記架橋処理前に着色分散体に含有されていればよい。
(着色剤)
着色剤としては、耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が挙げられ、中でも、近年要求が強い高耐候性を発現させるためには、顔料を用いるのが好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料を用いることもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。
疎水性染料は、水溶性ポリマーにより乳化又は水溶性ポリマーに含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
(アニオン性ポリマー)
本発明で用いられるアニオン性ポリマーは、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、かつ、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマーである。
架橋剤と反応しうる反応性官能基としては、カルボキシル基、スルホン基が挙げられ、この中でも着色剤分散体の安定性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
アニオン性ポリマーの酸価は、着色剤の分散性の観点から、100〜300mg−KOH/gであることが好ましく、120〜200mg−KOH/gであることがより好ましい。アニオン性ポリマーの酸価は、実施例に記載の方法により求めることができる。
アニオン性ポリマーは、水不溶性ポリマー及び/又は水溶性ポリマーである。すなわち、水不溶性ポリマーであってもよく、水溶性ポリマーであってもよく、又はそれらの混合物であってもよい。
〔水不溶性ポリマー〕
本発明において、水不溶性ポリマーとは、対象ポリマーの中和品を、温度25℃で水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下であるアニオン性ポリマーをいう。溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム100%中和した時の溶解量である。このような水不溶性ポリマーは、顔料に対し好適な付着性、吸着性を発現し得る点で好ましい。
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステルポリマー、水不溶性ウレタンポリマー等が挙げられるが、これらの中では水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
水不溶性ビニルポリマーとしては、(a)アニオン性モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ともいう)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーが好ましい。このビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。中でも(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、(c)成分由来の構成単位を全て含有するものが好ましい。
〔(a)アニオン性モノマー〕
(a)アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーから選ばれる一種以上が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、インク粘度、吐出性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔(b)マクロマー〕
(b)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、着色剤分散体の安定性の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(b)マクロマーの数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーとしては、着色剤分散体の安定性の観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、着色剤分散体の安定性の観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、着色剤分散体の分散安定性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜22のアリールアルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数6〜22のアリール基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
その具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー又はアクリロニトリル等が挙げられる。
(b)マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
〔(c)疎水性モノマー〕
(c)疎水性モノマーは、インクの印字濃度の向上の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、これらを併用することも好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル系ポリマー製造時における、上記(a)〜(c)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はビニル系ポリマー中における(a)〜(c)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、着色剤分散体の安定性の観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。(b)成分の含有量は、着色剤分散体の安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。(c)成分の含有量は、インクの印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜80重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、着色剤分散体の安定性とインクの印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性、耐水性、吐出性等の観点から80,000〜400,000であることが好ましく、100,000〜350,000であることがより好ましい。なお、水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
〔水溶性ポリマー〕
本発明において、水溶性ポリマーとは、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10gを越えるもの、好ましくは20g以上、より好ましくは30g以上であるポリマーをいう。上記溶解量は、水溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水溶性ポリマーの塩生成基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
水溶性ポリマーとしては、水溶性ビニルポリマー、水溶性エステルポリマー、水溶性ウレタンポリマー等が挙げられるが、これらの中では、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーが好ましく、塩生成基含有モノマー(a)(前記の(a)成分と同じ)と疎水性モノマー(b)(前記の(b)成分と同じ)を含むモノマー混合物を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
水溶性ポリマーにおける塩生成基含有モノマー(a)の具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマー粒子の分散性を向上させる観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、水への溶解性を高める観点から、アクリル酸が更に好ましい。
水溶性ポリマーにおける疎水性モノマー(b)の具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
水溶性ビニルポリマー中、(a)成分は、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%であり、(b)成分は、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは25〜75重量%である。
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、分散性の観点から、好ましくは1000〜30,000、より好ましくは1,500〜20,000である。なお、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
水溶性ポリマーの酸価は、分散性の観点から、好ましくは100〜300mg−KOH/g、より好ましくは150〜250mg−KOH/gである。
水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のJONCRL(登録商標)57J、同60J、同61J、同63J、同70J、同PD−96J、同501J等が挙げられる。これらの市販品ポリマーは中和されたものであり、必要に応じて、別途、更に中和剤を加えてもよい。
(架橋剤)
本発明で用いられる架橋剤は、本発明で用いられるポリマーの反応性官能基と反応する化合物である。架橋剤の使用量は、架橋された後の分散体の保存安定性の観点から、ポリマー100重量部に対して、0.3〜30重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
架橋剤の分子量は、架橋された後の分散体の保存安定性の観点から、120〜2000が好ましく、150〜1500がより好ましく、150〜1000が更に好ましい。
架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜6が好ましい。反応性官能基としては、エポキシ基、オキサゾリン基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1以上が好ましく挙げられる。
架橋剤は、効率よく、ポリマーを表面架橋する観点から、25℃の水100gに溶解さ
せたときに、その溶解量が好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。
架橋剤の具体例としては、次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(ii)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2〜3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(iii)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
有機ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体が挙げられる。イソシアネート基末端プレポリマーは、有機ポリイソシアネート又はその変性体と低分子量ポリオール等とを反応させることにより得ることができる。
これらの中では、(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒は、水不溶性ポリマー(一部)を適度に溶解するために用いられ得る。有機溶媒としては、20℃における水に対する溶解度が5〜40重量%(水100gに対して5〜40g)のものが好ましく、5〜30重量%のものがより好ましい。これらの有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等が挙げられる。また、芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、脂肪族炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、ハロゲン化炭化水素系溶媒としてはクロロホルム、二塩化炭素、四塩化炭素、塩化エチレン等が挙げられる。これらの中では、その安全性や、後処理において溶媒を除去する際の操作性の観点から、ケトン系溶媒、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(中和剤)
酸価を有するポリマーを中和するための中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。中和剤は単独で用いてもよいし、複数の中和剤を用いてもよい。中和剤による中和度は、架橋剤による架橋効率と、架橋されたポリマー粒子の分散安定性の観点から10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることが更に好ましく、30〜70%であることが更に好ましい。
この場合、中和度は下記式で求めることができる。
中和度={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
(分散工程)
工程(I)で得られた着色剤分散体は、予備混合/予備分散して得ることができる。また予備混合/予備分散により得られた着色剤分散体中には、着色剤粒子の表面にポリマーが吸着した状態(着色剤を含有するポリマー粒子の状態)で着色剤粒子が存在しており、その着色剤粒子自体の平均粒径を所望の大きさにするために、引き続き本分散処理を行ってもよい。
着色剤粒子の平均粒径に特に制限はないが、着色剤の発色性、印字濃度の観点から、分散時の平均粒径としては、好ましくは30〜300nm、より好ましくは40〜200nm、より好ましくは50〜150nm、更に好ましくは60〜90nmである。
予備混合/予備分散に使用する撹拌機、分散機としては、パドル翼、タービン翼、アンカー翼等の一般的に用いられる撹拌装置、また、ウルトラディスパー〔浅田鉄工株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速撹拌タイプの分散装置が挙げられる。
また、本分散処理に用いられる分散機としては、例えば、ロールミル、メディアミル、ニーダー、エクストルーダ、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられ、これらの中では微粒化性能が高い高圧ホモジナイザー、メディアミルが好ましい。
工程(I)で得られる着色剤分散体中の、ポリマーと着色剤の合計量に対する着色剤量の重量比〔着色剤/ポリマー〕はポリマー、着色剤の分散性及び分散体の安定性及び着色剤分散体を高濃度まで濃縮する観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5が更に好ましい。
<工程(II)>
工程(II)は、工程(I)で得られた着色剤分散体の固形分濃度を5〜35%に調整した後、架橋剤を用いて架橋処理して、着色剤分散体を得る工程である。なお、上記架橋剤は、上記工程(I)で得られた着色剤分散体に含有されてもよいが、工程(II)の固形分濃度の調整前、又は架橋処理前に着色剤分散体に含有されていればよい。
工程(II)で得られた着色剤分散体中の着色剤粒子は、着色剤の表面に吸着した複数個のポリマーが架橋処理された粒子(着色剤を含有する架橋ポリマー粒子)として存在する。
この固形分濃度は、着色剤分散体の粘度を低減して均一に架橋反応する観点及び生産効率の観点から、6〜32%であることが好ましく、10〜31%であることがより好ましく、15〜31%であることか更に好ましく、20〜30%であることが更により好ましく、21〜26%であることが特に好ましい。この固形分濃度が5%未満であると生産効率が低下し、この固形分濃度が35%を越えると架橋処理を行った際に固化が発生するおそれがある。
工程(II)の固形分濃度が、工程(I)より高い場合は、公知の方法で濃縮を行うことにより前記範囲の固形分濃度の着色剤分散体を得ることができる。一方、工程(II)の固形分が、工程(I)より低い場合は、水で希釈することにより前記範囲の固形分濃度に調整することができる。
用いる架橋剤により、触媒、溶媒、温度、時間は適宜選択して決定することができる。反応時間は、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間、反応温度は、好ましくは40〜95℃である。
架橋剤の使用量は、保存安定性の観点から、ポリマー100重量部に対して、0.3〜30重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
着色剤分散体中の架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは1〜70モル%、より好ましくは30〜60モル%である。架橋率は、実施例記載の方法で求めることができる。
<工程(III)>
工程(III)は、工程(II)で得られた着色剤分散体を、〔工程(II)における固形分濃度+5%以上〕となるように濃縮する工程である。工程(II)で得られた着色剤分散体に有機溶剤が含まれる場合は、公知の方法で有機溶媒を留去することで、水系の着色剤分散体を得ることができる。
工程(III)における濃縮は、工程(II)における固形分濃度+8%以上〕となるように行うことが好ましく、工程(II)における固形分濃度+10%以上〕となるように行うことがより好ましく、工程(II)における固形分濃度+15%以上〕となるように行うことが更に好ましい。
工程(III)における固形分濃度は25〜60%であることが好ましく、30〜60%であることがより好ましく、35〜60%であることがより好ましく、40〜60%が更に好ましい。
工程(III)により得られた着色剤分散体中の着色剤粒子の平均粒径に特に制限はないが、着色剤の発色性、印字濃度の観点から、分散時の平均粒径としては、好ましくは30〜150nm、より好ましくは40〜130nm、より好ましくは50〜115nm、より好ましくは60〜105nmであり、更に好ましくは60〜100nmである。
[インクジェット記録用分散体]
本発明のインクジェット記録用分散体は、前記の製造方法によって得られたものであり、そのまま水を主媒体とする水系インクとして用いることもできる。
本発明インクジェット記録用分散体は、着色剤を含有する架橋ポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、架橋ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と架橋ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、架橋ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、架橋ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、架橋ポリマー表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
本発明の分散体中の着色剤の含有量は、印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%である。水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インクは、本発明の分散体を含有する。ここで、「水系」とは、水系インクに含まれる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、媒体が水のみの場合もあり、水と一種以上の有機溶媒との混合溶媒の場合も含まれる。この水系インクには、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
本発明の水系インク中の着色剤の含有量は、印字濃度と保存安定性等の両立の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%である。水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマー及び分散体の各種物性は下記方法により測定、算出、評価した。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶媒として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)ポリマーの酸価の算出
ポリマーの酸価(mg)は下記式(1)で算出される。
酸価(mg)=[ポリマー固形分1gの塩生成基のモル数×水酸化カリウムの分子数×1000] (1)
(3)分散体の固形分濃度の算出
平底皿に充分乾燥させた無水硫酸ナトリウム(乾燥助剤)を約10g入れ、平底皿と合わせて乾燥前の重量を正確に測定した。測定するサンプルを1g精秤し、105℃で2時間乾燥させた後、室温まで放冷し、乾燥後の平底皿の重量を正確に測定した。以下の計算式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(%)=[〔乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g)〕÷サンプル量(g)]×100
(4)架橋ポリマー粒子の架橋率の算出
架橋ポリマー粒子の架橋率(モル%)は、下記式(2)で表される。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (2)
(5)平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
(6)着色剤含有ポリマー粒子の粒径増大率の算出、及び保存安定性の評価
粒径増大率を下記式により求め、以下の基準により保存安定性を評価した。
粒径増大率=[(工程(III)の固形分濃度における平均粒径/工程(I)終了時の平均粒径)]×100
(保存安定性の評価基準)
1:粒径増大率が105%未満
2:粒径増大率が115%未満
3:粒径増大率が130%未満
4:粒径増大率が130%以上、又は架橋時に分散液が固化し測定不能
製造例1(水不溶性ポリマーAの製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.05部、及び表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.45部、メチルエチルケトン60部、及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、更にメチルエチルケトン115部加え、30分間攪拌し、水不溶性ポリマーA溶液を得た。結果を表1に示す。
Figure 2012116927
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー
スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基)
・43PAPE−600B
フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマー43PAPE−600B、エチレンオキシド平均付加モル数=6、プロピレンオキシド平均付加モル数=6、末端:フェニル基)
・PP−800
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800、プロピレンオキシド平均付加モル数=13、末端:水酸基)
なお、製造例1から得られる水不溶性ポリマーAの酸価は137である。この水不溶性ポリマーAは、塩生成基であるメタクリル酸(分子量86)を21重量部含有するので、上記式(1)より、水不溶性ポリマーAの酸価は、1×0.21/86×56×1000=137として求められる。
実施例1
(工程(I))
製造例1で得られた水不溶性ポリマーA溶液127gにメチルエチルケトン157g、5N水酸化ナトリウム水溶液17g、25%アンモニア水溶液15g及びイオン交換水755gを加え、ポリマー水溶液を得た。
得られたポリマー水溶液に、イエロー顔料(ピグメントイエロー74、大日精化工業株式会社製)を200g加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合して予備分散体を得た。
得られた予備分散体をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名)を用いて、150MPaの圧力で20パスの連続方式による分散処理を行って、固形分濃度18%の着色剤分散体を得た。
(工程(II))
得られた着色剤分散体を水にて希釈し、固形分濃度8%まで調整した。
前記の着色剤分散体150.00部(ポリマー8.3部)を窒素雰囲気下の反応容器内に投入し、更に、架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−321L、エポキシ当量129)を1.41部、イオン交換水を4.63部加え、撹拌しながら90℃で1.5時間反応を行い、イオン交換水で濃度調整してシェル部を架橋(架橋率54モル%)した顔料含有ポリマー粒子を含有する着色剤分散体を得た。
なお、架橋率は、上記式(2)から求められる。「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量をエポキシ当量で除した値であるので、架橋剤:デナコールEX−321L 1.41部(エポキシ当量129)の反応性基のモル数は、1.41/129=0.00109となる。また、「ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数」とは、水不溶性ポリマーAが架橋剤と反応するメタクリル酸(分子量86)のモル数である。水不溶性ポリマーA8.3部に含まれるメタクリル酸は21重量%であるので、メタクリル酸のモル数=8.3×0.21/86=0.0203となる。よって、上記式(2)より、架橋率は、0.00109×100/0.00203=54(モル%)として求められる。
(工程(III))
前記の着色剤分散体を減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、固形分濃度が45%の分散体を得た。
実施例2
実施例1の工程(I)で得られた固形分18%の着色剤分散体に、架橋処理を施したこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。
実施例3及び4
実施例1の工程(I)で得られた固形分18%の着色剤分散体を減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、表2に示す固形分濃度まで着色剤分散体を調整したこと以外は、実施例1と同様に行った。
実施例5
製造例1で得られた水不溶性ポリマーAの変わりに、製造例1で得られた水不溶性ポリマーAと水溶性ポリマーB(ジョンクリル61J:BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量2000、酸価195)をポリマー重量比(A/B)3.75にて混合したポリマー(A+B)を用いた以外は、同様の操作によって、ポリマー溶液を得た。このポリマーの酸価は150であった。
(工程(I))
上記ポリマー(A+B)溶液144gにメチルエチルケトン126g、5N水酸化ナトリウム水溶液20g、25%アンモニア水溶液17g及びイオン交換水2109gを加え、ポリマー水溶液を得た。
得られたポリマー水溶液に、イエロー顔料(ピグメントイエロー74、大日精化工業株式会社製)を200g加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合して予備分散体を得た。
得られた予備分散体をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名)を用いて、150MPaの圧力で20パスの連続方式による分散処理を行って、固形分濃度10%の着色剤分散体を得た。
(工程(II)
上記工程(I)で得られた固形分10%の着色剤分散体を減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、表2に示す固形分濃度(20%)まで着色剤分散体を調整した。
前記の着色剤分散体150.00部(ポリマー8.3部)を窒素雰囲気下の反応容器内に投入し、更に、架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−321L、エポキシ当量129)を1.54部、イオン交換水を4.63部加え、撹拌しながら90℃で1.5時間反応を行い、イオン交換水で濃度調整してシェル部を架橋(架橋率54モル%)した顔料含有ポリマー粒子を含有する着色剤分散体を得た。
(工程(III))
前記の着色剤分散体を減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、固形分濃度が45%の分散体を得た。
実施例6及び7
実施例5の工程(I)で得られた固形分10%の着色剤分散体を減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、表2に示す固形分濃度まで着色剤分散体を調整したこと以外は、実施例5と同様に行った。
比較例1
実施例3において、架橋反応を行わなかった以外は、実施例3と同様に行った。
比較例2
実施例3において、架橋処理を固形分濃度40%で行った以外は、実施例3と同様に行った。比較例2では、分散体が架橋時に固化したため粒径測定ができなかった。
比較例3
実施例5において、架橋反応を行わなかった以外は、実施例5と同様に行った。
比較例4
実施例5において、架橋処理を固形分濃度40%で行った以外は、実施例5と同様に行った。比較例4では、分散体が架橋時に固化したため粒径測定ができなかった。
Figure 2012116927
表2から、本発明のインクジェット記録用分散体の製造方法によれば、増粘・凝集・固化等を起こすことなく、着色剤を高濃度まで濃縮したインクジェット記録用分散体を効率的に製造することができることが分かる。

Claims (5)

  1. 下記工程(I)〜(III)を有するインクジェット記録用分散体の製造方法。
    工程(I):着色剤、架橋剤と反応しうる反応性官能基を有し、酸価が100mg−KOH/g以上であるアニオン性ポリマー、及び水を混合して、着色剤分散体を得る工程
    工程(II):工程(I)で得られた着色剤分散体の固形分濃度を5〜35%に調整した後、架橋剤を用いて架橋処理して、着色剤分散体を得る工程
    工程(III):工程(II)で得られた着色剤分散体を、〔工程(II)における固形分濃度+5%以上〕となるように濃縮する工程
  2. 工程(III)において、着色剤分散体の固形分濃度を25〜50%まで濃縮する、請求項1に記載のインクジェット記録用分散体の製造方法。
  3. アニオン性ポリマーが、水不溶性ポリマー及び/又は水溶性ポリマーである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用分散体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られたインクジェット記録用分散体。
  5. 請求項4に記載の分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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