JP2012116498A - 自立性袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常のスタンディングパウチのように表裏の壁面フィルムおよび底面フィルムを別部材として用意する必要がなく、一枚のフィルムからなる袋でかつ、自立性を付与した自立性袋であって内容物充填前および充填後に安定して効率的に収納して搬送することが可能な自立性袋を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】基材とシーラント層を少なくとも有する一枚の積層体からなる自立性袋であって、該積層体のシーラント層を内側にして折り曲げてなる底部と、周囲をシールしてなる本体表面積層体と本体裏面積層体からなる袋本体と、からなり、袋本体の底部から上方の両端に内容液の自重で罫線部が内側に折れて底部が平面になるように底部と平行な罫線が入っていることを特徴とする自立性袋。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体等を収納する自立性袋に関し、更に詳しくは、袋に自立性を付与する方法として、従来、汎用されているスタンディングパウチのように、袋の底部に底面フィルムを挿入して形成する方法とは異なり、より簡単な方法で自立性を付与できるようにした自立性袋に関するものである。
従来、液状の内容物を安全に密封包装でき、且つ、自立性を有する容器としては、ほとんどの場合、スタンディングパウチ形式の袋が用いられている。他にガゼット形式の袋もあるが、これは液状の内容物を充填した場合、自立安定性にやや欠ける問題があり、また、内容物を取り出す際、袋の上部の両側(ガゼット部)が内側に折り込まれてヒートシールされているため、開封のために鋏などの道具が必要となるわずらわしさがあるためである。
この点、スタンディングパウチ形式の袋は、液状の内容物を充填した場合でも、シール不良などによる液漏れの危険性も殆どなく、自立安定性にも優れている。また、袋の上部の形状も、四方シール形式の袋と同様に単純な形状であるため、ノッチ(切り欠き)などを付けることによって手による開封も容易であり、更に、狭い幅の注出口部を形成することもヒートシールパターンの工夫によって簡単に出来るなどの利点がある。
このような理由で、近年、自立性を有する軟包装袋等の容器としてスタンディングパウチが広い分野で採用されており、使い切りユースの詰替用から再封性を有するものまで様々な用途に使用されている。
しかしながら、これらのスタンディングパウチは長期にわたる陳列や、内容物を使用して充填した中身が少なくなった場合に、袋自体の腰砕けにより自立性が保てなくなることや、中身の開け替え時に両手で保持する必要がある等の問題を有している。
これらの問題を解決するために、貼り合わせ部(シール部)内にエアバック部と呼称される空隙部を設けた構造とし、この空隙部に気体を封入してその内圧により、自立性を保持する自立袋が提案されている。
特許文献1には、袋容器の外周縁部のシール形状を様々な形で形成させることにより、貼り合わせ部(シール部)内にゲート及びエアバック部と呼ぶ空隙部を設けた構造とした自立袋が提案されている。すなわち、スタンディングパウチ、口栓付きパウチ等の軟包装材を用いた包装袋において、外周縁部を構成する貼り合わせ箇所(シール部)の一部に空隙部を形成し、その空隙部に気体を封入することにより、袋容器の自立性を保持するエアバック構造とした自立袋である。
しかしながら、空隙内部を陽圧のままシールしなければならないため、シール時の空気漏れによって十分な圧力が得られなかったり、また、気温が下がったり、冷蔵保管された場合などに、内部の気体の圧力が低下するなどの不都合が生じていた。
また長期間保存された場合に、内部の気体が構成材料であるフィルムを透過することによって徐々に抜けて、内部の圧力が低下し、支持構造としての能力が低下するという問題もあった。
ガス漏れによる圧力低下の問題に対して、特許文献2では、空隙部に気体封入を行い自立性を持たせた容器において、体積比として大気(空気)よりも窒素比率が多く、かつ酸
素比率が小さい混合ガスを封入することにより、エアバック内部と外部との間に生じる分圧差を利用して圧力低下を防止することが提案されている。
また、特許文献3では、類似の原理に基づき、空隙部の一部に水を封入し、残りの部分に大気、酸素、窒素、または酸素と窒素の混合気体のいずれかを封入した柱状の構造を有する自立性容器が提案されている。
特許文献2、3に提案されている自立性容器によれば、ガス漏れによる機能低下の問題を解決し、自立機能を安定して得ることができるが、空隙部に特殊な構成のガスや水等を封入することが必要になり、空気のみを封入する場合と比較して複雑な工程ないし装置となることは避けられなかった。
さらに、このようなスタンディングパウチ形式の袋では、使用するフィルムとして、壁面フィルムの他に底面フィルムを用意する必要があり、また、その製袋には、殆ど専用の製袋機を必要とするなど、生産上の不便さと、製造コストの上昇などの問題があった。
上記のように複雑な工程や装置を必要とせず製造コストを抑えて効率的な生産を行うことが出来る自立性袋として、特許文献4には、積層フィルムの端縁部を袋状にヒートシールしてなる袋において、袋の下部が前後に広げられ、底部に矩形状の偏平な底面が形成されると共に、底面の両側に形成される突出部が偏平にヒートシールされ、横方向に突出する板状片が形成される(板状片は袋の底面又は側面に折り曲げて固定してもよい)ことにより、袋に自立性が付与されている自立袋が提案されている。
上記の自立袋は、通常のスタンディングパウチのように表裏の壁面フィルムおよび底面フィルムを別部材として用意する必要がなく、一枚のフィルムからなる袋でかつ、自立性を付与したものである。
しかしながら、ヒートシールした板状片があるために、上記の自立袋は内容物充填前の搬送時および充填後の搬送時にいくつかの問題があった。
その問題を以下に図を援用して説明する。
図6には上記の従来の自立袋の一例の充填後外観図、図7には充填前の自立袋を重ねて収納した場合の側面から見た略図、図8には充填後の自立袋を自立させて収納した場合の側面から見た略図、図9には充填後の自立袋を寝かせた状態で積み重ねて収納した場合の側面から見た略図をそれぞれ示した。
図6に内容物充填後の外観を示したように、上記例の自立袋は、フィルム状の積層体(1)を袋の底面となる位置で折り曲げて、側部の端縁部をヒートシールしてサイドシール(3)を形成し、内容物充填後にトップシール(4)を形成して密封した自立袋(100)において、底面の両側端に形成される突出部が偏平にヒートシールされることによって横方向に突出する板状片(6)が形成される。これによって、袋の下部が前後に広げられた時に、板状片(6)との接続部を境界とする底部に矩形状の偏平な底面が形成されることにより、内容物重点後に底部を下にして平面上に載置した場合に自立袋(100)が倒れにくくなり自立性が付与される。
しかしながら、上記の自立袋(100)は底部にヒートシールした板状片(6)があるために、内容物充填前の搬送時には図7に示すように板状片(6)が折り畳まれて重なる分だけ部分的に厚みが増えて嵩張るだけでなく、積み重ねた袋の山が傾いて崩れるといった問題があった。
また、内容物充填後の搬送時に自立袋(100)を自立させて収納ケース(14)に収納した場合には図8に示すように上部にデッドスペース(15)が生じて空間を有効に利
用することが出来ず搬送効率が低下することも問題点として指摘されている。
さらに、充填後に自立袋(100)を寝かせた状態で積み重ねて収納ケース(14)に収納した場合には、図9に示すように底部にヒートシールした板状片(6)が折り畳まれるために、その部分の厚みが増え、嵩張るのみならず積み重ねた袋の山が崩れるといった問題があった。
また自立袋(100)の表面底部の折り返し部(2)のヒートシールした板状片(6)が折り畳まれた箇所に負荷がかかりそこから内容物が漏れやすくなるといった問題があった。
特開2005−343492号公報 特開2009−184690号公報 特開2009−227326号公報 特開2003−26189号公報
通常のスタンディングパウチのように表裏の壁面フィルムおよび底面フィルムを別部材として用意する必要がなく、一枚のフィルムからなる袋でかつ、自立性を付与した自立性袋であって内容物充填前および充填後に安定して効率的に収納して搬送することが可能な自立性袋を提供することが本発明の目的である。
具体的には、充填前の搬送時には嵩張らずに収納が可能であり、重ねても安定しており、充填後の搬送時には寝かせて積み上げることでデッドスペースが少なく、折り畳み箇所から容器に負荷がかかることがない自立性袋を提供することが本発明の課題である。
本発明者は一枚のフィルムからなる袋に自立性を簡単に付与する方法について鋭意検討の結果、袋の底部近辺の両側端に底部と平行な罫線を設けることによって、内容物である液体の自重を利用して底部を平面に変形させることが可能であり、それによって内容物の充填された袋を自立させることが出来ることを見出し本発明を完成した。
本発明の請求項1に係る発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する一枚の積層体からなる自立性袋であって、該積層体のシーラント層を内側にして折り曲げてなる底部と、周囲をシールしてなる本体表面積層体と本体裏面積層体からなる袋本体と、からなり、袋本体の底部から上方の両端に内容液の自重で罫線部が内側に折れて底部が平面になるように底部と平行な罫線が入っていることを特徴とする自立性袋である。
本発明の請求項2に係る発明は、袋本体の底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の内側端部を頂点として、外側に開いたくの字状に山折りエンボスが入っていることを特徴とする請求項1に記載の自立性袋である。
本発明の請求項3に係る発明は、袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の底部からの高さをbとすると、a,bが7/2≦a/b≦4の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の自立性袋である。
本発明の請求項4に係る発明は、袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の長さをcとすると、a,cが2≦a/c≦5の関係を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自立性袋である。
本発明の請求項5に係る発明は、袋本体の片側上端部に内容物を注ぎ出すための注出ノズルが形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自立性袋である。
本発明の請求項1に係る発明によれば、基材とシーラント層を少なくとも有する一枚の積層体からなる自立性袋であって、該積層体のシーラント層を内側にして折り曲げてなる底部と、周囲をシールしてなる本体表面積層体と本体裏面積層体からなる袋本体と、からなるから従来のスタンディングパウチに比べて底部の折り込み部のテープを必要とせず、材料の種類を削減することが出来るので低価格化が可能であり、減容化やCO削減にもつながる。
袋本体の底部から上方の両端に、内容液の自重で罫線部が内側に折れて(谷折り)底部が平面になるように底部と平行な罫線が入っていることにより、内容物の液体を収納した場合に液体の自重により底部が外側に膨張することによって罫線部が折れて、載置した面に密着した底部平面が形成されて袋が自立するようになる。
これにより底部両端にシールした板状片を備えた自立性袋に比べても、底部に隣接する板状片がないので図4に示すように充填前の搬送時には嵩張らずに収納が可能であり、重ねても安定している。充填後の搬送時には図5のように寝かせて積み上げても板状片がないので、嵩張ったり崩れたりすることがなく、折り畳み箇所から容器に負荷がかかることもない自立性袋とすることが出来るのでデッドスペースが少ない積み重ね収納が可能となる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、袋本体の底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の内側端部を頂点として外側に開いたくの字状に山折りエンボスが入っていることにより底部の外周が折れた時に出来る平面の領域を予め設定した位置に誘導して袋の自立性を安定したものとすることが出来る。
本発明の請求項3に係る発明によれば、袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の底部からの高さをbとすると、a,bが7/2≦a/b≦4の関係を満たすことによって、内容物を収納して平面上に置いた時に袋が罫線に沿って内側に折れて安定した自立性を保持することが出来る。
本発明の請求項4に係る発明によれば、袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の長さをcとすると、a,cが2≦a/c≦5の関係を満たすことによって、内容物を収納して平面上に置いた時に袋が罫線に沿って内側に折れて安定した自立性を保持することが出来る。
本発明の請求項5に係る発明によれば、袋本体の片側上端部に内容物を注ぎ出すための注出ノズルが形成されていることによって、開封時に容易に内容物を排出することが出来る。
以上のように、本発明の自立袋によれば、通常のスタンディングパウチのように表裏の壁面フィルムおよび底面フィルムを別部材として用意する必要がなく、一枚のフィルムからなる袋でかつ、自立性を付与した自立性袋であって内容物充填前および充填後に安定して効率的に収納して搬送することが可能な自立性袋を提供することが可能になる。
本発明の自立性袋の充填後概観図 本発明の自立性袋の充填前平面図(罫線を設けた状態) 本発明の自立性袋の充填前平面図(エンボスを設けた状態) 充填前の本発明の自立性袋を重ねて収納した場合の側面略図 充填後の寝かせた状態で積み重ねて収納した本発明の自立性袋の側面略図 従来の自立袋の一例の充填後外観図 充填前の従来の自立袋の一例を重ねて収納した場合の側面略図 充填後の従来の自立袋の一例を自立させて収納した場合の側面略図 充填後の寝かせた状態で積み重ねて収納した従来の自立袋の側面略図
本発明の自立性袋の代表的な実施形態の一例について、以下必要に応じて図面を参照しながら説明する。
本発明の自立性袋は、その内容物充填後の外観を図1に示したように、基材とシーラント層を少なくとも有する一枚の積層体(1)からなる自立性袋(200)であって、該積層体(1)のシーラント層を内側にして折り曲げてなる底部(2)を有し、トップシール(4)とサイドシール(3)で周囲をシールしてなる、袋本体の底部(2)から上方の両端表裏に内容液の自重で罫線部が内側に折れて底部が平面になるように底部と平行な谷折罫線(7)が入っている自立性袋である。
さらに、図3に示したように、袋本体(20)の底部(2)から上方の両端に設けた底部と平行な谷折罫線(7)の内側を頂点として外側に開いたくの字状に山折エンボス(8)が入っていて、谷折罫線が内側に折れて形成される底部近辺の形状をエンボスの線に沿って誘導し、安定した自立性を実現することを可能にしている。
図2には、本発明の自立性袋(200)の谷折罫線(7)を設けた状態の充填前平面図を、図3にはさらに山折エンボス(8)を設けた状態の充填前平面図を示した。図には袋本体(20)表面の積層体(1)側から見た平面外観を示したが、袋本体(20)裏面の積層体側にも同様の谷折罫線(7)と山折エンボス(8)が設けられている。
図2に示したように、本発明の自立性袋(200)は積層体(1)をシーラント層を内側にして底部を形成する折り返し部(2)で折り返して、両側端部をサイドシール(3)のようにヒートシールすることによって袋状に形成した袋本体(20)の表裏の積層体の幅方向の両端に、底部(2)と平行な谷折罫線(7)を設けたものである。
内容液の自重で罫線部が内側に折れて底部が平面になるためには、谷折罫線(7)の位置と形状についての条件があり、安定した自立性を実現する条件を種々検討した結果、下記の範囲内であれば内容液を充填した状態で底面(2)を下にして平面上に載置した場合に自立性を保持することが可能であるという結果を得た。
図2において、aは袋本体(20)の幅を、bは谷折罫線(7)の位置の底部(2)からの高さを、cは谷折罫線の幅方向の長さを、dは袋本体(20)の高さをそれぞれ示している。
この場合は、a,bが7/2≦a/b≦4の関係を満たすとともに、a,cが2≦a/c≦5の関係を満たすことが自立性を確実にするための条件である。
図3には谷折罫線(7)に加えて両側の罫線の内側端から袋本体(20)の上方へ向かって側端へ伸びる山折エンボス(8)と袋本体の下方角部へ伸びるエンボス線(8)を設けた場合を示した。
本発明の自立性袋(200)では、内容液の自重によって底部に形成される底面の境界
がエンボス線に沿った屈曲によって誘導されることによって安定して形成されるのでエンボス線を備えていることが望ましい。
なお、図示しないがたとえば、袋本体(20)のトップシール(4)部分に接する端部のシールを異型シールとすることによって開封時に容易に内容物の注出が可能な注出口を形成することも可能である。
本発明に係る自立性袋に用いる積層体(1)には、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のフィルム又はこれらを積層したものやそれらに酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の無機化合物が蒸着された基材層に、ポリプロピレン樹脂や低密度ポリエチレン樹脂等からなるシーラント層(熱融着性層)が積層されて形成されている。
これらを積層する方法としては、ドライラミネート法、溶融押し出しラミネート法など公知の技術が使用可能である。
本発明に係る自立性袋を形成する積層体(1)は、少なくとも最外層の基材層と最内層のシーラント層とを積層してなるものである。また、必要に応じて、最外層の基材層と最内層のシーラント層との層間に中間層を設けても構わない。さらに印刷層と接着層を適宜必要に応じて設けることも出来る。
前記最外層の基材層の材質としては、耐熱性を有し、一般に包装材料として使用されているものならば、特に限定はされない。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのポリオレフィン樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)などの延伸又は無延伸フィルム、ナイロン−6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどのいずれかが使用できる。
またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
また、基材層の厚さは、加工性を考慮すると、10〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
次に、最内層のシーラント層には、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂、またはこれらの樹脂を成膜化したフィルムを使用することができる。
また、シーラント層の厚さは、シール強度、物性面、加工性、を考慮すると、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜150μmの範囲内がより好ましい。
最外層の基材層と、最内層のシーラント層とを接着層を介してラミネーションする方法としては、例えば、ドライラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及びエクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
前記ドライラミネーション方法に使用する接着剤は、一般的に、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤を使用することができる。
印刷は、基材層の表裏どちらでも可能であるが、一般的なプラスチックフィルム袋への印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して、基材層の内面に商品の販売促進効果を向上させるなどの目的で美麗な絵柄等のの印刷を施すことが出来る。これらの印刷は公知のグラビア印刷方式やオフセット印刷方式等の方法で設けることが可能である。
次に、本発明の自立性袋においては、基材層とシーラント層との間に中間層を設けてもよく、前記中間層は通常、基材層とシーラント層だけでは自立性包装容器としての機能を十分に果たすことができない場合などに設けられる。
前記の機能としては、たとえば、ガスバリア性、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性などが挙げられ、包装容器として要求されるこれらの機能を基材層とシーラント層との間に中間層を設けることで達成する目的で設けられるものである。
本発明に係る自立性袋に収納する内容物によって、特に酸素ガス、水蒸気、光などに対する耐性や長期常温流通などが求められる場合には、前記中間層には、ガスバリア層(図示せず)を設ける必要がある。
前記ガスバリア層には、ガスバリア性を有する樹脂フィルムや、基材フィルム表面に別途ガスバリア層を設けたガスバリアフィルムあるいはアルミニウム箔等の金属箔が用いられる。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコール樹脂フィルム(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、或いはポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)を塗工したフィルム、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機酸化物の蒸着薄膜層を設けたフィルムやまたこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムを使用することが出来る。
上記の積層体を用いて自立性袋を作成する方法としては、通常のヒートシールバーを用いたヒートシール法によるサイドシール、トップシールおよび熱圧による断続罫線付け、エンボス加工により行うことが出来る。
自立性袋の上部に注出口を形成する場合も異型シールバーを用いたヒートシールと切り欠き(ノッチ)部の形成による公知の方法で開封しやすい注出口を形成することが可能である。
本発明の自立性袋のいくつかの実施例を図を参照しながら説明する。
<実施例1>
積層体(1)として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)/印刷層/接着剤層/延伸ナイロンフィルム(O−Ny、厚み15μm)/接着剤層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚み150μm)の構成からなる積層体を作成した。
印刷層はグラビア印刷法により、コロナ放電処理されたPETフィルムの片面に通常のグラビアインキを用いて行い、フィルムの積層はウレタン系接着剤を用いてドライラミネ
ート法により行なった。
この積層体(1)のLLDPE面を内側にして底部で折り返して、サイドシールをヒートシール法により行い、図2に示すような開口部がシールされていない空パウチを作製した。
この空パウチには、内容物の自重によって底部が折れ曲がることにより自立させるために底部から指定の高さの位置に指定の長さの谷折罫線を図2のように入れてあり、さらに、折れ曲がりの位置を適切な位置に誘導するために山折エンボスを図3のように入れてある。
以下のステップの工程段階を備えた充填包装機を用いて、この空パウチに内容物として家庭用液体洗剤を充填して開口部をヒートシールで密閉して内容物として詰替え用洗剤の収納された包装体を作成した。
(1)空パウチ供給部:積み重ねられた空パウチを一枚づつ取出して搬送部に仮固定。
(2)スタンプ印字部:仮固定された空パウチの表面に日付等の情報をスタンプ印字。
(3)パウチ開口部:空パウチ表裏を吸引で離し底と開口部を開いて充填準備。
(4)液体充填部:開いた開口部から家庭用液体洗剤を注入。
(5)充填口開閉部:充填完了したパウチの開口部をヒートシールして密閉する。
(6)冷却、排出部:シール部分を冷却シールバーで冷やし、安定してから排出する。
上記の包装体をトップシール部を上にして手で平面上に静置し、罫線に沿って底部が折れ曲がり包装体が倒れないで自立するかどうかを目視で確かめることによって自立性の確認を行った。
この確認試験には、図2に示したように、aはパウチの幅を、bは谷折罫線(7)の位置の底部(2)からの高さを、cは谷折罫線の幅方向の長さを、dはパウチの高さとすると、それぞれ以下の値で作成した包装体を使用した。
この場合は、a=105,140,160mm、d=200,260,275mm、c=25、30、35mmとb=20,30,40,50mmの値を表1に示した9種類の組み合わせで構成したパウチを用いて自立性の確認を行った。
この9種類はいずれもaとcの関係が2≦a/c≦5の範囲にある場合で、bが7/2≦a/b≦4の範囲よりも外れた場合を含む形状である。
自立性の確認の結果は表1に示した。評価結果欄の○は谷折罫線に沿って底部近辺が折れ曲がり自立性が保持されたもの、×は自立性が保持されなかったものである。
Figure 2012116498
この確認の結果、自立性の保持が確認された、表1の形状2、形状5、形状8は、bが7/2≦a/b≦4の関係を満たしており、自立性が保持されなかった、表1の形状1、形状3、形状4、形状6、形状7、形状9は、bが7/2≦a/b≦4の関係を満たしていなかった。
これによって、cが2≦a/c≦5の関係を満たすこととともに、bが7/2≦a/b≦4の範囲であることが本発明の自立性袋の自立性を確実にするための条件であることが明らかになった。
液体洗剤、柔軟材などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰替え容器に利用できる。
1…積層体
20…袋本体
100…自立袋
200…自立性袋
2…折り返し部
3…サイドシール
4…トップシール
5…ヒートシール部
6…板状片
7…谷折罫線
8…山折エンボス
14…収納ケース
15…デッドスペース
a…袋本体幅
b…谷折罫線高さ
c…谷折罫線長さ
d…袋本体高さ

Claims (5)

  1. 基材とシーラント層を少なくとも有する一枚の積層体からなる自立性袋であって、該積層体のシーラント層を内側にして折り曲げてなる底部と、周囲をシールしてなる本体表面積層体と本体裏面積層体からなる袋本体と、からなり、袋本体の底部から上方の両端に内容液の自重で罫線部が内側に折れて底部が平面になるように底部と平行な罫線が入っていることを特徴とする自立性袋。
  2. 袋本体の底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の内側端部を頂点として、外側に開いたくの字状に山折りエンボスが入っていることを特徴とする請求項1に記載の自立性袋。
  3. 袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の底部からの高さをbとすると、a,bが7/2≦a/b≦4の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の自立性袋。
  4. 袋本体の幅をaとして底部から上方の両端にある、底部と平行な罫線の長さをcとすると、a,cが2≦a/c≦5の関係を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自立性袋。
  5. 袋本体の片側上端部に内容物を注ぎ出すための注出ノズルが形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自立性袋。
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