JP2012116013A - ボールペン用ボール - Google Patents

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幸子 大貫
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Abstract

【目的】 長期経時してもボールが腐食しにくく、軽く滑らかな書き味を維持するボールペンを提供することを目的とするものである。
【構成】 表面に、亜鉛及び/又は亜鉛化合物を被覆したボールペン用ボール。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インキ通路である貫通孔の先端開口部より一部を突出して回転自在に抱持され、被筆記面に対して接触してインキ転写部材となるボールペンのボールに関するものである。
ボールペン用ボールは、結合成分としてコバルトやクロム等を含有するタングステンカーバイドの焼結体である、いわゆる超硬と呼ばれるボールが使用されている。この超硬ボールは酸性溶液中では結合成分であるコバルトやクロムが優先的に溶出し、アルカリ性溶液中ではタングステンカーバイドが優先的に溶出するという性質がある。一方、インキのpHは初期に中性に設定しているが、長期経時によりpHが変化する。長期経時したインキとボールが接触することによって、ボール中の成分であるコバルトやクロムが溶出する所謂腐食が発生する。ボールの結合成分であるコバルトやクロムが溶出すると、コバルトやクロムの凹部が拡大し、凸部のタングステンカーバイドとの凹凸差が拡大する。更にコバルトやクロムの溶出が促進されると焼結体であるタングステンカーバイド粒子がボール表面に保持できずに欠落し、この欠落で発生したボール表面の凹凸差によって、筆記時にボールが回転したときの紙面への抵抗が増大し、書き味の滑らかさが失われる場合があった。
これを防止するために、インキ中に一般的な金属防錆剤であるカルボキシベンゾトリアゾールを添加する例(特許文献1)、ボール表面に、シリコンオイル、フッ素オイル、炭化水素オイル等の撥水性物質を被覆する例(特許文献2)が知られている。
特開平8−199107号公報 特開2006−281627号公報
特許文献1に記載の発明では、インキ中に一般的な金属防錆剤であるカルボキシベンゾトリアゾールを添加する方法が記載されているが、ある程度筆記しないとボール表面に被覆しないので、未筆記の長期保管状態での腐食防止効果がなかった。また、インキ中に添加することで、長期経時においてインキ中の他成分と反応してしまい、十分な腐食防止効果を得ることができなかった。
特許文献2に記載の発明では、ボールの表面全体を、シリコンオイル、フッ素オイル、炭化水素オイル等の撥水性物質で被覆する方法が記載されているが、ボールがインキと直接的に接触できなくなるので、ボール表面へのインキの付着が極端に減少し、筆記したときに線飛びが発生してしまう。
本発明は、表面に、亜鉛及び/又は亜鉛化合物を被覆したボールペン用ボールを要旨とするものである。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物の防錆機構については定かではないが、ボール表面金属を被覆した亜鉛及び/又は亜鉛化合物は、ボールの結合材であるコバルトやクロムよりイオン化傾向の大きいので、亜鉛及び/又は亜鉛化合物が先に陽極化し、コバルトやクロムの溶出を防止する。また、亜鉛及び/又は亜鉛化合物は両性金属でもあるので、長期経時によりインキのpHが変化しても中和され、ボール表面付近に存在するインキは大きなpH変化を起こすことないので、pHが低い環境下で溶出しやすいコバルトやクロムの溶出を防止できる。
これらの二つの作用がボールの結合材であるコバルトやクロムの溶出を防止することで、コバルトやクロムの凹部の拡大や、タングステンカーバイドの欠落による凹凸差が生じることなく、ボール表面を初期状態に維持するため、長期経時した後でも筆記時にボールが回転したときの紙面への抵抗が増大することなく書き味の滑らかさが失われることがない。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物としては、亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、水酸化亜鉛、クロム酸亜鉛、塩基性クロム酸亜鉛カリウム、四塩基性クロム酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、ビス(2−ピリジルチオ)亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、セレン化亜鉛、リン化亜鉛、リン酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛等が挙げられ、中でも長期経時したインキのpHの中和作用を考慮すると、クロム酸亜鉛、塩基性クロム酸亜鉛カリウム、四塩基性クロム酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛などの親水性の亜鉛化合物が好ましい。また、これらは1種若しくは2種以上を混合して使用することもできる。また、粒子形状は特に制限させるのもではなく、具体的には球状粒子、楕円状粒子、針状粒子、薄片状粒子、鱗片状粒子、キューブ状粒子、紡錘状粒子、多孔質粒子、中空粒子等が挙げられる。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物をボール表面に被覆させる方法としては、溶解状態の亜鉛及び/又は亜鉛化合物に浸積させたり、浸積の際に、プロペラ攪拌、ボールミル、圧力の付与、超音波振動の付与等の機械的な力を付与したりする方法、スプレー噴霧、めっき等が挙げられる。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物を溶解状態とする方法としては、材料の溶解する溶媒を選択したり、圧力、温度、水素イオン濃度等の溶解させる環境条件を選択したりすることができる。溶媒の具体例としては、水、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコール等のグリコール類、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等が使用できる。
ボール表面に被覆した亜鉛及び/又は亜鉛化合物の固着処理として、加熱による乾燥、電気炉や高周波誘導装置等を使用した焼き付け、紫外線照射等を挙げることができる。
また、酸化チタン、アルミナ、シリカ等の無機粒子、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料、アクリル単分散粒子、架橋ポリスチレン粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、四フッ化エチレン樹脂粒子、ポリオリフィン樹脂粒子、アクリル共重合粒子、エチレン酢ビ、酢酸ビニル等の有機微粒子、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アニリンブラック等の有機顔料、界面活性剤、防黴・防腐剤、潤滑剤等、被覆した亜鉛及び/又は亜鉛化合物の効果を阻害しない程度に併用して被覆することもできる。
本発明のボールペン用ボールの基材となる素球には、タングステンカーバイドや、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア等をコバルトまたはクロミウムをバインダー成分として焼結させた所謂超硬材などの、通常ボールペンに使用されているボールペン用ボールをそのまま使用することができる。
本発明に係るボールを使用したボールペンとしては、
このボールをステンレス等の合金を機械的に切削、圧延加工等することによって形成したボールホルダーに、ボールの一部を突出した状態で抱持させてボールペンチップとし、このボールペンチップにポリプロピレン製の押し出し成型パイプであるインキタンクを接続したものに好適に使用することができる。ボールホルダーの形態としては、棒材を削りだして作られるものの他に、パイプ材を加工して得られるパイプ式ボールペンチップを使用することもできる。更に、コイルスプリング等を配置して、ボールをボールホルダーの開口部内縁に押し付ける構造のものとすることもできる。
筆跡・塗布跡を形成するインキとしては、水を主媒体とする所謂水性インキ、有機溶剤を主媒体とする所謂油性インキのいずれをも使用することができる。
溶剤としては、水の他に、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール等の水溶性有機溶剤が使用できる。
着色剤としては、酸性染料、直接染料塩基性染料等の染料及び/又は各種のアゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料からなる着色剤が使用できる。その他に、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の樹脂やヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ガーガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸等の多糖類からなる粘度調整剤、界面活性剤、防錆剤、防黴・防腐剤、場合によっては、アスコルビン酸、コウジ酸やハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、タンニン酸、没食子酸等のポリフェノール類などの還元性を有する物質などが使用できる。
着色剤として顔料を用いた場合に、顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することは差し支えない。分散剤として従来一般に用いられているスチレンアクリル酸塩やスチレンマレイン酸塩等の水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤など、顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。
インキの乾燥、逆流を防ぐ目的でインキ逆流防止体組成物を使用することもできる。基材としては、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等の不揮発性液体又は難揮発性液体、ゲル化剤としては、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物が挙げられる。その他、アルコール系溶剤やグリコール系溶剤、界面活性剤、樹脂、金属酸化物等の微粒子を添加してインキ逆流防止体に必要な機能(ゲル化、着色防止、逆流防止)を向上させることもできる。
実施例1
亜鉛(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで5分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例2
酸化亜鉛(FINEX−30、堺化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例3
クロム酸亜鉛(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例4
塩基性クロム酸亜鉛カリウム(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例5
四塩基性クロム酸亜鉛(関東化学(株)製)1.0gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水90.0gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例6
過酸化亜鉛(関東化学(株)製)1.0gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水90.0gに浸漬し、超音波で30分間処理し、水洗いした後、110℃、30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例7
リン化亜鉛(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、プロペラ撹拌で30分間処理し、水洗いした後、110℃、30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
実施例8
リン酸亜鉛(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに30分間浸漬し、水洗いした後、110℃、30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
比較例1
機械的に研磨した直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)。
比較例2
フッ素オイル(FOMBLIN−HC/SA−18、パーフルオロポリメチルイソプロピル、日光ケミカルズ(株)製)に、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を1時間浸漬した後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
比較例3
酸化スズ(S−1、三菱マテリアル電子化成(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
比較例4
二酸化セレン(関東化学(株)製)0.1gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、水99.9gに浸漬し、ボールミル(pulverisette5型、FRITSCH社製、独国)で回転数250rpmで10分間処理し、水洗いした後110℃で約30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
比較例5
酸化マグネシウム(関東化学(株)製)0.3gと、直径0.5mmの素球(PB−11、(株)ツバキナカシマ製)約1000個を、塩酸を用いてpHを4.0に調整した水49.7gに30分間浸漬し、水洗いした後、110℃、30分の加熱乾燥によりボールペン用ボールを得た。
各実施例および比較例のボールを、ぺんてる(株)製水性ゲルインキボールペン、ハイブリッド(K105)のボールペンチップとして組み込み、下記に示すインキ1と組み合わせ筆記線評価の用のボールペンサンプルとした。
評価結果は表1に示す。
インキ1(水性ゲルインキ)
Water Blue 9(C.I.AcidBlue1、オリエント化学工業(株)製) 4.2重量%
ダイワレッド106WB(C.I.AcidRed52、ダイワ化成(株)製)
0.6重量%
エチレングリコール 10.0重量%
ジエチレングリコール 8.0重量%
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの20%ジプロピレ
ングリコール溶液、ICIジャパン(株)製) 0.2重量%
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製)
1.0重量%
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.3重量%
ハイドロキノンスルホン酸カリウム 0.5重量%
水 75.2重量%
上記成分のうち、ケルザンARの全量を水50部を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌してケルザンA R の溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌し、その後トリエタノールアミンでp H を8.5に調整した後1ミクロン糸巻きフィルターでろ過し、粘度が800mPa・sである青色インキを得た。
最表面層の組成評価
各実施例、比較例で示した処理手段により素球表面に形成した被覆層の存在比率は、素球基材成分の影響が無視でき、表面から約10Åの深さのみを分析する手段としてオージェ電子分光法分析を用いて調べた。具体的にはSAM−650(パーキンエルマ社製(米国))を用いて、ボールの任意位置50×50μmの領域に存在する全ての凹凸に対し深さ10Åの分析領域に存在する元素を同定した。同時に、処理を施してない比較例1の素球についても測定を行い素球としての組成を求めた。また、前記素球の処理後に形成された化合物または素球の成分を示すタングステンカーバイド等の化合物の存在比率は、前記測定領域に於ける元素の存在を示す各元素のオージェピーク長を基に、相対感度係数法を用いて算出した。
書き味の軽さ、滑らかさ
各実施例、比較例のボールを使用したボールペンサンプルについて、初期と経時後(ボールペンサンプルを50℃30%RHの高温槽に、ペン先を下向きにして90日間放置したボールペン)のボールペンサンプルを、自動筆記機を用いて、筆記荷重100gf、筆記速度7cm/秒、筆記角度70°の条件で、直線筆記し、筆記方向にかかる荷重を測定し、筆記抵抗値を測定した。
筆記線の評価
各実施例、比較例のボールを使用したボールペンサンプルについて、自動筆記装置(TS−4C−10型、(株)精機工業研究所製)を使用して、筆記荷重100gf、筆記角度70°、7cm/秒の条件でインテック(株)製NS−<55>カエテの用紙を移動させて螺旋状の連続した800mの筆記を行い、筆跡が形成されていない領域が連続して2mm以上ある箇所を線飛び部とし、その数を数えた。
ボール表面粗さ測定
各実施例、比較例のボールを使用したボールペンサンプルについて、ボール表面の粗さ(算術平均粗さ)の変化を原子間力顕微鏡にて測定した。具体的には走査型プローブ顕微鏡SPI−400((株)セイコーインスツルーメント製)を用いて、初期状態のボールと、経時後のボール(ボールペンサンプルを50℃30%RHの高温槽に、ペン先を下向きにして90日間放置したボールペンのボール)の任意の20μm×20μmの表面粗さをそれぞれ測定した。
実施例1〜8のボールは、ボール表面付近に存在するインキが大きなpH変化を起こさない作用と亜鉛及び/又は亜鉛化合物の陽極化により、ボールの結合成分の溶出やタングステンカーバイドの欠落が起こらず、ボール表面を初期状態に維持するため、長期経時した後でも筆記時にボールが回転したときの紙面への抵抗が増大することなく書き味の滑らかさが失われることがないという極めて良好な結果を得ることができた。
これに対して比較例1〜5は、ボール表面付近に存在するインキが大きなpH変化を起こさない作用と亜鉛及び/又は亜鉛化合物の陽極化を得ることができないので、ボールの結合成分の溶出やタングステンカーバイドの欠落が起こり、ボール表面の凹凸が拡大してしまうので、長期経時により筆記時にボールが回転したときの紙面への抵抗が増大し、書き味の滑らかさが失われてしまう。
Figure 2012116013

Claims (1)

  1. 表面に、亜鉛及び/又は亜鉛化合物を被覆したボールペン用ボール。
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