JP2012111737A - 金属錯体及び金属錯体を用いた色素増感太陽電池 - Google Patents

金属錯体及び金属錯体を用いた色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池の高効率の色素増感剤として使用できる金属錯体を提供する。
【解決手段】本発明の色素増感剤として使用できる金属錯体の一般式は以下の通りである。
MAB(NCS)
(MはRu(II)、Os(II)、Fe(II)、Re(I)またはTc(i)、配位子Aは4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン等、配位子Bは下式でR,Rがアルキル基等であるビピリジン誘導体)

【選択図】なし

Description

本発明は、光増感作用を有する金属錯体およびそのような金属錯体を用いた色素増感太陽電池に関する。
本発明は、色素増感太陽電池に用いるルテニウム(Ru)等の金属錯体の色素増感剤に関する。このような金属錯体は、金属酸化物膜にコートされ、可視光を電気エネルギーに変換する太陽電池の働きをする。この種の太陽電池では、単分子層の色素増感剤がナノサイズの結晶性金属酸化物膜の表面に固着している。金属錯体色素増感剤を光励起すると金属酸化物の伝導帯に電子が注入される。色素増感剤はヨウ素イオン/三ヨウ素イオン対の様な酸化還元系から電子を受け取り、元の状態に戻る。可視光すべてを吸収できる太陽電池中のナノサイズの結晶性TiO膜のRu多ピリジル色素増感剤の分子設計は現在でも挑戦的課題である。増感剤は二つの重要な電子伝達ステップ(キャリア注入と増感剤の再生)が効率よく進展するように最適な基底状態と励起状態を有しなければならない。
これまで太陽電池として用いられた最も効率のよい遷移金属錯体は、多ピリジルRu(II)錯体である。この種の錯体が高い効率を発揮するのは、可視光全域に強い電荷移動(CT)吸収があること、室温の溶液中でかなり長寿命の比較的強い発光があること、最低CT励起状態の形成のための量子効率が高いこと、そして酸化還元反応性や酸化還元的性質の容易な制御性に理由があった。今まで、色素増感太陽電池の中でもっとも優れた光増感剤はRu(II)(4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン)2(NCS)2(通称名N719)とRu(II)(4,4′,4″−トリカルボキシ‐2,2″:6′,2″−ターピリジン)(NCS)3(通称名ブラックダイ)である。ここで、単座配位子であるSCN配位子はRu金属のt2g軌道を昇位させることによって光増感剤のスペクトル幅や酸化還元特性を調整する役割を担っている。
色素増感太陽電池の効率改善のため、色素増感剤は近赤外光も含めて、太陽光スペクトル可視光全域を吸収する必要がある。また、同時に増感剤とナノサイズの結晶性TiOの間の電子移動のダイナミックスも満足する必要がある。今まで、N719色素は、ビピリジジンを用いるRu(II)系錯体のうちの最良の成功例であった。
Ru(II)系錯体の色素増感剤は、N719の改良等、特許文献現在に至るまで各種の新規物質の提案がなされており、そのような提案の一部を特許文献2〜10に示す。しかしながら、これらの色素増感剤の特性は必ずしも満足できるものではなかった。
従って、本発明の課題は、N719と比べて光物理的性能も光起電力性能も優れた、あるいはN719とほぼ同等の性能を有する色素増感剤として使用できる新規な金属錯体及びそのような金属錯体を使用した色素増感太陽電池を提供することにある。
本発明の一側面によれば、以下の構造を有する金属錯体が与えられる。
MAB(NCS) 式1
式中、MはRu(II)、Os(II)、Fe(II)、Re(I)及びTc(i)からなる群から選択された遷移金属、
Aは以下の構造式で表される4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン

または以下の構造式で表される4,7−ジカルボキシ−1,10−フェナントロリン

Bは以下の構造式で表される配位子である。

式中、
とRの組合せは、Rが水素原子または炭素数1から炭素数20のアルキル基であり、かつRが炭素数1から炭素数20のアルキル基であるか、またはRとRの両者が以下の構造式で表される基である。

式中、Xはアミン、ジアルキルアミン、ジフェニルアミンまたは芳香族基置換アミン基のいずれかである。
本発明の他の側面によれば、以下の(a)から(c)を設けた色素増感太陽電池が与えられる。
(a)導電性表面に形成され、請求項1に記載の金属作製を吸着した酸化物半導体膜を有する酸化物半導体電極。
(b)対極。
(c)前記酸化物半導体電極及び前記対極に接触するレドックス電解質。
本発明の実施例による金属錯体(錯体1)は、(1)N719と比べて光吸収性能が良く(図1)、(2)N719と比べてIPCE(Incident Photon to Current Conversion Efficiency)が赤色領域までシフトしており、更に(3)光電変換性能がN719より優れていることが確認できた。
エタノール溶液中で測定した本発明の実施例の金属錯体1Aaと従来技術の色素増感剤N719の紫外―可視光吸収スペクトルの測定結果を比較するグラフ。 本発明の色素増感太陽電池セルの実施例の断面図。
本発明では、色素増感剤として使用することにより色素増感太陽電池の効率、耐久性及び安定性を改善する、光化学的に安定な両親媒性遷移金属錯体の新しい一連の系統が提供される。
本発明は更に、基板、この基板の上に形成される伝導層、この伝導の上に形成される多孔質半導体層が設けられた構成される太陽電池セルを提供する。この太陽電池セルにおいては、多孔質半導体層が上述の金属錯体を色素増感剤として吸着している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、如何なる意味でも制限的な意図を以って提示したものではないと理解すべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲による定義、更にはそれと均等の範囲にあるすべての変更を含むことを意図している。
本発明の色素増感剤として使用できる金属錯体の一般式は以下のように表すことができる。
MAB(NCS) (1)
ただし、
MはRu(II)、Os(II)、Fe(II)、Re(I)及びTc(i)からなる群から選択された遷移金属である。
Aは
4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン
とからなる群から選ばれた化合物である。
Bは以下の構造式で表される配位子
であって、Rが水素原子または炭素数1から炭素数20のアルキル基であり、かつRが炭素数1から炭素数20のアルキル基であるか、またはRとRの両者が以下の構造式で表される基である。
ただし、上式中、Xはアミン、ジアルキルアミン、ジフェニルアミンまたは芳香族基置換アミン基のいずれかである。
、Rとして、上記Xにジフェニルアミンを使用した置換基
を使用しても良い。
ここにおいて、上記一般式(1)中のMとしてRuを、またAとして4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンを使用した場合の金属錯体の一般構造式は以下の通りである。
また、上記一般式(1)中のMとしてRuを、またAとして4,7−ジカルボキシ−1,10−フェナントロリンを使用した場合の金属錯体の一般構造式は以下の通りである。
もちろん、MとしてRu以外の金属を使用することも当然可能である。
上述した配位子は以下の経路で合成することができる。

なお、上記2つの化学式では上記ビピリジル骨格を持つ配位子上のRとRがメチル基である場合で代表させたが、実際には上述した全ての置換基の何れであってもよい。
以下、本発明の色素増感太陽電池の各構成要素について説明する。
本発明の色素増感太陽電池は、導電性支持体上に、前記色素増感酸化物半導体電極と、キャリア輸送層と、対電極とが順次積層されて構成され、色素増感酸化物半導体電極には、色素増感剤として上述の錯体が担持されている。
(導電性支持体について)
本発明で用いられる導電性支持体としては、金属のように支持体自体が導電性を有するもの、またその表面に導電層を有するガラス、プラスチック等の支持体を利用することができる。後者の場合、導電層の好ましい導電材料としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、もしくはインジウム錫複合酸化物、酸化錫にフッ素をドープしたもの等があり、これらの導電材料を用いて導電層を支持体上に通常の方法で形成することができる。これらの導電層の膜厚は0、02〜5μm程度が好ましい。導電性支持体としては表面抵抗が低い程良く、表面抵抗は40Ω/□以下であることが好ましい。導電性支持体を受光面とする場合、透明であることが好ましい。また、導電性支持体の膜厚は、光電変換効層(光電極)に適当な強度を付与することができるものであれば特に限定されない。これらの点及び機械的な強度を考慮にいれると、酸化錫にフッ素をドープしたものからなる導電層をソーダ石灰フロートガラスからなる透明性基板上に積層したものを代表的な支持体として使用できる。
またコストや柔軟性等を考慮する場合には、透明ポリマーシート上に上記導電層を設けたものを用いたものでもよい。透明ポリマーシートとしては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC),ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂等がある。
また、透明導電性基板の抵抗を下げるために金属リード線を加えてもよい。金属リード線の材質としては、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ニッケル等が好ましい。金属リード線は透明基板にスパッタ、蒸着等で設置し、その上に酸化錫、ITO等の透明導電膜を設けてもよい。なお、この場合、金属リード線を設けることにより、入射光量の若干の低下を招くので注意が必要である。
(色素増感酸化物半導体電極について)
本発明における色素増感酸化物半導体電極は、通常、導電性支持体上に酸化物半導体層を形成し、これに上述した本発明のRu等の金属錯体である有機色素を吸着させることにより得られる。
酸化物半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を使用してよい。具体的には、次のいずれかの方法を用いることができる。
(1)酸化物半導体の微粒子を含有する懸濁液を導電性支持体上に塗布し、乾燥および焼成して酸化物半導体層を形成する方法。
(2)所望の原料ガスを用いたCVD法およびMOCVD法などにより、導電性支持体上に酸化物半導体層を形成する方法。
(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法などにより、導電性支持体上に酸化物半導体層を形成する方法。
(4)ゾルゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、導電性支持体上に酸化物半導体層を形成する方法。
酸化物半導体としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、酸化鉄(Fe)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム(CdS)、硫化鉛(PbS)、硫化亜鉛(CdS)、リン化インジウム(InP)、銅−インジウムの硫化物(CuInS)などが使用できる。
その中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
また、本発明における酸化物半導体としては、上記のものから1種または2種以上を選択することができる。
また、これらの酸化物半導体は、単結晶、多結晶のいずれでも良いが、安定性、結晶成長の困難さ、製造コスト等の観点から、多結晶の方が好ましい。特に微粉末(ナノからマイクロスケール)の多結晶半導体がより好ましい。また、2種類以上の粒子サイズの異なる粒子を混合して用いてもよい。この場合、各粒子の材料は同一でも異なっていてもよい。異なる粒子サイズの平均粒径の比率は10倍以上の差がある方が良く、粒径の大きいもの(例えば100〜500nm)は、入射光の光捕捉率を上げる目的で、粒径の小さいもの(例えば5〜50nm)は、吸着点をより多くし色素吸着を良くする目的で混合して用いてもよい。特に半導体化合物が異なる場合、吸着作用の強い半導体の方を小粒径にした方が効果的である。
最も好ましい半導体微粒子の形態である酸化チタンの作製については、各種文献等に記載されている方法に準じて行うことができる。例えば「新合成法:ゾル−ゲル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」第35巻、第9号1012〜1018頁(1995)等が代表的なものとして挙げることができる。またDegussa社が開発した塩化物を高温加水分解により得る方法も適している。本発明に使用される酸化チタンは、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタン、ならびに、水酸化チタン、含水酸化チタン等を包含する。
アナターゼ型とルチル型の2種類の結晶は、その製法や熱履歴により何れの形も取り得るが、これらの混合体が一般的である。特に、本発明の有機色素の増感に関しては、アナターゼ型の含有率の高いものが好ましく、その割合は80%以上が好ましい。なお、アナターゼ型はルチル型より光吸収の長波端波長が短く、紫外光による光電変換の低下を起こす度合いが小さい。
本発明において、酸化物半導体に色素を吸着させる方法としては、特に限定するものではなく、公知の方法を適宜使用することができる。例えば、本発明の錯体を有機溶剤に溶解して色素増感剤溶液を調整し、得られた色素増感剤溶液に透明導電膜上の酸化物半導体層を浸漬する方法、得られた色素増感剤溶液を酸化物半導体層表面に塗布する方法などがある。前者においてはデイプ法、ローラ法、エヤーナイフ法などが適用でき、後者においてはワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが適用できる。なお、色素増感剤の吸着に先立って、加熱処理などの酸化物半導体層の表面を活性化するための処理を必要に応じて行なってもよい。
色素増感剤の溶媒は、色素を溶解するものであればよく、従来から公知の溶媒を用いることができる。また、溶媒は、通常使用される方法に従って精製された溶媒、また溶媒の使用に先立って、必要に応じて蒸留および/または乾燥を行ない、より純度の高い溶媒であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、1種または2種それ以上の疎水性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性かつ非プロトン性の溶媒またはそれらの混合物などがある。色素増感剤溶液中の色素増感剤の濃度は、使用する色素増感剤、溶媒の種類、色素吸着工程により適宜調整することができ、例えば、1×10−5モル/リットル以上、好ましくは5×10−5〜1×10−2モル/リットル程度としてよい。ここで、疎水性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル類等、ならびにそれらの組合せた混合溶媒等がある。非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の窒素化合物類、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、ヘキサメチルホスホルアミド等のリン化合物類、ならびにそれらの組み合せがある。
色素増感剤の酸化物半導体層への吸着方法において、酸化物半導体層を色素溶液へ浸漬する方法では、酸化物半導体層を収容することができる適当な容器に色素溶液を充填し、その溶液に酸化物半導体層の全体を浸漬するか、または酸化物半導体層の所望の部分のみを浸漬して、所定の時間保持するのが好ましい。この際の条件は、使用する色素増感剤、溶媒の種類、溶液の濃度等に応じて適宜調節することができる。例えば、雰囲気および溶液の温度は室温、圧力は大気圧下であるのが好ましいが、これらは適宜変更してもよい。浸漬時間は、例えば5分〜96時間程度としてもよい。浸漬は、1回でもよいし、複数回行なってもよい。
さらに、酸化物半導体層を色素溶液へ浸漬する方法または酸化物半導体層に色素溶液を塗布する方法では、浸漬または塗布の工程の後、適宜乾燥を行なってもよい。このような方法により酸化物半導体に吸着された色素増感剤は、光エネルギーにより電子を酸化物半導体に送る光増感剤として機能する。
なお、色素増感剤の吸着量が少ないと増感効果が不十分になり、逆に吸着量が多いと酸化物半導体に吸着していない色素が浮遊して、これが増感効果を減じ、光電変換効率の低下(素子機能の乱れ)をもたらす原因となるので好ましくない。
上記のことから、未吸着の有機色素を洗浄により速やかに除去するのが好ましい。洗浄溶剤としては、有機色素の溶解性が比較的低く、かつ比較的乾燥しやすい、アセトンなどの溶剤が好ましい。また、洗浄は加熱状態で行うのが好ましい。
また、洗浄により余分な色素を除去した後、色素の吸着状態をより安定にするために、酸化物半導体微粒子の表面を有機塩基性化合物で処理して、未反応色素の除去を促進してもよい。有機塩基性化合物としては、ピリジン、キノリンなどの誘導体が挙げられる。これらの化合物が液体の場合にはそのまま用いてもよいが、固体の場合には溶剤、好ましくは色素増感剤溶液と同一の溶剤に溶解して用いてもよい。
(キャリア輸送層について)
キャリア輸送層は、電子、ホール、イオンを輸送できる導電性材料を有する。このような導電性材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、トリフェニルアミンなどのホール輸送材料、テトラニトロフロレノンなどの電子輸送材料、ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性ポリマー、液体電解質、高分子電解質などのイオン導電体、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などの無機P型半導体が挙げられる。
上記の導電性材料の中でも、イオン導電体が好ましく、さらには酸化還元性電解質を含む液体電解質が特に好ましい。このような酸化還元性電解質としては、一般に、電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。具体的には、I−/I3−系、Br2−/Br3−系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系等の酸化還元種を含有させたものなどがある。例えば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)の組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、テトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素の組み合わせ、並びに臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr)などの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、これらの中でもLiIとIの組み合わせが特に好ましい。
キャリア輸送層の導電性材料として液体電解質を使用する場合、その溶剤としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質などを使用することができるが、これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が特に好ましい。また、これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
液体電解質へ添加剤を添加してもよいが、そのようなものとしては例えば、従来から用いられているt−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物、あるいはジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩を使用できる。
また、液体電解質中の電解質濃度は、0.1〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、特に0.1〜0.7モル/リットルの範囲が好ましい。
あるいはキャリア輸送層の導電性材料を高分子電解質とする場合、そのような高分子電解質は酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質である。例を挙げれば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィドなどの高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイドなどの高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体などを使用できる。その中でも特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
前記固体中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物となるモノマーと酸化還元種とを共存させて重合する方法、高分子化合物などの固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで、前記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて、適宜選定することができる。
また色素増感酸化物半導体電極との接触を防止するためには、スペーサーを用いるのがよい。これらスペーサーとしてはポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。このフィルムの膜厚は10〜50μm程度が適当である。
(対電極について)
対電極は、色素増感酸化物半導体電極とともに一対の電極を構成し得るものであり、導電膜に形成することができる。この導電膜は透明でもよいし、不透明であってもよい。この導電膜としては、例えば、N型またはP型の元素半導体(例えば、シリコン、ゲルマニウム等)、または化合物半導体(例えば、GaAs、InP、ZnSe、CsS等)、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属、チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属、ITO、SnO、CuI、ZnO等の透明導電材料からなる膜を使用できる。これらの導電膜は通常の方法で形成でき、その膜厚は0.1〜5μm程度が適当である。なお、対電極は、色素増感太陽電池を支持し得る支持基板または保護層上に形成されていることが好ましい。支持基板や保護層としては、色素増感太陽電池の基板として使用することができる透明または不透明の基板等を使用することができる。具体的には、スパッタ、塩化白金酸の熱分解、電着などの方法によって導電膜が被覆された支持基板上に白金膜を形成させたもの等が使用できる。この場合の白金膜の膜厚はたとえば1〜1000nm程度としてよい。
以下では、中心金属がRuである金属錯体を例に挙げて上記配位子、金属錯体、またこれらの金属錯体を使用した色素増感太陽電池の実施例を説明するが、特許請求の範囲に記載した他の金属を中心金属としても良いことは当然である。
(1)以下では先ず配位子Bの合成例を示す。
(配位子合成例1)
4,4′−ジメチル−[2,2′]ピリジルキノリン(R=R=メチル基)の調製
50mLの丸底フラスコを用いて、エタノール12.5mLに溶解させた1gの2−アミノ‐アセトフェノンとエタノール12.5mLに溶解させた1gの4−メチル−2−アセチルピリジンを混合した。1規定の水酸化ナトリウム15mLを加えた後、溶液を6時間還流させた。溶液の色は、化学反応が進展すると黄色から赤色に変わった。反応液に熱水を加え、分散液を5℃にて6時間冷却した。得られた褐色固体をガラス焼結フィルターで吸引濾過して集め、生成物を少量のエタノールから再結晶した。結晶は再びフィルターで集めた後、エタノール5mLで2回洗浄した。所望の生成物を60℃で2時間乾燥させた。本化合物の合成では非特許文献11を参照した。
(配位子合成例2)
4−メチル−2−(2−ピリジル)キノリン(R1=H,R2=メチル基)の調製
50mLの丸底フラスコを用いて、エタノール12.5mLに溶解させた1.12gの2−アミノ−アセトフェノンとエタノール12.5mLに溶解させた1gの2−アセチルピリジンを混合した。1規定の水酸化ナトリウム15mLを加えた後、反応溶液を6時間還流させた。溶液の色は、化学反応が進展すると黄色から赤色に変わった。反応液に熱水を加え、分散液を5℃にて12時間冷却した。得られた褐色固体をガラス焼結フィルターで吸引濾過して分取し、生成物を少量のエタノールから再結晶した。結晶は再びフィルターで集めた後、エタノール(5mL)で2回洗浄した。所望の生成物を60℃で2時間乾燥させた。なお、本化合物の合成では非特許文献12を参照した。
(配位子合成例3)
ジフェニル−{4−[2−(2−ピリジン−2−イル−キノリン−4−イル)−ビニル}−アミン(R1とR2の両者のXがジフェニルアミン基)の調製
配位子L2eは、Lb1の場合と同様の手続きに従って、無水DMF(50mL)に溶解させた4−メチル‐2−(2−ピリジル)キノリン(1g,4.53ミリモル)と4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド(3.1g,11.34ミリモル)及び固体のカリウムターシャルブトキサイド(2g,18.15ミリモル)を用いて合成した。生成組成物は窒素雰囲気下24時間室温で撹拌した後、DMFを蒸留除去した。メタノール(100mL)を加え、固体を濾過分取し、メタノールで洗浄後、冷却アセトンで洗浄して所望の生成物(1.25g)を白色固体として得た。
収率57%。計算値:C34H25N3:計算値:C,85.87;H,5.30;N8.84;実測値:C,85.77;H,5.37;N,8.78。MS(ESIMS):m/z:475.20。
2.金属錯体
次に、金属錯体、つまり色素増感剤の合成の実施例を示す。
(実施例1)
錯体1の合成
この錯体では、上述の構造MAB(NCS)において、Aが4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンであり、B上のR1とR2がメチル基となっている。
[RuCl(p−cymene)2](215.63mg,0.35ミリモル)をDMF(30mL)に溶解し、4,4′−ヂメチルキノリン(165mg,0.70ミリモル)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下80℃2時間加熱し、4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン(171.97mg,0.70ミリモル)を加えた。シス体からトランス体への光誘起異性化反応を避けるため光量を下げた実験環境下で反応混合物を160℃で4時間更に還流させた。それから過剰のNH4SCN(1.9g,22.2ミリモル)を反応混合物に加え、更に、5時間130℃加熱した。反応溶媒を回転式蒸留装置にて除去し、生成する半固体に水を加えて、過剰のNH4SCNを除去した。水に不溶な生成物を集め、蒸留水で洗浄し次にジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。次に、水酸化ナトリウム(0.4g)を水(10mL)に溶解させた水溶液に未精製反応物を溶解させた。濃厚液をSephadexLH−20カラムに充填して、水で展開した。主成分である青色バンドを分取し、3mLまで濃縮した。所望の錯体は、0.01Mの硝酸水溶液を2、3滴滴下して分離し、膜分離して、青みがかかった固体27mgを得た。
収率32.4%。計算値:C30H22N6O4RuS2:C,51.79;H,3.19;N,12.08;実測値:C,51.73;H,3.11;N,12.08.MS(ESIMS):m/z:696.02。
(実施例2)
錯体2の合成
この錯体では、上述の構造MAB(NCS)において、Aが4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンであり、B上のR1が水素原子、R2がメチル基となっている。
錯体2は、増感剤1aと同様の手続きで、配位子L2a(154.2mg,0.70ミリモル)を用いて合成した。
計算値:C29H20N6O4RuS2:C,51.09;H,2.96;N,12.33;実測値:C,51.11;H,2.94;N,12.37.MS(ESIMS):m/z:682.00。
(実施例3)
錯体3の合成
この錯体では、上述の構造MAB(NCS)において、Aが4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンであり、B上のR1とR2の両者のXがジフェニルアミン基となっている。
錯体3は、錯体1と同様の手続きで、配位子L2e(332.9mg,0.70ミリモル)を用いて合成した。
計算値:C48H33N7O4RuS2:C,61.53;H,3.55;N,10.46;実測値:C,61.47;H,3.52;N,10.37.MS(ESIMS):m/z:937.11。
なお、これら以外にも、上述の構造MAB(NCS)において、MがRu、Aが4,7−ジカルボキシ−1,10−フェナントロリンであり、またB上のRとRの両者がメチル基の錯体4及びR1が水素原子でありR2がメチル基の錯体5も合成して、その実現性を確認した。具体的な製造方法は他の錯体と同様であるため省略する。
(実施例4)
色素増感太陽電池
上述したところの本発明の増感色素を使用した色素増感太陽電池を、図2に基づき以下に説明する。
図2に示した色素増感太陽電池は、電気伝導性基板8上に形成され、光増感色素が吸着した多孔質光起電力層3、対向電極9、多孔質光起電力層3と対向電極9との間に充填されたホール輸送層4、太陽電池の横側をシールする漏洩防止剤7を設けた構造を有している。電気伝導基板8は支持基板1と透明導電性膜2とを有している。基板1に使用される材料は特に限定するものではないが、多種多様の透明材料を用いることができ、好ましくはガラスが使用できる。透明導電性膜2として使用される材料もまた特に限定するものではないが、フッ素をドープした酸化錫(SnO:F)、アンチモンをドープした酸化亜鉛(ZnO:Sb)、錫をドープした酸化インジウム(In:Sn)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Ga)等、透明で電気導電性を有する酸化物を電極として使用することが好ましい。基板1上に透明導電性膜2を形成する方法としては、構成材料を用いる真空蒸着法、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法、PVD(物理気相堆積)法、ゾル−ゲル材料を用いる塗布法等を使用することができる。
多孔質光起電力層3として用いられる多孔質半導体層の材料は、n型半導体であれば特に限定するものではない。好ましくは、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ニオブ(Nb)のような酸化物半導体が好ましい。酸化物半導体は高性能太陽電池が得られる大面積が可能な点で好ましい。好ましくは、その酸化物半導体の粒子径が1から200nm、より好ましくは1以上50nm以下である。また、その酸化物半導体は比面積が5から100m/gであることが好ましい。その酸化物半導体は導電性表面に固定でき、少なくとも200nmの膜厚、好ましくは1000から20000nmの膜厚を有する多孔質性膜を形成する。
本発明に基づく色素増感半導体電極は、適当な通常の手法により基板の導電性表面に本発明である先に記載した金属錯体を固定して得られる酸化物半導体の層または膜として形成される。導電性表面上への酸化物半導体の固定は、酸化物半導体を含む分散媒体またはスラリー状液体に浸漬、またはそれらを用いて塗布し、乾燥後焼成することにより行われる。表面活性剤、ポリエチレングリコールのような膨潤剤および適当な添加物を含む水溶性媒体は、通常、前出の分散媒体やスラリー状液体として用いることができる。焼成は通常300から900℃、好ましくは400から600℃で行う。
金属錯体を以下のように半導体層に固定する。金属錯体をメタノール、エタノール、アセトニトリル、ノルマル−ブタノール、ターシャル−ブタノールまたはジメチルフォルムアミド等の適当な溶媒に溶解する。上記に記載の半導体電極に、浸漬や塗布等の適当な方法にて溶液を浸みこませる。好ましくは、金属錯体を含む溶液を酸化物半導体の多孔質層の奥深くに浸みこませる。半導体電極にトラップされたガスを除去するため、真空中高温で処理することが好ましい。金属錯体は好ましくは酸化物半導体表面で単分子層を形成させる。
対向電極9は基板5と対向電極層6から構成される。基板5に用いる材料は、基板1と同様に特に限定されるものではないし、多種多様の透明材料を用いることができ、好ましくはガラスを使用する。対向電極層6の材料もまた特に限定するものではないが、白金膜、炭素薄膜、フッ素をドープした酸化錫(SnO:F)、アンチモンをドープした酸化錫(Sn:Sb)、錫をドープした酸化インジウム(In:Sn)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Al)、及びガリウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Ga)からなる群から選ばれた一つまたは複数の積層膜であり、好ましくはこれらの複合膜である。対向電極層6は対向電極から電解質に電子伝達することを容易にすることが役割である。対向電極膜6の形成法としては、電極材料を成分として真空蒸着法、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法、PVD(物理気相堆積)法等を用いて基板5の上に対向電極膜6を形成してもよいし、ゾル−ゲル法による塗布によっても形成される。透明電極や電解質を透過した光を反射するように対向電極を追加加工してもよい。更に、TiO層、色素、電解質を保護して長期安定性を確保するため、基板の外側をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、また好ましくはポリカーボネート等のプラスチックで覆ってもよい。
本発明ではホール輸送層4としてホールまたはイオンを用いる。ここで、ホール輸送層は電気導電性基板8の上に形成され、光増感色素を吸着させた多孔質半導体電極と対向電極9上の電子を輸送する材料である基板との間に充填されている。たとえば、ホール輸送材料としてはポリビニルカルバゾールを、電子輸送材料としてはテトラニトロフルオレノンを、電気伝導性高分子としてはポリピロールを、電解質の電気伝導材料としては高分子電解質を使用できる。
液体の電解質(レドックス電解質)の酸化還元対の例としては、I/I 、Br/Br やキノン/ハイドロキノン対がある。たとえば、ヨウ化リチウムとヨウ素を使ってもよい。電解質の溶媒としては、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネートの様に大量の電解質を溶解できる電気化学的に不活性な溶媒を使用できる。
セルサイズ0.25cmの太陽電池を上記の電極と対極を用いて作製した。ここで、対極は白金電極であり、導電性ガラス基板上に白金を真空蒸着して形成した。白金層は20nmの膜厚とした。上記の2つの電極間を満たす電解液として、I/I の酸化還元対を適用し、電解液は0.5Mの4−t−ブチルピリジン、0.1Mのヨウ化リチウム、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム及び0.1Mのヨウ素を溶質としてアセトニトリルに溶解させた。
このようにして作製された色素増感太陽電池の性能評価は、ポテンショスタットを用いて、太陽電池の変換効率を決定する短絡電流密度、開放電圧及びフィルファクターを測定することで行った。光照射には高圧キセノンランプを用い、AM1.5太陽放射強度を再現するため数種の光学フィルターを設置しており、光照射強度は100mW/cmであった。ここで、フィルファクターは最大電気パワー出力を開放電圧と短絡電流密度の積で割って算出した。
増感色素として錯体1を用いて作製した太陽電池をAM1.5の太陽光(100mW/cm)の照射下で評価したところ、短絡電流密度18.8mA/cm、開放電圧0.77V、フィルファクターFF0.75であった。今回合成した金属錯体増感色素を用いた太陽電池の性能を、その変換効率を含めて、表4〜表6にまとめた。これらの表には、比較のため、従来の増感色素N791を用いて本発明の増感色素と同一セル構造及び同一条件で測定したデータも含めた。これらの結果から、今回のすべての金属錯体増感色素は代表的な増感剤であるN719を用いたセルの特性を凌駕することが分かった。
上の表から判るように、本発明の実施例の錯体を使用すると、何れの場合にもN719よりも大きな短絡電流が得られた。これは、これらの錯体の吸収する光の波長域がN719よりも長波長側まで伸びており、これによる光吸収量の増大が短絡電流の増大に寄与していることを示している。これにより、最終的には光電変換効率がN719よりも高くなるという効果が得られる。
以上説明したように、本発明の実施例によればこれまで非常に優れた特性を示すものされていた増感色素N719よりも明らかに優れた一連の増感色素を提供できることがわかった。従って、本発明を用いることにより、色素増感太陽電池の効率を向上させることで、その実用化を一層推進することが可能となる。
1 支持基板
2 透明導電性膜
3 多孔質光起電力層
4 ホール輸送層
5 基板
6 対向電極層
7 漏洩防止剤
8 電気導電性基板
9 対向電極
米国特許6,245,988号 特開2000−251957号公報 特開2000−323191号公報 特開2001−006760号公報 特開2001−059062号公報 特開2001−060467号公報 特開2001−060468号公報 特開2001−229983号公報 特開2001−237000号公報 特開2001−291534号公報 米国特許5,789,592号 特開2003−212851号公報
New J. Chem. 26(2002) pp.966-968 Alberto Bignozzi. et. al J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 15342-15343 Cheng, Chia-Chung and Yan, Shou-Jen, Organic Reactions (Hoboken, NJ, United States), 28, Nopp. given;1982)

Claims (2)

  1. 以下の構造を有する金属錯体。
    MAB(NCS) 式1
    式中、MはRu(II)、Os(II)、Fe(II)、Re(I)及びTc(i)からなる群から選択された遷移金属、
    Aは以下の構造式で表される4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン

    または以下の構造式で表される4,7−ジカルボキシ−1,10−フェナントロリン

    Bは以下の構造式で表される配位子である。

    式中、
    とRの組合せは、Rが水素原子または炭素数1から炭素数20のアルキル基であり、かつRが炭素数1から炭素数20のアルキル基であるか、またはRとRの両者が以下の構造式で表される基である。

    式中、Xはアミン、ジアルキルアミン、ジフェニルアミンまたは芳香族基置換アミン基のいずれかである。
  2. 以下の(a)から(c)を設けた色素増感太陽電池。
    (a)導電性表面に形成され、請求項1に記載の金属作製を吸着した酸化物半導体膜を有する酸化物半導体電極。
    (b)対極。
    (c)前記酸化物半導体電極及び前記対極に接触するレドックス電解質。
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