JP2012111556A - 包装体および包装体に気体を封入する方法 - Google Patents

包装体および包装体に気体を封入する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軟包装材料を用いた包装袋に収納物と大気圧以上の気体を封入した包装体であって、簡単な設備によって製造可能であり、しかも内圧の安定した包装体と、この包装体に気体を封入する方法を提案する。
【解決手段】ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋2に、収納物と大気圧以上の圧力の気体14を封入してなる包装体1であって、包装袋上部開口部を熱シールしたトップシール部4と、トップシール部4の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部8とによって挟まれて形成された横長の気体封入経路9を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、収納物と共に大気圧以上の空気や不活性ガス等の気体を封入した包装体、並びに包装体に気体を封入する方法に関する。
軟包装材料を袋状に加工したパウチに、内容物を収納した後、容器内の空気を窒素ガスなどの不活性ガスで置換して、内容物の酸化を防止する方法が、古くから行われている。単に内容物の酸化を防止する目的であれば、容器内の圧力を外部よりも高くする必要はないので、比較的簡単な設備で充填包装を行うことができる。
しかし例えば硬式テニスボールのように、内部の圧力が高く、しかも外から空気を補充することができない構造の物品などは、製造後に内部の空気が漏れ出すのを防ぐために、缶容器などに加圧した状態で密閉保存する必要がある。
従来、これらの加圧密閉容器への充填方法としては、内容物と容器を共に加圧チャンバー内に入れ、加圧チャンバー内で、充填、封緘操作を行うことが一般的に行われているが、加圧チャンバー設備は、非常に大がかりな設備であり、従って包装に要するコストが大きなものになるという問題があった。
特許文献1に記載された硬質テニスボールの包装方法は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、包装材の内部に、硬質テニスボールと共にドライアイスなどの常温常圧で気化する気化性物質を挿入して包装材を密封した後に、気化性物質を気化させて包装材の内部を加圧状態とする方法である。
特許文献2に記載されたテニスボール収納体は、合成樹脂を基層とする気密性のシート材から成る筒型の収納部と、収納部の一方の端部の内部に形成された椀型底部と、テニスボールが収納されて所定内圧が充填された収納部を密封する収納部他端の封着部と、収納部の一方の端部を構成し、直立した収納部を支持する脚部とを含んで構成されているテニスボール収納体である。
特許文献2に記載されたテニスボール収納体は、従来の金属缶やプラスチック容器に替えて、気密性のシート材をその材料としたので、廃棄時に嵩張らず、開封も容易であり、製造原価も廉価で済むという特徴を持っている。
特許第3580401号公報 特許第3940827号公報
特許文献1に記載された方法によれば、比較的簡単な設備で、内部が加圧状態となった包装体を製造することができる。しかし、特許文献1に記載された方法において、包装体の内部の圧力を特定の値にしようとした場合、内部に挿入する気化性物質の量を厳密にコントロールする必要がある。しかし常温で気化する物質を常温で厳密に秤量することには、本質的な困難性が伴うものである。しかもドライアイスは、−79℃で固体から気体に昇華し、体積が一気に750倍になるため、取り扱いや計量が非常に難しい。
仮に気化性物質の量を正確にコントロールできたと仮定しても、包装容器が金属缶などのように内容積が一定のものであれば問題はないが、包装容器が軟包装パウチのように、形状が変化しやすく、従って密封時点での内容積が変動し易いものである場合には、密封後の内圧のばらつきが大きくなり、包装体としての品質を安定させることが困難であるという問題がある。
また特許文献2に記載されたテニスボール収納体は、底部として椀型に形成された部品を予め準備する必要があるため、通常のパウチに比較して割高であり、また内部を加圧状態とするために、前記加圧チャンバーなどの特殊な加圧充填装置を必要とするという問題がある。
本発明の解決しようとする課題は、軟包装材料を用いた包装袋に収納物と大気圧以上の気体を封入した包装体であって、簡単な設備によって製造可能であり、しかも内圧の安定した包装体と、この包装体に気体を封入する方法を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋に、収納物と大気圧以上の圧力の気体を封入してなる包装体であって、包装袋上部開口部を熱シールしたトップシール部と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部とによって挟まれて形成された横長の気体封入経路を有することを特徴とする包装体である。
また、請求項2に記載の発明は、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして上部開口部を形成してなる包装袋の上部開口部から収納物を収納した後、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールしてトップシール部を形成し、前記上部開口部の片側側端部の未シール部に形成したエアーノズル挿入部から気体封入経路を経由して大気圧以上の圧力の気体を封入した後、エアーノズル挿入部を熱シールして気密シール部を形成してなる包装体であって、前記気体封入経路は、前記トップシール部と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部とによって挟まれて形成されており、一端が前記エアーノズル挿入部に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有することを特徴とする包装体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記刀状のシール部が、包装袋の左右両側から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装体である。
また、請求項4に記載の発明は、包装袋の形状が、スタンディングパウチ形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体である。
また、請求項5に記載の発明は、気体封入経路の幅が、5mm±1mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体である。
また、請求項6に記載の発明は、収納物がテニスボールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体である。
また、請求項7に記載の発明は、以下の一連の工程からなることを特徴とする、包装体に気体を封入する方法である。
1、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして上部開口部を有する包装袋を成形する工程。
2、包装袋の上部開口部から収納物を収納した後、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールしてトップシール部を形成し、未シール部分をエアーノズル挿入部とする工程。3、トップシール部の下に、包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部を形成して、一端が前記エアーノズル挿入部に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有する気体封入経路を形成する工程。
4、エアーノズル挿入部にエアーノズルを挿入して、エアーノズルから気体封入経路を経由して包装袋内に大気圧以上の圧力の気体を封入する工程。
5、気体による包装袋の膨張に伴い、気体封入経路が変形して閉塞した後、エアーノズルを抜去する工程。
6、エアーノズル挿入部または、エアーノズル挿入部および気体封入経路を熱シールして気密シール部を形成する工程。
本発明に係る包装体は、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋に、収納物と大気圧以上の圧力の気体を封入してなる包装体であるから、封入した気体が漏れ出すことがなく、長期間に亘って内部の圧力を保持することができる。
また本発明に係る包装体は、包装袋上部開口部を熱シールしたトップシール部と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部とによって挟まれて形成された横長の気体封入経路を有し、この気体封入経路を経由して大気圧以上の気体を封入する構造であるため、気体の圧力によって包装袋が膨張するのに伴い、刀状のシール部の先端部分が丸く膨張し、その結果気体封入経路が折れ曲がって自動的に閉塞効果が得られる。このためエアーノズルを抜去しても包装袋内部の圧力は急激には減少せず、従って安定した気密シール作業が可能となる。
刀状のシール部が、包装袋の左右両側から形成されている場合には、気体封入後の包装袋の形状が、左右対称形に近い形状となり、外観的に優れた包装体となる。
気体封入経路の幅を5mm±1mmとした場合には、この気体封入経路の閉塞が特に安定して行われるようになる。また気体を封入する際に、時間がかかり過ぎることもない。
本発明に係る包装体は、スタンディングパウチ形状とすることによって、その効果をさらに発揮させることができる。またテニスボールの加圧包装体として好適に使用できる。
本発明に係る気体の封入方法によれば、大がかりな加圧チャンバー等の高価な設備を使用する必要がなく、簡単な設備で、内圧の安定した包装体を製造することができる。
図1は、本発明に係る包装体の一実施態様を示した斜視図である。 図2は、本発明に係る包装体に用いる包装袋の一例を示した平面説明図である。 図3は、本発明に係る包装体に用いる包装袋の一例を示した平面説明図である。 図4は、図3に示した包装袋に収納物を収納した後、トップシール部を形成した状態を示した説明図である。 図5は、図4に示した状態の包装袋に、刀状のシール部を形成した状態を示した説明図である。 図6は、図5に示した状態の包装袋に、気体を封入し、気密シール部を形成した状態を示した説明図である。 図7は、気体封入経路の幅に関する説明図である。 図8は、トップシール部の形状に関する説明図である。 図9は、刀状のシール部の形状に関する説明図である。 図10は、本発明に係る包装体に気体を封入する方法における各工程を示した説明図である。 図11は、本発明に係る包装体の他の実施態様を示した斜視図である。 図12は、図4に示した状態の包装袋に、左右両側から刀状のシール部を形成した状態を示した説明図である。 図13は、図12に示した状態の包装袋に、気体を封入し、気密シール部を形成した状態を示した説明図である。
以下本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装体(1)の一実施態様を示した斜視図である。本発明に係る包装体(1)は、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋(2)に、収納物(図示せず)と大気圧以上の圧力の気体(14)を封入してなる包装体である。
図1に示された実施態様は、包装袋(2)の形状がスタンディングパウチ形状の場合である。図1に示された包装体(1)において積層体の周縁の熱シール部分は、サイドシール部(5)、ボトムシール部(6)、トップシール部(4)、気密シール部(10)から成っている。
本発明に係る包装体(1)は、包装袋(2)の上部開口部を熱シールしたトップシール部(4)と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部(8)とによって挟まれて形成された横長の気体封入経路(9)を有することを特徴としている。
本発明に係る包装体(1)は、大気圧以上の圧力の気体(14)を封入することにより、包装袋(2)の収納部が丸く膨れるために、周縁の熱シール部には必然的にシワが入る。このシール部のシワ(12)の影響により、横長の気体封入経路(9)は折り曲げられて閉塞部(11)を生じる。
包装袋(2)に気体(14)を封入する際には、エアーノズル(図示せず)をエアーノズル挿入部(7)に挿入して、気体を圧入するが、封入が完了した時点でエアーノズルを
抜去する際に、どうしても少量の気体が漏れる。気体封入経路(9)に閉塞部(11)が存在することにより、気体の漏れ量が少なくなり、内圧の安定した製品が得られる。
図2は、本発明に係る包装体に用いる包装袋(2)の一例を示した平面説明図である。図2に示した包装袋(2)は、最も簡単な四方シール袋であり、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる。図2に示した包装袋では、表裏2枚の積層体のシーラント層同士を対向させ、サイドシール部(5)、ボトムシール部(6)を形成して袋状とし上部開口部(3)を収納物を充填するための充填口としている。
図3は、本発明に係る包装体に用いる包装袋の他の例を示した平面説明図である。図3に示した包装袋(2)は、いわゆるスタンディングパウチであり、表裏2枚の積層体の間に、シーラント面を外側になるように二つ折りにした底テープ(19)を挿入し、ボトムシール部(6)を船底状に形成し、サイドシール部(5)を形成したものである。包装袋(2)の形状をスタンディングパウチ形状とした場合には、包装袋が丸く膨らみ易いので、本発明の包装体には、最も適している。
本発明に係る包装体に用いる包装袋(2)の形状については、特にこれらに限定されるものではなく、三方シール袋、合掌シール袋、ガセット袋等さまざまな形状の袋を用いることができる。
本発明に係る包装体に用いる積層体は、ガスバリア性を有する基材層とシーラント層を少なくとも有するものである。基材層は、基材フィルムとガスバリア層とからなる構成や、基材フィルムと中間層とガスバリア層からなる構成などが用いられる。
基材フィルムや中間層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とするアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、アセチル・ジセルロース、アセチル・トリセルロース等の繊維素系誘導体、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂からなる延伸または未延伸フィルムが使用できる。
基材フィルムとして最も好適に用いられるのは、印刷適性、後加工適性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムや、ポリアミド樹脂(ナイロン6)の二軸延伸フィルムである。基材フィルムの厚さとしては、材質により、5〜35μm程度が適当である。
ガスバリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム蒸着フィルム、金属酸化物蒸着フィルム、窒化物、フッ化物等の単体または複合物を蒸着したフィルムが使用できる。金属酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化マグネシウム等が用いられる。
ガスバリア層に用いる蒸着フィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)フィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、環状シクロオレフィンを含むシクロオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。これらのフィルムは、一軸延伸、二軸延伸、または無延伸フィルムのいずれも使用できるが、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
蒸着薄膜の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法等、公知の真空プロセスにより形成する。
アルミニウム箔を用いる場合の厚さとしては、6〜12μm程度が適当である。蒸着薄膜の場合は、5〜300nm程度である。
ガスバリア層としては、上記の他、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂をコートしたPETフィルム、延伸ナイロン(ONY)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが使用できる。またポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、合成高分子ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)系樹脂の各フィルムが使用できる。
シーラント層としては、基材層よりも溶融温度の低い熱可塑性樹脂が選択される。例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、未延伸ポリエステル樹脂等が挙げられる。特にポリエチレン樹脂は、好適に用いられる。シーラント層の厚さとしては、30〜120μm程度が適当である。
これらの各層は、ラミネート樹脂や接着剤によって貼り合わされる。ラミネート樹脂としては、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPEやこれらの混合物から選択される。ラミネート樹脂は、基材層との接着性を妨げない範囲で、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。また炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、タルク等の無機充填剤や顔料等を添加してもよい。
図4は、図3に示した包装袋(2)に収納物(15)を収納した後、トップシール部(4)を形成した状態を示した説明図である。図3に示した包装袋(2)の上部開口部(3)から収納物(15)を収納した後、トップシール部(4)を形成する。トップシール部(4)は、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールすることによって形成され、上部開口部の片側側端部を熱シールしないで残すことにより、エアーノズル挿入部(7)が形成される。
図5は、図4に示した状態の包装袋(2)に、刀状のシール部(8)を形成した状態を示した説明図である。刀状のシール部(8)は、トップシール部(4)の下にあって包装袋(2)の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状のシール部である。
トップシール部(4)と、刀状のシール部(8)とによって気体封入経路(9)が形成される。気体封入経路(9)は、一端がエアーノズル挿入部(7)に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有することを特徴とする。
トップシール部(4)と刀状のシール部(8)を形成する順序は、この逆でもよく、また同時に形成しても良い。トップシール部(4)の形状については、図8に示したように、上部を肉抜きしてL字型としても良い。
図6は、図5に示した状態の包装袋に、気体(14)を封入し、気密シール部(10)を形成した状態を示した説明図である。気体(14)を封入するには、図5の状態で、エアーノズル挿入部(7)にエアーノズルを挿入し、外側からゴムパッドで押さえて気体が
もれないようにした上で、気体(14)を圧入する。気体の圧力により、図6に模式的に示したように、包装袋(2)は、膨張する。この膨張によって刀状のシール部(8)の先端部では、刀の切っ先に相当する先端下部が斜めになっているために、この付近が丸く膨張し、トップシール部(4)にシワ(12)が生じる。このシワによって気体封入経路(9)が折り曲げられて、閉塞部(11)を生じるのである。
所定の圧力になるまで気体を封入すると、気体封入経路(9)に閉塞部(11)が生じるので、エアーノズルを抜去して、エアーノズル挿入部(7)を熱シールし、気密シール部(10)を形成する間に、急激に気体が漏れ出すことはない。このため、内部圧力が安定した製品を得ることができる。
図7は、気体封入経路(9)の幅に関する説明図である。
トップシール部(4)と刀型のシール部(8)とによって挟まれた気体封入経路(9)の幅(9w)については、実験の結果、5mm±1mmの範囲であることが最も好ましいことが分かった。幅が狭すぎると、気体を圧入する際の抵抗が大きくなり、封入に時間がかかる。また幅が広すぎると、閉塞部(11)の気密性が悪くなる。
図9は、刀状のシール部(8)の形状に関する説明図である。
刀状のシール部(8)は、図9(1)に示したように、先端上部が鋭角状であり、かつ角がとがっていないことが望ましい。図9(2)〜(4)のように、尖った角が存在すると、気体を封入した時に、積層体が切れやすい場所(18)を生じることがあるので好ましくない。
図10は、本発明に係る包装体に気体を封入する方法における各工程を示した説明図である。
図10(1)は、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして上部開口部(3)を有する包装袋(2)を成形する工程を示している。
図10(2)は、包装袋の両側をチャック(16)で挟んで固定し、包装袋の上部開口部から収納物(15)を収納した後、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールしてトップシール部(4)を形成し、未シール部分をエアーノズル挿入部(7)とする工程を示している。
図10(3)は、トップシール部(4)の下に、包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部(8)を形成して、一端が前記エアーノズル挿入部(7)に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有する気体封入経路(9)を形成する工程を示している。
図10(4)は、エアーノズル挿入部にエアーノズル(13)を挿入して、エアーノズルから気体封入経路を経由して包装袋内に大気圧以上の圧力の気体(14)を封入する工程を示している。
図10(5)は、気体による包装袋の膨張に伴い、気体封入経路が変形して閉塞し、閉塞部(11)が生じた後、エアーノズルを抜去する工程を示している。なおこの図では、エアーノズルを抜去する前に、ピンチ(17)によってエアーノズル挿入部を閉鎖している。このようにすることにより、気体の漏洩は最小限に留めることが可能となる。
図10(6)は、エアーノズル挿入部を熱シールして気密シール部(10)を形成する工程を示している。気密シール部(10)は、この図のようにエアーノズル挿入部の開口
部のみをシールするものに限らず、エアーノズル挿入部全体や、さらに気体封入経路までシールするものでもかまわない。
図11は、本発明に係る包装体(1)の他の実施態様を示した斜視図である。図11に示した実施態様においては、刀状のシール部(8)が包装袋(2)の左右両側から設けてある。こうすることにより、収納部の形状を左右対称形に近い形状とすることができるので、気体を封入した後の包装体の形状も左右対称形に近いものとなり、外観的に優れたものとなる。
図12は、図4に示した状態の包装袋(2)に、左右両側から刀状のシール部(8)を形成した状態を示した説明図である。このように、刀状のシール部(8)を左右両側から設けて、気体封入経路(9)の開口部が包装袋(2)の収納部の中央部に開口するようにすると、収納部の形状が左右対称形に近い形状となる。
図13は、図12に示した状態の包装袋(2)に、気体を封入し、気密シール部(10)を形成して、包装体(1)とした状態を示した説明図である。このように、収納部の形状が左右対称形に近い形状であると、気体封入後の包装体(1)の形状も左右対称形に近い形状となるので、外観的に優れた包装体となる。
なお、刀状のシール部(8)を左右対称に配置した場合であっても、シール部のシワ(12)に起因して、気体封入経路(9)が閉塞して、閉塞部(11)を生じる機構には、何ら影響することはない。
本発明に係る包装体に封入する気体の種類としては、その用途に応じて、空気、窒素、炭酸ガス、酸素、ヘリウムなど任意である。テニスボールの保存容器として用いる場合には、気体として空気または窒素ガスを使用し、圧力は、180〜210kPa程度とするのが良い。以下実施例に基づいて、本発明に係る包装体について具体的に説明する。
次の層構成からなる積層体を用いて、図3に示した形状のスタンディングパウチを作成した。
積層体の層構成:25μmPETフィルム/酸化珪素蒸着/印刷/PE/シーラント
包装袋の寸法:高さ345mm/幅130mm
この包装袋にテニスボールを4個収納し、上部開口部に図8に示したようなL字型形状のトップシール部を形成し、次いで図9(1)に示した形状の刀型のシール部を形成した。エアーノズル挿入部の寸法は、幅15mm、深さ30mmとした。気体封入経路の幅は、5mm、長さは50mmとした。
エアーノズル挿入部に挿入したエアーノズルから窒素ガスを圧入し、包装袋の内部の圧力が200kPaとなるようにした。包装袋の膨張により気体封入経路が折れ曲がり、自動的に閉塞したため、エアーノズルを抜去しても包装袋本体内のガスは漏れなかった。
エアーノズル挿入部に気密シール部を形成して、目的とする包装体を得た。この包装体は、30日間保存しても、内部の圧力が200kPa以上に保持されており、テニスボール用保存容器として使用可能であることが判明した。
実施例1に使用したものと同じ積層体を用いて、図3に示した形状のスタンディングパウチを作成した。この包装袋にテニスボールを4個収納し、上部開口部に図8に示したようなL字型形状のトップシール部を形成し、次いで図9(1)に示した形状の刀型のシー
ル部を左右両側から形成した。エアーノズル挿入部の寸法、気体封入経路の幅、長さ等は、実施例1と同じである。以下実施例1と同様に窒素ガスを充填した。
充填時の作業性や保存安定性については、実施例1と同様であった。包装体の外観については、実施例1の包装体が左右非対称であるのに対して、実施例2の包装体は、ほぼ左右対称形であり、外観的に優れていた。
本発明に係る包装体は、テニスボールのように、加圧した状態で保存することが好ましい物品の容器として好適に用いられる他、人形や帆船の模型などのように、破損しやすい物品の保護容器として、あるいは酸素やヘリウムガス用の簡易ボンベとしても適用することができる。また酸化しやすい飲料と不活性ガスを充填して瓶のような外観とすることにより、空容器の容積が非常に小さくて済む液体容器とすることもできる。
さらに本発明に係る包装体の用途として、通常のガスバリア性のない容器に入った炭酸入りゼリーを複数個収納し、炭酸ガスを充填することにより、炭酸入りゼリー菓子の保存容器とすることができる。
1・・・包装体
2・・・包装袋
3・・・上部開口部
4・・・トップシール部
5・・・サイドシール部
6・・・ボトムシール部
7・・・エアーノズル挿入部
8・・・刀状のシール部
9・・・気体封入経路
9w・・・気体封入経路の幅
10・・・気密シール部
11・・・閉塞部
12・・・シール部のシワ
13・・・エアーノズル
14・・・気体
15・・・収納物
16・・・チャック
17・・・ピンチ
18・・・切れやすい場所
19・・・底テープ

Claims (7)

  1. ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールしてなる包装袋に、収納物と大気圧以上の圧力の気体を封入してなる包装体であって、
    包装袋上部開口部を熱シールしたトップシール部と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部とによって挟まれて形成された横長の気体封入経路を有することを特徴とする包装体。
  2. ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして上部開口部を形成してなる包装袋の上部開口部から収納物を収納した後、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールしてトップシール部を形成し、前記上部開口部の片側側端部の未シール部に形成したエアーノズル挿入部から気体封入経路を経由して大気圧以上の圧力の気体を封入した後、エアーノズル挿入部を熱シールして気密シール部を形成してなる包装体であって、
    前記気体封入経路は、前記トップシール部と、トップシール部の下にあって包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部とによって挟まれて形成されており、一端が前記エアーノズル挿入部に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有することを特徴とする包装体。
  3. 前記刀状のシール部は、包装袋の左右両側から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装体。
  4. 包装袋の形状が、スタンディングパウチ形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体。
  5. 気体封入経路の幅は、5mm±1mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
  6. 収納物がテニスボールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体。
  7. 以下の一連の工程からなることを特徴とする、包装体に気体を封入する方法。
    1、ガスバリア性を有する基材層と熱シール可能なシーラント層とを少なくとも有する積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして上部開口部を有する包装袋を成形する工程。
    2、包装袋の上部開口部から収納物を収納した後、上部開口部の片側側端部以外の部分を熱シールしてトップシール部を形成し、未シール部分をエアーノズル挿入部とする工程。3、トップシール部の下に、包装袋の側部から中央部に達する、先端上部が鋭角状である刀状のシール部を形成して、一端が前記エアーノズル挿入部に開口し、他端が包装袋内部中央部に開口した横長の形状を有する気体封入経路を形成する工程。
    4、エアーノズル挿入部にエアーノズルを挿入して、エアーノズルから気体封入経路を経由して包装袋内に大気圧以上の圧力の気体を封入する工程。
    5、気体による包装袋の膨張に伴い、気体封入経路が変形して閉塞した後、エアーノズルを抜去する工程。
    6、エアーノズル挿入部または、エアーノズル挿入部および気体封入経路を熱シールして気密シール部を形成する工程。
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