JP3940827B2 - テニスボール収納体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニスボールを常圧よりやや高い加圧状態として収納保管するための収納体に関する。
【0002】
【従来の技術】
テニスボールは、通常、ゲージ圧で0.7〜1.2kg/cm2程度の内圧が充填されており、使用開始迄にこの圧力状態を保持する為に、従来では円筒形のブリキ缶やPET(ポリエチレンテレフタレート)容器に2〜4個のボールが収納され、容器内がゲージ圧で0.7〜1.2kg/cm2に加圧されて保管されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1) このようなブリキ缶やPET容器は廃棄したときに嵩ばると共に、廃棄物となる材料が多く廃棄物の小容量化あるいは廃棄物材料量の低減が望まれている。
【0004】
本発明は、このような点に鑑み、廃棄時の嵩が小さく、廃棄材料量もきわめて少ないテニスボール収納体を提供することを第1の目的とする。
【0005】
(2) 従来のブリキ缶よりなる容器は、開缶に特別な器具を必要とすると共に、開缶に手間がかかる。本発明は、開封がきわめて容易なテニスボール収納体を提供することを第2の目的とする。
【0006】
(3) 従来のブリキやPETよりなる容器は、製造原価が比較的高価であることと、特に前記ブリキ缶の場合にその重量が大きくなって運搬が不便になるなどから容器をあまり大きくし難いという問題点があった。
【0007】
本発明は、産業廃棄物としての処分が容易で、安全性の高い開封手段を備えると共に、軽量で容量を容易に変更することが出来て、しかも廉価な製造原価のテニスボール収納体を提供することを第3の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)のテニスボール収納体は、合成樹脂を基層とする気密性のシート材から成る筒形の収納部と、該収納部の一方の端部の内部に形成された椀形底部と、テニスボールが収納されて所定内圧が充填された前記収納部を密封する該収納部他端の封着部と、前記収納部の一方の端部を構成し、直立した前記収納部を支持する脚部とを含んで構成されているテニスボール収納体であって、該円筒部内の下部に該椀形底部が凹面を上向きにして挿入され、該椀形底部の周縁が該円筒部の内周面に対し熱融着や接着により気密に接合され、該円筒部の椀形底部との接合部よりも下部が脚部となっており、該接合部よりも上側が収納部となっていることを特徴とするものである。
【0009】
かかるテニスボール収納体では、容器の殆ど全体が、基材を合成樹脂とされた柔軟軽量でガス透過度の小さいシート材料で製造されているので、ボールが収納された容器内の加圧状態を、ボールが収納されてから使用が開始されるまでに必要で十分な期間維持する事が可能である。また、このテニスボール収納体の容器は、非常に軽量であるから、大型化しても運搬が容易である。さらに、ボールを取り出した後の容器は、容易に小さく折り畳むことが出来てその廃棄処分が容易となると共に、廃棄材料量もきわめて少ない。
【0010】
販売店の商品棚上などで、円筒形の容器が軸方向に垂直に立てて配置される場合には、容器の下端に設けられた脚部がこれを支持すると共に、容器の下部に設けられた内方に凹とされた椀形底部内にボールが収納されていることによって容器の重心が下がり、容器を安定して垂直に立てておくことができる。
【0011】
また、所定圧力に加圧された容器の密封は、材質の基材がPET等の合成樹脂製のシート材とされているので、熱融着など従来既知の方法で容器の開口部を容易に接合して行うことが出来ると共に、容器内の圧力が低下した場合には、柔軟なシート材から成る容器が容易に潰れて内圧の低下を検出し易くしている。
【0012】
これに加え、前記シート材は、ボールが見える透明なものとすることも、また容器の美観のために着色とすることも既存の技術により容易である利点がある。
【0013】
なお、容器は、基材の合成樹脂のシートを任意の寸度に裁断した上で所定の端部を接着して袋を製作するだけの単純な製法で製作できることから、軽量で大容量の容器を容易に少ない工数で製造することが出来、また容器に内圧を充填する前はこの容器を折り畳んでストックしておくことが可能で工場での保管スペースの節減が出来るなどによって、容器の製造原価を低減することが可能である。
【0014】
本発明では、前記筒形の収納部の上部において、前記シート材の封着部に少なくとも一個の切欠き部が設けられていることが好ましい。このように切欠き部を設けたテニスボール収納体は、該切欠きを切っ掛けとして指先で容易に容器を切り裂いて開封することが出来るので、従来のブリキ缶容器の如く開封に当たり特別の器具を要せず、また開封後の容器の開口部が柔軟で指先等が当っても全く痛みを感じないし、また、指先を切ることもない。
【0015】
本発明では、平板状とされた前記封着部に吊手孔が設けられていることが好ましい。このようにすれば、この吊手孔に指先を入れて容器を吊り下げて運搬したり又所定のフックに掛けて展示したり更に又商品名や注意書き等記載のタグを吊り下げることができる。
【0016】
次に、本発明に係る高気密性のシート材料の好適例について説明する。
【0017】
本発明のこのシート材料としては、食品容器として既に使用されているもの(例えば、商品名:凸版印刷社製GL−AEフィルム)で、基材となるポリエチレンテレフタレート(PET)の12μ厚さのシート上にセラミックが蒸着された気密性の高い透明なフィルムが好適に用いられる。また、上記蒸着層上に容器内容やブランド名を表示する印刷が行われる場合には、更にその上面に接着剤又はポリエチレン層を介して気密性のシーラント層が貼着され印刷面が保護される。尚、このシート材を容器に成形する際は、前記シーラント層を容器の内壁とする。
【0018】
このシート材料は、実験によって、従来の所謂ペット(PET)ボトルに比べて、ガス透過度が数分の一と低くしかも耐圧力もテニスボールの保管に必要なゲージ圧約1.5kg/cm2をクリアすることが確かめられ、またその肉厚が極めて薄く柔軟で軽量であることから、前記した本発明に係る容器の優れた特徴を十分に発揮させることができる。また、本シート材は、一般ゴミに混入して焼却が可能とされているので廃棄処分が一段と容易になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
第1図(a)は請求項1〜4の発明の実施の形態に係るテニスボール収納体の斜視図、同(b)、第2図(a)、同(b)はそれぞれ第1図(a)のIb−Ib線、IIa−IIa線、IIb−IIb線に沿う断面図である。
【0020】
このテニスボール収納体1にあっては、1枚のシート材を円筒状に丸め、シート材の端辺同士を重ねて熱融着等により封着して円筒部2としている。第1図(b)の2aはこの封着による接合部を示している。
【0021】
円筒部2内の下部に椀形底部3が凹面を上向きにして挿入され、該椀形底部3の周縁が円筒部2の内周面に対し熱融着や接着により気密に接合されている。円筒部2の下部(椀形底部3との接合部よりも下部)は脚部1aであり、それよりも上側が収納部1bである。
【0022】
この椀形底部3の上側にテニスボール4が載るようにして複数個のテニスボール4が収納部内に収容された後、収納部内に加圧空気(この実施の形態ではゲージ圧1.0kg/cm2)を充填し、円筒部2の上部を熱融着によって密封する。図の5はこの封着部を示す。
【0023】
この封着部5に吊手孔6がパンチング等により形成される。また、封着部5の外縁に切欠き(ノッチ)7を設ける。
【0024】
吊手孔6は指先が入る大きさであることが好ましく、更に吊手孔6から裂け目が入らないようにするために吊手孔6の周縁は曲線など滑らかな連続線形状となるように形成されるのが好ましい。具体的には、吊手孔6は楕円形、円形、又はグラウンド形状が好ましい。
【0025】
ノッチ7は第1,2図では封着部5の上辺部分に設けられているが、側辺部に設けられても良い。このノッチ7はV形であっても良く、半円形など他の形状であっても良い。ノッチの数は2以上であっても良い。
【0026】
容器の全体の材料としては、前記した高気密性で柔軟なGL−AEフィルムから成るシート材が好ましい。尚、第1,2図では印刷は施されていないが、ポリエチレンテレフタレート層の上にセラミック層が蒸着され、その上に印刷インク層が設けられ、更にその上にシーラント層が貼着されていても良い。第5図はこの積層構造を有したシート材料10の一例であり、PET層11の上にセラミック層12が形成され、その上にインク層13が形成され、接着材又はポリエチレンシート14を介してシーラント層15が貼着積層されている。
【0027】
この様に積層されたシート材は、着色も可能であるが、第1,2図ではボールの収納個数が明示出来る透明とされている。尚、本実施の形態では、収納部の長さは2個のテニスボールを収納出来る長さとされているが、1個又は3個以上のテニスボールを収納する長さであっても良い。
【0028】
尚、前記密封部の前記シート材の熱融着には、加熱加圧が可能な既知の接合機が使用される。
【0029】
また、テニスボール2個を収容する(ボール直径66mm)本実施の形態の場合の容器の主要寸度の一例として、円筒形の前記収納部1b及び脚部1aの直径または正面視した時の幅を88mmとし、容器の全長を220mmとし、前記吊手孔の横方向の長さを70mmとしている。
【0030】
第3図(a)は請求項1〜4の発明の別の実施の形態に係るテニスボール収納体1’の斜視図、同(b)、第4図(a)、同(b)はそれぞれ第3図(a)のIIIb−IIIb線、IVa−IVa線、IVb−IVb線に沿う断面図である。
【0031】
このテニスボール収納体1’にあっては、2枚のシート材を重ね合わせ、該シート材の1対の平行な端辺同士を重ねて熱融着等により接合して円筒部2’としている。2aは接合部を示す。
【0032】
第1,2図の場合と同様に、円筒部2’内の下部に椀形底部3が凹面を上向きにして挿入され、該椀形底部3の周縁が円筒部2’の内周面に対し熱融着や接着により気密に接合されている。円筒部2’の下部(椀形底部3との接合部よりも下部)は脚部1aであり、それよりも上側が収納部1bである。
【0033】
この椀形底部3の上側にテニスボール4が載るようにして複数個のテニスボール4が収納部内に収容された後、収納部内に加圧空気を充填し、円筒部2’の上部を熱融着によって密封する。この封着部5に吊手孔6がパンチング等により形成され、封着部5の外縁に切欠き(ノッチ)7を設ける。
【0034】
このように構成された各実施の形態に係るテニスボール収納体1、1’は、いずれもきわめて軽量で持ち運びし易い。また、ノッチ7を有するため開封がきわめて容易である。さらに、容器が不要になったときには小さく畳んで廃棄することができ、廃棄する材料の量もきわめて少なく、焼却も可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のテニスボール収納体は、軽量であると共に、廃棄時の体積が小さく材料量も少ない。請求項1〜3のテニスボール収納体は、自立させて陳列することができる。請求項2のテニスボール収納体は開封がきわめて容易である。請求項3のテニスボール収納体は、吊り下げて陳列したり、タグを吊り下げたりすることができる。
【0036】
請求項4のテニスボール収納体によると、シート材に印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係るテニスボール収納体の構成図である。
【図2】 図1のテニスボール収納体の断面図である。
【図3】 別の実施の形態に係るテニスボール収納体の構成図である。
【図4】 図3のテニスボール収納体の断面図である。
【図5】 シート材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 テニスボール収納体
1a 脚部
1b 収納部
2 円筒部
3 椀形底部
4 テニスボール
5 封着部
6 吊手孔
7 ノッチ
Claims (4)
- 合成樹脂を基層とする気密性のシート材から成る筒形の収納部と、
該収納部の一方の端部の内部に形成された椀形底部と、
テニスボールが収納されて所定内圧が充填された前記収納部を密封する該収納部他端の封着部と、
前記収納部の一方の端部を構成し、直立した前記収納部を支持する脚部とを含んで構成されているテニスボール収納体であって、
該円筒部内の下部に該椀形底部が凹面を上向きにして挿入され、該椀形底部の周縁が該円筒部の内周面に対し熱融着や接着により気密に接合され、
該円筒部の椀形底部との接合部よりも下部が脚部となっており、該接合部よりも上側が収納部となっていることを特徴とするテニスボール収納体。 - 前記筒形の収納部の上部において、前記シート材の封着部に少なくとも一個の切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のテニスボール収納体。
- 平板状とされた前記封着部に吊手孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のテニスボール収納体。
- 前記気密性シート材が、ポリエチレンテレフタレートよりなる基層と、該基層の上に蒸着されたセラミック層と、更に該セラミック層を被覆するシーラント層とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテニスボール収納体。
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JP21325897A JP3940827B2 (ja) | 1997-08-07 | 1997-08-07 | テニスボール収納体 |
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JPH1147314A JPH1147314A (ja) | 1999-02-23 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012111556A (ja) * | 2010-11-02 | 2012-06-14 | Toppan Printing Co Ltd | 包装体および包装体に気体を封入する方法 |
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1997
- 1997-08-07 JP JP21325897A patent/JP3940827B2/ja not_active Expired - Fee Related
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