JP2012111426A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】二次電池の連続充電に起因した劣化を抑制しつつエネルギ効率を向上させる。
【解決手段】本発明のハイブリッド自動車では、予め定められた充電側の閾値である限界値を限界としてバッテリの充電が継続されるほど入力制限Winが充電電力として小さく制限されると共にバッテリの充電後の放電量に応じて入力制限Winの制限が解除される。そして、バッテリの充放電要求パワーPb*は、入力制限Winが充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値である下限値Pb1を限界として放電側に増加(漸増)するように補正される。
【選択図】図4
【解決手段】本発明のハイブリッド自動車では、予め定められた充電側の閾値である限界値を限界としてバッテリの充電が継続されるほど入力制限Winが充電電力として小さく制限されると共にバッテリの充電後の放電量に応じて入力制限Winの制限が解除される。そして、バッテリの充放電要求パワーPb*は、入力制限Winが充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値である下限値Pb1を限界として放電側に増加(漸増)するように補正される。
【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関と、当該内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機と、当該電動機と電力をやり取り可能な二次電池とを備えた車両に関する。
従来、ハイブリッド自動車用の二次電池の入出力制御装置として、二次電池の充電率(SOC)と予め設定されたSOC−入出力可能パワー相関とを用いて入出力可能パワーを算出し、算出した入出力可能パワーに基づいて二次電池の入出力を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この入出力制御装置では、二次電池が大電流で充放電された後、当該二次電池が入力状態(充電状態)にある場合には充電率(SOC)が大きいほど大きい正の値をとると共に二次電池が出力状態(放電状態)にある場合には充電率(SOC)が小さいほど小さな負の値をとるように設定された電池状態遷移係数が積算され、その積算値の絶対値が大電流入出力に起因する二次電池の電池状態の変化を定量的に表す指標として用いられる。そして、当該指標が所定値以上であると判定されると、入力可能パワーの場合には充電率(SOC)が大きければ大きいほど入力可能パワーがより小さくなるように補正され、出力可能パワーの場合には充電率(SOC)が小さければ小さいほど出力可能パワーがより小さくなるように補正される。これにより、二次電池が大電流で充放電された後に充電または放電が継続して行われることで二次電池の内部抵抗が変化し、当該内部抵抗の変化に起因して二次電池の充電率(SOC)と入出力可能パワーとの相関が上述の予め定められたSOC−入出力可能パワー相関から変化したとしても、当該相関の実際の変化に対応するように二次電池の入出力可能パワーを補正することができる。
上述のような指標(電池状態遷移係数の積算値)に基づいて内部抵抗の変化に応じて変化するバッテリの充電率(SOC)と入出力可能パワーとの相関に対応するように二次電池の入力可能パワー(許容充電電力)を補正すると共に二次電池の入力可能パワーの範囲内で電動機等を制御することで、比較的高い電流値で二次電池の充電が継続して行われたとしても、二次電池の劣化を抑制しつつ充放電を安定化させることができる。しかしながら、二次電池を充電すべきときに上述の指標の値に基づいて入力可能パワーが制限されると、制限された入力可能パワーの範囲内での充電が行われることになる。そして、このような制限された充電が続けられると上述の指標の符号が反転せず入力可能パワーの制限がますます解除され難くなることから制限された充電が更に継続されてしまう。このように、二次電池の充電が制限されているにも拘わらず充電が継続されてしまうのは二次電池の劣化を抑制する上で好ましいことではなく、二次電池の充電制限が継続される間には、例えば電動機により回生された電力を有効に利用し得なくなってエネルギ効率を悪化させてしまうおそれがある。
本発明の車両は、二次電池の連続充電に起因した劣化を抑制しつつエネルギ効率を向上させることを主目的とする。
本発明の車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明の車両は、
内燃機関と、前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な二次電池と、前記二次電池の充電割合に基づいて該二次電池の目標充放電電力を放電側と充電側とで符号を変えて設定する目標充放電電力設定手段と、前記二次電池の状態に基づいて該二次電池の充電に許容される電力である許容充電電力および放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容充放電電力設定手段と、前記二次電池が前記目標充放電電力で充放電されるようにしながら前記許容充電電力および前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求トルクに基づくトルクが得られるように前記内燃機関および前記電動機を制御する制御手段とを備えた車両であって、
予め定められた充電側の閾値を限界として前記二次電池の充電が継続されるほど前記許容充電電力を充電電力として小さく制限すると共に該二次電池の充電後の放電量に応じて該許容充電電力の制限を解除する許容充電電力制限手段と、
前記許容充電電力制限手段により前記許容充電電力が充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値を限界として放電側に増加するように前記目標充放電電力を補正する目標充放電電力補正手段とを更に備えることを特徴とする。
内燃機関と、前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な二次電池と、前記二次電池の充電割合に基づいて該二次電池の目標充放電電力を放電側と充電側とで符号を変えて設定する目標充放電電力設定手段と、前記二次電池の状態に基づいて該二次電池の充電に許容される電力である許容充電電力および放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容充放電電力設定手段と、前記二次電池が前記目標充放電電力で充放電されるようにしながら前記許容充電電力および前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求トルクに基づくトルクが得られるように前記内燃機関および前記電動機を制御する制御手段とを備えた車両であって、
予め定められた充電側の閾値を限界として前記二次電池の充電が継続されるほど前記許容充電電力を充電電力として小さく制限すると共に該二次電池の充電後の放電量に応じて該許容充電電力の制限を解除する許容充電電力制限手段と、
前記許容充電電力制限手段により前記許容充電電力が充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値を限界として放電側に増加するように前記目標充放電電力を補正する目標充放電電力補正手段とを更に備えることを特徴とする。
本発明の車両では、予め定められた充電側の閾値を限界として二次電池の充電が継続されるほど許容充電電力が充電電力として小さく制限されると共に二次電池の充電後の放電量に応じて許容充電電力の制限が解除される。そして、二次電池の目標充放電電力は、許容充電電力が充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値を限界として放電側に増加するように補正される。このように、許容充電電力すなわち二次電池の充電の制限に応じて当該二次電池の目標充放電電力を放電側に増加させていくことにより、二次電池の充電の継続を断つと共に許容充電電力すなわち二次電池の充電の制限が解除されるようにすることができる。この結果、二次電池の連続充電に起因した劣化を抑制しつつ、許容充電電力の制限解除後には、制限が解除された状態での二次電池の充電(例えば上記電動機あるいは当該電動機とは異なる他の電動機の回生電力による充電)を許容してエネルギ効率を向上させることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る車両であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたプラネタリキャリア34を有するプラネタリギヤ30と、プラネタリギヤ30のサンギヤ31に接続されてエンジン22からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能なモータMG1と、プラネタリギヤ30のリングギヤ32に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに連結された減速ギヤ35と、この減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aにギヤ機構37およびディファレンシャルギヤ38を介して接続された駆動輪39a,39bと、モータMG1と電力ライン54との間に介設されたインバータ41と、モータMG2と電力ライン54との間に介設されたインバータ42と、インバータ41,42を介してモータMG1およびMG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40と、電力ライン54に接続されたバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52と、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信しながら車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70とを備える。
バッテリ50は、実施例ではリチウムイオン二次電池として構成されている。また、バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからのバッテリ温度、バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に設置された図示しない電流センサからの充放電電流Ib(以下、バッテリ50からの放電電流が正の値を示すと共にバッテリ50の充電電流が負の値を示すものとする)等が入力される。また、バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70やエンジンECU24に出力する。更に、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量(充電割合)SOCを算出したり、残容量SOCとバッテリ温度とに基づいてバッテリ50の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Win(実施例では負の値)とバッテリ50の放電に許容される電力である放電許容電力としての出力制限Wout(実施例では正の値)とを算出する。
バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ温度に基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値にバッテリ50の残容量(SOC)に基づく補正係数を乗じることにより設定することができる。また、バッテリECU52は、残容量SOCに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を算出する。実施例では、残容量SOCと充放電要求パワーPb*との関係が充放電要求パワー設定用マップとして予め定められてバッテリECU52の図示しないROMに記憶されており、バッテリECU52は、算出した残容量SOCに対応する充放電要求パワーPb*を充放電要求パワー設定用マップから導出して設定する。充放電要求パワー設定用マップは、基本的には、バッテリ50の残容量SOCが予め定められた制御中心(目標充電割合)SOC*よりも小さいときには、バッテリ50が充電されるように充放電要求パワーPb*を負の一定値Pcに設定すると共に、残容量SOCが制御中心SOC*よりも大きいときには、バッテリ50が放電されるように充放電要求パワーPb*を正の一定値Pdに設定するように定められている。
上述のように構成されるハイブリッド自動車20においてイグニッションスイッチ80がオンされると、ハイブリッドECU70は、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、車速センサ88からの車速Vに基づいて要求トルクTr*を設定すると共に、設定した要求トルクTr*やバッテリ50の充放電要求パワーPb*に基づいて車両全体に要求される要求パワーP*を設定する。そして、ハイブリッドECU70は、入力制限Winおよび出力制限Woutの範囲内で要求パワーP*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*やモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*といった車両制御に必要な指令信号を生成し、生成した各指令信号をエンジンECU24,モータECU40に送信する。ハイブリッドECU70から目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受け取ったエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントでエンジン22が運転されるようエンジン22における吸入空気量調節制御や燃料噴射制御、点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受け取ったモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング制御を行なう。このような制御により、ハイブリッド自動車20は、バッテリ50が充放電要求パワーPb*に応じた電力で充放電されるようにしながら走行することができる。
ここで、リチウムイオン二次電池などの二次電池は、大電流で継続して充電されると劣化しがちであり、特に充電電流の値(絶対値)が大きいほど、また充電時間が長いほど劣化する傾向を有する。このため、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の劣化を抑制するために、比較的大きい充電電流で充電されたり比較的長い時間継続して充電されたりした段階でバッテリ50の充電が制限されるようにバッテリECU52によりバッテリ温度および残容量SOCに基づく入力制限(制限前入力制限)Winの値が補正される。具体的には、実施例のバッテリECU52は、所定時間毎に次式(1)に従い、上述のようにバッテリ温度および残容量SOCに基づいて設定される入力制限Winに対する制限値Winlimを算出し、次式(2)に従って入力制限Winと制限値Winlimとの大きい方と、予め定められた値0に比較的近い負の値である限界値Winrefとの小さい方を最終的な入力制限Winとして設定(再設定)する。なお、限界値Winrefは、値0としてもよい。
Winlim=前回Winlim-k1・Ib-k2・(Ib-Ibref) ・・・(1)
Win=min(Winref,max(Win,Winlim)) ・・・(2)
Win=min(Winref,max(Win,Winlim)) ・・・(2)
式(1)中の右辺第1項は、前回算出された直近の制限値Winlimであり、初期値として予め定められた負の値が設定される。また、式(1)中の右辺第2項は、電流センサにより検出される充放電電流Ibに予め定められた係数k1を乗じて得られるものであり、式(1)中の右辺第3項は、電流センサにより検出される充放電電流Ibとバッテリ50を長時間継続して充電してもバッテリ50の劣化を生じさせない負の値として予め定められた基準電流値Ibref(負の値)との差に係数k2を乗じて得られるものである。従って、制限値Winlimは、バッテリ50が大電流で充電されるほど(充放電電流Ibが負側に大きくなるほど)正側に大きくなる(増加する)と共にバッテリ50の充電が長時間継続されるほど正側に大きくなり、逆にバッテリ50が大電流で放電されるほど(充放電電流Ibが正側に大きいほど)負側に大きくなる(減少する)と共にバッテリ50の放電が長時間継続されるほど負側に大きくなる。
そして、式(2)に従ってバッテリ温度および残容量SOCに基づく入力制限Winを制限することで、バッテリの充放電が適正に行われて制限値Winlimの変動幅が少ないときには基本的にバッテリ温度および残容量SOCに基づく入力制限Winがそのまま最終的な入力制限Winとして設定される。これに対して、バッテリ50が大電流で充電されたり長時間継続して充電されたりして制限値Winlimの値が正側が大きくなってバッテリ温度および残容量SOCに基づく入力制限Winよりも大きくなると、制限値Winlimと限界値Winrefとの小さい方が最終的な入力制限Winとして設定されることから、図2において破線で示すように、最終的な入力制限Winは、予め定められた充電側の閾値である限界値Winrefを限界としてバッテリ50が大電流で充電されたり長時間継続して充電されたりするほど充電電力として小さく制限される。すなわち、制限値Winlimの値がバッテリ温度および残容量SOCに基づく入力制限Winよりも大きくなると入力制限Winの制限が開始され、制限値Winlimが限界値Winrefに達するまで制限値Winlimが最終的な入力制限Winとして設定されると共に制限値Winlimが限界値Winrefよりも大きくなると限界値Winrefが最終的な入力制限Winとして設定される。ただし、制限値Winlimは、上述のようにバッテリ50が大電流で放電されたり放電が長時間継続されたりすると負側に変化することから、バッテリ50が大電流で充電されたり長時間継続して充電されたりしても、充電後の放電量に応じて上述のような入力制限Winの制限すなわちバッテリ50の充電の制限は解除されることになる。
実施例のハイブリッド自動車20では、充放電要求パワーPb*が負の値に設定されてバッテリ50の充電が要求されているときには、上述のように設定されるバッテリ50の入力制限Winの範囲内で(入力制限Winよりも大きい(絶対値が小さい)電力で)バッテリ50が充電されるようにモータMG1およびMG2が制御される。従って、例えばバッテリ50の充電が継続されたこと等によりバッテリ50の入力制限Winが制限値Winlimで制限され始め(図2における時刻t1)、制限値Winlimが最終的な入力制限Winとして設定されていくと、バッテリ50に印加される電力(充電電力)も入力制限Winにより制限され始める(図2における時刻t2)。そして、制限値Winlimが限界値Winrefよりも大きくなったことにより限界値Winrefが最終的な入力制限Winとして設定され始めると(図2における時刻t3)、それ以後にバッテリ50の充電が要求されていれば、限界値Winref以上の電力によるバッテリ50の充電が継続されることになる。
ただし、このように限界値Winref以上の比較的小さい電力によるバッテリ50の充電が継続されると、上述の制限値Winlimの値は更に正側に大きくなっていくことから、入力制限Winとして限界値Winrefが設定され続けることになり、制限された充電電力での充電すなわちバッテリ50の充電の制限がなかなか解除されないことになる。そして、バッテリ50の充電が制限されているにも拘わらず充電が継続されてしまうのはバッテリ50の劣化を抑制する上で好ましいことではなく、バッテリ50の充電制限が継続される間には、モータMG2により回生された電力を有効利用し得なくなってエネルギ効率を悪化させてしまうおそれがある。
このため、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の劣化を抑制しつつ入力制限Winの制限の継続を解除してエネルギ効率を向上させるべく、バッテリECU52により図3に示す充放電要求パワー補正ルーチンが所定時間毎に繰り返し実行される。図3の充放電要求パワー補正ルーチンの開始に際して、バッテリECU52は、まず、バッテリ50の残容量SOCや充放電要求パワーPb*、制限前入力制限Winb、入力制限Win(上記式(2)に従って設定されたもの)といった充放電要求パワーPb*の補正に必要なデータを入力する(ステップS100)。制限前入力制限Winbは、上述のようにバッテリ温度および残容量SOCに基づいて設定されると共に、上記式(2)に従って補正される前の入力制限Winである。続いて、バッテリECU52は、入力した残容量SOCが予め定められた下限側閾値S1および上限側閾値S2の範囲内であるか否か(S1≦SOC≦S2)を判定し(ステップS110)、残容量SOCが下限側閾値S1以上かつ上限側閾値S2以下である場合には、入力制限Win等に基づいて充放電要求パワーPb*の制限値(下限ガード値)Pblimを設定する(ステップS120)。
図4を参照しながら充放電要求パワーPb*の制限値Pblimの設定手順について説明する。図4において、実線は充放電要求パワーPb*を示し、点線は充放電要求パワーPb*の制限値Pblimを示し、破線は入力制限Winを示す。実施例のバッテリECU52は、例えば、入力制限Winと制限前入力制限Winbとの差分ΔW(=Win−Winb)を求めると共に求めた差分ΔWに基づいて入力制限Winと制限前入力制限Winbとが一致している(入力制限Winが制限されていない)と判断すると(図4における時刻t10以前)、バッテリ50の充電が要求されているときに充放電要求パワーPb*として設定される負の一定値Pcよりも小さい値Pc0を制限値として設定する。また、バッテリECU52は、例えば、入力制限Winと制限前入力制限Winbとの差分ΔWに基づいて入力制限Winが制限前入力制限Winbよりも大きい(入力制限Winが制限されている)と判断すると(図4における時刻t0)、それ以後に入力制限Winが制限前入力制限Winbよりも大きいと判断される間(入力制限Winが制限されている間)、図示するように予め定められた放電側の閾値である下限値Pb1(比較的小さい正の値)に達するまで(図4における時刻t12)例えば一定のレートで漸増するように制限値Pblimを設定する。なお、下限値Pb1に達するまで一定のレートで漸増するように制限値Pblimを設定する代わりに、下限値Pb1に達するまで入力制限Winと制限前入力制限Winbとの差分ΔWが大きくなるほど制限値Pblimを大きくする傾向に設定してもよい。そして、バッテリECU52は、下限値Pb1を制限値Pblimとして設定している間に入力制限Winと制限前入力制限Winbとの差分ΔWに基づいて入力制限Winと制限前入力制限Winbとが一致した(入力制限Winが制限が解除された)と判断すると(図4における時刻t13)、それ以後に入力制限Winと制限前入力制限Winbとが一致していると判断される間、図示するように上述の値Pc0に達するまで例えば一定のレートで漸減するように制限値Pblimを設定する。なお、入力制限Winと制限前入力制限Winbとが一致したと判断された時点から値Pc0に達するまで一定のレートで漸減するように制限値Pblimを設定する代わりに、所定時間だけ下限値Pb1を制限値Pblimとして設定した時点で値Pc0に達するまで一定のレートで漸減するように制限値Pblimを設定してもよい。
こうして制限値Pblimを設定すると、バッテリECU52は、ステップS100にて入力した充放電要求パワーPb*と制限値Pblimとの大きい方を充放電要求パワーPb*として再設定(補正)し(ステップS130)、本ルーチンを一旦終了させる。これにより、バッテリ50の入力制限Winが継続して制限される場合、充放電要求パワーPb*は、図4に示すように、充放電要求パワーPb*の制限値Pblimが放電側に漸増するように設定され始めてから多少の時間をおいた時点(図4における時刻t11)すなわち制限値Pblimが値Pcを以上になった時点から、制限値Pblimに応じて放電側の閾値である下限値Pb1を限界として放電側に漸増するように補正される。そして、図4の例では、時刻t12および時刻t13を含む時間だけ充放電要求パワーPb*が正の値すなわち放電側の値に設定され、それによりバッテリ50の充電の継続を断つと共に入力制限Winの制限値Winlimを負側に変化させることができる。この結果、図4に示すように、入力制限Winの制限を徐々に緩和しながら解除して制限が解除された状態でのバッテリ50の充電を許容することが可能となる。
なお、ステップS110にて残容量SOCが下限側閾値S1未満であると判断した場合には、バッテリECU52は、バッテリ50の残容量SOCの確保を優先し、充放電要求パワーPb*が放電側に補正されないようにステップS120およびS130の処理を実行することなく本ルーチンを一旦終了させる。また、ステップS110にて残容量SOCが上限側閾値S2を上回っていると判断した場合、バッテリECU52は、バッテリ50の残容量SOCが充分に確保されており充放電要求パワーPb*が放電側の値Pdに設定されることから充放電要求パワーPb*を放電側に補正する必要がないとみなし、ステップS120およびS130の処理を実行することなく本ルーチンを一旦終了させる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、予め定められた充電側の閾値である限界値Winrefを限界としてバッテリ50の充電が継続されるほど入力制限Winが充電電力として小さく制限されると共にバッテリ50の充電後の放電量に応じて入力制限Winの制限が解除される。そして、バッテリ50の充放電要求パワーPb*は、入力制限Winが充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値である下限値Pb1を限界として放電側に増加(漸増)するように補正される。このように、入力制限Winすなわちバッテリ50の充電の制限に応じて当該バッテリ50の充放電要求パワーPb*を放電側に増加させていくことにより、バッテリ50の充電の継続を断つと共に入力制限Winすなわちバッテリ50の充電の制限が解除されるようにすることができる。この結果、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の連続充電に起因した劣化を抑制しつつ、入力制限Winの制限解除後には、制限が解除された状態での例えばモータMG2の回生電力による充電といったバッテリ50の充電を許容してエネルギ効率を向上させることができる。
なお、上記実施例のハイブリッド自動車20は、モータMG1およびMG2を備えた、いわゆる2モータ式のハイブリッド車両であるが、本発明がエンジン(内燃機関)および当該エンジンからの動力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に走行用の動力と回生制動力を出力可能なモータ(電動機)を備えた、いわゆる1モータ式のハイブリッド車両に適用され得ることはいうまでもない。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、エンジン22(内燃機関)と、エンジン22からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能なモータMG1(電動機)と、モータMG1等と電力をやり取り可能なバッテリ50と、バッテリ50の残容量SOCに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を放電側と充電側とで符号を変えて設定すると共に、バッテリ50の状態(バッテリ温度および残容量SOC)に基づいてバッテリ50の充放電に許容される電力である入力制限(制限前入力制限)Winや出力制限Woutを設定するバッテリECU52(目標充放電電力設定手段、許容充放電電力設定手段)と、バッテリ50が充放電要求パワーPb*で充放電されると共に入力制限Winおよび出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*に基づくトルクが得られるようにエンジン22およびモータMG1等を制御するハイブリッドECU70(制御手段)とを備えたハイブリッド自動車20が「車両」に相当し、予め定められた充電側の閾値である限界Winrefを限界としてバッテリ50の充電が継続されるほど入力制限Winを充電電力として小さく制限すると共にバッテリ50の充電後の放電量に応じて入力制限Winの制限を解除し、入力制限Winが充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値である下限値Pb1を限界として放電側に増加するように充放電要求パワーPb*を補正するバッテリECU52が、「許容充電電力制限手段」および「目標充放電電力補正手段」に相当する。ただし、これら実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、車両の製造産業において利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジンECU、30 プラネタリギヤ、40 モータECU、41,42 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリECU、70 ハイブリッドECU、MG1,MG2 モータ。
Claims (1)
- 内燃機関と、前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な二次電池と、前記二次電池の充電割合に基づいて該二次電池の目標充放電電力を放電側と充電側とで符号を変えて設定する目標充放電電力設定手段と、前記二次電池の状態に基づいて該二次電池の充電に許容される電力である許容充電電力および放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容充放電電力設定手段と、前記二次電池が前記目標充放電電力で充放電されるようにしながら前記許容充電電力および前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求トルクに基づくトルクが得られるように前記内燃機関および前記電動機を制御する制御手段とを備えた車両であって、
予め定められた充電側の閾値を限界として前記二次電池の充電が継続されるほど前記許容充電電力を充電電力として小さく制限すると共に該二次電池の充電後の放電量に応じて該許容充電電力の制限を解除する許容充電電力制限手段と、
前記許容充電電力制限手段により前記許容充電電力が充電電力として小さく制限される間に予め定められた放電側の閾値を限界として放電側に増加するように前記目標充放電電力を補正する目標充放電電力補正手段とを更に備えることを特徴とする車両。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010263911A JP2012111426A (ja) | 2010-11-26 | 2010-11-26 | 車両 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010263911A Pending JP2012111426A (ja) | 2010-11-26 | 2010-11-26 | 車両 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012111426A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012171491A (ja) * | 2011-02-22 | 2012-09-10 | Toyota Motor Corp | ハイブリッド自動車およびその制御方法 |
JP2015153656A (ja) * | 2014-02-17 | 2015-08-24 | トヨタ自動車株式会社 | 電池システム |
JP2015530857A (ja) * | 2012-07-27 | 2015-10-15 | ルノー エス.ア.エス. | バッテリとバッテリのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両、及び対応する方法 |
-
2010
- 2010-11-26 JP JP2010263911A patent/JP2012111426A/ja active Pending
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