JP2012111319A - 軸ばね系の異常検出方法及び異常検出装置 - Google Patents

軸ばね系の異常検出方法及び異常検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の運行中に適切に異常を検出可能な軸ばね系の異常検出方法等を提供する。
【解決手段】鉄道車両の台車枠21、31と軸箱22a,23a,32a,33aとの間に設けられる軸ばね系24,34の異常検出方法を、台車枠の上下方向加速度、及び、ピッチング方向加速度を検出し、上下方向加速度とピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断する構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両の台車枠と軸箱との間に設けられる軸ばね系の異常検出方法及び異常検出装置に関するものである。
一般的な鉄道車両は、輪軸を支持する軸箱と台車枠との間に設けられる1次ばね系、及び、台車枠と車体との間に設けられる2次ばね系を備えている。
1次ばね系は、ばね要素である軸ばね、及び、軸ばねの伸縮に応じて減衰力を発生する軸ダンパを備えている。
また、例えば積層ゴム等からなる軸ばね自体が減衰要素を兼ねている場合もある。
鉄道車両の安全性や乗り心地を確保するため、上述したような軸ばね系の減衰要素が減衰力を発生しなくなる等の異常を適切に検出することが要望されている。
鉄道車両の台車の異常検出に関する従来技術として、例えば特許文献1には、台車に設けた加速度検出手段の出力が所定の閾値以上となった場合に異常を判定することが記載されている。
また、特許文献2には、台車等の振動加速度を等距離間隔でサンプリングし、バンドパスフィルタ処理後2乗した平均加速度パワーの変化に基づいて異常を判定することが記載されている。
特開2000−6807号公報 特許第4252271号公報
しかし、軸ばね系の減衰要素やばね要素が故障したとしてもそれによる台車枠の加速度変化自体は微小である場合が多く、上述した従来技術において適切な検出を行うためには閾値を相当に小さくする必要があるものと考えられる。しかし、このように閾値を小さくすると、例えば軌道不整の大きい箇所を通過する場合などに、減衰要素やばね要素が正常であるにも関わらず異常であると誤判定されることが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、車両の運行中に適切に異常を検出可能な軸ばね系の異常検出方法及び異常検出装置を提供することである。
上述した問題を解決する本発明の軸ばね系の異常検出方法は、鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と台車枠との間に設けられる軸ばね系の異常検出方法であって、前記台車枠の上下方向加速度、及び、ピッチング方向加速度を検出し、前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断することを特徴とする。
ここで、軸ばね系はばね要素及び減衰要素を含み、減衰要素とは、ばね要素とは別に設けられた油圧緩衝器などのダンパに限らず、例えば積層ゴムであるばね要素自体が減衰要素を兼ねたものも含むものとする。
これによれば、軸ばね系の正常、異常に応じて、台車枠の上下方向加速度とピッチング方向加速度との位相差は変化することから、この位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断することによって、車両の運行中に適切に軸ばね系の異常を検出することができる。
本発明において、前記位相差が前記許容範囲を外れた方向に基づいて、異常が発生した軸ばね系の部位を特定する構成とすることができる。
本発明において、前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度から予め設定された所定の周波数帯域の成分を抽出し、抽出後の前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断する構成とすることができる。
これによれば、正常時と異常時とで位相差の違いが大きくなりやすい周波数帯域を抽出することによって、より適切に軸ばね系の異常を検出することができる。
この周波数帯域は、例えば、台車の固有振動数を含む周波数帯域とすることができる。
本発明において、前記所定の周波数帯域の成分を抽出後の前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度を符号に変換し、前記上下方向加速度の符号と前記ピッチング方向加速度の符号との不一致率に基づいて前記位相差を検出する構成とすることができる。
これによれば、上下方向加速度及びピッチング方向加速度の符号の不一致率を、位相差の大きさを示すパラメータ(近似的位相差)として利用することによって、演算負荷を軽減し、比較的簡素な機器によって演算したり、高速に演算することが可能となる。
本発明において、前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度の相互相関関数をフーリエ変換したクロススペクトルに基づいて前記位相差を求める構成とすることができる。
これによれば、演算負荷は符号不一致率を求める場合に対して増大するものの、異常の検出精度を高めることができる。
また、上述した問題を解決する本発明の軸ばね系の異常検出装置は、鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と台車枠との間に設けられる軸ばね系の異常検出装置であって、前記台車枠の上下方向加速度、及び、ピッチング方向加速度を検出する台車枠挙動検出手段と、前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断する異常検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明において、前記異常検出手段は、前記位相差が前記許容範囲を外れた方向に基づいて、異常が発生した軸ばね系の部位を特定する構成とすることができる。
本発明において、前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度から予め設定された所定の周波数帯域の成分を抽出する周波数帯域抽出手段を備え、前記異常検出手段は、前記抽出後の前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断する構成とすることができる。
本発明において、前記所定の周波数帯域の成分を抽出後の前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度を符号に変換する変換手段を備え、前記異常検出手段は、前記上下方向加速度の符号と前記ピッチング方向加速度の符号との不一致率に基づいて前記位相差を検出する構成とすることができる。
本発明において、前記異常検出手段は、前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度の相互相関関数をフーリエ変換したクロススペクトルに基づいて前記位相差を求める構成とすることができる。
本発明において、前記台車枠挙動検出手段は、車両の進行方向に離間して配置され前記台車枠の上下方向加速度を検出する複数の加速度センサ、及び、前記複数の加速度センサの出力に基づいて前記台車枠のピッチング方向加速度を演算するピッチング方向加速度演算手段を備える構成とすることができる。
本発明において、前記台車枠挙動検出手段は、前記台車枠の上下方向加速度を検出する加速度センサと、前記台車枠のピッチング方向加速度を検出する角速度センサとを有する構成とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、車両の運行中に適切に異常を検出可能な軸ばね系の異常検出方法及び異常検出装置を提供することができる。
本発明を適用した軸ばね系の異常検出装置の第1実施形態の構成を示す模式図である。 軸ダンパが正常又は異常である場合の台車枠の上下方向加速度とピッチング方向加速度の位相差の一例を示すグラフである。 上下並進モード及びピッチングモードの台車枠の加速度履歴の一例を示すグラフである。 バンドパスフィルタ通過後の上下並進モード及びピッチングモードの台車枠の加速度履歴の一例を示すグラフである。 バンドパスフィルタ通過後の上下並進モード及びピッチングモードの台車枠の加速度の符号の履歴の一例を示すグラフである。 バンドパスフィルタ通過後の上下並進モード及びピッチングモードの台車枠の加速度の符号の排他的論理和(XOR)の履歴の一例を示すグラフである。 上下並進モード及びピッチングモードの台車枠の加速度の符号の排他的論理和(XOR)をローパスフィルタに通して平均化した値(符号不一致率)の一例を示すグラフである。 正常時及び異常時における符号不一致率の推移の一例を示すグラフであって、軸ダンパがセミアクティブダンパである場合を示すものである。 正常時及び異常時における符号不一致率の推移の一例を示すグラフであって、軸ダンパがパッシブダンパである場合を示すものである。 本発明を適用した軸ばね系の異常検出装置の第2実施形態の構成を示す模式図である。 本発明を適用した軸ばね系の異常検出装置の第3実施形態の構成を示す模式図である。
<第1実施形態>
以下、本発明を適用した軸ばね系の異常検出方法、及び、この異常検出方法に用いられる異常検出装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、異常検出装置100が設けられる鉄道車両1は、車体10の前後に一対のボギー台車である第1台車20、第2台車30を備えたボギー車である。
車体10は、床部に設けられる台枠の上部に側構、妻構、屋根構などを設けてほぼ六面体状に構成されている。
第1台車20及び第2台車30は、車両1の進行方向前方側から順次配置されている。
第1台車20は、台車枠21、第1輪軸22、第2輪軸23、1次ばね系24等を備えて構成されている。
台車枠21は、第1輪軸22及び第2輪軸23が軸箱22a,23a及び図示しない軸箱支持装置を介して取り付けられる枠状の構造部材である。
台車枠21は、図示しない2次ばね系を介して車体10の下部に取り付けられている。
第1輪軸22、第2輪軸23は、車軸の両端部に、一対の車輪を固定したものである。
第1輪軸22、第2輪軸23は、車両1の進行方向前方側から順次配置されている。
第1輪軸22、第2輪軸23は、車軸の両端部を軸箱22a,23aによって支持されている。軸箱22a,23aは、軸受及び潤滑装置などを備えている。
第2台車30は、台車枠31、第3輪軸32、第4輪軸33、2次ばね系34等を備えて構成されている。
台車枠31は、第3輪軸32及び第4輪軸33が軸箱32a,33a及び軸箱支持装置を介して取り付けられる枠状の構造部材である。
台車枠31は、図示しない2次ばね系を介して車体10の下部に取り付けられている。
第3輪軸32、第4輪軸33は、車軸の両端部に、一対の車輪を固定したものである。
第3輪軸32、第4輪軸33は、車両1の進行方向前方側から順次配置されている。
第3輪軸32、第4輪軸33は、車軸の両端部を軸箱32a,33aによって支持されている。軸箱32a,33aは、軸受及び潤滑装置などを備えている。
各軸箱22a,23a,32a,33aは、台車枠21,31に対して、図示しない軸箱支持装置によって、上下方向等に相対変位可能に支持されている。
1次ばね系24,34は、この軸箱支持装置に設けられ、軸箱22a,23a,32a,33aの台車枠21,31に対する相対変位に応じてばね反力を発生する軸ばね、及び、軸ばねの伸縮速度に応じた減衰力を発生する軸ダンパ24a、34a等を備えて構成されている。
また、軸ダンパ24a,34aは、図示しない上下制振システムからの指令に応じて、減衰力特性を走行中に随時変更可能なセミアクティブダンパとなっている。
第1実施形態の異常検出装置100は、上述した軸ダンパ24a,34aが正常に減衰力を発生しなくなる異常を検出するものである。
異常検出装置100は、処理装置110、加速度センサ121,122,123,124等を備えて構成されている。
処理装置110は、例えば情報処理装置であるCPU、RAM、ROM、磁気ディスク装置や光学ディスク装置などの記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバスなどを備えている。
処理装置110は、各センサからの信号を後述するように処理し、異常の検出を行う異常検出手段である。
加速度センサ121,122は、台車枠21の左右中心線上において前後方向に離間して配置され、台車枠21の上下方向の加速度を検出する加速度ピックアップを備えている。
加速度センサ121は、加速度センサ122に対して車両1の進行方向前方側に配置されている。
加速度センサ123,124は、台車枠31の左右中心線上において前後方向に離間して配置され、台車枠31の上下方向の加速度を検出する加速度ピックアップを備えている。
加速度センサ123は、加速度センサ124に対して車両1の進行方向前方側に配置されている。
加速度センサ121〜124の出力信号は、処理装置110に伝達される。
以下、第1実施形態における軸ダンパの異常検出方法について説明する。
以下、第1台車20の軸ダンパ24aの異常検出について説明するが、第2台車30の軸ダンパ34aの異常検出も同様の手法によって行なうことが可能である。
この異常検出方法は、車両1の走行速度が予め設定された異常検出可能範囲に含まれる場合に、以下の手順を行う。
(1)加速度センサ121,122で、台車枠21における進行方向に離間した2点の上下加速度を測定する。
(2)加速度センサ121,122がそれぞれ検出した上下加速度を、上下並進モードの加速度とピッチングモードの加速度とに分離する。
(3)車両の進行方向に合わせて、ピッチングモードの加速度の符号を変える。
(4)後述する特定の周波数における、上下並進モードの加速度とピッチングモードの加速度との位相差を検出する。この特定の周波数とは、正常時と異常時とで位相差に大きな違いが生じる周波数であり、予め実験等によって得ておく。
(5)位相差が予め設定した許容範囲を外れた場合、軸ダンパ24a,34aに異常があると判断する。
このとき、許容範囲をプラス側、マイナス側のどちらに超えたかによって、第1輪軸22の軸ダンパ24a、第2輪軸23の軸ダンパ24aのどちらに異常が発生したかを判断する。
また、上述した位相差の演算は、例えば、上下方向加速度及びピッチング方向加速度の相互相関関数をフーリエ変換したクロススペクトルに基づいて行うことも可能であるが、第1実施形態においては、計算処理の負荷を小さくするために、以下の方向によって近似的に位相差を求めている。
(1)上下方向加速度とピッチング方向加速度をそれぞれバンドパスフィルタに通すことで、特定の周波数の成分を抽出する。
(2)バンドパスフィルタ通過後の上下方向加速度とピッチング方向加速度を、0を閾値として二値化する。例えば、符号が正であれば1、負であれば0とする。
(3)二値化された上下方向加速度とピッチング方向加速度との排他的論理和(XOR)をとる。これによって、各タイミングにおいて、上下方向加速度とピッチング方向加速度の符号が一致するか否かが求まる。
(4)上述した排他的論理和について、所定の一定時間内における平均値を求めるか、あるいは、ローパスフィルタを通して平滑化することによって、上下方向加速度とピッチング方向加速度の符号不一致率が求まる。
ここで、上下方向加速度とピッチング方向加速度が周期信号である場合、両者の位相差が0°であれば、符号不一致率は0となる。また、位相差が±180°であれば、符号不一致率は1となる。実際には上下方向加速度とピッチング方向加速度は完全な周期信号にはならないが、この符号不一致率は、位相差を近似的に表現するパラメータとして用いることができる。
以下、新幹線電車相当の試験車両1両を用いて、車両試験台上で台上試験を行った結果について説明する。
この試験においては、例えば320km/h走行時の軸箱における上下加速度の実測波形に基づいて、試験車両の軸箱を加振した。この試験車両において、軸ダンパ24a,34aは、走行中に減衰特性を変更可能な可変減衰ダンパであって、公知の上下制振システムによる制御状態とした。また、軸ダンパ24a,34aの異常状態は、可変減衰ダンパが最小減衰に固定された状態とした。
先ず、正常時と異常時とで位相差に大きな違いの生じる周波数を調べ、異常検出において注目する周波数帯域を決定する。
図2は、台車枠の上下並進モードとピッチングモードの振動の位相差をクロススペクトルから求めた結果を示すグラフであって、横軸は周波数を示し、縦軸は位相差を示している。また、図2において、正常時、第1輪軸22の右の軸ダンパ24a故障時、第2輪軸23の右の軸ダンパ24a故障時のデータを、それぞれ実線、点線、一転鎖線によって図示している。
図2に示すように、第1台車20の固有振動数付近でもある6〜8Hz付近において、正常と異常とで位相差が顕著に異なっている。
そこで、第1実施形態においては、この6〜8Hz近傍の周波数成分を用いて異常を検出することにする。
図3は、加速度センサ121,122が検出した台車枠21の2点の上下加速度を、モード分離して求めた加速度の推移の一例を示すグラフである。
図3(a)は上下並進モードの加速度を示し、図3(b)は、ピッチングモードの加速度を示している。
図3(a)、図3(b)は、いずれも縦軸が加速度を示し、横軸が時間を示している。
図4は、図3に示す加速度を、6〜8Hz近傍を通過させるバンドパスフィルタに通過させた結果を示すグラフである。
図4(a)は上下並進モードの加速度を示し、図4(b)は、ピッチングモードの加速度を示している。
図4(a)、図4(b)は、いずれも縦軸が加速度を示し、横軸が時間を示している。
図5は、図4(a)、図4(b)に示すバンドパスフィルタ通過後の上下並進モード及びピッチングモードの加速度を、上述したように0を閾値として2値化した加速度符号の履歴を示すグラフである。
図5(a)は、上下並進モードの加速度符号を示し、図5(b)はピッチングモードの加速度符号を示している。
図5(a)、図5(b)は、いずれも縦軸が加速度符号を示し、横軸が時間を示している。
図6は、図5に示す上下並進モードの加速度符号と、ピッチングモードの加速度符号との排他的論理和(XOR)の履歴を示すグラフである。
図6において、縦軸は加速度符号の排他的論理和(1:異符号、0:同符号)を示し、横軸は時間を示している。
図7は、図6に示す排他的論理和をローパスフィルタに通して、所定期間内の平均値とした結果(符号不一致率)の履歴を示すグラフである。
図7は、縦軸が符号不一致率を示し、横軸が時間を示している。
この符号不一致率は、上下並進モードとピッチングモードの加速度の近似的な位相差を表すものである。
上述した試験車両から得たデータを用いて、正常時と異常時との符号不一致率の計算を行った結果を図8に示す。
図8(a)、図8(b)は、それぞれ台車枠21,31の符号不一致率の履歴を示している。
図8(a)、図8(b)は、縦軸が符号不一致率を示し、横軸が時間を示し、正常状態、第1輪軸22の右軸ダンパ24a異常状態、第2輪軸22の右軸ダンパ24a異常状態、第3輪軸32の右軸ダンパ34a異常状態を、それぞれ実線、点線、一点鎖線、二点鎖線で図示している(後述する図9において同様)。
図8に示すように、符号不一致率は正常時には0.35近傍で安定しているが、台車枠21の進行方向前側に位置する第1輪軸22の軸ダンパ24aが異常の場合、符号不一致率(近似位相差)が正常より大きく、また、後側に位置する第2輪軸23の軸ダンパ24aが異常の場合、符号不一致率が正常より小さくなっていることがわかる。
また、図8(a)における第3輪軸異常のデータ、及び、図8(b)における第1及び第2輪軸異常のデータを見ると、他の台車の軸ダンパに異常が発生しても、自台車の位相差にはほとんど影響がないことがわかる。
この場合、例えば、0.3から0.4を許容範囲と設定すれば、これを外れた場合に異常と判断し、さらに許容範囲のどちら側に外れたかによって、軸ダンパ24a,34aのどちらの異常かを特定することができる。
なお、ここではフィルタの初期値を0.35としたため、計算開始(0秒)はいずれも0.35になっている。
また、図9は、軸ダンパを減衰特性固定式のパッシブダンパとした場合の計算結果を示すグラフである。
図9(a)、図9(b)は、それぞれ台車枠21,31の符号不一致率の履歴を示している。
図9に示すように、図8に示す上下制振制御状態に対して、正常時と異常時との差は縮小するものの、傾向としては共通しており、許容範囲を適切に設定することによって、軸ダンパの異常を軸単位で検出することが可能である。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)軸ダンパ24a,34aの正常、異常に応じて、台車枠21、31の上下方向加速度とピッチング方向加速度との位相差は変化することから、この位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断することによって、車両1の運行中に適切に軸ダンパ24a、34aの異常を検出することができる。
さらに、位相差が許容範囲のどちら側に外れたかによって、軸ダンパ24a、34aのいずれの異常かを判別することができる。
(2)上下方向加速度とピッチング方向加速度を、正常時と異常時との差が大きい6〜8Hz近傍のバンドパスフィルタを通過させてから異常検出に用いることによって、より適切に軸ダンパ24a,34aの異常を検出することができる。
(3)バンドパスフィルタ通過後の上下方向加速度とピッチング方向加速度の符号不一致率を、位相差の大きさを示すパラメータ(近似的位相差)として利用することによって、演算負荷を軽減し、比較的簡素な機器によって演算したり、高速に演算することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、本発明を適用した軸ばね系の異常検出装置の第2実施形態について説明する。
なお、以下説明する各実施形態の説明において、上述した第1実施形態と実質的に共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図10に示すように、第2実施形態の異常検出装置100Aは、第1実施形態の加速度センサ121〜124に代えて、台車枠21の中央部に配置された加速度センサ125及びジャイロセンサ131、及び、台車枠31の中央部に配置された加速度センサ126及びジャイロセンサ132を備えたものである。
第1実施形態においては、例えば第1台車20の場合には、一対の加速度センサ121,122が検出する上下加速度のモード分離によって上下並進モード及びピッチングモードの加速度を検出しているが、第2実施形態においては、加速度センサ125によって上下並進モードの加速度を検出し、ジャイロセンサ131によってピッチング方向の角加速度を検出する構成としている。
同様に、第2台車30の場合には、加速度センサ126によって上下並進モードの加速度を検出し、ジャイロセンサ132によってピッチング方向の角加速度を検出する構成としている。
以上説明した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明を適用した軸ばね系の異常検出装置の第3実施形態について説明する。
図11に示すように、第3実施形態の異常検出装置100Bは、第1実施形態の処理装置110に代えて、第1台車20及び第2台車30にそれぞれ独立した処理装置110A、110Bを設けたものである。
以上説明した第3実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
例えば、異常検出方法及び異常検出装置の詳細な構成は、上述した各実施形態のものに限らず、適宜変更することができる。
例えば、各実施形態では上下方向加速度とピッチング方向加速度を二値化した後、符号不一致率に基づいて異常の判定を行っているが、これに限らず、例えばクロススペクトルを用いて位相差を演算し、この位相差が許容範囲を外れた場合に異常と判断してもよい。
また、上下方向加速度及びピッチング方向加速度を検出する各センサの種類や配置なども特に限定されない。
また、本発明は、軸ばねと独立して設けられる軸ダンパの異常検出に限らず、例えば積層ゴム等の軸ばね自体が減衰要素を兼ねる場合や、ばね要素の異常検出にも用いることができる。
1 車両 10 車体
20 第1台車 21 台車枠
22 第1輪軸 22a 軸箱
23 第2輪軸 23a 軸箱
24 1次ばね系 24a 軸ダンパ
30 第2台車 31 台車枠
32 第3輪軸 32a 軸箱
33 第4輪軸 33a 軸箱
34 1次ばね系 34a 軸ダンパ
100 異常検出装置(第1実施形態)
100A 異常検出装置(第2実施形態)
100B 異常検出装置(第3実施形態)
110,110A,110B 処理装置
121〜126 加速度センサ
131,132 ジャイロセンサ

Claims (12)

  1. 鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と台車枠との間に設けられる軸ばね系の異常検出方法であって、
    前記台車枠の上下方向加速度、及び、ピッチング方向加速度を検出し、
    前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断すること
    を特徴とする軸ばね系の異常検出方法。
  2. 前記位相差が前記許容範囲を外れた方向に基づいて、異常が発生した軸ばね系の部位を特定すること
    を特徴とする請求項1に記載の軸ばね系の異常検出方法。
  3. 前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度から予め設定された所定の周波数帯域の成分を抽出し、抽出後の前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軸ばね系の異常検出方法。
  4. 前記所定の周波数帯域の成分を抽出後の前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度を符号に変換し、前記上下方向加速度の符号と前記ピッチング方向加速度の符号との不一致率に基づいて前記位相差を検出すること
    を特徴とする請求項3に記載の軸ばね系の異常検出方法。
  5. 前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度の相互相関関数をフーリエ変換したクロススペクトルに基づいて前記位相差を求めること
    を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の軸ばね系の異常検出方法。
  6. 鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と台車枠との間に設けられる軸ばね系の異常検出装置であって、
    前記台車枠の上下方向加速度、及び、ピッチング方向加速度を検出する台車枠挙動検出手段と、
    前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断する異常検出手段と
    を備えることを特徴とする軸ばね系の異常検出装置。
  7. 前記異常検出手段は、前記位相差が前記許容範囲を外れた方向に基づいて、異常が発生した軸ばね系の部位を特定すること
    を特徴とする請求項6に記載の軸ばね系の異常検出装置。
  8. 前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度から予め設定された所定の周波数帯域の成分を抽出する周波数帯域抽出手段を備え、
    前記異常検出手段は、前記抽出後の前記上下方向加速度と前記ピッチング方向加速度との位相差が所定の許容範囲を外れた場合に異常と判断すること
    を特徴とする請求項6又は請求項7に記載の軸ばね系の異常検出装置。
  9. 前記所定の周波数帯域の成分を抽出後の前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度を符号に変換する変換手段を備え、
    前記異常検出手段は、前記上下方向加速度の符号と前記ピッチング方向加速度の符号との不一致率に基づいて前記位相差を検出すること
    を特徴とする請求項8に記載の軸ばね系の異常検出装置。
  10. 前記異常検出手段は、前記上下方向加速度及び前記ピッチング方向加速度の相互相関関数をフーリエ変換したクロススペクトルに基づいて前記位相差を求めること
    を特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の軸ばね系の異常検出装置。
  11. 前記台車枠挙動検出手段は、車両の進行方向に離間して配置され前記台車枠の上下方向加速度を検出する複数の加速度センサ、及び、前記複数の加速度センサの出力に基づいて前記台車枠のピッチング方向加速度を演算するピッチング方向加速度演算手段を備えること
    を特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載の軸ばね系の異常検出装置。
  12. 前記台車枠挙動検出手段は、
    前記台車枠の上下方向加速度を検出する加速度センサと、
    前記台車枠のピッチング方向加速度を検出する角速度センサとを有すること
    を特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載の軸ばね系の異常検出装置。
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