JP2012107150A - ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ヒドラジド化合物(B)0.01〜5質量部、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)をポリアセタール樹脂(A)1gに対するカルボキシル基量で0.07〜30mmolを含有することを特徴とするポリアセタール樹脂組成物による。
【選択図】なし
Description
また、トリフルオロメタンスルホン酸等の強プロトン酸を触媒としてポリアセタール樹脂を製造することにより、ホルムアルデヒド発生を抑制する方法(特許文献10)も提案されている。
そのため、ヒドラジド化合物を使用する際に、モールドデポジットの発生がないポリアセタール樹脂組成物の開発が望まれていた。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ヒドラジド化合物(B)0.01〜5質量部、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)をポリアセタール樹脂(A)1gに対するカルボキシル基量で0.07〜30mmolを含有することを特徴とする。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)は、−(−O−CRH−)n−(但し、Rは水素原子、有機基を示す。)で示されるアセタール構造の繰り返しを有する高分子であり、通常は、Rが水素原子であるオキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とするものである。本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)は、このオキシメチレン単位のみからなるホモポリマー以外に、オキシメチレン単位以外の構成単位を含むコポリマー(ブロックコポリマーを含む)やターポリマー等であってもよく、更には線状構造のみならず分岐、架橋構造を有していてもよい。
オキシメチレン単位以外の構成単位としては、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基(−CH2CH2CH2O−)、オキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)等の炭素数2〜10の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜4の分岐をしていてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基が好ましい。ポリアセタール樹脂に占めるオキシメチレン基以外のオキシアルキレン基の含有量は、通常は0.1〜20質量%である。
例えば、オキシメチレン基と、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキソカン、1,3−ジオキセパン等の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を含む環状オリゴマーとを共重合することによって製造することができる。ポリアセタール樹脂としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド又は1,3−ジオキソランとの共重合体を用いるのが好ましく、トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体を用いるのが特に好ましい。
ポリアセタール樹脂(A)のメルトインデックス(ASTM−D1238規格:190℃、2.16Kg)は、通常1〜100g/10分であるが、0.5〜80g/10分が好ましい。
本発明に用いるヒドラジド化合物(B)としては、脂肪族或いは芳香族の何れのヒドラジドでも使用することができる。
脂肪族ヒドラジド類としては、プロピオン酸ヒドラジド、チオカルボヒドラジド等のモノヒドラジド類;カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1、12−ドデカンジカルボヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等のジヒドラジド類が挙げられる。
芳香族ジヒドラジド化合物とは、2個のカルボン酸基やスルホン酸基を有する芳香族化合物のそれぞれの酸基にヒドラジンが反応した化合物で、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
(1)カルボキシル基を有する化合物(C1)
本発明においては、成形加工時の金型汚染を低減させるために、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)を配合する。(C)成分を配合することにより金型汚染が低減する理由は定かではないが、例えば、次のようなことが理由のひとつとして考えられる。金型汚染の原因であるモールドデポジットの主成分は、ヒドラジド化合物(B)とホルムアルデヒドとの反応物と考えられる。(C)成分中のカルボキシル基は、このヒドラジド化合物(B)とホルムアルデヒドの反応物を分解し又は(C)成分中に溶解させることにより、モールドデポジットとなりにくい形にしている、又はその一部をガスとして発生させることにより、金型汚染を低減させていると考えられる。
このような飽和脂肪族カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、デカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
このような飽和脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
飽和脂肪族テトラカルボン酸としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
このような直鎖不飽和脂肪族カルボン酸としては、プロピオン酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、フマル酸等が挙げられる。
本発明において使用されるポリエステル(C2)としては、主鎖にエステル結合を有する高分子化合物であり、芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジオールとから、あるいは炭素原子1〜12個の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジオールとから、あるいは炭素原子1〜12個のヒドロキシ酸から製造されたポリエステル樹脂であり、ブロックポリマーであってもランダムコポリマーであってもよい。
ポリエステル(C2)の例としては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2〜C4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2〜C4アルキレンナフタレート)、芳香族ポリエステル(例えば、ビスフェノールAなどの芳香族ジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのエステル化により生成するポリアリレートなど)などが挙げられる。
なお、沸点又は熱分解温度は、熱重量測定(TG)法により測定することができる。具体的には、熱重量測定(TG)装置を用い、窒素雰囲気下、温度範囲40℃から予想される沸点又は熱分解温度以上の温度、例えば、40〜500℃で、昇温速度10℃/分の条件で測定した時の、昇温開始前の重量からの重量減少が確認される温度をいう。
カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)の含有量が、0.07mmolを下回ると、モールドデポジットの低減が不十分となり、金型汚染物を多量に付着し易く、30mmol/gを上回ると、ホルムアルデヒドの発生が多くなる。
(1)離型剤
本発明の樹脂組成物においては、離型剤を配合することも好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、脂肪族炭化水素化合物の粘度平均分子量は、より好ましくは10,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素化合物は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明の樹脂組成物においては、ヒンダードアミン系光安定剤を配合することも好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤は、下記一般式(1)で示されるピペリジン構造を有するアミンである。
好ましいXとしては、炭素数1〜10のアルキル基等が挙げられる。Xがアルキル基の場合は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤は、分子中に複数のピペリジン構造を有することができるが、全てのピペリジン構造が、N−炭素原子−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル構造であることが好ましい。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル及びトリデシル−1,2,3,4ブタンテトラカルボキシレート(ブタンテトラカルボキシレートの4つのエステル部の一部が1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基で他がトリデシル基である化合物の混合物)、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウデンカン)−ジエタノールとの縮合物、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、
本発明の樹脂組成物においては、紫外線吸収剤を配合することも好ましい。
本発明において使用される紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する作用を有する化合物である。好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、及び、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の中から選ばれる。
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、
p−t−ブチルフェニルサリシレート、
p−オクチルフェニルサリシレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
N−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミドなどが挙げられる。
好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であり、特に好ましくは、20℃における蒸気圧が1×10−8Pa以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。
具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、
2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]が挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物に、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を含有させることによって、優れた熱安定性と成形性やホルムアルデヒド発生抑制効果に加えて、ペレットや成形品の耐候性をより向上させることができる。
本発明の樹脂組成物には、立体障害性フェノール(ヒンダードフェノール)化合物を配合することも好ましい。立体障害性フェノール化合物とは、下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有する構造を分子内に少なくとも一個有する化合物をいう。
R1、R2が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等炭素数1〜6のものが挙げられる。なかでもt−ブチル基のような嵩高い分岐アルキル基が好ましく、R1、R2のうちの少なくとも一つはこのような分岐アルキル基であるのが好ましい。アルキル基の置換基としては塩素等のハロゲン原子が挙げられる。
Rとしては、炭素数4以上のものが好ましい。また、この置換基Rは、芳香環の炭素原子と炭素−炭素結合により結合していてもよく、炭素以外の原子を介して結合していてもよい。
本発明の樹脂組成物には、アミノ置換トリアジン化合物を配合することも好ましい。アミノ置換トリアジン化合物とは、下記一般式(4)で示される構造を有するアミノ置換トリアジン類、又はこれとホルムアルデヒドとの初期重縮合物である。
本発明の樹脂組成物においては、無機充填材を配合することも好ましい。
無機充填材としては、熱可塑性樹脂に一般に用いられている任意の無機充填材を用いることができる。無機充填材は、繊維状、板状、針状、球状、粉末等、いずれの形状であってもよい。無機充填材としては、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維、ステンレス等の金属繊維、アラミド繊維等の繊維状強化充填剤;カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如きケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属酸化物、炭酸カルシウムの如き金属炭酸塩、硫酸バリウムの如き硫酸塩、フェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、各種金属粉末等の粉末状無機充填剤;マイカ、タルク、ガラスフレーク等の板状充填材等を例示することができ、これらを単独で用いてもいくつかを併用してもよい。
これらの中でも、ガラス繊維、タルク又はマイカを用いるのが好ましいが、特に、機械的物性及び耐熱性の点からガラス繊維を用いるのが好ましい。
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物には、上記の成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲内で公知の種々の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、抗菌剤等が挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、上記の(A)〜(C)成分、及び必要に応じて添加されるその他の成分を、任意の順序で混合、混練することによって製造することができる。
混合・混練の温度、圧力等の条件は、従来公知のポリアセタール樹脂組成物の製造方法に鑑みて適宜選択すればよい。例えば、混練はポリアセタール樹脂の溶融温度以上で行えばよいが、通常は180℃以上、230℃以下で行うのが好ましい。製造装置としても従来からこの種の樹脂組成物の製造に用いられている慣用の押出機や混練機、例えば、押出機、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミル等を利用することができるが、特に好ましい溶融混合機又は混練機としては、押出機、ニーダー等の密閉式装置を挙げることができる。
またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、射出成形品、ブロー成形品あるいは押出成形品等にすることもできる。
本発明ポリアセタール樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、射出ブロー成形等の成形法により、種々の成形品とすることができる。流動性、加工性の観点から、射出成形が好ましい。
成形品としては、ペレット、丸棒、厚板等の素材、シート、チューブ、各種容器、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品等の製品が挙げられる。例えば、自動車内装用部品としては、ウィンドウレギュレータシステム部品やドアロック機構部品、自動車のドアミラーステー、ギヤチェンジフック、シフトレバー関係部品、ドアハンドル、シートベルトガイド及び燃料タンク等、その他、クリップ、ギア、キャップ、バネ、ローラー、シートベルトバックル、ポンプ部品、パソコン等のキー部品、カメラ、プリンター、DVDプレイヤー等に代表される電気機器の機構部品、時計等精密機器のウオッチメカ部品、電化製品の各種スイッチ部品、多層ボトル、フィルム等が挙げられる。
(A)ポリアセタール樹脂
コモノマーとして1,3−ジオキソランを樹脂に対して4.2質量%となるように用いて製造したアセタールコポリマー、メルトインデックス(ASTM−D1238規格:190℃、2.16Kg)10.5g/10分
(B−1)アジピン酸ジヒドラジド
(B−2)セバシン酸ジヒドラジド
(B−3)1,12−ドデカン二酸ジヒドラジド
(B−4)イソフタル酸ジヒドラジド
(D−1)ベンゾグアナミン
(C−1)ステアリン酸(沸点376℃(分解)、分子量284)
(C−2)セバシン酸(沸点294℃、分子量202)
(C−3)ポリ乳酸(ユニチカ社製「商品名:テラマックTE―2000」、重量平均分子量(Mw)120,000))、熱分解温度340℃
(C−4)安息香酸(沸点249℃、分子量122)
(E−1)ステアリルステアレート(分子量536)
(E−2)ステアリン酸カルシウム(分子量606)
上記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、表1および表2に記載の上記各成分を、表1〜2に記載した量で、秤取り、川田製作所社製スーパーミキサーを用いて均一に混合したのち、常法に従って、2軸押出機(池貝社製PCM−30、スクリュー径30mm)を用いて、スクリュー回転数120rpm、シリンダー設定温度190℃の条件下に、溶融混練したのち、ペレット化した。
得られたペレットを、温度80℃の熱風乾燥機を用いて4時間乾燥させ、日精樹脂工業社製射出成形機PS−40を用い、シリンダー温度215℃、金型温度80℃にて100mm×40mm×2mmの平板試験片を成形した。
以下の評価方法を行うことにより、表1および表2に示す結果を得た。
測定及び評価は、以下の方法で行った。
(1)ホルムアルデヒド発生量
前記平板試験片を、その成形翌日に、ドイツ自動車工業組合規格VDA275(自動車室内部品−改訂フラスコ法によるホルムアルデヒド放出量の定量)に記載された方法に準拠して、下記の方法によりホルムアルデヒド発生量(HCHO発生量)を測定した。
ポリエチレン容器中に蒸留水50mlを入れ、試験片を空中に吊るした状態で蓋を閉め、密閉状態で60℃にて、3時間加熱し、ついで、室温で60分間放置後、試験片を取り出し、ポリエチレン容器内の蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒド量を、UVスペクトロメーターにより、アセチルアセトン比色法で測定した。
なお、ホルムアルデヒド発生量は、ポリアセタール樹脂1gに対するホルムアルデヒド量(μg/g−POM)として表した。
住友重機械工業社製ミニマットM8/7A成形機を用い、図1に示すようなしずく型金型を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度80℃で1,000ショット連続成形し、終了後金型付着物の状態を肉眼で観察し、下記のA〜Dの4段階の基準で評価した。
図1のしずく型金型は、ゲートGから樹脂組成物を導入し、尖端P部分に発生ガスが溜まり易くなるように設計した金型である。ゲートGの幅は1mm、厚みは1mmであり、図1において、幅h1は14.5mm、長さh2は7mm、長さh3は27mmであり、成形部の厚みは3mmである。
<金型付着物の状態>
A:金型付着物が殆ど少なく、金型汚染性は極めて良好
B:金型付着物が少しあるものの、金型汚染性は良
C:金型付着物が多く、金型汚染性が不良
D:金型付着物が全体に及び、金型汚染性が極めて不良
一方、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)を含有しない比較例1〜6では、金型汚染が生じてしまっている。また、カルボキシル基を有する化合物(C1)の量が多い比較例7〜8では、ホルムアルデヒドの発生量が多く、ヒドラジド化合物ではないホルムアルデヒド補足剤を使用した比較例9では、ホルムアルデヒドの発生も多く金型汚染も酷く悪い結果となった。さらに、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)ではないカルボン酸誘導体を配合した比較例10〜11ではモールドデポジットが発生し金型汚染が生じていることが分かる。
従って、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、その成形品を自動車内装部品、電子電気機器等の部品として、好適に使用することができ、産業上の利用性は非常に高いものがある。
Claims (6)
- ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ヒドラジド化合物(B)0.01〜5質量部、カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)をポリアセタール樹脂(A)1gに対するカルボキシル基量で0.07〜30mmolを含有することを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
- カルボキシル基を有する化合物またはポリエステル(C)が、沸点又は熱分解温度が230℃以上のものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- カルボキシル基を有する化合物の含有量が、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1.5質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリエステルの含有量が、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ヒドラジド化合物(B)が、ジヒドラジド化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品。
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