JP2012106970A - 皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよく、患部から容易に剥離することができるという優れた特性を有する皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤のゲル状基剤を提供する。
【解決手段】炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する、皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤に関する。
従来、潰瘍化したがん組織が原因菌であるバクテロイド属(Bacteroides sp.)やペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus sp.)に感染すると、通常の感染等に比してかなり強い、独特の悪臭を放つことが知られている。このような現象が問題となる場合として、例えば、乳がんが皮膚転移した場合等が挙げられる。特に、患部が大きい場合、患部からの浸出液の量も増え、強烈なにおいを発するため、患部を処置するときに部屋中に臭いが拡がり、患者に大きな苦痛に与えるのみならず、周囲にも不快な思いを与えることがある。
このような皮膚潰瘍部の悪臭に対しては、例えば、イミダゾール系の抗菌剤を主薬とし、基剤として親水軟膏を用いた軟膏剤、又は基剤としてカルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸、日光ケミカルズ株式会社製)を用いたゲル剤等をガーゼに塗布し、これで患部を覆う等の処置が行われる(例えば、非特許文献1参照)。
該軟膏剤、ゲル剤等は、一般には市販されておらず、各医療施設において調剤され、院内製剤として使用されている。例えば、基剤としてカルボキシビニルポリマーを用いたゲル剤は、基剤として親水軟膏を用いた軟膏剤よりも展延性、安定性、薬物浸透性、使用感等に優れていることが知られている。
しかしながら、カルボキシビニルポリマーを用いた該ゲル剤は、ゲルの調製が難しく、ゲルの物性がpHによって変動するという問題点を有している。また、ゲルが乾燥して患部に付着し、患部を覆ったガーゼを剥がす際、剥がれにくく、痛みを伴うといった問題点も有している。
渡部一宏, 信濃裕美, 玉橋容子,中村清吾,患者のQOL向上と薬剤師の関わり 院内製剤 乳癌の癌性皮膚潰瘍におけるメトロニダゾール外用製剤の有用性 その1,医薬ジャーナル,44,2430〜2434(2008)
本発明は、以上のような背景に鑑みなされたものであり、皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよく、患部から容易に剥離することができるという優れた特性を有する皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤、並びに該ゲル状外用剤に使用するゲル状基剤を提供することを主な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、皮膚潰瘍処置用外用剤に、アルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤を用いることにより、皮膚潰瘍部の悪臭が抑制され、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性、に優れ、調製が容易で使用感がよく、患部から容易に剥離することができるという優れた特性を有する皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤が得られることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、下記項1〜13に示す皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤、並びに該ゲル状基剤及びイミダゾール系抗菌剤を含む皮膚潰瘍処置用外用剤を提供する。
項1. 炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する、皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項2. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、下記一般式(1)
Figure 2012106970
[式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、
基:−[CHCH2−k(CHO]H、又は
基:−CHCH(OH)CHOC2j+1である。
nは100〜100,000の整数、kは0又は1の整数、mは1〜10の整数、
jは6〜26の整数を示す。]
で表されるものであって、
該炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、
基:−CHCH(OH)CHOC2j+1を必ず含むものである、
項1に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項3. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、ステアリル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである項1又は2に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項4. 更に、イミダゾール系抗菌剤を含む、項1〜3のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項5. 前記イミダゾール系抗菌剤が下記一般式(2)
Figure 2012106970
[式中、R及びRは同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を示す]
で表される化合物である項4に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項6. 前記イミダゾール系抗菌剤がメトロニダゾールである項4又は5に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項7. 更に、リドカインを含む、項1〜6のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項8. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの含有量が、0.2〜3.0質量%である、項1〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項9. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%である、
項4〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項10. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項11. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%であり、
前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項12. 前記ゲル状基剤に、プロピレングリコールを含む、項1〜11のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項13. 皮膚潰瘍が、がん性皮膚潰瘍である、項1〜12のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤
(1−1)炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する。なお、本発明では、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースと記すことがある。
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒に溶解させてゲル化させたものである。そして、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルは、水溶性セルロースエーテル誘導体に、疎水性基である長鎖アルキル基を導入した化合物である。
本発明で使用する炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜10,000,000程度、好ましくは50,000〜5,000,000程度、より好ましくは100,000〜1,000,000程度である。
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルとしては、刺激感を減少させることが可能であり、さらには、ゲル基剤として用いた場合に、乾きにくく、保護ガーゼが剥がしやすいという理由から、
下記一般式(1)
Figure 2012106970
[式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、
基:−[CHCH2−k(CHO]H、又は
基:−CHCH(OH)CHOC2j+1である。
nは100〜100,000の整数、kは0又は1の整数、mは1〜10の整数、
jは6〜26の整数を示す。]
で表されるものであって、
該炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、
基:−CHCH(OH)CHOC2j+1を必ず含むものである化合物が好ましい。
一般式(1)において、nは通常100〜100,000整数であり、好ましくは100〜10,000、更に好ましくは2,000〜4,000の整数である。
一般式(1)において、R、R及びRは同一又は異なってよいが、水素原子、低級アルキル基、基:−[CHCH2−k(CHO]H、又は基:−CHCH(OH)CHOC2j+1である。
前記低級アルキル基とは、低級アルキル基とは、炭素原子数1〜4個の直鎖状または分枝鎖状のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などである。
一般式(1)において、kは0又は1の整数である。一般式(1)において、mは1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1である。一般式(1)において、jは、通常6〜26の整数、好ましくは10〜20の整数、より好ましくは15〜18の整数である。
通常、一般式(1)中の低級アルキル基、基:−[CHCH2−k(CHO]H、及び基:−CHCH(OH)CHOC2j+1の割合は、低級アルキル基が10.0〜50.0重量%程度、基:−[CHCH2−k(CHO]Hが3.0〜20.0重量%程度、及び基:−CHCH(OH)CHOC2j+1が0.1〜10.0重量%程度が好ましい。
なお、一般式(1)中の低級アルキル基、基:−[CHCH2−k(CHO]H、及び基:−CHCH(OH)CHOC2j+1の割合は、第13改正日本薬局方ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208の項に準じた方法によって測定した値である。
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルは、一種単独で使用してもよく、二種以上混合して使用してもよい。
一般式(1)で表される化合物は、従来公知の製造方法により製造することができ、例えば、特開平3−151330号公報に記載の方法に準じた方法により得られる。また、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースの市販品としては、例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)が挙げられる。
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤では、重量平均分子量(Mw)30万〜50万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル(例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)60シリーズ)と、重量平均分子量(Mw)70万〜90万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル(例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)90シリーズ)とを混合して使用することが好ましい。
重量平均分子量(Mw)30万〜50万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルと重量平均分子量(Mw)70万〜90万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを、好ましくは10:90〜50:50、より好ましくは20:80〜40:60混合比で使用することができる。
(1−2)皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤の調製
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶解させる溶媒としては、例えば、水、水と低級アルコー及び/又はグリコール類の混合溶液を使用することができる。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数2〜3のアルカノールが挙げられる。
また、グリコール類としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、水及びプロピレングリコールの混合液が好ましい。
水と低級アルコール及び/又はグリコール類とを混合して溶媒とする場合、混合比率は、通常99:1〜20:80程度、好ましくは90:10〜40:60程度である。
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルと前記溶媒とを混合し、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒中に均一分散させることにより容易にゲル化させたものである。
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒中に均一分散させてゲル化させる方法は特に限定されない。例えば、50〜99℃の前記溶媒と炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルとを混合し、放冷しながら撹拌することによって得られる。
ゲル化させる際には、後述の抗菌剤及び必要に応じてその他の成分が含まれていてもよく、基剤をゲル化させた後に抗菌剤及び必要に応じてその他の成分を混合してもよい。
製剤中の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの濃度は、0.1質量%未満では十分な粘度が得られず、また10質量%を超えると皮膚に塗布した際に多量のポリマーが析出して使用感に劣る傾向があることから、通常0.1〜10質量%程度が好ましく、0.5〜2.0質量%程度がより好ましい。
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよいという優れた特性を有する。また、本発明のゲル状基剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。従って、患部を覆ったガーゼを剥がす際の痛みを軽減することもでき、患者の精神的苦痛を和らげることが可能である。
(2)皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤に加えて、イミダゾール系抗菌剤、リドカイン及びプロピレングリコールを含むことが好ましい。
(2−1)イミダゾール系抗菌剤
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルに加えて、病院薬局製剤としての品質確保、製剤成分の安定性及び製剤からの薬物放出性を確保できるという理由から、イミダゾール系抗菌剤を含むことが好ましい。
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤の主薬として使用されるイミダゾール系抗菌剤は、皮膚炎等の抗菌剤として一般的に使用されるものを用いることができる。
該イミダゾール系抗菌剤としては、
下記一般式(2):
Figure 2012106970
[式中、R及びRは同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を示す]
で表されるニトロイミダゾール系化合物が好ましい。
該置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、該アルキル基の炭素数は、通常、1〜10程度、好ましくは1〜5程度である。
該置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン基、アミノ基、フェニル基、ベンジル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基の中でも、Rとしては、ヒドロキシ基を有するアルキル基が好ましい。さらに、ヒドロキシ基を有するアルキル基の中でも、CHOH基、CHCHOH基又はCHCHCHOH基が好ましく、CHCHOH基が特に好ましい。
また、置換基を有していてもよいアルキル基の中でも、Rとしては、飽和アルキル基が好ましい。さらに、飽和アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物の中でも、下記一般式(2A):
Figure 2012106970
で表されるメトロニダゾール(2−メチル-5-ニトロイミダゾール-1−エタノール)(2−(2−Methyl−5−nitro−1−imidazolyl)ethanol)が特に好ましい。
本発明において、一般式(2)及び一般式(2A)で表される化合物は、薬理学的に許容される塩を形成していてもよい。塩は特に限定されないが、例えば、ハロゲン化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、プロパン酸、安息香酸、クエン酸、乳酸等の有機酸との塩が挙げられる。一般式(2)及び一般式(2A)中にヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基は薬理学的に許容される保護基で保護されていてもよい。
本発明において、イミダゾール系抗菌剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上混合して使用してもよい。
(2−2)リドカイン
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、病院薬局製剤としての品質確保、製剤成分の安定性及び製剤からの薬物放出性を確保できるという理由から、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤に加えて、リドカインを含むことが好ましい。
なお、リドカイン(2−Diethylamino−N−(2,6−dimethylphenyl)acetamide))は、一般的に麻酔剤として用いられるものであり、以下の構造を持つ。
Figure 2012106970
本発明において、リドカインは、薬理学的に許容される塩を形成していてもよい。
(2−3)プロピレングリコール
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルに加えて、プロピレングリコールを含むことが好ましい。
(2−4)他の成分
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤には、必要に応じて、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、イミダゾール系抗菌剤、リドカイン及びプロピレングリコールに加えて他の成分を加えてもよい。
他の成分としては、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ベンジルアルコール等の吸収助剤、防腐剤、香料等が挙げられる。さらに、目的や用途に応じて、抗生物質、化学療法剤、ビタミン剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、消炎鎮痛剤、収れん剤、サルファ剤、血行促進剤、副腎皮質ホルモン等の薬物を配合させることもできる。
(2−5)皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤の調製
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分を添加して混合することにより得られる。これらの成分を混合する順序は特に限定されない。
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分は、均一に分散するように混合することが好ましい。
アルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分を均一に分散させてゲル化させる方法は特に限定されない。
例えば、以下の手順により行うことができる。
(i)50〜99℃の前記溶媒とアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを混合し、放冷しながら撹拌する。
(ii)前記(i)で得られた混合液と、抗菌剤及び前記溶媒の混合液とを混合する。
前記(i)で使用する溶媒は、水が好ましく、上記(ii)で使用する溶媒は、プロピレングリコールが好ましい。
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの含有量は、0.1質量%未満では十分な粘度が得られず、また10質量%を超えると皮膚に塗布した際に多量のポリマーが析出して使用感に劣る傾向があることから、通常0.1〜10質量%程度とすることが好ましく、0.2〜3.0質量%程度とすることがより好ましく、0.5〜2.0質量%程度とすることが更に好ましい。
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のイミダゾール系抗菌剤の含有量は、0.1質量%未満では充分な殺菌力が発揮できず、また5.0質量%を超えると副作用が発現するという理由から、通常0.1〜5.0質量%程度とすることが好ましく、0.5〜2.0質量%程度とすることがより好ましい。
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のリドカインの含有量は、0.05質量%未満では充分な鎮痛効果が得られず、また2.0質量%を超えると副作用が発現するという理由から、通常0.05〜2.0質量%程度とすることが好ましく、0.1〜0.4質量%程度とすることがより好ましい。
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のプロピレングリコールの含有量は、1.0質量%未満では、充分な湿潤性が得られず、また50.0質量%を超えると実用的な製剤の粘度にならないという理由から、通常1.0〜50.0質量%程度とすることが好ましく、5.0〜20.0質量%程度とすることがより好ましい。
(3)使用方法
本発明のゲル状基剤を使用した皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、ガーゼ等に該組成物を塗布し、これを患部に貼り付けて使用することができる。本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよいという優れた特性を有する。
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍に伴う悪臭を効果的に抑制することができ、特に、通常の感染等に比してかなり強い独特の悪臭を放つがん性皮膚潰瘍に対して効果的に悪臭を抑えることができる。
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。従って、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部を覆ったガーゼを剥がす際の痛みを軽減することもでき、患者の精神的苦痛を和らげることが可能である。
本発明のゲル状基剤を使用した皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感のよいという優れた特性を有する。また、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。
従って、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から発する悪臭を軽減でき、かつ、使用後に患部から容易に剥離することができ、患者の精神的苦痛を和らげることができる。
以下、製造例、比較製造例、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)試薬及び試薬の調製
以下の製造例、比較製造例、試験例においては、以下の試薬を使用した。
アルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル
サンジェロース60L(60L)(大同化成工業社製)
メトキシ基(%):27.0〜30.0
ヒドロキシプロポキシ基(%):7.0〜11.0
ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基(%):0.3〜0.6
分子量 約40万
サンジェロース90L(90L)(大同化成工業社製)
メトキシ基(%):21.5〜24.0
ヒドロキシプロポキシ基(%):7.0〜11.0
ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基(%):0.3〜0.6
分子量 約80万
メトロニダゾール(2−メチル-5-ニトロイミダゾール-1−エタノール)(MTZ):東京化成工業製
リドカイン(Lid):アストラゼネカ製の4%リドカイン外溶液
プロピレングリコール:丸石製薬製
親水軟膏(Oint):メルク・ホエイ製
(2)製造例
以下の配合に従い、皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤を調製した。
製造例1(MTZ−60L)
メトロニダゾール 0.8g
サンジェロース60L 1g
プロピレングリコール 10ml
水 88.2 ml
製造例2(MTZ−90L)
メトロニダゾール 0.8g
サンジェロース90L 1g
プロピレングリコール 10ml
水 88.2 ml
製造例3(MTZ−60L+90L)
メトロニダゾール 0.8g
サンジェロース60L 0.25g
サンジェロース90L 0.75g
プロピレングリコール 10mL
水 90mL
比較製造例1(MTZ−Oint)
メトロニダゾール 1g
プロピレングリコール 3mL
親水軟膏 96g
製造例4(MTZ−Lid−60L+90L)
メトロニダゾール 0.8g
4%リドカイン 5mL
サンジェロース60L 0.25g
サンジェロース90L 0.75g
プロピレングリコール 10mL
水 83mL
比較製造例2(MTZ−Lid−Oint)
メトロニダゾール 1g
4%リドカイン 5mL
プロピレングリコール 3mL
親水軟膏 91mL
(3)試験例
試験例1(稠度及び展延性の測定)
(i)測定方法
(a)稠度(針入度)
測定には、ペネトロメータ(離合社、JIS規格)を使用した。稠度は、ペネトロメータの針が試料に進入した5秒後の進入度を測定し、この10回の平均値より求めた。前記製造例1〜3、並びに比較製造例1の稠度は、それぞれのゲル調製直後(0日、28℃)での値を測定した。
(b)展延性
測定には、スプレッドメータ(離合社、JIS規格)を使用した。スプレッドメータは、室温条件下にて10、50、150、200、300、400、500、600、700、800及び900秒後の拡がりの直径を測定し、5回の平均値より求めた。前記製造例1〜3、並びに比較製造例1の展延性は、それぞれゲル調製直後(0日、28℃)での値を測定した。
(ii)測定結果
(a)稠度(針入度)
製造例1(MTZ−60L)及び製造例2(MTZ−90L)のゲル調製直後(0日)の稠度は、ともに、400×10−1mm以上であった。
製造例3(MTZ−60L+90L)のゲル調製直後(0日)の稠度は、400×10−1mm以上であった。
比較製造例1(MTZ−Oint)のゲル調製直後(0日)の稠度は、289.1×10−1mmであった。
(b)展延性
製造例1(MTZ−60L) y=0.4144Ln(x)+3.0204
=0.9578
製造例2(MTZ−90L) y=0.1981Ln(x)+3.1467
=0.9602
製造例3(MTZ−60L+90L) y=0.58Ln(x)+3.08
=0.99
比較製造例1(MTZ−Oint) y=0.074Ln(x)+2.464
=0.972
試験例2(安定性試験:HPLC法)
(i)試験方法
メトロニダゾール(以下、MTZ)外用製剤(以下、MTZ外用製剤)、並びに、メトロニダゾール及びリドカイン(以下Lid)外用製剤(以下、MTZ−Lid外用製剤)の安定性は、4℃、28℃及び40℃に保存した製剤の調製直後(0日)、および1日後、14日後、30日後、60日後の外観変化を観察するとともに、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)を用いてMTZ外用製剤中のMTZ及びMTZ−Lid外用製剤中のMTZ及びLidの濃度を測定して評価した。
測定用サンプルの調製は、前記製造例1〜4、並びに比較製造例1及び2を各30mg正確に秤り、内標準物質としてラニチジン(SIGMA−ALDRICH社、米国)200μgを含むメタノール:水(1:1)混液を加え、全量を10mLとし、5分間超音波をかけて均一にさせた。得られた溶液をDISMIC(登録商標)−3JP(φ0.5μm)(アドバンテック東洋株式会社)で濾過し、この溶液の20μLをHPLCに注入した。MTZ及びLidの濃度は、内標準物質とのピーク面積比から得られた検量線を用いて、5回の平均から算出した。
HPLCの装置には、ポンプHITACHI L−7100(日立製作所)、 検出器HITACH L−7420(日立製作所)(UV波長324nm)、カラムオーブンShimadzu CTO−10AS(島津製作所)(カラム温度30℃)の組み合わせを用いて行なった。カラムは、TSK−GEL ODS−80TM(250mm×4.6mm i.d.,5μm)(東ソー)を、試料注入器はHamilton Syringe MICROLITER #705(ハミルトン社、米国)を、また移動相には、アセトニトリル:0.1M リン酸カリウム(KHPO)緩衝液(pH=4)(1:9)を用い、流速を1.0mL/minとした。
(ii)試験結果
製造例1(MTZ−60L)の外観は、恒温条件(40℃)、室温条件(28℃)ともに60日間あまり変化がなかった。
製造例2(MTZ−90L)の外観は、室温条件(28℃)では60日間あまり変化がなかった。恒温条件(40℃)で保存すると14日以降から成分量の上昇が徐々に見られた。
製造例3(MTZ−60L+90L)の外観は、室温条件(28℃)及び恒温条件(40℃)では60日間変化がなかった。
比較製造例1(MTZ−Oint)の外観は、室温条件(28℃)及び恒温条件(40℃)では60日間変化がなかった。
製造例4(MTZ−Lid−60L+90L)の外観は、恒温条件(40℃)、室温条件(28℃)ともに60日間あまり変化がなかった。
比較製造例2(MTZ−Lid−Oint)の外観は、恒温条件(40℃)、室温条件(28℃)ともに60日間あまり変化がなかった。
さらに、安定性試験は、恒温条件(40℃)及び室温条件(28℃)で保存した製造例及び比較製造例のMTZ濃度及びLid濃度を、HPLCで測定し、その経時的変化をみた。
製造例1(MTZ−60L)は、調製から60日までMTZの濃度にほとんど変化がみられなかった。
製造例2(MTZ−90L)は、調製から60日までMTZの濃度にほとんど変化がみられなかった。
製造例3(MTZ−60L+90L)は、調製から60日までMTZの濃度にほとんど変化がみられなかった。
比較製造例1(MTZ−Oint)は、調製から60日までMTZの濃度にほとんど変化がみられなかった。
製造例4(MTZ−Lid−60L+90L)は、調製から60日までMTZ及びLidの濃度にほとんど変化がみられなかった。
比較製造例2(MTZ−Lid−Oint)は、調製から60日までMTZ及びLidの濃度にほとんど変化がみられなかった。
試験例3(官能試験)
(i)試験方法
ゲル基剤として粘性と流動性の異なるサンジェロース60L及びサンジェロース90Lを用いて以下の5種類のMTZ−サンジェロースゲル(MTZ−SW・Gel)サンプルを作成し、看護師による使用感の評価によってMTZ−SW・Gelの処方を決定した。
(a)MTZ−SW・Gelサンプルの調製
サンジェロース濃度、混合比の異なるMTZ−SW・Gelサンプル(a)〜(e)の以下の5種類の製剤を調製した。
Figure 2012106970
(b)看護師によるMTZ−SW・Gelサンプル製剤の使用感評価
癌性皮膚潰瘍を伴う乳癌患者のケアに携わってきた看護師7名(実務経験10年以上)に対し、MTZ−SW・Gelサンプル(a)〜(e)5種類のゲル製剤に、基剤としてCVP(カルボキシビニルポリマー)を用いたMTZ−CVP・Gelを加えた6種類を対象製剤として製剤の使用感評価を行なった。評価は、“患者にとって使いやすい製剤”と感じる製剤に6点、順に5、4、3、2、1と点数化し評価値とし、7名の看護師の平均値を算出し評価した。
(ii)試験結果
看護師による使用感の評価の結果、被験者である看護師が“患者にとって使いやすい製剤”と感じた製剤を平均評価値の高い順にならべると(d)>(e)>MTZ−CVP・Gel>(b)=(c)>(a)であった
Figure 2012106970
以上より(d)の処方、つまりサンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたものMTZ−SW・Gelの処方が特に好ましいことが明らかとなった。
試験例4(稠度及び展延性の比較)
サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gel(前項試験例3において決定した処方(d))について、MTZ−CVP・Gelとの比較試験を行った。
(a)稠度(針入度)
サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelは、サンジェロース60L及びサンジェロース90Lと同様に、ゲル調製直後(0日)における稠度を測定した結果は、400×10−1mm以上であった。
一方、MTZ−CVP・Gel調製直後(0日)における稠度を測定した結果は、330×10−1mmであり、サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたものMTZ−SW・Gel(前項試験例3において決定した処方のゲル)の方が、稠度が大きく、やわらかい製剤であることが明らかになった.
(b)展延性
サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelは、y=0.2844Ln(x)+2.9663、R=0.9755となり、傾きは60Lと90Lの間に位置するものであった。
一方、MTZ−CVP・Gelはy=0.1287Ln(x)+3.1301、R=0.9887となり、決定した処方のゲルの方が、傾きが大きく、延びがよい製剤であることが明らかになった。
試験例5(安定性試験:HPLC法)
サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelは室温条件(28℃)では、サンジェロース60L及びサンジェロース90L同様に60日間あまり変化がなかった。恒温条件(40℃)で保存するとサンジェロース90L同様に、14日以降から成分量の上昇が徐々に見られた。
一方、CVPゲルは,決定した処方同様に室温条件(28℃)では60日間あまり変化がなかった。恒温条件(40℃)で保存すると30日以降から成分量の上昇が徐々に見られた。
試験例6(薬物浸透性)
(i)試験方法
Franz型拡散セル(透過面積:3.1cm)を用い、乳酸リンゲル液をレセプター相、セルロース膜を隔膜として、ドナー側の膜上に約0.31gのゲル剤を塗布したときに、経時的にレセプター相に放出される薬物量を下記に示す方法で測定した(n=5)。メトロニダゾール含量測定法は安定性HPLCと同一条件である。
(ii)試験結果
0.5、1、1.5、2、3、4及び8時間後のMTZの累積浸透率は、MTZ−CVP・Gelでは、それぞれ、25.9、42.2、56.3、66.5、76.1、82.8、88.8、及び89.7%であった。
0.5、1、1.5、2、3、4及び8時間後のMTZの累積浸透率は、サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelでは、それぞれ、42.0、70.4、82.6、91.6、95.4、97.0、97.4、及び97.6 %であった。8時間後までの各測定時間において、サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelは、MTZ−CVP・Gelに比べ大きい値を示した。
この結果より、MTZ−SW・Gelは、MTZ−CVP・Gelに比べ、薬物浸透性に優れることが分かった。
試験例7(保形性)
(i)試験方法
生理食塩水に溶かした1%アガロースを内径47mmの100mLビーカーに流し込み、15gのアガロースゲルを調製した。アガロースゲルに、パラフィルムにサンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelを展延し、薬剤面を下にしてアガロースゲルの上にのせた。23℃で1時間放置したあと、サンプルを取り除き、ゲルの保形成を確認した。
(ii)試験結果
比較には、MTZ−CVP・Gelを使用した。
MTZ−CVP・Gelは、1時間後液状化(流動性有り)しており、ゲルを保持していない。
それに対し、サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelを用いたゲルはMTZ−CVP・Gelに認められる液状化現象はなく、イニシャル時と同等のゲルを保持していた。
この結果より、MTZ−CVP・Gelは患部の上でゲルが液状化し患部に付着、患部を覆ったガーゼを剥がす際、剥がれにくく、痛みを伴うといった問題点を有していたが、患部の上でゲルを保持するMTZ−SW・Gelを使用することで、患部を覆ったガーゼが患部に付着することなく、痛みを伴わずにガーゼを剥がすことが可能となった。
試験例8(調製時間)
サンジェロースの混合比がサンジェロース60Lとサンジェロース90Lを1:3としたMTZ−SW・Gelの調製時間は30分であり、CVPの調製時間120分と比べ1/4に短縮された。
本発明のゲル状基剤を使用した皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感のよいという優れた特性を有する。また、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。
従って、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から発する悪臭を軽減でき、かつ、使用後に患部から容易に剥離することができ、患者の精神的苦痛を和らげることができる。

Claims (13)

  1. 炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する、皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  2. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、下記一般式(1)
    Figure 2012106970
    [式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、
    基:−[CHCH2−k(CHO]H、又は
    基:−CHCH(OH)CHOC2j+1である。
    nは100〜100,000の整数、kは0又は1の整数、mは1〜10の整数、
    jは6〜26の整数を示す。]
    で表されるものであって、
    該炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、
    基:−CHCH(OH)CHOC2j+1を必ず含むものである、
    請求項1に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  3. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、ステアリル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1又は2に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  4. 更に、イミダゾール系抗菌剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  5. 前記イミダゾール系抗菌剤が下記一般式(2)
    Figure 2012106970
    [式中、R及びRは同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を示す]
    で表される化合物である請求項4に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  6. 前記イミダゾール系抗菌剤がメトロニダゾールである請求項4又は5に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  7. 更に、リドカインを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  8. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの含有量が、0.2〜3.0質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  9. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
    前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%である、
    請求項4〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  10. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
    前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
    請求項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  11. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
    前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%であり、
    前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
    請求項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  12. 前記ゲル状基剤に、プロピレングリコールを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
  13. 皮膚潰瘍が、がん性皮膚潰瘍である、請求項1〜12のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
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