JP2012106532A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1周方向溝14と第2周方向溝16との間の陸部に傾斜溝30を複数形成してタイヤ赤道面を横断する傾斜陸部22を区画し、ウエット性能を確保する。傾斜陸部22には、第1周方向溝14側に向けて円弧形状のサイプ38A−1、サイプ38A−2、第2の副溝36、サイプ38B、第1の副溝34、サイプ38Cを順に形成する。雪上走行では、傾斜溝30、端部浅溝63、端部浅溝73、傾斜陸部22に形成した第1の副溝34、及び第2の副溝36に雪が入り込んで雪柱剪断力を発生するため、高い雪上性能を得ることができる。傾斜陸部22においては、中央部分にサイプと副溝を交互に配置し、長手方向両端にはサイプを配置したので、高い陸部剛性を確保できる。
【選択図】図1
Description
請求項1の空気入りタイヤのトレッドには、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝が形成され、周方向溝間には、タイヤ周方向に間隔を開けて形成されたタイヤ幅方向に対して同一方向に傾斜する複数本の傾斜溝で区画された傾斜陸部が備えられている。このため、ウエット路面走行時、トレッドとトレッドとの間の接地面の水は周方向溝、及び傾斜溝によって排水される。周方向溝には、タイヤ幅方向に対して傾斜する傾斜溝は、タイヤ幅方向に対して傾斜していない横溝に比較して周方向溝へ水を流し易いため、接地面の水を効率的に接地面外へ排水でき、基本的に高いウエット性能を有している。
また、雪上でのコーナリング時では、傾斜陸部が雪面に引っ掛かり、周方向溝、傾斜溝及びタイヤ幅方向に延びかつタイヤ周方向に凸なるように湾曲した副溝に雪が入り込んで雪柱剪断力(タイヤ幅方向)を発生するため、雪上でのコーナリング性能を得ることができる。なお、副溝は、タイヤ周方向に凸なるように湾曲しているため、タイヤ幅方向の溝成分のみならず、タイヤ周方向の溝成分を有しているため、副溝内に入り込んだ雪がコーナリング時にずれ難く、タイヤ幅方向に直線状に延びる副溝に比較して、雪上でのコーナリング性能を向上することができる。
請求項1の空気入りタイヤでは、このように傾斜陸部にサイプと副溝とを交互に配置することで、陸部剛性が確保され、ドライ路面での操縦安定性も確保できる。
接地圧をトレッドの幅方向で見ると、タイヤ赤道面側がショルダー部側よりも接地圧が高い傾向にある。雪上性能を確保するには、溝内に雪上の雪を入り込ませることが必要であり、溝内に雪を入り込ませるには、接地圧が高い方が好ましい。
即ち、車両がコーナリングする場合、車両に作用する遠心力により、車両の旋回半径方向外側の空気入りタイヤに作用する荷重が大となり(旋回半径方向内側対比)、さらに、車両の旋回半径方向外側の空気入りタイヤのトレッドの中でも、車両幅方向外側の方が内側よりも接地面積も大となり、かつ接地圧も高くなる。したがって、ウエット路面でのコーナリングでは、トレッドの中でも車両幅方向外側の部分が排水性にとっても重要となる。
仮想線のタイヤ幅方向に対する角度を45°以下に設定することで、トラクション、及びブレーキング(直進時)に効くタイヤ幅方向のエッジ成分を十分に確保することができる。
サイプの曲率半径を100mm以下とすることで、タイヤ周方向のエッジ成分を十分に確保することが出来る。サイプの曲率半径が100mmを超えると、サイプのエッジが直線状に近づき、タイヤ周方向のエッジ成分が不足し、コーナリング性能の向上が望めなくなる。
雪上性能を考えると、タイヤ幅方向に延びる副溝は、溝幅を広く、かつ溝深さが深い方が好ましいが、傾斜陸部に形成する副溝の全てを、溝幅を広く、かつ溝深さ深くすると、傾斜陸部の剛性が低下して好ましく無い場合がある。
傾斜溝に沿って延びる傾斜陸部のタイヤ幅方向端部側は、タイヤ幅方向中央側よりも相対的に剛性が低い部分となるので、剛性を低下させる副溝は形成せず、サイプを形成する。サイプは、接地時に閉じてサイプ壁面同士が密着するので、陸部剛性の低下を抑えることができ、接地時に閉じない副溝を形成するよりも傾斜陸部のタイヤ幅方向端部側の陸部剛性の低下を抑えることが出来る。
接地圧をトレッドの幅方向で見ると、タイヤ赤道面側がショルダー部側よりも接地圧が高い傾向にあり、陸部は、タイヤ赤道面に近い方が変形し易く、ショルダー部に近い方が変形し難い傾向にある。
また、溝幅が狭く、かつ溝深さが浅く形成されている溝に隣接している陸部と、溝幅が広く、かつ溝深さが深く形成されている溝に隣接している陸部とを比較した場合、前者の陸部の方が、後者の陸部よりも剛性が高く変形し難い。
傾斜溝に、溝底と傾斜陸部とで形成される隅部を埋めるように第1の突出部を形成することで、傾斜陸部の傾斜溝側の剛性を向上させることができ、傾斜陸部の倒れ込み変形を抑制することができる。また、第1の突出部を形成した側の傾斜陸部のエッジ効果を高めることもできる。
雪上走行時、周方向溝に入り込んだ雪が第2の突出部に引っ掛かるため、周方向溝に入り込んだ雪と周方向溝とのずれが抑えられ、雪上でのトラクション性能、及びブレーキ性能を向上することが出来る。
また、第2の突出部により、傾斜陸部の第2の突出部を設けた部分の補強を行うことができ。
なお、第2の突出部は、傾斜陸部を区画していない他の周方向溝に形成しても良い。
図1には、空気入りタイヤ10のトレッド12が示されている。なお、トレッド12の接地端12Eは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(日本自動車タイヤ協会規格、2009年度版)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのものである。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
傾斜陸部22の高さ寸法(第1周方向溝14、第2周方向溝16の溝底から計測。本実施形態では9.8mm)に対して、傾斜陸部22に形成する各サイプの深さ寸法は、40〜80%の範囲内が好ましく、本実施形態では7.1mmとしている。
また、傾斜陸部22に形成する各サイプは、傾斜陸部22が路面に接地した際に閉じる狭い溝幅であり、一例として0.3〜1.0mmの範囲内が好ましく、本実施形態では0.7mmに設定されている。
但し、第1の副溝34、及び第2の副溝36の何れも雪上走行時に溝内に雪を入り込ませる必要がある。
また、本実施形態の第1の副溝34、及び第2の副溝36は、タイヤ赤道面CL側の溝幅が最も広く、タイヤ赤道面CLとは反対側へむけて溝幅が漸減している。
第1の副溝34は、溝深さ寸法を傾斜陸部22の高さ寸法の10〜40%の範囲内、溝幅を1.0〜5.0mmに範囲内とすることが好ましい。一方、第2の副溝36は、溝深さ寸法を傾斜陸部22の高さ寸法の40〜80%の範囲内、溝幅を1.0〜5.0mmに範囲内とすることが好ましい。
なお、第2陸部50には、吸音空洞部52の第3周方向溝18側に、一端部が第3周方向溝18と連通され、吸音空洞部52とは非連通とされているサイプ56が形成されている。
また、アウト側ショルダー陸部70の第1周方向溝14側には、傾斜溝30に対応する位置に切欠部79が形成されている。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、トレッド12に、タイヤ周方向に沿って延びる第1周方向溝14、第2周方向溝16、及び第3周方向溝18の3本の周方向溝を配置していると共に、第1周方向溝14と第2周方向溝16とを連結するように、タイヤ幅方向に対して傾斜した傾斜溝30が形成されているため、基本的な排水性が確保されている。
この傾斜溝30は、第1周方向溝14に向けて溝幅が広くなるように形成されているので、第1周方向溝14へ向かっての排水性を高めることができる。
なお、本実施形態の段部40は断面形状が矩形であるが、段部40の断面形状は、三角形等、他の形状であっても良い。
なお、第1の副溝34、及び第2の副溝36の曲率半径及びタイヤ幅方向と成す仮想線の角度についても上記サイプと同様であり、規定を外れると雪上性能の向上が望めなくなる。
上記実施形態では、傾斜陸部22に接地時に閉じない溝として、第1の副溝34及び第2の副溝36の2本の溝を形成したが、接地時に閉じない溝は3本以上形成しても良い。傾斜陸部22に形成するサイプ、及び副溝の数は、雪上性能、操縦安定性(陸部剛性)のバランスを考慮して決定すれば良く、各々の本数は上記実施形態のものに限定されない。
上記実施形態では、傾斜陸部22に形成したサイプ、及び副溝の凸の向きが矢印A方向であったが、場合によっては凸の向きは矢印A方向と反対方向としても良い。
12 トレッド
14 第1周方向溝(周方向溝)
16 第2周方向溝(周方向溝)
18 第3周方向溝(周方向溝)
22 傾斜陸部
30 傾斜溝
40 段部(第1の突出部)
46 第1突部(第2の突出部)
58 第2突部(第2の突出部)
66 第3突部(第2の突出部)
Claims (9)
- トレッドに、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝と、周方向溝間に配置され、周方向溝間にタイヤ周方向に間隔を開けて形成されたタイヤ幅方向に対して同一方向に傾斜する複数本の傾斜溝で区画された傾斜陸部を備え、
少なくとも前記傾斜陸部の中央側には、タイヤ幅方向に延びかつタイヤ周方向の一方側に対して凸なるように湾曲し接地時に閉じる複数のサイプと、タイヤ幅方向に延びかつタイヤ周方向の一方側に前記サイプと同一方向に凸なるように湾曲し接地時に閉じない複数の副溝とが、交互に形成されている、空気入りタイヤ。 - 前記傾斜陸部がタイヤ赤道面を横断し、前記傾斜陸部のタイヤ幅方向中心がタイヤ赤道面よりも車両装着時の車両幅方向外側に位置している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜陸部の踏面を平面視した時の前記サイプの長手方向両端部を直線状に結ぶ仮想線は、タイヤ幅方向に対して45°以下に設定されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜陸部の踏面を平面視した時の前記サイプは、曲率半径が100mm以下の円弧状とされている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜陸部のタイヤ幅方向中央側に最も近く配置される前記副溝は、前記傾斜陸部のタイヤ幅方向中央から離れた位置に配置される前記副溝よりも、溝幅が狭く、かつ溝深さが深い、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜陸部のタイヤ幅方向最外側には前記サイプが形成されている、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜溝は、タイヤ赤道面に近い側がショルダー部に近い側よりも溝幅が狭く、かつ溝深さが浅く形成されている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記傾斜溝には、溝底と前記傾斜陸部とで形成される隅部を埋めるように第1の突出部が形成されている、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 少なくとも前記傾斜陸部を区画する前記周方向溝には、溝底と前記傾斜陸部とで形成される隅部を埋めるように第2の突出部が形成されている、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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