JP2012104711A - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】出発原料の製造条件の違いにかかわらず一定して高い保磁力を有する希土類磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料のHD処理前のNd間隔を測定する工程、そのNd間隔に応じてHD処理を行う温度を設定する工程、およびこの設定した温度で前記磁石材料のHD処理を行う工程、を含むNdを分散させた希土類磁石の製造方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、保磁力を向上し得る希土類磁石の製造方法に関し、さらに詳しくは予め設定した温度条件でHD(Hydrogenation-Disproportionation :水素化−不均化)処理を行う工程を含むことにより保磁力を向上し得る希土類磁石の製造方法に関する。
磁性材料としては大きく分けると硬磁性材料と軟磁性材料とがあり、両者の対比において硬磁性材料は高保磁力であることが求められ、軟磁性材料は保磁力が小さくても高い最大磁化が求められる。
この硬磁性材料に特徴的な保磁力は磁石の安定性に関係した特性であり、高保磁力であるほど高温での使用が可能となりまた磁石の寿命が長い。
硬磁性材料の磁石の1つとしてNd−Fe−B系の磁石が知られている。このNd−Fe−B系の磁石は良好な磁気特性を有することから焼結体又はボンド用に用いられ得る。また、このNd−Fe−B系の磁石は微細集合組織を含有させることによって高保磁力化が可能であることが知られている。そして、この微細集合組織を形成する方法として、HDDR(Hydrogenation-Disproportionation-Desorption-Recombination:水素化−不均化−脱水素化−再結合)処理(水素化、不均化、脱水素化および再結合を順次実行するプロセス)が提案されている。
例えば、特許文献1には、Ndを主成分とするNd−Fe−B系希土類焼結磁石をストリップキャスト法におって溶解急冷後に、600〜900℃においてHDDR処理を行う異方性希土類磁石粉末の製造方法が記載されている。しかし、HD処理前のNdの分散状態については記載されていない。
特開2008−235343号公報
この微細集合組織を含有するNd−Fe−B系の磁石は、出発原料の製造条件の違いにより磁石に含有される微細集合組織の状態が異なり、一定して高い保磁力を有する磁石を得ることは困難である。
このため、前記の公知技術によっても、一定して高い保磁力を有する希土類磁石を得ることは困難である。
従って、本発明の目的は、出発原料の製造条件の違いにかかわらず一定して高い保磁力を有する希土類磁石の製造方法を提供することである。
本発明は、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料のHD処理前のNd間隔を測定する工程、そのNd間隔に応じてHD処理を行う温度を設定する工程、およびこの設定した温度で前記磁石材料のHD処理を行う工程、を含むNdを分散させた希土類磁石の製造方法に関する。
本発明において、分散したNdとは、Nd−Fe−B系希土類磁石材料中に分散したNd粒又はNd塊を意味する。
また、本発明において、Ndを分散させたとは、希土類磁石中にNd粒又はNd塊を分散させたことを意味する。
さらに、本発明において、Nd間隔とは、前記希土類磁石材料又は希土類磁石について後述の実施例の欄で詳述する方法により測定したSEM写真におけるNdFe14B結晶の粒界に存在するNd粒又はNd塊で囲まれる領域の平均間隔のことを意味する。
本発明によれば、出発原料の製造条件の違いにかかわらず一定して高い保磁力を有する希土類磁石を容易に得ることができる。
図1Aは、本発明の実施態様におけるNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料の1例のHD処理前のNd分散状態を示すSEM写真の写しである。 図1Bは、本発明の実施態様における他のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理前のNd分散状態を示すSEM写真の写しである。 図1Cは、本発明の実施態様におけるさらに他のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理前のNd分散状態を示すSEM写真の写しである。 図2は、様々なNd−Fe−B系希土類磁石粉末のNd間隔又は結晶粒径と保磁力との関係を示すグラフである。 図3は、2種類のNd−Fe−B系希土類磁石粉末のNd分散状態を示す模式図である。 図4は、Nd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のNd間隔が、(A)11000nm、(B)9000nm、(C)450nm、および(D)100nmである場合のHD処理温度とHD処理して得られた磁石の保磁力との関係を示すグラフである。 図5は、本発明の実施態様のHD処理を行う好ましい温度範囲を示すグラフである。
図6は、従来技術によりHD処理を行う好ましい温度範囲を示すグラフである。 図7は、実施例で用いたNd間隔が9000nmであるNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理する前の組織の状態を示すSEM写真の写しである。 図8Aは、実施例で得られた850℃でNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。 図8Bは、実施例で得られた750℃でNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。 図8Cは、実施例で得られた900℃でNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。 図9Aは、図8Aに示す850℃でHD処理後のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料をDR処理した後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。 図9Bは、図8Bに示す750℃でHD処理後のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料をDR処理した後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。 図9Cは、図8Bに示す900℃でHD処理後のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料をDR処理した後の組織の状態を示すSEM写真(上の図が低倍率、下の図が高倍率)の写しである。
本発明によれば、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料のHD処理前のNd間隔を測定する工程、そのNd間隔に応じてHD処理を行う温度を設定する工程、およびこの設定した温度で前記磁石材料のHD処理を行う工程、を含むNdを分散させた希土類磁石の製造方法により、出発原料の製造条件の違いにかかわらず一定して高い保磁力を有する希土類磁石を得ることができる。
以下、本発明について、図1A〜6を参照して説明する。
本発明の実施態様に用いられる分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料は、製法の違いにより、図1Aに示すように、アーク溶解後1150℃で10時間均質化のための熱処理を施したものであってNdが粗大に存在しているもの、図1Bに示すように、スリップキャストしたもの、図1Cに示すように、従来法によりHDDR処理を1度行ったものであってNdが微細に存在するものなどであり得て、SEM写真に基づいてHD処理前の粒界Nd分散状態をNdで囲まれる領域の平均間隔として評価すると、Nd間隔が、それぞれ図1Aでは11μm、図1Bでは9μm、図1Cでは460nmμmである。
そして、HDDR処理されたさまざまなNd−Fe−B系希土類磁石粉末について、組織の大きさを結晶粒径と仮定して保磁力と結晶粒径との関係をみると、図2中の左下に示すように、保磁力と結晶粒径との間には相関が得られず(R=0.30)、結晶粒径を小さくしても高い保磁力を有する希土類磁石粉末が得られるとは限らないことが理解される。
これに対して、組織の大きさをNdで囲まれる領域の間隔と仮定して保磁力とNd間隔との関係をみると、図2に直線として示すように、良好な相関が得られた(R=0.94)。このことから、保磁力の向上には組織の大きさとして結晶粒径を考慮しても十分ではなく、粒界でのNdで囲まれる領域の間隔を小さくすることが不可欠であることが理解される。
本発明は、このNd−Fe−B系希土類磁石粉末の粒界に存在するNdで囲まれる領域の平均間隔であるNd間隔と保磁力との間に良好な相関があるとの本発明者等によって見出された新たな知見に基づくものである。
本発明の実施態様におけるNdで囲まれる領域の平均間隔であるNd間隔は、図3に示すように、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料の後述の実施例の欄に詳述するSEM写真におけるNdで囲まれる領域の間隔(長さ)の平均値を示し、10〜20点の平均値、特に10点の平均値として表示される。そして、SEM写真においては、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料は、模式的に示す図3の左図(低保磁力:過剰Ndに隔り)および右図(高保磁力:過剰Ndが粒界分布)に示すように、1つ1つの結晶粒、Nd有りの粒界および過剰NdとNd無しの粒界のいずれかを有するものとして示され得る。Ndで囲まれる領域は、1個の結晶粒径〜複数の結晶粒径の合計の範囲であり得て、1個の結晶粒径より小さくなり得ないことが理解される。
さまざまなNd間隔を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料についてのHD処理温度と磁石粉末の保磁力との関係を示す図4の(A)〜(D)から、Ndで囲まれる領域のNd間隔が狭いほど、つまりNdが微細に分散するほど高保磁力となるHD温度が低温化する傾向にあることが明らかである。
本発明の実施態様の希土類磁石の製造方法は、前記の知見に基づくものであり、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のHD処理前のNd間隔を測定する工程、そのNd間隔に応じてHD処理を行う温度を設定する工程、およびこの設定した温度で前記磁石粉末材料のHD処理を行う工程、を含むことにより、Ndを分散させて保磁力を高めた希土類磁石を得ることを可能とするものである。
本発明の実施態様により分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料にHD処理を行う際に、例えば以下の方法によりHD処理温度を設定し、HD処理を行う工程を含むことにより、高い保磁力を有する希土類磁石粉末を得ることができる。
すなわち、先ず分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のNd間隔を測定する。
次いで、通常のNd間隔は10〜100000nmの範囲、例えば100〜100000nmの範囲、特に200〜100000nmであることから、後述の実施例の欄に詳述する測定法により測定したNd間隔からHD処理温度を設定する。例えば、測定したNd間隔が仮に10000nmであったとすると、HD処理は通常600℃以上で1000℃未満の範囲の温度で行われるから、HD処理温度は比較的高い温度、例えば875℃に設定し、温度以外は公知のHD処理条件でHD処理、次いでDR処理を行う。
次いで、得られたHDDR処理した希土類磁石粉末材料について、後述の実施例の欄に詳述する測定法により保磁力およびNd間隔を測定する。
そして、例えば、測定した保磁力が高い場合、例えば12kOe以上、特に15kOe以上である場合は、目的とする希土類磁石粉末材料が得られたことになる。
あるいは、HD処理温度を875℃よりも低い温度、例えば800℃に設定し、温度以外は公知のHD処理条件でHD処理、次いでDR処理を行い、得られたHDDR処理した希土類磁石粉末材料について保磁力およびNd間隔を測定する。
そして、測定値の保磁力が低い場合、例えば12kOe未満である場合、測定値のNd間隔が例えば300nmであったとすると、HD処理温度は比較的低い温度、例えば780℃に設定し、温度以外は公知のHD処理条件でHD処理、次いでDR処理を行う。
次いで、得られたHDDR処理した希土類磁石粉末材料について、保磁力およびNd間隔を測定する。
そして、測定値の保磁力が高い場合、例えば12kOe以上、特に15kOe以上である場合は、目的とする希土類磁石粉末材料が得られたことになる。
なお、前記の再度の測定値の保磁力が低い場合は、同様の操作をもう1回行う。
このように、本発明によれば、従来不可能であった再現性良く高い保磁力、例えば12kOe以上、特に15kOe以上のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料を得ることができるのである。
そして、本発明の実施態様の製造方法においては、図5に示すように、Ndを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料がNdFe14Bである場合、HD処理を行う温度T(℃)は、次式:
T=26.8Ln(X)+630
[Ln:自然対数、X:Nd間隔(nm)]
で好適に示されることが理解される。
一方、HD処理に適した温度は、図4および5に示すように±50℃程度の幅を持っていることが理解される。
従って、本発明の実施態様において分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料について前記HD処理を行う温度T(℃)は、
T=26.8Ln(X)+630±C
[Ln:自然対数、X:Nd間隔(nm)、Cは0〜50の範囲の値である。]
である。
そして、前記の実施態様によれば、1回のNd間隔の測定、その値に基づいたHD処理温度の設定、温度以外は公知のHD処理条件でのHD処理、次いでDR処理によって高い保磁力、例えば12kOe以上、特に15kOe以上の保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末を再現性良く得ることができるのである。
これに対して、従来技術おいては、HD処理前の粒界Ndの分散状態を考慮していないため、図6に示すように、HD温度を高くし過ぎるかあるいは低くし過ぎる場合があり、高い保磁力を達成し得るのは偶然によるので、再現性に乏しい。
そして、従来技術によれば、分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料のNd間隔を測定するとの視点がないため、一旦、HDDR処理して得られたNd−Fe−B系希土類磁石粉末の保磁力が低く満足し得ない場合でも、これ以上の保磁力の向上は望めなかったのである。
本発明によって、高保磁力のNd−Fe−B系希土類磁石粉末を再現性良く得ることができる理論的解明はなされていないが、HD処理温度が高温になるほど、HD処理によるHD反応によって析出する分解Ndの水素化物が粗大化し、HDDR処理前の過剰Ndの分散状態(大きさ)に合わせる、つまりNdが細かく分散している場合はHD処理温度を低温化し、Ndが大きく偏っている場合はHD処理温度を高温化することにより、Ndの分散状態に応じて高保磁力となるHD温度が変化することによると考えられる。
本発明におけるNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料は、例えばNd−Fe−B−M組成(但し、MはTi、Zr、Cr、Mn、Nb、V、Mo、W、Ta、Si、Al、Ge、Ga、Cu、Ag又はAuであり、Ndは10at%より多く35at%以下、Nd:B(原子分率比)が1.5:1〜2.5:1の範囲、Mは0〜3at%、残部がFeである。)を有し得て、例えばNdを含有するNdFe14Bの結晶粒であり得る。
前記のNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料は、好適には粉末であり得る。
また、Nd−Fe−B系希土類磁石材料においては、合金調製時にNdを過剰に入れるため粒界のまわりにNdが分散している。
また、本発明におけるNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料としては、任意の製造方法によって得られるもの、例えばアーク溶解後に均質化のための熱処理を施したもの、スリップキャストしたもの、従来法によりHDDR処理をしたものなどが挙げられる。
本発明における前記のHD処理、次いで行われるDR処理は、設定温度以外は特に制限はなく公知の任意の処理条件が適用され得る。
例えば、前記のHD処理は、昇温時の雰囲気として真空中、水素、アルゴン、ヘリウムなどを単独又は混合ガスとして用い、600℃以上1000℃未満の温度、好適には700℃以上で1000℃未満の温度に昇温した後、水素ガスを導入し、通常15分以上、好適には30分以上で、8時間以下、例えば6時間以下の時間で実施し得る。
また、前記のDR処理は、前記のHD処理を行った後、600℃以上1000℃未満の温度、好適には700℃以上で1000℃未満の温度、真空又は不活性雰囲気下で水素分圧を与えて通常15分以上、好適には30分以上で、8時間以下、例えば6時間以下の時間で実施し得る。
本発明の方法によれば、保磁力が向上した、例えば後述の実施例の欄に詳述する測定法による保磁力が、例えば12kOe以上、特に15kOe以上である高保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末を再現性良く得ることができる。
得られた希土類磁石は、必要に応じて表面処理を行った後、ボンド磁石や熱間成形磁石の製造に用いることができる。
以上、本発明を本発明の実施態様に基づいて説明したが、本発明は前記実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に示す発明の範囲に適用し得る。
以下、本発明の実施例を示す。なお、以下に示す測定法は例示であって、他の同等の装置、条件を用いて測定し得る。
以下の各例において、磁石の磁気特性は振動試料型磁力計:Vibrating Sample Magnetometer Systemによって、装置としてLake Shorc社製のVSM測定装置を用いて測定した。
また、以下の各例において、Ndで囲まれる領域の間隔(長さ)であるNd間隔は、SEM写真におけるNd粒で囲まれる各領域について各々長軸と短軸の平均値を求め、10点の平均値を示す。
以下の各例において、希土類磁石粉末材料として分散したNd粒を含有するNdFe14B結晶を用いた。
以下の各例において、SEM写真は、以下の装置を用いて得たものである。
SEM装置:ZEISS社製(ULTRA55)
参考例1
公知のさまざまなNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料について、VSMにより保磁力を測定するとともにSEM写真を取得して、Nd間隔を測定した。
得られた結果をまとめて図2に示す。
参考例2
公知文献に記載のNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料について、保磁力と結晶粒径との関係をまとめて図2に示す
実施例1〜4
分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料として、アーク溶解後、1150℃で10時間均質化処理を施したものを用い、SEM写真からNd間隔を測定したところ、11000nmであった。
HD温度として、750℃(実施例1)、850℃(実施例2)、900℃(実施例3)又は950℃(実施例4)を設定し、各々の温度で4時間HD処理し、次いで750℃で1時間DR処理を行って、HDDR処理した。
得られた粉末状の希土類磁石について、VSMにより保磁力を測定した。
得られた結果をまとめて図4の(A)に示す。
図4の(A)から、Nd間隔から、HD温度として、850℃、900℃、950℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより、12kOe以上、特にHD温度として、約900℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより15kOe以上の保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末が得られた。
実施例5〜8
分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料として、ストリップキャストしたものを用いた。SEM写真からNd間隔を測定したところ、9000nmであった。
HD温度として、750℃(実施例5)、800℃(実施例6)、850℃(実施例7)又は900℃(実施例8)を設定し、各々の温度で4時間HD処理(900℃では2回)し、次いで750℃で1時間DR処理を行って、HDDR処理した。
得られた粉末状の希土類磁石について、VSMにより保磁力を測定した。
得られた結果をまとめて図4の(B)に示す。
図4の(B)から、Nd間隔からHD温度として、800℃、850℃、900℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより、12kOe以上、特にHD温度として、約850℃℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより15kOe以上の保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末が得られた。
また、900℃での2回のHD処理の結果から、再現性が良好であることが示された。
実施例9〜12
分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料として、従来法によりHDDRを一度行ったものを用いた。SEM写真からNd間隔を測定したところ、450nmであった。
HD温度として、750℃(実施例9)、800℃(実施例10)、850℃(実施例11)又は900℃(実施例12)を設定し、これらの温度で4時間HD処理し、次いで750℃で1時間DR処理を行って、HDDR処理した。
得られた粉末状の希土類磁石について、VSMにより保磁力を測定した。
得られた結果をまとめて図4の(C)に示す。
図4の(C)から、Nd間隔から、HD温度として、750℃、800℃、850℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより、13kOe以上、特にHD温度として、約800℃℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより15kOe以上の保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末が得られた。
実施例13〜16
分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料として、液体急冷で作製したものを用い、SEM写真からNd間隔を測定したところ、100nmであった。
HD温度として、700℃(実施例13)、750℃(実施例14)、800℃(実施例15)又は850℃(実施例16)を設定し、各々の温度で4時間HD処理し、次いで750℃で1時間DR処理を行って、HDDR処理した。
得られた粉末状の希土類磁石について、VSMにより保磁力を測定した。
得られた結果をまとめて図4の(D)に示す。
図4の(D)から、Nd間隔から、HD温度として、700℃、750℃、800℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより、13kOe以上、特にHD温度として、約750℃℃に設定してHD処理し、次いでDR処理することにより15kOe以上の保磁力を有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末が得られた。
また、前記の実施例5〜8で用いた、Ndを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料であるストリップキャストしたもの、実施例5(850℃設定)、実施例7(750℃設定)、および実施例8(900℃設定)で、HD処理後の磁石粉末およびさらにDR処理を行った得られた磁石粉末についてSEM写真(低倍率および高倍率)を得た。
得られた結果を、原料のストリップキャストしたNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石粉末材料について図7に、850℃でHD処理した磁石粉末について図8Aに、870℃でHD処理した磁石粉末について図8Bに、900℃でHD処理した磁石粉末について図8Cにそれぞれ示す。
図7から、NdFe14B(灰色)結晶の他に過剰に添加したNd粒又は塊(白色)が粒界に析出していることが確認される。
これは、SEM観察では反射電子像(組成像)を観ており、原子番号の小さいものが暗く、大きいものが明るくコントラストがつくことに基づく。つまり、Fe(原子番号26)とNd(原子番号60)から、NdFe14BとNdとでは、NdFe14BがFeとBとで薄まる分、Ndよりも暗く見えることによると理解される。
また、図8A〜8Cから、750℃では過剰に添加したNdとHD反応によって析出した分解Ndの水素化物が別々に、Ndの分布の大きな偏りとして現れていて、850℃では過剰に添加したNdとHD反応によって析出した分解Ndの水素化物が同程度の大きさで均一に分散していてNdの分布の偏りは小さく出ていて、900℃では過剰に添加したNdとHD反応によって析出した分解Ndの水素化物が結合して粗大化しNdの分布の偏りが大きいことが理解される。
また、図9A〜9Cから、DR処理後の組織はHD処理時にできたNdの偏りを引きずるため、Ndの偏りが小さい850℃でHR処理したものはDR処理後にNdが高分散して高保磁力となり、HD処理温度が最適温度よりも高いか、又は最適温度よりも低いとNdの偏りが大きくなる傾向にあり、DR処理後にもNdが偏って存在し、最適温度に設定した場合よりも低保磁力となる傾向がある。
従って、高保磁力となるHD設定温度は、HD処理後に、過剰に添加したNdと水素化分解して析出したNdの大きさ同程度で均一に分散し得る温度であることが最適であると考えられる。
実施例17
分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料として、ストリップキャストして得られた他のグレードのNdFe14B磁石粉末材料を用い、SEM写真からNd間隔を測定したところ、9500nmであった。
この値を前記の式:T=26.8Ln(X)+630に入れると、Ln9500=9.16であるから、T=26.8×9.15+630=245+630=875℃である。
この結果に基づいて、875℃で4時間HD処理し、次いで750℃で1時間DR処理を行って、HDDR処理した。
得られた粉末状の希土類磁石について、VSMにより保磁力を測定した。
保磁力が15kOe以上の結果であった。
本発明によって、高保磁力の希土類磁石を容易に再現性良く製造し得る。

Claims (8)

  1. 分散したNdを含有するNd−Fe−B系希土類磁石材料のHD処理前のNd間隔を測定する工程、そのNd間隔に応じてHD処理を行う温度を設定する工程、およびこの設定した温度で前記磁石材料のHD処理を行う工程、を含むNdを分散させた希土類磁石の製造方法。
  2. 前記Nd間隔が、NdFe14B結晶の粒界に存在するNd粒又はNd塊で囲まれる領域の平均間隔である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記HD処理を行う温度T(℃)が、
    T=26.8Ln(X)+630±C
    [Ln:自然対数、X:Nd間隔(nm)、Cは0〜50の範囲の値である。]
    である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記Nd間隔が、200〜15000nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記HD処理を行った後、600〜900℃の範囲の温度でDR処理を行う工程をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記希土類磁石材料が、粉末材料である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記希土類磁石材料が、Nd−Fe−B−M組成(但し、MはTi、Zr、Cr、Mn、Nb、V、Mo、W、Ta、Si、Al、Ge、Ga、Cu、Ag又はAuであり、Ndは10at%より多く35at%以下、Nd:B(原子分率比)が1.5:1〜2.5:1の範囲、Mは0〜3at%、残部がFeである。)である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記希土類磁石材料が、Ndを含有するNdFe14B結晶を含むものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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