JPH08273914A - 希土類磁石およびその製造方法 - Google Patents
希土類磁石およびその製造方法Info
- Publication number
- JPH08273914A JPH08273914A JP7076710A JP7671095A JPH08273914A JP H08273914 A JPH08273914 A JP H08273914A JP 7076710 A JP7076710 A JP 7076710A JP 7671095 A JP7671095 A JP 7671095A JP H08273914 A JPH08273914 A JP H08273914A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- atomic
- magnet
- phase
- alloy
- amount
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/047—Alloys characterised by their composition
- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/055—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
- H01F1/057—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
- H01F1/0571—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes
- H01F1/0575—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together
- H01F1/0576—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together pressed, e.g. hot working
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】機械的に優れ大型磁石の製造も可能であるとい
う長所を有する鋳造・熱間圧延法において、高い磁気特
性を得ることを目的としている。 【構成】R,Fe,B,Cu,Alを基本成分とし、適
正な組成域にありかつR−Fe−Cu−Al相を有する
ことを特徴とする永久磁石。また熱間圧延後950〜1
050℃,400〜650℃の温度範囲で2段熱処理を
行うことを特徴とする該磁石の製造方法。 【効果】本発明のような組成域の合金インゴットを熱間
圧延し、圧延後本発明の熱処理を行うことにより、割
れ,クラックの無い磁気特性の高い永久磁石を得ること
ができる。
う長所を有する鋳造・熱間圧延法において、高い磁気特
性を得ることを目的としている。 【構成】R,Fe,B,Cu,Alを基本成分とし、適
正な組成域にありかつR−Fe−Cu−Al相を有する
ことを特徴とする永久磁石。また熱間圧延後950〜1
050℃,400〜650℃の温度範囲で2段熱処理を
行うことを特徴とする該磁石の製造方法。 【効果】本発明のような組成域の合金インゴットを熱間
圧延し、圧延後本発明の熱処理を行うことにより、割
れ,クラックの無い磁気特性の高い永久磁石を得ること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋳造インゴットを熱間圧
延して得られる希土類−Fe−B−Cu−Al系磁石及
びその製造法に関する。
延して得られる希土類−Fe−B−Cu−Al系磁石及
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】R−Fe−B−Cu系(ただしRは希土
類元素を表す)熱間加工磁石については、特開平6-2240
16号公報において開示されているように、R(ただしR
はPr,Ndを主成分とする希土類元素),Fe,B,
Cuを原料基本成分とし、原子百分比でRxFeyBzC
u100-x-y-zと表されるとき、 x≧15 y−14z>0 z≧4 100−x−y−z<2 なる組成域を持つ熱間圧延磁石が開示されている。また
特開平6-302419号公報にR(ただしRはPr,Ndを主
成分とする希土類元素),Fe,B,Cu,Alを原料
基本成分とし、原子百分比でRxFeyBzCuwAl
100-x-y-z-wと表されるとき、 x−2z>0 y−14z>0 z≧4 0<w≦4 0<100−x−y−z−w≦4 なる組成域の熱間加工磁石が開示されている。特開平5-
315119号公報にはこれらの組成域にある合金において、
熱間加工後適当な熱処理条件で熱処理を行うことによ
り、磁石構成組織中に粒界相としてR6Fe13Cu相を
存在させることが可能となり、良好な磁気特性を得るこ
とが可能となることが開示されている。
類元素を表す)熱間加工磁石については、特開平6-2240
16号公報において開示されているように、R(ただしR
はPr,Ndを主成分とする希土類元素),Fe,B,
Cuを原料基本成分とし、原子百分比でRxFeyBzC
u100-x-y-zと表されるとき、 x≧15 y−14z>0 z≧4 100−x−y−z<2 なる組成域を持つ熱間圧延磁石が開示されている。また
特開平6-302419号公報にR(ただしRはPr,Ndを主
成分とする希土類元素),Fe,B,Cu,Alを原料
基本成分とし、原子百分比でRxFeyBzCuwAl
100-x-y-z-wと表されるとき、 x−2z>0 y−14z>0 z≧4 0<w≦4 0<100−x−y−z−w≦4 なる組成域の熱間加工磁石が開示されている。特開平5-
315119号公報にはこれらの組成域にある合金において、
熱間加工後適当な熱処理条件で熱処理を行うことによ
り、磁石構成組織中に粒界相としてR6Fe13Cu相を
存在させることが可能となり、良好な磁気特性を得るこ
とが可能となることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】R(ただしRはPr,
Ndを主成分とする希土類元素),Fe,B,Cu,A
lを原料基本成分とする希土類磁石については、上述の
ように熱間圧延法に限定するものと、熱間加工法が共に
示されている。
Ndを主成分とする希土類元素),Fe,B,Cu,A
lを原料基本成分とする希土類磁石については、上述の
ように熱間圧延法に限定するものと、熱間加工法が共に
示されている。
【0004】しかし特に焼結法を熱間加工法として用い
る場合には、文献:A.Arai et.al Journal of Applied
Physics vol.75 No.10 p6631に示されているように、焼
結磁石は一般的に機械的強度が低いという欠点を有して
おり、特に主相である2−14−1相の体積率を極力増
やして磁気特性を高くしている焼結磁石においては、低
強度の特徴が顕著となり、割れ欠けの発生が著しい。さ
らに焼結法という製法上の制約より、大型磁石の製造が
困難であるという欠点を有している。
る場合には、文献:A.Arai et.al Journal of Applied
Physics vol.75 No.10 p6631に示されているように、焼
結磁石は一般的に機械的強度が低いという欠点を有して
おり、特に主相である2−14−1相の体積率を極力増
やして磁気特性を高くしている焼結磁石においては、低
強度の特徴が顕著となり、割れ欠けの発生が著しい。さ
らに焼結法という製法上の制約より、大型磁石の製造が
困難であるという欠点を有している。
【0005】これに対して熱間圧延法により製造される
希土類磁石においては、先の文献に記されているよう
に、焼結磁石と比較して引張強度では約3倍の強度を確
保することができる。また特開平5-315118号公報の請求
項1および2に記載されているように、熱間圧延法は大
型磁石の製造に優れ、製造プロセスも大幅に簡略化でき
る。また熱間圧延法においては、焼結法のような粉末プ
ロセスを経ることなく磁石を製造することができるた
め、焼結法によって製造された磁石中に見られるような
空孔を実質的に含まず、磁石中の酸素濃度も低いため耐
食性に優れるという有利性を有している。
希土類磁石においては、先の文献に記されているよう
に、焼結磁石と比較して引張強度では約3倍の強度を確
保することができる。また特開平5-315118号公報の請求
項1および2に記載されているように、熱間圧延法は大
型磁石の製造に優れ、製造プロセスも大幅に簡略化でき
る。また熱間圧延法においては、焼結法のような粉末プ
ロセスを経ることなく磁石を製造することができるた
め、焼結法によって製造された磁石中に見られるような
空孔を実質的に含まず、磁石中の酸素濃度も低いため耐
食性に優れるという有利性を有している。
【0006】特開平6-224016号公報,特開平6-302419号
公報のように、R−Fe−B−Cu系,およびR−Fe
−B−Cu−Al系磁石においては、該公報中に示され
た組成域の合金インゴットを使用することにより、良好
な磁気特性を得ることができる。しかしながらそれら磁
石合金組成において、希土類量が多くなりすぎる場合に
は、主相量の低下によるエネルギ−積の劣化やRリッチ
相の増加による耐食性の低下などの問題が生じる。
公報のように、R−Fe−B−Cu系,およびR−Fe
−B−Cu−Al系磁石においては、該公報中に示され
た組成域の合金インゴットを使用することにより、良好
な磁気特性を得ることができる。しかしながらそれら磁
石合金組成において、希土類量が多くなりすぎる場合に
は、主相量の低下によるエネルギ−積の劣化やRリッチ
相の増加による耐食性の低下などの問題が生じる。
【0007】またB量については、特開平6-224016号公
報,特開平6-302419号公報に規定されている組成範囲内
(4原子%以上)においても、B量が少ない場合には粒
界相に軟磁性相であるR2Fe17相が出現することとな
り磁気特性の劣化を招く。
報,特開平6-302419号公報に規定されている組成範囲内
(4原子%以上)においても、B量が少ない場合には粒
界相に軟磁性相であるR2Fe17相が出現することとな
り磁気特性の劣化を招く。
【0008】Cu量については特開平6-224016号公報に
はCu<2原子%,特開平6-302419号公報には0<Cu
≦4原子%の組成域が示されているが、0<Cu<0.
5原子%では粒界相を形成するに十分なCu量でなく、
Cu>2.0原子%の組成域では主相量の低下によるエ
ネルギ−積の劣化が起こる。
はCu<2原子%,特開平6-302419号公報には0<Cu
≦4原子%の組成域が示されているが、0<Cu<0.
5原子%では粒界相を形成するに十分なCu量でなく、
Cu>2.0原子%の組成域では主相量の低下によるエ
ネルギ−積の劣化が起こる。
【0009】本発明は、このような従来の問題点を解決
し、機械的に優れ大型磁石の製造も可能であるという長
所を有する鋳造・熱間圧延法において、高い磁気特性を
得ることを第1の目的としている。また本発明はPrの
一部をDyで置換することにより、保磁力の増大を図る
ことを第2の目的とするものである。さらに本発明は熱
処理温度を最適化することにより、高特性磁石の製造方
法を提供することを第3の目的とするものである。
し、機械的に優れ大型磁石の製造も可能であるという長
所を有する鋳造・熱間圧延法において、高い磁気特性を
得ることを第1の目的としている。また本発明はPrの
一部をDyで置換することにより、保磁力の増大を図る
ことを第2の目的とするものである。さらに本発明は熱
処理温度を最適化することにより、高特性磁石の製造方
法を提供することを第3の目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Pr,Fe,B,Cu,Alを原料基本成分とし、合金
組成が原子百分比でPrxFeyBzCuwAl
100-x-y-z-wで表されるとき、 15.0≦x≦17.5原子% y−14z>0 z≧4.8原子% 0.5≦w≦2.0原子% となる組成域にあり、磁石組織中に構成相としてPr−
Fe−Cu−Al相を有することを特徴とする。
Pr,Fe,B,Cu,Alを原料基本成分とし、合金
組成が原子百分比でPrxFeyBzCuwAl
100-x-y-z-wで表されるとき、 15.0≦x≦17.5原子% y−14z>0 z≧4.8原子% 0.5≦w≦2.0原子% となる組成域にあり、磁石組織中に構成相としてPr−
Fe−Cu−Al相を有することを特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の合
金中のPrの一部をNdで置換し、磁石組織中に(P
r,Nd)−Fe−Cu−Al相を有することを特徴と
する。
金中のPrの一部をNdで置換し、磁石組織中に(P
r,Nd)−Fe−Cu−Al相を有することを特徴と
する。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1記載の合
金において、Pr量の4%以上,10%以下をDyによ
り置換し、磁石組織中に(Pr,Dy)−Fe−Cu−
Al相を有することを特徴とする。
金において、Pr量の4%以上,10%以下をDyによ
り置換し、磁石組織中に(Pr,Dy)−Fe−Cu−
Al相を有することを特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載
の希土類磁石の製造方法において、同請求項記載の組成
域にある合金インゴットを溶解・鋳造して作製し、該合
金インゴットを熱間圧延した後、950〜1050℃の
温度範囲で熱処理を行い、更に400〜650℃の温度
範囲で熱処理を行うことを特徴とする。
の希土類磁石の製造方法において、同請求項記載の組成
域にある合金インゴットを溶解・鋳造して作製し、該合
金インゴットを熱間圧延した後、950〜1050℃の
温度範囲で熱処理を行い、更に400〜650℃の温度
範囲で熱処理を行うことを特徴とする。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明において、組成域を限定し
た理由について述べる。主たる希土類元素としては、主
相である2−14−1相のポテンシャルよりPrおよび
Ndが好ましいが、本発明のごとく製造工程として鋳造
・熱間圧延を行う場合には、加工性を確保するためかつ
高保磁力を得るためにPrを主として使用することが好
ましい。請求項1の第1式において、希土類元素の最適
組成域として15原子%〜17.5原子%の範囲とする
ことがよいことを示した。これは15原子%未満の組成
域では、熱間圧延時に割れ発生が激しく発生し、製品歩
留りが著しく低下し製品コストアップの原因となる。ま
た17.5原子%より多い組成域においては主相率の減
少,角型性の劣化による磁気特性の低下が起こると共
に、R−Fe−Cu−Al相(ただしこの場合Rは本発
明中のPr,Nd,Dyを便宜上総括して表すものであ
る)を粒界相中に安定して生成させることが困難とな
る。
た理由について述べる。主たる希土類元素としては、主
相である2−14−1相のポテンシャルよりPrおよび
Ndが好ましいが、本発明のごとく製造工程として鋳造
・熱間圧延を行う場合には、加工性を確保するためかつ
高保磁力を得るためにPrを主として使用することが好
ましい。請求項1の第1式において、希土類元素の最適
組成域として15原子%〜17.5原子%の範囲とする
ことがよいことを示した。これは15原子%未満の組成
域では、熱間圧延時に割れ発生が激しく発生し、製品歩
留りが著しく低下し製品コストアップの原因となる。ま
た17.5原子%より多い組成域においては主相率の減
少,角型性の劣化による磁気特性の低下が起こると共
に、R−Fe−Cu−Al相(ただしこの場合Rは本発
明中のPr,Nd,Dyを便宜上総括して表すものであ
る)を粒界相中に安定して生成させることが困難とな
る。
【0015】B量について、4.8原子%未満の添加量
では磁石組織中に軟磁性相であるR2Fe17相の存在が
顕著となり保磁力および角型性の低下を招く。B量の上
限については、請求項1の第2式にその組成域を示し
た。すなわち以下の式により表される残Fe量によって
組成域が規定される。
では磁石組織中に軟磁性相であるR2Fe17相の存在が
顕著となり保磁力および角型性の低下を招く。B量の上
限については、請求項1の第2式にその組成域を示し
た。すなわち以下の式により表される残Fe量によって
組成域が規定される。
【0016】[残Fe量]=[合金中のFeの原子%
値]−14×[合金中のBの原子%] B量が多くなり、上記の式で表される残Fe量が負とな
るような組成域にある磁石においては、磁石組織中にR
−Fe−Cu−Al相が存在しなくなり低保磁力とな
る。その為残Fe量は必ず正である組成域にあることが
必要である。
値]−14×[合金中のBの原子%] B量が多くなり、上記の式で表される残Fe量が負とな
るような組成域にある磁石においては、磁石組織中にR
−Fe−Cu−Al相が存在しなくなり低保磁力とな
る。その為残Fe量は必ず正である組成域にあることが
必要である。
【0017】Cu量について請求項1の第4式に示し
た。Cu量は0<Cu<0.5原子%では粒界相を形成
するに十分なCu量でなく、Cu>2.0原子%の組成
域では主相量の低下によるエネルギ−積の劣化が起こ
る。よって本発明で示す通り、0.5≦Cu≦2.0原
子%の組成域がもっとも好ましい。
た。Cu量は0<Cu<0.5原子%では粒界相を形成
するに十分なCu量でなく、Cu>2.0原子%の組成
域では主相量の低下によるエネルギ−積の劣化が起こ
る。よって本発明で示す通り、0.5≦Cu≦2.0原
子%の組成域がもっとも好ましい。
【0018】AlはR−Fe−Cu−Al相を構成する
ために必須の元素である。Alの添加量については本発
明の請求項中には規定していないが、添加量が多くなる
と磁化の低下を招くため、0.5原子%以下とすること
が好ましい。また合金の原料としてAlを含むフェロボ
ロンを使用すると、フェロボロン中に含まれるAlが合
金元素として事実上添加されたことになる。このように
して作製された合金中のAl量は上述した0.5原子%
以下の好ましい範囲に入ることになる。
ために必須の元素である。Alの添加量については本発
明の請求項中には規定していないが、添加量が多くなる
と磁化の低下を招くため、0.5原子%以下とすること
が好ましい。また合金の原料としてAlを含むフェロボ
ロンを使用すると、フェロボロン中に含まれるAlが合
金元素として事実上添加されたことになる。このように
して作製された合金中のAl量は上述した0.5原子%
以下の好ましい範囲に入ることになる。
【0019】請求項1に記載の磁石組織中のR−Fe−
Cu−Al相とその効果については、前出の特開平6-30
2419号公報3頁45行〜4頁39行目までに記載されて
いる通りである。
Cu−Al相とその効果については、前出の特開平6-30
2419号公報3頁45行〜4頁39行目までに記載されて
いる通りである。
【0020】請求項3記載の発明においてDyの置換量
について規定した。高温における磁石の使用を考えた場
合、Dy置換による高保磁力化が有効な手段である。し
かしDyの置換量については、Pr量の10%より多い
場合、合金インゴットの鋳造組織において主相結晶粒の
粒径粗大が顕著となる。このため熱間圧延における主相
粒の配向が不十分となり、磁気特性は低下してしまう。
置換量をPr量の4%以下とした場合、十分な保磁力が
得られない。置換量をPr量の4%以上,10%以下と
した場合にiHc≧25kOeとなり、高温での使用に
優れた磁石を得ることができる。
について規定した。高温における磁石の使用を考えた場
合、Dy置換による高保磁力化が有効な手段である。し
かしDyの置換量については、Pr量の10%より多い
場合、合金インゴットの鋳造組織において主相結晶粒の
粒径粗大が顕著となる。このため熱間圧延における主相
粒の配向が不十分となり、磁気特性は低下してしまう。
置換量をPr量の4%以下とした場合、十分な保磁力が
得られない。置換量をPr量の4%以上,10%以下と
した場合にiHc≧25kOeとなり、高温での使用に
優れた磁石を得ることができる。
【0021】次に本発明の希土類磁石の製造方法につい
て言及する。まず所望の組成からなる合金インゴットを
溶解・鋳造し作製する。この合金インゴットを特開平6-
244012号公報3頁4欄28〜33行目などに示されてい
るように、800〜1100℃の温度範囲で熱間圧延を
行う。その後請求項4記載の950〜1050℃の温度
範囲で熱処理を行うことにより、主相粒内に存在するα
Feが拡散し消失し、高い磁気特性特に高Brが得られ
る。またこの熱処理により磁石組織中にR−Fe−Cu
−Al相が形成され、主相粒同士のセパレーションが促
進される。950℃以下ではαFeが十分拡散できな
い。また1050℃以上の温度範囲では主相結晶粒の粗
大化が顕著となり、磁気特性は低くなる。さらに上述熱
処理の後400〜650℃の温度範囲で熱処理を行うこ
とにより、保磁力が高くなり高エネルギ−積を得ること
ができる。
て言及する。まず所望の組成からなる合金インゴットを
溶解・鋳造し作製する。この合金インゴットを特開平6-
244012号公報3頁4欄28〜33行目などに示されてい
るように、800〜1100℃の温度範囲で熱間圧延を
行う。その後請求項4記載の950〜1050℃の温度
範囲で熱処理を行うことにより、主相粒内に存在するα
Feが拡散し消失し、高い磁気特性特に高Brが得られ
る。またこの熱処理により磁石組織中にR−Fe−Cu
−Al相が形成され、主相粒同士のセパレーションが促
進される。950℃以下ではαFeが十分拡散できな
い。また1050℃以上の温度範囲では主相結晶粒の粗
大化が顕著となり、磁気特性は低くなる。さらに上述熱
処理の後400〜650℃の温度範囲で熱処理を行うこ
とにより、保磁力が高くなり高エネルギ−積を得ること
ができる。
【0022】
〔実施例1〕図1は請求項1記載の第2式に関わる実施
例を示すものである。純度99.9%のPr,Fe,C
uと20wt%のBを含むフェロボロンを原料として、
所定の重量を秤量後高周波溶解炉にてAr雰囲気中で溶
解し、銅製金型中に鋳造して5kgのインゴットを得
た。各合金について成分分析を行った結果を表1に示
す。ただしAlは原料であるフェロボロン中に約2wt
%含まれていると共に、るつぼ(99%アルミナ製)か
らの混入もあるため、不可避的に合金中に含まれる。原
子%に変換した場合、Cuと同レベルであるため無視で
きず、表中に示した。また表中に残Fe量(Fe原子%
値からBの原子%値の14倍した数値を引いた数値)を
合わせて示した。
例を示すものである。純度99.9%のPr,Fe,C
uと20wt%のBを含むフェロボロンを原料として、
所定の重量を秤量後高周波溶解炉にてAr雰囲気中で溶
解し、銅製金型中に鋳造して5kgのインゴットを得
た。各合金について成分分析を行った結果を表1に示
す。ただしAlは原料であるフェロボロン中に約2wt
%含まれていると共に、るつぼ(99%アルミナ製)か
らの混入もあるため、不可避的に合金中に含まれる。原
子%に変換した場合、Cuと同レベルであるため無視で
きず、表中に示した。また表中に残Fe量(Fe原子%
値からBの原子%値の14倍した数値を引いた数値)を
合わせて示した。
【0023】
【表1】
【0024】このうち番号1,8の合金については、前
述した特開平6-302419号公報にて実施例として使用した
ものであるが、1の合金については残Feが負の値とな
るもの、8の合金は本発明にて規定される組成域にある
ものである。
述した特開平6-302419号公報にて実施例として使用した
ものであるが、1の合金については残Feが負の値とな
るもの、8の合金は本発明にて規定される組成域にある
ものである。
【0025】表1の各合金インゴットを所定の寸法に切
断後、SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて
熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセ
ル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて102
5℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行っ
た。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁
束計により磁気特性の測定を行った。得られた保磁力
(iHc)と表1中に示した残Fe量との関係を図1に
示す。図1より明らかなように、残Fe量が負の組成域
においては8kOe程度の保磁力しか得られないのに対
し、残Fe量が正となる組成域では15kOe以上の高
い保磁力が得られる。
断後、SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて
熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセ
ル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて102
5℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行っ
た。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁
束計により磁気特性の測定を行った。得られた保磁力
(iHc)と表1中に示した残Fe量との関係を図1に
示す。図1より明らかなように、残Fe量が負の組成域
においては8kOe程度の保磁力しか得られないのに対
し、残Fe量が正となる組成域では15kOe以上の高
い保磁力が得られる。
【0026】残Fe量が正の組成域にあり、高保磁力が
得られたサンプルの磁石組織の観察を行った結果、粒界
相中にPr,Fe,Cu,Alからなる相が確認され
た。残Fe量が負の組成域の磁石組織中にはこの相の存
在は確認されなかった。
得られたサンプルの磁石組織の観察を行った結果、粒界
相中にPr,Fe,Cu,Alからなる相が確認され
た。残Fe量が負の組成域の磁石組織中にはこの相の存
在は確認されなかった。
【0027】合金8により作製された磁石組織をEPM
Aにより分析を行った結果、このPr,Fe,Cu,A
lからなる相の定量分析値はPr:32.8原子%,F
e:58.3原子%,Cu:5.1原子%,Al:3.
1原子%であった。
Aにより分析を行った結果、このPr,Fe,Cu,A
lからなる相の定量分析値はPr:32.8原子%,F
e:58.3原子%,Cu:5.1原子%,Al:3.
1原子%であった。
【0028】〔実施例2〕図2,3は請求項1記載の第
1式に関わる実施例を示すものである。PraFe
93.9-aB5.2Cu0.6Al0.3(13.0≦a≦18.
5)なる組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5
kgの合金インゴットを得た。この合金インゴットを所
定の寸法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、
975℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷
却の後カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気
中にて1025℃×20時間+500℃×2時間の2段
熱処理を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出
し、直流自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得
られた保磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値と
Pr量(a)との関係を図2に示す。図2よりPr量が
17.5原子%より大きい組成域では、Hkが低下し角
型性が劣化し、(BH)maxも劣化する。さらに圧延
磁石中に発生する割れを調査するため、同様な組成から
なる50mm×100mm×200mmの圧延磁石ブロ
ックから4mm×10mm×20mmの板状磁石を複数
個取出し、取出した板状磁石中の割れ,クラックの発生
率について目視調査した。板状磁石全数に対する割れ,
クラック発生率とPr量との関係を図3に示す。図3よ
り明らかなように、Pr量が15原子%未満の場合には
割れ,クラック発生率が大きく増大する。
1式に関わる実施例を示すものである。PraFe
93.9-aB5.2Cu0.6Al0.3(13.0≦a≦18.
5)なる組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5
kgの合金インゴットを得た。この合金インゴットを所
定の寸法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、
975℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷
却の後カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気
中にて1025℃×20時間+500℃×2時間の2段
熱処理を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出
し、直流自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得
られた保磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値と
Pr量(a)との関係を図2に示す。図2よりPr量が
17.5原子%より大きい組成域では、Hkが低下し角
型性が劣化し、(BH)maxも劣化する。さらに圧延
磁石中に発生する割れを調査するため、同様な組成から
なる50mm×100mm×200mmの圧延磁石ブロ
ックから4mm×10mm×20mmの板状磁石を複数
個取出し、取出した板状磁石中の割れ,クラックの発生
率について目視調査した。板状磁石全数に対する割れ,
クラック発生率とPr量との関係を図3に示す。図3よ
り明らかなように、Pr量が15原子%未満の場合には
割れ,クラック発生率が大きく増大する。
【0029】以上より機械的強度を損ねることなく高い
磁気特性を得るためには、Pr量を15原子%から1
7.5原子%までとすることが好ましい。
磁気特性を得るためには、Pr量を15原子%から1
7.5原子%までとすることが好ましい。
【0030】〔実施例3〕図4は請求項1記載の第3式
に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe82.1-b
BbCu0.6Al0.3(4.0≦b≦5.8)なる組成の
合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの合金イン
ゴットを得た。この合金インゴットを所定の寸法に切断
後、SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて熱
間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセル
中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて1025
℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行っ
た。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁
束計により磁気特性の測定を行った。得られた保磁力
(iHc)とHk,(BH)maxの値とB量(b)と
の関係を図4に示す。図4よりB量が4.8原子%未満
の場合、Hkが低下し角型性の劣化を招き、(BH)m
axも低下する。よって本発明で示しているように、B
量は4.8原子%以上でかつ残Fe量が正となる組成域
で高い磁気特性が得られる。
に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe82.1-b
BbCu0.6Al0.3(4.0≦b≦5.8)なる組成の
合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの合金イン
ゴットを得た。この合金インゴットを所定の寸法に切断
後、SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて熱
間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセル
中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて1025
℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行っ
た。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁
束計により磁気特性の測定を行った。得られた保磁力
(iHc)とHk,(BH)maxの値とB量(b)と
の関係を図4に示す。図4よりB量が4.8原子%未満
の場合、Hkが低下し角型性の劣化を招き、(BH)m
axも低下する。よって本発明で示しているように、B
量は4.8原子%以上でかつ残Fe量が正となる組成域
で高い磁気特性が得られる。
【0031】〔実施例4〕図5は請求項1記載の第4式
に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe77.5-c
B5.2CucAl0.3(0≦c≦3.0)なる組成の合金
を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの合金インゴッ
トを得た。この合金インゴットを所定の寸法に切断後、
SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて熱間圧
延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセル中よ
り磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて1025℃×
20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行った。熱
処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁束計に
より磁気特性の測定を行った。得られた保磁力(iH
c)とHk,(BH)maxの値とCu量(c)との関
係を図5に示す。図5よりCu量の添加は0.5≦Cu
≦2.0原子%の組成域で最も高い磁気特性を示す。
に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe77.5-c
B5.2CucAl0.3(0≦c≦3.0)なる組成の合金
を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの合金インゴッ
トを得た。この合金インゴットを所定の寸法に切断後、
SS41製のカプセル中に封入し、975℃にて熱間圧
延を総加工度75%した。圧延後冷却の後カプセル中よ
り磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて1025℃×
20時間+500℃×2時間の2段熱処理を行った。熱
処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流自記磁束計に
より磁気特性の測定を行った。得られた保磁力(iH
c)とHk,(BH)maxの値とCu量(c)との関
係を図5に示す。図5よりCu量の添加は0.5≦Cu
≦2.0原子%の組成域で最も高い磁気特性を示す。
【0032】〔実施例5〕図6は請求項2記載の発明に
関わる実施例を示すものである。(Pr0.8Nd0 .2)
17.0Fe82.1-dBdCu0.6Al0.3(4.0≦d≦5.
8)なる組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5
kgの合金インゴットを得た。この合金インゴットを所
定の寸法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、
975℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷
却の後カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気
中にて1025℃×20時間+500℃×2時間の2段
熱処理を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出
し、直流自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得
られた保磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値と
B量(d)との関係を図6に示す。希土類元素としてP
rのみを使用した場合と同様にNdでPrの一部を置換
した磁石についても、本発明で規定される組成域におい
て高い磁気特性が得られる。
関わる実施例を示すものである。(Pr0.8Nd0 .2)
17.0Fe82.1-dBdCu0.6Al0.3(4.0≦d≦5.
8)なる組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5
kgの合金インゴットを得た。この合金インゴットを所
定の寸法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、
975℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷
却の後カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気
中にて1025℃×20時間+500℃×2時間の2段
熱処理を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出
し、直流自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得
られた保磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値と
B量(d)との関係を図6に示す。希土類元素としてP
rのみを使用した場合と同様にNdでPrの一部を置換
した磁石についても、本発明で規定される組成域におい
て高い磁気特性が得られる。
【0033】〔実施例6〕図7は請求項3記載の発明に
関わる実施例を示すものである。(Pr1-xDyx)17.0
Fe76.9B5.2Cu0.6Al0.3(0≦x≦0.15)な
る組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの
合金インゴットを得た。この合金インゴットを所定の寸
法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、975
℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後
カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて
1025℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理
を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流
自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得られた保
磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値とDy置換
比(x)との関係を図7に示す。図7より明らかなよう
にDyの置換は保磁力の向上に効果がある。しかしPr
量の10%を越えて置換を行った場合、鋳造組織の粗大
化が顕著となり、主相粒子の配向度,角型性の低下が起
こり(BH)max,Hkが低下する。またPr量の4
%以下の置換量では保磁力の向上は殆ど見られない。D
yの置換量はPr量の4%以上,10%以下でiHc≧
25kOeの保磁力が得られる。
関わる実施例を示すものである。(Pr1-xDyx)17.0
Fe76.9B5.2Cu0.6Al0.3(0≦x≦0.15)な
る組成の合金を高周波溶解炉にて溶解・鋳造し5kgの
合金インゴットを得た。この合金インゴットを所定の寸
法に切断後、SS41製のカプセル中に封入し、975
℃にて熱間圧延を総加工度75%した。圧延後冷却の後
カプセル中より磁石圧延材を取出し、Ar雰囲気中にて
1025℃×20時間+500℃×2時間の2段熱処理
を行った。熱処理の後磁気特性サンプルを切出し、直流
自記磁束計により磁気特性の測定を行った。得られた保
磁力(iHc)とHk,(BH)maxの値とDy置換
比(x)との関係を図7に示す。図7より明らかなよう
にDyの置換は保磁力の向上に効果がある。しかしPr
量の10%を越えて置換を行った場合、鋳造組織の粗大
化が顕著となり、主相粒子の配向度,角型性の低下が起
こり(BH)max,Hkが低下する。またPr量の4
%以下の置換量では保磁力の向上は殆ど見られない。D
yの置換量はPr量の4%以上,10%以下でiHc≧
25kOeの保磁力が得られる。
【0034】〔実施例7〕図8は請求項4記載の高温熱
処理に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe
76.9B5.2Cu0.6Al0.3なる組成の合金を高周波溶解
炉にて溶解・鋳造し5kgの合金インゴットを得た。こ
の合金インゴットを所定の寸法に切断後、SS41製の
カプセル中に封入し、975℃にて熱間圧延を総加工度
75%した。圧延後冷却の後カプセル中より磁石圧延材
を取出し、磁気特性サンプルを数個切り出し、その内1
ケを直流自記磁束径計にて磁気特性を測定した。さらに
磁気特性サンプルについてAr雰囲気にて900〜11
00℃の各温度で20時間の熱処理を行い、2段目熱処
理として500℃で6時間熱処理を行った後、前述同様
に磁気特性を測定した。得られた保磁力(iHc)とH
k,(BH)maxの値と熱処理温度との関係を図8に
示す。図8から明らかなように、圧延後950〜105
0℃の範囲で熱処理を行うことにより、高い磁気特性を
得ることができる。
処理に関わる実施例を示すものである。Pr17.0Fe
76.9B5.2Cu0.6Al0.3なる組成の合金を高周波溶解
炉にて溶解・鋳造し5kgの合金インゴットを得た。こ
の合金インゴットを所定の寸法に切断後、SS41製の
カプセル中に封入し、975℃にて熱間圧延を総加工度
75%した。圧延後冷却の後カプセル中より磁石圧延材
を取出し、磁気特性サンプルを数個切り出し、その内1
ケを直流自記磁束径計にて磁気特性を測定した。さらに
磁気特性サンプルについてAr雰囲気にて900〜11
00℃の各温度で20時間の熱処理を行い、2段目熱処
理として500℃で6時間熱処理を行った後、前述同様
に磁気特性を測定した。得られた保磁力(iHc)とH
k,(BH)maxの値と熱処理温度との関係を図8に
示す。図8から明らかなように、圧延後950〜105
0℃の範囲で熱処理を行うことにより、高い磁気特性を
得ることができる。
【0035】〔実施例8〕図9は請求項4記載の低温熱
処理に関わる実施例を示すものである。実施例7と同一
の圧延磁石について、1025℃で20時間熱処理を行
った後、さらに300〜700℃の各温度で6時間熱処
理を行った。得られた保磁力(iHc)と2段目の熱処
理温度の関係を図9に示す。図9より明らかなように、
高温熱処理に加えて400〜650℃の温度範囲で熱処
理を行うことにより、保磁力を向上させることが可能と
なり、さらに高い磁気特性を得ることができる。
処理に関わる実施例を示すものである。実施例7と同一
の圧延磁石について、1025℃で20時間熱処理を行
った後、さらに300〜700℃の各温度で6時間熱処
理を行った。得られた保磁力(iHc)と2段目の熱処
理温度の関係を図9に示す。図9より明らかなように、
高温熱処理に加えて400〜650℃の温度範囲で熱処
理を行うことにより、保磁力を向上させることが可能と
なり、さらに高い磁気特性を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、R−Fe
−B系磁石において、各合金元素の組成を規定し、また
粒界相としてR−Fe−Cu−Al相を存在させること
により、従来よりも高い磁気特性を得ることができる。
−B系磁石において、各合金元素の組成を規定し、また
粒界相としてR−Fe−Cu−Al相を存在させること
により、従来よりも高い磁気特性を得ることができる。
【0037】請求項2,3記載の発明によれば、希土類
元素Prの一部をNd,Dyで置き換えることが可能で
あるため、広い範囲での組成選択が可能となり、Dyの
場合はより高い保磁力を得て高温での使用に適する磁石
を得ることができる。
元素Prの一部をNd,Dyで置き換えることが可能で
あるため、広い範囲での組成選択が可能となり、Dyの
場合はより高い保磁力を得て高温での使用に適する磁石
を得ることができる。
【0038】請求項4記載の発明によれば、焼結磁石よ
りも機械的強度に優れ大型磁石の製造が可能であるとい
う長所を有する鋳造・熱間圧延法おいて、圧延後の熱処
理を最適化することによって、安定した磁気特性を確保
することができる。
りも機械的強度に優れ大型磁石の製造が可能であるとい
う長所を有する鋳造・熱間圧延法おいて、圧延後の熱処
理を最適化することによって、安定した磁気特性を確保
することができる。
【図1】残Fe量と保磁力(iHc)の相関図。
【図2】Pr量と磁気特性の相関図。
【図3】Pr量と割れ,クラック発生率の相関図。
【図4】B量と磁気特性の相関図。
【図5】Cu量と磁気特性の相関図。
【図6】Nd置換を行った場合のB量と磁気特性の相関
図。
図。
【図7】Dy置換を行った場合のDy置換比と磁気特性
の相関図。
の相関図。
【図8】高温熱処理温度と磁気特性の相関図。
【図9】低温熱処理温度と磁気特性の相関図。
Claims (4)
- 【請求項1】Pr,Fe,B,Cu,Alを原料基本成
分とし、合金組成が原子百分比でPrxFeyBzCuwA
l100-x-y-z-wで表されるとき、 15.0≦x≦17.5原子% y−14z>0 z≧4.8原子% 0.5≦w≦2.0原子% となる組成域にあり、磁石組織中に構成相としてPr−
Fe−Cu−Al相を有することを特徴とする希土類磁
石。 - 【請求項2】請求項1記載の合金中のPrの一部をNd
で置換し、磁石組織中に(Pr,Nd)−Fe−Cu−
Al相を有することを特徴とする希土類磁石。 - 【請求項3】請求項1記載の合金中において、Pr量の
4%以上,10%以下をDyにより置換し、磁石組織中
に(Pr,Dy)−Fe−Cu−Al相を有することを
特徴とする希土類磁石。 - 【請求項4】請求項1〜3記載の希土類磁石の製造方法
において、同請求項記載の組成域にある合金インゴット
を溶解・鋳造して作製し、該合金インゴットを熱間圧延
した後、950〜1050℃の温度範囲で熱処理を行
い、更に400〜650℃の温度範囲で熱処理を行うこ
とを特徴とする希土類磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7076710A JPH08273914A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 希土類磁石およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7076710A JPH08273914A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 希土類磁石およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08273914A true JPH08273914A (ja) | 1996-10-18 |
Family
ID=13613103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7076710A Pending JPH08273914A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 希土類磁石およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08273914A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011042837A (ja) * | 2009-08-21 | 2011-03-03 | Daido Steel Co Ltd | 磁気異方性磁石素材及びその製造方法 |
JP2012199270A (ja) * | 2011-03-18 | 2012-10-18 | Tdk Corp | R−t−b系希土類焼結磁石 |
CN104143402A (zh) * | 2009-01-07 | 2014-11-12 | 大同特殊钢株式会社 | 磁各向异性磁体原材料 |
US9324485B2 (en) | 2008-02-29 | 2016-04-26 | Daido Steel Co., Ltd. | Material for anisotropic magnet and method of manufacturing the same |
CN110957093A (zh) * | 2019-12-19 | 2020-04-03 | 厦门钨业股份有限公司 | R-t-b系磁体材料、原料组合物及制备方法和应用 |
JP2022542187A (ja) * | 2019-11-21 | 2022-09-29 | フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド | ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用 |
-
1995
- 1995-03-31 JP JP7076710A patent/JPH08273914A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9324485B2 (en) | 2008-02-29 | 2016-04-26 | Daido Steel Co., Ltd. | Material for anisotropic magnet and method of manufacturing the same |
CN104143402A (zh) * | 2009-01-07 | 2014-11-12 | 大同特殊钢株式会社 | 磁各向异性磁体原材料 |
CN104143402B (zh) * | 2009-01-07 | 2017-05-24 | 大同特殊钢株式会社 | 磁各向异性磁体原材料 |
JP2011042837A (ja) * | 2009-08-21 | 2011-03-03 | Daido Steel Co Ltd | 磁気異方性磁石素材及びその製造方法 |
JP2012199270A (ja) * | 2011-03-18 | 2012-10-18 | Tdk Corp | R−t−b系希土類焼結磁石 |
JP2022542187A (ja) * | 2019-11-21 | 2022-09-29 | フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド | ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用 |
CN110957093A (zh) * | 2019-12-19 | 2020-04-03 | 厦门钨业股份有限公司 | R-t-b系磁体材料、原料组合物及制备方法和应用 |
CN110957093B (zh) * | 2019-12-19 | 2021-06-11 | 厦门钨业股份有限公司 | R-t-b系磁体材料、原料组合物及制备方法和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102394072B1 (ko) | R―Fe―B계 소결 자석 및 그의 제조 방법 | |
JP6489052B2 (ja) | R−Fe−B系焼結磁石及びその製造方法 | |
CN106710766B (zh) | R-(Fe,Co)-B烧结磁体及制造方法 | |
US7090730B2 (en) | R-Fe-B sintered magnet | |
JP6693392B2 (ja) | R−(Fe,Co)−B系焼結磁石及びその製造方法 | |
US8361242B2 (en) | Powders for rare earth magnets, rare earth magnets and methods for manufacturing the same | |
JPWO2005123974A1 (ja) | R−Fe−B系希土類永久磁石材料 | |
JP6142792B2 (ja) | 希土類磁石 | |
JPWO2004081954A1 (ja) | R−t−b系焼結磁石およびその製造方法 | |
JP7470805B2 (ja) | ネオジム鉄ホウ素磁石材料 | |
US8182618B2 (en) | Rare earth sintered magnet and method for producing same | |
JP2022037085A (ja) | R-Fe-B系焼結磁石 | |
JP2003510467A (ja) | 硼素分の少ないNd−Fe−B合金と該合金からなる永久磁石の製造方法 | |
JP6142793B2 (ja) | 希土類磁石 | |
JP3947066B2 (ja) | 磁性合金材料 | |
JP2024023206A (ja) | 異方性希土類焼結磁石及びその製造方法 | |
EP0362805B1 (en) | Permanent magnet and method for producing the same | |
JPH08273914A (ja) | 希土類磁石およびその製造方法 | |
JPH08264308A (ja) | 希土類磁石およびその製造方法 | |
JPH06302419A (ja) | 希土類永久磁石およびその製造方法 | |
JP2006093501A (ja) | 希土類焼結磁石及びその製造方法 | |
JPH04268050A (ja) | 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金 | |
JPH09129424A (ja) | 永久磁石用磁性粉末、永久磁石およびその製造方法 | |
JP2753431B2 (ja) | 焼結永久磁石 | |
JP2581179B2 (ja) | 耐食性に優れた希土類−B−Fe系焼結磁石の製造法 |