JPH04268050A - 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金 - Google Patents

不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

Info

Publication number
JPH04268050A
JPH04268050A JP3048730A JP4873091A JPH04268050A JP H04268050 A JPH04268050 A JP H04268050A JP 3048730 A JP3048730 A JP 3048730A JP 4873091 A JP4873091 A JP 4873091A JP H04268050 A JPH04268050 A JP H04268050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
irreversible demagnetization
magnetic
grain boundary
magnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3048730A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2739525B2 (ja
Inventor
Toshio Ueda
俊雄 上田
Seiichi Kuno
誠一 久野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Holdings Co Ltd
Original Assignee
Dowa Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Mining Co Ltd filed Critical Dowa Mining Co Ltd
Priority to JP3048730A priority Critical patent/JP2739525B2/ja
Publication of JPH04268050A publication Critical patent/JPH04268050A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2739525B2 publication Critical patent/JP2739525B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/058Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IVa elements, e.g. Gd2Fe14C

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,不可逆減磁の小さい熱
安定性の優れたR(希土類元素)−Fe−B−C系の永
久磁石合金に関する。 【0002】 【従来の技術】近年, Sm−Co系磁石の磁力を凌ぐ
次世代の永久磁石としてR−Fe−B系磁石が佐川等に
よって発表されて以来, 当該磁石について多くの報告
がなされてきた。しかしながら,該磁石はSm−Co系
磁石に比べて磁力は優れるものの, その磁気特性の熱
安定性及び耐酸化性が著しく劣るという欠点を有する。 特に耐酸化性に係わる欠点は,重要な改善課題であり,
 上述報告の多くはその改善方法を開示している。 【0003】他方,従来のR−Fe−B又はR−Fe−
Co−B系磁石は環境温度が上昇すると残留磁束密度 
(Br)および保磁力(iHc)がSm−Co系磁石に
比較して著しく低下するという性質がある。すなわち熱
安定性に劣るという欠点がある。このような状況下, 
環境温度の変化に対して磁気特性の安定化を図る手段と
しては,一般に残留磁束密度の温度依存係数を小さくす
ること及び室温における保磁力を十分に高くすることが
提案されている。前者の改善法としては,磁石のキュー
リー温度を高める方法が一般的であり, 例えば特開昭
59−64733号公報では,Feの一部をCoで置換
することによりキューリー温度を高め, 残留磁束密度
の温度依存係数を小さくすることを提案している。他方
, 環境温度の上昇に伴って, 保磁力が急激に低下す
ることは既に述べたところだが, この保磁力の低下が
もたらす重大な欠点は, 大きな不可逆減磁を招くとい
うことである。 【0004】不可逆減磁とは,高温時低下したBrが室
温に戻した時に元に回復しない現象であり,一般に磁石
形状の薄型化に伴ってその劣化が顕著になる。この不可
逆減磁の劣化は, たとえFeの一部をCoで置換して
残留磁束密度の温度依存係数を小さくしても, 抜本的
な改善には至らない。このため,実使用に際しては環境
温度及び形状が厳しく制限され, 例えば自動車関係,
 高速機器等の過酷な用途への適用は困難となる。この
不可逆減磁の改善法としては専ら室温におけるiHcを
高める方法に頼っているのが実状である。つまり,高温
時のiHcの低下を見込んで,室温でのiHcを十分に
高くすることによって不可逆減磁を小さくする方法であ
るが, 例えば特開昭59−89401号公報は,Ti
,Ni,Bi,V,Nb,Cr,Mo等を添加すること
により, 室温におけるiHcを高め, 不可逆減磁率
を小さくすることを教示し,又,特開昭60−3230
6号公報は,希土類元素成分として,軽希土類元素に加
え, Dy,Tb,Ho,Gd,Er,Tm,Ybの重
希土類元素の添加を特定し,これによりiHcを高め,
 不可逆減磁率を改善することを教示している。 【0005】しかし,このようにしてiHcを十分高め
れば確かに不可逆減磁は改善されるものの, 従来法で
は例えば160℃の高温にもなると, たとえ室温時の
iHcが15〜20kOeと十分高くても急激に劣化す
ると言う問題点が残る。この場合, 更にiHcを高く
することになる。一方,このようにiHcが高くなると
,着磁の問題が新たに発生する。即ち, 磁石の磁力を
最大に引き出すためにはその磁力が飽和するまで十分大
きな磁界で着磁する必要があり,着磁率が低いと磁気特
性の不安定を招くが,通常,該着磁界の大きさとしては
磁石が有するiHcの3〜4倍の磁界が必要とされるこ
とから,従来法のように極端なiHcの増加は,着・脱
磁の操作を困難にし,又, 設備の大型化を招くことに
なる。したがって,従来においては上記高温時の不可逆
減磁の劣化と共にこれらの問題を避けることはできなか
った。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このように, 従来の
R−Fe−B系磁石では,高い環境温度での不可逆減磁
に対して, 十分な改善効果を得るに至っておらず,S
m−Co系に比べて優れた磁力を有するにも拘らず, 
特に高温時の熱安定性及び実用レベルでの高iHc化に
伴う着磁の問題が, 依然として存在し,上記メリット
が大きく損なわれているのが実状である。 【0007】一般に, R−Fe−B (またはR−F
e−Co−B) 系磁石は, R2Fe14B〔または
R2(Fe,Co)14B〕型の正方晶と,RFe4B
4〔R(Fe,Co)4B4〕型のBリッチ相, Rリ
ッチ相及びB2O3相を含む非磁性相とから構成され 
(尚, R−Fe−Co−B系磁石ではR(Fe,Co
)2で代表されるラーベス相も存在するとされている)
,その保磁力発生の原理は,逆磁区核発生機構によると
されている。つまり, この逆磁区の存在が保磁力を決
定し,その成長に伴いiHcが低下することから,核発
生型磁石の保磁力は構造敏感型となり正方晶と粒界相,
 Rリッチ相, Bリッチ相及びその他不純物相に支配
されることになる。 【0008】ところで,該逆磁区核の芽, 即ち逆磁区
核は正方晶及び粒界相の欠陥, 軟質な磁性相, その
他不純物相において発生し,これらの欠陥, 異物の存
在により容易に成長する。このように, 磁石の組織が
不均質であったり不純物及び種々の欠陥を含むと, i
Hcは容易に低下し,これに伴い実用レベルで重要とな
る残留磁気の不可逆減磁は大きくなる。 【0009】以上のことから,不可逆減磁率を小さくす
る基本的な対策としては,磁石組織の観点から次のこと
が言える。(1) 正方晶の均質化,(2) 粒界相の
均質・均一化, (3) 軟質な磁性相の除去, (4
) その他不純物相の除去,である。これらの改善がな
された後に,iHcを適正化することにより抜本的な不
可逆減磁の改善に至ると考えられる。 【0010】なお,従来の不可逆減磁の改善法として例
えば前出の特開昭59−89401号公報及び特開昭6
0−32306号公報は,室温におけるiHcを十分高
めることにより改善する方法を開示していることを既に
述べたが,これらの方法では磁石の組織に対しては何ら
改善がなされておらず, 単に添加物により異方性磁界
を大きくすることによって, 室温におけるiHcを極
めて高くし,その結果, 不可逆減磁を改善するという
, 高温時のiHcの低下を犠牲にした消極的な改善方
法である。このため,より高温時の改善効果は少なく,
 又着磁等の問題が残ることは,既に既述した。 【0011】一方, 永久磁石合金の組成を均質にし,
 iHcを向上させる方法も数多く報告されており, 
一般には磁石合金を熱処理することが提案されている。 例えば特開昭59−217304号公報では,焼結後3
50℃以上の温度で熱処理することにより, iHcが
改善されることを教示している。該法によれば, 熱処
理することにより磁石組成の均質化は改善されるものの
, 依然としてBリッチ相やB2O3相等の不純物相が
存在していることから, 組織の構造上は何ら変化がな
く逆磁区核の発生点及びその成長に対しては,抜本的に
解決されていない。このため該法によりiHcを高めて
も高温時の不可逆減磁の改善効果は小さいと判断される
。 【0012】このように従来技術による不可逆減磁の改
善は磁石合金組織の構造に何ら対策手段を講じていない
のが実状である。 【0013】また,不純物を除去することにより逆磁区
核の発生及びその成長を抑制する方法としては, 例え
ば酸化物相並びにBリッチ相等の生成を抑制することが
考えられ,酸化物については磁石中の酸素を低減するこ
とにより抑制することが可能である。また,Bリッチ相
については従来材では多く存在し,その大きさは正方晶
と同程度にもなることから,不純物相としての欠陥だけ
でなく, 場合によっては大きな磁気的空間となり減磁
界形成の要因にもなる。しかしながら, 従来より実用
レベルの高い磁気特性を得るためにはBの含有量を高く
せざるを得ないのが実状であり,例えば特開昭59−4
6008号公報及び前摘の特開昭59−64733号公
報では, 1kOe以上のiHcを確保するためには,
B含有量を2〜28原子%に特定しており,iHcを3
kOeにするためには,B含有量は少なくとも4原子%
必要であるとし,更に実用レベルの高いiHcを得るた
めには,Bの含有量をさらに高くすることを教示してい
る。 【0014】即ち,従来技術では,B含有量を少なくす
るとα−Feが析出しやすくなりこれに伴いiHcは急
激に低下するので,iHcを高めるためにB含有量を多
くするという考え方に立っていることから,Bリッチ相
の生成を抑制することはできなかった。従ってこのよう
にBを多く含み,不純物相として多くのBリッチ相を含
有する従来材を実用化するためには,高温時の不可逆減
磁対策として, 前述のごとく極めて高いiHcが必要
となる。 【0015】本発明の目的はこのようなR−Fe−B系
永久磁石の問題, とりわけ, 不可逆減磁の問題点を
解決することにあり, 従来材のように, iHcを極
めて高くすることなく比較的低いiHcでも不可逆減磁
が小さく熱安定性に優れた永久磁石合金を提供すること
にある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者等は,これらの
問題点を解決するための手段として, 磁石合金の組織
構造による抜本的な不可逆減磁の改善を鋭意検討した結
果, 正方晶構造を有する磁性結晶粒及びRリッチ粒界
相を均質にし, 且つ磁性結晶粒の各々を該粒界相で被
覆することにより, 従来材に比べて著しく不可逆減磁
が改善されることを見い出し, 更には, これらの効
果を一層高めるために,Bリッチ相を除去するという従
来技術では,予想すら困難であった新規技術を見出すに
至り, 従来材より低いiHcでも高温に於ける不可逆
減磁が極めて小さく, 且つ同等以上の最大エネルギー
積を有する新規な永久磁石合金の提供を可能とした。即
ち, 従来技術ではもはや高い磁気特性が得られず実用
範囲外とされていたB含有量2原子%未満領域でも実用
に耐え得る良好な磁気特性を付与し得る新規な技術を見
出したことにより,画期的な不可逆減磁の改善に至った
のである。 【0017】すなわち本発明によれば,R−Fe−M−
B−C系合金磁石 (但し, RはNd,Pr,Ce,
La,Y,Sm,Tb,Dy,Gd,Ho,Er,Tm
,Ybより選ばれる少なくとも1種,MはTi,V,C
r,Mn,Ni,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,
Pd,Ag,Pt,Au,Al,Cu,Ga,In,S
n,Sb,Pb,Bi,Zn,P,Si,Ge,Sより
選ばれる少なくとも1種) において, 該合金中,前
記の磁性結晶粒の各々が, 粒界相で覆われており,こ
の粒界相は16重量%以下 (0重量%を含まず)のC
を含むことを特徴とする不可逆減磁率の小さい熱安定性
に優れたR−Fe−M−B−C系永久磁石合金を提供す
る。 【0018】ここで該磁性結晶粒は,粒径が好ましくは
0.3〜150μmの範囲にあり, この粒径の各結晶
粒を覆っている粒界相の厚みは0.001〜30μmの
範囲である。 【0019】本発明磁石の好ましい組成(磁性結晶粒と
粒界相の全体の組成)は, 原子百分比で,R (Rは
Nd,Pr,Ce,La,Y,Sm,Tb,Dy,Gd
,Ho,Er,Tm,Ybより選ばれる少なくとも1種
) :10〜30%, B:7%以下好ましくは2%未
満(0原子%を含まず), C:0.1〜20%, M
:下記所定%の金属元素Mの少なくとも1種 (但し2
種以上含む場合のM含有合計量は当該元素のうち最も大
きいMの値以下),残部がFeおよび製造上不可避的な
不純物からなる。ここで, M元素の含有量(但し,0
原子%を含まず)は,Ti:6%以下,V:10%以下
, Cr:9%以下,Mn:6%以下,Ni:6.5%
以下, Zr:6.5%以下, Nb:13%以下, 
Mo:10.5%以下, Hf:6%以下, Ta:1
1%以下, W:10%以下, Pd:6%以下,Ag
:3%以下,Pt:4%以下,Au:4%以下,Al:
10%以下, Cu:4.5%以下,Ga:7.5%以
下, In:6%以下,Sn:4%以下,Sb:3%以
下,Pb:0.8%以下,Bi:5.5%以下, Zn
:0.3%以下, P:4.1%以下, Si:8.5
%以下,Ge:7%以下, S:2.5%以下である。 【0020】〔作用〕本発明合金において不可逆減磁を
小さくする効果はBが2%以上でも十分発揮されるもの
ではあるが,特にBが2%未満と少ない場合には,不可
逆減磁が顕著に良好となり,しかも磁気特性は従来材と
同等以上である。 【0021】更にMが無添加であっても, 従来材に比
べて不可逆減磁は小さくなるが,Mを前記記載の所定原
子% (但し, 0原子%を含まず)含有せしめること
により,一層効果的に小さくできる。   【0022】本発明による永久磁石の特徴は,従来のよ
うに磁石のiHcを極めて高くしなくても高温時の不可
逆減磁が小さいことであり, 例えばパーミアンス係数
 (PC)が3,iHcが10.4kOeの磁石を環境
温度160℃で30分放置した後, 室温に戻した時,
 その不可逆減磁率は−13.2%である。他方,同じ
くPC3でiHc 10.4kOeの従来材を上記と同
一の方法で測定した不可逆減磁率が−32.6%であり
,iHcが同等にも拘らず大きな劣化を示す。従ってこ
のような高温の環境下でも本発明磁石の不可逆減磁特性
は, 従来材に比べて十分低いiHcでも極めて良好で
あり, この点でまったく新規な永久磁石であるといえ
る。 【0023】一方,本発明磁石の磁気特性については等
方性焼結磁石では,Br≧4000(G),iHc≧4
000(Oe), (BH)max≧4(MGOe),
 異方性焼結磁石では, Br≧7000(G),iH
c≧4000(Oe), (BH)max≧10(MG
Oe)であり, 従来のR−Fe−B系永久磁石と同等
以上の値を有する。 【0024】このような新規な不可逆減磁特性は,本発
明磁石を構成している各磁性結晶粒の周囲を適切なC含
有量をもつ非磁性相で覆ったことによって得られたもの
である。即ち, 本発明者等は非磁性相である粒界相に
C (炭素) の所定量を含有せしめることにより, 
つまり該相の16重量%以下がCとなるように, 好ま
しくは0.05〜16重量%の範囲になるように含有さ
せることにより, この非磁性相をより均質にし, 不
可逆減磁特性を改善できることを見い出した。更には磁
石中に,Mを前記記載の所定原子% (但し0原子%含
まず)含有させることにより,一層効果的となることを
見出した。Mの含有は磁性結晶粒相及び粒界相における
原子拡散を促進し,こらの相を均質化すると共に不純物
相の生成を抑制していると推定される。つまり, この
ようなC含有非磁性相で各磁性結晶粒を被覆すれば,従
来材と同等のB含有量でも不可逆減磁を改善することが
できること,更にはBを2原子%未満に低減することに
より,磁気特性は従来の同等レベル以上でありながら不
可逆減磁が画期的に改善され, 更に,前記Mを含有さ
せるとその効果は一層良好となることが明らかとなった
。 【0025】〔発明の詳述〕 本発明磁石はC (炭素) の利用の仕方に大きな特徴
があるので先ずこの点から説明する。 【0026】従来より, この種の磁石において一般に
Cは不可避的に混入する不純物元素とされており, 特
別のことがない限り積極的に添加する合金元素とは扱わ
れていなかった。例えば前出特開昭59−46008号
公報では,CでBの一部を置換することを開示するが,
これは磁石中のBの含有量を2〜28原子%と規定し2
原子%未満のB量では保磁力iHcが1kOe未満にな
るので2原子%以上のB量を必要とするが,Bの多量の
含有ではコストが高くなるのでコストダウンのメリット
から,この場合にはBの一部をCで置換することが可能
であると述べられているに過ぎない。更に特開昭59−
163803号公報にはR−Fe−Co−B−C系磁石
が開示され,磁石中のBの含有量を2〜28原子%, 
Cの含有量を4原子%以下と規定し,BとCの具体的な
併用を開示しているが,Cの併用にも拘らずBの含有量
を2原子%以上を必須とし,2原子%未満のB量では,
上記特開昭59−46008号公報と同様にiHcが1
kOe未満となると説明されている。すなわち,該公報
が指摘するように,Cは磁気特性を低下させる不純物で
あると把握されており, 例えば粉末の成形時に用いる
滑剤等からのCの混入は不可避であり, また,これを
完全に取り除く操作はコストアップを招くという理由か
らハードフエライト磁石相当のBr 4000Gまでな
ら,Cの含有量として4原子%以下を許容できると提案
するものであり,Cは磁気特性については消極的な作用
をもつものであり必ずしもCを必須とはしていない。ま
たC含有の粒界相(非磁性相)の形成についてはこれら
の公報では全く示唆されていない。 【0027】さらに特開昭62−13304号公報では
R−Fe−Co−B−C系磁石において,耐酸化性を改
善するためにはC量が多いと良くないと教示し,Cの含
有量を0.05重量%(原子百分比で約0.3%) 以
下に抑制することを提案し,更に他の出願人による特開
昭63−77103号公報でも同じ目的からCを100
0ppm以下にすることを提案している。このように従
来においてCは磁気特性および耐酸化性について消極的
元素とされており, 必須の添加元素とはされていなか
った。 【0028】本発明者等は,CをBの単なる置換元素と
して含有させるのではなく,磁性結晶粒を包囲する非磁
性相 (粒界) 中にCを積極的に含有させるという添
加の仕方をするならば,従来の常識に反してCは磁石の
不可逆減磁の改善に大きく寄与できることを見い出した
ものであり,更にはCと共にMを磁石中に含有させるこ
とによって一層これらの効果が有利に発現することを見
出した。即ち, このような非磁性相へのCの含有によ
って,Bの含有量が公知の通常範囲であっても従来に比
べて低いiHcで不可逆減磁が改善されるのであるが,
特に2原子%未満のB量の場合にはその効果が更に著し
いものになることがわかった。尚,従来ではBの含有量
が2原子%未満ではiHcが1kOe以下になるとされ
ていたのであるが,本発明では2原子%未満のB量であ
ってもiHcは4kOe以上となる。このような本発明
による新規な効果は磁性結晶粒の各々を包囲するC含有
粒界相の形成並びにC含有粒界相及び磁石中へのMの含
有によってもたらされ,このことから, これまでの磁
気特性の低下及び耐酸化の劣化をもたらしていたCを消
極元素とする従来磁石とは全く異なり, Cを必須成分
とする新規な磁石の発明を完成することができた。 【0029】この場合, 磁性結晶粒の各々を包囲する
C含有粒界相は,C以外に磁石を構成している合金元素
の少なくとも1種以上を含むものである。このような不
可逆減磁の改善をもたらす理由については以下のように
推察する。 【0030】C含有粒界相が上記磁性結晶粒を構成して
いる合金元素の少なくとも1種以上を含むことは既に述
べたが,このうちFe又はCoの遷移金属元素はα−F
eやR(Fe,Co)2等の軟質な磁性相の生成を招き
やすく,これらの相が僅かに生成しても逆磁区核の発生
及びその成長を促進し,不可逆減磁の劣化をもたらす。 これに対して, 本発明による永久磁石合金の粒界相で
は,不定比なR−Fe−M−C系の金属間化合物が生成
していると推定され,これにより上記不純物の生成が抑
制されていると考えられる。このことは,該粒界相が均
質な非磁性相であるということであり, これにより逆
磁区核の発生が抑制されると推定される。又,Mは,磁
性結晶粒内の原子拡散を促進することにより,均質な結
晶粒としiHcを向上させると推定され, これにより
不可逆減磁率は改善される。 【0031】一方,Bを2原子%未満としても不可逆減
磁は著しく改善されるが,これは従来材では必ず存在す
るBリッチ相が抑制されたことによると推定される。つ
まりこの場合も上記同様Bリッチ相が逆磁区発生点とな
っていたと考えられる。尚,従来においてはBを2%未
満にすると,α−Feの生成が容易となり磁気特性の著
しい劣化が生じると報告されているが,本発明による永
久磁石合金では,C含有粒界相によりα−Feの生成が
抑制され,従来材と同等以上の特性レベルが可能となる
。 【0032】このように,本発明者等は個々の磁性結晶
粒をC含有粒界相で被覆し,更に磁石中にMを含有せし
めることにより, 従来材に比べて低いiHcでも不可
逆減磁を著しく改善せしめ,特に高温での改善効果が大
きく更にB含有量の低減により一層その効果が著しくな
ることを見出し, 公知の技術では困難であった熱安定
性の良好な永久磁石を発明するに至った。 【0033】このC含有粒界相は,前記のようにC以外
に, 磁石を構成している合金元素の少なくとも1種以
上を含んでいるが, そのC含有量は粒界相組成におい
て16重量%以下 (0重量%を含まず) であること
が必要である。すなわち,粒界相中のCは該粒界相を均
質な非磁性相とするだけでなく,Bの減少に伴うiHc
の低下を抑制する効果をもたらすことから,その含有量
は粒界相の組成において好ましくは0.05〜16重量
%, 更に好ましくは, 0.1〜16重量%を必要と
する。Cの含有量が0.05重量%未満では粒界相を均
質な非磁性相にすることが不十分でiHcが4KOe未
満となることもある。一方, 粒界相中のC量が16重
量%を超えると磁石のBrの低下が著しくもはや実用が
困難となる。 【0034】この粒界相については個々の磁性結晶粒を
均一に被覆することが重要であるが,その厚みは0.0
01μm未満ではiHcの低下が著しく, 又30μm
を超えるとBrがもはや本発明で意図する値を満足しな
くなるので0.001μm〜30μmの範囲, 好まし
くは0.005μm〜15μmの範囲とするのがよい。 なおこの厚みは粒界三重点も含むものである。この厚み
はTEMを用いて測定することができる (後記の実施
例でもこの測定によった)。 【0035】一方,この粒界相で囲われる各磁性結晶自
身は周知のR−Fe−B−(C) 系永久磁石と同様の
組成であってもよい。しかしBが低量であっても本発明
磁石の場合には良好な磁気特性を発現できる。本発明の
合金磁石の組成 (磁性結晶粒と粒界相とを併せた全体
の組成) は,好ましくは原子百分比でR:10〜30
%, B:7%以下望ましくは2%未満(0原子%を含
まず),M:下記所定%の金属元素Mの少なくとも1種
以上 (但し2種以上含む場合のMの含有合計量は当該
元素のうち最も大きいMの値以下, 但し0原子%を含
まず。),C:0.1 〜20%, 残部がFeおよび
製造上不可避的な不純物からなる。M元素の含有量(0
原子%は含まず)は,Ti:6%以下,V:10%以下
, Cr:9%以下,Mn:6%以下,Ni:6.5%
以下, Zr:6.5%以下, Nb:13%以下, 
Mo:10.5%以下, Hf:6%以下, Ta:1
1%以下, W:10%以下, Pd:6%以下,Ag
:3%以下,Pt:4%以下,Au:4%以下,Al:
10%以下, Cu:4.5%以下, Ga:7.5%
以下, In:6%以下,Sn:4%以下,Sb:3%
以下,Pb:0.8%以下,Bi:5.5%以下, Z
n:0.3%以下, P:4.1%以下, Si:8.
5%以下,Ge:7%以下, S:2.5%以下である
。 【0036】本発明において,磁石中の総C含有量は好
ましくは0.1〜20原子%である。磁石中の総C含有
量が20原子%を超えるとBrの低下が著しく, 本発
明で目的とする等方性焼結磁石としてのBr≧4KG,
 並びに異方性焼結磁石としてのBr≧7KGの値を満
足しなくなる。一方, 0.1原子%未満ではもはや不
可逆減磁を改善することが困難となる。このように磁石
中の総C含有量としては好ましくは0.1〜20原子%
とするが,前述の粒界相中のCは不可逆減磁を改善する
だけでなく, Bの減少に伴うiHcの低下を抑制する
効果をもたらすことから,その含有量は粒界相の組成に
おいて16重量%以下 (0重量%は含まず),好まし
くは0.05〜16重量%, 更に好ましくは0.1〜
16重量%を必須とする。Cの原料としては,カーボン
ブラック, 高純度カーボン又はNd−C, Fe−C
等の合金を用いることができる。 【0037】Rは, Y,La,Ce,Nd,Pr,S
m,Tb,Dy,Gd,Ho,Er,Tm,及びYbの
うち1種又は2種以上が用いられる。なお2種以上の混
合物であるミッシュメタル,ジジム等も用いることがで
きる。ここでRを好ましくは,10〜30原子%とする
のは, この範囲内ではBrが実用上非常に優れるため
である。 【0038】Bとしては,純ボロン又はフエロボロンを
用いることができ,その含有量は公知の範囲である2原
子%以上でも従来材に比べて不可逆減磁は改善され, 
例えば7%程度までBを含有させても本発明の前記目的
は達成されるのであるが,前述のように好ましくはBは
2原子%未満,更に好ましくは1.8原子%以下におい
てより一層の効果がある。他方, B無添加ではiHc
が極端に低下し本発明の目的を達成できなくなる。フエ
ロボロンとしてはAl,Si等の不純物を含有するもの
でも用いることができる。 【0039】MはTi,V,Cr,Mn,Ni,Zr,
Nb,Mo,Hf,Ta,W,Pd,Ag,Pt,Au
,Al,Cu,Ga,In,Sn,Sb,Pb,Bi,
Zn,P,Si,Ge,Sのうち1種又は2種以上が用
いられる。磁石中のMが0原子%でも不可逆減磁率は従
来品よりも改善されるが,Mを前記所定量を含有せしめ
ることにより,一層効果的に改善することができる。 一方M含有量が前記所定含有量を超えると,Br,iH
cの減少が著しくなって,もはや本発明磁石の特性を満
足しなくなる。 【0040】本発明の永久磁石合金は,前述のように厚
みが0.001〜30μm, 好ましくは0.001〜
15μmの範囲のC含有粒界相で各々の磁性結晶粒が覆
われているものであるが, その磁性結晶粒の粒径は0
.3〜150μm,好ましくは0.5〜50μmの範囲
にある。磁性結晶粒の粒径が0.3μm未満になるとi
Hcが4KOe未満となり, また150μmを超える
とiHcの低下が著しくなり, 本発明磁石の特徴が損
なわれる。なおこの結晶粒の粒径の測定はSEMによっ
て, また組成分析はEPMAを用いて正確に行うこと
ができる (後記実施例でもこれらの測定を行った)。 【0041】本発明の永久磁石を製造するには,該永久
磁石合金が焼結体の場合には,溶解・鋳造・粉砕・成形
・焼結, 若しくは溶解・鋳造・粉砕・成形・焼結・熱
処理の一連の工程からなる従来同様の方法でも作製可能
であるが,好ましくは上記製造プロセスにおいて, 鋳
造後に該鋳造合金を熱処理する工程を導入するか,また
は粉砕時若しくは粉砕後にC原料の一部若しくは全量を
二次添加する工程を導入すること,さらにはこの二つの
工程を組合わせて導入することによって,有利に製造す
ることができる。またMについてもその一部若しくは全
量を二次添加してもよい。他方, 該永久磁石合金が鋳
造合金である場合には,熱間塑性加工法を用いることに
よって,前述の効果を発揮する良好な本発明の永久磁石
合金を作製することができる。 【0042】このような本発明の永久磁石合金は熱安定
性に優れたものであるが, 一方において耐酸化性につ
いても従来材に比べて画期的に改善されていることから
, 従来のように磁石の最外表面を耐酸化性の保護被覆
で被覆しなくても, 磁石自身が極めて優れた耐酸化性
を有するので, 場合によっては前記保護被覆の形成は
不要となる。本発明による永久磁石合金から調整された
合金粉末は,従来材に比べて熱安定性および耐酸化性の
良好なボンド磁石を提供することができる。 【0043】このように本発明による永久磁石合金は,
従来のものに比べて熱安定性及び耐酸化性が著しく優れ
, 又,良好な磁気特性を有することから種々の磁石応
用製品に好適に用いられる。磁石応用製品としては,例
えば次の製品が挙げられる。DCブラシレスモーター,
 サーボモーター等の各種モーター;駆動用アクチュエ
ーター, 光学ビックアップ用F/Tアクチュエーター
等の各種アクチュエーター;スピーカー, ヘッドホン
, イヤホン等の各種音響機器;回転センサー, 磁気
センサー等の各種センサー;MRI等の電磁石代替製品
;リードリレー, 有極リレー等の各種リレー;ブレー
キ, クラッチ等の各種磁気カップリング;ブザー, 
チャイム等の各種振動発振機;マグネットセパレーター
, マグネットチャック等の各種吸着用機器;電磁開閉
器, マイクロスイッチ, ロッドレスエアーシリンダ
ー等の各種開閉制御機器;光アイソレーター, クライ
ストロン, マグネトロン等の各種マイクロ波機器;マ
グネット発電器;健康器具, 玩具等である。なお,こ
のような磁石応用製品は一例であり,これらに限定され
るものではない。 【0044】また,本発明による永久磁石合金の特徴は
熱安定性に優れ,錆にくいことであり高い環境温度で使
用しても, 従来材よりも特性の劣化は少なく, 又従
来材のように磁石品の最外露出表面に耐酸化性保護被膜
を形成しなくても高い磁気特性を保持しながら該磁石自
身に優れた耐酸化性が付与されていることから, 保護
被膜が不要となることはもとより, 特殊な環境用とし
て保護被膜の必要が生じた場合でも, 磁石内部からの
錆の発生がないので, 保護被膜を形成するさいの接着
性が良好であると共に, 被膜の剥離や被膜厚みの変動
による寸法精度の問題等が解消される。この面からも熱
安定性及び耐酸化性を必要とする用途には最適な永久磁
石を提供できる。  以下に実施例を挙げて本発明磁石
の特性を明らかにする。 【0045】 【実施例1】原料として純度99.9%の電解鉄, ボ
ロン含有量19.32%のフエロボロン合金, 添加元
素M金属として純度99%のニオブ,さらにR元素とし
て純度98.5% (不純物として, 他の希土類元素
を含有する) のネオジウム金属を使用し,組成比(原
子比) として18Nd−71Fe−1B−3Nbとな
るように計量・配合し,真空中, 高周波誘導炉で溶解
した後,水冷銅鋳型中に鋳込み, 合金塊を得た。この
ようにして得られた合金塊をジョークラッシャーで破砕
後,アルゴンガス中でスタンプミルを用いて−100m
eshまで粗砕した後, 組成比 (原子比) が18
Nd−71Fe−1B−7C−3Nbとなるように,更
に純度99.5%のカーボンブラックを該粗砕粉に添加
し, 次いで, 振動ミルを用いて平均粒子径5μmま
で粉砕した。このようにして得られた合金粉末を10 
KOeの磁界中1ton/cm2の圧力で成形した後,
 アルゴンガス中1120℃で1時間保持した後,急冷
し, 焼結体を得た。 【0046】なお,比較例1として, 原料のニオブを
除き,組成比が18Nd−74Fe−1B−7Cとした
以外は,実施例1と同一の操作で焼結体を得た。また比
較例2として,原料はカーボンブラックを除き,上記実
施例1と同一とし,組成比が18Nd−73Fe−6B
−3Nbとなるように計量・配合し,実施例1と同様に
(但しカーボンブラックは無添加)溶解後,粗砕,微粉
砕,磁場成形し,次いで焼結,急冷して焼結体を得た。 【0047】このようにして得られた焼結体の不可逆減
磁率をフラックスメーターを用いて次の手順で測定した
。 (1) パーミアンス係数(Pc)が3になるように形
状調整した上記焼結体試料を50KOeで着磁後, 室
温(25℃) でフラックスを測定する。この時のフラ
ックス値をA0とする。 (2) ついで上記試料を160℃で120分間加熱処
理した後, 室温まで冷却し,再びフラックスを測定す
る。この時のフラックス値をAtとする。 (3) 不可逆減磁率の値を次の式で算出する。 上記測定法に基づく焼結体の不可逆減磁率の評価を表1
に示した。表1において「比1」は比較例1の略である
(以下,同じ)。 【0048】表1から明らかのように,実施例1の焼結
体の不可逆減磁率は,−13.2%であるのに対して比
較例1のものでは,−17.9%と本発明の実施例1に
比べて劣っている。更には,本発明による実施例1の焼
結体(C含有粒界相で各磁性結晶粒を被覆してなる焼結
体)では,比較例2(C含有の粒界相を持たない焼結体
)に比較して室温(25℃) における保磁力(iHc
) が同等だが不可逆減磁率は小さくなっている。尚,
本発明のC含有の粒界相を持った比較例1はC含有の粒
界相を持たない比較例2に比べてiHcが1.1 KO
e低いにも拘わらず不可逆減磁率は大幅に小さくなって
いる。 【0049】また,実施例1の焼結体の粒界相における
C含有量をEPMAを用いて測定した結果は 4.3重
量%であった。更に磁性結晶粒の粒径を焼結組織のSE
Mによる観察から100個を測定したところ,その範囲
は0.8〜34μmであった。一方,TEMにより測定
した粒界相の厚みは0.011〜6.5μmであった。 これらの値を表1に示した。又室温(25℃)における
磁気特性としてVSMを用いて測定したBr, iHc
及び(BH)maxの値も表1に示した。このように,
本発明による永久磁石合金は比較例1及び2のものに比
べて熱安定性に優れていることが明らかである。 【0050】なお,上記焼結体の耐酸化性の評価(耐候
性試験)として,温度60℃, 湿度90%の恒温・恒
湿下で6ケ月間(5040時間) 放置した時のBr,
 iHcの減少率を測定したところ, Br:−1.0
7%, iHc:−0.93と極めて小さく, また外
観観察では錆がほとんど認められず, 耐酸化性が著し
く向上していることが明らかになった。これに対して比
較例2の焼結体ではわずか1ケ月(720時間) 後の
減少率がBr:−8.7%, iHc:−3.8%とな
り,これ以上の放置時間では, 原形を留めないほど錆
が激しく測定不能であった。このように本発明による永
久磁石合金は比較例2のものに比べて耐酸化性にも優れ
ていることがわかる。 【0051】 【実施例2〜5】カーボン量が,表1に示す組成比にな
るように,カーボンブラックを微粉砕時に追添した以外
は,実施例1と同様の操作を行い焼結体を得た。更に,
比較例3として, 18Nd−78Fe−1B−3Nb
となるように計量・配合した後, 比較例2と同様な操
作を行って焼結体を得た。また比較例4〜7として, 
原料のニオブを除いたうえ, 更にはカーボン量が表1
の組成となるようにした以外は,上記実施例と同様の操
作を行って焼結体を得た。このようにして得られた焼結
体の160℃における不可逆減磁率, 粒界相における
C量, 磁性結晶粒径, 粒界相の厚み及び磁気特性を
実施例1と同一の方法で評価し,その結果を表1に示し
た。表1から明らかなように,ニオブを添加した本発明
に従う焼結体はいずれも各比較例4〜7のニオブ無添加
のものに比べて不可逆減磁率が小さいことがわかる。な
お,比較例3では粒界相中にCが含有されておらず,磁
気特性は低い値となった。 【0052】 【表1】 【0053】 【実施例6〜10】原料の溶解時に,表2に示すボロン
(B)量及びシリコン(Si)量になるように計量・配
合した以外は, 全て実施例1と同様の操作を行って実
施例6〜10の焼結体を得た。また比較例8〜11とし
て, 原料のシリコンを除き, またボロン量が表2の
組成になるように計量・配合し同様の操作を行って焼結
体を得た。比較例12はボロン (B) 量を0原子%
とした例であり,ボロンを配合しなかった以外は上記実
施例と同様な操作を行い焼結体を得たものである。 【0054】このようにして得られた焼結体の160℃
における不可逆減磁率, 粒界相におけるC量,磁性結
晶粒径,磁界相の厚み及び磁気特性を実施例1と同一の
方法で評価し,その結果を表2に示した。 【0055】表2から明らかなようにシリコンを添加し
た実施例6〜10の焼結体は,いずれも対応する各比較
例8〜11のシリコン無添加のものに比べて不可逆減磁
率が小さいことがわかる。又B含有量が2原子%未満の
実施例8は,B含有量が2原子%以上の実施例9に比べ
て,iHcが0.5KOe低いにも拘わらず, 不可逆
減磁率は小さくなっている。更にB含有量が2原子%以
上の実施例10についても, 実施例4に比較すると同
様なことが言え,B含有量が2原子%未満の実施例4で
はiHcが0.3KOe低いにも拘わらず,不可逆減磁
率は実施例10より小さくなっており, 特にB含有量
が2原子%未満ではB≧2原子%よりも不可逆減磁率は
小さい。尚,比較例12のボロン無添加では (BH)
maxは0であった。 【0056】 【表2】 【0057】 【実施例11〜35】原料の溶解時に, 表3に示す各
添加元素(M)を, 表示の量となるように計量・配合
した以外は,全て実施例1と同様の操作を行って実施例
11〜35の焼結体を得た。このようにして得られた焼
結体の160℃における不可逆減磁率, 粒界相におけ
るC量, 磁性結晶粒径, 粒界相の厚み及び磁気特性
を実施例1と同一の方法で評価し,その結果を表3に示
した。表3から明らかなように,添加元素(M)を添加
した実施例11〜35の焼結体は, 表1のM元素無添
加の比較例1のものに比べて不可逆減磁率が小さくなっ
ており,M元素添加の効果が認められる。 【0058】 【表3】 【0059】 【実施例36〜43】原料として純度99.9%の電解
鉄, ボロン含有量19.32%のフエロボロン合金,
 純度99.5%のカーボンブラック,添加元素M金属
として純度99%のマンガン, 及び表4に示す希土類
元素を,表4に示す組成比となるように計量・配合し,
真空中, 高周波誘導炉で溶解した後, 水冷銅鋳型中
に鋳込み, 合金塊を得た。 このようにして得られた合金塊を680℃で15時間加
熱後, 炉内放冷した。次いで該合金塊をジョークラッ
シャーで破砕した後,アルゴンガス中でスタンプミルを
用いて−100meshまで粗砕し,次いで, 振動ミ
ルを用いて平均粒子径5μmまで粉砕した。このように
して得られた合金粉末を実施例1と同様の操作を行って
実施例36〜43の焼結体を得た。また比較例13〜2
0として,原料のマンガンを除いたうえ, 表4の組成
になるように計量・配合した以外は,上記実施例と同様
の操作を行って焼結体を得た。このようにして得られた
焼結体の160℃における不可逆減磁率, 粒界相にお
けるC量, 磁性結晶粒径, 粒界相の厚み及び磁気特
性を実施例1と同一の方法で評価し,その結果を表4に
示した。表4から明らかなようにマンガンを添加した実
施例36〜43の焼結体はいずれも対応する比較例13
〜20のマンガン無添加のもの比べて不可逆減磁率が小
さいことがわかる。 【0060】 【表4】 【0061】 【実施例44】実施例1と同組成の合金微粉末を無磁場
中で成形した以外は,全て実施例1と同様の操作を行っ
て実施例1と同組成の焼結体を得た。比較例21として
,合金微粉末を無磁場中で成形した以外は,比較例1と
同様の操作を行って比較例1と同組成の焼結体を得た。 このようにして得られた焼結体の160℃における不可
逆減磁率, 粒界相におけるC量, 磁性結晶粒径, 
粒界相の厚み及び磁気特性を実施例1と同一の方法で評
価し,その結果を表5に示した。表5から明らかなよう
に,ニオブを添加した焼結体は比較例21の無添加のも
のに比べて不可逆減磁率が小さいことが分かる。 【0062】 【表5】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  R−Fe−M−B−C系合金磁石 (
    但し, RはNd,Pr,Ce,La,Y,Sm,Tb
    ,Dy,Gd,Ho,Er,Tm,Ybより選ばれる少
    なくとも1種, MはTi,V,Cr,Mn,Ni,Z
    r,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Pd,Ag,Pt,
    Au,Al,Cu,Ga,In,Sn,Sb,Pb,B
    i,Zn,P,Si,Ge,Sより選ばれる少なくとも
    1種) において, 該合金の磁性結晶粒の各々が, 
    16重量%以下 (0重量%を含まず)のCを含む粒界
    相で覆われていることを特徴とする不可逆減磁の小さい
    熱安定性に優れた永久磁石合金。
  2. 【請求項2】  磁性結晶粒は,粒径が0.3〜150
    μmの範囲にあり, 粒界相の厚みが0.001〜30
    μmの範囲にある請求項1に記載の永久磁石合金。
  3. 【請求項3】  粒界相の0.05〜16重量%が, 
    Cである請求項1または2に記載の永久磁石合金。
  4. 【請求項4】  該磁性合金の組成(磁性結晶粒と粒界
    相とを併せた全体の組成)が,原子百分比でR:10〜
    30%, B:7%以下(0原子%を含まず),C:0
    .1〜20%, M:下記所定%の元素Mの少なくとも
    1種以上 (但し2種以上含む場合のMの合計量は当該
    元素のうち最も大きいMの値以下),残部がFeおよび
    製造上不可避的不純物からなる請求項1,2または3に
    記載の永久磁石合金,M元素の含有量(但し,0原子%
    を含まず)は,Ti:6%以下,V:10%以下, C
    r:9%以下,Mn:6%以下,Ni:6.5%以下,
     Zr:6.5%以下, Nb:13%以下, Mo:
    10.5%以下, Hf:6%以下, Ta:11%以
    下, W:10%以下, Pd:6%以下,Ag:3%
    以下,Pt:4%以下,Au:4%以下,Al:10%
    以下, Cu:4.5%以下, Ga:7.5%以下,
     In:6%以下,Sn:4%以下,Sb:3%以下,
    Pb:0.8%以下,Bi:5.5%以下, Zn:0
    .3%以下, P:4.1%以下, Si:8.5%以
    下,Ge:7%以下, S:2.5%以下である。
  5. 【請求項5】  Bは2%未満(0原子%を含まず)で
    ある請求項4に記載の永久磁石合金。
JP3048730A 1991-02-22 1991-02-22 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金 Expired - Fee Related JP2739525B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3048730A JP2739525B2 (ja) 1991-02-22 1991-02-22 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3048730A JP2739525B2 (ja) 1991-02-22 1991-02-22 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04268050A true JPH04268050A (ja) 1992-09-24
JP2739525B2 JP2739525B2 (ja) 1998-04-15

Family

ID=12811409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3048730A Expired - Fee Related JP2739525B2 (ja) 1991-02-22 1991-02-22 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2739525B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002103719A1 (fr) * 2001-06-19 2002-12-27 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Materiau magnetique durable en metal du groupe des terres rares
US7316752B2 (en) 2001-06-29 2008-01-08 Neomax Co., Ltd. R-T-B-C based rare-earth magnetic powder and bonded magnet
CN103643138A (zh) * 2013-11-12 2014-03-19 铜陵市肆得科技有限责任公司 一种泵轴用低碳锰钢材料及其制备方法
CN103794320A (zh) * 2014-03-04 2014-05-14 南京信息工程大学 一种钕铁氮永磁材料及制备方法
CN105088105A (zh) * 2015-08-28 2015-11-25 无锡阳工机械制造有限公司 高强度阀芯
CN106967921A (zh) * 2017-05-03 2017-07-21 安徽包钢稀土永磁合金制造有限责任公司 一种钕铁硼薄带合金片的制备方法
JP2020136531A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 Tdk株式会社 R‐t‐b系永久磁石

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002103719A1 (fr) * 2001-06-19 2002-12-27 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Materiau magnetique durable en metal du groupe des terres rares
EP1398800A1 (en) * 2001-06-19 2004-03-17 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Rare earth element permanent magnet material
JPWO2002103719A1 (ja) * 2001-06-19 2004-10-07 三菱電機株式会社 希土類永久磁石材料
US7175718B2 (en) 2001-06-19 2007-02-13 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Rare earth element permanent magnet material
US7316752B2 (en) 2001-06-29 2008-01-08 Neomax Co., Ltd. R-T-B-C based rare-earth magnetic powder and bonded magnet
CN103643138A (zh) * 2013-11-12 2014-03-19 铜陵市肆得科技有限责任公司 一种泵轴用低碳锰钢材料及其制备方法
CN103794320A (zh) * 2014-03-04 2014-05-14 南京信息工程大学 一种钕铁氮永磁材料及制备方法
CN105088105A (zh) * 2015-08-28 2015-11-25 无锡阳工机械制造有限公司 高强度阀芯
CN106967921A (zh) * 2017-05-03 2017-07-21 安徽包钢稀土永磁合金制造有限责任公司 一种钕铁硼薄带合金片的制备方法
JP2020136531A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 Tdk株式会社 R‐t‐b系永久磁石

Also Published As

Publication number Publication date
JP2739525B2 (ja) 1998-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2015020182A1 (ja) R-t-b系焼結磁石、および、モータ
JPWO2005123974A1 (ja) R−Fe−B系希土類永久磁石材料
JPH0510806B2 (ja)
JPWO2015020183A1 (ja) R−t−b系焼結磁石、および、モータ
JPH0319296B2 (ja)
JP3254229B2 (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP2774372B2 (ja) 永久磁石粉末
JP2794496B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−Co−B−C系永久磁石合金
JP2853838B2 (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP2787580B2 (ja) 熱処理性がすぐれたNd−Fe−B系焼結磁石
JP2740981B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR‐Fe‐Co‐B‐C系永久磁石合金
JP2739525B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金
JP2853839B2 (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JPH0561345B2 (ja)
JP2740901B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−Co−B−C系永久磁石合金
JP2794494B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−Co−B−C系永久磁石合金
JPH0536495B2 (ja)
JP2743114B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR‐Fe‐B‐C系永久磁石合金
JP2739502B2 (ja) 耐酸化性の優れた永久磁石合金
JP2000331810A (ja) R−Fe−B系希土類永久磁石材料
JP2740902B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−Co−B−C系永久磁石合金
JPH10130796A (ja) 微細結晶永久磁石合金及び等方性永久磁石粉末の製造方法
JP2794497B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金
JP2794493B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金
JP2794495B2 (ja) 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080123

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080123

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090123

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees