JP2794495B2 - 不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金 - Google Patents

不可逆減磁の小さい熱安定性に優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,不可逆減磁の小さい熱
安定性の優れたR(希土類元素)-Fe-B-C系の永久磁
石合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年, Sm-Co系磁石の磁力を凌ぐ次世
代の永久磁石としてR-Fe-B系磁石が佐川等によって
発表されて以来, 当該磁石について多くの報告がなされ
てきた。しかしながら,該磁石はSm-Co系磁石に比べ
て磁力は優れるものの, その磁気特性の熱安定性及び耐
酸化性が著しく劣るという欠点を有する。特に耐酸化性
に係わる欠点は,重要な改善課題であり, 上述報告の多
くはその改善方法を開示している。
【0003】他方,従来のR-Fe-B又はR-Fe-Co-B
系磁石は環境温度が上昇すると残留磁束密度 (Br)およ
び保磁力(iHc)がSm-Co系磁石に比較して著しく低下す
るという性質がある。すなわち熱安定性に劣るという欠
点がある。このような状況下, 環境温度の変化に対して
磁気特性の安定化を図る手段としては,一般に残留磁束
密度の温度依存係数を小さくすること及び室温における
保磁力を十分に高くすることが提案されている。前者の
改善法としては,磁石のキューリー温度を高める方法が
一般的であり, 例えば特開昭59-64733号公報では,Fe
の一部をCoで置換することによりキューリー温度を高
め, 残留磁束密度の温度依存係数を小さくすることを提
案している。他方, 環境温度の上昇に伴って, 保磁力が
急激に低下することは既に述べたところだが, この保磁
力の低下がもたらす重大な欠点は, 大きな不可逆減磁を
招くということである。
【0004】不可逆減磁とは,高温時低下したBrが室
温に戻した時に元に回復しない現象であり,一般に磁石
形状の薄型化に伴ってその劣化が顕著になる。この不可
逆減磁の劣化は, たとえFeの一部をCoで置換して残留
磁束密度の温度依存係数を小さくしても, 抜本的な改善
には至らない。このため,実使用に際しては環境温度及
び形状が厳しく制限され, 例えば自動車関係, 高速機器
等の過酷な用途への適用は困難となる。この不可逆減磁
の改善法としては専ら室温におけるiHcを高める方法に
頼っているのが実状である。つまり,高温時のiHcの低
下を見込んで, 室温でのiHcを十分に高くすることによ
って不可逆減磁を小さくする方法であるが, 例えば特開
昭59-89401号公報は,Ti,Ni,Bi,V,Nb,Cr,Mo等を
添加することにより, 室温におけるiHcを高め, 不可逆
減磁率を小さくすることを教示し,又,特開昭60-32306
号公報は,希土類元素成分として, 軽希土類元素に加
え, Dy,Tb,Ho,Gd,Er,Tm,Ybの重希土類元素の添
加を特定し,これによりiHcを高め, 不可逆減磁率を改
善することを教示している。
【0005】しかし,このようにしてiHcを十分高めれ
ば確かに不可逆減磁は改善されるものの, 従来法では例
えば160℃の高温にもなると, たとえ室温時のiHcが15〜
20kOeと十分高くても急激に劣化すると言う問題点が残
る。この場合, 更にiHcを高くすることになる。一方,
このようにiHcが高くなると,着磁の問題が新たに発生
する。即ち, 磁石の磁力を最大に引き出すためにはその
磁力が飽和するまで十分大きな磁界で着磁する必要があ
り,着磁率が低いと磁気特性の不安定を招くが,通常,
該着磁界の大きさとしては磁石が有するiHcの3〜4倍
の磁界が必要とされることから,従来法のように極端な
iHcの増加は,着・脱磁の操作を困難にし,又, 設備の
大型化を招くことになる。したがって,従来においては
上記高温時の不可逆減磁の劣化と共にこれらの問題を避
けることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように, 従来のR
-Fe-B系磁石では,高い環境温度での不可逆減磁に対
して, 十分な改善効果を得るに至っておらず,Sm-Co
系に比べて優れた磁力を有するにも拘らず, 特に高温時
の熱安定性及び実用レベルでの高iHc化に伴う着磁の問
題が, 依然として存在し,上記メリットが大きく損なわ
れているのが実状である。
【0007】一般に, R-Fe-B (またはR-Fe-Co-
B) 系磁石は, R2Fe14B〔またはR2(Fe,Co)14B〕
型の正方晶と,RFe44〔R(Fe,Co)44〕型のBリ
ッチ相, Rリッチ相及びB23相を含む非磁性相とから
構成され (尚, R-Fe-Co-B系磁石ではR(Fe,Co)2
で代表されるラーベス相も存在するとされている),その
保磁力発生の原理は,逆磁区核発生機構によるとされて
いる。つまり, この逆磁区の存在が保磁力を決定し,そ
の成長に伴いiHcが低下することから,核発生型磁石の
保磁力は構造敏感型となり正方晶と粒界相, Rリッチ
相, Bリッチ相及びその他不純物相に支配されることに
なる。
【0008】ところで,該逆磁区核の芽, 即ち逆磁区核
は正方晶及び粒界相の欠陥, 軟質な磁性相, その他不純
物相において発生し,これらの欠陥, 異物の存在により
容易に成長する。このように, 磁石の組織が不均質であ
ったり不純物及び種々の欠陥を含むと, iHcは容易に低
下し,これに伴い実用レベルで重要となる残留磁気の不
可逆減磁は大きくなる。
【0009】以上のことから,不可逆減磁率を小さくす
る基本的な対策としては,磁石組織の観点から次のこと
が言える。(1) 正方晶の均質化,(2) 粒界相の均質・均
一化, (3) 軟質な磁性相の除去, (4) その他不純物相の
除去,である。これらの改善がなされた後に,iHcを適
正化することにより抜本的な不可逆減磁の改善に至ると
考えられる。
【0010】なお,従来の不可逆減磁の改善法として例
えば前出の特開昭59-89401号公報及び特開昭60-32306号
公報は,室温におけるiHcを十分高めることにより改善
する方法を開示していることを既に述べたが,これらの
方法では磁石の組織に対しては何ら改善がなされておら
ず, 単に添加物により異方性磁界を大きくすることによ
って, 室温におけるiHcを極めて高くし,その結果, 不
可逆減磁を改善するという, 高温時のiHcの低下を犠牲
にした消極的な改善方法である。このため,より高温時
の改善効果は少なく, 又着磁等の問題が残ることは,既
に既述した。
【0011】一方, 永久磁石合金の組成を均質にし, iH
cを向上させる方法も数多く報告されており, 一般には
磁石合金を熱処理することが提案されている。例えば特
開昭59-217304号公報では,焼結後350℃以上の温度で熱
処理することにより, iHcが改善されることを教示して
いる。該法によれば, 熱処理することにより磁石組成の
均質化は改善されるものの, 依然としてBリッチ相やB
23相等の不純物相が存在していることから, 組織の構
造上は何ら変化がなく逆磁区核の発生点及びその成長に
対しては,抜本的に解決されていない。このため該法に
よりiHcを高めても高温時の不可逆減磁の改善効果は小
さいと判断される。
【0012】このように従来技術による不可逆減磁の改
善は磁石合金組織の構造に何ら対策手段を講じていない
のが実状である。
【0013】また,不純物を除去することにより逆磁区
核の発生及びその成長を抑制する方法としては, 例えば
酸化物相並びにBリッチ相等の生成を抑制することが考
えられ,酸化物については磁石中の酸素を低減すること
により抑制することが可能である。また,Bリッチ相に
ついては従来材では多く存在し,その大きさは正方晶と
同程度にもなることから,不純物相としての欠陥だけで
なく, 場合によっては大きな磁気的空間となり減磁界形
成の要因にもなる。しかしながら, 従来より実用レベル
の高い磁気特性を得るためにはBの含有量を高くせざる
を得ないのが実状であり,例えば特開昭59-46008号公報
及び前摘の特開昭59-64733号公報では, 1kOe以上のiHc
を確保するためには,B含有量を2〜28原子%に特定し
ており,iHcを3kOeにするためには,B含有量は少なく
とも4原子%必要であるとし,更に実用レベルの高いiH
cを得るためには,Bの含有量をさらに高くすることを
教示している。
【0014】即ち,従来技術では,B含有量を少なくす
るとα-Feが析出しやすくなりこれに伴いiHcは急激に
低下するので,iHcを高めるためにB含有量を多くする
という考え方に立っていることから,Bリッチ相の生成
を抑制することはできなかった。従ってこのようにBを
多く含み,不純物相として多くのBリッチ相を含有する
従来材を実用化するためには,高温時の不可逆減磁対策
として, 前述のごとく極めて高いiHcが必要となる。
【0015】本発明の目的はこのようなR-Fe-B系永
久磁石の問題, とりわけ, 不可逆減磁の問題点を解決す
ることにあり, 従来材のように, iHcを極めて高くする
ことなく比較的低いiHcでも不可逆減磁が小さく熱安定
性に優れた永久磁石合金を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は,これらの
問題点を解決するための手段として, 磁石合金の組織構
造による抜本的な不可逆減磁の改善を鋭意検討した結
果, 正方晶構造を有する磁性結晶粒及びRリッチ粒界相
を均質にし, 且つ磁性結晶粒の各々を該粒界相で被覆す
ることにより, 従来材に比べて著しく不可逆減磁が改善
されることを見い出し, 更には, これらの効果を一層高
めるために,Bリッチ相を除去するという従来技術で
は,予想すら困難であった新規技術を見出すに至り, 従
来材より低いiHcでも高温に於ける不可逆減磁が極めて
小さく, 且つ同等以上の最大エネルギー積を有する新規
な永久磁石合金の提供を可能とした。即ち, 従来技術で
はもはや高い磁気特性が得られず実用範囲外とされてい
たB含有量2原子%未満領域でも実用に耐え得る良好な
磁気特性を付与し得る新規な技術を見出したことによ
り,画期的な不可逆減磁の改善に至ったのである。
【0017】 すなわち本発明によれば,R−Fe−M
−B−C系合金磁石(但し,RはNd,Pr,Ce,L
a,Y,Sm,Tb,Dy,Gd,Ho,Er,Tm,
Ybより選ばれる少なくとも1種,Mは弗化物または窒
化物より選ばれる少なくとも1種)であって,該合金
中,磁性結晶粒の各々が0.05〜16重量%のCを含
む粒界相で覆われていることを特徴とする不可逆減磁率
の小さい熱安定性に優れたR−Fe−M−B−C系永久
磁石合金を提供する。
【0018】ここで該磁性結晶粒は,粒径が好ましくは
0.3〜150μmの範囲にあり, この粒径の各結晶粒を覆っ
ている粒界相の厚みは0.001〜30μmの範囲である。
【0019】本発明磁石の好ましい組成(磁性結晶粒と
粒界相の全体の組成)は,原子百分比で,R(RはN
d,Pr,Ce,La,Y,Sm,Tb,Dy,Gd,
Ho,Er,Tm,Ybより選ばれる少なくとも1
種):10〜30%,B:7%以下好ましくは2%未満
(0原子%を含まず),C:0.1〜20%,M:下記
所定%の弗化物または窒化物の少なくとも1種(但し2
種以上含む場合のMの合計量は当該弗化物または窒化物
のうち最も高い上限値をもつものの上限値以下),残部
がFeおよび製造上不可避的な不純物からなる。ここ
で,M元素の含有量(但し,0原子%を含まず)は, BaF:5%以下,SrF:5%以下,CaF
7%以下,MgF:5%以下,PbF:3%以下,
LiF:4%以下,KF:3%以下,NaF:3%以
下,BiF:3%以下,AlF:6%以下,NdF
:7%以下,AlN:6%以下,BN:6%以下,N
bN:6%以下,Si:3%以下,TaN:5%
以下,TiN:4%以下,VN:5%以下,CrN:4
%以下,FeN:3%以下である。
【0020】〔作用〕本発明合金において不可逆減磁を
小さくする効果はBが2%以上でも十分発揮されるもの
ではあるが,特にBが2%未満と少ない場合には,不可
逆減磁が顕著に良好となり,しかも磁気特性は従来材と
同等以上である。
【0021】更にMが無添加であっても, 従来材に比べ
て不可逆減磁は小さくなるが,Mを前記記載の所定原子
% (但し, 0原子%を含まず)含有せしめることによ
り,一層効果的に小さくできる。
【0022】本発明による永久磁石の特徴は,従来のよ
うに磁石のiHcを極めて高くしなくても高温時の不可逆
減磁が小さいことであり, 例えばパーミアンス係数 (P
C)が3,iHcが11.0KOeの磁石を環境温度160℃で30分放
置した後, 室温に戻した時, その不可逆減磁率は−10.3
%である。他方,同じくPC3でiHc 11.4kOeの従来材を
上記と同一の方法で測定した不可逆減磁率が−28.4%で
あり,iHcが0.4kOe大きいにも拘らず大きな劣化を示
す。従ってこのような高温の環境下でも本発明磁石の不
可逆減磁特性は, 従来材に比べて十分低いiHcでも極め
て良好であり, この点でまったく新規な永久磁石である
といえる。
【0023】一方,本発明磁石の磁気特性については等
方性焼結磁石では,Br≧4000(G),iHc≧4000(Oe), (B
H)max≧4(MGOe), 異方性焼結磁石では, Br≧7000
(G),iHc≧4000(Oe), (BH)max≧10(MGOe)であり, 従来
のR-Fe-B系永久磁石と同等以上の値を有する。
【0024】このような新規な不可逆減磁特性は,本発
明磁石を構成している各磁性結晶粒の周囲を適切なC含
有量をもつ非磁性相で覆ったことによって得られたもの
である。即ち, 本発明者等は非磁性相である粒界相にC
(炭素) の所定量を含有せしめることにより, つまり該
相の16重量%以下がCとなるように, 好ましくは0.05〜
16重量%の範囲になるように含有させることにより, こ
の非磁性相をより均質にし, 不可逆減磁特性を改善でき
ることを見い出した。更には磁石中に,Mを前記記載の
所定原子% (但し0原子%含まず)含有させることによ
り,一層効果的となることを見出した。Mの含有は磁性
結晶粒相及び粒界相における原子拡散を促進し,こらの
相を均質化すると共に不純物相の生成を抑制していると
推定される。つまり, このようなC含有非磁性相で各磁
性結晶粒を被覆すれば,従来材と同等のB含有量でも不
可逆減磁を改善することができること,更にはBを2原
子%未満に低減することにより,磁気特性は従来の同等
レベル以上でありながら不可逆減磁が画期的に改善さ
れ, 更に,前記Mを含有させるとその効果は一層良好と
なることが明らかとなった。
【0025】〔発明の詳述〕本発明磁石はC (炭素) の
利用の仕方に大きな特徴があるので先ずこの点から説明
する。
【0026】従来より, この種の磁石において一般にC
は不可避的に混入する不純物元素とされており, 特別の
ことがない限り積極的に添加する合金元素とは扱われて
いなかった。例えば前出特開昭59-46008号公報では,C
でBの一部を置換することを開示するが,これは磁石中
のBの含有量を2〜28原子%と規定し2原子%未満のB
量では保磁力iHcが1kOe未満になるので2原子%以上の
B量を必要とするが,Bの多量の含有ではコストが高く
なるのでコストダウンのメリットから,この場合にはB
の一部をCで置換することが可能であると述べられてい
るに過ぎない。更に特開昭59-163803号公報にはR-Fe-
Co-B-C系磁石が開示され,磁石中のBの含有量を2
〜28原子%, Cの含有量を4原子%以下と規定し,Bと
Cの具体的な併用を開示しているが,Cの併用にも拘ら
ずBの含有量を2原子%以上を必須とし,2原子%未満
のB量では,上記特開昭59-46008号公報と同様にiHcが
1kOe未満となると説明されている。すなわち,該公報
が指摘するように,Cは磁気特性を低下させる不純物で
あると把握されており, 例えば粉末の成形時に用いる滑
剤等からのCの混入は不可避であり, また,これを完全
に取り除く操作はコストアップを招くという理由からハ
ードフエライト磁石相当のBr 4000Gまでなら,Cの含
有量として4原子%以下を許容できると提案するもので
あり,Cは磁気特性については消極的な作用をもつもの
であり必ずしもCを必須とはしていない。またC含有の
粒界相(非磁性相)の形成についてはこれらの公報では
全く示唆されていない。
【0027】さらに特開昭62-13304号公報ではR-Fe-
Co-B-C系磁石において,耐酸化性を改善するために
はC量が多いと良くないと教示し,Cの含有量を0.05重
量%(原子百分比で約0.3%) 以下に抑制することを提案
し,更に他の出願人による特開昭63-77103号公報でも同
じ目的からCを1000ppm以下にすることを提案してい
る。このように従来においてCは磁気特性および耐酸化
性について消極的元素とされており, 必須の添加元素と
はされていなかった。
【0028】本発明者等は,CをBの単なる置換元素と
して含有させるのではなく,磁性結晶粒を包囲する非磁
性相 (粒界) 中にCを積極的に含有させるという添加の
仕方をするならば,従来の常識に反してCは磁石の不可
逆減磁の改善に大きく寄与できることを見い出したもの
であり,更にはCと共にMを磁石中に含有させることに
よって一層これらの効果が有利に発現することを見出し
た。即ち, このような非磁性相へのCの含有によって,
Bの含有量が公知の通常範囲であっても従来に比べて低
いiHcで不可逆減磁が改善されるのであるが,特に2原
子%未満のB量の場合にはその効果が更に著しいものに
なることがわかった。尚,従来ではBの含有量が2原子
%未満ではiHcが1kOe以下になるとされていたのである
が,本発明では2原子%未満のB量であってもiHcは4k
Oe以上となる。このような本発明による新規な効果は磁
性結晶粒の各々を包囲するC含有粒界相の形成並びにC
含有粒界相及び磁石中へのMの含有によってもたらさ
れ,このことから, これまでの磁気特性の低下及び耐酸
化の劣化をもたらしていたCを消極元素とする従来磁石
とは全く異なり, Cを必須成分とする新規な磁石の発明
を完成することができた。
【0029】この場合, 磁性結晶粒の各々を包囲するC
含有粒界相は,C以外に磁石を構成している合金元素の
少なくとも1種以上を含むものである。このような不可
逆減磁の改善をもたらす理由については以下のように推
察する。
【0030】C含有粒界相が上記磁性結晶粒を構成して
いる合金元素の少なくとも1種以上を含むことは既に述
べたが,このうちFe又はCoの遷移金属元素はα-Feや
R(Fe,Co)2等の軟質な磁性相の生成を招きやすく,こ
れらの相が僅かに生成しても逆磁区核の発生及びその成
長を促進し,不可逆減磁の劣化をもたらす。これに対し
て, 本発明による永久磁石合金の粒界相では,不定比な
R-Fe-M-C系の金属間化合物が生成していると推定さ
れ,これにより上記不純物の生成が抑制されていると考
えられる。このことは,該粒界相が均質な非磁性相であ
るということであり, これにより逆磁区核の発生が抑制
されると推定される。又,Mは,磁性結晶粒内の原子拡
散を促進することにより,均質な結晶粒としiHcを向上
させると推定され, これにより不可逆減磁率は改善され
る。
【0031】一方,Bを2原子%未満としても不可逆減
磁は著しく改善されるが,これは従来材では必ず存在す
るBリッチ相が抑制されたことによると推定される。つ
まりこの場合も上記同様Bリッチ相が逆磁区発生点とな
っていたと考えられる。尚,従来においてはBを2%未
満にすると,α-Feの生成が容易となり磁気特性の著し
い劣化が生じると報告されているが,本発明による永久
磁石合金では,C含有粒界相によりα-Feの生成が抑制
され,従来材と同等以上の特性レベルが可能となる。
【0032】このように,本発明者等は個々の磁性結晶
粒をC含有粒界相で被覆し,更に磁石中にMを含有せし
めることにより, 従来材に比べて低いiHcでも不可逆減
磁を著しく改善せしめ,特に高温での改善効果が大きく
更にB含有量の低減により一層その効果が著しくなるこ
とを見出し, 公知の技術では困難であった熱安定性の良
好な永久磁石を発明するに至った。
【0033】 このC含有粒界相は,前記のようにC以
外に,磁石を構成している合金元素の少なくとも1種以
上を含んでいるが,そのC含有量は粒界相組成において
16重量%以下(0重量%を含まず)であることが必要
である。すなわち,粒界相中のCは該粒界相を均質な非
磁性相とするだけでなく,Bの減少に伴うiHcの低下
を抑制する効果をもたらすことから,その含有量は粒界
相の組成において好ましくは0.05〜16重量%,更
に好ましくは,0.1〜16重量%を必要とする。Cの
含有量が0.05重量%未満では粒界相を均質な非磁性
相にすることが不十分でiHcが4KOe未満となるこ
ともある。一方,粒界相中のC量が16重量%を超える
と磁石のBrの低下が著しくもはや実用が困難となる。
また,本発明磁石合金では粒界相中のC濃度は磁性結晶
粒のC濃度よりも一般に高い。後記実施例に示す粒界相
中含有量(重量%)は,計算してみれば明らかである
が,合金組成(原子比)中のCの含有割合よりも高くな
っている。
【0034】この粒界相については個々の磁性結晶粒を
均一に被覆することが重要であるが,その厚みは0.001
μm未満ではiHcの低下が著しく, 又30μmを超えるとBr
がもはや本発明で意図する値を満足しなくなるので0.00
1μm〜30μmの範囲, 好ましくは0.005μm〜15μmの範囲
とするのがよい。なおこの厚みは粒界三重点も含むもの
である。この厚みはTEMを用いて測定することができる
(後記の実施例でもこの測定によった) 。
【0035】一方,この粒界相で囲われる各磁性結晶自
身は周知のR-Fe-B-(C) 系永久磁石と同様の組成で
あってもよい。しかしBが低量であっても本発明磁石の
場合には良好な磁気特性を発現できる。本発明の合金磁
石の組成 (磁性結晶粒と粒界相とを併せた全体の組成)
は,好ましくは原子百分比でR:10〜30%, B:7%以
下望ましくは2%未満(0原子%を含まず),M:下記
所定%の弗化物または窒化物の少なくとも1種以上 (但
し2種以上含む場合のMの含有合計量は当該弗化物また
は窒化物のうち最も大きいMの値以下, 但し0原子%を
含まず。),C:0.1 〜20%, 残部がFeおよび製造上不
可避的な不純物からなる。 Mの含有量(0原子%は含まず)は, BaF2:5%以下,SrF2:5%以下,CaF2:7%以
下,MgF2:5%以下, PbF2:3%以下,LiF:4%以下,KF:3%以
下,NaF:3%以下, BiF3:3%以下,AlF3:6%以下,NdF3:7%以
下,AlN:6%以下, BN:6%以下,NbN:6%以下,Si34:3%以
下,TaN:5%以下, TiN:4%以下,VN:5%以下, CrN:4%以下,
Fe2N:3%以下である。
【0036】本発明において,磁石中の総C含有量は好
ましくは0.1〜20原子%である。磁石中の総C含有量が2
0原子%を超えるとBrの低下が著しく, 本発明で目的と
する等方性焼結磁石としてのBr≧4KG, 並びに異方性
焼結磁石としてのBr≧7KGの値を満足しなくなる。一
方, 0.1原子%未満ではもはや不可逆減磁を改善するこ
とが困難となる。このように磁石中の総C含有量として
は好ましくは0.1〜20原子%とするが,前述の粒界相中
のCは不可逆減磁を改善するだけでなく, Bの減少に伴
うiHcの低下を抑制する効果をもたらすことから,その
含有量は粒界相の組成において16重量%以下 (0重量%
は含まず),好ましくは0.05〜16重量%, 更に好ましくは
0.1〜16重量%を必須とする。Cの原料としては,カー
ボンブラック, 高純度カーボン又はNd-C, Fe-C等の
合金を用いることができる。
【0037】Rは, Y,La,Ce,Nd,Pr,Sm,Tb,Dy,
Gd,Ho,Er,Tm,及びYbのうち1種又は2種以上が用
いられる。なお2種以上の混合物であるミッシュメタ
ル,ジジム等も用いることができる。ここでRを好まし
くは,10〜30原子%とするのは, この範囲内ではBrが
実用上非常に優れるためである。
【0038】Bとしては,純ボロン又はフエロボロンを
用いることができ,その含有量は公知の範囲である2原
子%以上でも従来材に比べて不可逆減磁は改善され, 例
えば7%程度までBを含有させても本発明の前記目的は
達成されるのであるが,前述のように好ましくはBは2
原子%未満,更に好ましくは1.8原子%以下においてよ
り一層の効果がある。他方, B無添加ではiHcが極端に
低下し本発明の目的を達成できなくなる。フエロボロン
としてはAl,Si等の不純物を含有するものでも用いる
ことができる。
【0039】Mは弗化物または窒化物であって,好まし
くは, BaF2,SrF2,CaF2,MgF2,PbF2,LiF, K
F, NaF, BiF3,AlF3 NdF3,AlN, BN,NbN,
Si34,TaN, TiN, VN, CrN, Fe2Nが用いら
れる。磁石中のMが0原子%でも不可逆減磁率は従来品
よりも改善されるが,Mを前記所定量を含有せしめるこ
とにより,一層効果的に改善することができる。一方M
含有量が前記所定含有量を超えると,Br, iHcの減少が
著しくなって,もはや本発明磁石の特性を満足しなくな
る。
【0040】本発明の永久磁石合金は,前述のように厚
みが0.001〜30μm, 好ましくは0.001〜15μmの範囲のC
含有粒界相で各々の磁性結晶粒が覆われているものであ
るが, その磁性結晶粒の粒径は0.3〜150μm,好ましくは
0.5〜50μmの範囲にある。磁性結晶粒の粒径が0.3μm未
満になるとiHcが4KOe未満となり, また150μmを超える
とiHcの低下が著しくなり, 本発明磁石の特徴が損なわ
れる。なおこの結晶粒の粒径の測定はSEMによって, ま
た組成分析はEPMAを用いて正確に行うことができる (後
記実施例でもこれらの測定を行った)。
【0041】本発明の永久磁石を製造するには,該永久
磁石合金が焼結体の場合には,溶解・鋳造・粉砕・成形
・焼結, 若しくは溶解・鋳造・粉砕・成形・焼結・熱処
理の一連の工程からなる従来同様の方法でも作製可能で
あるが,好ましくは上記製造プロセスにおいて, 鋳造後
に該鋳造合金を熱処理する工程を導入するか,または粉
砕時若しくは粉砕後にC原料の一部若しくは全量を二次
添加する工程を導入すること,さらにはこの二つの工程
を組合わせて導入することによって,有利に製造するこ
とができる。尚,Mの一部または全量を二次添加しても
よい。.方, 該永久磁石合金が鋳造合金である場合に
は,熱間塑性加工法を用いることによって前述の効果を
発揮する良好な本発明の永久磁石合金を作製することが
できる。
【0042】このような本発明の永久磁石合金は熱安定
性に優れたものであるが, 一方において耐酸化性につい
ても従来材に比べて画期的に改善されていることから,
従来のように磁石の最外表面を耐酸化性の保護被覆で被
覆しなくても, 磁石自身が極めて優れた耐酸化性を有す
るので, 場合によっては前記保護被覆の形成は不要とな
る。本発明による永久磁石合金から調整された合金粉末
は,従来材に比べて熱安定性および耐酸化性の良好なボ
ンド磁石を提供することができる。
【0043】このように本発明による永久磁石合金は,
従来のものに比べて熱安定性及び耐酸化性が著しく優
れ, 又,良好な磁気特性を有することから種々の磁石応
用製品に好適に用いられる。磁石応用製品としては,例
えば次の製品が挙げられる。DCブラシレスモーター,
サーボモーター等の各種モーター;駆動用アクチュエー
ター, 光学ビックアップ用F/Tアクチュエーター等の各
種アクチュエーター;スピーカー, ヘッドホン, イヤホ
ン等の各種音響機器;回転センサー, 磁気センサー等の
各種センサー;MRI等の電磁石代替製品;リードリレー,
有極リレー等の各種リレー;ブレーキ, クラッチ等の
各種磁気カップリング;ブザー, チャイム等の各種振動
発振機;マグネットセパレーター, マグネットチャック
等の各種吸着用機器;電磁開閉器, マイクロスイッチ,
ロッドレスエアーシリンダー等の各種開閉制御機器;光
アイソレーター, クライストロン, マグネトロン等の各
種マイクロ波機器;マグネット発電器;健康器具, 玩具
等である。なお,このような磁石応用製品は一例であ
り,これらに限定されるものではない。
【0044】また,本発明による永久磁石合金の特徴は
熱安定性に優れ,錆にくいことであり高い環境温度で使
用しても, 従来材よりも特性の劣化は少なく, 又従来材
のように磁石品の最外露出表面に耐酸化性保護被膜を形
成しなくても高い磁気特性を保持しながら該磁石自身に
優れた耐酸化性が付与されていることから, 保護被膜が
不要となることはもとより, 特殊な環境用として保護被
膜の必要が生じた場合でも, 磁石内部からの錆の発生が
ないので, 保護被膜を形成するさいの接着性が良好であ
ると共に, 被膜の剥離や被膜厚みの変動による寸法精度
の問題等が解消される。この面からも熱安定性及び耐酸
化性を必要とする用途には最適な永久磁石を提供でき
る。 以下に実施例を挙げて本発明磁石の特性を明らか
にする。
【0045】
【実施例1】原料として純度99.9%の電解鉄, ボロン含
有量19.32%のフエロボロン合金, 添加物Mとして純度9
9%の弗化バリウム,さらにR元素として純度98.5%
(不純物として, 他の希土類元素を含有する) のネオジ
ウム金属を使用し,組成比(原子比) として18Nd-72Fe
-1B-2BaF2 となるように計量・配合し,真空中,高周
波誘導炉で溶解した後, 水冷銅鋳型中に鋳込み, 合金塊
を得た。このようにして得られた合金塊をジョークラッ
シャーで破砕後,アルゴンガス中でスタンプミルを用い
て−100meshまで粗砕した後, 組成比 (原子比) が18Nd
-72Fe-1B-7C-2BaF2 となるように, 更に純度99.5
%のカーボンブラックを該粗砕粉に添加し, 次いで, 振
動ミルを用いて平均粒子径5μmまで粉砕した。このよ
うにして得られた合金粉末を10 KOeの磁界中1ton/cm2
の圧力で成形した後, アルゴンガス中1120℃で1時間保
持した後,急冷し, 焼結体を得た。
【0046】なお,比較例1として, 原料の弗化バリウ
ムを除き,組成比が18Nd-74Fe-1B-7Cとした以外
は,実施例1と同一の操作で焼結体を得た。また比較例
2として,原料はカーボンブラックを除き,実施例1と
同一とし,組成比が18Nd-74Fe-6B-2BaF2 となるよ
うに計量・配合し,実施例1と同様に(但しカーボンブ
ラックは無添加)溶解後,粗砕,微粉砕,磁場成形し,
次いで焼結,急冷して焼結体を得た。
【0047】このようにして得られた焼結体の不可逆減
磁率をフラックスメーターを用いて次の手順で測定し
た。 (1) パーミアンス係数(Pc)が3になるように形状調整
した上記焼結体試料を50KOeで着磁後, 室温(25℃) でフ
ラックスを測定する。この時のフラックス値をA0とす
る。 (2) ついで上記試料を160℃で120分間加熱処理した後,
室温まで冷却し,再びフラックスを測定する。この時の
フラックス値をAtとする。 (3) 不可逆減磁率の値を次の式で算出する。 上記測定法に基づく焼結体の不可逆減磁率の評価を表1
に示した。表1において「比1」は比較例1の略である
(以下,同じ)。
【0048】表1から明らかのように,実施例1の焼結
体の不可逆減磁率は,−10.3%であるのに対して比較例
1のものでは,−17.9%と本発明の実施例1に比べて劣
っている。更には,本発明による実施例1の焼結体(C
含有粒界相で各磁性結晶粒を被覆してなる焼結体)で
は,比較例2(C含有の粒界相を持たない焼結体)に比
較して室温(25℃) における保磁力(iHc) が0.5KOe低い
にも拘わらず, 不可逆減磁率は−10.3であり,比較例2
(C含有の粒界相を持たない焼結体)の−28.4%に比べ
て小さくなっている。
【0049】また,実施例1の焼結体の粒界相における
C含有量をEPMAを用いて測定した結果は 4.5重量%であ
った。更に磁性結晶粒の粒径を焼結組織のSEMによる観
察から100個を測定したところ,その範囲は0.6〜33μm
であった。一方,TEMにより測定した粒界相の厚みは0.01
3〜6.7μmであった。これらの値を表1に示した。又室
温(25℃)における磁気特性としてVSMを用いて測定した
Br, iHc及び(BH)maxの値も表1に示した。このよう
に,本発明による永久磁石合金は比較例1及び2のもの
に比べて熱安定性に優れていることが明らかである。
【0050】なお,上記焼結体の耐酸化性の評価(耐候
性試験)として,温度60℃, 湿度90%の恒温・恒湿下で
6ケ月間(5040時間) 放置した時のBr, iHcの減少率を
測定したところ, Br:−1.09%, iHc:−0.95と極めて
小さく, また外観観察では錆がほとんど認められず, 耐
酸化性が著しく向上していることが明らかになった。こ
れに対して比較例2の焼結体ではわずか1ケ月(720時
間) 後の減少率がBr:−8.7%, iHc:−3.8%となり,
これ以上の放置時間では, 原形を留めないほど錆が激し
く測定不能であった。このように本発明による永久磁石
合金は比較例2のものに比べて耐酸化性にも優れている
ことがわかる。
【0051】
【実施例2〜5】カーボン量が,表1に示す組成比にな
るように,カーボンブラックを微粉砕時に追添した以外
は,実施例1と同様の操作を行い焼結体を得た。更に,
比較例3として, 18Nd-79Fe-1B-2BaF2 となるよう
に計量・配合した後, 比較例2と同様な操作を行って焼
結体を得た。また比較例4〜7として, 原料の弗化バリ
ウムを除いたうえ, 更にはカーボン量が表1の組成とな
るようにした以外は,上記実施例と同様の操作を行って
焼結体を得た。このようにして得られた焼結体の160℃
における不可逆減磁率, 粒界相におけるC量, 磁性結晶
粒径, 粒界相の厚み及び磁気特性を実施例1と同一の方
法で評価し,その結果を表1に示した。表1から明らか
なように,弗化バリウムを添加した本発明に従う焼結体
はいずれも各比較例4〜7の弗化バリウム無添加のもの
に比べて不可逆減磁率が小さいことがわかる。なお,比
較例3では粒界相中にCが含有されておらず,磁気特性
は低い値となった。
【0052】
【表1】
【0053】
【実施例6〜10】原料の溶解時に,表2に示すボロン
(B)量及び弗化リチウム(LiF) 量になるように計量
・配合した以外は, 全て実施例1と同様の操作を行って
実施例6〜10の焼結体を得た。また比較例8〜11とし
て, 原料の弗化リチウムを除き, またボロン量が表2の
組成になるように計量・配合し同様の操作を行って焼結
体を得た。比較例12はボロン (B) 量を0原子%とした
例であり,ボロンを配合しなかった以外は上記実施例と
同様な操作を行い焼結体を得たものである。
【0054】このようにして得られた焼結体の160℃に
おける不可逆減磁率, 粒界相におけるC量,磁性結晶粒
径,磁界相の厚み及び磁気特性を実施例1と同一の方法
で評価し,その結果を表2に示した。
【0055】表2から明らかなように弗化リチウムを添
加した実施例6〜10の焼結体は,いずれも対応する各比
較例8〜11の弗化リチウム無添加のものに比べて不可逆
減磁率が小さいことがわかる。又B含有量が2原子%未
満の実施例8は,B含有量が2原子%以上の実施例9に
比べて,iHcが0.3KOe低いにも拘わらず不可逆減磁率は
小さくなっている。更にB含有量が2原子%以上の実施
例10についても, 実施例4に比較すると同様なことが言
え,B含有量が2原子%未満の実施例4では,iHcが0.6K
Oe低いにも拘わらず,不可逆減磁率は実施例10より小さ
くなっており,特にB含有量が2原子%未満ではB≧2
原子%よりも不可逆減磁率は小さい。尚,比較例12のボ
ロン無添加では (BH)maxは0であった。
【0056】
【表2】
【0057】
【実施例11〜26】原料の溶解時に, 表3に示す各添
加物(M)を,表示の量となるように計量・配合した以
外は,全て実施例1と同様の操作を行って実施例11〜26
の焼結体を得た。このようにして得られた焼結体の160
℃における不可逆減磁率, 粒界相におけるC量, 磁性結
晶粒径, 粒界相の厚み及び磁気特性を実施例1と同一の
方法で評価し,その結果を表3に示した。表3から明ら
かなように,Mを添加した実施例11〜26の焼結体は, 表
1のM無添加の比較例1のものに比べて不可逆減磁率が
小さくなっており,M添加の効果が認められる。
【0058】
【表3】
【0059】
【実施例27〜35】原料として純度99.9%の電解鉄,
ボロン含有量19.32%のフエロボロン合金, 純度99.5%
のカーボンブラック,添加物Mとして純度99%の窒化ア
ルミニウム( AlN), 及び表4に示す希土類元素を,表
4に示す組成比となるように計量・配合し,真空中, 高
周波誘導炉で溶解した後, 水冷銅鋳型中に鋳込み, 合金
塊を得た。このようにして得られた合金塊を680℃で15
時間加熱後, 炉内放冷した。次いで該合金塊をジョーク
ラッシャーで破砕した後, アルゴンガス中でスタンプミ
ルを用いて−100meshまで粗砕し, 次いで, 振動ミルを
用いて平均粒子径5μmまで粉砕した。このようにして
得られた合金粉末を実施例1と同様の操作を行って実施
例27〜35の焼結体を得た。また比較例13〜21として,原
料の窒化アルミニウムを除いたうえ, 表4の組成になる
ように計量・配合した以外は,上記実施例と同様の操作
を行って焼結体を得た。このようにして得られた焼結体
の160℃における不可逆減磁率, 粒界相におけるC量,
磁性結晶粒径, 粒界相の厚み及び磁気特性を実施例1と
同一の方法で評価し,その結果を表4に示した。表4か
ら明らかなように窒化アルミニウムを添加した実施例27
〜35の焼結体はいずれも対応する比較例13〜21の窒化ア
ルミニウム無添加のもの比べて不可逆減磁率が小さいこ
とがわかる。
【0060】
【表4】
【0061】
【実施例36】実施例1と同組成の合金微粉末を無磁場
中で成形した以外は,全て実施例1と同様の操作を行っ
て実施例1と同組成の焼結体を得た。比較例22として,
合金微粉末を無磁場中で成形した以外は,比較例1と同
様の操作を行って比較例1と同組成の焼結体を得た。こ
のようにして得られた焼結体の160℃における不可逆減
磁率, 粒界相におけるC量, 磁性結晶粒径, 粒界相の厚
み及び磁気特性を実施例1と同一の方法で評価し,その
結果を表5に示した。表5から明らかなように,弗化バ
リウムを添加した焼結体は比較例22の無添加のものに比
べて不可逆減磁率が小さいことが分かる。
【0062】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 H01F 1/053

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R−Fe−M−B−C系合金磁石(但し,
    RはNd,Pr,Ce,La,Y,Sm,Tb,Dy,
    Gd,Ho,Er,Tm,Ybより選ばれる少なくとも
    1種,Mは弗化物または窒化物より選ばれる少なくとも
    1種)であって,該合金の磁性結晶粒の各々が,0.0
    〜16重量%のCを含む粒界相で覆われていることを
    特徴とする不可逆減磁の小さい熱安定性に優れた永久磁
    石合金。
  2. 【請求項2】 弗化物はBaF,SrF,Ca
    ,MgF,PbF,LiF,KF,NaF,B
    iF,AlFまたはNdFであり,窒化物はAl
    N,BN,NbN,Si,TaN,TiN,V
    N,CrNまたはFeNである請求項1に記載の永久
    磁石合金。
  3. 【請求項3】 磁性結晶粒は,粒径が0.3〜150μ
    mの範囲にあり,粒界相の厚みが0.001〜30μm
    の範囲にある請求項1または2に記載の永久磁石合金。
  4. 【請求項4】 粒界相のC濃度は,磁性結晶粒のC濃度
    より高い請求項1,2または3に記載の永久磁石合金。
  5. 【請求項5】 該磁性合金の組成(磁性結晶粒と粒界相
    とを併せた全体の組成)が,原子百分比でR:10〜3
    0%,B:7%以下(0原子%を含まず),C:0.1
    〜20%,M:下記所定%の弗化物または窒化物の少な
    くとも1種以上(但し2種以上含む場合のMの合計量は
    当該弗化物または窒化物のうち最も高い上限値をもつも
    のの上限値以下),残部がFeおよび製造上不可避的不
    純物からなる請求項1,2,3または4に記載の永久磁
    石合金, M含有量(但し,0原子%を含まず)は, BaF:5%以下,SrF:5%以下,CaF
    7%以下,MgF:5%以下,PbF:3%以下,
    LiF:4%以下,KF:3%以下,NaF:3%以
    下,BiF:3%以下,AlF:6%以下,NdF
    :7%以下,AlN:6%以下,BN:6%以下,N
    bN:6%以下,Si:3%以下,TaN:5%
    以下,TiN:4%以下,VN:5%以下,CrN:4
    %以下,FeN:3%以下である。
  6. 【請求項6】 Bは2%未満(0原子%を含まず)であ
    る請求項5に記載の永久磁石合金。
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