JP2016201478A - 希土類磁石素材、及び希土類磁石素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サマリウム、鉄、ガリウム、及び窒素を含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性粒子と、サマリウム、鉄、及び窒素を含み、多結晶でかつ等方性を有し、前記異方性粒子同士を結着する複数の等方性粒子とを備え、前記異方性粒子の全体に対する含有量が50質量%以上である希土類磁石素材。
【選択図】図1
Description
準備工程:Sm−Fe系合金のインゴットを準備して、そのインゴットを粉砕し、粉砕した合金粉末を不均化温度以上で水素化(HD:Hydrogenation−Disproportionation)処理する。
成形工程:水素化処理した磁石用粉末を圧縮成形する。
脱水素工程:成形した粉末成形体を再結合温度以上で脱水素(DR:Desorption−Recombination)処理する。
窒化工程:窒素元素を含む雰囲気中、窒化温度以上窒素不均化温度以下の温度で窒化処理する。
上述のように、Sm−Fe系合金粉末を磁石用原料粉末とする圧粉磁石は成形性を高められて磁粉密度の高い磁石が得られるものの、原料粉末は結晶磁化容易軸が種々の方向に向いている等方性粒子で構成されているため結晶配向度を高め難く残留磁化を高め難い。そこで、残留磁化を高めるために、例えば、Smを含み一軸結晶磁気異方性を有する異方性粒子を用いることが考えられるが、この異方性粒子は一般に塑性加工性に劣ることから、ボンド磁石のように異方性粒子同士を結着するための結着樹脂が必要である。非磁性材料である樹脂を含めば、磁石用原料の磁粉密度が低くなり、磁気特性の向上が難しい。
(a)Smの水素化合物と鉄族元素とが独立した相として存在する合金、即ち水素不均化状態の組織を有する合金は、塑性加工性に優れることから、異方性粒子同士を結着できる。
(b)この水素不均化状態の組織を有する合金は、結着後に脱水素処理を施して再結合合金とし、更に窒化処理することで、Sm−Fe−N系合金などの磁石相からなる結着材とすることができる。
本発明は、これらの知見に基づくものである。最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
x=3.3原子%以上12.9原子%以下
y=4.5原子%以上18.2原子%以下
z=8.6原子%以上31.0原子%以下
α=3.3原子%以上12.9原子%以下
β=8.6原子%以上31.0原子%以下
t=3.8原子%以上14.9原子%以下
u=5.2原子%以上21.1原子%以下
(a)10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部がFeを含む鉄含有物の相とからなる。
(b)Smの水素化合物の相と、鉄含有物の相とが隣接して存在している。
(c)Smの水素化合物の相はSmH2を含み、その相の形状が粒状である。
(d)鉄含有物の相を介して隣り合うSmの水素化合物の相間の間隔が3μm以下である。
本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[希土類磁石素材]
主に図1を参照して実施形態1に係る希土類磁石素材1を説明する。希土類磁石素材1は、希土類磁石素材1を構成する複数の粒子が圧縮成形されたものである。この希土類磁石素材1の主たる特徴とするところは、特定の性質を有する異方性粒子21を磁性成分である等方性粒子31により結着する点と、その異方性粒子21の質量割合を特定の量とする点とにある。以下、詳細に説明するが、前者の点により希土類磁石素材1を実質的に磁性成分のみで構成できて磁粉密度を高められて磁気特性を高められ、後者の点により希土類磁石素材1の配向度を高め易く残留磁化を高め易い。まず、希土類磁石素材を説明し、その後、希土類磁石素材の製造方法を説明する。
異方性粒子21は、後述の複数の等方性粒子31(等方性粉末3)と共に圧縮成形され、等方性粒子31により結着される(図1)。異方性粒子21は、単結晶であり、結晶磁化容易軸が一方向に配向する一軸結晶磁気異方性を有する。図1において、異方性粒子21内に示す矢印は、結晶の配向方向を示す。結晶組織の観察は、希土類磁石素材1の観察面について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることで行える。配向方向の測定は、例えば、希土類磁石素材1の観察面についてSEM観察を行い、観察像を観察面に平行な方向で評価した電子線後方散乱回折法(EBSD:EBSPと呼ばれることがある)による方位マップを利用することが挙げられる。
異方性粒子21は、サマリウム(Sm)と、鉄(Fe)を含む鉄族元素と、ガリウム(Ga)と、窒素(N)とを有するSm−Fe−Ga−N系化合物からなるSm−Fe−Ga−N系合金である。Gaは、Feの一部に置換されて存在する。この異方性粒子は、不可避的不純物の含有を許容する。
異方性粒子21の平均粒径は、3μm以上50μm以下が好ましい。この平均粒径が上記範囲を満たすことで、緻密な希土類磁石素材1とし易い。この平均粒径は40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。この平均粒径の測定は、SEMで断面の画像を取得し、市販の画像解析ソフトを用いて解析することで行える。その際、円相当径を粒子の粒径とする。円相当径とは、粒子の輪郭を特定し、その輪郭で囲まれる面積Sと同一の面積を有する円の径とする。つまり、円相当径=2×{上記輪郭内の面積S/π}1/2で表される。この平均粒径は、後述する異方性原料粉末準備工程で準備した異方性原料粉末5(図2)の平均粒径D50が実施的に維持されたものである。この異方性粒子21の平均粒径は、上述のように異方性粒子21の組織が単結晶であるため、平均結晶粒径ともいえる。
等方性粒子31は、異方性粒子21同士を結着する。この等方性粒子31の多くは、異方性粒子21同士の間に介在している。等方性粒子31は、複数の異方性粒子21(異方性粉末2)と共に圧縮成形されており、異方性粒子21間で変形して存在するものがある。等方性粒子31は、多結晶であり、各結晶の結晶磁化容易軸が種々の方向に向いている等方性を有する。図1の一つの六角形は多結晶を構成する一つの結晶粒を模式的に示したものであり、六角形内の矢印は結晶の配向方向を示す。六角形内の矢印の方向は例示である。結晶組織の観察と配向方向の測定とは、異方性粒子21と同様、SEMとEBSDにより行える。
等方性粒子31の組成は、SmとFeを含む鉄族元素とNとを有するSm−Fe−N系化合物を主相とするSm−Fe−N系合金である。鉄族元素は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)から選択される1種以上の元素が挙げられる。また、Feの一部がGaに置換されていてもよい。この等方性粒子31は、不可避的不純物の含有を許容する。
等方性粒子31の平均結晶粒径は、700nm以下が挙げられる。平均結晶粒径が700nm以下と微細であることで、微細結晶組織に起因する磁気特性(特に保磁力)の向上効果が期待できる。上記平均結晶粒径は、小さいほど単磁区粒子臨界径に近くなり磁気特性に優れる。上記平均結晶粒径は、500nm以下、更に300nm以下が好ましい。平均結晶粒径は、上述の異方性粒子21の平均粒径の測定と同様に、SEM画像から各結晶粒の円相当径の平均を算出することで求められる。
等方性粒子31の平均粒径は、50μm以上350μm以下が好ましい。等方性粒子31の平均粒径を上記範囲とすることで、異方性粒子21同士の間に介在させ易く、異方性粒子21同士を結着し易い。平均粒径の測定は、異方性粒子21と同様の測定により行える。この平均粒径は、後述する粉砕工程で作製した水素化粉末6(図2)の平均粒径D50が実質的に維持されたものである。
希土類磁石素材1における異方性粒子21の含有量は、50質量%以上とすることが挙げられる。異方性粒子21の含有量は多いほど、希土類磁石素材1における等方性粒子31の含有量が相対的に少なくなるため、希土類磁石素材1の配向度を高め易く残留磁化を高め易い。異方性粒子21の含有量の下限値は、60質量%以上がより好ましく、更には70質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。即ち、等方性粒子31の含有量の上限値は、40質量%以下がより好ましく、更には30質量%以下、特に20質量%以下が好ましい。異方性粒子21の含有量の上限値は、等方性粒子31により結着される点を鑑みると、95質量%以下が挙げられ、更には90質量%以下が挙げられる。即ち、等方性粒子31の含有量の下限値は、異方性粒子21同士の結着性の点から5質量%以上が挙げられ、更には10質量%以上が挙げられる。この異方性粒子21の含有量の測定は、SEMを用いた結晶粒径分布の観察結果から、単結晶粒子(異方性粒子21)と多結晶粒子(等方性粒子31)の面積比を測定し、この面積比と粒子の真密度とにより計算することで行える。結晶粒径の観察は、例えば、希土類磁石素材1の観察面についてSEM観察を行ない、観察像を観察面に平行な方向で評価したEBSDによる粒径観察結果を利用できる。異方性粒子21と等方性粒子31の面積比の測定は、SEM画像を市販の画像解析ソフトを用いて解析することで行える。
希土類磁石素材1の磁粉密度は、高いほど磁気特性を高め易いため、例えば、70体積%以上が好ましい。残部は、空隙である。図1では、説明の便宜上、空隙は省略して示している。この点は後述の図2でも同様である。この磁粉密度は、80体積%以上がより好ましい。この磁粉密度の測定は、真密度に対する実際の密度([希土類磁石素材の見かけ密度/希土類磁石素材の真密度]の百分率)により求められる。見かけ密度は、希土類磁石素材1のサイズと質量から算出する。
希土類磁石素材1の配向度は、高いほど残留磁化を高め易い。上述のように異方性粒子21は一軸結晶磁気異方性を有しているため、配向度は主として異方性粒子21の含有量に影響を受け易く、異方性粒子21の含有量が多いほどこの配向度は高くなる傾向にある。この配向度は、例えば、75%以上が好ましい。この配向度を75%以上とすることで、希土類磁石に好適である。この配向度は、80%以上がより好ましく、更には85%以上、90%以上、特に95%以上が好ましい。配向度の測定方法は、後述の試験例で説明する。
希土類磁石素材1の残留磁化は、0.80T以上であることが好ましい。そうすれば、希土類磁石に好適に利用できる。この残留磁化は、0.85T以上が好ましく、更には0.90T以上、0.95T以上、特に1.00T以上が好ましい。この希土類磁石素材1を着磁すれば、希土類磁石が得られる。残留磁化の測定方法は、後述の試験例で説明する。
上述の希土類磁石素材1は、複数の異方性粒子21を磁性成分である複数の等方性粒子31により結着しており、実質的に磁性成分のみで構成できるため、磁気特性に優れる希土類磁石が得られる。特に、異方性粒子21の配向方向の揃った割合を高め易いため、配向度が高く残留磁化の高い希土類磁石が得易い。
希土類磁石素材1の製造は、準備工程と、成形工程と、脱水素工程と、窒化工程とを備える希土類磁石素材の製造方法により行える。以下、図2を参照して各工程の詳細を順に説明する。
準備工程では、異方性原料粒子51を複数有する異方性原料粉末5と、水素化粒子61を複数有する水素化粉末6との混合粉末を含む磁石用粉末4を準備する。磁石用粉末4の準備は、異方性原料粉末5を準備する異方性原料粉末準備工程と、水素化粉末6を準備する水素化粉末準備工程と、両粉末の混合粉末を含む磁石用粉末4を作製する混合工程と、を経て行える。
この工程で準備する異方性原料粉末5は、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性原料粒子51である。
水素化粉末6の準備は、原料合金準備工程と水素化工程と粉砕工程とを経て行える。
原料合金準備工程では、SmとFeを含む鉄族元素とを含むSm−Fe系化合物を主相とするSm−Fe系合金を準備する。
水素化工程は、Sm−Fe系合金を水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で熱処理して水素化処理した水素化合金を作製する。
粉砕工程は、水素化合金を機械的に粉砕して水素化粒子61を複数有する水素化粉末6を作製する。
混合工程では、異方性原料粉末5と水素化粉末6とを混合した混合粉末を含む磁石用粉末4を作製する。両粉末5,6の混合には、両粉末5,6を均一に混合できる適宜な混合機を用いて行うとよい。
成形工程では、磁石用粉末4を圧縮成形して粉末成形体7を作製する(図2上から2番目の図)。成形には、所望の形状の粉末成形体7が得られる金型9を利用するとよい。
脱水素工程は、粉末成形体7を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で熱処理して脱水素処理して磁石用成形体8を作製する(図2上から3番目の図)。粉末成形体7を構成する水素化粉末6は、水素化処理によりSmの水素化合物の相62と鉄含有物の相63に相分解した状態であり、脱水素処理することで、元のSm−Fe系化合物に再結合する。この脱水素処理により、Sm−Fe系合金の結晶粒が微細化され、平均結晶粒径が700nm以下の微細なSm−Fe系化合物の主相からなる多結晶組織のSm−Fe系合金が得られる。この平均結晶粒径は、500nm以下、更には100nm以上300nm以下程度とすることが挙げられる。
窒化工程は、磁石用成形体8に窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で熱処理して窒化処理する(図2下図)。この窒化処理により、磁石用成形体8を構成する上述のSm−Fe−Ga系合金を上述の組成の異方性粒子21にでき、磁石用成形体8を構成する上述のSm−Fe系合金の粒子を上述の組成の等方性粒子31にすることができる。即ち、異方性粒子21と等方性粒子31とを備える上述の希土類磁石素材1が得られる。
上述の希土類磁石素材の製造方法によれば、特定の量の異方性原料粒子51と水素化粒子61とを準備して、特定の大きさの磁場を印加して圧縮成形した後、上記脱水素処理及び窒化処理を経ることで、実質的に磁性成分で構成されると共に、異方性粒子21の配向方向の揃った割合が高い状態で等方性粒子31により結着された希土類磁石素材1を製造できる。即ち、配向度が高く磁気特性(特に残留磁化)の高い希土類磁石が得られる希土類磁石素材1を製造できる。
希土類磁石素材の試料を作製した後、各試料を用いて希土類磁石を作製して、各試料の磁気特性を評価した。
希土類磁石素材の試料No.1−1〜1−8は、上述の希土類磁石素材の製造方法と同様にして、準備工程→成形工程→脱水素工程→窒化工程の手順で作製した。
準備工程では、異方性原料粉末と水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備した。
異方性原料粉末として、単結晶で一軸結晶磁気異方性を有し、原子%での組成がSm10.6Fe73.6Ga15.8であり、化学量論組成がSm2Fe14Ga3である合金粉末を準備した。異方性粒子の平均粒径D50は、50μmとした。
水素化粉末を準備する。水素化粉末は、原料合金準備工程、水素化工程、粉砕工程の順に経て作製した。
原料合金として、粒度が0.5mm〜30mmで、原子%での組成がSm10.6Fe89.5であり、化学量論組成がSm2Fe17の原料合金のインゴットを準備した。
上記インゴットに水素化処理を施して水素化合金を作製した。水素化処理は、真空熱処理炉を用いて、条件を、水素雰囲気中、800℃×3時間として行った。
水素化合金を粉砕して水素化粉末を作製した。この粉砕は、超硬合金製の乳鉢を用いて行った。得られた水素化粉末について、レーザ回折式粒度分布測定装置により体積粒度分布を測定したところ、平均粒径D50が150μmであった。
(a)10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部が鉄を含有する鉄含有物の相とからなる組織を有している。
(b)Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とは隣接して存在している。
(c)Smの水素化合物の相はSmH2を含み、その相の形状が粒状である。
(d)鉄含有物の相を介して隣り合う希土類元素の水素化合物の相の間隔は3μm以下である。
異方性原料粉末と水素化粉末とを混合した混合粉末を含む磁石用粉末を作製した。両粉末の混合は、V型混合機を用い、窒素雰囲気中で30min行った。各試料の異方性原料粉末と水素化粉末との配合割合を表1に示す。
磁石用粉末を金型に充填し、圧縮成形して長さ約10mm、幅約10mm、高さ約10mmの角柱状の粉末成形体を作製した。圧縮成形は、成形圧力を980MPa(10ton/cm2)とし、表1に示す大きさの磁場を印加して行った。
粉末成形体に脱水素処理を施して磁石用成形体を作製した。脱水素処理は、真空熱処理炉内の雰囲気を水素雰囲気から真空雰囲気に切り換えて、条件を、真空雰囲気中、750℃×3時間として行った。真空雰囲気の真空度は0.5Pa未満に設定した。
磁石用成形体に窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で熱処理して窒化処理して希土類磁石素材の試料を作製した。窒化処理は、体積比でNH3:H2=1:3の混合ガス雰囲気中、400℃×12時間として行った。
希土類磁石素材の試料No.1−100は、試料No.1−1と同様の水素化粉末のみを磁石用粉末に用いた点と、成形工程で磁場を印加せずに圧縮成形して粉末成形体を作製した点とを除き、試料No.1−1と同様にして作製した。
希土類磁石素材の試料No.1−101は、試料No.1−1と同様の水素化粉末のみを磁石用粉末に用いた点を除き、試料No.1−1と同様にして作製した。
希土類磁石素材の試料No.1−102〜1−104は、試料No.1−1と同様の水素化粉末と、Sm2Fe17合金粉末とを混合した混合粉末を磁石用粉末に用いた点を除き、試料No.1−1と同様にして作製した。このSm2Fe17合金粉末は、水素化粉末に対して試料No.1−1と同様の条件の脱水素処理を施して作製した。試料No.1−102〜1−104の相違点は、水素化粉末とSm2Fe17合金粉末との配合割合にある。各試料の配合割合を表1に示す。
希土類磁石素材の試料No.1−110は、磁石用粉末を樹脂のバインダで結着した希土類ボンド磁石とした点が試料No.1−1と相違する。磁石用粉末には、Sm2Fe17N3の合金粉末を用いた。このSm2Fe17N3合金粉末は、試料No.1−1と同様の水素化粉末に対して試料No.1−1と同様の条件の脱水素処理と窒化処理とを施して作製した。バインダには、エポキシ樹脂を用いた。この磁石用粉末とバインダの配合割合を表1に示す。ここでは、磁石用粉末と樹脂とを混合し、この混合材料を150℃に加熱した金型に充填して1.5Tの磁場を印加して686MPa(7ton/cm2)の成形圧力で加圧成形し、樹脂を冷却・固化して作製した。
各試料の希土類磁石素材の密度(g/cm3)と磁粉密度(体積%)を測定した。各試料の密度と磁粉密度を表1に示す。各試料の希土類磁石素材の密度は、サイズと質量から算出した見かけ密度とした。試料No.1−1〜1−8,1−100〜104の希土類磁石素材の磁粉密度は、「希土類磁石素材の見かけ密度/希土類磁石素材の真密度」の百分率から求めた。試料No.1−110の希土類磁石素材の磁粉密度は、「(希土類磁石素材の見かけ密度−バインダ樹脂の真密度)/(希土類磁石素材の真密度−バインダの真密度)」の百分率から求めた。希土類磁石素材の真密度は7.7g/cm3であり、バインダの真密度は1.01g/cm3である。
希土類磁石素材を3.5Tのパルス磁界で着磁して各試料の希土類磁石を作製し、希土類磁石の磁気特性を調べた。その結果を表1に示す。この希土類磁石の磁気特性は、BHトレーサ(理研電子株式会社製DCBHトレーサ)を用いて、残留磁化Br(T)を調べた。
各試料の希土類磁石の配向度を調べた。その結果を表1に示す。配向度は、「(Bra)/(Bra2+Brb2+Brc2)1/2」で算出した。
Bra:各試料の磁場印加方向と平行方向の残留磁化Br(T)
Brb、Brc:各試料の磁場印加方向に直交すると共に、互いに直交する方向の残留磁化Br(T)
2 異方性粉末 21 異方性粒子
3 等方性粉末 31 等方性粒子
4 磁石用粉末
5 異方性原料粉末 51 異方性原料粒子
6 水素化粉末
61 水素化粒子 62 Smの水素化合物の相 63 鉄含有物の相
7 粉末成形体
8 磁石用成形体
9 金型 91 ダイ 92 上パンチ 93 下パンチ
Claims (13)
- サマリウム、鉄、ガリウム、及び窒素を含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性粒子と、
サマリウム、鉄、及び窒素を含み、多結晶でかつ等方性を有し、前記異方性粒子同士を結着する複数の等方性粒子とを備え、
前記異方性粒子の全体に対する含有量が50質量%以上である希土類磁石素材。 - 前記異方性粒子の組成がSmxFe100−x−y−zGayNz(x、y、zを原子%)で表されるとき、x、y、及びzのそれぞれは以下を満たす請求項1に記載の希土類磁石素材。
x=3.3原子%以上12.9原子%以下
y=4.5原子%以上18.2原子%以下
z=8.6原子%以上31.0原子%以下 - 前記等方性粒子の組成がSmαFe100−α−βNβ(α、βを原子%)で表されるとき、α、及びβのそれぞれは以下を満たす請求項1又は請求項2に記載の希土類磁石素材。
α=3.3原子%以上12.9原子%以下
β=8.6原子%以上31.0原子%以下 - 前記異方性粒子と前記等方性粒子との合計の磁粉密度が70体積%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の希土類磁石素材。
- サマリウム、鉄、及びガリウムを含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子を複数有する異方性原料粉末と、サマリウム及び鉄を含み、水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で水素化処理した水素化粒子を複数有する水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備する準備工程と、
前記磁石用粉末を圧縮成形して粉末成形体を作製する成形工程と、
前記粉末成形体を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で脱水素処理して磁石用成形体を作製する脱水素工程と、
前記磁石用成形体を窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で窒化処理する窒化工程とを備え、
前記磁石用粉末における異方性原料粉末の配合割合が50質量%以上であり、
前記成形工程は、前記磁石用粉末に磁場を印加した状態で行う希土類磁石素材の製造方法。 - 前記成形工程で印加する磁場の大きさが0.5T以上である請求項5に記載の希土類磁石素材の製造方法。
- 前記異方性原料粒子の組成がSmtFe100−t−uGau(t、uを原子%)で表されるとき、t、及びuのそれぞれは以下を満たす請求項5又は請求項6に記載の希土類磁石素材の製造方法。
t=3.8原子%以上14.9原子%以下
u=5.2原子%以上21.1原子%以下 - 前記異方性原料粒子の平均粒径D50が3μm以上50μm以下である請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
- 前記水素化粒子は、
10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部がFeを含む鉄含有物の相とからなり、
前記Smの水素化合物の相と、前記鉄含有物の相とが隣接して存在しており、
前記Smの水素化合物の相はSmH2を含み、その相の形状が粒状であり、
前記鉄含有物の相を介して隣り合う前記Smの水素化合物の相間の間隔が3μm以下である請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。 - 前記水素化粒子の平均粒径D50が50μm以上350μm以下である請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
- 前記脱水素工程での処理温度が600℃以上である請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
- 前記窒素含有雰囲気は、NH3ガス雰囲気、NH3ガスとH2ガスとの混合ガス雰囲気、N2ガス雰囲気、及びN2ガスとH2ガスとの混合ガス雰囲気のいずれかの雰囲気である請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
- 前記窒化処理は、
温度を300℃以上550℃以下とし、
保持時間を10min以上2000min以下とする請求項5〜請求項12のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
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