JP2012103142A - 筋萎縮性側索硬化症マーカー及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インターαトリプシンインヒビター重鎖4、切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4及びグルタチオンペルオキシダーゼ3からなる群より選択される、いずれかのタンパク質分子からなる筋萎縮性側索硬化症マーカー及びそれを利用した筋萎縮性側索硬化症の検査法等が提供される。
【選択図】なし
Description
そこで本発明は、ALSの早期診断や信頼度の高い診断等を可能にすべく、ALS特異的なバイオマーカー及びその用途、即ちALSの検査に有用な技術を提供することを課題とする。具体的には、本発明の課題は、ALSの検査に有用なバイオマーカー、当該バイオマーカーを利用した検査法、及び当該検査法に利用される検査試薬などを提供することにある。
[1]インターαトリプシンインヒビター重鎖4、切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4及びグルタチオンペルオキシダーゼ3からなる群より選択される、いずれかのタンパク質分子からなる、筋萎縮性側索硬化症マーカー。
[2]インターαトリプシンインヒビター重鎖4、切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4及びグルタチオンペルオキシダーゼ3からなる群より選択される一又は二以上のタンパク質分子についての検体中レベルを指標として用いることを特徴とする、筋萎縮性側索硬化症検査法。
[3]以下のステップ(1)〜(3)を含む、[2]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法:
(1)被検者由来の検体を用意するステップ;
(2)前記検体中の一又は二以上の前記タンパク質分子を検出するステップ;及び
(3)検出結果に基づいて、筋萎縮性側索硬化症の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ。
[4]インターαトリプシンインヒビター重鎖4及び切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4については、検出値が高いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できると発症可能性が高いとの基準に従い、
グルタチオンペルオキシダーゼ3については、検出値が低いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できないと発症可能性が高いとの基準に従い、ステップ(3)の判定を行う、[3]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
[5]ステップ(2)で得られた検出値と対照検体の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、[3]又は[4]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
[6]ステップ(2)で得られた検出値と、同一の被検者から過去に採取された検体中の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、[3]又は[4]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
[7]前記検体が血液、血漿、血清、骨髄、又は脳脊髄液である、[2]〜[6]のいずれか一項に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
[8][1]に記載の筋萎縮性側索硬化症マーカーに特異的結合性を示す物質からなる、筋萎縮性側索硬化症検査試薬。
[9]前記物質が抗体である、[8]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査試薬。
[10][8]又は[9]に記載の筋萎縮性側索硬化症検査試薬を含む、筋萎縮性側索硬化症検査用キット。
本発明の第1の局面はALSのバイオマーカー(以下、「本発明のバイオマーカー」とも呼ぶ)に関する。本発明のバイオマーカーはALSの現在又は将来の発症可能性を評価する上で有用な指標である。「現在の発症可能性」は、検査時においてALSを発症しているか否か又は発症している確率を表すことになる。他方、「将来の発症可能性」はALSを将来発症する可能性(リスク)を表す。
本発明の第2の局面は上記本発明のバイオマーカーの用途に関し、ALSの現在又は将来の発症可能性を検査する方法(以下、「本発明の検査法」とも呼ぶ)を提供する。本発明の検査法は、ALSを現在発症しているか否かを判定するための手段として、或いはALSを将来発症する可能性を判定するための手段として有用である。即ち、本発明の検査法はALSを診断する上で有用な情報を与える。本発明の検査法によればALSの発症可能性を簡便且つ客観的に判定することが可能となる。
(1)被検者由来の検体を用意するステップ
(2)前記検体中の一又は二以上の前記タンパク質分子(即ち、指標として採用した一又は二以上のバイオマーカー)を検出するステップ
(3)検出結果に基づいて、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ
基準値よりもバイオマーカー1の検出値(検体中レベル)が高く、且つ基準値よりもバイオマーカー2の検出値(検体中レベル)が低いときに「発症可能性が高い」と判定し、基準値よりもバイオマーカー1の検出値(検体中レベル)が低く、且つ基準値よりもバイオマーカー2の検出値(検体中レベル)が高いときに「発症可能性が低い」と判定する。
(定性的判定の例2)
バイオマーカー1を検出でき(反応性を認め)、且つバイオマーカー2を検出できない(反応性を認めない)ときに「発症可能性が高い」と判定し、バイオマーカー1を検出できず、且つバイオマーカー2を検出できたときに「発症可能性が低い」と判定する。
以下に示すように検出値の範囲毎に発症可能性(%)を予め設定しておき、検出値から発症可能性(%)を判定する。
バイオマーカー1の検出値がa〜b、バイオマーカー2の検出値がa’〜b’:発症可能性は10%以下
バイオマーカー1の検出値b〜c、バイオマーカー2の検出値b’〜c’:発症可能性は10%〜30%
バイオマーカー1の検出値c〜d、バイオマーカー2の検出値c’〜d’:発症可能性は30%〜50%
バイオマーカー1の検出値d〜e、バイオマーカー2の検出値d’〜e’:発症可能性は50%〜70%
バイオマーカー1の検出値e〜f、バイオマーカー2の検出値e’〜f’:発症可能性は70%〜90%
(1)組合せに含まれるバイオマーカーの全てに関して陽性(カットオフ値以上)である場合を陽性(例えば発症可能性50%以上)と判定し、それ以外の場合を陰性(例えば発症可能性50%未満)と判定する。
(2)組合せに含まれるバイオマーカーの一つでも陽性(カットオフ値以上)の場合を陽性(例えば発症可能性50%以上)と判定し、それ以外の場合を陰性(例えば発症可能性50%未満)と判定する。
本発明はさらに、ALSの発症可能性を検査するための試薬及びキットも提供する。本発明の試薬は本発明のバイオマーカーに特異的結合性を示す物質(以下、「結合分子」と呼ぶ)からなる。結合分子の例として、バイオマーカーを特異的に認識する抗体、核酸アプタマー及びペプチドアプタマーを挙げることができる。結合分子は、採用するバイオマーカーに対する特異的結合性を有する限り、その種類や由来などは特に限定されない。また、抗体の場合、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
1.材料と方法
(1)ヒト血清サンプル
本試験はヘルシンキ宣言に従い、岐阜大学倫理委員会の審議、承認を得た後実施した。また、全対象者へインフォームドコンセントを実施し実験参加同意書への記名押印を得た。対象は弧発性ALS患者13例、アルツハイマー病患者10例、パーキンソン病患者10例および非神経疾患患者(黄斑円孔)17例である。ヒト血清サンプルを用いた試験はすべて岐阜大学医学部にて実施した。年齢、性別および血清採取時期は図8に示した。血清サンプルは試験実施まで-80℃で保存した。
SOD1H46Rラットおよび野生型 (wild-type: WT) ラット [SD-Tg (SOD1H46R-4)] は、日本エスエルシ−株式会社 (静岡) より購入した。SOD1H46RおよびWTラットは以下の3群に分けて試験を行った:発症前 (12週齢, n = 3-7), 発症後 (26週齢, n = 3-7) および病態末期 (30週齢, n = 3-7)。本試験では後肢を引きずり始めた時点をALS発症と見なした。すべてのラットは設定温度: 23℃ (許容範囲: 20〜26℃)、設定湿度: 55% (許容範囲: 40〜70%)、明暗各12時間 (照明: 午前8:00〜午後8:00) に維持された本学の動物飼育舎で飼育した。本試験を行うにあたっては、岐阜薬科大学動物舎運営委員会に動物実験承認申請を行い、許可を受けた上で実施した。
発症前および発症後SOD1H46RおよびWTラットにネンブタール80 mg/kgを腹腔内投与して深麻酔させ、下大静脈より採血した。血液をエッペンドルフチューブに採取後、30分間室温で放置し、その後1,500×g、20分間、4℃で遠心分離を行い、血清を分取した。分取した血清は-80℃で保存した。
二次元電気泳動、MALDI-TOF MS解析およびLC-MS/MS解析はアプロサイエンス (徳島) に委託した。ラット血清サンプル20μLをVivapure Anti-HAS/IgG Kit (Satorius AG, Frankfurt, Germany) にて処理した後、冷アセトンにてタンパク質を沈殿させた。得られた沈殿を膨潤液 (7 M urea, 2% Thiourea, 20 mM dithiothreitol [DTT], 2 mM Tris-(2-cyanoethyl) phosphine, 2% 3-(3-cholamidepropyl) dimethylammonio-1-propanesulphonate [CHAPS], 0.2% [v/v] BioLyte 3-10, and trace of bromophenol blue) と混合し、その遠心上清をBradford法によりタンパク質量を定量した後、必要量を二次元電気泳動用のサンプルとした。
画像解析ソフトProgenesis SameSpot (Nonlinear Dynamics, Newcastle upon Tyne, UK) を使用してサンプル群のアベレージデータを作成した後、発症前SOD1H46R:WT、発症後SOD1H46R:WTおよび発症前SOD1H46R:発症後SOD1H46Rについて比較解析を行った。また、比較解析において、各群間でスポットのNorm. volume値 (Progenesis SameSpotにより算出された値) が1.5倍以上かつP < 0.05を満たすスポットを選別した。
SDSポリアクリルアミドゲルから目的のスポットを切り出した。ゲル片を脱色後、トリプシンを含むトリスバッファー (pH 8.0) を加え、35℃、20時間の処理を行った。その後、サンプル溶液をZipTip C18 (Millipore Corporation, Bedford, MA, USA) 処理し、マトリックス溶液に溶出、プレートにスポットした。自然乾燥後、MALDI-TOF MS分析に供した。外部キャリブレーション(External calibration)を適用して得られた生データ(Raw Data)をトリプシン由来ピークで内部キャリブレーション(Internal calibration)し、得られたモノアイソトピック質量(Monoisotopic mass)をMascot (http://www.matrixscience.com/, MatrixSicence Ltd., London, UK) にてNCBInrデータベース検索した(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。検索条件は、(i)Taxonomy: Rattus norvegicus (Rat)、(ii)Peptide Mass Tolerance: ± 20 ppm、(iii)Max Missed Cleavages: 1、(iv)Variable modifications: CarbamidomethylおよびOxidationである。プロテインスコア(Protein score)が61以上を有意差有り (P < 0.05) とした。
SDSポリアクリルアミドゲルから目的のスポットを切り出した。ゲル片を脱色後、トリプシンを含むトリスバッファー (pH 8.0) を加え、35℃、20時間の処理を行った。その後、サンプル溶液の全量をLC-MS/MS分析に供した。得られたマススペクトルをMascot (http://www.matrixscience.com/, MatrixSicence Ltd., London, UK) にてNCBInrデータベース検索した (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。イオンスコアが53以上を有意差有り (P < 0.05) とした。
ヒトおよびラット血清サンプルを、RIPA [1/100 protease inhibitor cocktail、1/100 phosphatase inhibitor cocktail 1および1/100 phosphatase inhibitor cocktail 2 含有] にて溶解し、溶解液は bicinchoninic acid (BCA) 法によりタンパク質濃度を定量した。その後、等量のタンパク質にてドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) を行った。ウェスタンブロッティングは、ゲル中のタンパク質をポリビニリデンジフルオリド(polyvinylidene difluoride;PVDF) メンブレンに転写することによって行った。PVDFメンブレンをBlock-One P (ナカライテスク株式会社) によってブロッキングした後、それぞれの一次抗体 [抗ITIH4抗体およびGpx3抗体] に一晩中、4℃にて反応させ、二次抗体であるHRP結合ヤギ抗ウサギまたはウサギ抗ヤギ抗体と1時間、室温にて反応させた。Super Signal West Femto Maximum Sensitivity Substrateを用いてバンドを発色させ可視化し、Luminescent image analyzer LAS-4000 UV mini (富士フイルム株式会社) およびMulti Gauge Ver.3.0 (富士フイルム株式会社) を用いてバンドの輝度を計測した。
実験成績は平均値 ± 標準誤差または標準偏差で示した。統計学的な比較は、STAT VIEW (SAS institute, Cary, NC, USA) を用いて二元配置分散分析またはスチューデントのt検定(Student’s t-test)により行った。危険率5 %未満を有意差有りとした。
(1)ラット血清プロテオーム解析
血清中の病態関連タンパク探索のため、発症前および発症後SOD1H46Rラット血清プロテオーム解析を行った。二次元電気泳動により血清中のタンパク質を分離し、CYPRO Rubyを用いてタンパク質を染色した結果、発症前(図1)および発症後(図2)についてそれぞれ電気泳動像が得られた。発症前では全1,397スポット中69スポットが、発症後では全1,412スポット中40スポットがSOD1H46RおよびWTラット間で有意 (P < 0.05) に変動していた。そのスポットの中で、スポットが明瞭でありかつ発症前後において変化のある2スポットに着目し、MALDI-TOF MSまたはLC-MS/MS分析を行った。同定された2種のタンパク質を図3に示す。発症前SOD1H46R ラット血清において、Gpx3スポットの%ボリューム値は同週齢WTと比較して1.6倍 (P < 0.05) 増加した (図4)。また、発症後SOD1H46Rラット血清におけるGpx3量は、発症前と比較して68.5 ± 5.1% (P < 0.05) に減少した (図4)。一方、発症後SOD1H46Rラット血清におけるITIH4量は、同週齢WTと比較して1.6倍 (P < 0.05)、発症前と比較して1.9倍 (P < 0.05) 増加した (図5)。これら2タンパク質のWT血清中における変化は認められなかった (図4、5)。以上の通り、ALS発症との相関が示唆される2種類のタンパク質(Gpx3、 ITIH4)が同定された。
二次元電気泳動の結果に基づき、ラット血清中Gpx3量をウェスタンブロッティング法により検討した (図6)。発症前SOD1H46Rラット血清において、Gpx3量は、同週齢WTと比較して1.3倍 (P < 0.01) 増加した。また、病態進行に伴いGpx3量は減少し、病態末期ではWTと比較して74.3 ± 2.9% (P < 0.05) に減少した (図7)。このように、ALSの発症及び病態進行に伴い、血清Gpx3量が減少することが示された。
弧発性ALS患者、アルツハイマー病患者、パーキンソン病患者および黄斑円孔患者 (非神経変性疾患コントロール) の血清中Gpx3量をウェスタンブロッティング法により検討した。患者背景を図8に示す。弧発性ALS患者は総数13名 (男性11名、女性2名)、アルツハイマー病患者は総数10名 (男性6名、女性4名)、パーキンソン病患者は総数10名 (男性3名、女性7名) および黄斑円孔患者は総数17名 (男性3名、女性14名) であった。弧発性ALS患者、アルツハイマー病患者、パーキンソン病患者および黄斑円孔患者の年齢はそれぞれ64.8 ± 3.4歳、74.7 ± 7.7歳、67.5 ± 5.6歳および64.6 ± 4.5歳であった。弧発性ALS血清中GPX3量はアルツハイマー病、パーキンソン病およびコントロールと比較して、それぞれ62.9 ± 6.4% (P < 0.05)、 59.2 ± 6.1% (P < 0.05)、および71.8 ± 7.4% (P < 0.05) に減少した (図9)。このように、血清GPX3量がALS患者特異的に減少することが判明した。即ち、臨床検体においてもGPX3量がALS特異的マーカーになることが確認された。尚、血清中でその変動を検知できたことは、当該分子の臨床応用を図る上で極めて重要な意味をもつ。
Gpx3と同様に、ラット血清中ITIH4量をウェスタンブロッティング法にて検討した (図10)。発症後および病態末期SOD1H46Rラット血清において、120 kDa ITIH4量は同週齢WTと比較してそれぞれ2.5倍 (P < 0.01) および3.3倍 (P < 0.05) 増加した (図11)。また二次元電気泳動の結果と同様に、発症前における120 kDa ITIH4量は差が認められなかった。さらに、血漿カリジノゲナーゼが切断することにより生じる切断型85 kDa ITIH4が病態末期SOD1H46Rラット血清において認められた (図12)。このように、発症に伴い血清中ITIH4量が増加することが示された。また、病態の進行と切断型ITIH4量の増加との間に相関を認めた。
弧発性ALS患者、アルツハイマー病患者、パーキンソン病患者および黄斑円孔患者 (非神経変性疾患コントロール) の血清中ITIH4量をウェスタンブロッティング法により検討した (図13)。患者背景を図8に示す。弧発性ALS患者は総数13名 (男性11名、女性2名)、アルツハイマー病患者は総数10名 (男性6名、女性4名)、パーキンソン病患者は総数10名 (男性3名、女性7名) および黄斑円孔患者は総数17名 (男性3名、女性14名) であった。切断型85 kDa ITIH4は弧発性ALS血清に特異的に認められ、その発現量はアルツハイマー病、パーキンソン病およびコントロールと比較して2.1倍 (P < 0.01)、2.7倍 (P < 0.01)、および 3.3倍 (P < 0.01) 増加した (図15)。一方、120 kDa ITIH4量に関しては各群間に差は認められなかった (図14)。また、弧発性ALS血清中に存在する活性化カリジノゲナーゼ量が、コントロールと比較して1.7倍 (P < 0.01) 増加した (図16)。以上の通り、血清中切断型ITIH4がALS患者特異的に検出された。即ち、血清中切断型ITIH4がALS特異的マーカーとして臨床上有用であることが確認された。尚、血清中でその変動を検知できたことは、当該分子の臨床応用を図る上で極めて重要な意味をもつ。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (10)
- インターαトリプシンインヒビター重鎖4、切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4及びグルタチオンペルオキシダーゼ3からなる群より選択される、いずれかのタンパク質分子からなる、筋萎縮性側索硬化症マーカー。
- インターαトリプシンインヒビター重鎖4、切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4及びグルタチオンペルオキシダーゼ3からなる群より選択される一又は二以上のタンパク質分子についての検体中レベルを指標として用いることを特徴とする、筋萎縮性側索硬化症検査法。
- 以下のステップ(1)〜(3)を含む、請求項2に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法:
(1)被検者由来の検体を用意するステップ;
(2)前記検体中の一又は二以上の前記タンパク質分子を検出するステップ;及び
(3)検出結果に基づいて、筋萎縮性側索硬化症の現在又は将来の発症可能性を判定するステップ。 - インターαトリプシンインヒビター重鎖4及び切断型インターαトリプシンインヒビター重鎖4については、検出値が高いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できると発症可能性が高いとの基準に従い、
グルタチオンペルオキシダーゼ3については、検出値が低いと発症可能性が高いとの基準、又は検出できないと発症可能性が高いとの基準に従い、ステップ(3)の判定を行う、請求項3に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。 - ステップ(2)で得られた検出値と対照検体の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、請求項3又は4に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
- ステップ(2)で得られた検出値と、同一の被検者から過去に採取された検体中の検出値との比較に基づきステップ(3)の判定を行う、請求項3又は4に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
- 前記検体が血液、血漿、血清、脊髄、又は脳脊髄液である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の筋萎縮性側索硬化症検査法。
- 請求項1に記載の筋萎縮性側索硬化症マーカーに特異的結合性を示す物質からなる、筋萎縮性側索硬化症検査試薬。
- 前記物質が抗体である、請求項8に記載の筋萎縮性側索硬化症検査試薬。
- 請求項8又は9に記載の筋萎縮性側索硬化症検査試薬を含む、筋萎縮性側索硬化症検査用キット。
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