JP2012102436A - 帽体用顎紐連結構造 - Google Patents

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浩之 山村
Yoshitaka Ikegami
佳隆 池上
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Abstract

【課題】帽体の着脱操作時において異物がバックルに挟み込まれることを抑えることの可能な帽体用顎紐連結構造を提供する。
【解決手段】顎紐17の長さを調整する帽体用顎紐連結構造20は、被押圧面である左側面22Fを有する支持プレート22と、支持プレート22に回転可能に支持され、回転によって左側面22Fに対する距離が変更される押圧面28Fを有する操作レバー26とを備える。そして、顎紐17が、左側面22Fと押圧面28Fとの間に通されており、操作レバー26が、回転によって締結位置に配置されると、顎紐17を介して左側面22Fを押圧面28Fで押圧する。
【選択図】図3

Description

この発明は、帽体に取り付けられた耳紐に顎紐を連結する帽体用顎紐連結構造に関する。
従来から、頭部を保護するためのヘルメットには、着用者の顎に掛け渡されて帽体を頭部に固定するための顎紐が取り付けられている。このような顎紐は、例えば、特許文献1に記載のように、雌バックルと雄バックとから構成されるバックルによって分離可能に連結されている。
特開2010−42101号公報
ところで、上述のようなバックルによって顎紐が連結される構成では、着用者の顎に掛けられる顎紐の長さが、着用者の顎に適した長さに前もって調整される。そのため、着用者が帽体を着用する際には、雌バックルに雄バックルを差し込むという差し込み操作が、着用者の顎とバックルとが接触するような状態で行われることになる。このようにして行われる差し込み操作では、顎下の一部や衣服の一部が雄バックルと雌バックルとの間に挟まれるという虞がある。そのうえ、顎の下に配置されるバックルを着用時に視認することができないため、大人と比べて手先が器用でない子供にとっては、差し込み操作を自分で行うことが困難となっている。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、帽体の着脱操作時において異物がバックルに挟み込まれることを抑えることの可能な帽体用顎紐連結構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、帽体に取り付けられた耳紐に顎紐を連結する帽体用顎紐連結構造であって、前記耳紐に連結される支持プレートと、前記支持プレートの一面である被押圧面に面して該支持プレートに回転可能に支持される操作レバーとを備え、前記操作レバーは、該操作レバーの回転位置に応じて前記被押圧面との距離が変わる押圧面を有し、前記顎紐は、前記支持プレートの前記被押圧面と前記操作レバーの前記押圧面との間に通されて、前記押圧面と前記被押圧面との距離が短くなるように前記操作レバーが回転することによって、前記支持プレートに固定されることを要旨とする。
上記構成の帽体用顎紐連結構造においては、顎紐の長さを変更する際には、押圧面と被押圧面との距離を操作レバーの回転で変えるだけでよい。それゆえに、例えば、雌バックルに雄バックルを差し込むという差込み操作が必要とされないため、帽体の着脱操作時における異物の挟み込み、特に着用者の顎下の一部や頬の一部をバックルに挟み込んでしまうことを抑えることが可能である。
また、この帽体用顎紐連結構造において、前記支持プレートは、前記被押圧面を有する基部と、前記基部における両端部に立設される一対の支持部と、前記支持部に形成される軸受け部とを有し、前記操作レバーは、前記軸受け部に軸支される回転軸を基端部に有す
る操作部と、前記操作部の基端部から延出形成され前記押圧面が先端に形成された押圧部とを有することを要旨とする。
具体的には、帽体用顎紐連結構造は、上述するような構成で具現化することが可能である。
この帽体用顎紐連結構造は、前記顎紐が前記支持プレートに支持される回転位置である締結位置に前記操作レバーが位置しているとき、前記操作レバーの先端部が前記基部の被押圧面から離れていることが好ましい。
ここで、操作レバーの先端が基部の被押圧面に接しているとなれば、該先端部に指が引っ掛かりにくいため、操作レバーが操作しづらい。この点、上記構成によれば、操作レバーの先端が被押圧面から離れているため、指が引っ掛かりやすくなる。その結果、操作レバーの操作性を向上することができる。
この帽体用顎紐連結構造において、前記支持プレートには、前記顎紐が挿通される2つの挿通孔が、前記押圧面によって前記顎紐を介して押圧される箇所を挟むように設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、一方の挿通孔に挿通された顎紐は、押圧面と被押圧面との間を通って他方の挿通孔に挿通される。そのため、挿通孔の内面との摩擦によって顎紐が支持プレートに保持されやすくなる。その結果、操作レバーを締結位置へ操作している最中における顎紐の変位が抑えられて、顎紐の長さを精度よく調整することができる。
この帽体用顎紐連結構造では、前記押圧面に少なくとも1つの押圧歯が形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、操作レバーが締結位置に位置しているとき、押圧歯の先端が顎紐に食い込むため、より大きな力で顎紐を被押圧面に押圧することができる。これにより、顎紐に作用した力によって操作レバーが回転してしまうことを抑えることができる。
この帽体用顎紐連結構造では、前記帽体には、互いに対向する第1の耳紐と第2の耳紐とが取り付けられ、前記支持プレートは、前記第1の耳紐に連結され、前記操作レバーは、前記支持プレートにて前記第2の耳紐とは反対側に配置されることが好ましい。
上記構成であれば、第1の耳紐に連結された支持プレートに対して、第2の耳紐とは反対側で操作レバーの回転操作が行われることになる。すなわち、着用者の顎や頬とは反対側で操作レバーの回転操作が行われるため、異物の挟み込み、特に顎下の一部や頬の一部をバックルに挟み込んでしまうこと効果的に抑えることができる。
本発明の帽体用顎紐連結構造によれば、帽体の着脱操作時において異物がバックルに挟み込まれることを抑えることが可能である。
本発明における帽体用顎紐連結構造を備えたヘルメットの正面側の斜視構造を示す斜視図。 ヘルメットにおける背面側の斜視構造を示す斜視図。 カムバックルと保持紐との連結の態様を示す分解斜視図。 保持紐が締結された状態におけるカムバックルの断面構造を示す断面図。 保持紐の締結が解除された状態におけるカムバックルの断面構造を示す断面図。 バイザーの斜視構造を示す斜視図。 正面側における帽体の内側の構造を示す平面図。 バイザーの装着する際の状態を示す図であって、衝撃吸収ライナーを省略して示した図。 バイザーが装着されたときの取り付け部と係合片との関係を示す図。 バイザーを左方向へ移動させるときの取り付け部と係合片との関係を模式的に示す図。 (a)支持板の左側面側における耳パッドの平面構造を示す平面図であって、グラフィックシールを省略して示した図、(b)支持板のうら面側における耳パッドの平面構造を示す平面図。 耳パッドの取り付け構造を示す斜視図。 施錠部の分解斜視図。
以下、本発明の帽体用顎紐連結構造がヘルメットに適用された一実施形態について図を参照して説明する。図1に示されるように、ヘルメット10における帽体11では、ABS樹脂からなる殻体12が外殻として略半球形状に成形されている。この殻体12の頂上部には、殻体12の内側から外側までを貫通する複数の通気孔12aが、正面側から背面側に向けて2列に配列されている。
帽体11の左側には、帯状をなす1本の左側耳紐16Lが吊り下げられている。第1の耳紐である左側耳紐16Lの全体は、略V字状に折り返されるとともに、この左側耳紐16Lの両端部は、帽体11の左側縁のうちで互いに異なる二箇所に連結されている。また、図2に示されるように、帽体11の右側には、これもまた帯状をなす1本の右側耳紐16Rが吊り下げられている。第2の耳紐である右側耳紐16Rの全体は、略V字状に折り返されるとともに、この右側耳紐16Rの両端部は、帽体11の右側縁のうちで互いに異なる二箇所に連結されている。
左側耳紐16Lの下端と右側耳紐16Rの下端とには、これもまた帯状をなす1本の顎紐17が連結されている。左側耳紐16Lと顎紐17とは、ポリアセタールからなるカムバックル20を介して連結されている。また、右側耳紐16Rと顎紐17とは、これもまたポリアセタールからなる連結部材18を介して連結されている。なお、これら左側耳紐16L、右側耳紐16R、及び顎紐17によって、帽体11を着用者の頭部に保持するための保持紐15が構成されている。以下では、顎紐17のうち、これら連結部材18とカムバックル20とを繋ぐ部分の長さを、顎紐17の長さという。
次に、右側耳紐16Rと顎紐17との連結の態様について、図2の拡大図を参照して説明する。
図2に示されるように、前後方向に広がる扇板状の連結部材18には、前後方向に延びる直線状の折り返し孔18aが貫通するとともに、この折り返し孔18aよりも帽体11側(上側)には、前後方向に延びる円弧状の出入孔18bが貫通している。右側耳紐16Rは、これら折り返し孔18aと出入孔18bとを介して、連結部材18に巻装されている。詳述すると、右側耳紐16Rは、連結部材18の右側から出入孔18bに挿通されるとともに、その連結部材18の左側から折り返し孔18aに挿通されている。そして、折り返し孔18aに挿通された右側耳紐16Rは、連結部材18の右側から再び出入孔18bに挿通されることで、連結部材18に連結されている。また、顎紐17の右側端部は、折り返し孔18aを介して連結部材18に巻装されている。詳述すると、顎紐17の右側端部は、連結部材18の左側から折り返し孔18aに挿通されて該折り返し孔18aにて折り返されている。そして、折り返し孔18aにて折り返された顎紐17は、留め具19を介して自身に留められている。
図2に示されるように、前後方向に延びる板状の留め具19には、前後方向に延びる直線状の挿通穴19a,19bが貫通している。顎紐17は、留め具19に形成されたこれら2つの挿通穴19a,19bに挿通されて、上述した折り返し孔18aで折り返されている。その折り返された部分は、上記2つの挿通穴19a,19bに再び挿通されている。これにより、顎紐17は、その折り返された部分の長さが一定に保持された状態で連結部材18に連結される。また、顎紐17と右側耳紐16Rとが、連結部材18を介して連結される。なお、留め具19に挿通されている顎紐17が緩められることによって、顎紐17の長さが調整される。
次に、左側耳紐16Lと顎紐17との連結の態様について、図3を参照して説明する。
図3に示されるように、カムバックル20を構成する支持プレート21には、前後方向に延びる板状の基部22が形成されている。また、基部22の上側には、扇板状をなす連結部23が一体形成されている。この連結部23には、前後方向に延びる折り返し孔23aと、該折り返し孔23aよりも帽体11側(上側)に配置される出入孔23bとが貫通している。左側耳紐16Lは、これら折り返し孔23a及び出入孔23bを介してカムバックル20に巻装されている。詳述すると、左側耳紐16Lは、カムバックル20の左側から出入孔23bに挿通されるとともに、同カムバックル20の右側から折り返し孔23aに挿通されている。そして、折り返し孔23aに挿通された左側耳紐16Lは、カムバックル20の左側から再び出入孔23bに挿通されることで、カムバックル20に連結されている。また、顎紐17の左側端部は、折り返し孔23aを介してカムバックル20に巻装されている。詳述すると、顎紐17の左側端部は、カムバックル20の右側面22B側から折り返し孔23aに挿通されて該折り返し孔23aにて折り返されている。そして、折り返し孔23aにて折り返された顎紐17は、カムバックル20に留められている。
図3に示されるように、基部22には、前後方向に延びる引き出し孔22aが貫通している。この引き出し孔22aには、折り返し孔23aにて折り返された顎紐17が、被押圧面としての左側面22F側から挿通される。この引き出し孔22aから引き出された顎紐17の余剰部分17rでは、その先端部に折り返し縫いが施されている。また、基部22における前後方向の両側部には、一対の支持部24が互いに対向するように立設されている。各支持部24における連結部23側には、これもまた互いに対向する軸受け部としての軸挿通孔25が貫通している。これら一対の軸挿通孔25には、操作レバー26が回転可能に支持される。
操作レバー26は、支持プレート21にて右側耳紐16Rとは反対側に配置されている。操作レバー26の下側には、支持プレート21に向けて突出した半円筒状の操作部27が形成され、また、操作部27の上側には、該操作部27の上端から支持プレート21に向けて屈曲した板状の押圧部28が一体形成されている。操作部27は、例えば着用者によって操作される部位であって、その基端部における側面の各々には、回転軸27Aが突設されている。この回転軸27Aは、支持部24に形成された軸挿通孔25に挿通される。押圧部28において支持プレート21に向かう先端には、前後方向に配列された複数の押圧歯28a(本実施形態では6個)からなる押圧面28Fが形成されている。そして、折り返し孔23aで折り返された顎紐17は、基部22の左側面22Fと操作レバー26の押圧面28Fとの間を通って引き出し孔22aから引き出されている。
こうした構成のカムバックル20によれば、図4に示されるように、回転軸27Aを中心にして操作部27の下端が基部22に向けて回転すると、押圧部28の押圧面28Fは、押圧歯28aの先端を顎紐17に食い込ませつつ、顎紐17の上から基部22の左側面を押圧する。すなわち、顎紐17は、押圧部28の押圧面28Fによって、基部22の左側面22Fに押さえ付けられる。なお、この際に顎紐17が受ける押圧力は、カムバック
ル20に対して顎紐17が固定されるのに十分な力であり、このように押圧面28Fが顎紐17を押さえ付けている状態をカムバックル20の締結状態という。また、このときの操作レバー26の位置を締結位置というとともに、操作レバー26は締結位置よりも基部22に向かって回転しないようになっている。
また、図4に示されるように、押圧面28Fを構成する押圧歯28aの先端面は、締結位置において顎紐17に面接触する平坦面に形成されている。この先端面は、折り返し孔23a側の端と回転軸27Aの中心Cとを結ぶ仮想線SLが、先端面の任意の点と回転軸27Aの中心Cとを結ぶ仮想線のうちで最も長くなるように形成されている。すなわち、操作レバー26が回転する際、折り返し孔23a側の端が回転軸27Aの中心に対して最も遠い軌跡を辿るように形成されている。
こうした構成によれば、締結位置まで操作レバー26を回転させる際には、上記先端面における折り返し孔23a側の端を回転軸27Aと支持プレート21との間を通過させる必要がある。その際に必要となる力は、操作レバー26を締結位置まで回転させる過程において最も大きい。そのため、操作レバー26を締結位置まで回転したかどうかを、カムバックル20の操作者に対して触覚を通じて通知することができる。また、押圧歯28aの先端を顎紐17に食い込ませることで、締結状態にある顎紐17が、押圧面28Fと左側面22Fとに対して摺動してしまうことを確実に抑えることができる。つまり、操作レバー26が締結位置よりも基部22に向かって回転しないようになっていること、締結状態では顎紐17が押圧面28Fと左側面22Fとに対して摺動しにくくなっていること、これらによって、締結状態において顎紐17の長さを長くするような顎紐17の変位を抑えることができる。
一方、締結位置にある操作レバー26が、カムバックル20を解除状態にする方向に回転しようとすると、上記先端面における折り返し孔23a側の端によって顎紐17に対する押圧力が高められる。すなわち、締結位置まで回転させた操作レバー26は、カムバックル20を解除状態にする方向へ回転しにくい構成となっている。つまり、締結位置にある操作レバー26がカムバックル20を解除状態にする方向へ回転しにくいこと、押圧面28Fと左側面22Fとに対して摺動しにくいこと、これらによって、締結状態において顎紐17の長さを短くするような顎紐17の変位を抑えることができる。
すなわち、上述した締結状態においては、顎紐17がカムバックル20の右側あるいは左側から引っ張られるとしても、顎紐17の長さは変わらず、該顎紐17の長さが一定に保持され続けることとなる。
これに対して、図5に示されるように、回転軸27Aを中心にして操作部27の下端が基部22から連結部23に向けて回転すると、押圧部28の押圧面28Fが基部22の左側面22Fから遠ざけられる。この状態においては、顎紐17がカムバックル20の右側あるいは左側から引っ張られることによって、顎紐17の長さが変えられる。なお、このように押圧面28Fが基部22の左側面22Fから離間した状態をカムバックル20の解除状態という。
次に、上述した構成のヘルメット10の作用について、大人が幼児にヘルメット10を着用させる場合を例にとって説明する。なお、ヘルメット10は、前回の脱いだ直後の状態、すなわちカムバックル20が解除状態にあるとともに顎紐17が十分な長さを有した状態にある。
まず、帽体11を幼児の頭部に被せた後に、顎紐17を幼児の顎の下に配置する。この際、顎紐17が十分な長さを有していることから、顎紐17を容易に顎の下に配置するこ
とが可能である。また、カムバックル20には左側耳紐16Lが連結される連結部23が一体形成されていることから、カムバックル20が顎の下ではなく耳元に配置されることになる。そのため、カムバックル20を操作する際に幼児の顎の下を覗き込むことを回避することができる。
続いて、カムバックル20の引き出し孔22aから出ている顎紐17の余剰部分17rを引っ張って顎紐17の長さを短くする。ここで、顎紐17の長さを短くすることは、右側耳紐16R側にある留め具19において行うことが可能ではあるものの、該留め具19においては両手を使った複雑な操作が必要であるため非常に面倒である。これは、雌バックルに雄バックルを差し込む構成のバックルにおいても同様である。これに対して、上述した構成のカムバックル20では、カムバックル20の引き出し孔22aから引き出されている顎紐17の余剰部分17rを引っ張るだけという簡単な操作で顎紐17の長さを短くすることが可能である。
そして、操作部27を基部22に向けて回転させてカムバックル20を締結状態にすることによりヘルメット10の着用が終了する。ここで、雌バックルに雄バックルを差し込む構成においては、バックルを締結状態にするために雌バックルと雄バックルとを別々の手で操作する必要がある。この点、上述したカムバックル20においては、締結状態するための操作が操作部27の回転であるため片手だけで行うことが可能である。
そのうえ、カムバックル20は、締結状態にする場合であれ、解除状態にする場合であれ、常に、基部22及び連結部23の右側面22Bが着用者に対向する状態が維持される。すなわち、カムバックル20を操作する際に、構成部材の移動や当接が着用者側で行われることがない。それゆえに、カムバックル20を操作する際に衣服や皮膚の一部といった異物がカムバックル20に挟まれることを抑えることができる。
以上説明したように、上述した帽体用顎紐連結構造によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)操作部27を用いて操作レバー26を回転するだけで、カムバックル20を解除状態あるいは締結状態にすることが可能である。すなわち、カムバックル20を操作する際に、一方の部材に他方の部材を差し込むという差し込み操作が必要ないばかりか、構成部材の移動や当接が着用者側で行われることがない。これにより、その差し込み操作が必要ない分だけ、異物の挟み込み、特に着用者の顎下の一部や頬の一部をバックルに挟み込んでしまうことを抑えることが可能である。
(2)また、カムバックル20において、顎紐17の長さを変更する際に必要な操作は操作レバー26の回転だけである。その回転は片手で行うことも可能であり、また差し込み操作のように、バックルを視認し続ける必要もない。それゆえに、差し込み操作が必要なバックルに比べて、異物の挟み込みを抑えることができるとともに、簡単な操作の下で顎紐17の長さを調整することができる。
(3)また、カムバックル20は、左側耳紐16Lに連結されているとともに、右側耳紐16Rとは反対側で操作レバー26の回転操作が行われるように構成されている。こうした構成によれば、着用者の顎や頬とは反対側で操作レバー26の回転操作が行われるため、異物の挟み込み、特に顎下の一部や頬の一部をバックルに挟み込んでしまうことを効果的に抑えることができる。
(4)操作部27の先端部を基部22の左側面22Fから離れるように湾曲させることによって、操作部27の操作性を向上させることができる。
(5)カムバックル20において顎紐17は、折り返し孔23aで折り返され、基部2
2の左側面22Fと操作レバー26の押圧面28Fとの間を通って引き出し孔22aから引き出される。そのため、カムバックル20が解除状態であっても、折り返し孔23a及び引き出し孔22aの内周面の一部と顎紐17との摩擦によって、顎紐17が支持プレート21に保持されやすくなる。その結果、操作部27の操作中に顎紐17の長さが変化することが抑えられることから、顎紐17の長さを精度よく調整することができる。
(6)カムバックル20の支持プレート21には、左側耳紐16Lが連結される連結部23が形成されていることから、カムバックル20を着用者の耳元に配置することができる。その結果、着用者以外の人物によってカムバックル20が視認されやすくなる。
(7)押圧面28Fに複数の押圧歯28aが形成されていることで、より大きな力で顎紐17を被押圧面である基部22の左側面22Fに押圧することができる。
(8)上述したヘルメット10においては、顎紐17の長さを調整可能な部材として、上記バックルの他、留め具19が設けられている。こうした構成であれば、留め具19において顎紐17の長さをおおまかに調整し、カムバックル20において顎紐17の長さを微調整することも可能である。
なお、上述した構成の帽体用顎紐連結構造は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・押圧面28Fは、押圧歯28aが割愛された平面や曲面であってもよい。
・押圧歯28aの形状は、押圧面28Fに凹凸を設けるものであればよい。例えば、押圧歯28aの先端面において引き出し孔22a側に位置する端が、回転軸27Aの中心Cから最も離れた位置になるように形成されていてもよい。
・押圧部28の押圧によって顎紐17が基部22に押さえ付けられる構成であれば、例えば押圧歯28aが割愛される構成であってもよい。また、押圧歯28aの個数は、このように押圧部28の押圧によって顎紐17が基部22に押さえ付けられる個数であれば、必要に応じて適宜変更してもよい。また、押圧歯28aの配列も同じく、必要に応じて適宜変更してもよく、例えばマトリクス状であってもよい。
・耳紐に連結される支持プレート21に操作レバー26が回転可能に連結される構成であれば、互いに異なる複数の部材の連結体として一つの支持プレート21が構成されてもよい。例えば、被押圧面である左側面22Fを有する基部22と左側耳紐16Lが連結される連結部23とが別部材で構成されて、これらが互いに連結されることによって支持プレート21が構成されてもよい。
・押圧面28Fと基部22との間に顎紐17が通されることによって、この顎紐17が基部22に固定される構成であればよい。例えば、基部22において引き出し孔22aが割愛されて、押圧面28Fと基部22との間に通される顎紐17が基部22の上下方向から引き出される構成であってもよい。
・操作レバー26が締結位置に位置しているとき、操作部27の先端部が左側面22Fに接している構成であってもよい。
・連結部23においては、折り返し孔23aの内側面のうちで左側耳紐16Lと接触する部位に、1つあるいは複数の突起が設けられていてもよい。こうした構成であれば、左側耳紐16Lに沿うようにカムバックル20が移動しようとする際、上記突起に左側耳紐16Lが食い込むことになることから、左側耳紐16Lに沿ってカムバックル20が移動することを抑えることができる。なお、左側耳紐16Lに上記突起を食い込みやすくするうえでは、折り返し孔23aの開口に近づくほど突起の厚さが大きくなるような形状が好
ましい。
・一対の支持部24の内側面に嵌合凹部が形成され、また、一対の支持部24の内側面と対向する操作レバー26の外側面に嵌合凸部が形成され、そして、操作レバー26が締結位置に配置されると、これら嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合する構成であってもよい。すなわち、カムバックル20を締結位置にロックするロック機構がカムバックル20に設けられていてもよい。こうした構成であれば、操作レバー26を確実に締結位置に保持することができる。
・カムバックル20は、右側耳紐16Rに連結される構成であってもよい。
・カムバックル20は、ヘルメット10だけではなく、頭部に被せた帽体を顎紐で保持するものに対して適用可能である。なお、帽体とは、頭部に被せるものであればよく、例えば布製の作業用帽子であってもよい。
(他の実施形態)
ところで、ヘルメットの中には、日差しを避けるためのバイザーが設けられているものもある。バイザーは、殻体と一体形成することが可能ではあるものの、殻体の形状が複雑になってしまうばかりか、バイザーの形状も限られたものとなってしまう。またバイザーは、着用者の前方上部における視界の一部を遮ってしまうこともあるため、必要に応じて着脱可能なバイザーが強く望まれていた。こうした問題に解決すべく、上述したヘルメット10においては、バイザーが着脱可能に構成されている。以下では、バイザーをヘルメット10に着脱可能にする構成について詳しく説明する。
まず、この実施形態にて把握される技術的思想について以下に付記する。
[付記1]
半球状の帽体にバイザーを取り付けるバイザーの取付構造であって、
前記帽体は、
帽体周縁から帽体頂部に向けて凹設され前記帽体の周方向に円弧状に延びる差込溝と、
前記帽体の周方向にて前記差込溝の両端に形成されて前記帽体周縁から前記帽体頂部に向けて延びる断面L字状の係合片とを有し、
前記バイザーは、
前記差込溝に沿った円弧状の端辺を有する鍔と、
前記鍔の前記端辺に立設されて円弧状に曲げられた帯状の差込帯とを有し、
前記帽体の周方向にて前記差込帯の両端部には、
前記端辺側に規制爪が凸設され、且つ前記端辺側とは反対側に係止爪が凸設され、
前記差込溝に前記差込帯が差し込まれた状態では、
前記係合片における前記帽体頂部側の端と前記係止爪とが係合し、且つ前記係合片における前記帽体周縁側の端と前記規制爪とが係合することにより前記バイザーが着脱可能に固定される
ことを特徴とするバイザーの取付構造。
上記構成によれば、帽体に対してバイザーを着脱可能にすることができる。
[付記2]
前記係止爪の肉厚は、前記端辺側、及び当該端辺側の反対側において小さくなる
付記1に記載のバイザーの取付構造。
ここで、差込帯を差込溝に差し込む際、係止爪は、断面L字状の係合片が形成する隙間を弾性変形した状態で通過する。上記構成によれば、差込帯を差込溝に差し込む際、あるいは差込帯を差込溝から引き抜く際に、係止爪が徐々に弾性変形する。そのため、帽体からバイザーが抜け落ちることを抑えつつ、バイザーを帽体に差し込む際の負荷やバイザー
を帽体から引き抜く際の負荷を小さくすることができる。
[付記3]
前記係合片における前記帽体頂部側の端は、前記帽体の周方向における前記差込溝の中央側に位置する部位が前記帽体頂部側に位置するように傾斜している
付記1または2に記載のバイザーの取付構造。
上記構成によれば、バイザーの変位を確実に抑えることができる。
なお、本実施形態において、上記係合片は、側壁38と対向壁39とで構成されている。
図1に示すように、バイザー30は、ヘルメット10の正面側に取り付けられる。バイザー30は、図6に示されるように、ポリエチレンによって一体成形された鍔31と差込帯32とを備えている。差込帯32は、帽体11に設けられた差込溝36に差し込まれる部位であって、鍔31における円弧状の縁(端辺)から上方に向かって屈曲形成されている。差込帯32には、その裏面32Bの左端部及び右端部に、バイザー30を帽体11に取り付けるための取り付け部33が設けられている。取り付け部33は、差込帯32の基端側に凸設された規制爪34と、差込帯32の先端側に凸設された係止爪35とによって構成されている。係止爪35は、その上下方向における中央付近の突出量が最も大きくなるように傾斜部35U,35Dが設けられている。
一方、帽体11には、図7に示されるように、衝撃吸収ライナー13の外表面に形成された凹部13Cと殻体12とによって差込溝36が形成されている。差込溝36は、帽体11の周縁に沿うように円弧状に延出形成され、バイザー30の差込帯32が差し込まれることに対して十分な深さと幅とを有している。殻体12には、差込溝36の右端部及び左端部であって差込帯32に形成された取り付け部33に対応する位置に係合片37が設けられている。図8に示されるように、係合片37は、差込帯32が差し込まれる方向、すなわち帽体11の周縁から頂部に向かう方向に沿って断面L字状に延出形成され、殻体12に連なる側壁38と殻体12の内面12Aに対向する対向壁39とで構成されている。係合片37は、殻体12と対向壁39との間隔が、係止爪35を含まない差込帯32の肉厚よりも大きく、かつ、係止爪35を含む差込帯32の肉厚よりも小さくなるように形成されている。また対向壁39の上端には、側壁38に近づくほど殻体12の開口縁に近づく傾斜39Sが形成されている。
そして、図9に示されるように、バイザー30の差込帯32が差込溝36に差し込まれると、係止爪35が係合片37の上端と係合するとともに規制爪34が係合片37の下端に当接する。これにより、バイザー30が殻体12に取り付けられる。この取り付け過程において係止爪35は、殻体12と対向壁39との隙間を弾性変形した状態で通過する。この際、係止爪35の上端部に設けられた傾斜部35Uは、係合片37の対向壁39に当接することで係止爪35を弾性変形させるガイドとして機能する。
一方、帽体11に取り付けられたバイザー30は、差込帯32を差し込む方向とは反対方向に引っ張られることで帽体11から取り外される。この取り外し過程において、係止爪35の下端部に設けられた傾斜部35Dは、係合片37の対向壁39に当接することで係止爪35を弾性変形させるガイドとして機能する。
ここで、帽体11に取り付けられたバイザー30には、走行時の空気抵抗等に基づく外力が鍔31全体に作用する。こうした外力は、差込溝36から差込帯32が引き抜かれる方向とは異なる方向で作用する力である。そのため、上記力を受けたバイザー30においては、差込帯32が殻体12あるいは衝撃吸収ライナー13に押し付けられることとなる。すなわち、バイザー30は、差込溝36から差込帯32を引き抜く方向とは異なる方向
で作用する外力に対して、帽体11から外れにくい取り付け構造で取り付けられている。
また、帽体11に取り付けられたバイザー30には、例えば鍔31の中央部のみを把持してヘルメット10を頭部に被せようとする場合には、鍔31の中央部のみが把持されることにともなう局所的な力な作用する。こうした外力を受けたバイザー30においては、差込帯32の右端部及び左端部の各々が中央に向かって引きつけられる。そして、係止爪35と係合片37との係合が解除される位置まで差込帯32の端部が移動してしまうと、バイザー30が帽体11から外れてしまうことになる。しかし、こうした差込帯32の端部の移動は、係合片37の対向壁39の上端に設けられている傾斜39Sによって抑えることが可能である。この傾斜39Sの作用について図10を用いて説明する。
図10に示されるように、差込帯32が左方向へ移動しようとする場合、右端部の係止爪35は、同図10に二点差線で示すように、係合片37の対向壁39に形成された傾斜39Sに沿って左方向だけでなく上方向にも移動することになる。これにともない、右端部の規制爪34も、同図10に二点鎖線で示すように、上記傾斜39Sに沿うように左方向だけでなく上方向にも移動することになる。すなわち、差込帯32を左方向へ移動させるためには、
(イ)係止爪35の左方向への移動
(ロ)係止爪35の上方向への移動
(ハ)規制爪34の左方向への移動
(ニ)規制爪34の上方向への移動
これら4つの条件が必須である。
しかしながら、規制爪34は、係合片37に係止爪35が係合しているとき、対向壁39の下端に当接しているため、上方向への移動が該対向壁39で規制されている。すなわち、上述した条件のうち、
(ニ)規制爪34の上方向への移動
が実現困難である。それゆえに、差込帯32の左方向への移動を規制することができる。同様に、差込帯32の右方向への移動も左端部の取り付け部33及び係合片37で規制することができる。すなわち、係合片37の対向壁39の上端に傾斜39Sを設けるとともに、取り付け部33に係止爪35と規制爪34とを設けることによって、バイザー30の左右方向への移動を抑えることができる。それゆえに、バイザー30は、鍔31に局所的な力が作用した場合にも帽体11から外れにくい取り付け構造で取り付けられている。
以上説明したように、上述した構成のヘルメット10によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)バイザー30は、鍔31の縁から上方に向かって屈曲形成され、帽体11に設けられた差込溝36に差し込まれる差込帯32を有している。この差込帯32の裏面32Bにおける右端部及び左端部には、係止爪35と規制爪34とで構成された取り付け部33がそれぞれ設けられている。一方、帽体11には、差込溝36の右端部及び左端部であって、上記取り付け部33に対応する位置に係合片37が設けられている。
こうした構成によれば、差込帯32が差込溝36に差し込まれると、係止爪35が係合片37の上端と係合するとともに規制爪34が係合片の下端に当接することから、帽体11にバイザー30を取り付けることができる。また、差込方向とは反対方向に差込帯32が引っ張られることによって、係止爪35と係合片37の上端との係合が解除されてバイザー30を帽体11から取り外すことができる。
(2)また、差込溝36から差込帯32が引き抜かれる方向とは異なる方向で作用する外力に対しては、差込帯32が殻体12あるいは衝撃吸収ライナー13に押し付けられる
こととなる。すなわち、バイザー30は、上記方向で作用する外力に対しては帽体11から外れにくい構造で取り付けられている。
(3)係止爪35には、上下方向における中央付近の突出量が最も大きくなるように傾斜部35U,35Dが設けられている。こうした構成によれば、係止爪35を弾性変形させる際のガイドとして傾斜部35U,35Dを機能させることができる。すなわち、差込帯32を差込溝36に差し込む際、あるいは差込帯32を差込溝36から引き抜く際に、係止爪35を徐々に弾性変形させることができる。そのため、帽体11からバイザー30が抜け落ちることを抑えつつ、バイザー30を帽体11に差し込む際の負荷やバイザー30を帽体11から引き抜く際の負荷を小さくすることができる。
(4)係合片37は、断面L字状に形成されて、殻体12に連なる側壁38と、側壁38から屈曲形成されて殻体12の内面12Aと対向する対向壁39とで構成されている。そして対向壁39の上端には、側壁38に近づくほど殻体12の開口縁に近づく傾斜39Sが形成されている。こうした構成によれば、係合片37に対する係止爪35及び規制爪34の協働によって、バイザー30の左右方向への移動を抑えることができる。
なお、上述した構成のバイザー30は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・係合片37は、対向壁39の傾斜39Sが割愛された構成であってもよい。
・係止爪35は、傾斜部35U,35Dが割愛された構成であってもよい。
・取り付け部33には、対向壁39の側面に当接してバイザー30の左右方向の移動を規制する規制片がさらに形成されていてもよい。
・取り付け部33は、規制爪34が割愛されて、係止爪35でのみ構成されていてもよい。
・上述した取り付け構造を用いて帽体11の背面側にバイザーが取り付け可能であってもよい。これにより、後方からの日差しによって着用者の首もとが照らされることもない。
・帽体は、頭部に被せるものであればよく、例えば布製の作業用帽子であってもよい。
(他の実施形態)
ところで、ヘルメットにおいては、耳を保護するための耳パッドが着脱可能に取り付けられるものもある。こうした耳パッドに関しては、様々な提案がなされているものの、より簡易な着脱方法が強く望まれていた。また、本発明者は、着脱可能であることに着目して耳パッドのデザイン性を向上させる方策を見出した。以下では、耳パッドの着脱方法、ならびにデザイン性を向上させる方策について説明する。なお、着用者の右耳に対応する耳パッドと左耳に対応する耳パッドは、基本的には同じ構成である。そのため、左耳に対応する耳パッドを用いて説明し、右耳に対応する耳パッドについての詳細な説明は省略する。
まず、この実施形態にて把握される技術的思想について以下に付記する。
[付記4]
半球状の帽体に着脱可能な耳当て具の取付構造であって、
前記帽体は、
帽体周縁から垂れ下がる耳紐と、
前記耳紐に設けられた係合部と、
前記帽体周縁から帽体頂部に向けて凹設され前記帽体の周方向に円弧状に延びる溝と
を有し、
前記耳当て具は、
前記溝に収容される収容部を有する支持板と、
前記支持板における前記耳紐とは反対側の面に取り付けられる保温材と、
前記支持板における前記耳紐側の面に設けられ前記係合部と係合する被係合部と、
を有し、
前記帽体の溝に前記収容部が収容されると前記帽体に対して仮固定され、
前記被係合部に前記係合部が係合されることにより前記帽体に取り付けられる
ことを特徴とする耳当て具の取付構造。
上記記載によれば、簡易な操作の下で帽体に対して耳当て具を着脱することができる。しかも、帽体に設けた溝に支持板の一部である収容部を収容させることによって、帽体に対して耳当て具が仮固定されることから、帽体を被ったあとでも容易に耳当て具を取り付けることができる。
[付記5]
前記支持板における前記耳紐側の面には、着脱自在のグラフィックシールが貼付される付記4に記載の耳当て具。
上記構成によれば、耳当て具のデザイン性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、上記耳当て具は耳パッド50に、上記耳紐側の面は左側面51F、上記耳紐とは反対側の面はうら面51B、上記係合部は雄ボタン54に、上記被係合部は雌ボタン53に相当する。
図1に示すように耳パッド50はヘルメット10に取り付けられる。耳パッド50は、帽体11と左側耳紐16Lとによって囲まれる部分が覆われるような大きさ、言い換えれば着用者の耳が覆われるような大きさで形成されている。耳パッド50は、その一部を帽体11に差し込んだ状態で左側耳紐16Lに支持されることでヘルメット10に取り付けられる。
図11(a)に示されるように、耳パッド50は、ポリエチレンで成形された略扇形状をなす支持板51を有しており、この支持板51のうちで扇形状の円弧部分に沿う周縁部を収容部52としている。収容部52は、殻体12と衝撃吸収ライナー13とによって形成された溝(図示せず)に差し込まれる部位であって、その差込によって耳パッド50を帽体11に仮固定することが可能である。また支持板51の左側面51Fには、2つの雌ボタン53が設けられている。2つの雌ボタン53は、左側耳紐16Lに設けられた雄ボタン54と嵌合される。これによって、耳パッド50が左側耳紐16Lに支持される。すなわち、耳パッド50は帽体11及び左側耳紐16Lに支持される。
また支持板51には、その略中央付近に複数の貫通孔55が設けられている。貫通孔55は、耳パッド50をヘルメット10に取り付けた場合であっても、着用者に周囲の音が聞こえにくくならないようにする。
一方、図11(b)に示されるように、支持板51のうら面51Bには、収容部52を回避するように保温材56が取り付けられている。保温材56は、例えばポリプロピレンからなる発泡成形体をメッシュカバーで覆ったものであって、ある程度の厚みと弾性とを有するかたちで形成されることで着用者への密着性が高められている。
そして、図12に示されるように、支持板51の収容部52を殻体12と衝撃吸収ライナー13との溝に差し込むことで耳パッド50を帽体11に仮固定した状態で、雌ボタン53と左側耳紐16Lの雄ボタン54とを嵌合させることで耳パッド50が帽体11に取り付けられる。
こうした構成によれば、耳パッド50を帽体11に仮固定させたときに、耳パッド50の雌ボタン53と左側耳紐16Lの雄ボタン54とが大凡対向することになる。それゆえに、たとえヘルメット10を着用したあとであっても、雌ボタン53と雄ボタン54との嵌合操作を容易に行うことができる。
また、この耳パッド50においては、同図12に示されるように、支持板51の左側面にグラフィックシール57を貼り付けることが可能となっている。このグラフィックシール57には、支持板51の雌ボタン53及び貫通孔55の位置に対応する位置に露出孔58がそれぞれ設けられている。
ここで、支持板51の左側面51Fを例えばサンドペーパーのような細かな凹凸を有する凹凸面にすると、グラフィックシール57はその凸面のみと接着されることになる。こうした構成においては、支持板51とグラフィックシール57との接着力を十分に確保することが困難になるため、グラフィックシール57が支持板51から剥がれやすくなる。そのため、支持板51の左側面51Fは、凹凸の少ない滑らかな面で構成されている。そして、支持板51及びグラフィックシール57は、これらの間で適度な接着力を保ちつつ、支持板51からグラフィックシール57を剥がすときには容易に剥がすことができるように次のように構成することが好ましい。
・支持板51
材質:軟質ポリエチレン
十点平均粗さ:Rz=10〜50μm
・グラフィックシール57
シール台紙:特殊ポリエチレン
粘着材:アクリル系粘着材
こうした構成によって、グラフィックシール57は、支持板51の左側面51Fに対して付け替え可能となっている。これにより、例えばユーザー好みのグラフィックシール57を貼り付けることが可能になり、耳パッド50のデザイン性を大幅に向上させることができる。しかも、グラフィックシール57のデザインを、例えばその時々における人気のキャラクターにすることによって、ヘルメットの着用意欲、ひいては交通安全に対する意識を幼少期から高めることができる。
こうした構成の耳パッド50によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)耳パッド50は支持板51を有し、該支持板51には左側耳紐16Lに設けられた雄ボタン54に嵌合する雌ボタン53が設けられている。こうした構成によれば、耳パッド50の雌ボタン53に左側耳紐16Lの雄ボタン54を嵌合させることにより、耳パッド50を左側耳紐16Lに支持させることができる。すなわち、耳パッド50の雌ボタン53と左側耳紐16Lの雄ボタン54との嵌合、あるいはその嵌合の解除という簡易な操作の下でヘルメット10に対して耳パッド50を着脱することができる。
(2)耳パッド50の支持板51には、殻体12と衝撃吸収ライナー13とによって形成された隙間に差し込まれる収容部52が設けられている。こうした構成によれば、耳パッド50の雌ボタン53に左側耳紐16Lの雄ボタン54を嵌合させる前に耳パッド50を帽体11に対して仮固定することができる。このとき、耳パッド50の雌ボタン53と左側耳紐16Lの雄ボタン54とが大凡対向することになる。それゆえに、たとえヘルメット10を着用したあとであっても、雌ボタン53と雄ボタン54との嵌合操作を容易に行うことができる。
(3)支持板51を軟質ポリエチレンで形成するとともに、その左側面51Fを十点平均粗さRz=10〜50μmとした。また、シール台紙に特殊ポリエチレン、粘着材にア
クリル系粘着材を用いてグラフィックシール57を形成した。こうした構成によれば、支持板51とグラフィックシール57との間の接着力を保ちつつ、該グラフィックシール57を剥がすときには容易に剥がすことができる。その結果、グラフィックシール57の付け替えが可能になることから、耳パッド50のデザイン性を向上させることができる。
(4)また、グラフィックシール57のデザインを例えばその時々における人気のキャラクターにすることによって、ヘルメットの着用意欲、ひいては交通安全に対する意識を幼少期から高めることができる。
なお、上述した構成の耳パッド50は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・耳パッド50は、支持板51に対してグラフィックシール57が固着される態様であってもよい。また、グラフィックシールを割愛するとともに、支持板51の左側面51Fに模様が直接形成されている態様であってもよい。
・支持板51に対してグラフィックシール57が付け替え可能であれば、支持板51の表面粗さ及び材質、グラフィックシール57のシール台紙及び粘着材は、上述したものに限られるものではなく、例えば支持板51であれば左側面51Fに十点平均粗さRz=50μmを超えるような凹凸が形成されていてもよい。
・支持板51は、収容部52が割愛された構成であってもよい。
・帽体は、頭部に被せるものであればよく、例えば布製の作業用帽子であってもよい。
(他の実施形態)
ところで、例えば自転車を運転して目的地に到着したあと、着用していたヘルメットを持ち歩くことは非常に面倒である。そのため、ヘルメットの盗難を防ぐべく、例えばワイヤーロックを用いてヘルメットが自転車に施錠されることが好ましい。しかしながら、ワイヤーロックでヘルメットを施錠する場合、ワイヤーロックは耳紐を通されることになる。耳紐は例えばカッターや鋏などで切断することが可能であるため、ヘルメットがいとも簡単に盗まれてしまう虞がある。そのため、ワイヤーロックが通される箇所に高い機械的強度を有するヘルメットが強く望まれていた。
まず、この実施形態にて把握される技術的思想について以下に付記する。
[付記6]
頭部を保護する帽体であって、
帽体本体の開口側の縁に設けられ施錠具が挿通される挿通孔と、
前記挿通孔を囲むように配設され前記帽体本体よりも機械的強度が高い補強部材と
を有する
ことを特徴とする帽体。
上記構成によれば、施錠具として例えばワイヤーロックを挿通孔に挿通させることにより、該ワイヤーロックを用いて帽体を施錠することができる。また、補強部材によって挿通孔の周辺における機械的強度を高められている。そのため、帽体が盗難されにくくなる。
[付記7]
前記帽体本体の外表面には、前記開口に連なる凹部が設けられており、
前記補強部材は、
前記帽体本体の外側に配置される外側補強板と、
前記帽体本体の内側に配置される内側補強板と、
前記外側補強板と前記内側補強板とを連結する連結板と
で構成され、
前記外側補強板が、前記凹部に収容される
付記6に記載の帽体。
上記構成によれば、帽体本体の外表面から補強部材がはみ出すことがない。そのため、補強部材に何かが引っ掛かって帽体本体との固着部に余計な負荷が作用することもない。[付記8]
前記凹部は、前記開口側よりも帽体頂部側が幅広である
付記7に記載の帽体。
上記構成によれば、上記開口に連なる部分を通して補強部材を帽体本体から引き抜こうとしても、補強部材と凹部の内側面とが係合するため帽体本体から補強部材を外れにくくすることができる。
なお、本実施形態において、上記帽体本体は、殻体12に相当する。
図2に示されるように、ヘルメット10の背面側には施錠部60が設けられている。施錠部60は、殻体12の開口側の縁であって、帽体11を背面側から見たときにおける左右方向の中心付近に設けられている。施錠部60は、殻体12に嵌め込まれた補強部材61を該殻体12に固着させたものである。施錠部60には、殻体12及び補強部材61を貫通してワイヤーロックが挿通される鍵孔62が形成されている。なお、衝撃吸収ライナー13には、ワイヤーロックの挿通の障害にならないように、施錠部60に対応する位置に切り欠きが設けられている。すなわち、ヘルメット10は、この施錠部60に設けられた鍵孔62に挿通されるワイヤーロックによって施錠される。
補強部材61は、耐衝撃性が比較的高いポリカーボネートで成形されている。図13に示されるように、補強部材61は、殻体12の外側に配置される外側補強板63と、殻体12の内側に配置される内側補強板64と、外側補強板63と内側補強板64とを連結する連結板65とで構成されている。外側補強板63は、基端部よりも先端部の方が幅広となるように形成されている。また外側補強板63と内側補強板64とには、上記鍵孔62を構成する貫通孔63hと貫通孔64hが形成されている。
一方、殻体12には、補強部材61の外側補強板63が嵌め込まれる凹部12Cが形成されている。凹部12Cの底面には、上記鍵孔62を構成する貫通孔12hが形成されている。また凹部12Cは、外側補強板63と同様に、その幅が殻体12の縁側よりも頂上側の方が幅広となるように形成され、その深さが外側補強板63の厚さと等しくなるように形成されている。この外側補強板63における左右方向の外形は、殻体12のキャラクターライン70に沿って形成されている。キャラクターライン70とは、殻体12の表面である曲面を定義するときに用いられる曲線のことであって、殻体12の曲面形状を特徴付けるものである。こうしたキャラクターライン70は、例えば、前後方向に配列された通気孔12aを結ぶラインとして視認することが可能である。なお、本実施形態における一対のキャラクターライン70は、殻体12の正面中央から殻体12の頂部に向けて互いの間隔が広がるように形成され、また、殻体12の頂部から殻体12の背面中央に向けて互いの間隔が狭くなるように形成されている。キャラクターライン70は、ヘルメット10の意匠性を考慮して配置されるものであるため、外側補強板63の外形を当該キャラクターラインに基づいたかたちとすることで施錠部60、ひいてはヘルメット10の意匠性を高めることができる。
そして、この凹部12Cに補強部材61の外側補強板63が嵌め込まれた状態で該補強部材61が殻体12に固着されることにより施錠部60が形成される。こうした施錠部60においては、殻体12が比較的機械的強度の弱いABS樹脂で成形されていたとしても、補強部材61によって鍵孔62付近における機械的強度が高められることから、鍵孔6
2に通されたワイヤーロックを無理矢理外すことが困難となる。それゆえに、ヘルメット10の盗難を防止することができる。
また、施錠部60の機械的強度を補強部材61で補強すること、すなわち殻体12の外側に配置される外側補強板63を有する補強部材61を施錠部60に配設することによって、施錠部60を視認した者に対して、施錠部60が機械的強度の高められている箇所であるという印象を与えることができる。そして、殻体12と補強部材61とを異なる色で構成することにより上記印象をさらに強く与えることができる。これにより、窃盗犯の盗難意欲を減退させることができる。
また、殻体12の凹部12Cに補強部材61の外側補強板63が嵌め込まれたとしても、外側補強板63が凹部12Cに収容されることから、殻体12の外表面から補強部材61が突出することもない。これにより、補強部材61に何かが引っ掛かって殻体12との固着部に余計な負荷が作用することもない。
また、補強部材61は先端部にいくほど幅広に形成されており、殻体12の凹部12Cも同様に頂部に向かうに従って幅広となるように形成されている。こうした構成であれば、補強部材61が下方に引っ張られたとしても、補強部材61の先端部と殻体12の凹部12Cとが係合することから、補強部材61を外れにくくすることができる。
しかも、上述した施錠部60を背面側に設けることによって、例えば壁に設けられたフックなどにヘルメット10を見栄えよく掛けることも可能である。
こうした構成の施錠部60によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)ヘルメット10には、施錠部60が帽体11の開口側の縁に設けられている。この施錠部60においては、帽体11に設けられた鍵孔62を取り囲むように補強部材61が設けられている。こうした構成によれば、補強部材61によって鍵孔62付近の機械的強度が高められていることから、その鍵孔62を用いてヘルメット10を施錠することにより、該ヘルメット10が盗難されにくくなる。
(2)補強部材61は、殻体12の外側に配置される外側補強板63と、殻体12の内側に配置される内側補強板64と、外側補強板63と内側補強板64とを連結する連結板65とで構成される。施錠部60は、殻体12に設けられた凹部12Cに補強部材61の外側補強板63が嵌め込まれた状態で、補強部材61が殻体12に固着されることで構成される。こうした構成によれば、鍵孔62付近における施錠部60の機械的強度を殻体12の外側及び内側の両方で高めることができる。そのため、その鍵孔62を用いてヘルメット10を施錠することにより、該ヘルメット10の盗難をより高い確率の下で回避することができる。
(3)施錠部60は、殻体12の外側に配置される外側補強板63を有する補強部材61によって機械的強度が高められている。こうした構成によれば、施錠部60を視認した者に対して、該施錠部60が機械的強度の高められている箇所であるという印象を与えることができる。これにより、窃盗犯の盗難意欲を減退させることができる。
(4)殻体12と補強部材61とを異なる色にすることによって、上記印象をさらに強く与えることができる。これにより、窃盗犯の盗難意欲をさらに減退させることができる。
(5)補強部材61の外側補強板63は、基端部から先端部にかけて幅広となるように形成されている。また、凹部12Cも、開口側の縁から頂部側にいくに従って幅広となる
ように形成されている。こうした構成であれば、外側補強板63と殻体12の凹部12Cとが係合することから、補強部材61を殻体12から引き抜くことが困難になる。
(6)殻体12の凹部12Cの深さは、補強部材61の外側補強板63の厚さと等しくなるように形成されている。こうした構成によれば、殻体12の外表面から補強部材61が突出することもない。これにより、補強部材61に何かが引っ掛かることで殻体12と補強部材61との固着部に余計な負荷が作用することもない。すなわち、殻体12と補強部材61との固着状態をより長い期間保持することができる。
なお、上述した施錠部60は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・殻体12の凹部12Cの深さは、補強部材61の外側補強板63の厚さより大きくてもよいし、小さくてもよい。
・殻体12は、凹部12Cが割愛された構成であってもよい。
・補強部材61の外側補強板63の形状は、例えば、基端部から先端部にかけて幅狭となる形状であってもよいし、基端部から先端部にかけて一旦幅広になったあとで幅狭となる形状であってもよい。
・殻体12と補強部材61とが同じ色であってもよい。
・補強部材61は、殻体12の内側に配置される内側補強板64のみで構成されていてもよい。
・帽体は、頭部に被せるものであればよく、例えば布製の作業用帽子であってもよい。
本発明に係る帽体用顎紐連結構造は、帽体を顎紐で保持するものに対して適用可能である。
10…ヘルメット、11…帽体、12…殻体、12C…凹部、13…衝撃吸収ライナー、13C…凹部、15…保持紐、16L…左側耳紐、16R…右側耳紐、17…顎紐、18…連結部材、19…留め具、20…バックル、21…支持プレート、22…基部、22a…引き出し孔、22F…左側面、23…連結部、23a…折り返し孔、23b…出入孔、24…支持部、25…支持孔、26…操作レバー、27…操作部、27A…回転軸、28…押圧部、28a…押圧歯、28F…押圧面、30…バイザー、31…鍔、32…差込帯、33…取り付け部、34…規制爪、35…係止爪、35D,35U…傾斜部、36…差込溝、37…係合片、38…側壁、39…対向壁、39S…傾斜、50…耳パッド、51…支持板、52…収容部、53…雌ボタン、54…雄ボタン、56…保温材、57…グラフィックシール、60…施錠部、61…補強部材、62…鍵孔、63…外側補強板、64…内側補強板、65…連結板。

Claims (6)

  1. 帽体に取り付けられた耳紐に顎紐を連結する帽体用顎紐連結構造であって、
    前記耳紐に連結される支持プレートと、
    前記支持プレートの一面である被押圧面に面して該支持プレートに回転可能に支持される操作レバーとを備え、
    前記操作レバーは、
    該操作レバーの回転位置に応じて前記被押圧面との距離が変わる押圧面を有し、
    前記顎紐は、
    前記支持プレートの前記被押圧面と前記操作レバーの前記押圧面との間に通されて、前記押圧面と前記被押圧面との距離が短くなるように前記操作レバーが回転することによって、前記支持プレートに固定される
    ことを特徴とする帽体用顎紐連結構造。
  2. 前記支持プレートは、
    前記被押圧面を有する基部と、
    前記基部に立設される一対の支持部と、
    前記支持部に形成された軸受け部とを有し、
    前記操作レバーは、
    前記軸受け部に軸支される回転軸を基端部に有する操作部と、
    前記操作部の基端部から延出形成されて前記押圧面が先端に形成された押圧部と
    を有する
    請求項1に記載の帽体用顎紐連結構造。
  3. 前記顎紐が前記支持プレートに支持される回転位置である締結位置に前記操作レバーが位置しているとき、前記操作レバーの先端部が前記基部の被押圧面から離れている
    請求項2に記載の帽体用顎紐連結構造。
  4. 前記支持プレートには、
    前記顎紐が挿通される2つの挿通孔が、前記押圧面によって前記顎紐を介して押圧される箇所を挟むように設けられている
    請求項2または3に記載の帽体用顎紐連結構造。
  5. 前記押圧面に少なくとも1つの押圧歯が形成されている
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の帽体用顎紐連結構造。
  6. 前記帽体には、互いに対向する第1の耳紐と第2の耳紐とが取り付けられ、
    前記支持プレートは、前記第1の耳紐に連結され、
    前記操作レバーは、前記支持プレートにて前記第2の耳紐とは反対側に配置される
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の帽体用顎紐連結構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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