JP2012101487A - 孔径拡大工具、孔径拡大方法及び配管取替方法 - Google Patents

孔径拡大工具、孔径拡大方法及び配管取替方法 Download PDF

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Abstract

【課題】廃棄物の大量発生等を伴うこなく簡単な作業でスラブの孔径を拡大する。
【解決手段】孔径拡大工具1は、4つの刃部材4材と、これら刃部材4を保持可能なホルダ部材2と、刃部材4同士を互いに位置決めする位置決め部材6A〜6Dとを含む。各刃部材4は、本体部20とその周方向に等間隔で並びかつ本体部20から径方向外側に突出する複数の切刃部22とを備える。ホルダ部材2は、切刃部22よりも内側の位置で任意の数の刃部材4を保持可能に構成される。位置決め部材6Aは、ホルダ部材2に保持される刃部材4同士を周方向に位置決めする。各刃部材4は、ホルダ部材2に保持されかつ位置決め部材6A〜6Dにより位置決めされた状態において、各刃部材4の切刃部22部同士が互いに周方向にずれ、かつ、刃部材4全体としてそれらの中心軸に沿って見たときに切刃部22が周方向に亘って連続的に並ぶように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビル、マンション等の大規模修繕において行われる給排水管やガス管などの取替工事に有用な孔径拡大工具、孔径拡大方法及び再配管方法に関するものである。
従来から、ビル、マンション等の大規模修繕工事においては、劣化した既存の給排水管やガス管などを取り替えることが行われる。この種の配管の取替工事において最も手間を要するのがスラブに固定された配管の取替作業である。すなわち、この種の配管は、コンクリート製のスラブによって周囲から圧縮された状態で当該スラブに固定されているため取り外しが困難であり、通常は、小型削岩機を用いて配管周囲のスラブを除去することにより既存の配管を引き取り、その後、同径の新たな配管をスラブの元の孔に挿入してその周囲をコンクリートで固定することが行われている。なお、新たな配管として既存の配管と同径のものを使用するのは、配管の取り替え前後で給排水やガスの流量が変動することによるトラブルの発生を防止するためである。
ところで、近年、スラブに固定された配管を油圧力により引き抜く事が可能な配管引き抜き装置が開発、販売されており、これにより上記のような配管取替作業の作業性が改善されている。ところが、このような配管引き抜き装置を用いて既存の配管を引き抜いた場合でも、スラブに残る孔は元の配管径と同じであるため、元の配管と同径の新たな配管をそのまま挿入することは困難である。そこで、通常は、元の配管と同径の配管を使用するために、削岩機を用いてスラブを削り、配管引き抜き後の孔径を一旦大きく拡大してから新たな配管を挿入、固定することが行われる。
なお、出願人は配管の引き抜きによりスラブ等に残った貫通孔を拡大するための工具や装置について先行技術文献調査を行ったが、特に関連するものは見つからなかった。
しかしながら、上記のような配管取替作業は周辺スペースを確保し難い狭い場所で行われることが多いため作業が困難になる場合が多い。また、削岩機を用いて孔径を拡大する場合には、スラブの貫通孔を不要に拡大してしまう場合も少なくない。また、スラブの破片等の多くの廃棄物が発生するばかりか、粉塵の飛散、騒音の発生、振動によるスラブへのダメージ等を伴うという不都合もある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、ビル、マンション等の修繕工事に伴う配管の取替作業において、廃棄物の大量発生、粉塵の飛散、騒音の発生および振動によるスラブへのダメージ等を殆ど伴うことなくスラブの孔径を必要最小限の範囲で拡大しながら配管の取替作業を行える孔径拡大工具、孔径拡大方法及び再配管方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、床スラブ又は隔壁に形成された貫通孔を拡径するための孔径拡大工具であって、扁平な形状を有する特定数かつ複数の刃部材と、これら特定数の刃部材のうち任意の数の刃部材をその厚み方向に一列に並べた状態で保持することが可能なホルダ部材と、このホルダ部材に保持される刃部材同士を位置決めする位置決め手段とを含み、各刃部材は、前記貫通孔の内径よりも小さい外径を有する本体部と、その周方向に等間隔で並ぶ複数の位置において当該本体部の外周面から径方向外側に突出し、かつ、前記貫通孔の内径よりも径の大きな円周上に刃先が並ぶように形成された複数の切刃部とを備え、前記ホルダ部材は、前記切刃部よりも内側の位置で前記刃部材をその厚み方向に挟持することにより当該刃部材を保持し、前記位置決め手段は、前記ホルダ部材に保持される複数の刃部材のうち隣接するもの同士をそれらの並び方向と平行な中心軸回りに互いに位置決めし、前記各刃部材は、前記特定数の刃部材がホルダ部材に保持され、かつ、前記位置決め手段により互いに位置決めされた状態において、各刃部材の切刃部同士が互いに周方向にずれるとともに、当該特定数の刃部材全体としてそれらの中心軸に沿って見たときに前記切刃部が周方向に亘って連続的に並ぶように形成されているものである。
そして、本発明の孔径拡大方法は、上記の孔径拡大工具を用いて床スラブ又は隔壁に形成された貫通孔を拡径する方法であって、前記特定数の刃部材のうち一の刃部材のみを備えた前記孔径拡大工具を準備し、この孔径拡大工具を前記貫通孔の一方側から当該貫通孔に挿入して反対側に引き抜くことにより前記刃部材の切刃部により前記貫通孔の内周面にその軸方向に延びる溝を形成し、前記孔径拡大工具に他の一の刃部材を加え、当該孔径拡大工具に先に保持されている刃部材の切刃部が前記溝内に介在するように当該孔径拡大工具を前記貫通孔の一方側から当該貫通孔に挿入し、かつ、当該先に保持されている刃部材の切刃部が前記溝に沿って案内されるように当該孔径拡大工具を反対側に引き抜くことにより前記貫通孔の内周面のうち前記溝以外の部分を削り、以降、前記孔径拡大工具に別の一の刃部材を順次加えながら、当該孔径拡大工具に先に保持されている刃部材の切刃部を当該切刃部によって先に形成された前記溝に沿って案内しながら当該孔径拡大工具を前記貫通孔に通すことにより前記貫通孔の内周面を削って当該貫通孔を拡大するものである。
このような孔径拡大工具および孔径拡大方法によれば、孔径拡大工具を床スラブ等の貫通孔に通し、刃部材により当該貫通孔の内周面を削ることにより当該貫通孔の孔径を拡大するので、簡単な作業で貫通孔の孔径を拡大することが可能となる。特に、刃部材の数を増やしながら貫通孔の内周面を徐々に削ることができるため、比較的少ない労力で貫通孔の孔径を拡大することが可能となる。しかも、刃部材により貫通孔の内周面をその面に沿って削るだけなので、削岩機でスラブを除去する場合に比べると廃棄物の発生を最小限に抑えることができ、粉塵の飛散、騒音の発生、および振動によるスラブへのダメージ等を伴うことなく貫通孔の孔径を良好に拡大することが可能となる。
なお、上記のような孔径拡大工具のより具体的な構成として、前記各刃部材は、その厚み方向に貫通する固定用孔を有し、前記ホルダ部材は、前記刃部材を受ける本体部と、この本体部に固定されるねじ軸部と、このねじ軸部に着脱可能に装着されるナット部材とを備えており、前記刃部材の固定用孔に前記ねじ軸部が挿入された状態で当該刃部材の外側から前記ナット部材が当該ねじ軸部に装着されることにより当該ナット部材と前記本体部とにより前記刃部材を挟持するものである。
このような構成によれば、ホルダ部材のねじ軸部を刃部材の固定用孔に通し、外側からナット部材をねじ軸部に装着するだけの簡単な操作で任意の数の刃部材をその厚み方向に並べた状態で保持することができる。従って、上記のような孔径拡大方法の使用にあたり、刃部材の数を簡単に増やしながら作業を行うことが可能となる。
なお、前記特定数の刃部材は、何れも一定の刃幅を有する同一形状の複数の切刃部が周方向に等間隔で並ぶ同一形状のものであるのが好適である。
この構成によれば、各刃部材が共通化されるため、金型等を含む孔径拡大工具の生産コストを抑えることでき、当該孔径拡大工具をより安価に提供することが可能になる。
また、上記のような孔径拡大工具においては、前記特定数の刃部材のうち隣接する刃部材の間に介在した状態で前記ホルダ部材により保持されることにより、前記隣接する刃部材の切刃部同士の間に隙間を形成する隙間形成部材をさらに備えているのが好適である。
この構成によれば、各刃部材により削られた削り屑を前記隙間に逃がすことができ、これにより削り屑による各刃部材の目詰まりを抑制して、良好な削り味を維持することが可能となる。
また、上記の孔径拡大工具において、前記ホルダ部材は、前記貫通孔の内周面に沿って案内されることが可能な被案内面を備えているのが好適である。
この構成によれば、床スラブ等の貫通孔に対して当該孔径拡大工具を安定的に通すことが可能となる。従って、前記貫通孔の内周面に対する各刃部材の切込量を一定に保って良好に当該内周面を削ることが可能となる。
また、上記の孔径拡大工具において、前記ホルダ部材は、前記各刃部材を保持する側とは反対側の位置に、前記貫通孔に挿入することが可能な外径を有する作業用軸部材を連結することが可能な連結部を有するものであってもよい。
このような構成によれば、当該孔径拡大工具を用いた貫通孔の拡径作業を従来周知のいわゆる配管引き抜き装置を用いてより簡単に行うことが可能となる。すなわち、孔径拡大工具に作業用軸部材を連結した状態で当該孔径拡大工具を貫通孔に通し、配管引き抜き装置により作業用軸部材を把持して貫通孔から引き抜くことにより、当該孔径拡大工具を用いて容易に貫通孔の孔径を拡大することが可能となる。
一方、本発明に係る配管取替方法は、床スラブ又は隔壁を貫通するように当該床スラブ又は隔壁に固定された配管を取り替える方法であって、前記床スラブ又は隔壁から前記配管をその軸方向に引き抜く管引き抜き工程と、前記配管が引き抜かれることにより前記床スラブ又は隔壁に残された貫通孔を前記請求項7に記載の孔径拡大方法を使用して拡径する孔径拡大工程と、この孔径拡大工程で拡径した前記貫通孔に元の配管と同径の新たな配管を挿入し、当該配管と前記貫通孔の内周面との間に充填材を充填することにより当該新たな配管を前記床スラブ又は隔壁に固定する配管固定工程と、を含むものである。
このような配管取替方法によれば、前記貫通孔を必要最小限の範囲で削りながら配管を取り替えることが可能となるため、削岩機でスラブを除去する場合に比べると廃棄物の発生を最小限に抑えることができ、また、粉塵の飛散、騒音の発生、および振動によるスラブへのダメージ等を伴うことなく貫通孔の孔径を拡大することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、ビル、マンション等の修繕工事に伴う配管の取替作業において、廃棄物の大量発生、粉塵の飛散、騒音の発生および振動によるスラブへのダメージ等を殆ど伴うことなく必要最小限の範囲でスラブの孔径を拡大しながら配管の取替作業を行うことが可能となる。
本発明に係る孔径拡大工具を示す分解斜視図である。 孔径拡大工具を示す断面図(全ての刃部材がホルダ部材により保持された状態であって、かつ、孔径拡大工具が作業用軸部材に連結された状態を示す断面図)である。 刃部材を示す斜視図である。 位置決め部材(位置決め部材)を示す斜視図である。 第1〜第4の各位置決め部材により位置決めされた刃部材同士の切刃部の位置関係を説明する図である。 床スラブに固定された取替対象となる配管を示す斜視断面図である。 配管取替作業における配管の引き抜き工程の作業を説明する図である。 (a)は、配管取替作業において配管が引き抜かれた状態を示す床スラブの斜視断面図、(b)は配管引き抜き後に残った貫通孔を示す床スラブの水平断面図である。 (a)は、孔径拡大工具を用いて貫通孔を拡径する工程の作業を説明する図、(b)はこの工程後の貫通孔を示す床スラブの水平断面図である。 (a)は、孔径拡大工具を用いて貫通孔を拡径する工程の作業を説明する図、(b)はこの工程後の貫通孔を示す床スラブの水平断面図である。 (a)は、孔径拡大工具を用いて貫通孔を拡径する工程の作業を説明する図、(b)はこの工程後の貫通孔を示す床スラブの水平断面図である。 (a)は、孔径拡大工具を用いて貫通孔を拡径する工程の作業を説明する図、(b)はこの工程後の貫通孔を示す床スラブの水平断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
図1は及び図2は、本発明に係る孔径拡大工具を示しており、図1は分解斜視図で、図2は組立状態の断面図でそれぞれ孔径拡大工具を示している。
この孔径拡大工具1は、マンション等の配管取替工事に際し、旧配管の引き抜き後、コンクリートスラブ(床スラブ)に残った貫通孔Hに挿入してその内周面を削るものであり、これにより当該貫通孔Hを拡径する。この孔径拡大工具1は、同一の形状を有する4つの刃部材4と、これら刃部材4同士を位置決めする位置決め部材6A〜6Dと、前記刃部材4及び位置決め部材6A〜6Dを保持するためのホルダ部材2とを備える。
ホルダ部材2は、刃部材4を受ける略円柱状の本体部2aと、この本体部2aの中心に固定されてその中心線に沿って延びるねじ軸部2bと、このねじ軸部2bに着脱可能に装着される固定ナット2c(本発明のナット部材に相当する)とを有している。
前記本体部2aは、前記貫通孔Hの内径Dより小さい外径を有しており、これによりホルダ部材2の全体を貫通孔Hに挿入することが可能となっている。この本体部2aは、同図に示すように、先端側(ねじ軸部2bが突出している側)から順に嵌合部10、案内部12及び連結部14をさらに含む。
嵌合部10は、刃部材4が嵌合する部分であり、刃部材4の後記嵌合用凹部24の内周面に嵌合可能な外周面を有している。この嵌合部10の端面、すなわち本体部2aの先端側の端面には刃部材4を位置決めするための複数のピン孔16が形成されている。これらピン孔16は、ねじ軸部2bと平行に延びる孔であって、詳しく図示していないが、前記ねじ軸部2bを中心とする同一円周の複数の位置にそれぞれ形成されており、当実施形態では、周方向に互いに120°の間隔を隔てた位置にそれぞれピン孔16が形成されることにより、3つのピン孔16が嵌合部10の端面に形成されている。
案内部12は、孔径拡大工具1を貫通孔Hに沿って案内するための部分であり、貫通孔Hの内周面に摺接可能な外周面(本発明に係る被案内面に想定する)を有している。また、連結部14は、後述する作業用軸部材50が連結される部分であり、当実施形態では本体部2aの外周面に形成された雄ねじからなる。なお、嵌合部10及び連結部14の外径は、案内部12の外径よりも小さい。
前記刃部材4は、貫通孔Hの内周面を削るためのものであり、扁平な歯車状の形状を有しており、全体が例えばSKS41等の合金工具鋼鋼材により一体に形成されている。この刃部材4は、図3に示すように、貫通孔Hの内径Dよりも僅かに小さな外径を有する本体部20と、その周方向に等間隔で並び、かつ当該本体部20の外周面から径方向外側に突出してそれぞれ貫通孔Hよりも径の大きな円周上に刃先が並ぶように形成された複数の切刃部22とを備える。なお、刃部材4における切刃部22の刃幅(刃部材4における周方向の刃幅)及び配列ピッチは、隣接する切刃部22の間に3つの切刃部22が介在し得るように設定されている。
刃部材4は、その厚み方向に貫通する固定孔26を中心に有するとともに、その片面(厚み方向における片側面)に、厚み方向に凹む断面円形の嵌合用凹部24を有している。すなわち、後述する孔径拡大工具1の組立時には、ホルダ部材2の前記ねじ軸部2bが固定孔26に挿入され、かつ、ホルダ部材2の嵌合部10(又は後述する位置決め部材6A〜6Cの嵌合部32)に当該刃部材4の嵌合用凹部24が外嵌した状態で当該刃部材4が前記ホルダ部材2に保持されるようになっている。なお、固定孔26の内径はねじ軸部2bの外径よりも十分に大きく設定されており、これにより、刃部材4の固定孔26に対してねじ軸部2bを容易に貫通させ得るようになっている。
また、刃部材4の前記嵌合用凹部24の内底部には、当該刃部材4を位置決めするための複数のピン孔28が形成されている。これらピン孔16は、刃部材4をその厚み方向に貫通する貫通孔であって、前記固定孔26(刃部材4の中心位置)を中心とする同一円周の複数の位置に形成されており、当実施形態では、周方向に互いに120°の間隔を隔てた位置にそれぞれピン孔28が形成されることにより、3つのピン孔28が固定孔26の周囲に形成されている。なお、これらピン孔28の孔径と前記ホルダ部材(本体部2a)のピン孔16の孔径は同一であり、また、これらピン孔28が配列される円周と上記ホルダ部材2の各ピン孔16が配列される円周の径は同一である。従って、上記のように刃部材4をホルダ部材2の本体部2a(嵌合部10)に合体させると、刃部材4の各ピン孔28とホルダ部材2(本体部2a)の各ピン孔16とが合致する。
前記位置決め部材6A〜6D(以下、適宜、第1位置決め部材6A、第2位置決め部材6B、第3位置決め部材6C、第4位置決め部材6Dと称する)は、刃部材4同士を互いに位置決めするとともに、隣接する刃部材4の間に隙間を形成するためのものである。
これら位置決め部材6A〜6Dは、図4に示すように、その厚み方向に貫通する固定孔36を中心に有する略円盤状の本体部30と、この本体部30の端面(厚み方向における片側面)から突出するように当該本体部30に固定される複数の位置決めピン34とを有する点で構成が共通している。
前記本体部30は、その厚み方向に外径が変化する段付き形状を有している。具体的には、本体部30は、その厚み方向において前記位置決めピン34が固定される側に、前記刃部材4の本体部20と略同じ外径を有する大径部31を有する一方、他端側に前記刃部材4の嵌合用凹部24の内周面が外嵌することが可能な外周面を有する小径部32(以下、便宜上、嵌合部32という)をさらに有している。なお、第4位置決め部材6Dについては、前記小径部32の部分は円錐台形に形成されている。
前記位置決めピン34は、固定孔36の軸線と平行に延び、かつ前記刃部材4の厚みよりも長尺の平行ピンであって、前記固定孔36(位置決め部材6A〜6Dの中心位置)を中心とする同一円周の複数の位置に固定されている。当実施形態では、周方向に互いに120°の間隔を隔てた位置にそれぞれ位置決めピン34が固定されることにより、3本の位置決めピン34が前記本体部30の大径部31側の端面に突設されている。
また、上記位置決め部材6A〜6Dのうち第4位置決め部材6D以外の位置決め部材6A〜6Cの本体部30には、前記位置決めピン34が配列される円周と同一円周上の複数の位置に、他の位置決め部材の位置決めピン34を挿入することが可能なピン孔38が形成されている。これらピン孔38は、本体部30をその厚み方向に貫通する貫通孔であり、位置決めピン34と同様に、周方向に互いに120°の間隔を隔てた位置にそれぞれ形成されることにより、3つのピン孔38が本体部30に形成されている。これら位置決めピン34及びピン孔38が配列される円周と前記ホルダ部材2のピン孔16及び刃部材4のピン孔28が配列される円周の径とは同一であり、また、これらピン孔38の孔径と前記ホルダ部材2等のピン孔16、28の孔径は同一である。
なお、第1〜第3の位置決め部材6A〜6Cは、上記の通り何れも3本の位置決めピン34と3つのピン孔38を備えているが、位置決めピン34とピン孔38とのずれ角R(図4に示す)は各位置決め部材6A〜6Cの間で互いに異なっている。つまり、孔径拡大工具1を組み立てた状態において、4つの刃部材4の切刃部22同士が周方向に互いにずれた状態で当該4つの刃部材4同士が互いに位置決めされるように各位置決め部材6A〜6Cにおける位置決めピン34とピン孔38とのずれ角Rそれぞれ設定されている。
以下、孔径拡大工具1の組み立ての手順について図1及び図2を参照しながら説明した上で、上記のずれ角Rについて説明することにする。この孔径拡大工具1の組み立ては、以下の手順に従う。
(1)ホルダ部材2及び最初(一番目)の刃部材4を準備する。そして、嵌合用凹部24をホルダ部材2の本体部2a側に向けた状態で、当該刃部材4の固定孔26にホルダ部材2のねじ軸部2bを挿入しながら刃部材4の前記嵌合用凹部24をホルダ部材2の本体部2a(嵌合部10)に嵌合させる。この際、刃部材4の各ピン孔28と嵌合部10の各ピン孔16とを一致させておく。
(2)第1位置決め部材6Aを準備し、各位置決めピン34をホルダ部材2の本体部2a側に向けた状態で、当該第1位置決め部材6Aの固定孔36にホルダ部材2のねじ軸部2bを挿入する。そして、第1位置決め部材6Aを刃部材4に近づけ、各位置決めピン34をそれぞれ刃部材4の各ピン孔28及びホルダ部材2(本体部2a)の各ピン孔16に挿入しつつ当該第1位置決め部材6Aを刃部材4に押し付ける。このようにすると各位置決めピン34により刃部材4の回転が拘束され、ホルダ部材2に対して刃部材4が周方向に位置決めされる。なお、第1位置決め部材6Aの大径部31側の端面であって前記固定孔36の周囲には、刃部材4の固定孔26に内嵌可能なボス部37が形成されており、第1位置決め部材6Aを刃部材4に押し付ける際には、このボス部37を刃部材4の固定孔26に嵌入する。
(3)次(二番目)の刃部材4を準備し、嵌合用凹部24を第1位置決め部材6A側に向けた状態で、当該刃部材4の固定孔26にホルダ部材2のねじ軸部2bを挿入しながら刃部材4の嵌合用凹部24を第1位置決め部材6Aの本体部30(嵌合部32)に嵌合させる。この際、刃部材4の各ピン孔28と第1位置決め部材6Aの各ピン孔38とを一致させておく。
(4)第2位置決め部材6Bを準備し、第1位置決め部材6Aの組み付け時と同様に、第2位置決め部材6Bの固定孔36にホルダ部材2のねじ軸部2bを挿入しながら当該第2位置決め部材6Bを二番目の刃部材4に近づけ、各位置決めピン34をそれぞれ当該刃部材4の各ピン孔28および第1位置決め部材6Aの各ピン孔38に挿入しつつ当該第2位置決め部材6Bを刃部材4に押し付ける。このようにすると第2位置決め部材6Bの各位置決めピン34により第1位置決め部材6Aに対して二番目の刃部材4の回転が拘束され、その結果、一番目の刃部材4に対して当該二番目の刃部材4が周方向に位置決めされる。
(5)以後、同様の手順で、三番目の刃部材4、第3位置決め部材6C、四番目の刃部材4および第4位置決め部材6Dの順に、各固定孔26、38にホルダ部材2のねじ軸部2bを挿入しながら当該刃部材4及び位置決め部材6C、6Dを組み付ける。このようにすると第3位置決め部材6Cの各位置決めピン34により第2位置決め部材6Bに対して三番目の刃部材4の回転が拘束されるとともに、第4位置決め部材6Dの各位置決めピン34により第3位置決め部材6Cに対して四番目の刃部材4の回転が拘束され、その結果、二番目の刃部材4に対して三番目の刃部材4が周方向に位置決めされるとともに、三番目の刃部材4に対して四番目の刃部材4が周方向に位置決めされる。
(6)最後に、固定ナット2cを第4位置決め部材6Dの外側からねじ軸部2bに締結し、ホルダ部材2の本体部2a及び固定ナット2cにより刃部材4及び位置決め部材6A〜6Dを挟持することにより、ホルダ部材2に対して各刃部材4および位置決め部材6A〜6Dを固定する。これにより孔径拡大工具1の組立が完了する。
なお、このように組立てられた孔径拡大工具1については、上記の通り、4つの刃部材4の切刃部22同士が互いに周方向にずれた状態でホルダ部材2に保持(固定)される。換言すれば、4つの刃部材4の切刃部22同士が周方向にずれた状態で位置決めされるように、第1〜第3の位置決め部材6A〜6Cにおける位置決めピン34とピン孔38との前記ずれ角R(図4に示す)が設定されている。具体的には、図5に示すように、1番目の刃部材4の切刃部22の位置(同図(A))を基準として、2番目の刃部材4の切刃部22の位置が+1/2ピッチだけ周方向にずれ(同図(B))、3番目の刃部材4の切刃部22の位置が+1/4ピッチだけ周方向にずれ(同図(C))、4番目の刃部材4の切刃部22の位置が+3/4ピッチだけ周方向にずれる(同図(D))ように、第1〜第3の位置決め部材6A〜6Cにおける位置決めピン34とピン孔38とのずれ角R(図4に示す)が設定されている。これにより、上記のように組み立てられた孔径拡大工具1においては、4つの刃部材4の切刃部22同士が互いに周方向にずれ、かつ、当該刃部材全体としてそれらの中心軸に沿って見たときには周方向に亘って切刃部22が連続的に並んだ状態でホルダ部材2に各刃部材4が保持(固定)される。
次に、上記のような孔径拡大工具1を用いて行われる配管取替作業の一例について図6〜図12を参照しつつ説明する。
図6は、取替対象となる配管Pを示している。この配管Pは、例えばマンションのコンクリートスラブS(以下、単にスラブSという)に固定された金属製の直管であり、スラブSを上下方向に貫通した状態で当該スラブSに固定されている。
<配管引き抜き工程>
まず、最初に配管PをスラブSから引き抜く。配管Pの引き抜きは、配管引き抜き装置を用いて行う。図7は、この配管引き抜き装置60を配管Pにセットした状態を概略的に示している。この配管引き抜き装置60は、例えば、株式会社タイガー製「カンヌッキ」(登録商標)等の周知の配管引き抜き装置である。この配管引き抜き装置60は、上下一対のプレート部材62、64と、これらプレート部材62、64の間に介在して上下方向に延びる4本の案内シャフト66と、これら案内シャフト66に移動可能に装着される移動プレート68と、この移動プレート8に揺動可能に支持されるプレート状のチャック70と、前記移動プレート68を駆動する油圧ジャッキ64とを備えている。
この配管引き抜き装置60を用いて配管Pを引き抜くには、まず、スラブSの上下両側の適当な位置で配管Pを切断し、同図に示すように、チャック70に形成された楕円状のチャック孔72に配管Pを挿入した状態で配管引き抜き装置60をスラブS上に設置する。そして、この状態で油圧ジャッキ64を作動させて移動プレート68を上昇駆動する。このように移動プレート68が上昇すると、チャック70が配管Pの外周面に噛み込み、油圧ジャッキ64の油圧力により配管Pが移動プレート68等とともに一体にスラブSに対して引き上げられ、その結果、配管PがスラブSから引き抜かれることとなる。
このようにしてスラブSから配管Pを引き抜くと、図8(a)、(b)に示すように、スラブSには、元の配管Pの外径と略同一の内径Dを有する貫通孔Hが残る。
<孔径拡大工程>
次に、スラブSに残った貫通孔Hを、上述した孔径拡大工具1を用いて拡径する。この作業は、次の準備工程および第1〜第4拡径工程に従って行う。
〔 準備工程 〕
一番目の刃部材4および第1位置決め部材6Aのみがホルダ部材2に保持された孔径拡大工具1を準備する。
次に、孔径拡大工具1を作業用軸部材50の先端に装着する。この作業用軸部材50は、図1及び図2に示すように、その先端外周面に雄ねじ部52を備えた金属製直管であって、スラブSの厚み寸法よりも十分に長い長さ寸法を有している。作業用軸部材50への孔径拡大工具1の装着は、同図に示すように、内周面に雌ねじが形成された円筒状の中継部材54を用い、作業用軸部材50の前記雄ねじ部52及び孔径拡大工具1の前記ホルダ部材2の連結部14をそれぞれ中継部材54に螺合挿入することにより行う。作業用軸部材50および中継部材54の外径は、貫通孔Hの内径Dよりも小さく、従って、作業用軸部材50等については、これを貫通孔Hへの挿入することが可能となっている。
なお、以下の説明では、便宜上、特に区別する場合を除き、孔径拡大工具1が作業用軸部材50に装着されたものを工具とよぶ。
〔 第1拡径工程 〕
準備工程で準備した上記工具を、図9(a)に示すように、スラブSの階下から貫通孔Hに挿入し、工具全体を貫通孔Hに沿って引き上げつつ階上に引き抜く。具体的には、同図に示すように、工具を作業用軸部材50の側から貫通孔Hに挿入し、スラブSの階上に引き出した作業用軸部材50に図外の配管引き抜き装置をセットし、この配管引き抜き装置により作業用軸部材50を貫通孔Hに沿って引き上げつつ工具をスラブSの階上側に引き抜く。なお、配管引き抜き装置としては、上述の配管引き抜き工程で使用した配管引き抜き装置60と同じものを用いればよい。
このように工具を貫通孔Hに沿って引き上げると、刃部材4の切刃部22により貫通孔Hの内周面が削られ、これにより同図(b)に示すように、当該内周面に、その周方向に等間隔で並びかつ貫通孔Hの軸方向に延びる溝が形成されることとなる。なお、同図では便宜上、切刃部22の数を4つとした場合の貫通孔Hの断面図を示している。
〔 第2拡径工程 〕
図10(a)に示すように、工具(孔径拡大工具1)に二番目の刃部材4と第2位置決め部材6Bを装着し、第1拡径工程と同様に、スラブSの階下から工具を貫通孔Hに挿入し、工具全体を貫通孔Hに沿ってスラブSの階上に引き抜く。この際、一番目の刃部材4の切刃部22を、当該切刃部22により第1拡径工程で形成された溝内に介在させることにより、一番目の刃部材4の切刃部22が当該溝に沿って案内されるようにする。
このようにして工具を貫通孔Hに沿って引き上げると、図5(a)、(b)に示した通り、一番目の刃部材4と二番目の刃部材4とは、切刃部22同士が互いに周方向に1/2ピッチ分だけずれるように位置決めされているため、貫通孔Hの内周面には、図10(b)に示すように、一番目の刃部材4の切刃部22に形成された溝の間に二番目の刃部材の切刃部22による溝が形成されることとなる。
〔 第3拡径工程 〕
図11(a)に示すように、工具(孔径拡大工具1)に三番目の刃部材4と第3位置決め部材6Cを装着し、スラブSの階下から貫通孔Hに工具を挿入し、階上に引き抜く。この際、一番目及び二番目の刃部材4の切刃部22を、それぞれ第1、第2拡径工程で形成された溝内に介在させることにより、一番目及び二番目の刃部材4の切刃部22がそれぞれ前記溝に沿って案内されるようにする。
このようにして工具を貫通孔Hに沿って引き上げると、図5(a)、(c)に示した通り、一番目の刃部材4と三番目の刃部材4とは、切刃部22同士が互いに周方向に1/4ピッチ分だけずれるように位置決めされているため、貫通孔Hの内周面は、図11(b)に示すように、一番目の刃部材4により形成された溝と二番目の刃部材4により形成された溝とが周方向に繋がった状態となり溝が周方向に拡大する。
〔 第4拡径工程 〕
図12(a)に示すように、工具(孔径拡大工具1)に四番目の刃部材4と第4位置決め部材6Cを装着し、スラブSの階下から貫通孔Hに工具を挿入し、階上に引き抜く。この際、一〜三番目の刃部材4の切刃部22を、第1〜3拡径工程で形成された溝内に介在させることにより、一〜三番目の刃部材4の切刃部22が全体として第3拡径工程で拡大された前記溝に沿って案内されるようにする。
このようにして工具を貫通孔Hに沿って引き上げると、図5(a)、(d)に示した通り、一番目の刃部材4と四番目の刃部材4とは切刃部22同士が互いに周方向に3/4ピッチ分だけずれるように位置決めされているため、貫通孔Hのうち前記溝以外の部分が当該四番目の刃部材4に削り取られることとなり、その結果、貫通孔Hが図11(b)に示すように切刃部22の分だけ拡径された貫通孔H′となる。
< 配管固定工程 >
元の配管Pと同じ外径寸法を有する新たな配管Pを準備し、これを拡径された貫通孔H(H′)に挿入した後、この貫通孔Hの内周面と新たな配管Pの外周面との間にコンクリート等を充填し、当該配管Pを固定する。これにより配管Pの配管取替作業が完了する。
以上説明したように、本発明にかかる孔径拡大工具1およびこれを用いた孔径拡大方法(配管取替方法)によれば、孔径拡大工具1をスラブSの貫通孔Hに通し、刃部材4により当該貫通孔Hの内周面を削ることにより当該貫通孔Hの孔径を拡大するので、周囲に十分なスペースが確保できないような場合でも、簡単な作業で貫通孔Hの孔径を拡大することができる。特に、刃部材4の数を増やしながら貫通孔Hの内周面を徐々に削ることができるため、比較的少ない労力で貫通孔Hの孔径を拡大することができる。
その上、刃部材4により貫通孔Hの内周面をその面に沿って削るだけなので、適切な切刃部22を備えた刃部材4を用いることにより、元の配管Pと同径の配管Pを挿入することが可能な必要最小限の寸法だけ貫通孔Hを拡大することが可能であり、従って、削岩機でスラブを除去する従来の工法に比べると廃棄物の発生を最小限に抑えることができ、また、粉塵の飛散、騒音の発生、および振動によるスラブへのダメージ等を伴うことなく貫通孔Hの孔径を適切に拡大することができる。
また、上記の孔径拡大工具1によれば、ホルダ部材2(本体部2a)に案内部12が設けられており、孔径拡大工具1を貫通孔Hに通す際には、この案内部12が貫通孔Hの内周面に摺接することにより当該貫通孔Hに沿って孔径拡大工具1が安定的に案内される。従って、上記のような貫通孔Hの拡径作業において、貫通孔Hの内周面に対する各刃部材4の切込量を一定に保ちつつ当該内周面を適切に削ることができるという利点がある。
ところで、以上説明した孔径拡大工具1やこれを用いた孔径拡大方法(配管取替方法)は本発明にかかる孔径拡大工具等の好ましい実施の形態の例示であってその具体的な構成や方法は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成や方法を採用することもできる。
(1)実施形態の孔径拡大工具1では、4つの刃部材4としてすべて同一形状のものを用いているが、勿論、切刃部22の刃幅が異なる等、互いに形状の異なる刃部材を適用してもよい。但し、実施形態のように刃部材4が共通化される構成によれば、金型等を含む孔径拡大工具1の生産コストを抑えることでき、当該孔径拡大工具1をより安価に提供することが可能になる。また、貫通孔Hの拡径作業において、刃部材を選定しながら孔径拡大工具に組み込むといった作業が不要となる分、作業性が良いものとなる。
また、実施形態では、刃部材4の数(本発明の特定数)は4つであるが、勿論、刃部材4の数は複数であれば3つ以下、又は5つ以上であっても構わない。
(2)実施形態の孔径拡大工具1では、各刃部材4とは別に、これらを位置決めするための位置決め部材6A〜6Dを備えているが、例えば、各刃部材4にそれぞれ位置決め部材6A〜6Dに相当する部分(嵌合部32、位置決めピン34及びピン孔38)を一体に設けた構成としてもよい。この構成によれば、孔径拡大工具1の部品数を減らすことができ、貫通孔Hの拡径作業における作業性を向上させることが可能となる。
(3)また、この実施形態では、位置決め部材6A〜6Dの位置決めピン34を刃部材4のピン孔28及びホルダ部材2のピン孔16(又は位置決め部材6A〜6Cのピン孔38)に挿入することにより刃部材4同士を周方向に位置決めするようにしているが、刃部材4同士を位置決めするための具体的な構成(すなわち、本発明の位置決め手段の構成)もこれに限定されるものではなく、刃部材4同士を周方向に互いに位置決めできれば、他の構成を採用しても構わない。
(4)実施形態の孔径拡大工具1では、ホルダ部材2に連結部14が設けられており、ここに作業用軸部材50を連結するように構成されているが、前記連結部14の具体的な構成は実施形態のように本体部2aの外周面に雄ねじが形成されたものに限定されるものではない。例えば、本体部2aの末端に連結用凹部が形成され、かつ、その内周面に雌ねじが形成されることにより、中継部材54を用いることなく、前記作業用軸部材50を直接ホルダ部材2に螺合、挿入することが可能となる構造であってもよい。また、孔径拡大工具1は、このように作業用軸部材50の着脱可能となる構成以外に、ホルダ部材2自体が作業用軸部材50に相当する部分を予め備えている構成であってもよい。
(5)実施形態の孔径拡大方法(配管取替方法)では、刃部材4を一つずつ増やしながら孔径拡大工具1を貫通孔Hに通すようにしているが、勿論、複数の刃部材4を最初から孔径拡大工具1に保持させた状態で当該孔径拡大工具1を貫通孔Hに通すようにしてもよい。特に、スラブSの内周面が比較的脆く削り易いものである場合には、このように複数の刃部材4を最初から孔径拡大工具1に保持させた状態で作業を行うことにより、作業時間を短縮することが可能となる。この場合、この孔径拡大工具1によれば、位置決め部材6A〜6Cが隣接する刃部材4の切刃部22同士の間に隙間を形成する(本発明の隙間形成部材として機能する)ように構成されているので、上記のように複数の刃部材4を保持した孔径拡大工具1を貫通孔Hに通す場合でも、各刃部材4により削られた削り屑が前記隙間に逃げることにより各刃部材4の目詰まり等が効果的に抑制さる。従って、長期的に良好な削り味が持続させることとなり、例えばスラブSの厚み寸法が大きい場合、つまり、貫通孔Hが比較的長い場合でも当該貫通孔Hの長手方向全体を速やかにかつ適切に削ることができるという利点がある。
(6)実施形態では、孔径拡大方法(配管取替方法)として、床スラブに固定された上下方向の配管Pの取り替えに伴う貫通孔Hの孔径拡大方法(配管取替方法)について説明した、勿論、本発明の孔径拡大方法(配管取替方法)は、隔壁に固定された水平方向の配管P等の取り替えに伴う貫通孔の拡大についても適用可能である。
1 孔径拡大工具
2 ホルダ部材
2a 本体部
2b ねじ軸
2c 固定ナット
4 刃部材
6A〜6D 位置決め部材
14 連結部
16、28、38 ピン孔
20 本体部
22 切刃部
34 位置決めピン
50 操作用軸部材
52 雄ねじ部
54 中継部材
D 内径
H 貫通孔

Claims (8)

  1. 床スラブ又は隔壁に形成された貫通孔を拡径するための孔径拡大工具であって、
    扁平な形状を有する特定数かつ複数の刃部材と、これら特定数の刃部材のうち任意の数の刃部材をその厚み方向に一列に並べた状態で保持することが可能なホルダ部材と、このホルダ部材に保持される刃部材同士を位置決めする位置決め手段とを含み、
    各刃部材は、前記貫通孔の内径よりも小さい外径を有する本体部と、その周方向に等間隔で並ぶ複数の位置において当該本体部の外周面から径方向外側に突出し、かつ、前記貫通孔の内径よりも径の大きな円周上に刃先が並ぶように形成された複数の切刃部とを備え、
    前記ホルダ部材は、前記切刃部よりも内側の位置で前記刃部材をその厚み方向に挟持することにより当該刃部材を保持し、
    前記位置決め手段は、前記ホルダ部材に保持される複数の刃部材のうち隣接するもの同士をそれらの並び方向と平行な中心軸回りに互いに位置決めし、
    前記各刃部材は、前記特定数の刃部材がホルダ部材に保持され、かつ、前記位置決め手段により互いに位置決めされた状態において、各刃部材の切刃部同士が互いに周方向にずれるとともに、当該特定数の刃部材全体としてそれらの中心軸に沿って見たときに前記切刃部が周方向に亘って連続的に並ぶように形成されていることを特徴とする孔径拡大工具。
  2. 請求項1に記載の孔径拡大工具において、
    前記各刃部材は、その厚み方向に貫通する固定用孔を有し、
    前記ホルダ部材は、前記刃部材を受ける本体部と、この本体部に固定されるねじ軸部と、このねじ軸部に着脱可能に装着されるナット部材とを備えており、前記刃部材の固定用孔に前記ねじ軸部が挿入された状態で当該刃部材の外側から前記ナット部材が当該ねじ軸部に装着されることにより当該ナット部材と前記本体部とにより前記刃部材を挟持することを特徴とする孔径拡大工具。
  3. 請求項1又は2に記載の孔径拡大工具において、
    前記特定数の刃部材は、何れも一定の刃幅を有する同一形状の複数の切刃部が周方向に等間隔で並ぶ同一形状のものであることを特徴とする孔径拡大工具。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の孔径拡大工具において、
    前記特定数の刃部材のうち隣接する刃部材の間に介在した状態で前記ホルダ部材により保持されることにより、前記隣接する刃部材の切刃部同士の間に隙間を形成する隙間形成部材をさらに備えることを特徴とする孔径拡大工具。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の孔径拡大工具において、
    前記ホルダ部材は、前記貫通孔の内周面に沿って案内されることが可能な被案内面を備えていることを特徴とする孔径拡大工具。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の孔径拡大工具において、
    前記ホルダ部材は、前記各刃部材を保持する側とは反対側の位置に、前記貫通孔に挿入することが可能な外径を有する作業用軸部材を連結することが可能な連結部を有することを特徴とする孔径拡大工具。
  7. 請求項1に記載の孔径拡大工具を用いて床スラブ又は隔壁に形成された貫通孔を拡径する方法であって、
    前記特定数の刃部材のうち一の刃部材のみを備えた前記孔径拡大工具を準備し、この孔径拡大工具を前記貫通孔の一方側から当該貫通孔に挿入して反対側に引き抜くことにより前記刃部材の切刃部により前記貫通孔の内周面にその軸方向に延びる溝を形成し、
    前記孔径拡大工具に他の一の刃部材を加え、当該孔径拡大工具に先に保持されている刃部材の切刃部が前記溝内に介在するように当該孔径拡大工具を前記貫通孔の一方側から当該貫通孔に挿入し、かつ、当該先に保持されている刃部材の切刃部が前記溝に沿って案内されるように当該孔径拡大工具を反対側に引き抜くことにより前記貫通孔の内周面のうち前記溝以外の部分を削り、
    以降、前記孔径拡大工具に別の一の刃部材を順次加えながら、当該孔径拡大工具に先に保持されている刃部材の切刃部を当該切刃部によって先に形成された前記溝に沿って案内しながら当該孔径拡大工具を前記貫通孔に通すことにより前記貫通孔の内周面を削って当該貫通孔を拡大することを特徴とする孔径拡大方法。
  8. 床スラブ又は隔壁を貫通するように当該床スラブ又は隔壁に固定された配管を取り替える方法であって、
    前記床スラブ又は隔壁から前記配管をその軸方向に引き抜く管引き抜き工程と、
    前記配管が引き抜かれることにより前記床スラブ又は隔壁に残された貫通孔を前記請求項7に記載の孔径拡大方法を使用して拡径する孔径拡大工程と、
    この孔径拡大工程で拡径した前記貫通孔に元の配管と同径の新たな配管を挿入し、当該配管と前記貫通孔の内周面との間に充填材を充填することにより当該新たな配管を前記床スラブ又は隔壁に固定する配管固定工程と、を含むことを特徴とする配管取替方法。
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