JP2012101341A - 研磨用組成物とその製造方法およびそれを用いた研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の研磨用組成物は、砥粒と該砥粒を分散させる分散媒とからなり、被研磨材の研磨に用いられる研磨用組成物であって、砥粒は、無機原料を破砕した体積平均粒径が0.01〜5μmの破砕粒子からなり、分散媒はアルカリ性分散媒であることを特徴とする。この研磨用組成物に用いる破砕粒子は、例えば、石英ガラスガラスを破砕した破砕シリカ粒子が好ましい。本発明の研磨スラリーを用いれば、表面粗さが小さく安定した良好な研磨を高い研磨レートで行うことができる。しかも本発明の研磨用組成物によれば、レアアース等を用いる必要がないので、砥粒の低コスト化ひいては研磨スラリーの低コスト化を図れる。
【選択図】図1A
Description
(1)本発明の研磨用組成物は、砥粒と該砥粒を分散させる分散媒とからなり、被研磨材の研磨に用いられる研磨用組成物であって、前記砥粒は、無機原料を破砕した体積平均粒径が0.01〜5μmの破砕粒子からなり、前記分散媒はアルカリ性分散媒であることを特徴とする。
本発明は、上述した研磨用組成物に限らずその製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、無機原料を破砕して体積平均粒径が0.01〜5μmの破砕粒子を得る破砕工程と、該破砕粒子をアルカリ性分散媒へ分散させる分散工程とからなり、上述した本発明の研磨用組成物が得られることを特徴とする研磨用組成物の製造方法でもよい。
さらに本発明は、上述した研磨用組成物を用いた研磨方法としても把握される。すなわち本発明は、研磨スラリーを研磨パッド上に供給するスラリー供給工程と、該研磨スラリーの供給された研磨パッドにより被研磨材を研磨する研磨工程と、を備える研磨方法であって、この研磨スラリーが上述した本発明の研磨用組成物からなることを特徴とする研磨方法としても把握される。
(1)本明細書でいう「体積平均粒径」は、測定対象であるサンプル(破砕粒子の粉末)について、その構成する各粒子の直径(粒径:di)にそれぞれの粒子の体積占有率(重み:vi/V0)をかけて求めた総和(Σdi・vi/V0)である(V0はサンプル全体の体積)。具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布計(シーラス社(フランス)製)を用いてJIS Z8825−1に準じて測定した。
P 研磨パッド
W ウエハ(被研磨材)
10 定盤
20 ヘッド
30 コンディショナー
本発明の研磨用組成物に係る砥粒は、主に無機原料を破砕した破砕粒子からなる。
(1)無機原料は、無機材料の塊(無機塊材)であり、その組成やサイズ等は問わない。この無機材料は、例えば、酸化ケイ素(シリカ等)、酸化ジルコニウム(ジルコニア等)、酸化アルミニウム(アルミナ等)、酸化鉄などである。
本発明の研磨用組成物は、上記の砥粒を分散媒に均一に分散させた懸濁液(研磨スラリー)からなる。この分散媒の種類やpHは破砕粒子や被研磨材の種類に応じて適宜選択される。もっとも分散媒はアルカリ性であると好ましく、pHでいうと7.5〜14、9〜12さらには9.5〜11.5であると好ましい。pHが過小(pH7近傍)では研磨レートおよび表面粗さの向上を図れず、pHが過大では研磨時の作業性が低下したり、研磨装置に特殊な加工(耐薬品性加工)が必要となって好ましくない。さらに砥粒の組成(例えば、酸化ケイ素の場合)によっては、pHが過大になると砥粒表面が溶解し易くなり、粒子形状の保持が困難となる。
本発明の研磨方法は、主にスラリー供給工程と研磨工程とからなる。
(1)スラリー供給工程
スラリー供給工程は、上述した研磨用組成物(研磨スラリー)を研磨パッド上に供給する工程である。この工程は、研磨スラリーを研磨パッド上に滴下する工程でも、研磨スラリーを研磨パッド上に噴霧する工程でも、研磨パッドを研磨スラリー中に浸漬する工程でもよい。
研磨工程は、供給された研磨スラリー中の砥粒を内包した研磨パッドと被研磨材とが相対的に摺動して、研磨面が形成される工程である。被研磨材を研磨パッド上へ押圧する圧力、研磨パッドと被研磨材との相対速度(相対回転数)などは、被研磨材の種類、研磨スラリーの構成、研磨面に要求される精度、タスクタイムなどにより適宜調整される。
このような本発明の研磨方法は、例えば、図2に概要を示すような研磨装置Kにより行うことができる。この研磨装置Kは、円盤状の定盤10と、この定盤10の上方に設けられ、保持材を介して被研磨材である円板状のウエハWを保持するヘッド20と、定盤10上に着脱自在に固定された研磨パッドPの表面を目立てする可動円板状のコンディショナー30と、研磨スラリー(または研磨液)Lを供給する滴下ノズル40とから主に構成される。
被研磨材は、その種類や形態を特に問わないが、例えば、一般的なガラス、ディスプレー用パネル、電子デバイス基板(ウエハ)等である。より具体的には、SiO2、Na2CO3、CaCO3等からなる各種ガラス、シリコン、窒化物(GaN等)、炭化物(SiC等)等からなる各種基板などが被研磨材として挙げられる。
《研磨スラリーの調製》
(1)砥粒
破砕粒子からなる砥粒は次のようにして得た。先ず、無機原料(無機塊材)である石英ガラスを乾式ボールミルで数100μm程度まで粗粉砕した。次に、その破砕片を横型湿式ビーズミルにより微粉砕した(粉砕工程)。こうして表1に示す粒度調整された各種の破砕シリカ粒子(粉末)を得た。
表1に示す各砥粒を、表1に示すpH調整剤により予めpH調整したイオン交換水(アルカリ性分散媒)中に入れて分散させた。こうして表1に示した各砥粒濃度の研磨スラリーを調製した(分散工程)。なお、砥粒の分散にはホモミキサーを用いた。
(1)被研磨材
表1に示す各研磨スラリーを用いて、被研磨材であるソーダガラス(直径50mm、厚み2mmを研磨した。なお、研磨前に、ソーダガラスの表面を予めサンドペーパー(#400)ですりガラス状に粗らしておいた。
図2に示すような片面研磨装置(株式会社エム・エー・ティ社製、BC−15)を用いて、各研磨スラリーを25cc/minの割合で、ウレタン樹脂製の研磨パッド(九重電気株式会社製、KSP66A)上に滴下させた(スラリー供給工程)。この研磨パッド上で、上記のソーダガラスを押圧しつつ摺動させた(研磨工程)。
(1)研磨レート
各被研磨材(ソーダガラス)の質量を、研磨前および研磨後に測定した。研磨前後の質量変化をソーダガラスの断面積で除して、被研磨材の厚みの減少量に換算した研磨レート(μm/min)を求めた。この結果を表1に併せて示した。
研磨後のソーダガラスの表面を、表面粗さ計(株式会社東京精密社製サーフコム480A)により測定し、平均線粗さRa値を求めた。この結果を表1に併せて示した。ちなみに、研磨前のソーダガラスの表面粗さはRaで約0.2〜0.3μm程度であった。
(1)表1に示した試料No.1〜6から明らかなように、体積平均粒径が1μmまたは2μmの破砕粒子からなる砥粒を用いた場合、表面粗さは小さく安定しており、かつ、高い研磨レートが確保されている。つまり、本発明に係る研磨スラリーによれば、試料No.5および試料No.6のように砥粒が多い場合は勿論、試料No.1〜4のように砥粒濃度が3質量%程度の場合でも、高精度の研磨と高効率の研磨が高次元で両立されることがわかる。この傾向は複合粒子からなる砥粒を用いた場合でも同様であった。
Claims (11)
- 砥粒と該砥粒を分散させる分散媒とからなり、被研磨材の研磨に用いられる研磨用組成物であって、
前記砥粒は、無機原料を破砕した体積平均粒径が0.01〜5μmの破砕粒子からなり、
前記分散媒はアルカリ性分散媒であることを特徴とする研磨用組成物。 - 前記破砕粒子は、体積平均粒径が0.1〜3μmであり、
前記アルカリ性分散媒は、pHが9〜12の水からなる請求項1に記載の研磨用組成物。 - 前記無機材料は、全体を100質量%としたときに、酸化ケイ素成分を50質量%以上含むガラス材からなる請求項1に記載の研磨用組成物。
- 前記ガラス材は、石英ガラスである請求項3に記載の研磨用組成物。
- ジルコニウム(Zr)を5〜10000ppm含む請求項1に記載の研磨用組成物。
- 前記砥粒は、前記破砕粒子と異なる1種以上の無機粒子をさらに含む複合粒子からなる請求項1〜5のいずれかに記載の研磨用組成物。
- 前記無機粒子は、球状粒子からなる請求項6に記載の研磨用組成物。
- 前記無機粒子は、前記砥粒全体を100質量%としたときに40質量%以下である請求項6または7に記載の研磨用組成物。
- 前記被研磨材は、ガラス、窒化物または炭化物である請求項1〜5のいずれかに記載の研磨用組成物。
- 無機原料を破砕して体積平均粒径が0.01〜5μmの破砕粒子を得る破砕工程と、
該破砕粒子をアルカリ性分散媒へ分散させる分散工程とからなり、
請求項1の研磨用組成物が得られることを特徴とする研磨用組成物の製造方法。 - 研磨スラリーを研磨パッド上に供給するスラリー供給工程と、
該研磨スラリーの供給された研磨パッドにより被研磨材を研磨する研磨工程と、
を備える研磨方法であって、
前記研磨スラリーは、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨用組成物からなることを特徴とする研磨方法。
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