JP2012099455A - 電子放出素子およびそれを備えた装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1電極と、第1電極上に形成された、膜厚方向に貫通した複数の小孔を有する電子放出制御絶縁膜と、前記電子放出制御絶縁膜上に形成された、少なくとも絶縁性微粒子を含有する電子加速層と、前記電子加速層上に形成された第2電極とを備え、第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、第1電極から放出される電子を前記電子放出制御絶縁膜の前記小孔の位置における前記電子加速層で加速させて第2電極から外部へ放出させるように構成されたことを特徴とする電子放出素子。
【選択図】図1
Description
また、大気中の酸素は電離エネルギーよりも解離エネルギーの方が低いため、イオンの発生よりも先にオゾンが発生する。オゾンは人体に有害である上、その強い酸化力により様々なものを酸化することから、素子の周囲の部材にダメージを与えるという問題が存在し、これを避けるために周辺部材には耐オゾン性の高い材料を用いなければならないという制限が生じている。
これらは、素子内部の量子サイズ効果および強電界を利用して電子を加速し、平面状の素子表面から電子を放出させる面放出型の電子放出素子である。
これらの電子放出素子は、素子内部の電子加速層で加速した電子を放出するため、素子外部に強電界を必要としない。
したがって、MIM型およびMIS型の電子放出素子は、前記スピント型、CNT型、BN型の電子放出素子のように気体分子の電離によるスパッタリングで破壊されるという問題やオゾンが発生するという問題を克服できる。
例えば、相対向する2枚の電極の間に微粒子を含む絶縁体を設けたMIM型の電子放出素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この問題を解消すべく、通電エージング、レーザー照射、プラズマ処理などの活性化処理が試みられているが、処理に時間と手間がかかってしまう。
これらの電子放出素子の中には、安定化させるための通電処理、すなわちフォーミング処理が施されている素子もあるが、フォーミング処理によって形成される電子放出点は偶発的なものであるため、電子放出点を制御することが難しく、多くの場合は不均一になってしまう。
したがって、均一かつ制御性のよい電子放出を実現することができる。
また、局所的な電子放出による素子破壊が低減できるため、素子の長寿命化も期待できる。
また、本発明の電子放出素子の製造方法によれば、均一かつ制御性のよい電子放出を実現でき、かつ長寿命化した電子放出素子を製造することができる。
つまり、本発明の電子放出素子は、均一に配置された複数の小孔を有する電子放出制御絶縁膜を第1・第2電極間の第1電極側に設けることにより、第2電極の外表面から均一に電子を放出することができるものである。
本発明の電子放出素子は、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、第1電極から、第1電極と第2電極との間における電子加速層中の絶縁性微粒子の表面に電子が移る。絶縁性微粒子の内部は高抵抗であるため、電子は絶縁性微粒子の表面を伝導していく。
このとき、絶縁性微粒子の表面の不純物、絶縁性微粒子が酸化物である場合の酸素欠陥、あるいは絶縁性微粒子間の接点で、電子がトラップされる。このトラップされた電子は固定化された電荷として働く。
その結果、電子加速層の表面では、印加電圧と、トラップされた電子が作る電界とが合わさって強電界が発生し、その強電界によって電子が加速され、第2電極から電子が放出される。
電子放出制御絶縁膜では、電気抵抗が高く、第1電極からの電子が電子放出制御絶縁膜から上層に移動しないため、電子放出が起こらない。
この結果、小孔部分でのみ電子が放出されることになり、素子全体に配置した小孔から電子が均一に電子が放出される。また、電子放制御絶縁膜のパターンにしたがって電子放出が生じる素子構造になっているので、制御性よく電子が放出される。
このように、本発明の電子放出素子は、電子放出制御絶縁膜に電子放出させる部分(小孔)と電子放出させない部分とが交互に配列したパターン構造であるため、前記メカニズムに基づいて均一に制御性よく電子放出することができる。
ここで、電子加速層の膜厚が電子放出制御絶縁膜の膜厚と等しい電子放出素子を製造する場合、前記工程(B)と工程(C)の間に、例えば、エッチングまたは化学機械研磨(CMP)により、電子放出制御絶縁膜が露出するまで電子加速層を除去する工程が含まれる。
この場合、工程(C)において、第2電極は、各小孔内の電子加速層上と電子放出制御 絶縁膜上に形成される。
以下に、本発明の様々な実施形態について説明する。
なお、本明細書中において、数値範囲における「〜」は両端の数値を含む。例えば、「0.3〜2.0μm」は、「0.3μm以上2.0μm以下」を意味し、両端の数値「0.3μm」「2.0μm」を含む。
これらの絶縁膜の膜厚は、電子放出素子に印加する電圧の大きさによって異なるが、例えば、膜厚0.1〜3μmとすることができる。
また、電子放出制御絶縁膜は、これら各種絶縁膜の単層膜であっても積層膜であってもよい。
より具体的に説明すると、本発明の実施形態において、小孔のサイズは、例えば、一辺が1〜500μmの正方形内に収まるサイズであり、さらに具体的には、その内径が5〜300μmである。小孔は、電子加速層の層厚に対してその内径が小さすぎると、小孔内の電界が弱まり電子放出効率が低下しやすい傾向があり、また、逆にその内径が大きすぎると、本発明の効果(すなわち電子放出の均一性)が損なわれる傾向がある。このため、小孔の内径は、電子加速層の層厚の8.5〜300倍が好ましく、具体的な数値範囲として、21.2〜141.4μm(3桁目を四捨五入すると21〜140μm)が好ましい。ここで、電子加速層の層厚は、後述するように、好ましくは0.3〜2.0μmである。
一方、小孔の形状は、特に限定されない。本発明の実施形態において、その平面視形状は、例えば、多角形(正三角形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、正多角形等)、円形、楕円形等である。これらの形状の中で、電子が集中しやすい鋭利な頂点を持たない点で、短径に対する長径の長さの比が1〜2の形状が好ましく、この比を実現する楕円形がより好ましい。また、このような形状の中でも、同一面積で比較した場合に曲率が最も緩くなる円形がさらに好ましい。
このとき、電子放出素子の第2電極の外表面から垂直方向に電子が安定して放出できるように、小孔の膜厚方向の断面形状は長方形または正方形であることが望ましい。
また、本発明の実施形態において、小孔は5〜2000個/mm2の密度で電子放出制御絶縁膜に配置される。
なお、本発明において小孔の内径とは、小孔の平面視形状が円形の場合、円の直径、楕円形の場合、長径、多角形の場合、最長となる対角線の長さである。また、本発明において小孔の短径とは、小孔の平面視形状が楕円形(長円)の場合の短径のみならず、小孔の平面視形状が多角形の場合における最短の対角線の長さを含む。長径についても同様であり、本発明において小孔の長径とは、小孔の平面視形状が多角形の場合における最長の対角線の長さを含む。ここで、小孔の平面視形状が多角形の場合には、フォトリソ工程で形成され、その頂点が円弧状となった形状も含まれる。
このように、電子放出制御絶縁膜は、第1電極上に形成された絶縁膜であり、複数の小孔を有することにより、電子放出素子の電子放出を面内で均一に制御する機能を有する。
このように構成すれば、適度な電圧で十分な電子を放出することができると共に、絶縁破壊が生じ難く、長時間の連続動作が可能となる。なお、炭素薄膜について詳しくは後述する。
つまり、炭素薄膜の形成工程は、工程(A)と工程(B)の間、もしくは工程(B)と工程(C)の間、もしくはこれら両方で行われる。
また、工程(B2)が、スピンコート法により前記微粒子分散液を塗布する工程であってもよく、これによれば分散液の塗布が容易にできる。
さらに、この電子放出装置は、自発光デバイス、その自発光デバイスを備えた画像表示装置、被冷却体を冷却できるイオン風発生装置、帯電装置、その帯電装置を備えた画像形成装置等の主要部に用いられることができる。
また、前記イオン風発生装置によれば、放電を伴わず、オゾンやNOxを始めとする有害な物質の発生がなく、被冷却体表面でのスリップ効果を利用することにより、被冷却体表面を高効率で冷却することができる。
また、前記帯電装置によれば、放電を伴わず、オゾンやNOxを始めとする有害な物質を発生させることなく、長期間安定して被帯電体を帯電させることができる。
なお、電子放出装置を備えたこれらの装置は、複数の電子放出素子を含んでもよい。例えば、複数の電子放出素子が平面体上に配置されて、これらの装置に適用されてもよい。また、複数の電子放出素子において、第1電極を共通化してもよい。
図1は、本発明の電子放出素子の実施形態1−1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、実施形態1−1に係る電子放出素子9は、第1電極1と、第1電極1上に形成され、膜厚方向に貫通した複数の小孔2aを有する電子放出制御絶縁膜2と、電子放出制御絶縁膜2の膜厚以上の膜厚を有すると共に、電子放出制御絶縁膜2の各小孔2a内に埋め込まれる絶縁性微粒子3aを含んでなる電子加速層3と、電子加速層3上に形成された炭素薄膜4と、炭素薄膜4上に形成された第2電極5とを備える。
また、この電子放出素子9と、電子放出素子9の第1電極1と第2電極5との間に電圧を印加する電源部7とを備えることにより、電子放出装置10が構成される。このとき、電源部7のマイナス極に第1電極1が電気的に接続され、電源部7のプラス極に第2電極5が電気的に接続される。
第1電極1は、基板の機能を兼ねる電極基板であり、導体で形成された板状体で構成されている。
第1電極1は、電子放出素子の支持体として機能すると共に、電極として機能するため、ある程度の強度を有し、かつ適度な導電性を有するものであればよい。例えば、ステンレス(SUS)、Al、Ti、Cu等の金属で形成された基板、Si、Ge、GaAs等の半導体基板を用いることができる。
例えば、ガラス基板を用いる場合、電子加速層4との界面となるガラス基板の表面を、例えば、マグネトロンスパッタ等を用いて導電性膜で被覆し、導電性膜で被覆されたガラス基板を第1電極1として用いてもよい。
導電性膜の材料としては、大気中での安定動作を所望するのであれば、抗酸化力の高い導電性材料を用いることが好ましく、貴金属を用いることがより好ましい。また、導電性膜には、酸化物導電材料であり透明電極に広く利用されているITOも有用である。
例えば、ガラス基板表面にTi膜を膜厚200nmで形成し、その上にCu膜を膜厚1000nmで形成した金属積層膜や、ガラス基板表面にMo膜を膜厚30nmで形成し、その上にAl膜を膜厚130nmで形成し、その上にMo膜を膜厚50nmで形成した金属積層膜を第1電極1として用いてもよいが、これら材料や数値に限定されることはない。
Ti薄膜とCu薄膜でガラス基板を被覆すると、強靭な導電性薄膜を形成できる。
なお、絶縁体基板の表面の導電性膜を、周知のフォトリソやマスクを用いて方形等にパターニングして電極を形成してもよい。
電子放出制御絶縁膜2は、第1電極1上に形成された絶縁膜であり、複数の小孔2aを有することにより、電子放出素子9の電子放出を面内で均一に制御する機能を有する。
なお、電子放出制御絶縁膜2の材料や膜厚、小孔2aのサイズ、形状および密度等は、前記の通りである。
電子加速層(絶縁性微粒子層)3は、絶縁性微粒子3aを含んでなり、小孔2aを含む電子放出制御絶縁膜2上に形成される。この層は、第1電極1から第2電極2へ向かう電子を加速させる機能を有する。
電子加速層3は、半導電性を有する絶縁性微粒子3aを主に有して構成されているため、電圧が印加されると、極弱い電流が流れる。
電子加速層3の電圧電流特性は所謂バリスタ特性を示し、印加電圧の上昇に伴い急激に電流値を増加させる。この電流の一部は、印加電圧が形成する電子加速層3内の強電界により弾道電子となり、第2電極5を透過して電子放出素子10の外部へ放出される。また、弾道電子は、絶縁性微粒子3aによる電子加速層3の表面の凹凸の影響から生じる第2電極5の隙間(微細孔)をすり抜けて外部へ放出される場合もある。
弾道電子の形成過程は、電子が電界方向に加速されつつトンネルすることによるものと推測される。
また、熱処理を行って絶縁性微粒子3aを完全に溶解させ結晶化させると、電子加速層3は絶縁物となって電子を加速させる機能が失われるため、単に絶縁性微粒子3aを材料として用いればよいのではなく、粒子形状を保った絶縁性微粒子3aで電子加速層3が形成されている必要がある。
電子加速層3が上記範囲の膜厚であれば、膜厚が均一な(表面が平滑な)電子加速層3を形成し易くなり、その結果、各小孔3aに対応する部分の電子加速層3の電気抵抗の値が均一となり、電子放出素子9の全体に亘ってより一様に電子を放出することができる。
また、電子放出素子9は、できるだけ低い電圧で強い電界を加えて電子を加速させることが好ましいので、電子放出素子9への印加電圧や電子放出制御絶縁膜の膜厚等にもよるが、電子加速層3の膜厚は、上記膜厚の範囲(0.008〜6.0μm又は0.3〜2.0μmの範囲)のうちでもできるだけ薄いことが好ましい。
なお、本実施形態において電子加速層の膜厚とは、小孔が形成される場所における、電子放出制御絶縁膜の厚み(すなわち、第1電極と第2電極との間の距離)をいう。
材料が異なる複数種類の絶縁性微粒子3aを用いる場合、これら複数種類の絶縁性微粒子3aが後述する数値範囲の粒径をもつ粒子であればよい。
また、複数種類の絶縁性微粒子3aが分散液に分散され、分散液が電子放出制御絶縁膜2上に塗布されて電子加速層4を形成する場合、絶縁性微粒子3aの選定は分散液中の粒子の分散性を考慮することが望ましい。
絶縁性微粒子3aの粒径が5nmより小さいと、粒径のばらつきを小さくすることが難しいため、均一な膜厚の電子加速層3を形成することが難しい。一方、粒径が1000nmより大きいと、絶縁性微粒子3aの分散液を塗布して電子加速層3を形成する場合に、分散液中に絶縁性微粒子3aが沈降して分散性が悪くなり、その結果、分散液の塗布膜において絶縁性微粒子3aの多い箇所と少ない箇所が生じ易くなり、均一な膜厚の電子加速層3を形成することが難しい。
なお、本発明において、「粒径」とは平均一次粒径を意味する。
実施形態1−1は、電子加速層3が絶縁性微粒子3aのみから構成されているが、電子加速層3は他の微粒子や材料を含んで構成されてもよい。
例えば、電子加速層3には、絶縁性微粒子3aの粒径よりも小さい粒径を有する導電性微粒子が含まれていてもよい。
電子加速層3に導電性微粒子を添加することによって、電子加速層3を流れる電流値電子放出量を制御することができる。換言すると、電子加速層3中の絶縁性微粒子3aの含有量を調整して、電子加速層3の電気抵抗の値を任意の範囲に調整できる。
導電性微粒子としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、白金、パラジウムおよびニッケルからなる導電性粒子のうち少なくとも1種を含んでいてもよい。
なお、導電性微粒子の粒径が絶縁性微粒子の粒径と同等以上であると、電子加速層3が必要とする絶縁性が得られなくなるため、導電性微粒子の粒径は絶縁性微粒子の粒径よりも小さい必要がある。
電子加速層3がシリコーン樹脂を含むことで、電子放出素子9の機械的強度を向上することができると共に、大気中の酸素および水分などによる素子劣化を防ぐことができ、長寿命化をより効果的に図ることができる。
また、必要に応じて電子加速層3に分散剤等の添加剤が含まれていてもよい。
また、電子加速層3は、材料が異なる2層以上の積層構造になっていてもよい。例えば、1層目が実質的な電子加速層、2層目が機械的強度アップ、防湿度効果、膜表面の平坦化を目的とする保護層といった積層構造を採用することができる。
炭素薄膜4は、第2電極5と電子加速層3の間の抵抗体として機能する。
前記のように電子放出制御絶縁膜2には複数の小孔2aが設けられているため、この電子放出素子9をエージング試験(例えば、長時間にわたる連続動作試験)にかけると、各小孔2a部分に電界が集中した状態が続くことになり、この電子放出素子9は局所的な電圧・電流ストレスに連続的にさらされる。
大きい電圧・電流ストレスが長時間続くと、電子放出制御絶縁膜2の小孔2a周辺部分に欠陥が生じる場合があり、欠陥数が増加すると電流のパスが生じて絶縁破壊につながる。
抵抗体としての炭素薄膜4は、例えば、金、銀等からなる第2電極5と比較して電気的に高抵抗であるため、電子放出素子9がかかる局所的かつ連続的な電圧・電流ストレスが緩和されることになり、この結果、欠陥が生じ難く、絶縁破壊が生じ難くなる。
この炭素薄膜の材料としては、例えば、グラファイトが好適である。
第2電極5は、第1電極1と対の電極を構成し、第1電極1と共に電子加速層3内に電圧を印加させるための電極である。このため、電極として機能する程度の導電性を有する材料にて形成されればよい。
しかしながら、第2電極5は、電子加速層3内で加速され高エネルギーとなった電子をなるべくエネルギーロス無く透過させて放出することが好ましいため、仕事関数が低くかつ薄膜で形成することが可能な導電性材料で形成されることが好ましい。
このような材料としては、例えば、仕事関数が4〜5eVに該当する金、銀、タングステン、チタン、アルミ、パラジウムなどが挙げられる。中でも大気圧中での動作を想定した場合、酸化物および硫化物形成反応のない金が、最良な材料となる。また、酸化物形成反応の比較的小さい銀、パラジウム、タングステンなども問題なく実使用に耐える材料である。
第2電極5を平面電極として機能させるための最低膜厚は10nmであり、これより薄い膜厚では電気的導通を確保できない。一方、電子放出素子9から外部へ電子を放出させるための最大膜厚は55nmであり、これより厚い膜厚では弾道電子の透過が起こらず、第2電極5で弾道電子の吸収あるいは反射による電子加速層3への再捕獲が生じてしまう。 このため、第2電極5の膜厚は、好ましくは10〜55nmである。
次に、図1を参照しながら実施形態1に係る電子放出素子9の製造方法について説明する。
前記のように構成された電子放出素子9は、第1電極上1に、膜厚方向に貫通した複数の小孔2aを有する電子放出制御絶縁膜2を形成する工程と、電子放出制御絶縁膜2を覆うように第1電極上1に絶縁性微粒子3aを含んでなる電子加速層3を形成する工程と、電子加速層3上に炭素薄膜4を形成する工程と、炭素薄膜4上に第2電極5を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法により製造される。
絶縁体材料は、アクリル系樹脂以外にも、例えば、シリコーン樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの有機ポリマーが挙げられる。また、これらの有機ポリマーは、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
また、絶縁体材料は、有機ポリマー以外にも、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機材料を用いて、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等によって電子放出制御絶縁膜2を形成してもよい。
また、小孔2aの方法として、電子ビームリソグラフィ、プラズマエッチング、インクジェット等を用いてもよく、これらの方法に限定されるものではない。
絶縁性微粒子分散液に用いる溶剤としては、バインダー成分を溶解でき、かつ絶縁性微粒子3aや導電性微粒子を分散でき、かつ塗布後に乾燥することができれば、特に制限はなく、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、テトラデカン等を用いることができる。
絶縁性微粒子分散液における絶縁性微粒子3aの濃度は10〜50重量%が好ましい。10重量%より低濃度であれば、電子放出制御絶縁膜2の小孔2a内に絶縁性微粒子3aを満充填し難く、50重量%より高濃度であれば、絶縁性微粒子分散液の粘度が上昇すると共に、凝集が生じるため、薄膜化した電子加速層3を形成することができない。
スピンコート条件は、特に限定されないが、絶縁性微粒子分散液の塗布膜を有する第1電極1を、例えば、スピン回転数500rpmで1秒間回転させた後、スピン回転数3000rpmで10秒間回転させる。
第1電極1上の塗布膜の塗布量は特に限定されないが、例えば、24mm角の第1電極1に塗布する場合、0.2mL/cm2以上であればよい。
スピンコート法を用いることで、上記絶縁性微粒子および導電性微粒子を簡便に広範囲に塗布することができる。
続いて、第1電極1上の塗布膜を乾燥させることにより、電子加速層3を形成する。なお、電子加速層3が所望の膜厚となるまで、塗布および乾燥を繰り返してもよい。
続いて、第2電極5の形成工程において、例えば、マグネトロンスパッタ法、インクジェット法、スピンコート法、蒸着法等を用いて、炭素薄膜4上に第2電極5を形成して、電子放出素子9が完成する。
そして、この電子放出素子9の第1電極1と第2電極5に、リード線を介して電源部7の負極と正極を電気的に接続することにより、電子放出装置10が完成する。
この電源部7としては、10〜25Vの電圧を印加可能な電源を用いることができる。
この実験系を用いた電子放出点の確認のための実験は、後述の実施例において説明する。
図4は実施形態1(実施形態1−1〜1−2)の電子放出素子を用いた帯電装置の一例を示す模式図である。なお、図4において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
この帯電装置90は、電子放出素子9と、これに電圧を印加する電源部7とを有する電子放出装置10から成り、電子写真方式の画像形成装置に備えられた感光体Pを帯電させるものである。
ここで、帯電装置90として用いる電子放出素子9は、感光体Pから、例えば3〜5mm隔てて配置されることが好ましい。
また、電子放出素子9への印加電圧は25V程度が好ましく、電子放出素子9における電子加速層3は、例えば、25Vの電圧印加で、単位時間当たり1μA/cm2の電子が放出されるように構成されていればよい。
オゾンは人体に有害であり、環境に対する各種規格で規制されているほか、機外に放出されなくとも機内の有機材料、例えば、感光体Pやベルトなどを酸化し劣化させてしまう。
このような帯電装置90を画像形成装置が有することで、このような問題は生じない。
また、この電子放出素子9は電子放出量が向上しているため、帯電装置90によって感光体Pを効率よく帯電することができる。
さらに、この電子放出素子9が同一基板に複数形成された電子放出装置10を帯電装置90として用いることにより、帯電装置90は面電子源として構成されるので、感光体Pの回転方向へも幅を持って帯電することができ、感光体Pのある箇所への帯電機会を多く稼ぐことができる。
よって、帯電装置90は、線状で帯電するワイヤ帯電器などと比べ、均一な帯電が可能である。また、帯電装置90は、数kVの電圧印加が必要なコロナ放電器と比べて、10V程度と印加電圧が格段に低くてすむというメリットもある。
図5は実施形態1の電子放出素子を用いた実施形態3−1の自発光デバイスを示す模式図であり、図6は実施形態1の電子放出素子を用いた実施形態3−2の自発光デバイスを示す模式図であり、図7は別の電子放出素子を用いた実施形態3−3の自発光デバイスを示す模式図であり、図8は実施形態3−3の自発光デバイスを用いた実施形態3−4の画像表示装置を示す模式図である。なお、図5〜図8において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
発光部36は、基材となるガラス基板34上にITO膜33と蛍光体層32がこの順に積層された積層構造を有し、蛍光体層32が電子放出素子9の第2電極5と対面している。
ITO膜33の膜厚は、導電性を確保できる膜厚であればよく、例えば、100〜300nmとすることができ、本実施形態では150nmとした。
ことができる。
蛍光体層32の厚さ1μm程度が好ましい。
蛍光体層32を成膜するに当たっては、バインダーとなるエポキシ系樹脂と蛍光体微粒子との混練物を用い、バーコーター法、滴下法、スピンコート法等の公知技術によって形成することができる。
このとき、所望の発光色が得られるよう、赤、緑および青色の蛍光体微粒子の内から1色以上の蛍光体微粒子を適切な重量混合比で選択する。例えば、白い発光色が得られるようにするのであれば、赤、緑および青色の蛍光体微粒子を重量混合比1:1:1で混合した混練物を用いる。
このとき、蛍光体層32と電子放出素子9との距離が0.3〜1mm、電源部7からの印加電圧が18V、第2電源部35からの印加電圧が500〜2000Vに設定することが好ましい。
蛍光体層132は、実施形態3−1と同様の方法で電子放出素子9の第2電極5上に形成することができる。但し、電子放出素子9は外力に対して弱く、バーコーター法を用いると電子放出素子9が壊れるおそれがあるため、滴下法またはスピンコート法を用いるのが好ましい。
この電子放出素子29において、電子加速層23は、前記絶縁性微粒子3aと蛍光体微粒子(符号省略)を混合した材料を用いた材料から形成されている。
蛍光体微粒子は、一般的に電気抵抗が低く、絶縁性微粒子3aと比べても明らかに電気抵抗は低い。
よって、蛍光体微粒子を用いる場合、絶縁性微粒子3aに対する蛍光体微粒子の混合量を少量に抑える必要がある。例えば、絶縁性微粒子3aとして球状シリカ粒子(粒径110nm)、蛍光体微粒子としてZnS:Mg(粒径500nm)を用いた場合、それらの重量混合比は3:1程度が適切となる。
この場合、蛍光体微粒子全量中、所望の発光色が得られるよう、赤、緑および青色の蛍光体微粒子の内から1色以上の蛍光体微粒子を適切な重量混合比で選択する。
実施形態3−2の自発光デバイス131の場合、電子放出素子9から蛍光体層132に電子が入射して衝突することにより、蛍光体層132が発光する。
実施形態3−3の自発光デバイス231の場合、第1電極1からの電子が電子加速層23を通過する際に、電子が蛍光体微粒子と衝突することにより、電子放出素子29が発光する。
これらの電子放出素子9、29は電子放出量が向上しているため、自発光デバイス31、131、231は効率よく発光することができる。
なお、自発光デバイス31、131、231は、大気中で動作可能であるが、真空封止することにより電子放出電流が上昇し、より効率よく発光することができる。
この画像表示装置340において、自発光デバイス231は液晶パネル330の後方に配置されてバックライトとして用いられる。
したがって、この場合、自発光デバイス231は白い発光色が得られるよう、電子加速層23中には赤、緑および青の蛍光体微粒子が重量混合比1:1:1で分散している。
また、この場合、例えば、自発光デバイス231が単位時間当たり10μA/cm2の電子を放出するよう、自発光デバイス231への印加電圧を20〜35Vに設定することが好ましく、自発光デバイス231と液晶パネル330との距離は、0.1mm程度が好ましい。
なお、液晶パネル330は従来公知のもの、例えば、バックライト側から、偏光板、ガラス基板、透明電極、配向膜、液晶、配向膜、透明電極、保護膜、カラーフィルター、ガラス基板および偏光板が積層されたパネル構造を用いることができる。
こともできる。
この場合、例えば、自発光デバイス31が単位時間当たり10μA/cm2の電子を放出するよう、自発光デバイス31への印加電圧を20〜35Vに設定することが好ましい。
図9は実施形態1の電子放出素子を用いた実施形態4−1のイオン風発生装置を示す模式図であり、図10は実施形態1の電子放出素子を用いた実施形態4−2のイオン風発生装置を示す模式図である。なお、図9および図10において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図9(実施形態4−1)のイオン風発生装置150は、電子放出素子9およびこれに電圧を印加する電源部7を有する電子放出装置10からなる。
このイオン風発生装置150は、その電子放出素子9が被冷却体Qに対して傾斜状に対向するように配置され、電子放出素子9が電気的に接地された被冷却体Qに向かって電子を放出することにより、イオン風を発生させて被冷却体Qを冷却する。
実施形態4−1のイオン風発生装置150によれば、電子放出素子9からの電子が空気分子と衝突してイオンを生じ、更にこのイオンが周りの空気分子に衝突することによって空気分子やイオンが移動する。このことで「イオン風」が発生する。このとき、イオンは電位差もしくは電界によって被冷却体Qの表面まで運ばれ、被冷却体Qとの間に働く電界(鏡像力)により、熱い分子と冷たいイオンが交換するため、被冷却体Qの表面が冷却される。
この場合、例えば、イオン風発生装置150が単位時間当たり1μA/cm2の電子を放出するように、電子放出素子9に印加する電圧を18V程度に設定することが好ましい。
なお、被冷却体Qとしては、例えば、半導体、コンピューターのCPU,LEDなどの電子部品やそれらを搭載した装置等が挙げられる。
このイオン風発生装置160も、その電子放出素子9が被冷却体Qに対して傾斜状に対向するように配置され、電子放出素子9が電気的に接地された被冷却体Qに向かって電子を放出し、さらに、送風ファン42が被冷却体Qに向かって送風することにより、イオン風およびエアー流を発生させて被冷却体Qを冷却する。
この場合、例えば、イオン風発生装置160が単位時間当たり1μA/cm2の電子を放出するように、電子放出素子9に印加する電圧を18V程度に設定すると共に、送風ファン42による風量を0.9〜2L/分/cm2に設定することが好ましい。
実施形態1〜4では、電子加速層3の膜厚が電子放出抑制絶縁層2の膜厚よりも厚い場合を例示したが、電子加速層3の膜厚が電子放出抑制絶縁層2の膜厚と同等あるいは薄くてもよい(図示省略)。
前者の場合、電子放出抑制絶縁層2の表面上およびその各小孔2a内に充填された電子加速層3の表面上に炭素薄膜4および第2電極5が形成される。
後者の場合、電子加速層3の表面が電子放出抑制絶縁層2の表面よりも凹状に低くなっているため、電子放出抑制絶縁層2の表面上およびその各小孔2a内の電子加速層3の表面上に炭素薄膜4および第2電極5が形成されると、第2電極5における各電子加速層3に対応する位置には凹部が形成される。
まず、実施例1と2の電子放出素子および比較例1と2の電子放出素子を以下のように作製した。実施例1と2は図1と同様の構造を有する電子放出素子であり、比較例1と2は図1における電子放出制御絶縁膜2と炭素薄膜4が省略された電子放出素子である。
そして、作製した各電子放出素子について、図3に示す実験系を1×10-8ATMの真空容器中に配置して電子放出点の確認実験を行った。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に60μm角(対角:84.9μm)の小孔2aが289個(=17個×17個)均一に配列されたアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2を作製した。(電子放出制御絶縁膜2の膜厚は、2.5μmとした。)
なお、小孔2aの総面積は0.01cm2である。
次に、5mLの試薬瓶に、溶媒であるヘキサン0.6gと、絶縁性微粒子3aとして粒径50nmの球状シリカ粒子0.1gとを投入し、超音波分散器を用いて試薬瓶中の微粒子を分散して絶縁性微粒子分散液を調製した。そして、得られた絶縁性微粒子分散液に、シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製、SR2411)0.02gを投入し、超音波分散器を用いて試薬瓶中の微粒子を分散して絶縁性微粒子とシリコーン樹脂の分散液Bを調製した。
電子加速層I上に分散液Bを滴下し、500rpmで1秒間、続いて3000rpmで10秒間の条件で2段階のスピンコートを行って、絶縁性微粒子とシリコーン樹脂とを含む塗布膜を形成し、ホットプレートを用いてこの塗布膜を200℃で90秒間乾燥することにより、膜厚1.5μmの電子加速層IIを形成し、それによって電子加速層Iと電子加速層IIとが積層した膜厚2.5μmの電子加速層3を形成した。
その後、マグネトロンスパッタ装置を用いて、炭素薄膜4上に、Au-Pdを材料とする膜厚40nm、同面積は0.16cm2の第2電極5を形成することにより、実施例1の電子放出素子9を得た。
なお、実施例1の電子放出素子9は、電子加速層3の膜厚が2.5μmであるので、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約33.9倍の大きさであった。
なお、このときの印加電圧V1は16V、V2は3.5kVであった。
図11及び図12に示すように、実施例1の電子放出点は、素子全体にわたって均一に存在していた。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に60μm角(対角:84.9μm)の小孔2aが289個(=17個×17個)均一に配列されたアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2を作製した。(電子放出制御絶縁膜2の膜厚は、2.5μmとした。)
なお、小孔2aの総面積は0.01cm2である。
次に、得られた絶縁性微粒子と銀ナノ粒子の分散液に、シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製、SR2411)0.175gを投入し、超音波分散器を用いて試薬瓶中の微粒子を分散して絶縁性微粒子と銀ナノ粒子とシリコーン樹脂との分散液Cを調製した。
その後、マグネトロンスパッタ装置を用いて、炭素薄膜4上に、Au-Pdを材料とする膜厚40nm、同面積は0.16cm2の第2電極5を形成することにより、実施例2の電子放出素子9を得た。
なお、実施例2の電子放出素子9は、電子加速層3の膜厚が1.0μmであるので、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約84.9倍の大きさであった。
図13に示すように、実施例2の電子放出点は、素子全体にわたって均一に存在していた。
また、分散液Cを希釈する以外は上記と同様にして、電子加速層Iの膜厚0.3μmの電子放出素子9を作製し、電子放出点の確認実験を行ったが上記と同様の結果であった。(この場合、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約282.8倍(およそ300倍)の大きさであった。)
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に60μm角(対角:84.9μm)の小孔2aが289個(=17個×17個)均一に配列されたアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2を作製した。(電子放出制御絶縁膜2の膜厚は、2.5μmとした。)
なお、小孔2aの総面積は0.01cm2である。
そして、経時変化を起こさないため、直ぐに次の工程に移った。
電子加速層I上に更に分散液Cを滴下し、前記と同様のスピンコートおよび乾燥の操作を再度繰り返し、膜厚1.0μmの電子加速層IIを形成し、それによって電子加速層Iと電子加速層IIとが積層した膜厚2.0μmの電子加速層3を形成した。
なお、実施例3の電子放出素子9は、電子加速層3の膜厚が2.0μmであるので、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約42.4倍の大きさであった。
図14に示すように、実施例3の電子放出点は、素子全体にわたって均一に存在していた。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に60μm角(対角:84.9μm)の小孔2aが289個(=17個×17個)均一に配列されたアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2を作製した。(電子放出制御絶縁膜2の膜厚は、2.5μmとした。)
なお、小孔2aの総面積は0.01cm2である。
そして、経時変化を起こさないため、直ぐに次の工程に移った。
電子加速層I上に更に分散液Cを滴下し、前記と同様のスピンコートおよび乾燥の操作を3回繰り返し、膜厚1.0μmの電子加速層II、膜厚1.0μmの電子加速層III、膜厚1.0μmの電子加速層IVを形成した。それによって電子加速層Iから電子加速層IVが積層した膜厚4.0μmの電子加速層3を形成した。
なお、実施例4の電子放出素子9は、電子加速層3の膜厚が4.0μmであるので、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約21.2倍の大きさであった。
図15に示すように、実施例4の電子放出点は、素子内部に一部分に集中していた。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に60μm角(対角:84.9μm)の小孔2aが289個(=17個×17個)均一に配列されたアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2を作製した。(電子放出制御絶縁膜2の膜厚は、2.5μmとした。)
なお、小孔2aの総面積は0.01cm2である。
そして、経時変化を起こさないため、直ぐに次の工程に移った。
電子加速層I上に更に分散液Cを滴下し、前記と同様のスピンコートおよび乾燥の操作を5回繰り返し、膜厚1.0μmの電子加速層II、膜厚1.0μmの電子加速層III、膜厚1.0μmの電子加速層IV、膜厚1.0μmの電子加速層V、膜厚1.0μmの電子加速層VIを形成した。それによって電子加速層Iから電子加速層VIが積層した膜厚6.0μmの電子加速層3を形成した。
なお、実施例5の電子放出素子9は、電子加速層3の膜厚が6.0μmであるので、小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約14.1倍の大きさであった。
図16に示すように、実施例5の電子放出点は、素子内部に一部分に集中していた。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用 い、第1電極1上に100μm角(対角:141.4μm)の小孔2aが100個(=10個×10個)均一に配列したアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2(小孔2aの総面積は0.01cm2)を形成したことと以外は、実施例1と同様にして実施例6の電子放出素子9を形成した。(実施例6の小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約56.6倍の大きさであった。)
図17に示すように、実施例2の電子放出点は、素子全体にわたって均一に存在していた。
第1電極1として24mm×24mm角のMAM(Mo/Al/Mo)ガラス基板を用い、第1電極1上に15μm角(対角:21.2μm)の小孔2aが4356個(=66個×66個)均一に配列したアクリル系樹脂からなる電子放出制御絶縁膜2(小孔2aの総面積は0.01cm2)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の電子放出素子9を形成した。(実施例7の小孔2aの内径(対角線の長さ)は、電子加速層3の膜厚に対して約8.5倍の大きさであった。)
図18に示すように、実施例2の電子放出点は、素子全体にわたって均一に存在していた。
第1電極1として直径24mmのアルミ基板を用い、真空度20Pa下でUV照射を10分間行った。
次に、絶縁性微粒子として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ MP1040(メーカー公称値粒子径100nm)40重量%を超純水で10重量%に希釈し、超音波分散器にて微粒子を分散させて微粒子分散液を調製した。
次に、第1電極1上に前記微粒子分散液を1mL滴下し、500rpmで5秒間、続いて3000rpmで10秒間の条件で2段階のスピンコートを行って、絶縁性微粒子を含む電子加速層を膜厚0.8μmで形成し、室温で自然乾燥させた。
この電子放出素子上に、絶縁性スペーサーによって3mmの距離を保って蛍光体層32を対向状に配置して実験系を完成し、それを1×10-8ATMの真空容器中に設置した。そして、電子放出素子における電子放出点の確認実験を行い、その結果を図19及び図20に示した。なお、このときの印加電圧V1は20V、V2は1.5kVであった。
図19及び図20に示すように、比較例1の電子放出点は、素子内部に一点に集中していた。
まず、5mLの試薬瓶に、溶媒であるトルエン3.0gと、分散剤としてアジスパーPB−821(味の素ファインテクノ株式会社製)0.03gとを投入し、試薬瓶を超音波分散器にセットして分散液を調製した。そして、この分散液に、絶縁性微粒子として粒径50nmの球状シリカ粒子0.25gを投入し、超音波分散器を用いて試薬瓶内の微粒子を分散させて絶縁性微粒子分散液を調製した。
次に、マグネトロンスパッタ装置を用いて、電子加速層上に、Au-Pdを材料とした膜厚40nm、面積0.04cm2の第2電極を形成することにより、比較例2の電子放出素子を得た。
図21及び図22に示すように、比較例2の電子放出点は、素子の各角に1点ずつ2点に集中して 存在していた。
また、実施例2〜5の結果から、電子加速層の層厚は、0.3μm以上2μm以下が好ましいことがわかった。さらに、実施例1、6、7の結果から、小孔は、15μm角以上100μm角以下が好ましいことがわかった。
2 電子放出制御絶縁膜
2a 小孔
3、23 電子加速層
3a 絶縁性微粒子
4 炭素薄膜
5 第2電極(薄膜電極)
7 電源部
9、29 電子放出素子
10、10x、10y、210 電子放出装置子
31、131、231 自発光デバイス
32、132 蛍光体層
33 ITO膜
34 ガラス基板
35 第2電源部
36 発光部
42 送風ファン
90 帯電装置
340 画像表示装置
150、160 イオン風発生装置
330 液晶パネル
P 感光体
Q 被冷却体
Claims (23)
- 第1電極と、
第1電極上に形成された、複数の膜厚方向に貫通した複数の小孔を有する電子放出制御絶縁膜と、
前記電子放出制御絶縁膜上に形成された、少なくとも絶縁性微粒子を含有する電子加速層と、
前記電子加速層上に形成された第2電極とを備え、
第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、第1電極から放出される電子を前記電子放出制御絶縁膜の前記小孔の位置における前記電子加速層で加速させて第2電極から外部へ放出させるように構成されたことを特徴とする電子放出素子。 - 前記電子加速層が、0.3〜2.0μmの層厚を有し、前記小孔が電子加速層の層厚の8.5〜300倍の内径を有する請求項1に記載の電子放出素子。
- 前記小孔は、21.2〜141.4μmの内径を有する請求項1又は2に記載の電子放出素子。
- 前記小孔は、多角形状、円形状、楕円形状のいずれかの平面形状を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記電子放出制御絶縁膜において、前記小孔は5〜2000個/mm2の密度で配置されている請求項1〜4にいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記電子放出制御絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコーン樹脂膜、アクリル樹脂膜またはポリイミド樹脂膜からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記絶縁性微粒子が5〜1000nmの平均粒径を有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記絶縁性微粒子が、SiO2、Al2O3およびTiO2のうちの少なくとも1つから形成された微粒子を含んでなる請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 第2電極が、金、銀、タングステン、チタン、アルミおよびパラジウムのうちの少なくとも1つを含んでなる請求項1〜8のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記電子加速層の第2電極側の面に、炭素薄膜が形成されている請求項1〜9のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 前記複数の小孔がマトリックス状に配置されている請求項1〜10のいずれか1つに記載の電子放出素子。
- 請求項1〜11のいずれか1つに記載の電子放出素子と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電源部とを備えた電子放出装置。
- 請求項12に記載の電子放出装置と、発光体とを備え、前記電子放出装置から放出された電子によって前記発光体が励起して発光するように構成された自発光デバイス。
- 請求項13に記載の自発光デバイスを備えた画像表示装置。
- 請求項12に記載の電子放出装置を備え、被冷却体に向かって前記電子放出装置から電子を放出することにより、イオン風を発生させるよう構成されたイオン風発生装置。
- 前記被冷却体に向かう空気流を発生する送風ファンをさらに備えた請求項15に記載のイオン風発生装置。
- 請求項12に記載の電子放出装置を備え、感光体に向かって前記電子放出装置から電子を放出することにより、前記感光体を帯電するよう構成された帯電装置。
- 請求項17に記載の帯電装置を備えた画像形成装置。
- 第1電極上に、膜厚方向に貫通した複数の小孔を有する電子放出制御絶縁膜を形成する工程(A)と、
前記電子放出制御絶縁膜の前記小孔内の第1電極上に、少なくとも絶縁性微粒子を含有する電子加速層を形成する工程(B)と、前記電子加速層上に第2電極を形成する工程(C)とを含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 前記工程(A)は、第1電極上に絶縁膜を形成する工程(A1)と、前記絶縁膜上にレジストパターン膜を形成する工程(A2)と、前記レジストパターン膜をマスクとして前記絶縁膜をエッチングして前記複数の小孔を形成し、それによって前記電子放出制御絶縁膜を形成する工程(A3)とを含む請求項19に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記電子加速層の第1電極側の面と第2電極側の面のうちの少なくとも一方であって、前記小孔と対向する位置に、炭素薄膜を形成する工程をさらに含む請求項19または20に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記工程(B)は、前記絶縁性微粒子を溶媒に分散させた微粒子分散液を調製する工程(B1)と、前記電子放出制御絶縁膜上に前記微粒子分散液を塗布する工程(B2)と、前記微粒子分散液の塗布膜を乾燥させる工程(B3)とを含む請求項19〜21のいずれか1つに記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記工程(B2)が、スピンコート法により前記微粒子分散液を塗布する工程である請求項22に記載の電子放出素子の製造方法。
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