JP2012099312A - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供する。
【解決手段】
荷電粒子源と、試料台14と、荷電粒子線を試料7上に収束させる光学系(5)と、真空排気系と、荷電粒子線の照射による試料7の帯電を防止するガスを試料7に吹き付ける吹き付けノズル16とを備えた荷電粒子線装置において、吹き付けノズル16は、ガスの進行方向に垂直な断面の面積が先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造を有する。これにより、ガス流の指向性を高め、ガス拡散を低減する。また、吹き付けガスを排気する排気ダクト29を設け、ガス拡散を低減する。
【選択図】図4A

Description

本発明は、荷電粒子線をプローブとする荷電粒子線装置に関する。
荷電粒子をプローブとして試料上に照射し、それに伴って試料より発生する二次粒子、もしくは透過した荷電粒子を検出し、検出された信号強度からプローブ照射位置における試料の情報を得る荷電粒子線装置としては、例えば電子をプローブとする走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)やイオンをプローブとする走査イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscope)や収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置またはそれらを組み合わせた装置等が知られている。
このような荷電粒子線装置では、一般に、プローブである荷電粒子線の進行の妨げとなるガス雰囲気の影響を低減するため、試料は10−2Pa以上の高真空雰囲気に保たれた試料室内に配置される。
前述のような一般的な荷電粒子線装置では、絶縁体などの観察を行う際、試料表面や内部が電荷を貯えるため帯電し、その影響をプローブとなる一次荷電粒子線が受けた結果、異常な帯電コントラストや、一次荷電粒子線のドリフトなどによって、所望の情報が得られなくなるという課題がある。また、生体試料などの含水試料を観察する際、高真空に保たれた試料室内雰囲気が原因で、試料に含まれる水分が蒸発し、大気中とは異なる乾燥した状態でしか試料観察ができないという課題がある。
このような状況を回避するため、SEMなどでは、試料近傍を低真空化する技術が知られている。最も一般的なものは、高排気量の真空ポンプで排気するプローブ電子線鏡筒と、真空ポンプとリークバルブによって低真空に保った試料室を開口径の小さい差動排気オリフィスを介して連結し、差動排気構造を作ることで試料室全体を低真空(数Pa〜数千Pa)に保つESEMやLV−SEMと呼ばれる低真空SEMである。
しかし、これらの手法では、試料室全体がほぼ均一な低真空条件になり、一次電子線は、比較的長い距離の低真空領域を通過することになる。その結果、一次電子線は、ガス分子による散乱の影響を受けて広がるため、裾野が広がったハロー形状を持つようになる。これにより、分解能の低下や、ホワイトノイズを生むなどの問題が起こる。
これを回避するための別の手法としては、特表2005−539360号公報(特許文献1)、特開2005−268224号公報(特許文献2)のように、ガス吹き付け用のノズルを設け、試料直上にガスを吹き付けることで試料直上の領域のみを低真空化する手法が提案されている。また、特開2009−277587号公報(特許文献3)では、試料直上に、一次電子線の光軸を中心とする同心円状の2枚のディスク状の電極を設け、その間隙に外部からガスを供給し、一次電子線通過のために設けた穴から試料直上にガスを供給する手法が提案されている。これらの手法では、ノズル、ノズル内部の電極、ディスク状の電極に正の電界を印加することができ、これによってガス分子をイオン化させて、その正のイオンにより、試料上の負帯電を抑制することが可能となっている。
特表2005−539360号公報 特開2005−268224号公報 特開2009−277587号公報
SEMなどの試料表面の微細構造を観察するための荷電粒子線装置において、試料の帯電は異常コントンラストや、プローブ荷電粒子線のドリフトなどの原因となる。これを除去するための方法として、特許文献1〜3に開示されているように局所的に試料のプローブ荷電粒子線の照射位置にガスを吹き付ける手法が知られている。しかしながら、荷電粒子線装置は益々高分解能化、高感度化の方向にあり、従来の手法では、吹き付けた後のガスが、対物レンズの中心に設けられた一次荷電粒子線通過用の穴から荷電粒子線の経路に進入し荷電粒子線の拡散の原因となるため、今後要求される画像の分解能が得られない、また、画像信号に対するホワイトノイズの影響が相対的に大きくなり、高感度化の障害になる等の問題が予想される。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することにある。
上記課題を解決するための一実施形態として、荷電粒子源と、試料を配置する試料台と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料の上に収束させる光学系と、前記荷電粒子線の通過経路を排気する真空排気系と、前記荷電粒子線の照射による前記試料の帯電を防止するガスを前記試料に吹き付ける吹き付けノズルとを備えた荷電粒子線装置において、前記吹き付けノズルは、前記ガスの進行方向に垂直な断面の面積が前記吹き付けノズルの先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造を有することを特徴とする荷電粒子線装置とする。
また、荷電粒子源と、試料を配置する試料台と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料の上に収束させる光学系と、前記荷電粒子線の通過経路を排気する真空排気系と、前記荷電粒子線の照射による前記試料の帯電を防止するガスを前記試料に吹き付ける吹き付けノズルとを備えた荷電粒子線装置において、前記吹き付けノズルから吹き出されたガスを排気する排気ダクトを更に備えることを特徴とする荷電粒子線装置とする。
本発明によれば、吹き付けノズルは、前記ガスの進行方向に垂直な断面の面積が前記吹き付けノズルの先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造とすることによりガス流の指向性が高まり、帯電防止用ガスの対物レンズ等光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、吹き付けノズルから吹き出されたガスを排気する排気ダクトを備えることにより、帯電防止用ガスの対物レンズ等光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができる。
第1の実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図である。 図1に示したSEMにおける帯電防止ガス吹き付けノズルを含む概略要部構成図である。 図1に示したSEMにおける他の帯電防止ガス吹き付けノズルを含む概略要部構成図である。 図1に示したSEMにおける他の帯電防止ガス吹き付けノズルを含む概略要部構成図である。 第2の実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図である。 図1に示したSEMにおける帯電防止ガス吹き付けノズル及び排気ダクトを含む概略要部構成図である。 図1に示したSEMにおける帯電防止ガス吹き付けノズル及び他の排気ダクトを含む概略要部構成図である。 (図1に示したSEMにおける帯電防止ガス吹き付けノズル及び他の排気ダクトを含む概略要部構成図である。 第3の実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図である。 第4の実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)における帯電防止ガス吹き付けノズル及び排気ダクトを含む概略要部構成図である。 図6Aに示した排気ダクトを電子銃側から見たときの概略平面図である。 図6Aに示した排気ダクトを試料側から見たときの概略平面図である。 図6Aに示した帯電防止ガス吹き付けノズルの概略図で、上部が断面図、下部が平面図を示す。 図6Aに示した帯電防止ガス吹き付けノズルで他の例を示す概略断面図である。 第5の実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図である。 ガス吹きつけ時の手順の説明図である。
荷電粒子線装置において、帯電防止のための吹き付けガスの指向性を高めるノズルによって光学系へのガス拡散を低減する。または、帯電防止のためのガス吹き付けノズルの近傍に吹き付けガスを排気する排気ダクトを設けることで光学系へのガス拡散を低減する。
以下では、SEMを例にとって本発明の効果を説明する。
本手法では、一次電子線の経路を高真空に保った状態で、効果的に試料直上の局所領域のガス圧を数十Pa以上に保つ手法を提案する。具体的には、以下の二通りの手段を提案する。
(1)第一は、従来手法と比較して、試料に対してより指向性の高いガス吹き付けを実現するノズル手段である。これにより、観察視野外の不必要な領域にガスが拡散するのを防ぎ、試料直上のみを低真空化する。吹き付けるガス量も従来と比較して低減できるため、結果として一次電子線の経路に存在するガス量を減らし、一次電子線の広がりを低減できる。
ノズルは、ガスが通過する内部の形状に特徴があり、高真空の試料室内に開放されたガス吹き出し口から上流側(低真空側)に向かって内径が小さくなる逆テーパー形状を持つ。内径は最小値を持ち、その点よりさらに上流側では、内径が大きくなるテーパー形状を持つ。上流側は、一定ガス圧Pに保たれたバッファタンクに接続されている。このような構造により、内径が最小になる点より上流から下流にガスが進む際、テーパー構造によって、圧縮と加速がおこり、内径が最小になる点でガスの速度は音速に達する。この点をチョーク点と呼ぶ。チョーク点より下流では、逆テーパー構造によって膨張による加速が起こり、超音速で吹きつけ口から噴出する。この手法では、ノズルに進入する前ではランダムに運動していたガス分子の方向をそろえ、噴出時には、指向性の高いガスビームにすることができる。
帯電による異常なコントラストや、一次電子線が影響を受けることによる視野ドリフトは、試料直上のガス圧Pが数Paから、数百Pa程度で抑制できることが知られている。そのため、吹き付けガスの流量は、Pが数Paから数百Paになるように調整する。ガス流量の調整には、バッファタンクの圧力Pbを変化させることで行う。
(2)第二は、試料直上に設けた排気手段である。従来のガス吹き付け方法では、ガスは試料直上の吹き付け位置にとどまった後、周囲の高真空な領域に拡散する。このガスの一部は試料室内構造物との散乱を経て鏡体の一次電子線の経路に進入するため、一次電子線を拡散させる原因となる。本手法では、吹き付けたガスを排気する専用の排気ダクトを試料近傍に設けることで、拡散するガスの絶対量を減少させる。これにより、一次電子線の経路に進入するガスを減少させる。なお、ここでいう排気ダクトとは、一般的なターボモラキュラーポンプやロータリーポンプなどに接続された配管で、先端が試料室内で開放されている筒状配管の開放面であってもよく、クライオポンプやゲッターポンプのような、面でガス分子を吸着するタイプの真空ポンプの吸着面であってもよい。
試料の被観察位置から見た排気ダクトの立体角は、試料の被観察位置から見たガス吹き付けノズルの立体角を超えた大きさとする。
排気ダクトが有効に働くためには、排気ダクトを適切な排気量の真空排気系に接続する必要がある。必要な排気量の事前見積もりを行うには、次のようにすればよい。まず、排気ダクトを設けない状態で、ガス吹き付けを行い、定常状態にした上で、排気ダクトを設ける予定の位置(想定しているダクトの重心位置)のガス圧Pを見積もる。真空排気系の排気量は、排気ダクトを設けた状態でのダクト重心位置の直前のガス圧Pが、P以下になるようにすればよい。なお、典型的には、P、Pの見積もりは、計算によって行う。
理想的には、排気ダクトは、吹き付けガスが粘性流としてみなせる、P>数十Paの位置に配置するのが好ましい。これは、吹き付けたガスが分子流として、等方的に拡散する前に、大部分の吹き付けガスを排気できるためであり、この場合は、試料の被観察位置から見た排気ダクトの立体角は、(真空排気系の排気量にもよるが)試料の被観察位置から見たガス吹き付けノズルの立体角と同程度以下でも構わない。ところが、吹き付け領域、試料の形状、吹き付け流量によっては、ダクトの配置上、P<数十Paにならざるを得ない場合がある。この場合、排気ダクト位置でのガスは分子流の状態であり、排気ダクトで排気できるガス分子は、排気ダクトに進入してくるガス分子に限られる。そのため排気を効率的に行うようにするためには、試料の被観察位置から見た排気ダクトの立体角は、大きければ大きいほどよい。上記の理由により、本実施の形態では、粘性流、分子流の両者の排気に対応できるようにするため、試料の被観察位置から見た排気ダクトの立体角は、少なくともガス吹き付けノズルの立体角を超えた大きさとすることが望ましい。
本実施の形態によれば、上記の構成だけでも一次電子線の拡散を抑えた上で、帯電による異常コントラストや一次電子線のドリフトを低減できるが、さらに、以下のようにして帯電抑制の効果を増幅することも可能である。
ガス吹き付けノズルと排気ダクトは、一般的に導体であるが、ノズルとダクトのどちらか一方、もしくは両方を試料室から絶縁した上で、異なる電圧を印加し、両者の間に電位勾配を設ける。その結果、ガスが存在する領域は電位勾配にさらされることになる。このとき、一次電子線起源の電子もしくは、試料から発生する電子が電位勾配を感じると、加速され、一定確率でガス分子と非弾性散乱し、一定確率でガスイオン−電子ペアを生成する。この加速、ガスイオン−電子ペア生成の過程を繰り返し起こすことで、試料直上でガスイオン、電子が増幅される。一次電子線の照射によって試料が帯電している場合、その極性によってイオンもしくは電子が試料面の帯電位置に向かい、帯電を中和する。このとき、ガス吹き付けノズルと排気ダクトのどちらか一方、もしくは両者に電流信号増幅用のアンプを接続すれば、イオンや電子がノズル−ダクトを移動する際に、電流信号増幅器で変位電流を増幅できる。変位電流信号は、一次電子線の照射によって試料から放出される電子の量に依存した強度を持っているため、これを信号源としてSEM画像を得ることも可能である。このようなSEM画像をガス増幅画像と呼ぶ。
以下、図面を用いて実施例により説明するが、同一図面内においても構成要素により、また同一構成要素内においても図面の縮尺は必ずしも同一ではないことを付言しておく。特に、ガス吹き付けノズル部や排気ダクトは対物レンズ等光学系に比して大きめに作図されている。
(実施例1)
第1の実施例について、図1、図2A〜図2C、図8を用いて説明する。図1は、本実施例1に係る荷電粒子線装置の概略全体構成図であり、指向性の高いガス吹き付けノズルをSEMに適用した場合を示す。ここでは、SEMの適用例を用いて説明するが、SEMに限ったものではなく、SIM観察時の試料の帯電軽減を目的としたガス吹き付け用のノズルや、FIBによる加工の際のエッチング用のノズルに適用しても構わない。
本実施例1に係るSEMでは、電子銃室1内に配置されたコールドカソード電子銃もしくはショットキーエミッション電子銃もしくはタングステン熱電子銃もしくは、LaB電子銃からなる電子銃2で発生させた一次電子線3を鏡体4内部の図示しないレンズによって拡大もしくは縮小させ、対物レンズ5によって試料室6内に配置された試料7面上に収束させる。対物レンズ5の形状は、セミインレンズタイプであってもアウトレンズタイプであっても構わない。鏡体4内部には、図示しない偏向器が配置され、これによって、一次電子線3は試料7面上の視野領域を走査される。電子銃室1および、鏡体4には、排気のため、それぞれ真空ポンプ13、8が接続される。試料室には、真空ポンプ9が接続され、試料室を排気する。それぞれを排気する真空ポンプは一つずつでなくても良く、複数であってもよい。また、真空ポンプ13、8は用いなくても良く、その場合、それぞれの排気口は、真空ポンプ9と接続され、真空ポンプ9は試料室6、電子銃室1、鏡体4を同時に排気する。一次電子線3の経路10には、電子銃室1−鏡体4−試料室6を差動排気するよう、中心に差動排気オリフィス11を設けても良い。試料室6には、試料室内をリークするためのリークバルブ12を設けても良い。試料室内全体を一定の低真空に保つため、リークバルブ12はニードルバルブなどの流量コントロールが可能なバルブであっても良い。これにより、高真空な一次電子線3の経路10と低真空となる試料7近傍との間の試料室空間を高真空から低真空まで所望の圧力に制御することが可能となる。又、所望のガスを導入して所望のガス雰囲気とすることも可能である。試料7は、試料室6内部を移動可能な試料台14に搭載される。
一次電子線3は、試料室6に進入する際、対物レンズ5の中心穴15を通過する。本実施例1では、一次電子線3の照射による試料7の帯電をガス吹き付けによって低減するが、解決すべき課題は、ガス吹き付け時に対物レンズ5の中心穴15に混入するガスの量を低減することである。本実施例では、従来報告されているSEM用ノズルよりガス放出の指向性を高めたガス吹き付け用高指向性ノズル16によってこれを実現する。
ガス吹き付け用高指向性ノズル16は試料直上に配置される。ノズル16の中心軸17は、一次電子線3の光軸18と交差するように配置されることが望ましい。但し、電子線3が試料上で走査される領域内(半径100μm以内)にノズルの中心軸17が配置されれば実用上は問題ない。ガス吹き付け用高指向性ノズル16は中空であり、試料7直上の端が開放されている。もう一方の端は、ガス配管を介してバッファタンク19に接続されている。バッファタンク19とノズル16を接続している配管には、ガス供給用バルブ20が設けてあり、これの開閉により、バッファタンク19側から試料室6側に向かってガスが流れ込む。バッファタンク19は、ガス供給用配管によって、ガス供給源21と接続されており、バッファタンク19とガス供給源21の間には、流量を調整できる流量調整バルブ22が設けられている。流量調整バルブ22は、ダイアフラムバルブ、バリアブルリークバルブ、ニードルバルブなどを用いる。バッファタンク19には、バッファタンク用ガス圧計23が配置されており、この真空度をモニターしながら、流量調整バルブ22を調整することで、バッファタンク19の圧力を調整し、ノズル16から供給されるガスの量を調整する。ガス流量の調整は、SEM画像を見ながら、帯電による影響がなくなるように調整する。
次に、ガスガス吹き付けを行なう際の手順について図8を用いて説明する。ガス吹き付けを行なう前は、リークバルブ12、ガス供給用バルブ20、流量調整バルブ22は、すべてCLOSE(閉)になっている。ガス吹き付けを行う場合、1.電子銃をOFFする。2.ガス供給バルブ20をOPEN(開)にし、バッファタンク19内部を真空引きする。3.電子銃をONにし、一次電子線の照射を開始する。4.バッファタンク用ガス圧計23の値、もしくは、SEM画像を確認しながら、所望のガス吹き付け量になるまで、流量調整バルブ22を開けてゆく。終了する場合は、流量調整バルブ22をCLOSEにし、バッファタンク19内の真空引きをしたのち、ガス供給バルブ20をCLOSEにする。
図2Aは、ガス吹き付け用高指向性ノズル16の断面図である。ガス吹き付け用高指向性ノズル16の内部は、ノズルの中心軸17に対して軸対称形状をしており、バッファタンク19側から、試料室6側に向かって等内径の部分24を持つ。等内径部分は、テーパー部25と接続されており、テーパー部25は、逆テーパー部26と接続されている。逆テーパー部26は、試料室内側で開放されている。ノズル16の開口部形状は円形とは限らないが、円形とすることにより加工がし易く、微細なノズルを形成できる。
かかる構成によれば、内径が最小になる点27よりバッファタンク19側では、テーパー構造によって、ガスが試料室6に向かうに従って圧縮と加速がおこり、内径が最小になる点27でガスの速度は音速に達する。内径が最小になる点27より下流では、逆テーパー構造によって膨張による加速が起こり、超音速で吹きつけ口から噴出する。内径が最小になる点27における内径dと、開放部の内径dの比、d/dは小さいほどガスの速度は大きくなることが知られている。本実施例のノズルの典型的な値は、d/d=1.5−5である。
等内径の部分24、テーパー部25、逆テーパー部26の接続部の接続は、図2Bに示すように、滑らかに傾斜を持つような接続であっても構わない。この構成の場合、乱流の影響を低減できる。また、試料室内側の開放端は、図2Cに示すように試料台表面と平行になるように加工された形状であっても構わない。この場合、対物レンズ5の中心穴15方向がノズルの外壁で覆われていることになり、ガスの中心穴15への進入をさらに低減した上で、試料7と対物レンズ5までの距離(Working Distance)を短くできる。これにより、一次電子線3の帯電防止ガスによる散乱が低減され一次電子線3のプローブ径を小さくできるため、分解能が向上する。
なお、本実施例におけるテーパー部、逆テーパー部の角度は、内面の曲率が0になる点における接面と、軸17との角度で定義する。一般的に軸17とテーパー部の角度102は、30°より大きく設計する。どのような角度であったとしても、軸17と逆テーパー部の角度103は、軸17とテーパー部の角度102より小さくなるように設計する。これにより、指向性が確保される。
本実施例に示したSEMを用いて絶縁膜を有する試料表面の観察を行った結果、試料室内において帯電防止ガスに起因する低真空領域を小さくすることができ、帯電防止ガスの光学系への拡散が十分の一以下に低減され、帯電防止用ガス導入による分解能低下やホワイトノイズの発生を抑制することができた。
以上、本実施例によれば、指向性の高いノズルを用いることにより、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができた。また、テーパー部と逆テーパー部とを滑らかに接続する構成とすることにより、乱流の影響を低減できる。また、逆テーパー部の開口端を試料表面と平行になるように加工することにより、帯電防止用ガスの光学系への拡散を抑制することができる。
(実施例2)
第2の実施例について図3、図4A〜図4Cを用いて説明する。なお、本実施例2では排気ダクトをガス吹き付け用ノズルの近傍に設けたSEMの実施例について述べる。以降の実施例においては、ガス吹き付け用ノズルの内部形状は、内径が均一な単なる筒状であっても良く、実施例1(図2A、図2B、図2C)で示したような、テーパー形状を持つガス吹き付け用高指向性ノズル16であっても良い。また、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図3は、本実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図であり、SEMの試料台の近傍において、ガス排気ダクトをガス吹き付け用ノズル16の近傍に設けた構成を示す。いずれの場合であっても、ノズルの中心軸17は、一次電子線3の光軸18と交差するように配置されることが望ましい。但し、電子線3が試料上で走査される領域内(半径100μm以内)にノズルの中心軸17が配置されれば実用上は問題ない。排気ダクト29の排気口は、ノズル28の吹き出し口と対向する位置に配置される。このとき、試料の被観察位置から見た排気ダクト29の排気口30の立体角100は、試料の被観察位置から見たノズル28の吹き出し口の立体角101を超えた大きさとする。ダクトの形状は矩形であっても、楕円形状であっても構わない。ダクト29は、試料室6外に配置された真空ポンプ31と配管によって接続されており、配管には、ガス排気用バルブ32が設けられている。
ガス吹き付けを行う前には、ガス供給用バルブ20、ガス排気用バルブ32、流量調整バルブ22はすべてCLOSE(閉)となっており、ガス吹き付けを行う際には、まず、ガス排気用バルブ32をOPEN(開)にする。次に、ガス供給用バルブ20をOPENにし、バッファタンク19を真空引きする。次に、所望のガス吹き付け量になるように、流量調整バルブ22を開けてゆく。
かかる構成により、試料直上から拡散する残留ガスを効果的に排気ダクト29から排気でき、対物レンズ5の中心穴15に進入するガス量を低減できる。
図4Aは、ガス吹き付けノズル28と、ガス排気ダクト29もしくは試料台14の間に電位勾配を設けるための構成の概念図である。ここでは、ノズルは、第一の実施例のガス吹き付け用高指向性ノズル16とするが、一般的な内径が一定なガス吹き付けノズルであっても構わない。ガス吹き付けノズル16の上流の真空配管に、絶縁体で構成された部分33を設けノズル本体と先端部とを絶縁し、ガス吹き付けノズル16の先端部を試料室6から絶縁する。ガス吹き付けノズル16には、典型的には0−500Vの正の電圧を印加するための電源34を接続する(なお、一次荷電粒子として正イオンを用いた場合には印加する電圧の符号が変わることは言うまでもない)。一方のガス排気ダクト29と試料台14は接地電位に保つ。かかる構成により、試料より発生した信号電子35を電位勾配により加速し、その過程で連続的に起こるイオン化散乱を利用して、ガス流内でイオン36と電子37を増幅させる。試料7が帯電している場合、その電位に応じて正の電荷をもつイオン36もしくは電子37が試料の帯電部分に引き寄せられ、結果として効率的に帯電を除去できる。
さらに、ガス排気ダクト29にも絶縁体で形成された部分38を設け排気ダクト本体と先端部とを絶縁し、先端部を試料室6から絶縁し、電流信号増幅器39を接続しても良い。また、同様に試料台14を試料室6から絶縁し、試料台14に電流信号増幅器39を接続してもよい。これにより、電流信号増幅器39では、増幅されたイオン36や電子37が移動することによって流れる変位電流を増幅する。この電流信号の強度は、試料7から発生する信号電子35の量に依存しているため、この信号からSEM画像(ガス増幅画像)を得ることができる。また、この電流信号強度は、試料直上のガス圧にも対応しているため、試料直上のガス圧のモニターとして用いることもできる。これを利用して、たとえば、電流信号強度を測定し、試料直上が所望のガス圧になるよう、流量調整バルブ22の開閉にフィードバックをかけても良い。このフィードバックは、図示しない信号制御系、流量調整バルブ自動化機構によって、自動で行うようにしても良い。
図4Bでは、同様の効果を得るための別の構成を説明する。ここでは、ガス吹き付けノズル16と、ガス排気ダクト29の両者に、典型的には0−500Vの正の電圧を印加するための電源34を接続する。試料台14は接地電位に保つ。かかる構成により、試料7より発生した信号電子35を電位勾配により加速し、その過程で連続的に起こるイオン化散乱を利用して、ガス流内でイオン36と電子37を増幅させる。試料が帯電している場合、その電位に応じて正の電荷をもつイオン36もしくは電子37が試料7の帯電部分に引き寄せられ、結果として効率的に帯電を除去できる。かかる構成によれば、図4Aの構成では排気ダクト29に向かっていたイオンも効果的に試料に移動させることができ、とくに帯電が激しい試料にたいして効果的に帯電を除去できる。
さらに、試料台14を試料室6から絶縁し、電流信号増幅器39を接続しても良い。これにより、電流信号増幅器39では、増幅されたイオン36や電子37が移動することによって流れる変位電流を増幅する。この電流信号の強度は、試料7から発生する信号電子35の量に依存しており、この信号からSEM画像を得ることができる。また、この電流信号強度は、試料直上のガス圧にも依存しているため、図4Aと同様に、流量調整バルブ22の開閉にフィードバックをかけても良い。
同様の効果を得るためのさらに別の構成を図4Cを用いて説明する。ここでは、ガス吹き付けノズル16と、ガス排気ダクト29の両者を接地電位に保つ。試料台14は試料室6と絶縁し、典型的には0−500Vの負の電圧を印加するための電源40を接続する(なお、一次荷電粒子として正イオンを用いた場合には印加する電圧の符号が変わることは言うまでもない)。かかる構成により、試料より発生した信号電子35を電位勾配により加速し、その過程で連続的に起こるイオン化散乱を利用して、ガス流内でイオン36と電子37を増幅させる。試料7が帯電している場合、その電位に応じて正の電荷をもつイオン36もしくは電子37が試料の帯電部分に引き寄せられ、結果として効率的に帯電を除去できる。
さらに、ガス吹き付けノズル16と、ガス排気ダクト29を試料室6から絶縁し、どちらか一方、もしくは両者に電流信号増幅器39を接続しても良い。これにより、電流信号増幅器39では、増幅されたイオン36や電子37が移動することによって流れる変位電流を増幅する。この電流信号の強度は、試料から発生する信号電子35の量に依存しており、この信号からSEM画像を得ることができる。また、この電流信号強度は、試料直上のガス圧にも依存しているため、図4Aの実施例と同様に、流量調整バルブ22の開閉にフィードバックをかけても良い。
図4Aから図4Cの構成において、電流信号増幅器39をフローティング増幅器とし、電圧を印加する側(ガス吹き付けノズルもしくはガス排気ダクトもしくは試料台)に接続しても良い。その場合も、図4Aから図4Cの構成と、基本的に同じ強度の信号電流を得ることができる。
本実施例に示したSEMを用いて絶縁膜を有する試料表面の観察を行った結果、試料室内において帯電防止ガスに起因する低真空領域を小さくすることができ、帯電防止ガスの光学系への拡散が十分の一以下に低減され、帯電防止用ガス導入による分解能低下やホワイトノイズの発生を抑制することができた。
以上、本実施例によれば、排気ダクトの排気口をガス吹き付け用ノズルの吹き出し口近傍に設けることにより、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができた。また、ガス吹き付け用ノズル先端部を試料室と絶縁する絶縁部とガス吹き付け用ノズル先端部に正電圧を印加する電源とを備えることにより、効果的に試料の除電を行なうことができる。また、上記絶縁部と上記電源に加えて、排気ダクト先端部を試料室と絶縁する絶縁部と排気ダクト先端部に正電圧を印加する電源を備なえることにより、より効果的に試料の除電を行なうことができる。また、試料台に負電圧を印加する電源を備えることにより、試料の除電を行なうことができる。
(実施例3)
第3の実施例について図5を用いて説明する。なお、本実施例において、試料台と、対物レンズと、ガス吹き付けノズルと、ガス排気ダクトの構成は、そのいずれの組み合わせにおいても、実施例2(図4A〜図4C)で説明したものと同様に、電源や、電流増幅器をノズルや排気ダクトや試料台に接続してもよい。その場合、実施例2(図4A〜図4C)の対応する構成と同様の効果が得られる。また、試料の被観察位置から見た排気ダクトの排気口の立体角は、試料に被観察位置から見たノズルの吹き出し口の立体角を超えた大きさとする。また、実施例1又は2に記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図5は、本実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)の概略全体構成図であり、SEMの試料台の近傍において、ガス排気ダクトをガス吹き付け用ノズルの近傍に設けた構成を示す。ガス排気ダクト29およびガス吹き付けノズル28は両者ともに軸17に対して対称な形状をしており、ガス排気ダクト29の内部にガス吹き付けノズル28が配置されている。ガス排気ダクト29およびガス吹き付けノズル28は、実施例2(図4A〜図4C)と同様に電源の接続や電流増幅器の接続が可能になるように、試料室に対して絶縁するため、絶縁部を設けても良い。ガス吹き付けノズル28の内部構造は、実施例1(図2A〜図2B)と同様にガス吹き付け用高指向性ノズルと同様の形状をしていても良い。かかる構成により、ノズルから吹き出したガスのうち、試料に向かわないガスを効率的に排気できる。
本実施例に示したSEMを用いて絶縁膜を有する試料表面の観察を行った結果、試料室内において帯電防止ガスに起因する低真空領域を小さくすることができ、帯電防止ガスの光学系への拡散が十分の一以下に低減され、帯電防止用ガス導入による分解能低下やホワイトノイズの発生を抑制することができた。
以上、本実施例によれば、排気ダクトの排気口をガス吹き付け用ノズルの吹き出し口近傍に設けることにより、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができた。また、ガス吹き付けノズルと排気ダクトとを同軸で、排気ダクトをガス吹き付けノズルの外側とする構成により、ガス吹き付けノズルから吹き出したガスのうち、試料に向かわないガスを効率的に排気できる。
(実施例4)
第4の実施例について図6A〜図6Eを用いて説明する。なお、実施例1乃至3のいずれかに記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図6Aは、本実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)における帯電防止ガス吹き付けノズル及び他の排気ダクトを含む概略要部構成図であり、SEMの試料台の近傍において、ガス排気ダクトをガス吹き付け用ノズルの近傍に設けた構成を示す。軸上ガス排気ダクト42の排気口30および光軸対称ガス吹き付けノズル41は両者ともに光軸18に対して対称な形状をしており、ガス排気ダクト42の下部に光軸対称ガス吹き付けノズル41が配置されている。ガス排気ダクト42、光軸対称ガス吹き付けノズル41は、実施例2と同様に先端部に電源の接続や電流増幅器の接続が可能になるように、試料室6に対して絶縁するため、それぞれ絶縁部38、33を設けても良い。かかる構成により、試料7に等方的なガス吹き付けを行うことができる。
図6B、図6Cに、軸上ガス排気ダクト42の排気口30の概略図を示す。図6Bは電子銃側から見た図であり、図6Cは試料側から見た図である。排気ダクト42の電子銃側には、一次電子線3の通過穴43が設けられている。排気ダクト42の試料側には、排気口44(図中でハッチがかけられている部分)が設けられている。
図6Dに、光軸対称ガス吹き付けノズル41を示す。上部は概略断面図であり、下部は電子銃側から見た概略平面図である。光軸対称吹き付けノズルは、荷電粒子線が通過できるようそれぞれ中央部に開口部を備えた二枚のディスク(円錐状)を間隙を設けて配置させた形状を有し、この間隙がガス流路となる。前記開口部側に吹き付けノズルの先端部が配置される。このディスクの狭間(間隙)にガス導入配管45からガスが供給される。供給されたガスは、試料直上から等方的に試料7に吹きつけられる。なお、吹き付けノズルは荷電粒子線に関して軸対称となるように配置される。
光軸対称ガス吹き付けノズル41は、図6Eに示したような構造をしていてもよい。図6Eは光軸対称ガス吹き付け用高指向性ノズル46の光軸18を含む面で切った断面図である。光軸対称ガス吹き付け用高指向性ノズル46は二枚の円錐板を重ね合わせた形状をしており、A部47は円錐板の間隔が等しいが、B部48では試料7に近づくに従って間隔が狭まる形状をしており、C部49では試料7に近づくに従って間隔が広がる形状をしている。かかる構造により、試料に吹き付けるガスの指向性を高めることが可能である。
本実施例に示したSEMを用いて絶縁膜を有する試料表面の観察を行った結果、試料室内において帯電防止ガスに起因する低真空領域を小さくすることができ、帯電防止ガスの光学系への拡散が十分の一以下に低減され、帯電防止用ガス導入による分解能低下やホワイトノイズの発生を抑制することができた。
以上、本実施例によれば、排気ダクトの排気口をガス吹き付け用ノズルの吹き出し口近傍に設けることにより、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができた。また、軸上ガス排気ダクトの排気口および光軸対称ガス吹き付けノズルは両者ともに光軸に対して対称な形状をしており、ガス排気ダクトの下部に光軸対称ガス吹き付けノズルが配置されているため、光学系へ向かうガスを効率的に排気することができる。
(実施例5)
第5の実施例について図7を用いて説明する。なお、実施例1乃至4のいずれかに記載され、本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図7は、本実施例に係る荷電粒子線装置(SEM)における帯電防止ガス吹き付けノズル及び他の排気ダクトを含む概略要部構成図であり、試料台をガス排気ダクトとして用いる構成を示す。ガス吹き付けノズル41は、実施例1−実施例4のいかなるノズルであっても構わない。排気ダクト兼試料台50の内部には、真空配管51が設けられておりされており、試料7を配置する面がガス排気ダクトの排気口30となっている。試料7を乗せる面はグリッド52となっている。かかる構成により、残留ガスを効率的に排気することが可能になる。試料台50の移動を実現するため、配管は、フレキシブル構造をもつフレキシブル配管53を介して真空ポンプ31に接続される。
本実施例に示したSEMを用いて絶縁膜を有する試料表面の観察を行った結果、試料室内において帯電防止ガスに起因する低真空領域を小さくすることができ、帯電防止ガスの光学系への拡散が十分の一以下に低減され、帯電防止用ガス導入による分解能低下やホワイトノイズの発生を抑制することができた。
以上、本実施例によれば、排気ダクトの排気口をガス吹き付け用ノズルの吹き出し口近傍に設けることにより、帯電防止用ガスの対物レンズを含む光学系への進入を抑制することのできる荷電粒子線装置を提供することができた。また、試料台を排気ダクトとして用いることにより、残留ガスを効率的に排気することができる。
1…電子銃室、2…電子銃、3…一次電子線、4…鏡体、5…対物レンズ、6…試料室、7…試料、8…鏡体用真空ポンプ、9…試料室用真空ポンプ、10…一次電子線の経路、11…差動排気オリフィス、12…リークバルブ、13…電子銃室用真空ポンプ、14…試料台、15…対物レンズの中心穴、16…ガス吹き付け用高指向性ノズル、17…ノズルの中心軸、18…光軸、19…バッファタンク、20…ガス供給バルブ、21…ガス供給源、22…流量調整バルブ、23…バッファタンク用ガス圧計、24…ノズル内の等内径の部分、25…ノズル内のテーパー部、26…ノズル内の逆テーパー部、27…ノズル内の内径が最小になる点、28…ガス吹き付けノズル、29…排気ダクト、30…排気ダクトの排気口、31…真空ポンプ、32…ガス排気バルブ、33…ノズルの絶縁体部分、34…正の電圧を印加する電源、35…信号電子、36…イオン、37…増幅された電子、38…ガス排気ダクト絶縁部分、39…電流信号増幅器、40…負の電圧を印加する電源、41…光軸対称ガス吹き付けノズル、42…軸上ガス排気ダクト、43…一次電子線の通過穴、44…軸上ガス排気ダクトの排気口、45…ガス導入配管、46…光軸対称ガス吹き付け用高指向性ノズル、47…A部、48…B部、49…C部、50…排気ダクト兼試料台、51…真空配管、52…試料配置用グリッド、53…フレキシブル配管、100…排気ダクトの立体角、101…ガス吹き付けノズルの立体角、102…軸17とテーパー部の角度、103…軸17と逆テーパー部の角度。

Claims (19)

  1. 荷電粒子源と、試料を配置する試料台と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料の上に収束させる光学系と、前記荷電粒子線の通過経路を排気する真空排気系と、前記荷電粒子線の照射による前記試料の帯電を防止するガスを前記試料に吹き付ける吹き付けノズルとを備えた荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、前記ガスの進行方向に垂直な断面の面積が前記吹き付けノズルの先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルの前記ガスの進行方向に対して垂直な断面は円形であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、前記荷電粒子線が通過できるようにそれぞれ中央部に開口部を備えた二枚のディスクを間隙を設けて配置させた形状を有し、前記ディスクの間隙をガス流路として前記開口部側に前記ガスが吹き出すように前記開口部側に前記先端部が配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 荷電粒子源と、試料を配置する試料台と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料の上に収束させる光学系と、前記荷電粒子線の通過経路を排気する真空排気系と、前記荷電粒子線の照射による前記試料の帯電を防止するガスを前記試料に吹き付ける吹き付けノズルとを備えた荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルから吹き出されたガスを排気する排気ダクトを更に備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記試料の被観察位置から見た前記排気ダクトの排気口の立体角は、前記吹き付けノズルのガス吹き付け口の立体角を超えることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、前記ガスの進行方向に垂直な断面の面積が前記吹き付けノズルの先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルの先端部は、前記吹き付けノズル本体から絶縁されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記排気ダクトの先端部は、前記排気ダクト本体から絶縁されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項7記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルの先端部に接続される電源を更に有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項8記載の荷電粒子線装置において、
    前記排気ダクトの先端部に接続される電源を更に有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項7記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルの先端部に接続される増幅器を更に有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項8記載の荷電粒子線装置において、
    前記排気ダクトの先端部に接続される増幅器を更に有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記試料台に接続される増幅器を更に有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記排気ダクトと前記試料台とが兼用されており、前記排気ダクトの排気口が前記試料を固定するためのグリッド構造を持つことを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルの開放端は、前記試料台表面と平行になるように加工された形状を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  16. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、それぞれの中心軸が同一となるように前記排気ダクトの内部に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  17. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、前記荷電粒子線が通過できるようにそれぞれ中央部に開口部を備えた二枚のディスクを間隙を設けて配置させた形状を有し、前記ディスクの間隙をガス流路として前記開口部側に前記ガスが吹き出すように前記開口部側に前記吹き付けノズルの先端部が配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  18. 請求項17記載の荷電粒子線装置において、
    前記排気ダクトは、前記吹き付けノズルよりも前記荷電粒子源側に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  19. 請求項17記載の荷電粒子線装置において、
    前記吹き付けノズルは、前記ガスの進行方向に垂直な断面の面積が前記先端部で小さくなり、最小値をもった後に大きくなる構造を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
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