JP2012098572A - 光アイソレータ用積層体、その製造方法及び光アイソレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子の光透過面の両側に、接着層を介して、偏光ガラス母材を光透過面で貼り合わせて積層体を製造する方法であって、偏光ガラス母材の作製時の延伸方向の上下を予め調べ、偏光ガラス母材同士の調べた延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度位置に配置するように貼り合わせて光アイソレータ用積層体を製造する。
【選択図】図1
Description
このような積層体から切り出されたチップ状素子を用いる構造の光アイソレータは、偏光ガラス、ファラデー素子を別々に固定する構成と比較して、低コストにできるという利点がある。
このような偏光ガラスの元となる母材は、特許文献1に記載されているように、バッチ溶融、銀凝縮、延伸、還元で作製され、この後、偏光ガラス母材より切出し、ラップ、研磨工程を経て偏光ガラスが得られる。これらの工程により、一定方向に偏光軸が形成され、偏光ガラスは偏光性能を有する。
このように、偏光ガラス母材として、光透過面が8mm角以上の大きさのものを用いることで、多数の光アイソレータを作製するための積層体の貼り合わせ作業時間が大きく低減され、本発明であれば上記大きさの偏光ガラス母材を用いても消光比の劣化が小さいため、高品質の光アイソレータをより生産性良く作製可能な積層体を製造できる。
このように、偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度ずれた配置となるように貼り合わせる際に、偏光ガラス母材同士の前記調べた延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、偏光ガラス母材同士の延伸方向を所定の回転角度ずらして貼り合わせることで、偏光ガラス母材同士の偏光軸を、消光比を大きくするために所定の角度でずらす場合にも、本発明であれば、積層体の面内において、端部でも偏光軸が当該所定のずらす回転角度から大きく外れることを抑制できる。
このように、偏光ガラス母材同士の偏光軸をずらす回転角度を、45度とすることで、消光比が最大となり、より高品質の光アイソレータ用積層体を製造できる。
このように、偏光ガラス母材が、該偏光ガラス母材同士の作製時の延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度位置に配置されるように貼り合わされたものであれば、確実に面内で消光比の優劣差の少ない積層体となる。
このように、偏光ガラス母材が、ファラデー素子の光透過面の両側に、接着層を介して偏光ガラス母材同士の偏光軸が回転角度45度ずれた配置となるように貼り合わされたものであれば、消光比が最大になり、より高品質の光アイソレータ用積層体となる。
本発明の光アイソレータ用積層体を切断して作製されたものであれば、低コストで高品質の光アイソレータとなる。
これに対して、偏光ガラスを偏光軸の傾きに合わせて小さく切り出してから貼り合わせる方法もあるが、この方法では、貼り合わせの工程が切り出した分だけ増えてしまい、生産性が大きく悪化してしまう。
従って、偏光軸の分布を持つ偏光ガラス母材のままで用いても、安定した特性を示す光アイソレータ用積層体の開発が待たれていた。
偏光ガラスの偏光性能は、母材作製時の延伸工程で、金属粒子である銀粒子を含有した母材を、ガラスのアニール点より高く、かつ、軟化点より低い温度で延伸させると、大きな応力により、金属粒子の配列方向が揃うことで発揮される。
しかしながら、延伸時の応力の分布が均一にならないため、偏光軸は偏光ガラス母材の面内でばらつきが生じる。
以上より、特定の方向では劣化が見られるが、その方向と直交する方向ではほとんど劣化が見られないという結果となった。
以上のような知見を基に、本発明者は、以下のような本発明を完成させた。
図1は、本発明の光アイソレータ用積層体の製造方法により貼り合わされた光アイソレータ用積層体の貼り合わされた状態を示す概略図である。図2は、光アイソレータ用積層体の図1とは逆向きに貼り合わされた状態を示す概略図である。図3は、偏光ガラス母材の面内での偏光軸の一例を示す概略図である。図4は、本発明の光アイソレータ用積層体の実施態様の一例を示す概略図である。
または、偏光ガラス母材11,12を製造時の延伸方向の上下が不明な場合には、例えば、図5に示すような偏光ガラス母材11,12の偏光軸のマップを求めて調べることができる。または、予め、貼り合わせて積層体の構成として、貼り合わせ向きによる消光比の分布を調べることで延伸方向の上下を調べることもできる。
本発明で用いる偏光ガラス母材11,12としても、特に限定されず、バッチ溶融、銀凝縮、延伸、還元等の工程を経て作製された金属分散型偏光ガラス母材を用いることができる。
例えば、貼り合わせる際に、偏光ガラス母材11,12同士の延伸方向の上下を一致させた位置から、一方の偏光ガラス母材11を所定の角度回転させ、ファラデー素子13と接着層14を介して貼り合わせる。
図4に示す本発明の光アイソレータ用積層体10は、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子13と、ファラデー素子13の光透過面の両側に接着層14を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラス母材11,12とからなる積層体10であって、偏光ガラス母材11,12の光透過面の大きさが8mm角以上で、光透過面の8mm角の面内において最も傾斜している偏光軸の傾斜角度が0.35度以上であり、積層体10の中央部と端部における消光比の差が5dB以下となるように偏光ガラス母材11,12が貼り合わされたものである。
(実施例)
まず、図1の偏光ガラス母材12と図3の偏光ガラス母材11aのような、偏波方向が45°異なる2種類の金属分散型偏光ガラス母材を用意した。これらの偏光ガラス母材は、光透過面が15mm角の大きさのものとし、作製時の延伸方向の上下を調べて、当該上下がわかるように印をつけた。また、ファラデー素子として、波長1.3μm〜1.6μm帯の光の偏光面を45°回転させる厚さにスライス・研磨等の加工を行ったウェーハ状のビスマス置換鉄ガーネット結晶を準備した。
製造した積層体の面内における消光比を測定した結果を表1に示す。X方向が偏光軸に垂直な方向で、Y方向が偏光軸に平行な方向である。
実施例と同様に、ただし、実施例の貼り合わせ位置から一方を180度回転させた状態、つまり、延伸方向の上下を逆にして貼り合わせた。このときの偏光軸の相対的な位置関係は図2のようになっている。
製造した積層体の面内における消光比を測定した結果を表2に示す。X方向が偏光軸に垂直な方向で、Y方向が偏光軸に平行な方向である。
13…ファラデー素子、 14…接着層、 15、16…偏光軸。
Claims (8)
- ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子の光透過面の両側に、接着層を介して、偏光ガラス母材を光透過面で貼り合わせて積層体を製造する方法であって、少なくとも、
前記偏光ガラス母材の作製時の延伸方向の上下を予め調べ、前記偏光ガラス母材同士の前記調べた延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、前記偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度位置に配置されるように貼り合わせることを特徴とする光アイソレータ用積層体の製造方法。 - 前記偏光ガラス母材として、前記光透過面が8mm角以上の大きさのものを用いることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法。
- 前記偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度ずれた配置となるように貼り合わせる際に、前記偏光ガラス母材同士の前記調べた延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、前記偏光ガラス母材同士の前記延伸方向を前記所定の回転角度ずらして貼り合わせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法。
- 前記貼り合わす際に前記偏光ガラス母材同士の偏光軸をずらす回転角度を、45度とすることを特徴とする請求項3に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法。
- 少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子と、該ファラデー素子の光透過面の両側に接着層を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラス母材とからなる積層体であって、
前記偏光ガラス母材の光透過面の大きさが8mm角以上で、該光透過面の8mm角の面内において最も傾斜している偏光軸の傾斜角度が0.35度以上であり、前記積層体の中央部と端部における消光比の差が5dB以下となるように前記偏光ガラス母材が貼り合わされたものであることを特徴とする光アイソレータ用積層体。 - 前記偏光ガラス母材が、該偏光ガラス母材同士の作製時の延伸方向の上下を一致させた状態を基準に、前記偏光ガラス母材同士の偏光軸が所定の回転角度位置に配置されるように貼り合わされたものであることを特徴とする請求項5に記載の光アイソレータ用積層体。
- 前記偏光ガラス母材が、前記ファラデー素子の光透過面の両側に、接着層を介して前記偏光ガラス母材同士の偏光軸が回転角度45度ずれた配置となるように貼り合わされたものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の光アイソレータ用積層体。
- 請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の光アイソレータ用積層体を切断して作製されたものであることを特徴とする光アイソレータ。
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