JP2012092221A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料を樹脂に分散してなる顔料分散体と、20℃における水への溶解度が5%以下である少なくとも1種の有機溶媒とを含み、前記顔料分散体における樹脂の酸価が300以下である、インクジェット記録用インク組成物。
【選択図】図1
Description
本実施形態において、顔料分散体とは、着色剤である顔料を樹脂に分散させたものをさす。なお、分散態様としては、後述する顔料が後述する樹脂によって分散されている態様や、樹脂によって被覆されている態様、又はその他の態様であってもよい。
本実施形態に係る顔料分散体に用いられる顔料としては、一般のインクジェット記録用インクで使用できる各種の無機顔料及び有機顔料を特に限定することなく用いることができる。
本実施形態において、顔料を分散するための樹脂としては、酸価が300以下の樹脂であって、顔料分散体に用いられる樹脂であれば特に限定はされない。
重合体樹脂およびポリエステル−アクリル共重合体樹脂等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態における顔料分散体は、上述したような顔料及び樹脂に加えて、保湿剤、防腐剤などを含有していてもよい。
本実施形態に係るインク組成物には、水の他に、20℃における水への溶解度が5%以下である少なくも1種の有機溶媒が含まれている。インク組成物中にこのような有機溶媒を含むことにより、ビヒクルの記録メディアに対する浸透性が高くなる。一方、前記溶解度が5%を超えると、親水性が高くなり、ビヒクルの記録メディアへの浸透性を高める効果が低くなる。なお、前記溶解度は、例えば、後述の実施例に記載した方法を用いて測定することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、上述した必須成分(顔料分散体、有機溶媒)以外に界面活性剤を含んでいてもよい。好ましい界面活性剤の例としては、アセチレングリコール系界面活性剤などが挙げられる。これらは市販のものを使用することもでき、例えば、日信科学工業社製のオルフィンE1010、オルフィンE1004、エアプロダクト社製サーフィノール465、440等の界面活性剤を適宜使用することができる。
本実施形態におけるインク組成物は、上述した以外にも、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤、防錆剤などを含有していてもよい。
(顔料分散体A)
・C.I.ピグメントシアン15:3 20質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体樹脂(分子量20000,酸価200) 5質量%
・グリセリン 10質量%
・イオン交換水 残量
上記成分を混合し、ダイノーミル(シンマルエンタープライズ)中でガラスビーズ(直径1.0mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させ、顔料分散体Aを得た。
スチレン−アクリル酸共重合体樹脂の添加量を20質量%に変更した以外は、顔料分散体Aと同様にして、顔料分散体Bを得た。
スチレン−アクリル酸共重合体樹脂の酸価を400に変更した以外は、顔料分散体Aと同様にして、顔料分散体Cを得た。
(インク組成物A)
・顔料分散体A 25質量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量%
・へキシレングリコール(溶解度100) 5質量%
・2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオール(溶解度1.1) 0.5質量%
・2−ピロリドン(溶解度100) 5質量%
・グリセリン(溶解度100) 13質量%
・水 51質量%
上記組成を混合し、十分に攪拌した後に、孔径5μmのフィルターにて加圧濾過をし、インク組成物Aを得た。
顔料分散体Aを顔料分散体Bに変更する以外は、インク組成物Aと同様にしてインク組成物Bを得た。
2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオールの代わりにトリエチレングリコールモノブチルエーテル(溶解度100)を0.5質量%添加した以外は、インク組成物Aと同様にしてインク組成物Cを得た。
顔料分散体Aを顔料分散体Cに変更する以外は、インク組成物Aと同様にしてインク組成物Bを得た。
(溶解度)
まず、前記有機溶媒の溶解度は、20℃の水100gを攪拌中にそれぞれの有機溶媒を滴下し、濁りの生じた点の水中における有機溶媒の割合(有機溶媒/水×100)(%)を溶解度として測定した。
記録ヘッドに記録液を充填した後、ノズル形成面から出ている余剰液を、ワイプブレードにてかきとり、記録ヘッドのノズル面と記録紙との距離を1mmに固定し、30×30mmのサイズ内に最大濃度のベタ画像をOKH−Jオフ用紙(王子製紙)に連続10枚印字した。その後排出ローラにて記録液がローラに付着しているか(オフセット性)を目視で確認した。
○:記録液が排出ローラに付着していない、且つ非印字部に版画されていない。
△:記録液が排出ローラに付着していないが、非印字部に版画されている。
×:記録液が排出ローラに付着しており、且つ非印字部に版画されている。
なお、駆動周波数20kHz、プロセス速度が840mm/sであるとき、印字より0.4、0.6、0.8s後に相当する、33.6、50.4、67.2mmの位置に、接触部材として排出ローラを設置して前記オフセット性を評価した。
表1より明らかなように、溶解度が5%以上である有機溶媒を混合したインク組成物C、並びに、酸価の高い樹脂を用いた顔料分散体を含むインク組成物Dのいずれにおいても、浸透乾燥が妨げられて、オフセットが生じてしまうことがわかった。一方、本発明の実施形態に係るインク組成物A及びインク組成物Bは、高速インクジェットシステムにおいても、オフセットを生じることなく、良好な画像が得られた。
上記インク組成物A〜Dの記録紙への浸透挙動を、動的接触角計(Dataphysics社:OCA40)で測定した。測定は1μlの記録液をOKH−Jオフ用紙に滴下し、その浸透挙動を紙上での液滴高さHで評価した。
樹脂の量が多いインク組成物Bは時間がたっても高さが残ってしまっているが、これは樹脂が多いために、紙の表面に付着した顔料と樹脂が増加したためで、20℃で溶解度が5%以下の溶剤により液体成分は浸透しきっており、インク層の表面は乾燥していてオフセットは生じていないものと考えられる。
以上より、本発明に係るインク組成物であれば、優れた浸透乾燥性を示し、特に印字から0.6秒以内に印字面に接触部材があるような高速印字システムであっても、オフセットを生じることなく高画質印字が可能となることが明らかとなった。
Claims (3)
- 顔料を樹脂に分散してなる顔料分散体と、20℃における水への溶解度が5%以下である少なくとも1種の有機溶媒とを含み、
前記顔料分散体における樹脂の酸価が300以下である、インクジェット記録用インク組成物。 - 前記有機溶媒が、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルから選択される少なくとも1種、或いはそれらの混合物である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記樹脂が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂およびポリエステル−アクリル共重合体樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
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