JP2012089522A - 有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2枚の貼り合わせ基板を容易に分離できるようにする。
【解決手段】有機EL表示装置を構成するための有機EL素子を形成する工程において、転写層を備えた転写用基板と有機EL素子の素子形成用基板とを貼り合わせ、レーザー熱転写法によって転写用基板上の転写層素子形成基板上に転写した後、転写用基板と素子形成用基板とを分離するために用いられる有機EL表示装置の製造方法であって、転写用基板と素子形成用基板とを貼り合わせる場合に、少なくとも一方の一部が他方の端部からはみ出すように貼り合わせる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、有機EL表示装置の製造装置及び製造方法に関し、特に、レーザー熱転写法を用いて転写層を基板に転写する場合に適用される有機EL表示装置の製造装置及び製造方法に関する。
近年、薄型表示装置の一つとして、有機電界発光素子である有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置は、バックライトが不要な自発光型の表示装置であるため、視野角が広い、消費電力が少ないなどの利点を有している。
一般に、有機EL表示装置に用いられる有機EL素子は、有機材料からなる有機層を上下から電極(陽極及び陰極)で挟み込んだ構造になっている。そして、陽極に正の電圧、陰極に負の電圧をそれぞれ印加することにより、有機層に対して、陽極から正孔を注入するとともに、陰極から電子を注入することにより、有機層で正孔と電子が再結合して発光する仕組みになっている。
一般に、有機EL素子の有機層は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含む複数の機能層によって構成されている。各々の機能層を形成する有機材料は、耐水性が低くてウェットプロセスを利用できない。このため、有機層の形成プロセスには真空蒸着法が採用されている。また、カラー化への対応として、R(赤),G(緑),B(青)の発光色に対応する3種類の有機材料を用いて、RGBの発光層を形成している。
上記RGBの発光層は、有機EL素子の形成に用いられる基板(以下、「素子形成用基板」と記す)上に所定の色配列で形成される。このため、素子形成用基板に対しては、RGBの発光層を画素ごとに塗り分けるようにパターニングする必要があり、このパターニング方法の一つとしてレーザー熱転写法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
レーザー熱転写法は、転写層を備えた転写ドナーと被転写基板とを貼り合わせた状態で、転写ドナーの裏面側からレーザー光を照射することにより、光熱変換層でレーザー光を吸収して熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーを利用して転写層の一部(レーザー光が照射された部分)を選択的に被転写基板に転写する方法である。
上記レーザー熱転写法によって素子形成用基板に発光層を形成する場合は、レーザー光の照射によって発光層を素子形成用基板に転写した後に、転写ドナーと素子形成用基板を分離する必要がある。
特開2002−110350号公報
しかしながら、転写ドナーと素子形成用基板とは、例えば、両者の間を真空に保持した状態で貼り合わせられているため、剥離帯電などの影響もあって分離が困難であった。特に、転写ドナーの基材としてガラス基板を用いた場合は、基板自身の撓みが生じるため、ますます困難なものとなっていた。こうした課題は、基板が大型になるほど、顕著になる。
本発明に係る有機EL表示装置の製造装置は、転写用基板に形成された転写層を有機EL素子の素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写した後、前記転写用基板と前記素子形成用基板とを分離する場合に用いられる有機EL表示装置の製造装置であって、前記転写用基板および前記素子形成用基板を保持した基板保持部と、前記転写用基板または前記素子形成用基板に吸着すべく列状に配置された吸着パッド列を所定の方向に複数並べて設けるとともに、基板保持部に対して複数の吸着パッド列を独立に接離移動可能に支持する複数の駆動手段を有する基板吸着ユニットとを備え、前記転写用基板または前記素子形成用基板に複数の吸着パッド列を吸着させた状態で、複数の駆動手段により複数の吸着パッド列を基板保持部から離間する方向に順に移動させることにより、転写用基板と素子形成用基板とを分離するものである。
この有機EL表示装置の製造装置においては、一方の基板に複数の吸着パッド列を吸着させた状態で、複数の駆動手段により複数の吸着パッド列を基板保持部から離間する方向に順に移動させる。基板分離の誘因となる動作と、基板分離を伝播する動作の組み合わせによって、2枚の基板が分離される。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、転写用基板に形成された転写層を有機EL素子の素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写した後、前記転写用基板と前記素子形成用基板とを分離するために用いられる有機EL表示装置の製造方法であって、前記転写用基板と前記素子形成用基板とを貼り合わせる場合に、少なくとも一方の一部が他方の端部からはみ出すように貼り合わせるものである。
この有機EL表示装置の製造方法においては、2枚の基板を貼り合わせる場合に、少なくとも一方の基板の一部が他方の基板の端部からはみ出すように貼り合わせることで、一方の基板にはみ出し部が確保される。このため、2枚の基板を分離する場合は、一方の基板のはみ出し部を利用して、2枚の基板を剥離させることが可能となる。
本発明によれば、有機EL表示装置の製造工程に含まれる転写工程で、レーザー熱転写法により転写用基板から素子形成用基板に転写層を転写した後に、2枚の基板(素子形成用基板、転写用基板)を容易に分離することができる。
本発明で製造対象とする有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。 有機EL素子の構成例を示す断面図である。 有機EL素子の画素の色配列を示す図である。 有機EL表示装置の製造工程を示す図である。 転写用基板の構成と作製手順を説明するための図である。 有機EL表示装置の製造装置の構成例を示す斜視図である。 図6の一部を拡大した図である。 製造装置の動作を説明する図(その1)である。 製造装置の動作を説明する図(その2)である。 製造装置の動作を説明する図(その3)である。 製造装置の動作を説明する図(その4)である。 製造装置の動作を説明する図(その5)である。 基板突き上げ機構を備えた製造装置の構成と動作を説明する図である。 基板の分離を誘因する動作例を示す図(その1)である。 基板の分離を誘因する動作例を示す図(その2)である。 基板貼り合わせ装置の構成例を示す平面図である。 同一サイズの基板同士の貼り合わせ状態を示す図である。 異なるサイズの基板同士の貼り合わせ状態を示す図(その1)である。 異なるサイズの基板同士の貼り合わせ状態を示す図(その2)である。 基板の分離を誘因する動作例を示す図(その3)である。 基板の分離を伝播する動作例を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<有機EL表示装置の構成>
図1は本発明で製造対象とする有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。図示した有機EL表示装置1は複数の有機EL素子2を用いて構成されるものである。有機EL素子2は、R(赤),G(緑),B(青)の発光色の違いで単位画素ごとに区分されている。ただし、図1では、そのうちの1つだけを示している。
有機EL素子2は、素子形成用基板3上に形成される。素子形成用基板3上には、図示しないスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ)とともに、下部電極4、絶縁層5、有機層6及び上部電極7が順に積層されている。さらに、上部電極7は保護層8によって覆われ、この保護層8の上に接着層9を介して対向基板10が配置されている。
素子形成用基板3と対向基板10は、例えば、ガラス基板によって構成されるものである。素子形成用基板3と対向基板10は、それらの間に、下部電極4、絶縁層5、有機層6、上部電極7、保護層8、接着層9を挟み込むかたちで、互いに対向する状態に配置されている。
下部電極4及び上部電極7は、一方がアノード電極となり、他方がカソード電極となる。下部電極4は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合には高反射性材料で構成され、有機EL表示装置1が透過型である場合は透明材料で構成される。
ここでは、一例として、有機EL表示装置1が上面発光型で、下部電極4がアノード電極である場合を想定している。この場合、下部電極4は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)さらには金(Au)のように、反射率の高い導電性材料、又はその合金で構成される。
なお、有機EL表示装置1が上面発光型で、下部電極4がカソード電極である場合は、下部電極4は、アルミニウム(Al),インジウム(In),マグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金,リチウム(Li)−フッ素(F)化合物、リチウム-酸素(O)化合物のように、仕事関数が小さく、かつ、光反射率の高い導電性材料で構成される。
また、有機EL表示装置1が透過型で、下部電極4がアノード電極である場合は、ITO(Indium−Tin−Oxide)やIZO(Inidium−Zinc−Oxide)のように、透過率の高い導電性材料で下部電極4を構成する。また、有機EL表示装置1が透過型で、下部電極4がカソード電極である場合は、仕事関数が小さく、かつ、光透過率の高い導電性材料で下部電極4を構成する。
絶縁層5は、下部電極4の周辺部を覆う状態で素子形成用基板3の上面に形成されている。絶縁層5には単位画素ごとに窓が形成されており、この窓の開口部分で下部電極4が露出している。絶縁層5は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、酸化シリコンのような無機絶縁材料を用いて形成されるものである。
有機層6は、例えば図2に示すように、素子形成用基板3側から順に、正孔注入層61、正孔輸送層62、発光層63及び電子輸送層64を積層した4層の積層構造を有するものである。
正孔注入層61は、例えば、m−MTDATA〔4,4,4 -tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine〕によって形成されるものである。正孔輸送層62は、例えば、α−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]によって形成されるものである。なお、材料はこれに限定されず、例えばベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの正孔輸送材料を用いることができる。また、正孔注入層61及び正孔輸送層62は、それぞれ複数層からなる積層構造であってもよい。
発光層63は、RGBの色成分ごとに異なる有機発光材料によって形成されるものである。具体的には、赤色発光層63rは、例えば、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料として2,6≡ビス[(4’≡メトキシジフェニルアミノ)スチリル]≡1,5≡ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成される。緑色発光層63gは、例えば、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料としてクマリン6を5重量%混合したものにより構成される。青色発光層63bは、例えば、ゲスト材料となるADNに、ドーパント材料として4,4’≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成される。各色の発光層63r,63g,63bは、例えば図3に示す画素の色配列に応じてマトリクス状に配置される。
電子輸送層64は、例えば、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )によって形成されるものである。
上部電極7は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合は、透明又は半透明の導電性材料で構成され、有機EL表示装置1が透過型である場合は、高反射性材料で構成される。
以上の素子形成用基板3、下部電極4、絶縁層5、有機層6、上部電極7により、有機EL素子2(赤色有機EL素子2r、緑色有機EL素子2g、青色有機EL素子2b)が構成されている。
保護層8は、有機層6への水分の到達を防止するなどの目的で形成されるものである。このため、保護層8は、透水性及び吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成される。また、保護層8は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合には、有機層6で発光させた光を透過させる必要があるため、例えば80%程度の光透過率を有する材料で構成される。
また、上部電極7を金属薄膜で形成し、この金属薄膜を直接、絶縁性の保護層8を形成するものとすると、保護層8の形成材料として、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x Nx )、さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護層8となる。
接着層9は、例えばUV(紫外線)硬化型樹脂によって形成されるものである。接着層9は、対向基板10を固着させるためのものである。
なお、ここでの図示は省略したが、このような構成の有機EL表示装置1にカラーフィルタを組み合わせて設ける場合には、RGBの各色に対応する有機EL素子2r,2g,2bから発せられる発光のスペクトルのピーク波長近傍の光のみを透過するカラーフィルタを、各色の有機EL素子2r,2g,2bの光取り出し面側に設けることとする。
<有機EL表示装置の製造フロー>
上記有機EL表示装置は、大きくは、図4に示すように、「転写用基板(転写ドナー)の作製工程:S1」と、「素子形成用基板の第1成膜工程:S2」と、「転写工程:S3」と、「素子形成用基板の第2成膜工程:S4」と、「封止工程:S5」とを経て製造されるものである。ここでは、各々の単位画素に共通の有機層となる正孔注入層61、正孔輸送層62及び電子輸送層64をそれぞれ素子形成用基板3にベタに成膜し、単位画素ごとに区分される発光層63(63r,63g,63b)をレーザー熱転写法で塗る分ける構成の有機EL表示装置1の製造フローについて説明する。
(転写用基板の作製工程:S1)
まず、図5に示すように、転写用基板13の表面に、光吸収性の金属層からなる光吸収層14を形成する。転写用基板13は、例えば、透明なガラス基板からなり、可撓性のシートであっても良い。ここでは、後述する「転写工程」で素子形成用基板3に貼り合わせられる面を転写用基板13の表面とし、その反対側(裏側)の面を転写用基板13の裏面と定義する。光吸収層14は、転写用基板13上に形成された転写層をレーザー転写方式で素子形成用基板3に転写するにあたって、光源から照射されるレーザー光を吸収して熱エネルギーに変換する光熱変換層となる。光吸収層14は、例えば、スパッタリング法によってクロムを200nm(ナノメートル)の膜厚で形成する。光吸収層14はモリブデンで形成してもよい。
次に、光吸収層14を形成済みの転写用基板13を真空蒸着装置に導入し、この真空蒸着装置を用いて転写用基板13に、転写層となる発光層15を形成する。発光層15は、光吸収層14を覆うようにベタ(広い板状)に成膜する。この発光層15は、最終的に素子形成用基板3上に形成される発光層63の元になる薄膜層である。発光層15の厚さは、例えば30nmとする。このようにして、転写用基板13に少なくとも光熱変換層および転写層を形成することで、転写ドナーを作製する。
素子形成用基板3上に赤色発光層63r、緑色発光層63g及び青色発光層63bを形成する場合は、少なくとも3枚の転写用基板13を用いて、各色の発光層63r,63g,63bを別々に形成する。
(素子形成用基板の第1成膜工程:S2)
ガラス基板などからなる素子形成用基板3上に導電性材料の成膜により下部電極4を形成するとともに、単位画素の配列に合わせて下部電極4をパターニングする。下部電極4の厚さは、例えば100〜200nmとする。
次に、上記の下部電極4を覆う状態で素子形成用基板3上に例えば酸化シリコンをスパッタリング法により成膜することにより絶縁層5を形成するとともに、この絶縁層5をリスグラフィ法によって開口させることにより、単位画素領域で下部電極4の表面を露出させる。絶縁層5の厚みは、例えば2μmとする。
次に、上記の絶縁層5とその開口部分で露出する下部電極4を覆う状態で素子形成用基板3上に例えばm−MTDATAを蒸着することにより正孔注入層61を形成する。正孔注入層61の厚さは、例えば25nmとする。
次に、上記の正孔注入層61を覆う状態で素子形成用基板3上に例えばα−NPDを蒸着することにより正孔輸送層62を形成する。正孔輸送層62の厚さは、例えば30nmとする。なお、ここでは図示を省略するが、正孔輸送層62の上に発光層63と同じ組成の材料を蒸着することにより発光補助層を形成してもよい。
(転写工程:S3)
「転写用基板の作製工程:S1」で得られた転写用基板13と、「素子形成用基板の第1成膜工程:S2」で得られた素子形成用基板3とを、有機層同士(発光層15と正孔輸送層62)が向かい合うかたちで密着状態に配置することにより、素子形成用基板3と転写用基板13を貼り合わせる。こうした基板の貼り合わせは、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましい。
また、素子形成用基板3と転写用基板13を貼り合わせた後、それらの基板間を真空引きすることにより、基板同士を確実に密着させることができる。ただし、素子形成用基板3上においては、絶縁層5が正孔注入層61や正孔輸送層62よりも十分に厚く形成されているため、各々の単位画素部分には、絶縁層5の厚さ相当(約2μm)の隙間が確保される。
次に、転写用基板13の裏面側から例えば波長800nmの赤外レーザー光を照射して光吸収層14に吸収させ、そこで変換された熱エネルギーを利用して、発光層15の一部を転写用基板13から素子形成用基板3に選択的に転写する。このとき、素子形成用基板3に転写される発光層15の転写パターンは、転写用基板13の基板面内におけるレーザー光の照射位置に依存したものとなる。これにより、素子形成用基板3上の単位画素部分に発光層63が形成される。こうして発光層15を転写した後は、素子形成用基板3と転写用基板13を分離する。基板の分離方法については後段で詳しく説明する。
通常、1枚の転写用基板には1色分の発光層15しか形成されていないため、素子形成用基板3上にRGBの発光層63r,63g,63bを形成する場合は、それらの3色について上記同様の作業を繰り返すことになる。
(素子形成用基板の第2成膜工程:S4)
まず、上記の「転写工程:S3」で得られた素子形成用基板3を用いて、正孔輸送層62及び発光層63を覆う状態で素子形成用基板3上に電子輸送層64を形成する。電子輸送層64は、例えば、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を真空蒸着法により表示領域の全域にベタで成膜することにより形成する。ここで記述する表示領域とは、複数の単位画素がマトリクス状に配列される矩形の領域をいう。電子輸送層64の厚さは、例えば20nmとする。
次に、上記の電子輸送層64を覆う状態で素子形成用基板3上に上部電極7を形成する。上部電極7は、例えば、LiFを真空蒸着法により約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で形成し、次いで、Mg-Ag合金を真空蒸着法により10nmの膜厚で形成することにより、2層の導電層として形成する。
(封止工程:S5)
まず、上記の「素子形成用基板の第2成膜工程:S4」で得られた素子形成用基板3を用いて、上部電極7を覆う状態で素子形成用基板3上に保護層8を形成する。保護層8は、上部電極7の上に絶縁性材料又は導電性材料を成膜することにより形成する。その際、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD法によって保護層8を形成するとよい。
保護層8を導電性材料で形成する場合には、ITOやIXOのような透明導電性材料を用いる。また、例えば、アモルファス窒化シリコンで保護層8を形成する場合は、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成する。ただし、その場合は有機層6の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに、保護層8の剥がれを防止するために膜のストレスが最小になる条件で成膜することが望ましい。また、保護層8の形成は、上部電極7を大気に暴露することなく、上部電極7の形成と同一の薄膜形成装置内で連続して行なうことが望ましい。これにより、大気による有機層6の劣化を防止することができる。
次に、上記の保護層8を覆う状態で素子形成用基板3上に接着層9を形成する。接着層9は、例えば、保護層8の上にスピンコート法によってUV硬化型樹脂を塗布することにより、絶縁層5の開口による段差を平坦化するかたちで形成する。
次に、素子形成用基板3上に接着層9を介して対向基板10を固着し、有機EL表示装置1を完成させる。有機EL表示装置1が上面発光型で、これにカラーフィルタを組み合わせる場合は、予め対向基板10にカラーフィルタを形成しておく。
図6は上記転写工程S3で素子形成用基板3と転写用基板13を分離する際に用いられる有機EL表示装置の製造装置(基板分離装置)の構成例を示す斜視図である。図示した有機EL表示装置の製造装置21は、一方を転写用基板13としかつ他方を素子形成用基板3とする2枚の基板を大気圧中で分離する場合に用いられるものである。有機EL表示装置の製造装置21は、大きくは、全体的に長方形に形成された本体フレーム22と、この本体フレーム22に固定された基板保持部23と、本体フレーム22に沿って移動する基板吸着ユニット24と、基板収納カセット25とを備えた構成となっている。
本体フレーム22の外枠部分は平面視長方形に形成されている。基板保持部23は本体フレーム22の長手方向の一方側に設けられ、基板収納カセット25は本体フレーム22の長手方向の他方側に設けられている。また、本体フレーム22の長手方向では、所定の距離を隔てて基板保持部23と基板収納カセット25が配置されている。
基板保持部23は、本体フレーム22の枠内に長方形に区画されている。基板保持部23の長手方向は本体フレーム22の短手方向に一致し、基板保持部23の短手方向は本体フレーム22の長手方向に一致している。基板保持部23は、複数の吸着パッド26を用いて構成されている。
吸着パッド26はパッド支持部材27の上面に2つずつ取り付けられている。パッド支持部材27は平面視長方形の板状に形成されている。吸着パッド26は、パッド支持部材27の長手方向の両端部に配置されている。パッド支持部材27は、当該パッド支持部材27の長手方向が本体フレーム22の短手方向に一致する向きで配置されている。また、パッド支持部材27は、基板保持部23を区画する長方形の枠内に複数設けられている。具体的には、パッド支持部材27は、本体フレーム22の短手方向に4つと、本体フレーム22の長手方向に3つの、4×3の配列で合計12個設けられている。
基板吸着ユニット24は、本体フレーム22の長手方向において、基板保持部23と基板収納カセット25との間を往復移動可能に設けられている。基板吸着ユニット24は複数(図例では5つ)の吸着ヘッド30を有している。各々の吸着ヘッド30は共通の架台31に取り付けられている。架台31は平面視長方形に形成されている。また、架台31は本体フレーム22の長手方向から見て門型に形成されている。架台31の下端部には4つの車輪32が設けられ、各々の車輪32が回転することで架台31が本体フレーム22の長手方向に移動する構成となっている。
吸着ヘッド30は、支持板33、昇降用シリンダ34、一対のガイドブッシュ35、パッド取り付けベース36及び複数の吸着パッド37を用いて構成されている。支持板33は、架台31の短手方向に掛け渡すかたちで、架台31の上部に固定されている。支持板33は平面視長方形の板状に形成されている。支持板33には昇降用シリンダ34と一対のガイドブッシュ35が取り付けられている。昇降用シリンダ34は、支持板33の長手方向の中央部に配置されている。一対のガイドブッシュ35は、支持板33の長手方向で昇降用シリンダ34を挟み込むように昇降用シリンダ34の両側に配置されている。
パッド取り付けベース36は、支持板33と対向する向きで、支持板33の下方に配置されている。パッド取り付けベース36は、平面視長方形の板状に形成されるとともに、本体フレーム22の短手方向(基板吸着ユニット24の長手方向)に所定の間隔で並べて配置されている。パッド取り付けベース36は、上述した昇降用シリンダ34と一対のガイドブッシュ35によって昇降可能に支持されている。昇降用シリンダ34は、パッド取り付けベース36を昇降動作させるアクチュエータ(駆動手段)となり、一対のガイドブッシュ35は、パッド取り付けベース36の昇降移動を案内する部材となる。昇降用シリンダ34は一つの吸着ヘッド30に一つずつ設けられている。このため、複数の吸着ヘッド30は互いに独立して駆動可能となっている。
複数の吸着パッド37は、パッド取り付けベース36の長手方向に沿って当該パッド取り付けベース36の下面に列状(一列)に配置され、これら複数の吸着パッド37によって吸着パッド列が構成されている。この吸着パッド列は、一つのパッド取り付けベース36につき1つ(1列)ずつ設けられている。このため、吸着パッド列は、パッド取り付けベース36と同様に、本体フレーム22の短手方向に複数並べて設けられている。この場合、1つの吸着ヘッド30(パッド取り付けベース36)に設けられる複数の吸着パッド37の配列方向と、基板吸着ユニット24に設けられる複数の吸着パッド列の並び方向は、互いに約90度異なる方向となる。すなわち、吸着パッド37の配列方向は、本体フレーム22の長手方向に一致し、吸着パッド列の並び方向は、本体フレーム22の短手方向に一致している。また、吸着パッド列を構成する各々の吸着パッド37は、分離時の基板の傾斜角に追従できるように、例えば首振り可能なパッド又はベロウ状のパッドを用いて構成されている。
ここで、上記複数の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列のうち、本体フレーム22の短手方向において、一方端に配置された吸着パッド列の吸着力は、他の吸着パッド列の吸着力よりも大きく設定されている。具体的には、例えば図6及び図7に示すように、本体フレーム22の短手方向の一端から他端に向かって各々の吸着ヘッド30に識別番号No.1〜No.5(図7ではNo.4及びNo.5の吸着ヘッド30の表示を省略)を付し、最も端に配置されたNo.1の吸着ヘッド30が基板短辺部の近傍を複数の吸着パッド37で吸着するものとすると、No.1の吸着ヘッド30には第1の間隔で8個の吸着パッド37を配列し、それ以外のNo.2〜No.5の吸着ヘッド30には、それぞれ上記第1の間隔よりも広い第2の間隔で6個の吸着パッド37を配列する。
また、No.1の吸着ヘッド30には、第1のパッド径(例えば、φ=20mm)を有する吸着パッド37を用い、それ以外のNo.2〜No.5の吸着ヘッド30には、それぞれ上記第1のパッド径よりも小さい第2のパッド径(例えば、φ=16mm)を有する吸着パッド37を用いる。これにより、No.1の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列の吸着力は、それ以外のNo.2〜No.5の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列の吸着力よりも大きくなる。
また、上記複数の吸着ヘッド30のうち、本体フレーム22の短手方向において、一方端に配置された吸着パッド列を昇降させる昇降用シリンダ34の駆動力は、他の吸着パッド列を昇降させる昇降用シリンダ34の駆動力よりも大きく設定されている。具体的には、No.1の吸着ヘッド30には第1のシリンダボア径(例えば、φ=30mm)を有する昇降用シリンダ34を用い、それ以外のNo.2〜No.5の吸着ヘッド30には、それぞれ上記第1のシリンダボア径よりも小さい第2のシリンダボア径(例えば、φ=25mm)を有する昇降用シリンダ34を用いる。これにより、同圧のエアー供給を行った場合、No.1の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34の駆動力は、それ以外のNo.2〜No.5の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34の駆動力よりも大きくなる。
上記構成からなる有機EL表示装置の製造装置21を用いて2枚の基板を分離する場合は、当該基板の分離を以下の手順にしたがって行なう。まず、図8に示すように、基板吸着ユニット24を基板収納カセット25側に待避させた状態で、貼り合わせ済みの2枚の基板(以下、「貼り合わせ基板」とも記す)41,42を基板保持部23にセットする。2枚の基板41,42は、例えば、一方(上側)の基板41が素子形成用基板3であれば、他方(下側)の基板42は転写用基板13に相当するものとなり、一方(上側)の基板41が転写用基板13であれば、他方(下側)の基板42が素子形成用基板3に相当するものとなる。各々の基板41,42は長方形に形成されている。また、2枚の基板41,42は、基板長手方向が本体フレーム22の短手方向に一致し、基板短手方向が本体フレーム22の長手方向に一致する向きでセットされる。
基板保持部23においては、2枚の貼り合わせ基板41,42のうち、下側の基板42を各々の吸着パッド26に接触させて、各々の吸着パッド26を真空引きによって吸引することにより、下側の基板42を複数の吸着パッド26に吸着させる。これにより、2枚の基板41,42が基板保持部23に水平な姿勢で固定状態に保持される。
次に、基板吸着ユニット24を基板保持部23側に移動させることにより、各々の吸着ヘッド30に列状に設けられたすべての吸着パッド37を上側の基板41に対向させる。この場合、基板吸着ユニット24が備える複数(図例では5つ)の吸着パッド列は、基板長手方向に所定の間隔で並んだ状態となる。また、基板長手方向で一方端に配置された吸着パッド列は、基板41の一方の短辺部に沿ってライン状に配置され、基板長手方向で他方端に配置された吸着パッド列は、基板41の他方の短辺部に沿ってライン状に配置される。吸着パッド列の並び方向は、基板長手方向に限らず、基板短手方向であってもよいが、基板分離の容易性からすると、基板長手方向とするのが好ましい。
次に、複数の昇降用シリンダ34を同時に又は順に駆動することにより、図9に示すように、各々の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに下降させる。これにより、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって各々の吸着パッド列が基板保持部23に接近する方向で移動する。このため、すべての吸着パッド37が上側の基板41の上面に接触した状態となる。この状態で各々の吸着パッド37を真空引きによって吸引することにより、上側の基板41を複数の吸着パッド37に吸着させる。これにより、2枚の貼り合わせ基板41,42が基板保持部23と基板吸着ユニット24によって同時に吸着保持された状態となる。これまでの動作を本体フレーム22の長手方向から見ると、図10(A),(B)のようになる。
次に、図10(C)に示すように、複数の昇降用シリンダ34のうち、上記No.1の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.1の吸着ヘッド30に設けられた複数の吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、No.1の吸着ヘッド30では、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって吸着パッド列が基板保持部23から離間する方向に移動する。このため、2枚の貼り合わせ基板41,42の一方の短辺部分には、上側の基板41を下側の基板42から引き剥がそうとする剥離力(引き上げ力)が作用し、この剥離力に屈して上側の基板41が下側の基板42から剥離する。
特に、2枚の貼り合わせ基板41,42を分離するにあたっては、基板の分離を誘因するきっかけとなる動作が必要となる。この動作には剥離帯電などの影響もあって非常に大きな力が必要になる。これに対して、No.1の吸着ヘッド30では、他の吸着ヘッド30に比較して、吸着パッド37のパッド径を大きくしたり吸着パッド列の配置間隔を密にしたりすることで、吸着パッド列の吸着力を大きく確保し、かつ昇降用シリンダ34のボア径を大きくすることで、昇降の駆動力を大きく確保している。このため、No.1の吸着ヘッド30の駆動により、基板の分離を誘因するために必要な力を基板41に作用させて、2枚の基板41,42を剥離させることができる。ただし、この段階では2枚の基板41,42の一部が剥離するだけで、2枚の基板41,42が完全に分離するわけではない。
次に、図10(D)に示すように、No.2の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.2の吸着ヘッド30に設けられた複数の吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、No.2の吸着ヘッド30では、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって吸着パッド列が基板保持部23から離間する方向に移動する。
次に、図11(A)に示すように、No.3の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.3の吸着ヘッド30に設けられた複数の吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、No.3の吸着ヘッド30では、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって吸着パッド列が基板保持部23から離間する方向に移動する。
次に、図11(B)に示すように、No.4の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.4の吸着ヘッド30に設けられた複数の吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、No.4の吸着ヘッド30では、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって吸着パッド列が基板保持部23から離間する方向に移動する。
次に、図11(C)に示すように、No.5の吸着ヘッド30に設けられた昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.5の吸着ヘッド30に設けられた複数の吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、No.5の吸着ヘッド30では、昇降用シリンダ34の駆動にしたがって吸着パッド列が基板保持部23から離間する方向に移動する。この段階で2枚の基板41,42は完全に分離した状態になる。
その後、図12に示すように、基板吸着ユニット24で基板41を吸着保持したまま、基板吸着ユニット24を基板収納カセット25側に移動することにより、基板収納カセット25の直上に基板41を配置し、この状態で複数の昇降用シリンダ34を同時に駆動することにより、各々の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド37をパッド取り付けベース36とともに下降させる。そして、すべての吸着パッド37による吸引を解除することにより、基板収納カセット25に基板41を収納する。これにより、基板吸着ユニット24から基板収納カセット25に基板41が移載される。
このように上記の有機EL表示装置の製造装置21を用いて2枚の基板41,42を分離する場合は、基板長手方向に並ぶNo.1〜No.5の吸着ヘッド30に対応する複数の吸着パッド列をNo.1からNo.5に向かって順に上昇させるように複数の昇降用シリンダ34を駆動することにより、最初にNo.1の吸着ヘッド30の吸着パッド列で基板の分離を誘因させる動作を行ない、次いで、No.2〜No.5の吸着ヘッド30の吸着パッド列で基板の分離を伝播させる動作を行なうことができる。このため、2枚の基板41,42を大きく変形させずに分離することができる。また、2枚の基板41,42が強く密着していても、No.1の吸着ヘッド30による引き上げ力を利用して、2枚の基板41,42の端部を剥離させることができる。
また、上記の有機EL表示装置の製造装置21を使用すれば、例えばG6〜G8世代等の大型ガラス基板を取り扱う場合でも、基板の分離が可能となる。特に、G6〜G8世代等の大型ガラス基板を分離する場合は、基板の端部をメカチャック等で機械的に把持して持ち上げる場合などに比較して、分離のためのスペースを小さく抑えることができる。また、それに伴って、装置の高さ寸法や容積を小さく抑えることができる。さらに、基板の撓み等の変形量を小さく抑えて、割れ等の発生を防止することができる。
なお、上記実施形態においては、基板吸着ユニット24の長手方向で最端に配置されたNo.1の吸着ヘッド30を利用して、基板の分離を誘因する動作を行なうものとしたが、これに限らず、吸着ヘッド30とは別の機構を用いて基板の分離誘因を促すようにしてもよい。
具体的には、例えば図13に示すような基板突き上げ機構43を用いることができる。基板突き上げ機構43は、突き上げ用シリンダ44と突き上げ部材45とを用いて構成されている。突き上げ用シリンダ44は、例えばエアーシリンダ等を用いて構成されるものである。突き上げ用シリンダ44は下向きに配置されている。
突き上げ部材45は、突き上げ用シリンダ44のピストンロッド先端部に取り付けられている。突き上げ部材45は、基板保持部23にセットされる2枚の貼り合わせ基板41,42のうち、上側の基板41のはみ出し部41Aを利用して当該基板41の端部を突き上げるものである。ここで記述する基板の「はみ出し部」とは、貼り合わせ状態の2枚の基板を、基板面に垂直な方向から見たときに、基板の外周部分で2枚の基板が重なり合わない部分(単板の状態で外側にはみ出した部分)をいう。
上記構成からなる基板突き上げ機構43においては、突き上げ用シリンダ44を駆動すると、これに伴うピストンロッドの進退動作にしたがって突き上げ部材45が昇降する。そこで、実際の基板分離動作では、まず、図13(A)に示すように、基板保持部23に貼り合わせ基板41,42をセットして、下側の基板42を各々の吸着パッド26に吸着させ、この状態のもとで、各々の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列を上側の基板41に対向させるとともに、上側の基板41のはみ出し部41Aに基板突き上げ機構43の突き上げ部材45の一部を対向させる。
次に、図13(B)に示すように、複数の昇降用シリンダ34を同時に又は順に駆動することにより、各々の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列をパッド取り付けベース36とともに下降させて、すべての吸着パッド37を上側の基板41に接触させ、この状態で各々の吸着パッド37を真空引きによって吸引することにより、上側の基板41を複数の吸着パッド37に吸着させる。
次に、図13(C)に示すように、突き上げ用シリンダ44の駆動により突き上げ部材45を上昇させることにより、基板41のはみ出し部41Aを突き上げ部材45で突き上げて上方(基板42から離間する方向)に加圧するとともに、その突き上げ動作に連動して基板突き上げ機構43に最も近いNo.1の吸着ヘッド30の昇降用シリンダ34を駆動することにより、当該No.1の吸着ヘッド30に設けられた吸着パッド列をパッド取り付けベース36とともに上昇させる。これにより、2枚の貼り合わせ基板41,42の一方の短辺部分には、上側の基板41を下側の基板42から引き剥がそうとする剥離力(突き上げ力)が作用し、この剥離力に屈して上側の基板41が下側の基板42から剥離する。こうして基板分離の誘因となる動作が基板突き上げ機構43によって行なわれる。
また、上述した基板分離の誘因動作とあわせて、基板41の短辺部分にはNo.1の吸着ヘッド30による引き上げ力が作用し、この引き上げ力によって基板41の短辺部分が引き上げられる。この場合、基板分離の誘因動作は基板突き上げ機構43によって行なわれるため、No.1の吸着ヘッド30のパッド吸着力やシリンダ駆動力は、他の吸着ヘッド30のそれと同等又はそれ以下であってもかまわない。
以降は、上記同様にNo.2〜No.5の吸着ヘッド30の突き上げ用シリンダ44を順に駆動し、これにしたがって各々の吸着パッド列を順に上昇させることにより、No.2〜No.5の吸着ヘッド30で基板の分離を伝播させる引き上げ動作を行なう。これにより、2枚の基板41,42が完全に分離した状態になる。
なお、基板分離の誘因動作としては、上述した突き上げ動作に限らず、例えば、図14(A)に示すように、上側の基板41のはみ出し部41Aを開閉式のクランプ部材53でクランプした後、図14(B)に示すように、クランプ部材53を垂直に又は円弧状に上昇させて基板41の端部を持ち上げる動作を利用してもよい。また、これ以外にも、例えば図15(A)に示すように、基板41の下方から押し上げシリンダ54のピストンロッドを上方に進出させることにより、図15(B)に示すように、基板41のはみ出し部41Aを押し上げシリンダ54で押し上げる動作を利用してもよい。
また、基板41及び/又は基板42にはみ出し部を確保するにあたっては、図16に示すような基板貼り合わせ装置を用いて2枚の基板41,42を貼り合わせることが望ましい。図示した基板貼り合わせ装置は、基板41の四隅を保持する4つの突き当て式の位置決めブロック51,…と、基板42の四隅を保持する4つの突き上げ式の位置決めブロック52,…とを備えるものである。ここでは、2枚の基板41,42が同じサイズで長方形に形成されているものとする。
上記構成の基板貼り合わせ装置を用いて2枚の基板41,42を貼り合わせる場合は、一方の基板41をこれに対応する4つの位置決めブロック51に突き当てて保持するとともに、他方の基板42をこれに対応する4つの位置決めブロック52に突き当てて保持する。
その際、4つの位置決めブロック51と4つの位置決めブロック52は、予め基板41,42の長手方向及び短手方向に所定の寸法ずつ位置をずらして配置しておく。これにより、2枚の基板41,42は、基板面方向で基板長手方向及び基板短手方向に相対的に位置をずらした状態で配置されるため、この状態で2枚の基板41,42を真空引き等により貼り合わせる。これにより、図17(A),(B)に示すように、一方の基板41にはL字形のはみ出し部41Aが設けられ、他方の基板42にもL字形のはみ出し部42Aが設けられる。
なお、4つの位置決めブロック51と4つの位置決めブロック52は、予め位置をずらして配置しておく以外にも、例えば、2枚の基板41,42をそれぞれに対応する4つの位置決めブロック51,52で保持した後、4つの位置決めブロック51又は4つの位置決めブロック52を一体に移動させることにより、2枚の基板41,42の位置を相対的にずらすようにしてもよい。
また、2枚の基板41,42の外周サイズを大小異なるサイズとすれば、それらの基板41,42を貼り合わせた場合に、少なくともいずれかの基板の外周部にはみ出し部を確保することができる。例えば、図18(A),(B)に示すように、一方の基板41の外周サイズを他方の基板42の外周サイズよりも大きいサイズとした場合は、一方の基板41の外周部に長方形の環状にはみ出し部41Aを確保することができる。また、図19(A),(B)に示すように、一方の基板41の外周サイズを他方の基板42の外周サイズよりも小さいサイズとした場合は、他方の基板42の外周部に長方形の環状にはみ出し部42Aを確保することができる。
このように2枚の基板41,42を基板貼り合わせ装置で貼り合わせる場合に、少なくとも一方の基板にはみ出し部を確保することにより、上記の転写工程S3で有機EL表示装置の製造装置21を用いて2枚の基板を分離する場合に、予め基板貼り合わせ時に確保したはみ出し部を利用して、素子形成用基板3と転写用基板13を分離することが可能となる。
また、2枚の貼り合わせ基板のうち、少なくとも一方の基板に、基板の短辺部と当該短辺部と直角をなす長辺部に沿うL字形のはみ出し部を確保することにより、当該L字形のはみ出し部を利用して、基板分離を誘因する動作と、基板分離を伝播する動作を行なうことが可能となる。基板分離を誘因する動作は、L字形のはみ出し部の一辺部を加圧することで行ない、基板分離を伝播する動作は、L字形のはみ出し部の他辺部を加圧することで行なう。そして、基板分離を誘因する動作によって2枚の基板を剥離させた後、基板分離を伝播する動作によって2枚の基板を完全に分離させる。
基板分離を誘因する動作としては、例えば、上記図14(A),(B)に示したクランプ部材53による持ち上げ動作や、上記図15(A),(B)に示した押し上げシリンダ54による押し上げ動作、あるいは図20(A),(B)に示すように押し下げシリンダ55による押し下げ動作により、基板42のはみ出し部42Aを基板41から剥離するように加圧することでも実施可能である。
また、基板分離を伝播する動作としては、例えば、図21に示すように、基板41の長辺部に沿うはみ出し部41Aの長手方向に所定の間隔で複数(図例では5つ)の押し出し部材56a〜56eを配置し、これら複数の押し出し部材56a〜56eを基板分離開始側(突き出し機構等によって基板が剥離する側)から順(56a→56b→56c→56d→56e)に動作させて、各々の押し出し部材56a〜56eにより基板41のはみ出し部41Aを一方向(基板42から離間する方向)に押し出すように加圧することでも実施可能である。
1…有機EL表示装置、2…有機EL素子、3…素子形成用基板、13…転写用基板、15…発光層(転写層)、23…基板保持部、24…基板吸着ユニット、41,42…基板、41A,42A…はみ出し部、43…基板突き上げ機構

Claims (5)

  1. 有機EL表示装置を構成するための有機EL素子を形成する工程において、転写層を備えた転写用基板と有機EL素子の素子形成用基板とを貼り合わせ、レーザー熱転写法によって前記転写用基板上の転写層を前記素子形成基板上に転写した後、前記転写用基板と前記素子形成用基板とを分離するために用いられる有機EL表示装置の製造方法であって、
    前記転写用基板と前記素子形成用基板とを貼り合わせる場合に、少なくとも一方の一部が他方の端部からはみ出すように貼り合わせる有機EL表示装置の製造方法。
  2. 前記転写用基板と前記素子形成用基板とを貼り合わせる場合に、各々を基板面方向で相対的に位置をずらして貼り合わせる請求項1記載の有機EL表示装置の製造方法。
  3. 前記転写用基板と前記素子形成用基板とを貼り合わせる場合に、外周サイズの異なる基板同士を貼り合わせる請求項1記載の有機EL表示装置の製造方法。
  4. 前記転写用基板と前記素子形成用基板とを分離する場合は、前記一方のはみ出し部を前記他方の基板から離間する方向に加圧することで前記転写用基板と前記素子形成用基板とを剥離させる請求項1記載の有機EL表示装置の製造方法。
  5. 前記転写用基板と前記素子形成用基板とを貼り合わせる場合は、少なくとも一方にL字形のはみ出し部を確保しておき、
    前記転写用基板と前記素子形成用基板とを分離する場合は、前記L字形のはみ出し部の一辺部を加圧して転写用基板と前記素子形成用基板とを剥離させた後、前記L字形のはみ出し部の他辺部を加圧して前記2枚の基板を完全に分離させる請求項4記載の有機EL表示装置の製造方法。
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