JP2008288017A - 有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写用基板の表面に水分、酸素、有機物などの汚染物質が存在した状態で、転写用基板に転写層を形成したり、この転写層をレーザー熱転写法により素子形成用基板に転写したりすると、素子形成用基板に転写される転写層に汚染物質が残留してしまう。
【解決手段】転写用基板の作製工程S1で転写用基板に形成された転写層を、有機EL素子の第1成膜工程S2を終えた素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写する転写工程S3を有する有機EL表示装置の製造方法において、転写用基板の作製工程S1で転写用基板に転写層を形成する前に、レーザー光の照射によって転写用基板を加熱するレーザー加熱処理を少なくとも含む前処理を行なってから、転写層を形成するようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機EL表示装置の製造方法に関し、特に、レーザー熱転写法を用いて転写層を基板に転写する工程を有する有機EL表示装置の製造方法に関する。
近年、自発光の薄型表示装置として、有機電界発光素子である有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示装置の開発が進められている。有機ELによってフルカラーを表示する方式としては各種方式が提案されているが、代表的な方式としてはRGB3色の発光素子をマスク蒸着プロセスによってパターニングする方式が挙げられる。
しかしながら、マスク蒸着方式はマスクのアライメント精度などの点から大型高精細の表示素子に対応するには技術上あるいは生産効率上の問題がある。そこで、有機EL表示装置の新たなパターン形成方法として、エネルギー源(熱源)を用いた転写法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
公知の熱転写法では、まず、転写用基板上に蒸着法、スピンコート法、印刷法などによって薄膜層を形成し、この薄膜層付きの転写用基板を素子形成用基板に取り付ける。次に、転写用基板側からレーザー光や熱などのエネルギーを加えた後、薄膜層の一部又は全部を残して転写用基板上の有機層を剥離することにより、転写用基板側に形成されている有機膜を素子形成用基板側に転写する。
こうした熱転写法の利点は、転写用基板上に有機層を形成するときには特にパターニングの必要がなく、転写用基板の全面に有機層を形成すればよいことである。そして、転写時に熱源の照射された部分だけが転写用基板から素子形成用基板に転写されることになり、蒸着法のようなシャドウマスクを用いることなく高精細な有機膜のパターンを素子形成基板上に形成することができる。したがって、熱転写法は、有機EL素子を画素発光部に用いる表示パネルを作製する上で有効な方法である。
有機EL素子を転写法で作製する場合には、転写用基板上に少なくとも発光層を含む有機層を形成したものを、第1電極が形成された素子形成用基板上に熱源を用いて転写し、その転写後に有機層上に第2電極を形成すればよい。熱転写法に用いる熱源としては、局所的に高エネルギーを供給できる点から、レーザーが好適に用いられる。また、レーザービームの径を絞り込んでスキャンすると、非常に精度良くラインパターンを形成することができ、高精細化が可能となる。
このレーザー熱転写法に用いる転写用基板の作製方法としては、好適には例えばガラス基板にCr(クロム)、Mo(モリブデン)などの光吸収性をもつ金属層を、例えばスパッタリングなどの方法で成膜して光吸収層とし、この光吸収層の上面に少なくとも発光層を含む有機層を真空蒸着法などの方法によって形成する。また、光吸収層上に、アモルファス窒化シリコンなどの保護膜を、CVD(chemical vapor deposition)法などの成膜方法で形成しておくと、光吸収層の変質や汚染等を防止できるため、より好適である。
また、光吸収層と有機発光材料層とを真空蒸着法にて連続的に成膜する方式も提案されている。しかし、光吸収層として好適な特性を有するCr、Moなどの材料を成膜する方法としてはスパッタリング法が優れており、また有機発光層を成膜する方法としては真空蒸着法が優れている。したがって好適な転写用基板を作製するには、スパッタリングチャンバーから真空蒸着チャンバーへと転写用基板を移送する必要がある。また。生産プロセスフローによっては光吸収層を成膜した転写用基板を仕掛り状態で保管しておく場合もあり得る。このため、有機層を成膜する光吸収層の表面が、例えば水分、酸素、有機物等の汚染物質によって汚染される可能性がある。
このような汚染物質が転写用基板の表面(光吸収層又はその上の保護膜など)に存在した状態で有機層の成膜や転写のプロセスを行なった場合は、素子形成用基板に転写された有機発光層にも汚染物質が残留することになる。このため、発光素子の発光効率や信頼性の低下を招いてしまう。なかでも、水分や酸素などの汚染物質が、素子形成用基板に転写された有機発光層に残留すると、発光効率や信頼性の低下が顕著になる。よって、転写用基板の構成要素として、水分含有量の少ないものを用いる発明(特許文献3を参照)や、転写工程を含む有機EL表示装置の製造を、低水分濃度雰囲気や低酸素濃度雰囲気にて行なう発明が報告されている(特許文献4を参照)。
特開平10−208881号公報 特開2002−110350号公報 特開2004−349260号公報 特開2004−79317号公報
しかしながら、たとえ転写用基板の構成要素の水分含有量が少なくても、基板表面に吸着した水分は容易には除去できない。また、転写工程を低水分濃度雰囲気や低酸素濃度雰囲気にて行なうのは、有機EL発光素子の効率や信頼性の低下を避けるために、最も注意するべきであるが、そもそも転写用基板の表面に吸着した水分や酸素を除去しない限り、そのような雰囲気を実現することは実質的に困難である。その理由は、転写工程で転写用基板を加熱すると、大量の水分や酸素が転写用基板から脱離し、それらが素子形成用基板に転写された有機発光層中に残留する量は、マクロの転写環境の水分濃度や酸素濃度から考えられるより、相当量多くなるからである。
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、転写用基板に形成された転写層を有機EL素子の素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写する工程を有するもので、転写用基板に転写層を形成する前に、レーザー光の照射によって転写用基板を加熱するレーザー加熱処理を少なくとも含む前処理を行なってから、転写層を形成するものである。
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法においては、転写用基板に転写層を形成するにあたり、その前処理として、転写用基板をレーザー加熱処理することにより、転写用基板の表面から水分、酸素、有機物などの汚染物質が効果的に除去される。
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法よれば、転写用基板の表面から水分、酸素、有機物などの汚染物質を取り除いた状態で、転写用基板に転写層を形成することができる。このため、転写用基板に形成された転写層を有機EL素子の素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写する際に、素子形成用基板への汚染物質の転移を防止することができる。その結果、有機EL素子の発光特性や信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<有機EL表示装置の構成>
図1は本発明で製造対象とする有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。図示した有機EL表示装置1は複数(多数)の有機EL素子2を用いて構成されるものである。有機EL素子2は、R(赤),G(緑),B(青)の発光色の違いで単位画素ごとに区分されている。ただし、図1では、そのうちの1つだけを示している。
有機EL素子2は素子形成用基板3を用いて構成されている。素子形成用基板3上には、図示しないスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ)とともに、下部電極4、絶縁層5、有機層6及び上部電極7が順に積層されている。さらに、上部電極7は保護層8によって覆われ、この保護層8の上に接着層9を介して対向基板10が配置されている。
素子形成用基板3と対向基板10は、それぞれ透明なガラス基板によって構成されるものである。有機EL素子2と対向基板10は、それら2枚の基板の間に、下部電極4、絶縁層5、有機層6、上部電極7、保護層8、接着層9を挟み込むかたちで、互いに対向する状態に配置されている。
下部電極4及び上部電極7は、一方がアノード電極となり、他方がカソード電極となる。下部電極4は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合には高反射性材料で構成され、有機EL表示装置1が透過型である場合は透明材料で構成される。
ここでは、一例として、有機EL表示装置1が上面発光型で、下部電極4がアノード電極である場合を想定している。この場合、下部電極4は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)さらには金(Au)のように、反射率の高い導電性材料、又はその合金で構成される。
なお、有機EL表示装置1が上面発光型で、下部電極4がカソード電極である場合は、下部電極4は、アルミニウム(Al),インジウム(In),マグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金,リチウム(Li)−フッ素(F)化合物、リチウム-酸素(O)化合物のように、仕事関数が小さく、かつ、光反射率の高い導電性材料で構成される。
また、有機EL表示装置1が透過型で、下部電極4がアノード電極である場合は、ITO(Indium−Tin−Oxide)やIZO(Inidium−Zinc−Oxide)のように、透過率の高い導電性材料で下部電極4を構成する。また、有機EL表示装置1が透過型で、下部電極4がカソード電極である場合は、仕事関数が小さく、かつ、光透過率の高い導電性材料で下部電極4を構成する。
絶縁層5は、下部電極4の周辺部を覆う状態で素子形成用基板3の上面に形成されている。絶縁層5には単位画素ごとに窓が形成されており、この窓の開口部分で下部電極4が露出している。絶縁層5は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、酸化シリコンのような無機絶縁材料を用いて形成されるものである。
有機層6は、例えば図2に示すように、素子形成用基板3側から順に、正孔注入層61、正孔輸送層62、発光層63及び電子輸送層64を積層した4層の積層構造を有するものである。
正孔注入層61は、例えば、m−MTDATA〔4,4,4 -tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine〕によって形成されるものである。正孔輸送層62は、例えば、α−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]によって形成されるものである。なお、材料はこれに限定されず、例えばベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの正孔輸送材料を用いることができる。また、正孔注入層61及び正孔輸送層62は、それぞれ複数層からなる積層構造であってもよい。
発光層63は、RGBの色成分ごとに異なる有機発光材料によって形成されるものである。具体的には、赤色発光層63rは、例えば、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料として2,6≡ビス[(4’≡メトキシジフェニルアミノ)スチリル]≡1,5≡ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成される。緑色発光層63gは、例えば、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料としてクマリン6を5重量%混合したものにより構成される。青色発光層63bは、例えば、ゲスト材料となるADNに、ドーパント材料として4,4’≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成される。各色の発光層63r,63g,63bは、例えば図3に示す画素の色配列に応じてマトリクス状に配置される。
電子輸送層64は、例えば、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )によって形成されるものである。
上部電極7は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合は、透明又は半透明の導電性材料で構成され、有機EL表示装置1が透過型である場合は、高反射性材料で構成される。
以上の素子形成用基板3、下部電極4、絶縁層5、有機層6、上部電極7により、有機EL素子2(赤色有機EL素子2r、緑色有機EL素子2g、青色有機EL素子2b)が構成されている。
保護層8は、上部電極7や有機層6への水分の到達を防止するなどの目的で形成されるものである。このため、保護層8は、透水性及び吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成される。また、保護層8は、有機EL表示装置1が上面発光型である場合には、有機層6で発光させた光を透過させる必要があるため、例えば80%程度の光透過率を有する材料で構成される。
また、上部電極7を金属薄膜で形成し、この金属薄膜の上に直接、絶縁性の保護層8を形成するものとすると、保護層8の形成材料として、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x Nx )、さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護層8となる。
接着層9は、例えばUV(紫外線)硬化型樹脂によって形成されるものである。接着層9は、対向基板10を固着させるためのものである。
なお、ここでの図示は省略したが、このような構成の有機EL表示装置1にカラーフィルタを組み合わせて設ける場合には、RGBの各色に対応する有機EL素子2r,2g,2bから発せられる発光のスペクトルのピーク波長近傍の光のみを透過するカラーフィルタを、各色の有機EL素子2r,2g,2bの光取り出し面側に設けることとする。
<有機EL表示装置の製造方法>
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、大きくは、図4に示すように、「転写用基板の作製工程:S1」と、「素子形成用基板の第1成膜工程:S2」と、「転写工程:S3」と、「素子形成用基板の第2成膜工程:S4」と、「封止工程:S5」とを有するものである。ここでは、各々の単位画素に共通の有機層となる正孔注入層61、正孔輸送層62及び電子輸送層64をそれぞれ素子形成用基板3にベタで成膜し、単位画素ごとに区分される発光層63(63r,63g,63b)をレーザー熱転写法で素子形成用基板3に塗る分ける構成の有機EL表示装置1の製造方法について説明する。
(転写用基板の作製工程:S1)
まず、図5に示すように、透明なガラス基板からなる転写用基板13の表面に、光吸収性の金属層からなる光吸収層14を形成する。ここでは、後述する「転写工程」で素子形成用基板3に貼り合わせられる貼り合わせ面を転写用基板13の表面とし、その反対側(裏側)の面を転写用基板13の裏面と定義する。光吸収層14は、転写用基板13上に形成された転写層をレーザー転写方式で素子形成用基板3に転写するにあたって、光源から照射されるレーザー光を吸収して熱エネルギーに変換するものである。光吸収層14は、例えば、スパッタリング法によってクロムを200nm(ナノメートル)の膜厚で形成する。光吸収層14はモリブデンで形成してもよい。
こうして光吸収層14を形成済みの転写用基板13を用意したら、この転写用基板13に転写層を形成する前に、転写用基板13を前処理する。転写用基板13の前処理としては、少なくともレーザー加熱処理を行なうものとする。レーザー加熱処理とは、レーザー光の照射によって転写用基板13を加熱する処理である。すなわち、レーザー光を転写用基板13に照射することにより、当該転写用基板13を加熱する。このレーザー加熱処理は、転写用基板13を均一に加熱するために、連続発振レーザー光を用いて行なうことが望ましい。レーザー光の照射は、転写用基板13の表面側及び/又は裏面側から行なう。レーザー加熱処理に適用する処理条件(例えば、レーザー光のスポットサイズやレーザー出力など)は、転写工程のレーザー熱転写法に適用する処理条件と同じ条件とするのが望ましいものの、本発明はこれに限定されるものではない。
また、転写用基板13の前処理としては、上述したレーザー加熱処理だけでなく、例えば、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、ベーク処理及びアルゴンプラズマ処理から選択される1つの処理と、レーザー加熱処理とを組み合わせて行なってもよい。具体的には、酸素プラズマ処理とレーザー加熱処理を順に行なってもよいし、UVオゾン処理とレーザー加熱処理を順に行なってもよい。また、ベーク処理とレーザー加熱処理を順に行なってもよいし、アルゴンプラズマ処理とレーザー加熱処理を順に行なってもよい。また、2つの処理の組み合わせでは、レーザー加熱処理を先に行なってから、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、ベーク処理又はアルゴンプラズマ処理を行ってもよい。さらに、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、ベーク処理及びアルゴンプラズマ処理から選択される複数の処理を、レーザー加熱処理と組み合わせて行なってもよい。
次に、上記の前処理を終えた転写用基板13をグローブボックス装置に収納し、このグローブボックス装置の収納したままの状態、つまり大気に曝すことなく、転写用基板13を真空蒸着装置に導入する。そして、真空蒸着装置を用いて転写用基板13に、転写層となる発光層15を形成する。発光層15は、光吸収層14を覆うようにベタ(広い板状)に成膜する。この発光層15は、最終的に素子形成用基板3上に形成される発光層63の元になる薄膜層である。発光層15の厚さは、例えば30nmとする。
素子形成用基板3上に単位画素ごとに赤色発光層63r、緑色発光層63g及び青色発光層63bを形成する場合は、少なくとも3枚の転写用基板13を用いて、各色の発光層63r,63g,63bを別々に形成する。また、発光層15の形成材料には、発光色に適合した材料(有機化合物)を用いる。すなわち、発光色が赤色であれば、赤色発光に適した有機発光材料を用い、発光色が緑色であれば、緑色発光に適した有機発光材料を用い、発光色が青色であれば、青色発光に適した有機発光材料を用いる。各色の発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよい。また、発光層15の厚みは、例えば30nmとする。
(素子形成用基板の第1成膜工程:S2)
まず、ガラス基板からなる素子形成用基板3を用意したら、この素子形成用基板3上に導電性材料の成膜により下部電極4を形成するとともに、単位画素の配列に合わせて下部電極4をパターニングする。下部電極4の厚さは、例えば100〜200nmとする。
次に、上記の下部電極4を覆う状態で素子形成用基板3上に例えば酸化シリコンをスパッタリング法により成膜することにより絶縁層5を形成するとともに、この絶縁層5をリソグラフィ法によって開口させることにより、単位画素領域で下部電極4の表面を露出させる。絶縁層5の厚みは、例えば2μmとする。
次に、上記の絶縁層5とその開口部分で露出する下部電極4を覆う状態で素子形成用基板3上に例えばm−MTDATAを蒸着することにより正孔注入層61を形成する。正孔注入層61の厚さは、例えば25nmとする。
次に、上記の正孔注入層61を覆う状態で素子形成用基板3上に例えばα−NPDを蒸着することにより正孔輸送層62を形成する。正孔輸送層62の厚さは、例えば30nmとする。なお、ここでは図示を省略するが、正孔輸送層62の上に発光層63と同じ組成の材料を蒸着することにより発光補助層を形成してもよい。
(転写工程:S3)
まず、上記の「転写用基板の作製工程:S1」で得られた転写用基板13と、上記の「素子形成用基板の第1成膜工程:S2」で得られた素子形成用基板3とを用意したら、それらの基板を有機層同士(発光層15と正孔輸送層62)が向かい合うかたちで密着状態に配置することにより、素子形成用基板3と転写用基板13を貼り合わせる。こうした基板の貼り合わせは、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましい。
また、素子形成用基板3と転写用基板13を貼り合わせた後、それらの基板間を真空引きすることにより、基板同士を確実に密着させることができる。ただし、素子形成用基板3上においては、絶縁層5が正孔注入層61や正孔輸送層62よりも十分に厚く形成されているため、各々の単位画素部分には、絶縁層5の厚さ相当(約2μm)の隙間が確保される。
次に、転写用基板13の裏面側から例えば波長800nmの赤外レーザー光を照射して光吸収層14に吸収させ、そこで変換された熱エネルギーを利用して、発光層15の一部を転写用基板13から素子形成用基板3に選択的に転写する。このとき、素子形成用基板3に転写される発光層15の転写パターンは、転写用基板13の基板面内におけるレーザー光の照射位置に依存したものとなる。発光層15の転写を終えたら、素子形成用基板3から転写用基板13を分離する。これにより、素子形成用基板3上の単位画素部分に発光層63が形成される。ただし、1枚の転写用基板13には1色分の発光層15しか形成されていない。このため、素子形成用基板3上にRGBの発光層63r,63g,63bを形成する場合は、それらの3色(3枚の転写用基板13)について上記同様の作業を繰り返す。
ちなみに、レーザー熱転写法で発光層15を転写するのに先立って、上述のように基板間を真空引きすると、基板同士の密着性が高まるため、転写のパターニング精度が良好になる。また、レーザーによる有機層の熱転写は、大気圧中でも可能であるが、真空中で行なうことが望ましい。真空中で熱転写を行なうことにより、より低エネルギーのレーザー光を使用した転写が可能になり、転写される発光層に与えられる熱的な悪影響を軽減することができるためである。さらに、一連の転写工程を真空雰囲気や不活性ガス雰囲気で行なえば、素子の劣化を防止することができる。
(素子形成用基板の第2成膜工程:S4)
まず、上記の「転写工程:S3」で得られた素子形成用基板3を用いて、正孔輸送層62及び発光層63を覆う状態で素子形成用基板3上に電子輸送層64を形成する。電子輸送層64は、例えば、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を真空蒸着法により表示領域の全域にベタで成膜することにより形成する。ここで記述する表示領域とは、複数の単位画素がマトリクス状に配列される矩形の領域をいう。電子輸送層64の厚さは、例えば20nmとする。
次に、上記の電子輸送層64を覆う状態で素子形成用基板3上に上部電極7を形成する。上部電極7は、例えば、LiFを真空蒸着法により約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で形成し、次いで、Mg-Ag合金を真空蒸着法により10nmの膜厚で形成することにより、2層の導電層として形成する。
(封止工程:S5)
まず、上記の「素子形成用基板の第2成膜工程:S4」で得られた素子形成用基板3を用いて、上部電極7を覆う状態で素子形成用基板3上に保護層8を形成する。保護層8は、上部電極7の上に絶縁性材料又は導電性材料を成膜することにより形成する。その際、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD法によって保護層8を形成するとよい。
保護層8を導電性材料で形成する場合には、ITOやIXOのような透明導電性材料を用いる。また、例えば、アモルファス窒化シリコンで保護層8を形成する場合は、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成する。ただし、その場合は有機層6の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに、保護層8の剥がれを防止するために膜のストレスが最小になる条件で成膜することが望ましい。また、保護層8の形成は、上部電極7を大気に暴露することなく、上部電極7の形成と同一の薄膜形成装置内で連続して行なうことが望ましい。これにより、大気による上部電極7および有機層6の劣化を防止することができる。
次に、上記の保護層8を覆う状態で素子形成用基板3上に接着層9を形成する。接着層9は、例えば、保護層8の上にスピンコート法によってUV硬化型樹脂を塗布することにより、絶縁層5の開口による段差を平坦化するかたちで形成する。
次に、素子形成用基板3上に接着層9を介して対向基板10を固着し、有機EL表示装置1を完成させる。有機EL表示装置1が上面発光型で、これにカラーフィルタを組み合わせる場合は、予め対向基板10にカラーフィルタを形成しておく。
以上説明したように、「転写用基板の作製工程:S1」において、光吸収層14を形成済みの転写用基板13に転写層となる発光層15を形成する場合に、その前処理として、少なくともレーザー加熱処理を行なうことにより、それまで転写用基板13に付着していた水分、酸素、有機物などの汚染物質が、レーザー光の照射に伴う熱エネルギーによって効果的に除去される。このため、転写用基板13の表面から水分、酸素、有機物などの汚染物質を取り除いた状態で、転写用基板13に発光層15を形成することができる。
これにより、「転写工程」において、転写用基板13に形成された発光層15をレーザー熱転写法によって素子形成用基板3に転写する場合に、転写用基板13の裏面側からレーザー光を照射しても、予め上記前処理でのレーザー光の照射によって汚染物質が除去されているため、転写用基板13から素子形成用基板3への汚染物質の転移を防止することができる。このため、レーザー熱転写法によって素子形成用基板3に転写される発光層63に残留する汚染物質の量が大幅に低減し、素子形成用基板3上に良質な発光層63を形成することができる。
続いて、本発明の具体的な実施例と比較例につき、有機EL表示装置1の製造手順とその評価結果を説明する。
(比較例1)
まず、転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した。次に、転写用基板13を真空蒸着装置に導入して転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。この比較例1では、発光層15の形成材料として、青色発光層63bに適用される青色発光材料を用いた。また、青色発光材料としては、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料としてDPAVBiを2.5重量%混合したものを用いた。
一方、有機EL素子2を作製するにあたっては、ガラス基板からなる素子形成用基板3上に、アルミニウム合金層であるAPC(Ag-Pd-Cu)層(膜厚120nm)上に、透明導電層としてITO層(膜厚10nm)を成膜することにより、2層構造で下部電極4を形成した。次に、下部電極4の周縁を覆う状態で酸化シリコンの絶縁層5をスパッタリング法により約2μmの厚さで成膜した後、リソグラフィー法により下部電極4を露出させ、画素領域とした。その表面の上に、正孔注入層として、m−MTDATAを25nmの膜厚で蒸着した。次に、正孔輸送層として、α−NPDを30nmの膜厚で蒸着した。その上に、発光補助層として、転写用基板13で発光層15の形成に使用した発光材料と同じ組成の膜を5nmの厚さで蒸着した。
次に、上記の素子形成用基板3と転写用基板13を有機層同士が向き合うかたちで配置し、真空中で密着させた。両基板は、絶縁層5の厚さによって、約2μmの小さな間隙が維持される。次に、素子形成用基板3の画素領域に相対する配置において、波長800nmの赤外レーザー光線を転写用基板13の裏面側から照射することにより、転写用基板13から素子形成用基板3に発光層15を転写させた。その際、レーザー光のスポットサイズは、300μm×10μmとした。レーザー光線は、該光線の長手寸法に対して直交する方向において走査した。レーザー光のエネルギー密度は、2.6×10-3mJ/μm2とした。
次に、素子形成用基板3上に電子輸送層64として、8≡ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を厚さ20nmで成膜した。次に、上部電極7として、LiFを真空蒸着法により約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で形成し、かつ、Mg−Ag合金を真空蒸着法により10nmの膜厚で形成した。
(比較例2)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13を3分間にわたって酸素プラズマ処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13を酸素プラズマ処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(比較例3)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13を80℃で10分にわたってUVオゾン処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をUVオゾン処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(比較例4)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13を200℃の温度で30分間にわたってベーク処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をベーク処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(比較例5)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13を3分間にわたってアルゴンプラズマ処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をアルゴンプラズマ処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(実施例1)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13の前処理として、転写用基板13をレーザー加熱処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をレーザー加熱処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
また、上記のレーザー加熱処理では、転写層となる発光層15を形成する前の転写用基板13を単独で真空中に保持した状態で、波長800nmの赤外レーザー光線を転写用基板13の裏側から照射し、これによって光吸収層14を加熱することにより行なった。その際、レーザー光のスポットサイズは、300μm×10μmとした。レーザー光線は、該光線の長手寸法に対して直交する方向において走査した。レーザー光のエネルギー密度は、2.6×10-3mJ/μm2とした。また、レーザー光の走査間隔を適当に調整することにより、転写用基板13の必要部分全体に加熱処理が行われるようにした。この前処理工程で適用するレーザ光の照射条件は、後に転写用基板13上に成膜された発光層15をレーザー熱転写法によって素子形成用基板3に転写する場合と同じ条件にしている。
(実施例2)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13の前処理として、転写用基板13を3分間にわたって酸素プラズマ処理し、さらに転写用基板13を上記実施例1と同じ条件でレーザー加熱処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13を酸素プラズマ処理及びレーザー加熱処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(実施例3)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13の前処理として、転写用基板13を80℃で10分にわたってUVオゾン処理し、さらに転写用基板13を上記実施例1と同じ条件でレーザー加熱処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をUVオゾン処理及びレーザー加熱処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(実施例4)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13の前処理として、転写用基板13を200℃の温度で30分間にわたってベーク処理し、さらに転写用基板13を上記実施例1と同じ条件でレーザー加熱処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をベーク処理及びレーザー加熱処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(実施例5)
転写用基板を作製するにあたって、ガラス基板からなる転写用基板13上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層14をスパッタリング法により成膜した後、転写用基板13の前処理として、転写用基板13を3分間にわたってアルゴンプラズマ処理し、さらに転写用基板13を上記実施例1と同じ条件でレーザー加熱処理してから、転写用基板13上に30nmの厚みで発光層15を形成した。そして、上述のように転写用基板13をアルゴンプラズマ処理及びレーザー加熱処理する以外は、上記比較例1と同様の手順で有機EL素子2を作製した。
(比較例6)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記比較例1と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。また、緑色発光材料としては、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料としてクマリン6を5重量%混合したものを用いた。この緑色発光材料は、後述する比較例7〜10及び実施例6〜10でも用いた。
(比較例7)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記比較例2と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例8)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記比較例3と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例9)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記比較例4と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例10)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記比較例5と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例6)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記実施例1と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例7)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記実施例2と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例8)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記実施例3と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例9)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記実施例4と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例10)
発光層15の形成材料として、緑色発光層63gに適用される緑色発光材料を用いる以外は、上記実施例5と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例11)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記比較例1と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。また、赤色発光材料としては、ホスト材料となるADNに、ドーパント材料として2,6≡ビス[(4’≡メトキシジフェニルアミノ)スチリル]≡1,5≡ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものを用いた。この赤色発光材料は、後述する比較例12〜15及び実施例11〜15でも用いた。
(比較例12)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記比較例2と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例13)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記比較例3と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例14)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記比較例4と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(比較例15)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記比較例5と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例11)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記実施例1と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例12)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記実施例2と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例13)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記実施例3と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例14)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記実施例4と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例15)
発光層15の形成材料として、赤色発光層63rに適用される赤色発光材料を用いる以外は、上記実施例5と同様の手順で転写用基板13及び有機EL素子2を作製した。
(実施例と比較例の評価)
有機EL素子の特性試験では、上記手順で作製した有機EL素子2に10mA/cm2の定電流密度を印加した状態で分光放射輝度計を用いて発光効率(単位:Cd/A)及び色度(CIE色度値)を測定した。また、同じドーパント材料を用いた同色の素子同士が同輝度で発光するように電流印加を設定した状態で寿命試験を行ない、200時間後の輝度減少率(%)を測定した。また、これとは別に、それぞれの実施例及び比較例において、発光層15を素子形成用基板3に転写した後、電子輸送層64を積層した段階で、大気に曝露することなく、二次イオン質量分析装置に導入し、二次イオン強度の値で酸素原子濃度を測定した。酸素原子濃度(a.u.)の値としては、発光層中の最大値を読み取った。また、発光する色によって発光層の形成材料が異なるため、酸素原子濃度の絶対値は色ごとに大きく異なる。このため、各色で酸素プラズマ処理を行なったサンプルの酸素原子濃度をそれぞれ1.00とした。そうしたところ、以下の表1及び表2に示すような評価結果が得られた。
Figure 2008288017
Figure 2008288017
実施例1と比較例1〜5を比較すると分かるように、青色有機EL素子2bの特性においては、転写用基板作製時の前処理の効果として、レーザー加熱処理による素子特性の改善効果が、他の単一処理(酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、ベーク処理、アルゴンプラズマ処理)に比較して顕著に現れている。また、実施例1〜5を比較すると分かるように、レーザー加熱処理と他の処理との組み合わせでも、レーザー加熱処理を単独で行なった場合と比較して、これと同等又はそれ以上の改善効果が認められる。したがって、本発明により、フルカラー有機EL表示装置作製時において最も大きな問題となる、青色有機EL素子の素子特性を大きく改善できた。また、上記の改善効果は、青色有機EL素子2bだけでなく、緑色有機EL素子2g及び赤色有機EL素子2rでも同様に認められる。
なお、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、素子形成用基板3上に形成される有機層6の積層構造にかかわらず、RGBの色ごとに塗り分けが必要な発光層を転写層として転写用基板13に形成する工程を含むものに広く適用することが可能である。
本発明で製造対象とする有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。 有機EL素子の構成例を示す断面図である。 有機EL素子の画素の色配列を示す図である。 本発明に係る有機EL表示装置の製造工程を示す図である。 転写用基板の構成と作製手順を説明するための図である。
符号の説明
1…有機EL表示装置、2…有機EL素子、3…素子形成用基板、4…下部電極、5…絶縁層、6…有機層、7…上部電極、8…保護層、9…接着層、10…対向基板、13…転写用基板、14…光吸収層、15…発光層(転写層)、61…正孔注入層、62…正孔輸送層、63…発光層、64…電子輸送層

Claims (3)

  1. 転写用基板に形成された転写層を有機EL素子の素子形成用基板にレーザー熱転写法によって転写する工程を有する有機EL表示装置の製造方法において、
    前記転写用基板に前記転写層を形成する前に、レーザー光の照射によって前記転写用基板を加熱するレーザー加熱処理を少なくとも含む前処理を行なってから、前記転写層を形成する
    ことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  2. 前記前処理は、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、ベーク処理及びアルゴンプラズマ処理から選択される1つ又は複数の処理と、前記レーザー加熱処理とを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の有機EL表示装置の製造方法。
  3. 前記レーザー加熱処理は、連続発振レーザー光を用いて行なう
    ことを特徴とする請求項1記載の有機EL表示装置の製造方法。
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