JP2006309955A - 有機電界発光素子の製造方法および有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法および有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】熱転写法によって位置精度良好に発光層をパターン形成することが可能でありながらも、発光効率および輝度寿命を高く維持できる有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に下部電極3をパターン形成した後、下部電極3上に少なくとも発光層11rを含む有機層を成膜し、次に有機層を介して下部電極上に積層する状態で上部電極を形成する有機電界発光素子の製造方法である。そして特に、有機層の成膜における発光層11rの形成には、熱転写法を行う。この際、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に、電子供与性金属とを用いて構成された転写層35rを有する転写用基板30rからの転写層35rの熱転写により発光層11rを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子の製造方法および有機電界発光素子に関し、特には発光層の形成に熱転写法を適用した場合であっても発光効率および輝度寿命を充分に高く維持できる有機電界発光素子の製造方法および有機電界発光素子に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)を利用した有機電界発光素子は、下部電極と上部電極との間に、正孔輸送層や発光層を積層させた有機層を設けてなり、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
このような有機電界発光素子を用いたフルカラーの表示装置は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の有機電界発光素子を基板上に配列形成してなる。このような表示装置の製造においては、少なくとも各色に発光する有機発光材料からなる発光層を、発光素子毎にパターン形成する必要がある。そして、発光層のパターン形成は、例えばシートに開口パターンを設けてなるマスクを介して発光材料を蒸着または塗布するシャドーマスキング法、さらにはインクジェット法によって行われている。
ところが、シャドーマスキング法によるパターン形成では、マスクに形成する開口パターンのさらなる微細化加工が困難であること、およびマスクの撓みや延びによって発光素子領域への位置精度の高いパターン形成が困難であること等から、さらなる有機電界発光素子の微細化および高集積化が困難となっている。また、開口パターンが形成されたマスクの接触により、先に形成された有機層を主体とした機能層に破壊が生じ易く、製造歩留まりを低下させる要因になっている。
また、インクジェット法によるパターン形成は、そのパターニング精度に限界から、発光素子の微細化および高集積化、および基板の大型化が困難となっている。
そこで、有機材料で構成された発光層やその他の機能層の新たなパターン形成方法として、エネルギー源(熱源)を用いた転写法(すなわち熱転写法)が提案されている。熱転写法を用いた表示装置の製造は、例えば次のように行う。先ず、表示装置の基板(以下、装置基板と称する)上に下部電極を形成しておく。一方、別の基板(以下、転写用基板と称する)上に、光吸収層を介して発光層を成膜しておく。そして、発光層と下部電極とを対向させる状態で、装置基板と転写用基板とを配置し、転写用基板側からレーザ光を照射することにより、装置基板の下部電極上に発光層を熱転写させる。この際、スポット照射させたレーザ光を走査させることにより、下部電極上の所定領域のみに位置精度良好に発光層が熱転写される(以上下記特許文献1参照)。
また、熱転写法においては、工程中や工程間に、酸素や水分の付着汚染による発光層の消光を防止することを目的として、発光層の上部にデバイスの性能を向上させるように選ばれた化学還元剤を含む性能向上層を設けた構成が提案されている。性能向上層としては、アルカリ金属等の金属材料や有機化学還元剤を含み、熱蒸発法、電子ビーム蒸発法などにより、発光層の上部に形成される(下記特許文献2参照)。
特開2002−110350号公報 特開2004−247309号公報
しかしながら、上述した熱転写法を用いて得られた発光素子は、シャドウマスク法によって製造された発光素子と比較して、発光効率、及び輝度寿命が比較的短いという問題がある。特に、R(赤)、G(緑)、B(青)色の中で最も輝度寿命が短い青色発光の有機電界発光素子においては、この問題は深刻である。
また、熱転写法によって形成された発光層の上部に、機能性向上層を設けた場合であっても、上述した発光効率および輝度寿命などの素子特性の改善効率は充分ではない。理由として還元性金属を含む電子輸送層を発光層の上部に直接用いた場合、電子輸送層に求められる重要な機能である正孔阻止性能が低下することが挙げられる。しかも、このような機能性向上層を設けた発光素子を用いてカラー表示の表示装置を構成する場合、熱転写法によって各色発光層を選択的にパターン形成した後に、熱蒸発法、電子ビーム蒸発法などにより、発光層の上部に機能性向上層を一括成膜する工程が用いられる場合が多い。したがって、機能性向上層の構成を、各色発光層のそれぞれに最適な構成とすることも難しく、このことも充分な改善効率が得られない原因となっている。
そこで本発明は、熱転写法によって位置精度良好に発光層をパターン形成することが可能でありながらも、発光効率および輝度寿命を高く維持できる有機電界発光素子の製造方法を提供すること、さらにはこのような製造方法によって得られる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の有機電界発光素子の製造方法は、基板上に下部電極をパターン形成した後、前記下部電極上に少なくとも発光層を含む有機層を成膜し、次に有機層を介して前記下部電極上に積層する状態で上部電極を形成する有機電界発光素子の製造方法である。そして特に、有機層の成膜における発光層の形成には、熱転写法を行う。この際、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に、電子供与性金属とを用いて構成された転写層を有する転写用基板からの当該転写層の熱転写により発光層を形成する。
以上のような製造方法によれば、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に電子供与性金属とを用いて構成された転写層を、発光層として熱転写させる。これにより、熱転写によって形成された発光層内は、電荷輸送性を備えたホスト材料中に、発光性のゲスト材料と電子供与性金属とが混在する混合層を有するものになる。そしてこのようにして発光層を形成してなる有機電界発光素子においては、上記電子供与性金属を含有しない転写層を熱転写して発光層を形成した有機電界発光素子と比較して、高い発光効率が得られると共に、駆動電圧が低くなり、かつ輝度寿命が長くなることが確認された。
以上説明したように本発明によれば、熱転写法によって位置精度良好に発光層をパターン形成することが可能でありながらも、発光効率および輝度寿命が高く維持された有機電界発光素子を得ることが可能になる。この結果、基板上に有機電界発光素子を配列形成してなるカラー表示装置のさらなる高精細化が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態においては、基板上に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の有機電界発光素子を配列してなるフルカラー表示の表示装置の製造に本発明を適用した実施の形態を、図1〜図3の断面工程図に基づいて説明する。
先ず、図1(1)に示すように、有機電界発光素子が配列形成される基板1を用意する。この基板1は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなる。特にここで作製する表示装置が基板1側から発光を取り出す透過型である場合には、この基板1は光透過性を有する材料で構成されることとする。
次に、この基板1上に、陽極または陰極として用いられる下部電極3をパターン形成する。
この下部電極3は、ここで作製する表示装置の駆動方式によって適する形状にパターンニングされていることとする。例えば、この表示装置の駆動方式が単純マトリックス方式である場合には、この下部電極3は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス方式である場合には、下部電極3は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
またこの下部電極3は、ここで作製する表示装置の光取り出し方式によってそれぞれ適する材質が選択して用いられることとする。すなわち、この表示装置が基板1と反対側から発光光を取り出す上面発光型である場合には、高反射性材料で下部電極3を構成する。一方、この表示装置が、基板1側から発光光を取り出す透過型または両面発光型である場合には、光透明性材料で下部電極3を構成する。
例えばここでは、表示装置が上面発光型であり、下部電極3を陽極として用いることとする。この場合、下部電極10は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)さらには金(Au)のように、反射率の高い導電性材料、及びその合金で構成される。
尚、表示装置が上面発光型であるが、下部電極3を陰極として用いる場合には、下部電極3は仕事関数が小さな導電性材料を用いて構成される。このような導電性材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。また、機能層4との間に例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とフッ素、臭素等のハロゲンや酸素等との化合物層を薄く挿入した構造としても良い。
これに対して、表示装置が透過型、または両面発光型であり下部電極3を陽極として用いる場合には、ITO(Indium−Tin−Oxide)やIZO(Inidium−Zinc−Oxide)のように、透過率の高い導電性材料で下部電極3を構成する。
尚、ここで作製する表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス方式を採用する場合には、有機電界発光素子の開口率を確保するために、表示装置を上面発光型とすることが望ましい。
次に、以上のような下部電極3(ここでは陽極)を形成した後、これらの下部電極3の周縁を覆う状態で、絶縁膜5をパターン形成する。これにより、この絶縁膜5に形成された窓から下部電極3を露出させた部分を、各有機電界発光素子が設けられる画素領域とする。この絶縁膜5は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、酸化シリコンのような無機絶縁材料を用いて構成さることとする。
その後、下部電極3および絶縁膜5を覆う共通層として、正孔注入層7を形成する。このような正孔注入層7は、一般的な正孔注入材料を用いて構成され、一例としてm−MTDATA〔4,4,4 -tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine〕を25nmの膜厚で蒸着成膜する。
次に、正孔注入層7を覆う共通層として、正孔輸送層9を形成する。このような正孔輸送層9は、一般的な正孔輸送材料を用いて構成され、一例としてα−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]を30nmの膜厚で蒸着成膜する。尚、正孔輸送層9を構成する一般的な正孔輸送材料としては、例えばベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体などがいられる。
また以上の正孔注入層7および正孔輸送層9は、それぞれを複数層からなる積層構造として形成しても良い。
以上までの工程は、通常の有機電界発光素子を用いた表示装置の作製と同様に行って良い。そして、次の工程では、以上のようにして形成した正孔輸送層9上に、熱転写法によって各色の発光層を形成する工程を行うが、この工程が本実施形態に特徴的な工程となる。
すなわち、先ず、図1(2)に示すように、転写用基板30rを用意する。この転写用基板30rは、表示装置作製用の基板1と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して、赤色の発光層を形成するための転写層(赤色転写層)35rが設けられている。
このうち、光吸収層33を構成する材料としては、次に行う熱転写の工程において熱源として用いるレーザ光の波長範囲に対して低い反射率を持つ材料が好ましく用いられる。例えば、固体レーザ光原からの波長800nm程度のレーザ光を用いる場合には、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)等が低反射率、高融点を持つ材料として好ましいが、これらに限定されることは無い。ここでは例えば、スパッタリング法により、Crを200nmの膜厚に成膜してなる光吸収層33を形成することとする。
そして、光吸収層33上の赤色転写層35rが、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に、電子供与性金属を用いて構成されているところが特徴的である。
このような赤色転写層35rに用いられるホスト材料は、正孔輸送性のホスト材料,電子輸送性のホスト材料および両電荷輸送性のホスト材料のうち少なくとも1種であることとする。
また、このような赤色転写層35rに用いられるゲスト材料は、赤色発光材料であり、蛍光性のものでも燐光性のものでもよい。
そして、このような赤色転写層35rに用いられる電子供与性金属は、仕事関数が4.2eV以下の低仕事関数の金属であり、具体例としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)等が好適に用いられる。またこの他にも、イットリウム(Y)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、イッテルビウム(Yb)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)などが挙げられる。中でも、マグネシウム(Mg)は安価で扱いやすいことから、リチウム(Li)はLi2OやLiFのような形態で安定的に扱うことが可能であり、セシウム(Cs)は最も低仕事関数の金属であることから特に好ましい。
また、これらの電子供与性金属は、単体で用いられていても良く、合金、酸化物、弗化物、および複合酸化物の少なくとも1種類の形態で用いられても良い。(好ましい理由が有れば追記下さい。請求項5に対応しています)さらに、これらの電子供与性金属は、有機材料との混合層として構成されても良い。ここで用いられる有機材料としては、例えば上述したホスト材料、さらには正孔輸送層や電子輸送層を構成する材料であっても良い。
そして、以上のような各材料を用いて構成される赤色転写層35rは、電子供与性金属を用いて構成された金属ドープ層35r-1と、ホスト材料とゲスト材料とを用いて構成された発光材料層35r-2とを、光吸収層33側から順に積層した2層構造に構成されていることとする。尚、金属ドープ層35r-1は、熱転写後に形成される発光層に対する電荷注入を補助するための電荷注入補助層として設けられることになる。
そして、金属ドープ層35r-1は、上述した電子供与性金属や、電子供与性金属を含む合金、酸化物等と、有機材料との混合層からなることとする。ここでは、電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)と、電子供与性金属のうちの1つであるMgとの混合層を、金属ドープ層35r-1として5nmの膜厚で蒸着成膜することとする。この場合、金属ドープ層35r-1中に占める電子供与性金属の混合比は、50%以下程度が好ましい。金属の占める割合があまりに大きい場合、発光層に対する電子注入性が過剰になり、発光効率の低下を招くことが多いからである。
また、発光材料層35r-2は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、赤色発光性のゲスト材料である2,6−ビス[(4’−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%で混合した材料によって構成され、30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
尚、以上の赤色転写層35rは、金属ドープ層35r-1と発光材料層35r-2とが、さらに複数層積層されていても良い。また、上述したホスト材料、ゲスト材料、および電子供与性金属を用いていれば、層構造が限定されることはない。ただし、赤色転写層35rが、蒸着成膜によって形成されるものであれば、ホスト材料、ゲスト材料、および電子供与性金属、さらには他の有機材料のうちから、2つの材料を用いた層を積層させることが、各材料含有量の制御性を確保する観点からは好ましい。
そして図1(3)に示すように、以上のように構成された転写用基板30rを、正孔輸送層9が形成された基板1に対向配置させる。この際、赤色転写層35rと正孔輸送層9とが向き合うように、転写用基板30rと基板1とを配置する。また、基板1と転写用基板30rとを密着させ、基板1側の最上層を構成する正孔輸送層9と、転写用基板30r側の最上層を構成する赤色転写層35rとを接触させても良い。このようにした場合であっても、基板1側の絶縁膜5上に転写用基板30rが支持された状態となり、下部電極3上の正孔輸送層9の部分に転写用基板30rが接触することはない。
次に、このような状態で基板1に対向配置された転写用基板30r側から、例えば波長800nmのレーザhrを照射する。この際、赤色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、光吸収層33にレーザ光hrを吸収させ、その熱を利用して赤色転写層35rを基板1側に熱転写させる。そして、基板1上に成膜された正孔輸送層9上に、赤色転写層35rを位置精度良好に熱転写させてなる赤色発光層11rをパターン形成する。
このような熱転写においては、例えばレーザ光hrの照射エネルギーにより、転写用基板30r側の赤色転写層35rを構成する各材料の濃度勾配を調整する。具体的には、照射エネルギーを高めに設定することにより、赤色転写層35rを構成する各材料が略均一に混ざり合った混合層として赤色発光層11rを形成する。また、赤色発光層11r内に、赤色転写層35rを構成する各材料が混ざり合った混合層が設けられるように、照射エネルギーを調整しても良い。
またここでは、赤色発光素子の形成部分(画素領域)において絶縁膜5から露出している下部電極3上が、赤色発光層11rによって完全に覆われるように、レーザ光hr照射に行うことが重要である。
そして、以上のような熱転写の工程を繰り返し行うことで、順次、緑色発光層および青色発光層を形成する。
すなわち、図2(4)に示すように、表示装置作製用の基板と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して緑色の発光層を形成するための転写層(緑色転写層)35gを設けてなる転写用基板30gを用意する。この転写用基板30gにおける緑色転写層35gは、発光性のゲスト材料として緑色発光のゲスト材料を用いること以外は、図1(2)を用いて説明した赤色転写層35rと同様の構成であって良い。
例えば、緑色転写層35gは、電子供与性金属を用いて構成された金属ドープ層35g-1と、ホスト材料とゲスト材料とを用いて構成された発光材料層35g-2とを、光吸収層33側から順に積層した2層構造に構成されていることとする。尚、金属ドープ層35g-1は、熱転写後に形成される発光層に対する電荷注入を補助するための電荷注入補助層として設けられることになる。
金属ドープ層35g-1は、赤色転写層35rと同様に、電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)と、電子供与性金属のうちの1つであるMgとの混合層を5nmの膜厚で蒸着成膜してなることとする。
また、発光材料層35g-2は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、緑色発光性のゲスト材料であるクマリン6を5重量%で混合した材料によって構成され、30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして図2(5)に示すように、この転写用基板30gを、正孔輸送層9が形成された基板1に対向配置させ、転写用基板30g側から緑色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、基板1上に成膜された正孔輸送層9の上に選択的に緑色転写層35gを熱転写させてなる緑色発光層11gをパターン形成する。このような熱転写は、図1(3)を用いて説明した赤色発光層11rのパターン形成と同様に、緑色転写層35gを構成する各材料が、略均一に混ざり合わせた状態で緑色発光層11gが形成されるように行われることとする。
また、図2(6)に示すように、表示装置作製用の基板と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して青色の発光層を形成するための転写層(青色転写層)35bを設けてなる転写用基板30bを用意する。この転写用基板30bにおける青色転写層35bは、発光性のゲスト材料として青色発光のゲスト材料を用いること以外は、図1(2)を用いて説明した赤色転写層35rと同様の構成であって良い。
例えば、青色転写層35bは、電子供与性金属を用いて構成された金属ドープ層35b-1と、ホスト材料とゲスト材料とを用いて構成された発光材料層35b-2とを、光吸収層33側から順に積層した2層構造に構成されていることとする。尚、金属ドープ層35b-1は、熱転写後に形成される発光層に対する電荷注入を補助するための電荷注入補助層として設けられることになる。
金属ドープ層35b-1は、赤色転写層35rと同様に、電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)と、電子供与性金属のうちの1つであるMgとの混合層を5nmの膜厚で蒸着成膜してなることとする。
また、発光材料層35g-2は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、青色発光性のゲスト材料である4,4’−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%で混合した材料によって構成され、30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして図2(7)に示すように、この転写用基板30bを、正孔輸送層9が形成された基板1に対向配置させ、転写用基板30b側から青色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、基板1上に成膜された正孔輸送層9の上に選択的に青色転写層35bを熱転写させてなる緑色発光層11bをパターン形成する。このような熱転写は、図1(3)を用いて説明した赤色発光層11rのパターン形成と同様に、青色転写層35bを構成する各材料が、略均一に混ざり合わせた状態で青色発光層11bが形成されるように行われることとする。
尚、以上の図1(2)〜図2(7)を用いて説明した各熱転写の工程は、特に決められた順番はなく、どの色の発光層11r,11g,11bから順に熱転写しても良い。
また、繰り返し行われる熱転写の工程は、大気圧中でも可能であるが、真空中で行うことが望ましい。真空中で熱転写を行うことにより、より低エネルギーでのレーザを使用した転写が可能になり、転写される発光層に与えられる熱的な悪影響を軽減することが出来る。さらに、熱転写の工程を真空中で行うことにより、基板同士の密着性が高まり、転写のパターン制度が良好になり、望ましい。しかも、全プロセスを連続して真空中で行うようにすることで、素子の劣化を防ぐことが可能である。
尚、以上の各色の発光層11r,11g,11bの形成においては、転写用基板の各色転写層(35r,35g,35b)を同様の積層構成として説明した。しかしながら、各色発光層11r,11g,11bを形成するための転写用基板における各色の転写層(35r,35g,35b)は、転写によってパターン形成される各発光層11r,11g,11bに対して最適化されていることが好ましく、異なる構成であっても良い。例えば、各色の転写層(35r,35g,35b)を構成する金属ドープ層(35r-1,35g-1,35b-1)には、異なる電子供与性金属を用いても良く、また積層構造が異なっていても良い。
また、以上説明したレーザhrを選択的にスポット照射する工程においては、レーザ照射装置におけるレーザヘッドの駆動部分が精密なアライメント機構を備えている場合には、下部電極3に沿って、レーザhrを適正なスポット径において転写用基板(30r,30g,30b)上に照射すればよい。この場合、基板1と転写用基板(30r,30g,30b)との位置合わせを厳密に行う必要はない。一方、レーザヘッドの駆動部分が精密なアライメント機構を備えていない場合には、転写用基板側にレーザhrが照射される領域を制限する遮光膜を形成しておく必要がある。具体的には、転写用基板11の裏面に、レーザを反射する高反射金属層に開口部を設けた遮光膜を設ける。また、この上に低反射性金属を成膜しても良い。この場合、基板1と転写用基板(30r,30g,30b)との位置合わせを正確に行う必要が生じる。
以上の後、図3(8)に示すように、各色発光層11r,11g,11bが形成された基板1上の全面を覆う状態で、を蒸着成膜法により電子輸送層13を成膜する。この電子輸送層13は、基板1上の全面に共通層として蒸着成膜される。このような電子輸送層13は、一般的な電子輸送材料を用いて構成され、一例として8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を20nm程度の膜厚で蒸着してなる。
以上までで成膜した正孔注入層7、正孔輸送層9、各色発光層11r,11g,11b、および電子輸送層13によって、有機層15が構成される。
次に、蒸着成膜法により、電子輸送層13上に電子注入層17を成膜する。この電子注入層17は、基板1上の全面に共通層として蒸着成膜される。このような電子注入層17は、一般的な電子注入材料を用いて構成され、一例としてLiFを真空蒸着法により約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で形成してなる。
次に、電子注入層17上に、上部電極19を形成する。この上部電極19は、下部電極3が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極3が陰極である場合には陽極として用いられる。また、ここで作製する表示装置が単純マトリックス方式である場合には、例えば下部電極3のストライプと交差するストライプ状に上部電極19が形成される。また、この表示装置が、アクティブマトリックス方式である場合には、この上部電極19は、基板1上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。この場合、下部電極3と同一層で補助電極(図示省略)を形成し、この補助電極に対して上部電極19を接続させることで、上部電極19の電圧降下を防止する構成とすることができる。
そして、下部電極3と上部電極19との交差部において、各色発光層11r,11g,11bをそれぞれ含む有機層15等が狭持された各部分に、赤色発光素子21r、緑色発光素子21g、および青色発光素子21bがそれぞれ形成される。
またこの上部電極19は、ここで作製する表示装置の光取り出し方式によってそれぞれ適する材質が選択して用いられることとする。すなわち、この表示装置が基板1と反対側から発光光を取り出す上面発光型または両面発光型である場合には、光透過性材料または半透過性材料で上部電極19を構成する。一方、この表示装置が、基板1側から発光光を取り出す透過型である場合には、高反射性材料で上部電極19を構成する。
ここでは、表示装置が上面発光型であり、下部電極3を陽極電極として用いるため、上部電極19は陰極電極として用いられることになる。この場合、上部電極19は、有機層15に対して電子を効率的に注入できるように、下部電極3の形成工程で例示した仕事関数の小さい材料のうちから光透過性の良好な材料を用いて形成されることとする。
このため例えば、真空蒸着法により10nmの膜厚で形成されたMgAgからなる共通の陰極として、上部電極19を形成する。この際、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD(chemical vapor deposition)法によって、上部電極19の成膜を行うこととする。
また、表示装置が上面発光型である場合、上部電極19を半透過性として構成することにより、上部電極19と下部電極3との間で共振器構造を構成することで取り出し光の強度が高められるように設計されることが好ましい。
尚、表示装置が透過型であり、上部電極19を陰極電極として用いる場合には、仕事関数が小さくかつ反射率の高い導電性材料で上部電極19を構成する。さらに表示装置が透過型であり、上部電極19を陽極電極として用いる場合には、反射率の高い導電性材料で上部電極19を構成する。
以上のようにして各色の有機電界発光素子21r,21g,21bを形成した後には、図3(9)に示すように、上部電極19を覆う状態で、保護膜23を成膜する。この保護膜23は、有機層15への水分の到達防止を目的とし、透過水性,吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成されることとする。さらに、ここで作製する表示装置が上面発光型である場合には、この保護膜23は各色発光層11r,11g,11bで発生した光を透過する材料からなり、例えば80%程度の透過率が確保されていることとする。
このような保護膜23は、絶縁性材料で構成されていて良い。保護膜23を絶縁性材料で構成する場合には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si),アモルファス炭化シリコン(α−SiC),アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x Nx )さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜23となる。
例えば、アモルファス窒化シリコンからなる保護膜23を形成する場合には、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成されることとする。ただし、この際、有機層15の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに、保護膜23の剥がれを防止するために膜のストレスを最小になる条件で成膜することが望ましい。
また、ここで作製する表示装置がアクティブマトリックス方式であって、基板1上の一面を覆う共通電極として上部電極19が設けられている場合には、保護膜23は、導電性材料を用いて構成されても良い。保護膜23を導電性材料で構成する場合には、ITOやIXOのような透明導電性材料が用いられる。
尚、以上のような各色発光層11r,11g,11bを覆う各層13〜23は、マスクを用いることなくベタ膜状に形成される。また、これらの各層13〜23の形成は、望ましくは大気に暴露されることなく同一の成膜装置内において連続して行われることが好ましく、これにより大気中の水分による有機層15の劣化を防止する。
そして、以上のように保護膜23が形成された基板1に対して、保護膜23側に接着用の樹脂材料(図示省略)を介して保護基板25を貼り合わせる。接着用の樹脂材料としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。また保護基板25としては例えばガラス基板が用いられる。ただし、ここで作製する表示装置が上面発光型である場合には、接着用の樹脂材料および保護基板25は、光透過性を有する材料で構成されることが必須となる。
以上により、基板1上に各色発光素子21r,21g,21bを配列形成してなるフルカラーの表示装置27を完成させる。
このようにして得られた表示装置27の各色発光素子21r,21g,21bは、それぞれの各色発光層11r,11g,11bが特徴的な構成となっている。すなわち、各色発光層11r,11g,11bは、熱転写によってパターン形成された層である。そしてこれらの各色発光層11r,11g,11bは、電荷輸送性(本実施形態では電子輸送性)を備えたホスト材料中に、各色発光性のゲスト材料と共に電子供与性金属(本実施形態ではMg)が混在する混合層として形成されている。
そして、以上説明した製造方法では、例えば図1(3)を用いて説明したように、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に電子供与性金属とを用いて構成された赤色転写層35rを、赤色発光層11rとして熱転写させる。これにより、熱転写によって形成された赤色発光層11r内は、電荷輸送性を備えたホスト材料中に、発光性のゲスト材料と電子供与性金属とが混在する混合層となる。このようにして各色発光層11r,11g,11bを形成してなる各色発光素子21r,21g,21bにおいては、熱転写された各色発光層11r,11g,11bに対して、その上部に形成される層(ここでは電子輸送層)側からの電子注入が良好に行われる。そして、次の実施例で示すように、従来の電子供与性金属を含有しない転写層を熱転写して発光層を形成した有機電界発光素子と比較して、高い発光効率が得られると共に、駆動電圧が低くなり、かつ輝度寿命が長くなることが確認された。
したがって、以上説明した実施形態によれば、熱転写法によって位置精度良好に各色発光層11r,11g,11bをパターン形成することが可能であり、しかも、通常の熱転写法によって発光層を形成した場合と比較して、発光効率および輝度寿命が高く維持された各色発光素子21r,21g,21bを得ることが可能になる。この結果、基板1上に各色発光素子21r,21g,21bを配列形成してなる表示装置27のさらなる高精細化が可能になる。
尚、以上の実施形態では、図1(2)、図2(4)、および図2(6)を用いて説明した各色転写層35r,35g,35bに、電荷注入補助層として金属ドープ層35r-1,35g-1,35b-1を設けた構成を説明した。しかしながら、電荷注入補助層として、例えば各色転写層35r,35g,35bを構成するホスト材料のような発光層に対する電荷注入を補助する材料からなる層を適用しても良い。この場合の各色転写層は、電荷注入補助層と発光材料層との積層構造となる。このような構成の各色転写層を有する転写用基板からの熱転写によって発光層を形成した場合であっても、従来の単層の転写層を熱転写して発光層を形成した有機電界発光素子と比較して、高い発光効率が得られると共に、輝度寿命が長くなることが確認された。
また、以上の実施形態では、主に下部電極3を陽極、上部電極19を陰極とした場合を説明した。しかしながら、本発明は、下部電極3が陰極であり、上部電極19が陽極である場合にも適用可能である。このような場合には、下部電極3と上部電極19との間の各層7〜15は、逆の積層順となる。
さらに、以上実施形態に基づいて説明した本発明は、上述した共通層を分離した素子においても、また、例えば特開2003−272860に示されるように、発光層を有する有機層のユニット(発光ユニット)を積層してなるタンデム型の有機EL素子においても有効であり、同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の具体的な実施例、およびこれらの実施例に対する比較例として、フルカラー表示装置を構成する各色発光の有機電界発光素子の製造手順を、図1〜図3および最後に示した表1を参照して説明する。またその後、次にこれらの評価結果を説明する。
<実施例1>
表示装置を構成する青色発光素子15bを作製した。
(1)先ず、素子作製用基板となるガラス基板1の上に、銀合金層であるAPC(Ag-Pd-Cu)層(膜厚120nm)、ITOからなる透明導電層(膜厚10nm)をこの順に形成した2層構造の下部電極3を陽極として形成した。次に下部電極3の周縁を覆う状態で酸化シリコンの絶縁膜5をスパッタリング法により約2μmの厚さで成膜し、リソグラフィー法により下部電極3を露出させ、画素領域とした。その表面の上に、正孔注入層7として、m−MTDATAを25nmの膜厚で蒸着した。次に、正孔輸送層9として、α−NPDを30nmの膜厚で蒸着した。
(2)一方、次のようにして、転写用基板30bを作製した。先ず、ガラス基板31の上に、厚さ200nmのクロムからなる光吸収層33を通常のスパッタリング法により成膜した。次に、光吸収層33上に、ADNからなる電荷注入補助層35b-1を5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜した。次いで、ADNからなるホスト材料に、DPAVBiからなる青色発光性のゲスト材料を2.5重量%の割合で混合した発光材料層35b-2を、真空蒸着により成膜した。
(3)次に、成膜された有機層同士が向き合う状態で、(2)において作製した転写用基板30bを素子作製用の基板1の上に配置し、真空中で密着させた。両基板は、絶縁膜5の厚さによって、約2μmの小さな間隙が維持されていた。この状態で、素子作製用の基板1の青色画素領域に相対する配置において、転写用基板30bの裏側から波長800nmのレーザ光線を照射することにより、転写用基板30bから青色転写層35bを熱転写させ、青色発光層11bを形成した。レーザ光線のスポットサイズは、300μm×10μmとした。レーザ光線は、該光線の長手寸法に対して直交する方向において走査した。エネルギー密度は、2.6E-3mJ/μm2とした。
(4)青色発光層11bを転写した後、電子輸送層13を成膜した。電子輸送層13として、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を20nm程度の膜厚で蒸着成膜した。続いて、電子注入層17として、LiFを約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で蒸着成膜した。次いで、上部電極19となる陰極としてMgAgを10nmの膜厚で蒸着成膜し、青色発光素子21bを得た。
<実施例2>
実施例1(2)の転写用基板30bにおける電荷注入補助層35b-1の成膜おいて、ADNに5重量%のMgを混合した金属ドープ層(電荷注入補助層)35b-1を、5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜したこと以外は、実施例1と同様にして青色発光素子21bを作製した。
<実施例3>
実施例1(2)の転写用基板30bにおける電荷注入補助層35b-1の成膜において、ADNに5重量%のMgを混合した層を5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜し、次にADNからなる層を5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜してなる積層構造を形成したこと以外は、実施例1と同様にして青色発光素子21bを作製した。
<比較例1>
実施例1の(2)における転写用基板30bの作製手順において、電荷注入補助層を形成せずに発光材料層35b-2のみを形成したこと以外は、実施例1と同様にして青色発光素子を作製した。
<実施例4>
実施例1(2)の転写用基板30bの作製手順において、電荷注入補助層と発光材料層における材料構成を換えたこと以外は、実施例1と同様の手順で赤色発光素子21rを作製した。
つまり、(2)転写用基板30rの作製においては、ガラス基板31の上に成膜した光吸収層33上に、Alq3に5重量%のMgを混合した金属ドープ層(電荷注入補助層)35r-1を5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜し、次いで、Alq3からなるホスト材料に、BSNからなる赤色発光性のゲスト材料を30重量%の割合で混合した発光材料層35r-2を、真空蒸着により成膜した。
その後、上記で作製した転写用基板を用い、実施例1の(3)(4)と同様の手順を行い、赤色発光素子21rを作製した。
<比較例2>
実施例4の(2)における転写用基板30rの作製手順において、金属ドープ層(電荷注入補助層)35r-1を形成せずに発光材料層35r-2のみを形成したこと以外は、実施例4と同様にして赤色発光素子を作製した。
<実施例5>
実施例1(2)の転写用基板30bの作製手順において、金属ドープ層(電荷注入補助層)35b-1と発光材料層35b-2における材料構成を換えたこと以外は、実施例1と同様の手順で緑色発光素子21gを作製した。
つまり、(2)転写用基板30gの作製においては、ガラス基板31の上に成膜した光吸収層33上に、ADNに5重量%のMgを混合した金属ドープ層(電荷注入補助層)35g-1を5nmの膜厚で真空蒸着によって成膜し、次いで、ADNからなるホスト材料に、クマリン6からなる緑色発光性のゲスト材料を5重量%の割合で混合した発光材料層35g-2を、真空蒸着により成膜した。
その後、上記で作製した転写用基板を用い、実施例1の(3)(4)と同様の手順を行い、緑色発光素子21gを作製した。
<比較例3>
実施例5の(2)における転写用基板30gの作製手順において、金属ドープ層(電荷注入補助層)35g-1補助層を形成せずに発光材料層35g-2のみを形成したこと以外は、実施例5と同様にして緑色発光素子を作製した。
≪評価結果≫
以上のようにして作製した各色の有機電界発光素子について、10mA/cm2の定電流密度を印加した状態で、分光放射輝度計を用いて色度および発光効率を測定した。また、同じ発光性のゲスト材料を用いた素子同士が同輝度で発光するように電流印加を設定した状態で、駆動電圧を測定し、また寿命試験を行って100時間経過後の相対輝度の減少率を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2006309955
先ず、実施例1〜3および比較例1で作製した青色発光素子の評価結果を比較すると、金属ドープ層(電荷注入補助層)を有する青色転写層を熱転写して青色発光層が作製された実施例1〜3の青色発光素子においては、この電荷注入補助層を設けずに作製された比較例1の青色発光素子と比較して、発光効率を上昇させる効果と、輝度減少率を小さく抑える効果が得られていることが確認された。また、これらの青色発光素子においては、同程度の色度が得られていることが確認された。
そして特に、電子供与性金属(Mg)を含有する金属ドープ層(電荷注入補助層)を有する青色転写層を熱転写して青色発光層が作製された実施例2,3の青色発光素子においては、輝度減少率を比較例1の青色発光素子の1/3と、極めて低く抑える効果が得られていることが確認された。しかも、これら実施例2,3の青色発光素子においては、比較例1の青色発光素子と比較して、駆動電圧を低下させる効果も得られることが確認された。
また、実施例4および比較例2で作製した赤色発光素子の評価結果を比較した場合であっても、電子供与性金属(Mg)を含有する金属ドープ層(電荷注入補助層)を有する赤色転写層を熱転写して赤色発光層が作製された実施例4の赤色発光素子において、この電荷注入補助層を設けずに作製された比較例2の赤色発光素子と比較して、発光色を変化させずに、発光効率、駆動電圧、輝度減少率の全てにおいて良好な特性が得られることが確認された。
これは、実施例5および比較例3で作製した緑色発光素子の評価結果を比較した場合も同様であった。そして特に、これらの緑色発光素子における緑色発光性のゲスト材料として用いたクマリン6は、電荷輸送性が小さく、このようなゲスト材料を用いた発光層に電子供与性金属(Mg)を含有させることで、特に発光効率を上昇させる効果が顕著であることが確認された。
そして以上の結果から、熱転写法によって各色発光層11r,11g,11bを形成することで、微細化および位置精度良好に形成された有機電界発光素子を用いたフルカラーの表示装置において、各色に発光する有機電界発光素子21r,21g,21bの特性を良好に維持することが可能であることが確認された。
第1実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その1)である。 第1実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その2)である。 第1実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その2)である。
符号の説明
1…基板、3…下部電極、11b…青色発光層、15…有機層、19…上部電極、21r…赤色発光素子(有機電界発光素子)、21g…緑色発光素子(有機電界発光素子)、21b…青色発光素子(有機電界発光素子)、30r,30g,30b…転写用基板、35r…赤色転写層、35g…緑色転写層、35b…青色転写層、35r-1,35g-1,35b-1…金属ドープ層(電荷注入補助層)、35r-2,35g-2,35b-2…発光材料層

Claims (9)

  1. 基板上に下部電極をパターン形成した後、前記下部電極上に少なくとも発光層を含む有機層を成膜し、次に有機層を介して前記下部電極上に積層する状態で上部電極を形成する有機電界発光素子の製造方法において、
    前記発光層は、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に電子供与性金属を含む転写層を備えた転写用基板から当該転写層を熱転写することにより形成される
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記転写用基板における前記転写層は、前記ホスト材料と前記ゲスト材料を含む発光材料層と、前記電子供与性金属を含む金属ドープ層とを積層してなる
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  3. 請求項2記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記金属ドープ層は、前記電子供与性金属と有機材料との混合層である
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  4. 請求項2記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記熱転写の際には、前記積層構造の転写層を構成する各材料を略均一に混ざり合わせて前記発光層が形成されるように、前記転写用基板上からの当該転写層の熱転写を行う
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  5. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記電子供与性金属は、単体、合金、酸化物、弗化物、および複合酸化物の少なくとも1種類の形態で用いられる
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  6. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記電子供与性金属は、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、およびセシウム(Cs)の少なくとも1つである
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  7. 基板上に下部電極をパターン形成した後、前記下部電極上に少なくとも発光層を含む有機層を成膜し、次に有機層を介して前記下部電極上に積層する状態で上部電極を形成する有機電界発光素子の製造方法において、
    前記発光層は、発光材料を含有する発光材料層と電荷輸送性を有する材料を用いた電荷注入補助層とを積層してなる転写層を備えた転写用基板から、当該転写層を熱転写することにより形成される
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  8. 下部電極、少なくとも発光層を含む有機層、および上部電極を、基板上にこの順に積層してなる有機電界発光素子において、
    前記発光層は、電荷輸送性を備えたホスト材料中に、発光性のゲスト材料と電子供与性金属とが混在する混合層を有している
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  9. 請求項8記載の有機電界発光素子において、
    前記発光層は、前記混合層からなる
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
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