JP2012088574A - 感放射線性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間の保存においても、液中パーティクルの発生が抑制され、また、優れた放射線感度、露光時の高い後退接触角等特性の経時変動が小さい、保存安定性に優れる感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、[A]塩基解離性基を含む構造単位(f)を有する含フッ素重合体を含有し、金属の合計含有量が30質量ppb以下である感放射線性樹脂組成物である。上記金属が、ナトリウム、マグネシウム又は鉄であり、このナトリウム、マグネシウム又は鉄の各含有量がそれぞれ3質量ppb以下であることが好ましい。上記構造単位(f)の塩基解離性基がフッ素原子を有することが好ましく、上記塩基解離性基がフッ素原子を有する芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学増幅型レジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適に用いられる感放射線性樹脂組成物、及びその感放射線性樹脂組成物の製造方法に関する。
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、従来、酸解離性基を有する重合体を含む樹脂組成物によって基板上にレジスト被膜を形成し、マスクパターンを介してそのレジスト被膜にエキシマレーザー等の短波長の放射線を照射して露光させ、露光部をアルカリ現像液で除去することにより微細なレジストパターンを形成することが行われている。この際、樹脂組成物中に放射線照射により酸を発生する感放射線性酸発生剤を含有させ、その酸の作用により感度を向上させた化学増幅型レジストが利用されている。
このような化学増幅型レジストにおいて、例えば、線幅45nm程度のさらに微細なレジストパターンを形成する方法として、液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィ)の利用が拡大しつつある。この方法では露光光路空間(レンズとレジスト被膜との間)を、空気や不活性ガスに比して屈折率(n)が大きい液浸媒体、例えば、純水、フッ素系不活性液体等で満たした状態で露光を行う。従って、レンズの開口数(NA)を増大させた場合でも、焦点深度が低下し難く、しかも高い解像性が得られるという利点がある。
液浸露光法においては、レジスト被膜からの酸発生剤等の溶出抑制による装置汚染の防止、及び被膜表面の水切れ性向上によるスキャン露光の高速化などが要求され、その解決手段として、例えば、国際公開第2007/116664号には、疎水性が高い含フッ素重合体を含有せしめた樹脂組成物が提案されている。
しかし、レジスト被膜の疎水性を上げるだけでは、現像液やリンス液の表面濡れ性が低下し、現像残渣の除去が不十分となって、ブロッブ(Blob)等の現像欠陥が発生することがある。このような現像欠陥を抑制することを目的として、特開2010−032994号公報には、液浸露光時には疎水性であるが、アルカリ現像時には、塩基解離性基が加水分解されることによって疎水性が低下するフッ素含有重合体が提案されている。
このような塩基解離性基を有する含フッ素重合体は、アルカリ現像液のようなアルカリへの反応性が高い方が現像時間を短縮できて望ましく、より短時間で加水分解が進行するよう設計されている。また、レジストパターンの微細化が線幅90nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、パターン形状を向上させ、線幅のバラツキを小さくする目的で、酸拡散制御剤として塩基性化合物が添加されることが多くなっている。そのため、長期間の保存中において上記加水分解が進行してしまい、組成物中にパーティクルが発生し易く、加えて、組成物の放射線感度や、組成物から得られるレジスト被膜の後退接触角等の特性が変動し易くなっているという不都合がある。
国際公開第2007/116664号 特開2010−032994号公報
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、その目的は、保存安定性に優れ、長期間の保存においても液中パーティクルの発生が抑制され、放射線感度や得られるレジスト被膜の後退接触角等の特性の経時変動が小さい感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上述の目的を達成すべく鋭意検討した結果、感放射線性樹脂組成物中に含まれる金属の含有量を一定値以下にすることにより、保存時における感放射線性樹脂組成物の諸特性の経時変動を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]塩基解離性基を含む構造単位(f)を有する含フッ素重合体を含有し、
金属の合計含有量が30質量ppb以下である感放射線性樹脂組成物である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]含フッ素重合体を含有しており、かつ金属の合計含有量を30質量ppb以下とすることで、保存安定性に優れる。すなわち、当該組成物中の保存時におけるパーティクル発生が抑制されると共に、組成物の放射線感度及び得られるレジスト被膜表面の露光時の後退接触角等の特性が、長期間の保存後においてもほとんど変動しない。
このように、当該感放射線性樹脂組成物中の金属の合計含有量を30質量ppb以下とすることで保存安定性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、例えば、保存時の塩基解離性基の加水分解反応が抑制され、加水分解で生成する物質等に起因して起こるパーティクル発生や、上記特性の変動が抑制されることが考えられる。また、金属を核として起こる液中パーティクルの発生が抑制されているとも考えられる。
上記金属が、ナトリウム、マグネシウム又は鉄であり、このナトリウム、マグネシウム及び鉄の各含有量がそれぞれ3質量ppb以下であることが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物中の金属のうち、ナトリウム、マグネシウム及び鉄は、保存安定性に影響する度合いが大きいことが明らかになっている。そのため、当該感放射線性樹脂組成物の保存安定性をより向上させるためには、これら金属種の各含有量を全て上記範囲にすることが望ましい。
上記構造単位(f)の塩基解離性基がフッ素原子を有するとよい。フッ素原子を有する塩基解離性基は、フッ素原子の電子吸引性に起因して解離性が高くなっている。そのような含フッ素重合体を含有する感放射線性樹脂組成物は、一般的に保存時の特性変動を起こし易いので、金属の含有量を特定範囲にすることによる効果が特に大きい。
上記塩基解離性基がフッ素原子を有する芳香族炭化水素基であるとよい。フッ素原子を有する芳香族炭化水素基を塩基解離性基とすると、解離性がさらに高まるため、さらに保存時の特性変動が起こり易い傾向がある。従って、金属の含有量を特定範囲にすることによる効果がさらに大きくなる。
[A]含フッ素重合体における構造単位(f)が、下記式(1)で表されるとよい。
Figure 2012088574
(式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Eは単結合又は(n+1)価の連結基である。Rfはフッ素原子を有していてもよい1価の鎖状炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。nは1〜3の整数である。nが2又は3の場合、Rfはそれぞれ独立して上記定義を有する。)
[A]含フッ素重合体における構造単位(f)が上記特定の構造を有することで、[A]含フッ素重合体を容易に合成することができる。
上記式(1)が、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)でそれぞれ表される構造単位群より選ばれる少なくとも1種であるとよい。
Figure 2012088574
(式(1−1)中、R及びRfの定義は上記式(1)と同じである。Rは置換基を有していてもよい2価の鎖状の有機基又は芳香族炭化水素基である。Xは少なくとも1個のフッ素原子を有する2価の炭化水素基である。)
Figure 2012088574
(式(1−2)中、R及びRfの定義は上記式(1)と同じである。Rは置換基を有していてもよい2価の鎖状の有機基又は芳香族炭化水素基である。)
Figure 2012088574
(式(1−3)中、Rの定義は上記式(1)と同じである。Rは1価の芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。R21はメチレン基、−CH(CH)−、−C(CH−、−CHCH−又は酸素原子である。R22は水素原子又は置換基である。)
Figure 2012088574
(式(1−4)中、R’は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基である。Rfの定義は上記式(1)と同じである。)
[A]含フッ素重合体における構造単位(I)が上記構造単位群から選ばれる特定の構造であると、これら構造単位を与える単量体の重合性が高く、[A]含フッ素重合体中のこれら構造単位の含有率を高くすることができる。従って、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜表面の後退接触角の大きさ及びアルカリ現像による後退接触角の低下度を大きくすることができる。
[A]含フッ素重合体が、酸解離性基を含む構造単位(p)をさらに有することが好ましい。[A]含フッ素重合体が、酸解離性基を含む構造単位をさらに有することで、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのアルカリ現像後の形状を向上させることができる。
[A]含フッ素重合体における構造単位(p)が下記式(4)で表される構造単位(IV)であることが好ましい。
Figure 2012088574
(式(4)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Yは下記式(Y−1)で表される基である。)
Figure 2012088574
(式(Y−1)中、Rp1は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基である。Rp2及びRp3はそれぞれ独立して炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基であるか、又はRp2及びRp3が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基を形成する。)
[A]含フッ素重合体の構造単位(p)が上記特定の構造を有すると、その酸解離性基の高い解離容易性に起因して、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのアルカリ現像後の形状をさらに改善することができる。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、
[A]含フッ素重合体を含む溶液を、ナイロンフィルター又はイオン交換フィルターにより濾過する工程を有する当該感放射線性樹脂組成物の製造方法である。当該製造方法によれば、当該感放射線性樹脂組成物に含まれる金属の含有量を容易に、上記特定範囲にすることができ、保存安定性に優れる感放射線性樹脂組成物を、製造コストの上昇を抑制しつつ容易かつ確実に製造することができる。
本明細書において、単に「炭化水素基」という場合には、鎖状炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。
また、「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味し、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の双方を含むものとする。「脂肪族環状炭化水素基」とは、環構造としては脂肪族環状炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、脂肪族環状炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として、芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂肪族環状炭化水素の構造を含んでいてもよい。
以上説明したように、本発明の感放射線性樹脂組成物は、塩基解離性基を含む構造単位を有する[A]含フッ素重合体を含有し、金属の合計含有量を一定値以下としていることで、保存安定性に優れる。すなわち、当該感放射線性樹脂組成物は、長期間の保存においてもパーティクルの発生が抑制され、放射線感度や得られるレジスト被膜の後退接触角等の特性の経時変動が小さい。また、本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、容易かつ確実に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]含フッ素重合体を含有し、また、好適成分として、後述する[B][A]含フッ素重合体よりフッ素原子含有率が小さい重合体、[C]感放射線性酸発生剤、[D]酸拡散制御剤、[E]溶媒を含有してもよく、さらに本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。また、本発明の感放射線性樹脂組成物の金属の合計含有量は30質量ppb以下である。以下、各成分について詳述する。
<[A]含フッ素重合体>
本発明における[A]含フッ素重合体は、塩基解離性基を含む構造単位(f)を有し、フッ素原子を有する重合体である。[A]含フッ素重合体は、重合体中にフッ素原子を有していればよく、その位置は問わない。上記構造単位(f)中にフッ素原子を有していてもよく、構造単位(f)以外の他の構造単位中に有していてもよい。[A]含フッ素重合体は、フッ素原子を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。[A]含フッ素重合体はフッ素原子を有しているため、その疎水性の高さに起因して、レジスト被膜表面は高い動的接触角を示す。従って、当該感放射線性樹脂組成物によれば、[A]含フッ素重合体が被膜表面に偏在して被膜からの酸発生剤等の溶出を抑制すると共に、被膜表面に高い水切れ特性を付与できる。また、[A]含フッ素重合体は、塩基解離性基を含む構造単位(f)を有しており、アルカリ現像において加水分解により解離して親水基を生じるので、レジスト被膜表面の疎水性が低下する。その結果、アルカリ現像工程において被膜表面の現像液やリンス液に対する濡れ性が大きく向上するので、リンス液による洗浄効率が低いことに起因して起こるレジスト膜の現像欠陥の発生を抑制ができる。
[構造単位(f)]
構造単位(f)は、塩基解離性基を含む。塩基解離性基とは、塩基との接触によって解離する基を意味し、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下(例えば、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシシド2.38質量%水溶液中)で解離する基をいう。構造単位(f)における塩基解離性基としては、そのような性質を有する基である限り特に限定されないが、具体例として、下記式(f−a)〜(f−c)で表される基を挙げることができる。
Figure 2012088574
上記式(f−a)及び(f−b)中、Rはフッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。
上記式(f−c)中、Rは、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基である。Rはハロゲン原子で置換されていてもよい1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。
上記塩基解離性基の中で、フッ素原子を有するものが好ましい。塩基解離性基が電子吸引性の高いフッ素原子を有すると、塩基解離性基が解離し易くなるため、本発明の保存安定性向上効果による利益が大きくなる。フッ素原子を有する塩基解離性基の具体例としては、フッ素原子を有する鎖状炭化水素基、フッ素原子を有する脂肪族環状炭化水素基、及びフッ素原子を有する芳香族炭化水素基等が挙げられる。この中で、塩基解離性基としての解離容易性がさらに高くなる観点から、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基が特に好ましい。
構造単位(f)の好ましい例として、上記式(1)で表される構造単位(I)を挙げることができる。[A]含フッ素重合体が構造単位(I)を有すると、この構造単位(I)を与える単量体を用いることにより、[A]含フッ素重合体を容易に合成することができる。
上記式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Eは単結合又は2価の連結基である。Rfは、フッ素原子を有していてもよい1価の鎖状炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。
上記炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
上記少なくとも1個のハロゲン原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。上記少なくとも1個のハロゲン原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基の具体例としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基等のフルオロアルキル基;クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ヘキサクロロプロピル基、ヘプタクロロプロピル基、ノナクロロブチル基等のクロロアルキル基;トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、ノナブロモブチル基等のブロモアルキル基;トリヨードメチル基、ペンタヨードエチル基、ヘプタヨードプロピル基、ノナブロモブチル基等のヨードアルキル基等が挙げられる。
上記式(1)におけるEは、単結合又は2価から4価の連結基である。
上記Eで表される2〜4価の連結基としては、具体的には例えば、下記の炭化水素化合物から2〜4個の水素原子を取り除いた炭化水素基を挙げることができる。
メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ヘキサデカン、イコサン等の直鎖状又は分岐状の鎖状飽和炭化水素;
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、テトラデセン、プロピン、ヘキシン、ブタジエン、ヘキサジエン、デカジエン、ヘキサジイン、デカジイン等の直鎖状又は分岐状の鎖状不飽和炭化水素;
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等の単環式飽和炭化水素;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデシン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロデカジエン、シクロデカジイン等の単環式不飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.12,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.12,6]デセン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デセン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素;
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、デュレン等の芳香族炭化水素。
この中で、炭素数1〜8の直鎖状及び分岐状の鎖状飽和炭化水素、炭素5〜12の脂肪族環状炭化水素、炭素数2〜6の鎖状不飽和炭化水素、炭素数6〜15の芳香族炭化水素から2〜4個の水素原子を除いた炭化水素基が好ましい。
連結基E中には、その末端又は末端でない位置に、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、カーボネート基、イミノ基、チオエーテル基等を含んでいてもよく、これらの基を含む複素環が形成されていてもよい。
上記連結基Eは、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、−RP1、−RP2−O−RP1、−RP2−CO−RP1、−RP2−CO−ORP1、−RP2−O−CO−RP1、−RP2−OH、−RP2−CN、又は−RP2−COOH(RP1は炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基であり、これらの基の有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。RP2は単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基又はこれらの基の有する水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された基である。)、及びフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等を挙げることができる。
上記連結基Eのさらなる具体例としては、例えば、下記式(E−1)及び(E−2)で表される2〜4価の連結基を挙げることができる。
Figure 2012088574
Figure 2012088574
上記式(E−1)及び(E−2)中、Rは(n+1)価の炭化水素基である。Rは2価の炭化水素基である。Qはエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、カーボネート基、イミノ基又はチオエーテル基である。nは1〜3の整数である。「*」は上記式(i)で表される基と結合する結合手を示す。
上記式(E−1)中、nが2又は3の場合、複数のQ及びRはそれぞれ独立して上記定義を有する。
上記(n+1)価の炭化水素基Rの例としては、上記連結基Eにおいて例示した(n+1)価の炭化水素基の例を挙げることができる。
上記2価の炭化水素基Rの例としては、上記連結基Eにおいて例示した(n+1)価の炭化水素基のn=1の場合である2価の炭化水素基の例を挙げることができる。
上記Qとしては、上記構造単位(I)を与える単量体の合成容易性の観点から、エーテル基、カルボニル基及びエステル基が好ましい。
上記式(E−1)で表される連結基の具体例として、下記式(E−1−1)〜(E−1−6)で表される基を挙げることができる。
Figure 2012088574
これらの中では、得られるレジスト膜のエッチング耐性の観点から、上記式(E−1−1)及び(E−1−2)で表される連結基が好ましい。
また、上記式(E−2)で表される(n+1)価の連結基の具体例として、下記式(E−2−1)〜(E−2−6)で表される基を挙げることができる。
Figure 2012088574
これらの中では、得られるレジスト被膜のエッチング耐性の観点から、上記式(E−2−1)及び(E−2−2)で表される基が好ましい。
上記式(1)のRfで表される1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
上記式(1)のRfで表される1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基であり、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基が挙げられる。
上記構造単位(I)の好ましい具体例として、上記式(1−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう。)が挙げられる。
上記式(1−1)のRで表される2価の鎖状の有機基としては、上記式(1)の連結基Eにおいて2価の鎖状炭化水素基として例示した基が挙げられる。
上記式(1−1)のRで表される2価の芳香族炭化水素基としては、上記式(1)の連結基Eにおいて2価の芳香族炭化水素基として例示した基が挙げられる。
上記式(1−1)のXで表される少なくとも1個のフッ素原子を有する2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基の一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。
上記炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜10の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の2価の炭化水素基がより好ましい。
上記炭素数3〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基としては、単環式飽和炭化水素基が好ましく、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘキシルメタンジイル基が特に好ましい。
上記炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としてはフェニレン基、ベンジレン基、フェネチレン基がより好ましい。これらの中でも、炭素数1〜5の2価の炭化水素基が特に好ましい。
なお、Xとしてはカルボン酸エステルのα位(即ち、上記式(1−1)におけるCOORfが結合している炭素原子)にフッ素原子又はフッ素原子を有する炭素原子を有する構造を取ることが好ましく、カルボン酸エステルのα位にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を有する構造を取ることがさらに好ましい。Xがこのような構造を取ることで、[A]含フッ素重合体の現像液に対する反応性を向上させることができる。
Xとしては、例えば下記式(X2−1)〜(X2−6)で表される基が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(1−1)のRfとしては置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、フッ素原子を有する1価の鎖状炭化水素基、又はフッ素原子を有する1価の脂防族環状炭化水素基(以下、これらの基を「Rf」で表す。)が好ましい。すなわち、構造単位(1−1)の好ましい例として、下記式(1−1−1)で表される構造単位(I−1−1)が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(1−1−1)中、R、R及びXの定義は式(1−1)と同じである。Rfは、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基、フッ素原子を有する1価の鎖状炭化水素基、又はフッ素原子を有する1価の脂防族環状炭化水素基である。
上記式(1−1−1)のRfで表される1価の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレンを有する1価の炭化水素基等が挙げられる。このような炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。Rfとして表される1価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上記式(1)の連結基Eが有していてもよい置換基の例を挙げることができる。その例の中でもハロゲン原子又はRS1が好ましく、フッ素原子又は水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が特に好ましい。Rfが1価の芳香族炭化水素基の場合、上記置換基を1〜5個有していることが好ましく、1〜3個有していることがさらに好ましく、1〜2個有していることが特に好ましい。
上記式(1−1−1)のRfで表されるフッ素原子を有する1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、フッ素原子を有する炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基が挙げられる。
フッ素原子を有する炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イコサニル基等の有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子に置換した基が挙げられる。これらのなかでも、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が好ましい。
上記Rfで表されるフッ素原子を有する1価の脂肪族環状炭化水素基としては、フッ素原子を有する炭素数3〜30の1価の脂肪族環状炭化水素基が挙げられる。
フッ素原子を有する炭素数3〜30の1価の脂肪族環状炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;
シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;
ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ビシクロ[2.2.2]オクテニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デセニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素基等の有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子に置換したものが挙げられる。
上記Rfで表される基としては、下記式(Rf−a)から(Rf−f)でそれぞれ表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、下記式(Rf−a)から(Rf−c)でそれぞれ表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
Figure 2012088574
上記式(Rf−a)〜(Rf−d)中、Rf31はそれぞれ独立してフッ素原子を有する1価の有機基である。RS11はそれぞれ独立して置換基である。nf1はそれぞれ独立して0又は1である。nf11は1〜(5+2nf1)の整数である。nf12は0〜(5+2nf1)の整数である。但し、nf11+nf12≦5+2nf1である。nf13は0〜(5+2nf1)の整数である。
上記Rf31で表されるフッ素原子を有する1価の有機基としては、上述したRfと同様のものが挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基が好ましい。
上記RS11で表される1価の有機基としては、例えば−RS1’、−RS2’−O−RS1’、−RS2’−CO−RS1’、−RS2’−CO−ORS1’、−RS2’−O−CO−RS1’、−RS2’−CN等が挙げられる。上記RS1’は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基である。RS2’は単結合、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンジイル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基である。これらの中でも−RS1’、−RS2’−O−RS1’、−RS2’−CO−RS1’、−RS2’−CO−ORS1’、−RS2’−O−CO−RS1’が好ましく、−RS1’がより好ましい。
上記式(Rf−e)及び(Rf−f)中、R41として表される置換基としては−RQ1、−RQ2−O−RQ1、−RQ2−CO−RQ1、−RQ2−CO−ORQ1、−RQ2−O−CO−RQ1、−RQ2−OH、−RQ2−CN、−RQ2−COOH(RQ1は炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基であり、これらの基の有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。RQ2は単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基の有する水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換された基である。)である。
また、R42及びR43が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子とともに形成する脂肪族環状炭化水素構造としては、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
上記構造単位(I−1)が、下記式(1−1a)から(1−1e)でそれぞれ表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。下記構造単位(I−1)において、上記の構造をとることで、その電子吸引性の高さに起因して、アルカリ現像における加水分解の反応速度が一段と向上し、被膜表面の動的接触角がさらに低下する。
Figure 2012088574
上記式(1−1a)〜(1−1e)中、R、R、及びRfの定義は上記式(1−1)と同義である。
上記式(1−1a)〜(1−1e)でそれぞれ表される構造単位としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2012088574
Figure 2012088574
上記式中、R及びRfの定義は上記式(1)と同じである。
構造単位(I−1)のその他の具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2012088574
上記構造単位(I)の他の好ましい具体例として、上記式(1−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう。)が挙げられる。
上記式(1−2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は少なくとも1個のハロゲン原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基である。Rfは、フッ素原子を有していてもよい1価の鎖状炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。Rは置換基を有していてもよい2価の鎖状炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。
上記式(1−2)のRで表される置換基を有していてもよい2価の鎖状炭化水素基又は芳香族炭化水素基の例としては、上記式(1−1)におけるRの例を挙げることができる。
上記構造単位(I)の他の好ましい具体例として、上記式(1−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−3)」ともいう。)が挙げられる。
上記式(1−3)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は少なくとも1個のハロゲン原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基である。Rは、1価の芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。R21はメチレン基、−CH(CH)−、−C(CH−、−CHCH−又は酸素原子である。R22は水素原子又は置換基である。
上記式(1−3)のRである水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい1価の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレンを有する1価の炭化水素基等が挙げられる。このような炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基や、これらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されているものが挙げられる。Rとして表される1価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上記連結基Eが有していてもよい置換基の例を挙げることができる。上記置換基の中でもハロゲン原子又はRP1が好ましく、フッ素原子又は水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基がより好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が特に好ましい。Rが有する置換基の数としては、1〜5個が好ましく、1〜3個がさらに好ましく、1〜2個が特に好ましい。
で表される基の好適な例としては、例えば、上記式(Rf−c)及び(Rf−d)で表される基が挙げられる。
上記構造単位(I)の別の好ましい具体例として、上記式(1−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−4)」ともいう。)も挙げられる。
上記式(1−4)のR’は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基である。少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、フルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、フルオロブチル基、トリフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
上記式(1−4)のRfで表されるフッ素原子を有していてもよい1価の鎖状炭化水素基としては、上記式(1)におけるRfの例が挙げられる。
上記式(1―4)のRfで表されるフッ素原子を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基としては、上記式(1)におけるRfの例が挙げられる。
上記[A]含フッ素重合体における全構造単位に対する構造単位(f)の含有率が30mol%以上100mol%以下であることが好ましい。このような含有率にすることによって、液浸露光時における高い動的接触角と共に、現像による動的接触角の十分な低下を達成できる。
当該感放射線性樹脂組成物では、[A]含フッ素重合体が、構造単位(II)及び構造単位(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位をさらに有することが好ましい。上記[A]含フッ素重合体が、上記構造単位(II)及び構造単位(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位をさらに有することで、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜の現像プロセスにおける動的接触角の変化度をさらに大きくすることができる。
[構造単位(II)]
上記[A]含フッ素重合体は、下記式(2)で表される構造単位(II)を有していてもよい。
Figure 2012088574
上記式(2)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Gは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−、又は−O−CO−NH−である。Rは少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の1価の鎖状炭化水素基又は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基である。
上記構造単位(II)のRで表される基の具体例としては、上記式(1)におけるRの例が挙げられる。
上記構造単位(II)のRで表される少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の鎖状炭化水素基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
また、上記構造単位(II)のRで表される少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数4〜20の脂肪族環状炭化水素基としては、例えばモノフルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、モノフルオロシクロヘキシル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシルメチル基、フルオロノルボルニル基、フルオロアダマンチル基、フルオロボルニル基、フルオロイソボルニル基、フルオロトリシクロデシル基、フルオロテトラシクロデシル基等が挙げられる。
上記構造単位(II)を与える単量体としては例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロノルボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロアダマンチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロイソボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロトリシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロテトラシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記[A]含フッ素重合体において、構造単位(II)の含有率は、[A]含フッ素重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)の総量が、0mol%〜50mol%が好ましく、0mol%〜30mol%がさらに好ましく、5mol%〜30mol%が特に好ましい。このような含有率にすることによって液浸露光時においてレジスト被膜表面のより高い動的接触角を発現させることができる。なお、[A]含フッ素重合体は、構造単位(II)を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて有していてもよい。
[構造単位(III)]
[A]含フッ素重合体は、下記式(3)で表される構造単位(III)を有していてもよい。
Figure 2012088574
上記式(3)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Rは炭素数1〜20の(m+1)価の炭化水素基であり、RのR側の末端に酸素原子、硫黄原子、−NR’−(但し、R’は水素原子又は1価の有機基である。)、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。Rは単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基である。Xは単結合、又は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。Aは酸素原子、−NR’’−(但し、R’’は水素原子又は1価の有機基である。)、−CO−O−*又は−SO−O−*(「*」はRに結合する結合手を示す。)である。Rは水素原子又は1価の有機基である。mは1〜3の整数である。但し、mが2又は3の場合、複数のR、X、A及びRはそれぞれ独立して上記定義を有する。)
上記式(3)中、Rが水素原子である場合には[A]重合体のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができる点で好ましい。
また、上記式(3)中、Rとして表される1価の有機基としては、酸解離性基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる。
「酸解離性基」とは、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、酸の存在下で解離する基をいう。これにより、構造単位(III)は、酸の作用によって極性基を生じることとなる。従って、上記式(3)中、Rが酸解離性基の場合には、後述するレジストパターン形成方法における露光工程において露光された部分のアルカリ現像液に対する溶解性を高くすることができる点で好ましい。
酸解離性基としては、例えばt−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、(チオテトラヒドロピラニルスルファニル)メチル基、(チオテトラヒドロフラニルスルファニル)メチル基や、アルコキシ置換メチル基、アルキルスルファニル置換メチル基等が挙げられる。なお、アルコキシ置換メチル基におけるアルコキシル基(置換基)としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシル基がある。また、アルキルスルファニル置換メチル基におけるアルキル基(置換基)としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基がある。また、酸解離性基としては、後述する構造単位(IV)の項に記載した式(Y−1)で表される基であってもよい。これらの中でも、上記式(3)中、Aが酸素原子又は−NR’’−の場合はt−ブトキシカルボニル基又はアルコキシ置換メチル基が好ましい。また、式(3)中、Aが−CO−O−の場合、後述する構造単位(IV)の項に記載した式(Y−1)で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、Xは少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。Xとしては、例えば上記式(X2−1)〜(X2−6)で表される基が挙げられる。
上記Xとしては、上記式(3)中、Aが酸素原子の場合には上記式(X2−1)で表される基が好ましい。また、上記式(3)中、Aが−CO−O−の場合には上記式(X2−2)〜(X2−6)で表される基のうちのいずれか1種であることが好ましく、上記式(X2−1)で表される基であることがより好ましい。
なお、上記式(3)中、mは1〜3の整数である。従って、構造単位(III)にはRが1〜3個導入される。mが2又は3の場合、R、R、X及びAはそれぞれ独立である。すなわち、mが2又は3の場合、複数のRは同じ構造のものであってもよいし異なる構造のものであってもよい。また、mが2又は3の場合、複数のRがRの同一の炭素原子に結合していてもよいし、異なる炭素原子に結合していてもよい。
上記構造単位(III)としては、下記式(3−1a)〜(3−1c)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(3−1a)〜(3−1c)中、Rは、炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。X、R及びmの定義は上記式(3)と同じである。mが2又は3である場合、複数のX及びRはそれぞれ独立である。
構造単位(III)を与える単量体としては、下記式(3m−1)〜(3m−6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(3m−1)〜(3m−6)中、Rの定義は上記式(3)と同じである。Rはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。
上記[A]含フッ素重合体において、構造単位(III)の含有率は、[A]含フッ素重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の総量が、0mol%〜50mol%が好ましく、5mol%〜40mol%がより好ましく、10mol%〜30mol%が特に好ましい。このような含有率にすることによって、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜表面は、アルカリ現像において動的接触角の低下度を向上させることができる。なお、[A]重合体は、構造単位(III)を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて有してもよい。
[構造単位(IV)]
上記[A]重合体は、下記式(4)で表される構造単位(IV)を有していてもよい。[A]重合体が構造単位(IV)を含むことにより、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのアルカリ現像後の形状をより改善することができる。
Figure 2012088574
上記式(4)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Yは酸解離性基である。
酸解離性基としては、下記式(Y−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2012088574
上記式(Y−1)中、Rp1は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基である。Rp2及びRp3はそれぞれ独立して炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基であるか、又はRp2及びRp3が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基を形成する。
上記式(Y−1)中、Rp1〜Rp3として表される基のうち、炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基、又はRp2及びRp3が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに形成される炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基としては、例えば、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格等の有橋式骨格や、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカン骨格を有する基;これらの基を例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種又は1個以上で置換した基等の脂肪族環状炭化水素骨格を有する基が挙げられる。これらの中でも、現像後のレジストパターンの形状をより改善させることができる点でシクロアルカン骨格を有する基が好ましい。
上記構造単位(IV)としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−4)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(4−1)〜(4−4)中、Rの定義は上記式(4)と同じである。Rp1〜Rp3はそれぞれ独立して上記式(Y−1)と同義である。Rp2及びRp3は互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基を形成していてもよい。rは1〜3の整数である。
上記[A]含フッ素重合体において、構造単位(IV)の含有率としては、[A]含フッ素重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の総量が70mol%以下が好ましく、5mol%〜60mol%がより好ましい。このような含有率にすることによって現像後のレジストパターン形状をさらに改善することができる。なお、[A]含フッ素重合体は、構造単位(IV)を、単独又は2種以上を組み合わせて有してもよい。
[構造単位(V)]
上記[A]含フッ素重合体は、アルカリ可溶性基を有する構造単位(以下、「構造単位(V)」ともいう。)を有していてもよい。[A]含フッ素重合体が構造単位(V)を含むことにより、現像液に対する親和性を向上できる。
上記構造単位(V)におけるアルカリ可溶性基は、現像液に対する溶解性向上の観点から、pKaが4〜11の水素原子を有する官能基であることが好ましい。このような官能基としては、例えば下記式(5s−1)及び(5s−2)で表される官能基等が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(5s−1)中、Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基である。
上記式(5s−1)中、Rとして表される少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基は、炭素数1〜10の炭化水素基における一部又は全部の水素原子がフッ素原子に置換されたものであれば特に限定されない。例えば、トリフルオロメチル基等が好ましい。
上記構造単位(V)を[A]含フッ素重合体に組み込むために用いられる単量体としては、特に限定されるものではないが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はα−トリフルオロアクリル酸エステル等であることが好ましい。
上記構造単位(V)としては、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、WO2009/041270パンフレット[0018]〜[0022]段落に記載のものが挙げられる。
上記[A]含フッ素重合体において、構造単位(V)の含有率は、[A]含フッ素重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(V)の総量が通常50mol%以下であり、5mol%〜30mol%が好ましく、5mol%〜20mol%がより好ましい。このような含有率にすることによって、液浸露光時における撥水性の確保と現像時における現像液への親和性向上をバランス良く達成することができる。
[構造単位(VI)]
上記[A]含フッ素重合体は、下記式(6)で表される構造単位(VI)を有していてもよい。[A]含フッ素重合体が構造単位(VI)を含むことにより、現像液に対する親和性を向上させることができる。
Figure 2012088574
上記式(6)において、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。RL21は単結合又は2価の連結基である。RL21はラクトン構造を有する1価の有機基又は環状カーボネート構造を有する1価の有機基である。
上記式(6)における2価の連結基RL21としては、例えば、上記構造単位(I)における2価の連結基の例が挙げられる。
上記式(6)中、RLcとして表されるラクトン構造を有する1価の有機基としては下記式(Lc−1)〜(Lc−6)で表される基が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(Lc−1)〜(Lc−6)中、RLc1はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基である。RLc2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。nLc1はそれぞれ独立して0又は1である。nLc2は0〜3の整数である。「*」は上記式(6)中のRL21に結合する結合手を示す。また、式(Lc−1)〜(Lc−6)で表される基は置換基を有していてもよい。
構造単位(VI)としては、例えば特開2007−304537号公報[0054]〜[0057]段落に記載のもの、特開2008−088343号公報[0086]〜[0088]段落に記載のもの、下記式(6−1a)〜(6−1j)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(6−1a)〜(6−1j)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。
なお上記構造単位(VI)は単独又は2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。上記構造単位(VI)を与える好ましい単量体としては国際公開2007/116664号パンフレット[0043]段落に記載のものが挙げられる。
上記構造単位(VI)のうち、環状カーボネート構造を有する構造単位としては、例えば、下記式(6−2a)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(6−2a)中、Rは上記式(6)と同義である。Dは炭素数1〜30の3価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の3価の脂肪族環状炭化水素基、又は炭素数6〜30の3価の芳香族炭化水素基である。Dはその骨格中に酸素原子、カルボニル基、−NH−を有していてもよい。また、Dは置換基を有していてもよい。
上記式(6−2a)で表される構造単位を与える単量体は、例えばTetrahedron Letters,Vol.27,No.32 p.3741(1986)、Organic Letters,Vol.4,No.15 p.2561(2002)等に記載された、従来公知の方法により合成できる。
上記式(6−2a)で表される構造単位の好ましい例としては、特開2010−066503号公報[0020]段落に記載のものが挙げられ、より好ましくは下記式(6−2a−1)及び(6−2a−2)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2012088574
上記式(6−2a−1)及び(6−2a−2)中、Rは上記式(6)と同義である。
上記[A]含フッ素重合体において、構造単位(VI)の含有率は、[A]含フッ素重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(VI)の総量が通常50mol%以下であり、5mol%〜40mol%が好ましく、5mol%〜30mol%がより好ましい。このような含有率にすることによって、液浸露光時における高い動的接触角と共に、現像による動的接触角の十分な低下を達成することができる。
[A]含フッ素重合体の含有量としては、当該感放射線性樹脂組成物において[A]含フッ素重合体と必要に応じて含有させる他の重合体とを合わせた全重合体に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.3質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜8質量%が特に好ましい。[A]含フッ素重合体の含有量が0.1質量%未満であると、当該感放射線性樹脂組成物から得られるレジスト被膜の動的接触角に場所によるムラが生じるおそれがある。一方、この含有量が20質量%を超えると、露光部と未露光部でレジスト被膜の溶解差が小さくなるため、パターン形状が悪化するおそれがある。
[[A]含フッ素重合体の製造方法]
上記[A]含フッ素重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。ラジカル重合の方法としては、例えば、(1)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(2)単量体を含有する溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(3)各々の単量体を含有する、複数種の溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法が好ましい。
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがさらに好ましく、70mol%以上であることが特に好ましい。
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。反応温度としては、通常、30℃〜150℃であり、40℃〜150℃が好ましく、50℃〜140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜12時間であり、45分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましい。
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、ジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。この中でジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
上記[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1,000〜50,000であることが好ましく、1,000〜40,000であることがより好ましく、1,000〜30,000であることが特に好ましい。[A]含フッ素重合体のMwが1,000未満であると十分な動的接触角を有するレジスト被膜を得ることができないおそれがある。一方、[A]重合体のMwが50,000を超えると、レジスト被膜の現像性が低下するおそれがある。
また、上記[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜5.0であり、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。
[低分子量重合体含有量]
当該感放射線性樹脂組成物においては、分子量1,000以下の[A]含フッ素重合体(以下、「低分子量重合体」ともいう。)の含有量が、0.02質量%以下であることが好ましく、0.017質量%以下がより好ましく、0.014質量%以下がさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の低分子量重合体の含有量を上記範囲とすることで保存安定性がさらに向上する。感放射線性樹脂組成物の低分子量重合体含有量を上記範囲とすることにすることで、保存安定性が向上する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、このような低分子量重合体は、[A]含フッ素重合体のより高分子量の成分と比較して、塩基解離性基の加水分解反応が起こり易く、液中パーティクルの発生原因となり易いと考えられる。そのため、低分子量重合体含有量の低減が保存安定性の向上につながると考えられる。感放射線性樹脂組成物における低分子量重合体含有量は、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)を用いて測定することができる。
上記低分子量重合体含有量の小さい感放射線性樹脂組成物を製造する方法としては、[A]含フッ素重合体の溶液又は合成重合反応液に対し、[A]含フッ素重合体に対する良溶媒と貧溶媒とを用いる液液精製法にて処理を行う方法、[A]含フッ素重合体を合成した際の重合反応液や調製した感放射線性樹脂組成物等の[A]含フッ素重合体を含む溶液を限外濾過膜により濾過する方法、[A]含フッ素重合体として、高分子量の重合体や分子量分布の狭い重合体を合成して用いる方法、又は[A]含フッ素重合体を溶媒に溶解し、再沈させることで、低分子量重合体を低減させて用いる方法等が挙げられる。
<[B]重合体>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]含フッ素重合体とは別に、[B]酸解離性基を有し、上記[A]含フッ素重合体よりもフッ素原子含有率の小さい重合体(以下、単に「[B]重合体」ともいう。)を含有することが好ましい。このような酸解離性基を有する重合体は酸の作用前はアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性で、後述する[C]酸発生剤等から発生する酸の作用により酸解離性基が脱離するとアルカリ可溶性となる。重合体が「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」であるとは、当該感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、レジスト被膜に代えてこのような重合体のみを用いた膜厚100nmの被膜を現像した場合に、被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質をいう。
当該感放射線性樹脂組成物は、[B]重合体をさらに含有することにより、[A]含フッ素重合体及び[B]重合体を含む感放射線性樹脂組成物からレジスト被膜を形成した際に、[A]含フッ素重合体がレジスト被膜表面に偏在化する度合いが高くなる。その結果上述の[A]含フッ素重合体の疎水性及びその低下に起因する特性がより効率的に発現される。なお、このフッ素原子含有率は13C−NMRにより測定することができる。
[B]重合体は、上述のような性質を有する重合体である限り、その具体的な構造は特に限定されるものではないが、[A]含フッ素重合体についての上記式(3)で表される構造単位(III)及び上記式(6)で表される構造単位(VI)を有することが好ましい。
上記[B]重合体中、構造単位(III)の含有率としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の総量が、0mol〜30mol%が好ましく、0mol〜15mol%がより好ましい。含有率が30mol%を超えると、基板との密着性が不十分となりパターンが剥がれてしまうおそれがある。
上記[B]重合体中、構造単位(VI)の含有率としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(VI)の総量が、5mol〜75mol%が好ましく、15mol〜65mol%がより好ましく、25mol〜55mol%が特に好ましい。含有率が5mol%未満であるとレジストとして基板との密着性が不十分となりパターンが剥がれてしまうおそれがある。一方、含有率が75mol%を超えると、溶解した後のコントラストが損なわれ、パターン形状が低下するおそれがある。
[B]重合体は、上記フッ素原子含有率を有する限り、構造単位(III)及び構造単位(VI)以外の他の構造単位を有するものであってもよい。他の構造単位を構成する重合性不飽和単量体としては、国際公開2007/116664A号[0065]〜[0085段落に開示されている単量体が挙げられる。
他の構造単位としては、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルに由来する構造単位;
上記構造単位(V);
下記式(o−1)等で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012088574
上記式(o−1)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Ro1は2価の連結基である。
上記式(o−1)におけるRo1で表される2価の連結基としては、例えば、上記構造単位(I)における2価の連結基の例が挙げられる。
[B]重合体のMwとしては、通常3,000〜300,000であり、4,000〜200,000が好ましく、4,000〜100,000がより好ましい。Mwが3,000未満であると、レジストとしての耐熱性が低下するおそれがある。一方、Mwが300,000を超えると、レジストとしての現像性が低下するおそれがある。
当該感放射線性樹脂組成物では、[A]含フッ素重合体の含有量が、[B]重合体100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。[A]含フッ素重合体の含有量を上記範囲とすることで、[A]含フッ素重合体のレジスト被膜の表面への偏析が効果的に起きるので、レジスト被膜からの溶出がさらに抑制されると共に、レジスト被膜表面の動的接触角がさらに高まるため、水切れ性をさらに向上できる。
<[C]感放射線性酸発生剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[C]感放射線性酸発生剤(以下、単に「[C]酸発生剤」ともいう。)を含有することが好ましい。[C]酸発生剤としては、例えばスルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物が挙げられる。[C]酸発生剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このような[C]酸発生剤の好適な具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[C]酸発生剤としては、具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(1−ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[C]酸発生剤の配合量としては、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、当該感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、0.1質量部〜20質量部がより好ましい。酸発生剤の配合量が0.1質量部未満では、感度及び現像性が低下する傾向があり、30質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなる傾向がある。
<[D]酸拡散制御剤>
[D]酸拡散制御剤としては、例えば下記式(8)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう。)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう。)、窒素原子を3個以上有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。[D]酸拡散制御剤を含有すると、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度を向上させることができる。[D]酸拡散制御剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2012088574
上記式(8)中、R12〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えば
n−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;
トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;
アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類の他、ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。
また上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えばN―(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−アミロキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
また、酸拡散制御剤としては、下記式(9)で表される化合物を用いることもできる。
・・・(9)
上記式(9)中、Xは、下記式(9−1−1)又は(9−1−2)で表されるカチオンである。Zは、OH、RD1−COOで表されるアニオン、RD1−SO で表されるアニオン、又はRD1−N−SO−RD2で表されるアニオンである。但し、RD1は、置換されていてもよいアルキル基、1価の脂肪族環状炭化水素基又はアリール基である。RD2は一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基若しくは1価の脂肪族環状炭化水素基である。
Figure 2012088574
上記式(9−1−1)中、RD3〜RD5は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子である。上記式(9−1−2)中、RD6及びRD7は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子である。
上記化合物は、露光により分解して酸拡散制御性を失う酸拡散制御剤(以下、「光分解性酸拡散制御剤」ともいう。)として用いられるものである。この化合物を含有することによって、露光部では酸が拡散し、未露光部では酸の拡散が制御されることにより露光部と未露光部のコントラストが優れ、即ち、露光部と未露光部の境界部分が明確になるため、特に本発明の感放射線性樹脂組成物のLWR(Line Width Roughness)、MEEF(Mask Error Enhancement Factor)の改善に有効である。
上記式(9)中のXは、上述したように一般式(9−1−1)又は(9−1−2)で表されるカチオンである。そして、上記式(9−1−1)中のRD3〜RD5は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、これらの中でも、上記化合物の、現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。また、上記式(9−1−2)中のRD6及びRD7は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、又はハロゲン原子であり、これらの中でも水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。
上記式(9)中のZは、OH、RD1−COOで表されるアニオン、RD1−SO で表されるアニオン、は式RD1−N−SO−RD2で表されるアニオンである。但し、これらの式中のRD1は、置換されていてもよいアルキル基、脂肪族環状炭化水素基又はアリール基であり、これらの中でも、上記化合物の、現像液に対する溶解性を低下させる効果があるため、脂肪族環状炭化水素基又はアリール基が好ましい。
上記式(9)における置換されていてもよいアルキル基としては、例えば
ヒドロキシメチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基;
メトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシル基;
シアノ基;
シアノメチル基等の炭素数2〜5のシアノアルキル基等の置換基を1種以上有する基等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシメチル基、シアノ基、シアノメチル基が好ましい。
上記式(9)における置換されていてもよい脂肪族環状炭化水素基としては、例えばヒドロキシシクロペンタン、ヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサノン等のシクロアルカン骨格;1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(カンファー)等の有橋脂肪族環状炭化水素骨格等の脂肪族環状炭化水素由来の1価の基等が挙げられる。これらの中でも、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基が好ましい。
上記式(9)における置換されていてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルシクロヘキシル基等があげられ、これらの化合物を、ヒドロキシル基、シアノ基等で置換したもの等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ベンジル基、フェニルシクロヘキシル基が好ましい。
上記式(9)中のZは、下記式(9−2−1)で表されるアニオン(すなわち、RD1がフェニル基であるRD1−COOで表されるアニオン)、下記式(9−2−2)で表されるアニオン(すなわち、RD1が1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン由来の基であるRD1−SO で表されるアニオン)又は下記式(9−2−3)で表されるアニオン(すなわち、RD1がブチル基であり、RD2がトリフルオロメチル基であるRD1−N−SO−RD2で表されるアニオン)が好ましい。
Figure 2012088574
上記光分解性酸拡散制御剤は、一般式(9)で表されるものであり、具体的には、上記条件を満たすスルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物である。
スルホニウム塩化合物としては、例えばトリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムサリチラート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルサリチラート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチラート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホナート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホナート等が挙げられる。
ヨードニウム塩化合物としては、例えばビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルサリチラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホナート等が挙げられる。
[D]酸拡散制御剤の含有量としては、当該感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。酸拡散制御剤が過剰に含有されると、形成したレジスト被膜の感度が著しく低下するおそれがある。
<[E]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は通常、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒は少なくとも[A]含フッ素重合体、及び所望により含有される[B]重合体、[C]酸発生剤等を溶解可能な溶媒であれば、特に限定されない。このような溶媒としては、例えば
直鎖状又は分岐状のケトン類;
環状のケトン類;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;
3−アルコキシプロピオン酸アルキル類等が挙げられる。
この中で、当該感放射線性樹脂組成物の保存安定性の観点から、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンがより好ましい。
また、当該感放射線性樹脂組成物の保存安定性をより向上させる観点からは、[E]溶媒の溶解度パラメータ(Solubility Parameter:SP値)が、8〜11が好ましく、8.5〜10.7がより好ましく、9〜10.5がさらに好ましい。[E]溶媒の溶解度パラメータが上記範囲であることによって当該感放射線性樹脂組成物の保存安定性が向上する理由としては、例えば、保存中の塩基解離性基の加水分解反応を抑制すると共に、パーティクルの析出を抑制していること等が考えられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、SP値は、例えば、Fedorsの方法によって求めることができる。当該方法は、POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,vol.14,Issue2、p.147−154に記載されている。
<その他の任意成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、上記の他、必要に応じその他の任意成分として、偏在化促進剤、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤、架橋剤等を配合することができる。
[偏在化促進剤]
偏在化促進剤は、[A]含フッ素重合体をより効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有する。当該感放射線性樹脂組成物にこの偏在化促進剤を含有させることで、[A]含フッ素重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、LWR、現像欠陥、パターン倒れ耐性等のレジスト基本特性を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上できる。このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えばラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ラクトン化合物としては、例えばγ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。
カーボネート化合物としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、例えばスクシノニトリル等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
偏在化促進剤の含有量としては、重合体の総量を100質量部とした場合に、10質量部〜500質量部が好ましく、30質量部〜300質量部がより好ましい。
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤の含有量としては、当該感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
脂環式骨格含有化合物の配合量としては、当該感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体の総量100質量部に対して通常、50質量部以下であり、30質量部以下が好ましい。
[増感剤]
増感剤は、[C]酸発生剤に吸収される放射線のエネルギー以外のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを例えば電子やラジカルのような形で[C]酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[架橋剤]
本発明の感放射線性樹脂組成物をネガ型感放射性樹脂組成物として用いる場合においては、アルカリ現像液に可溶な重合体を、酸の存在下で架橋しうる化合物(以下、「架橋剤」と称することがある。)を配合しても良い。架橋剤としては、例えば、アルカリ現像液に可溶な重合体との架橋反応性を有する官能基(以下、「架橋性官能基」と称することがある。)を1種以上有する化合物が挙げられる。
上記架橋性官能基としては、例えばグリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基、イソプロペニル基、(ジメチルアミノ)メチル基、(ジエチルアミノ)メチル基、(ジメチロールアミノ)メチル基、(ジエチロールアミノ)メチル基、モルホリノメチル基等が挙げられる。
架橋剤としては、例えばWO2009/51088の[0169]〜[0172]段落に記載のものが挙げられる。
架橋剤としては、メトキシメチル基含有化合物が好ましく、ジメトキシメチルウレア、テトラメトキシメチルグリコールウリル等がより好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
架橋剤の使用量としては、アルカリ現像液に可溶な重合体100質量部に対して、5質量部〜95質量部が好ましく、15質量部〜85質量部がより好ましく、20質量部〜75質量部が特に好ましい。架橋剤の使用量が5質量部未満では、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤等を来しやすくなる傾向があり、一方95質量部を超えると、アルカリ現像性が低下する傾向がある。
[その他]
当該感放射線性樹脂組成物は、上記その他の任意成分以外に、染料、顔料、接着助剤等を含有することもできる。例えば、染料或いは顔料を用いることによって、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。他の添加剤としてはアルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[金属]
本発明の感放射線性樹脂組成物中の金属の合計含有量は30質量ppb以下であることを要し、20質量ppb以下が好ましく、10質量ppb以下がさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、金属の合計含有量を30質量ppb以下とすることで、保存安定性に優れたものとなる。すなわち、長期間の保存においても、パーティクルの発生が抑制されると共に、感度及び得られるレジスト被膜の後退接触角の変動が小さい感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
感放射線性樹脂組成物中の金属の含有量を30質量ppb以下とすることで保存安定性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、おそらく感放射線性樹脂組成物中の金属が、[A]含フッ素重合体の塩基解離性基の加水分解反応の触媒となっており、金属含有量を一定値以下とすることによりこの加水分解反応を抑制することができ、加水分解反応で生成する物質に起因して発生するパーティクル数の増加や、得られるレジスト被膜表面の後退接触角の低下、当該組成物の感度変化等が抑制されることなどが考えられる。また、不純物としての金属を核とする樹脂の溶媒中での凝集が低減されるため、液中パーティクル数が低減されること等も考えられる。
当該感放射線性樹脂組成物における金属の合計含有量M(質量ppb)の[A]含フッ素重合体の含有量A(質量%)に対する比(M/A)の上限としては、180が好ましく、120がより好ましく、60がさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物における金属の合計含有量と[A]含フッ素重合体との含有比を上記範囲とすることによって、保存安定性がより向上する。上記比と保存安定性が相関する理由としては、例えば、金属が[A]含フッ素重合体の塩基解離性基等に関与して保存安定性の低下が起こること等が考えられる。
当該感放射線性樹脂組成物中に含有される金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅、アルミニウム、鉄、マンガン、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、鉛、チタン、ジルコニウム、銀、白金等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物中に含有される金属の形態としては特に限定されず、金属カチオン、金属錯体、金属メタル、イオン性化合物等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物中の金属の各含有量及び合計含有量は、ICP−MS法(Inductively Coupled Plasma−Mass Spectrum)等によって測定することができる。
上記金属のうち、ナトリウム、マグネシウム、鉄については、それぞれの含有量が3質量ppb以下であることが好ましい。ナトリウム、マグネシウム及び鉄は、上記加水分解反応に対する触媒作用や、金属が核となることによるパーティクル発生速度が、他の金属と比較して特に大きく、そのため、当該感放射線性樹脂組成物の保存安定性に対する影響が大きいことが明らかになっている。従って、これらの少なくとも1種の金属の含有量を3質量ppb以下にすることが好ましく、これら全ての金属の含有量をそれぞれ3質量ppb以下にすることがさらに好ましい。
上述の観点から、当該感放射線性樹脂組成物において、金属含有量をM(質量ppb)、この金属のうち、ナトリウム、マグネシウム及び鉄の合計含有量をS(質量ppb)とした場合、Q=3.2×S+Mの式で求められる換算金属含有量Q(質量ppb)として、40質量ppbが好ましく、30質量ppbがより好ましく、20質量ppbがさらに好ましい。
感放射線性樹脂組成物中の金属の合計含有量を上記範囲とする方法としては、金属含有量が30質量ppbを超える感放射線性樹脂組成物を原料とし、例えば、ナイロン66膜をろ過メディアに用いたフィルター、イオン交換フィルター等によりろ過する方法が挙げられる。
[水]
当該感放射線性樹脂組成物においては、水分含有量が3質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の水分含有量を上記範囲とすることで、長期間における保存安定性がさらに向上する。感放射線性樹脂組成物の水の含有量を一定値以下にすることで、保存安定性が向上する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、以下のように考えることができる。すなわち、当該感放射線性樹脂組成物中の水の存在は、保存中における[A]含フッ素重合体の塩基解離性基の加水分解反応を促進すると考えられる。そして、上記加水分解によりカルボキシル基等が生成し、[A]含フッ素重合体の組成物中における相溶性が低下するため、パーティクルの発生が起こるものと推定される。従って、水の含有量が一定値以下である当該感放射線性樹脂組成物によれば、パーティクル生成が抑制される。また、当該組成物中の感放射線性酸発生剤の酸発生効率は、上記生成したカルボキシル基等の存在の影響を受けると考えられる。従って、当該感放射線性樹脂組成物によれば、その放射線感度の変動を抑制することができる。さらに、感放射線性樹脂組成物の保存中の加水分解により、[A]含フッ素重合体の疎水性は低下する。しかし、当該感放射線性樹脂組成物によれば、そのような加水分解が抑制され、塩基解離性基からのカルボキシル基等極性基の生成が抑制されているので、保存後の当該感放射線性樹脂組成物から得られるレジスト被膜表面の後退接触角の低下や変動を抑制することができるものと考えられる。なお、感放射線性樹脂組成物中の水の含有量は、カールフィッシャー法により測定することができる。
感放射線性樹脂組成物に含有される水分の含有量を3質量%以下とする方法としては、当該感放射線性樹脂組成物の調製に用いる溶媒について、蒸留や乾燥剤添加を行う方法、感放射線性樹脂組成物を窒素バブリングにより処理する方法等が挙げられる。また当該感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる[A]含フッ素重合体、[B]重合体、特に[C]酸発生剤等の吸湿性物質を乾燥下で管理し、水の含有を抑制する方法も有効である。
<感放射線性樹脂組成物の製造方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常、その使用に際して全固形分濃度が1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜25質量%となるように上記溶媒に溶解した後、例えば孔径0.02μm程度のフィルターでろ過することによって組成物溶液として調製される。
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法は、[A]含フッ素重合体を含む溶液を、ナイロンフィルター又はイオン交換フィルターにより濾過する工程を有する。[A]含フッ素重合体を含む溶液をナイロンフィルター又はイオン交換フィルターにより濾過することによって、簡便かつ確実に感放射線性樹脂組成物中の金属の含有量を上記範囲とすることができ、当該感放射線性樹脂組成物のコストの上昇を抑制しつつ、容易かつ確実に製造することができる。
濾過を行う[A]含フッ素重合体を含む溶液としては、[A]含フッ素重合体を含む限り特に限定されず、調製した感放射線性樹脂組成物の溶液であっても、[A]含フッ素重合体を溶媒に溶解して得られる溶液であっても、[A]含フッ素重合体を重合等により合成した際の重合反応溶液等であってもよい。
本発明の製造方法に使用可能なナイロンフィルターとしては、特に限定されないが、市販品として、例えば、日本ポール社製「フォトクリーンEZD」、日本ポール社製「フォトクリーンDDF」、日本ポール社製「ウルチプリーツ・P−ナイロン」等を挙げることができる。上記ナイロンフィルターの孔径としては、特に限定されないが、2〜150nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜70nmがさらに好ましい。ナイロンフィルターの孔径が150nmを超えると、本発明の感放射線性樹脂組成物の金属の合計含有量まで低減するために、数多くのフィルターで処理することが必要となり、製造方法が煩雑化するおそれがある。一方、ナイロンフィルターの孔径が2nmより小さいと処理速度が非常に小さくなって、製造に多大な時間を要するおそれがある。
本発明の製造方法に使用可能なイオン交換フィルターとしては、特に限定されないが、イオン交換基がポリエチレン製多孔膜又はポリプロピレン製多孔膜に固定された陽イオン交換型フィルターが好ましい。このようなイオン交換フィルターとしては、特に限定されるものではないが、市販品として、例えば、日本ポール社製「イオンクリーン」を挙げることができる。
なお、当該感放射線性樹脂組成物の金属等の含有量を低減する方法は、上記方法以外にも、例えば水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組合せ等、公知の方法を採用することができる。
また、当該製造方法においては、水の含有量を低減するため、さらに脱水処理を行う工程を有することが好ましい。このような脱水処理を行う方法として、例えば、上記[A]含フッ素重合体を含む溶液にガスをバブリングする方法が挙げられる。ガスをバブリングする方法を採用することで、非常に簡便に当該感放射線性樹脂組成物中の水の含有量を一定値以下とすることができる。バブリングに用いるガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができ、低コストの観点から空気等を用いることもできるが、得られる感放射線性樹脂組成物の品質への影響を防止する観点から、不活性ガスを用いることが好ましく、その中でも窒素を用いることがさらに好ましい。バブリングに用いるガスは、含まれる水蒸気の含有量が低いものが好ましい。この含まれる水蒸気の含有量としては、10,000質量ppm未満が好ましく、1,000質量ppm未満がより好ましく、100質量ppm未満がさらに好ましい。ガスをバブリングする[A]含フッ素重合体を含む溶液の温度としては、この溶液の沸点以下であれば特に限定されないが、例えば、0〜100℃、好ましくは、10〜70℃、さらに好ましくは、15〜40℃である。
当該製造方法において、当該感放射線性樹脂組成物中の[A]含フッ素重合体の低分子量重合体の含有量を低減して、当該組成物の保存安定性をさらに向上させるため、上記処理の前又は後に、[A]含フッ素重合体を含む溶液を、液液精製法により処理する工程を有してもよい。液液精製法は、[A]含フッ素重合体に対する良溶媒と貧溶媒とを用いて低分子量重合体の含有量を調整する方法である。通常、[A]含フッ素重合体を含む溶液に、良溶媒を加えてから、この液を貧溶媒中に投入し、得られる良溶媒層を回収することにより、低分子量重合体含有量の調整処理が行われる。
この場合、[A]含フッ素重合体を含む溶液としては、[A]含フッ素重合体を含む限り、特に限定されず、[A]含フッ素重合体を溶媒に溶解して得られる溶液であっても、[A]含フッ素重合体を重合により合成した際の重合反応液などであってもよく、また、これらの溶液にさらに溶媒を添加して得られる溶液又はこれらの溶液に含有される溶媒の一部又は全部を留去等により除去して得られる溶液であってもよい。また、用いられる良溶媒/貧溶媒の組み合わせ、使用量及びその比としては、[A]含フッ素重合体の種類、分子量等により適宜選択されるが、例えば、良溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール;アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル等、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、貧溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素が挙げられる。[A]含フッ素重合体を含む溶液に対する液液精製法により処理する回数は、1回でもよく、複数回繰り返してもよい。[A]含フッ素重合体の低分子量重合体含有量をより低減できることから、複数回繰り返すことが好ましい。
また、当該製造方法において、[A]含フッ素重合体の低分子量重合体の含有量を低減して、当該組成物の保存安定性をさらに向上させる方法として、上記金属含有量調整処理工程の前又は後に、[A]含フッ素重合体を含む溶液を限外濾過膜により濾過する工程を有してもよい。
この場合、限外濾過膜を用いて濾過する溶液は、[A]含フッ素重合体を含む限り、特に限定されず、調製した感放射線性樹脂組成物の溶液であっても、[A]含フッ素重合体を溶媒に溶解して得られる溶液であっても、[A]含フッ素重合体を重合により合成した際の重合反応液などであってもよく、また、これらの溶液にさらに溶媒を添加して得られる溶液又はこれらの溶液に含有される溶媒の一部又は全部を留去等により除去して得られる溶液であってもよい。
上記用いられる限外濾過膜としては、[A]含フッ素重合体の低分子量重合体の少なくとも一部を除去することができるものである限り、特に限定されず、一般的な限外濾過膜を使用することができる。限外濾過膜の材質としては、セルロール、ポリスルホン、ポリアミド、セラミックス等を挙げることができるが、耐溶剤性の観点から、セラミックスが好ましい。限外濾過膜の分画分子量の下限としては、700が好ましく、800がより好ましく、1,000がさらに好ましい。限外濾過膜の形状としては、平膜、円筒状、中空糸、スパイラル等が挙げられるが、高い透過流速が可能であり、また目詰まりが少ないことから円筒状が好ましい。
<フォトレジストパターンの形成方法>
当該感放射線性樹脂組成物を用いるレジストパターンの形成方法は(1)感放射線性樹脂組成物を用いて基板上にフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう。)、(2)上記フォトレジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、上記液浸露光用液体を介して上記フォトレジスト膜を液浸露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう。)と、(3)液浸露光された上記フォトレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(3)」ともいう。)とを有する。当該形成方法では、フォトレジスト組成物として当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、被膜表面の水切れ性が高く、高速スキャン露光によりプロセスタイムを短縮させると共に、現像欠陥の発生を抑制して、良好なレジストパターンを効率良く形成できる。
上記工程(1)では、本発明の感放射線性樹脂組成物の溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、フォトレジスト膜が形成される。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように感放射線性樹脂組成物溶液を塗布したのち、プレベークすることにより塗膜中の溶剤を揮発させ、レジスト膜が形成される。
上記レジスト膜の厚みとしては、10nm〜5,000nmが好ましく、10nm〜2,000nmがより好ましい。
プレベークの加熱条件としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、プレベークの温度としては、30℃〜200℃程度が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。プレベークの時間としては、10秒〜300秒が好ましく、20秒〜200秒がより好ましい。
上記工程(2)では、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、液浸露光用液体を介して、放射線を照射しフォトレジスト膜を液浸露光する。
上記液浸露光用液体としては、例えば純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物、フッ素系不活性液体等が挙げられる。
上記放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)又はKrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー(波長193nm)がより好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
本発明においては、露光後に加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEBの加熱条件としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、PEBの温度としては、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜170℃がより好ましい。PEBの時間としては、10秒〜300秒が好ましく、20秒〜200秒がより好ましい。
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、フォトレジスト膜上に保護膜を設けることもできる。さらに、液浸露光においてフォトレジスト膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば特開2005−352384号公報等に開示されているように、フォトレジスト膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。また、これらの技術は併用できる。
なお、液浸露光によるレジストパターン形成方法においては、フォトレジスト膜上に、上述の保護膜(上層膜)を設けることなく、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて得られるフォトレジスト膜のみにより、レジストパターンを形成できる。このような上層膜フリーのフォトレジスト膜によりレジストパターンを形成する場合、保護膜(上層膜)の製膜工程を省くことができ、スループットの向上が期待できる。
上記工程(3)では、露光されたレジスト膜を現像することにより、所定のレジストパターンが形成される。
現像工程に使用される現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
上記アルカリ性水溶液の濃度としては、10質量%以下が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超える場合、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、有機溶媒を添加することもできる。有機溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
有機溶媒の使用量としては、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下が好ましい。有機溶媒の使用量が100体積部を超える場合、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
本発明の感放射線性樹脂組成物を用い、上述のようにして得られるレジストパターンはレジスト被膜からの溶出による被膜性能の低下が抑制されていると共に、ウォーターマーク欠陥、現像欠陥等の各種欠陥の発生が抑制されているため、良好なパターン性を有しており、フィソグラフィー技術を応用した微細加工に好適である。また、当該感放射線性樹脂組成物は保存安定性に優れているので、保存期間の差異による諸特性の変動、バラツキが小さいため、高品質のレジスト製品を簡便な管理の下、得ることができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)]
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒にテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
13C−NMR分析]
重合体の各構造単位含有率を求めるための13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「JNM−ECX400」)を使用して測定した。
<[A]含フッ素重合体の合成>
[A]含フッ素重合体である重合体(A−1)〜(A−11)を、下記式(M−1)〜(M−15)で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(M−1)〜(M−15)」ともいう。)から選ばれる化合物を用い、下記手順に従って合成した。
Figure 2012088574
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
化合物(M−4)42.7g(60mol%)、化合物(M−5)57.3g(40mol%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.2gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、300gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末を50℃で17時間乾燥し、無色固体の共重合体を得た(収量72g、収率72%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−5)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ61:39であった。これを、重合体(A−1)とする。この共重合体のMwは7,500であった。
[合成例2](重合体(A−2)の合成)
化合物(M−4)11.1g(20mol%)、化合物(M−5)88.9g(80mol%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.49gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、300gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末を50℃で17時間乾燥し、無色固体の共重合体を得た(収量70g、収率70%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−5)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ20:80であった。これを、重合体(A−2)とする。この共重合体のMwは7,300であった。
[合成例3](重合体(A−3)の合成)
化合物(M−5)100g(100mol%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.24gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mlの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、300gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末を50℃で17時間乾燥し、無色固体の重合体を得た(収量75g、収率75%)。これを、重合体(A−3)とする。この重合体のMwは7,400であった。
[合成例4](重合体(A−4)の合成)
化合物(M−4)15.4g(20mol%)及び化合物(M−6)84.6g(80mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.47gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、300gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末を50℃で17時間乾燥し、無色固体の共重合体を得た(収量72g、収率72%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−5)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ21:79であった。これを、重合体(A−4)とする。この共重合体のMwは6,400であった。
[合成例5](重合体(A−5)の合成)
化合物(M−4)11.6g(20mol%)及び化合物(M−7)88.4g(80mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.61gを投入して単量体溶液を準備した。一方100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を2度、400gのメタノールにてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、白色固体の共重合体を得た(収量70g、収率70%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−7)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ21:79であった。これを、重合体(A−5)とする。この共重合体のMwは7,500であった。
[合成例6](重合体(A−6)の合成)
化合物(M−8)13.8g(20mol%)及び化合物(M−9)86.2g(80mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.13gを投入して単量体溶液を準備した。一方100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、白色固体の共重合体を得た(収量65g、収率65%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−8)及び化合物(M−9)に由来する構造単位の含有率(mol%)がそれぞれ20:80であった。これを、重合体(A−6)とする。この共重合体のMwは7,300であった。
[合成例7](重合体(A−7)の合成)
化合物(M−9)78.1g(75mol%)及び化合物(M−10)21.9g(25mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.05gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、白色固体の共重合体を得た(収量68g、収率68%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−9)及び化合物(M−10)に由来する繰り返し単位の含有率(mol%)はそれぞれ76:24であった。これを、重合体(A−7)とする。この共重合体のMwは7,600であった。
[合成例8](重合体(A−8)の合成)
化合物(M−4)16.3g(30mol%)及び化合物(M−11)83.7g(70mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.44gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノールへ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、白色固体の共重合体を得た(収量68g、収率68%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−11)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ33:67であった。これを、重合体(A−8)とする。この共重合体のMwは7,200であった。
[合成例9](重合体(A−9)の合成)
化合物(M−4)16.0g(20mol%)及び化合物(M−12)84.0g(80mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.59gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、無色固体の共重合体を得た(収量64g、収率64%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−12)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ23:77であった。これを、重合体(A−9)とする。この共重合体のMwは7,400であった。
[合成例10](重合体(A−10)の合成)
化合物(M−4)14.0g(20mol%)及び化合物(M−13)86.0g(80mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.15gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、白色固体の共重合体を得た(収量63g、収率63%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)及び化合物(M−12)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ24:76であった。これを、重合体(A−10)とする。この共重合体のMwは7,300であった。
[合成例11](重合体(A−11)の合成)
化合物(M−4)18.8g(30mol%)、化合物(M−15)5.4g(10mol%)及び化合物(M−14)75.8g(60mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.82gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内を攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色固体を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色固体を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色固体を60℃で17時間乾燥し、無色固体の共重合体を得た(収量64g、収率64%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−4)、化合物(M−15)及び化合物(M−14)に由来する構造単位の含有率(mol%)はそれぞれ32:11:57であった。これを、重合体(A−11)とする。この共重合体のMwは7,600であった。
<[A]含フッ素重合体の精製>
上記合成した[A]含フッ素重合体(重合体(A−1)〜(A−11))を感放射線性樹脂組成物の調製に用いる際には、上記得られた[A]含フッ素重合体の重合反応溶液について、下記の精製操作を行ってから用いた。
(i)[A]含フッ素重合体の重合反応溶液を固形分濃度が50質量%になるまで濃縮した。この濃縮液を分液漏斗に移液し、この濃縮液と等質量のメタノールを加えて濃縮液を均一に希釈した後、上記濃縮液質量の4倍のn−ヘキサンを投入して混合した。
(ii)得られた下層を回収し、分液漏斗に移液した後、濃縮液質量の0.2倍の2−ブタノンを加え、再び上記と同質量のメタノール、次いで上記と同質量のn−ヘキサンを投入して混合した。
(iii)上記(ii)の操作をもう一度繰り返した。
(iv)得られた下層をエバポレーターを用いてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒へ溶媒置換し、[A]含フッ素重合体の25重量%溶液とした。
(v)上記溶液を、[A]含フッ素重合体溶液として、感放射線性樹脂組成物の調製に用いた。
<[B]重合体の合成>
[合成例12](重合体(B−1)の合成)
化合物(M−1)33.11g(40モル%)、化合物(M−2)12.22g(10モル%)及び化合物(M−3)54.67g(50モル%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル8.08gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1,000mLの三口フラスコに投入し、30分間窒素ガスによりパージした。
窒素パージの後、三口フラスコ内の2−ブタノンを攪拌しながら、80℃に加熱した。次いで、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、80℃で3時間撹拌した。
重合終了後、重合溶液を水冷により、30℃以下に冷却した。そして、この重合反応溶液を2,000gのメタノール中へ投入し、白色粉末を析出させ、その後、これを濾別した。濾別された白色粉末を、2度、400gのメタノールを用いてスラリー洗浄した後、濾別した。次いで、白色粉末(共重合体)を50℃で17時間乾燥した(収量80.1g、収率80%)。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−2)及び化合物(M−3)に由来する構造単位の含有率(モル%)はそれぞれ41:10:49であった。これを重合体(B−1)とする。この重合体(B−1)のMwは7,300であった。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
上記合成例で合成した[A]含フッ素重合体及び[B]重合体以外の感放射線性樹脂組成物を構成する成分([C]酸発生剤、[D]酸拡散抑制剤、[E]溶媒)について以下に示す。
[C]酸発生剤
(C−1)4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(C−2)トリフェニルスルホニウム−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルジフルオロメタンスルホナート
[D]酸拡散抑制剤
(D−1)tert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート
(D−2)2,6−ジイソプロピルアニリン
[E]溶媒
(E−1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2)シクロヘキサノン
[実施例1]
重合体(A−1)5質量部を含有する上記精製で得られた重合体(A−1)溶液、重合体(B−1)100質量部、酸発生剤(C−1)6質量部及び(C−2)6質量部、酸拡散抑制剤(D−1)0.8質量部、並びに溶媒(E−1)1,980質量部([A]含フッ素重合体溶液からの持ち込み分を含む)及び溶媒(E−2)848質量部を混合して均一溶液とした。得られた均一溶液の低分子量重合体含有量は、0.009質量%であった。得られた溶液をさらに、孔径10nmのHDPEフィルター「フォトクリーンDDF PE−クリーン」、及び孔径10nmのナイロンフィルター「フォトクリーンDDF ウルチプリーツ・P−ナイロン」を用いてろ過することにより、実施例1の感放射線性樹脂組成物を調製した。
[実施例2〜11]
感放射線性樹脂組成物を構成する各成分を下記表1に記載の種類及び配合量とした以外は、実施例1と同様にして実施例2〜11の感放射線性樹脂組成物を調製した。
[実施例12]
実施例1において、ナイロンフィルター「フォトクリーンDDF ウルチプリーツ・P−ナイロン」として孔径10nmのものを用いる代わりに、孔径20nmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例12の感放射線性樹脂組成物を調製した。
[実施例13及び14]
実施例1において、ナイロンフィルター「フォトクリーンDDF ウルチプリーツ・P−ナイロン」として孔径10nmのものを用いる代わりに、孔径30nmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例13及び実施例14の感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、実施例14においては、溶媒(F−1)として、水の含有量の高いものを用いた。
[実施例15及び16]
実施例1において、ナイロンフィルター「フォトクリーンDDF ウルチプリーツ・P−ナイロン」として孔径10nmのものを用いる代わりに、孔径40nmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例15及び実施例16の感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、実施例16においては、溶媒(F−1)として、水の含有量の高いものを用いた。
[比較例1〜3]
感放射線性樹脂組成物を構成する各成分を下記表1に記載の種類及び配合量とし、ナイロンフィルターの代わりに、孔径200nmのメンブランフィルターを用いてろ過した以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3の感放射線性樹脂組成物を調製した。
[比較例4]
比較例1において、メンブランフィルターにより得られた濾液に、窒素バブリングを行って、液中の水の含有量を低減させた以外は比較例1と同様にして、比較例4の感放射線性樹脂組成物を得た。
<各含有量測定>
上記実施例及び比較例の各感放射線性樹脂組成物について、調製後、90日間室温かつ暗所に保存した後の組成物について、各含有量を下記方法にて測定した。
[金属含有量]
各感放射線性樹脂組成物を硝酸で10倍に希釈し、ICP−MS(Perkin Elmer社製「ELAN DRCII」)を用いて、感放射線性樹脂組成物に含まれるNa、K、Mg、Ca、Cu、Al、Fe、Mn、Sn、Cr、Ni、Zn、Pb,Ti、Zr、Ag及びPtの金属についての各含有量を測定した。また、各含有量の測定値から合計含有量を算出した。
[水の含有量]
各感放射線性樹脂組成物に含まれる水の量(質量%)は、微量水分測定装置(三菱化学社製)を用い、測定時の発生液は、エーピーアイコーポレーション社製「アクアミクロン(登録商標)AX」を、対極液は、エーピーアイコーポレーション社製「アクアミクロン(登録商標)CXU」を用いて、カールフィッシャー法により測定した。
[低分子量重合体含有量]
各感放射線性樹脂組成物中の低分子量重合体、すなわち、分子量1,000以下の[A]含フッ素重合体についての含有量(質量%)は以下の方法にて測定した。
感放射線性樹脂組成物50gをナス型フラスコ中に秤量し、エバポレーターにてバス温度30℃で2日間かけて溶媒留去し、残った固形分の質量を測定し、感放射線性樹脂組成物の固形分濃度(質量%)を算出した。
上記算出した固形分濃度に基づいて、感放射線性樹脂組成物100gを上記操作と同様にして、固形分濃度が25%になるまで濃縮した。得られた濃縮液を、攪拌している10倍質量のn−ヘキサンへゆっくり滴下し、不溶成分を析出させた。得られた懸濁液を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、得られた濾液の濾液質量(以下、「(1)」とする。単位:g)を測定した。
上記濾液からエバポレーターを用いてn−ヘキサンを完全に留去し、得られた残渣の質量を測定し、濾液中の残渣成分濃度(以下、「(2)」とする。単位:質量%)を算出した。
ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS:サーモサイエンティフィック製ITQ900)を用いて上記残渣中の各成分を同定し、低分子量重合体に対応する成分を選り分けた。さらに、GC(水素炎イオン化型検出器(FID)のもの:サーモサイエンティフィック製TRACE GC Ultra)を用いて、残渣中の低分子量重合体の成分の比率(以下、「(3)」とする。単位:質量%)を測定した。
上記得られた(1)から(3)の値から下記式(L)を用いて、感放射線性樹脂組成物に含まれる低分子量重合体含有量(質量%)を求めた。
感放射線性樹脂組成物中の低分子量重合体含有量(質量%)
=感放射線性樹脂組成物中の低分子量重合体の質量/感放射線性樹脂組成物の質量(100g)×100
=[(1)×{(2)/100}×{(3)/100}]×100/100
=(1)×(2)×(3)/10,000 ・・・(L)
<評価方法>
上記実施例及び比較例において調製した各感放射線性樹脂組成物を、調製直後、及び所定日数、室温、暗所に保存した後の組成物を用いて、以下の各項目について測定し、評価した。
[液中パーティクル数]
上記実施例及び比較例において調製直後、及び調製後、室温かつ暗所に30日間保存した後の組成物について、液中パーティクルカウンター(リオン社製「KS−41」)を用いて、感放射線性樹脂組成物1mLあたりに含まれる0.15μm以上のパーティクル数を測定した。
調製直後に対する30日保存後の液中パーティクル数の増加数が、0個以上10個以下の場合は「○」、10個を超えて50個以下の場合は「△」、50個を超える場合は「×」と評価した。
[後退接触角]
上記実施例及び比較例において調製直後、及び調製後、室温かつ暗所に30日間保存した後の組成物について、感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜の後退接触角を、下記手順に従って、測定した。
(1)反射防止層の形成
12インチシリコンウエハ表面に、下層反射防止膜形成用組成物(商品名「ARC66」、日産化学社製)を、半導体製造装置(型式名「Lithius Pro−i」、東京エレクトロン社製)を使用して、スピンコートした。次いで、プレベーク(PB)(205℃、60秒間)を行うことにより、膜厚105nmの反射防止層を形成した。
(2)フォトレジスト層の形成
その後、半導体製造装置(型式名「CLEAN TRACK ACT12」、東京エレクトロン社製)を使用して、フォトレジスト組成物をスピンコートした。そして、PB(110℃、60秒間)し、冷却(23℃、30秒間)することにより、膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。
(3)接触角の測定
形成した被膜について、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUS社製の「DSA−10」を用いて以下の手順で後退接触角を測定した。
まず、ウェハステージ位置を調整する。次に、ウェハをステージにセットする。「DSA−10」の針に水を注入する。次に、針の位置を微調整する。次に、針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成した後、水滴から針を一旦引き抜く。次に、針を上記微調整した位置に再び引き下げる。続いて、針によって水滴を10μL/分の速度で90秒間吸引するとともに、接触角を毎秒(計90回)測定する。次に、接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出して後退接触角(°)とした。
調製直後及び30日間保存後の感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜の後退接触角の値から、以下のように保存安定性を評価した。すなわち、両値間の変動が3%以内の場合は「○」、3%を超えて5%以下の場合は「△」、5%を超える場合は「×」とした。
[感度]
上記実施例及び比較例の各感放射線性樹脂組成物について、調製直後及び30日保存後に、下記手順により最適露光量を測定し、それぞれの「感度」とした。
(1)反射防止層の形成
12インチシリコンウエハ表面に、下層反射防止膜形成用組成物(商品名「ARC66」、日産化学社製)を、半導体製造装置(型式名「Lithius Pro−i」、東京エレクトロン社製)を使用して、スピンコートした。次いで、PB(205℃、60秒間)を行うことにより、膜厚105nmの反射防止層を形成した。
(2)フォトレジスト層の形成
その後、半導体製造装置(型式名「CLEAN TRACK ACT12」、東京エレクトロン社製)を使用して、フォトレジスト組成物をスピンコートした。そして、PB(110℃、60秒間)し、冷却(23℃、30秒間)することにより、膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。
(3)レジストパターンの形成
次いで、ArF液浸露光装置(商品名「S610C」、NIKON社製)を使用して、NA:1.30、Crosspoleの光学条件にて、ターゲットサイズが48nmライン/96nmピッチのマスクを介して露光した。その後、半導体製造装置(型式名「Lithius Pro−i」、東京エレクトロン社製)のホットプレート上で、PEB(95℃、60秒間)し、冷却(23℃、30秒間)した。次に、現像カップのGPノズルにて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液としてパドル現像(10秒間)し、超純水でリンスした。その後、2000rpm、15秒間振り切りで、スピンドライすることにより、48nmライン/96nmピッチのレジストパターン(ライン・アンド・スペースパターン)が形成された評価用シリコンウエハを得た。このとき、48nmライン/96nmピッチのマスク寸法において、48nmライン/96nmピッチのパターンを形成する露光量を最適露光量として求め、それを「感度」とした。
調製直後及び30日保存後の感放射線性樹脂組成物について得られた「感度」の値から、以下のように保存安定性を評価した。すなわち両値間の変動が0%以上3%以下の場合は「○」、3%を超えて5%未満の場合は「△」、5%以上の場合は「×」と評価した。
上記測定で得られた各金属含有量、上記式で算出される換算金属含有量Q(質量ppb)、水の含有量、及び保存安定性に関する各評価結果を下記表1に示す。
Figure 2012088574
上記表1の結果から、感放射線性樹脂組成物に含まれる金属の合計含有量が30質量ppb以下である場合には、液中パーティクル、後退接触角及び感度についての保存安定性に優れることが示された。一方、金属の合計含有量が30質量ppbを超えると、各特性についての保存安定性が悪化することも示された。
本発明の感放射線性樹脂組成物は半導体デバイス製造用の化学増幅型レジスト、特に液浸露光用のレジストとして好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. [A]塩基解離性基を含む構造単位(f)を有する含フッ素重合体を含有し、
    金属の合計含有量が30質量ppb以下である感放射線性樹脂組成物。
  2. 上記金属が、ナトリウム、マグネシウム又は鉄であり、このナトリウム、マグネシウム又は鉄の各含有量がそれぞれ3質量ppb以下である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 上記構造単位(f)の塩基解離性基がフッ素原子を有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. 上記塩基解離性基が芳香族炭化水素基である請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
  5. 上記構造単位(f)が下記式(1)で表される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2012088574
    (式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Eは単結合又は(n+1)価の連結基である。Rfはフッ素原子を有していてもよい1価の鎖状炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。nは1〜3の整数である。nが2又は3の場合、Rfはそれぞれ独立して上記定義を有する。)
  6. 上記式(1)が、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)でそれぞれ表される構造単位群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2012088574
    (式(1−1)中、R及びRfの定義は上記式(1)と同じである。Rは置換基を有していてもよい2価の鎖状の有機基又は芳香族炭化水素基である。Xは少なくとも1個のフッ素原子を有する2価の炭化水素基である。)
    Figure 2012088574
    (式(1−2)中、R及びRfの定義は上記式(1)と同じである。Rは置換基を有していてもよい2価の鎖状の有機基又は芳香族炭化水素基である。)
    Figure 2012088574
    (式(1−3)中、Rの定義は上記式(1)と同じである。Rは1価の芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。R21はメチレン基、−CH(CH)−、−C(CH−、−CHCH−又は酸素原子である。R22は水素原子又は置換基である。)
    Figure 2012088574
    (式(1−4)中、R’は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基である。Rfの定義は上記式(1)と同じである。)
  7. [A]含フッ素重合体が、酸解離性基を含む構造単位(p)をさらに有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  8. 上記構造単位(p)が、下記式(4)で表される請求項7に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2012088574
    (式(4)中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基であり、この炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基が少なくとも1個のハロゲン原子を有していてもよい。Yは下記式(Y−1)で表される基である。)
    Figure 2012088574
    (式(Y−1)中、Rp1は炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基である。Rp2及びRp3はそれぞれ独立して炭素数1〜4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基であるか、又はRp2及びRp3が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基を形成する。)
  9. [A]含フッ素重合体を含む溶液を、ナイロンフィルター又はイオン交換フィルターにより濾過する工程を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
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