JP2012087726A - 燃料用フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料の貯留機能を向上させた燃料用フィルターを提供する。
【解決手段】濾材シート23で袋状に形成されたフィルター部材24の内部に多孔質部材からなる塊状の形状保持部材25を配設する。こうした構成であれば、フィルター部材24で濾過された燃料の一部が形状保持部材25の気孔に保持されることから、フィルター部材24内に燃料を貯留することができる。また形状保持部材25には、吸引口に燃料が流入しやすいように、該吸引口まで燃料を導く貫通孔及び該貫通孔の開口から延びる流路溝36が形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】濾材シート23で袋状に形成されたフィルター部材24の内部に多孔質部材からなる塊状の形状保持部材25を配設する。こうした構成であれば、フィルター部材24で濾過された燃料の一部が形状保持部材25の気孔に保持されることから、フィルター部材24内に燃料を貯留することができる。また形状保持部材25には、吸引口に燃料が流入しやすいように、該吸引口まで燃料を導く貫通孔及び該貫通孔の開口から延びる流路溝36が形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料タンク内で燃料を濾過する燃料用フィルターに関する。
自動車や自動二輪車等における燃料タンク内の燃料は、通常、内燃機関を動力源とするフューエルポンプを用い、燃料タンク内に配設された燃料フィルターを通して内燃機関に供給される。こうした燃料用フィルターとしては、例えば特許文献1に記載のように、メッシュ織物や不織布等の濾材シートから形成される袋状のフィルター部材を用いるものが知られている。
特許文献1に記載の燃料用フィルターは、袋状に形成されたフィルター部材の内部に、対向する一対のシート部分を該内部において互いに離間させる骨格としてのフレーム部材が配設されている。そして、一対のシート部分の各々で濾過された燃料は、これらシート部分で囲まれるフィルター部材の内部を通して内燃機関へ供給される。このような構成によれば、フィルター部材の外表面が一対のシート部分によって構成されるため、フィルター部材が有する外表面の略全体で濾過機能が発現するようになる。
ところで、上述した燃料用フィルターでは、燃料タンク内における燃料の残量が少なくなると、路面の傾斜等によっては、フィルター部材の一部が燃料に浸されなくなる場合がある。そして、このような状態において内燃機関が停止すると、フィルター部材内の液面と燃料タンク内の液面とが略等しくなるように、フィルター部材内の燃料が濾材を通じて再びフィルター部材外へ流出することになる。このようにフィルター部材内の燃料の一部がフィルター部材外へ流出すると、内燃機関に供給可能な濾過後の燃料が減少することになるため、内燃機関の再始動時に該内燃機関に対して十分な燃料が供給されない虞がある。また、こうした燃料の供給不足は、内燃機関の円滑な始動を妨げる要因でもある。それゆえに、上述した燃料用フィルターには、フィルター部材の内部に燃料を貯留するという機能が強く望まれていた。
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、その目的は、濾過した燃料をフィルター内に貯留することの可能な燃料用フィルターを提供することにある。
請求項1に記載の燃料用フィルターは、濾材シートで袋状に形成されたフィルター部材の内部に燃料を貯留する多孔質部材を有することを要旨とする。
請求項1に記載の燃料用フィルターによれば、濾材シートで濾過された燃料の一部が多孔質部材の気孔に保持される。それゆえに、濾過された燃料がフィルター部材外へ流出することを抑えることができ、フィルター部材内に燃料を貯留することができる。
請求項1に記載の燃料用フィルターによれば、濾材シートで濾過された燃料の一部が多孔質部材の気孔に保持される。それゆえに、濾過された燃料がフィルター部材外へ流出することを抑えることができ、フィルター部材内に燃料を貯留することができる。
請求項2に記載の燃料用フィルターは、前記多孔質部材は、前記フィルター部材を構成する前記濾材シートに包まれた一つの構造体であることを要旨とする。
請求項2に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材がフィルター部材の内部に配
設される一つの構造体であることから、該多孔質部材のみでフィルター部材の形状を保持することができる。こうした構成によれば、フィルター部材の形状を保持する部材と多孔質部材とが別部材である場合に比べて、燃料用フィルターの構成部品が少なくなることから、燃料用フィルターの組立時における作業性を向上させることができる。
請求項2に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材がフィルター部材の内部に配
設される一つの構造体であることから、該多孔質部材のみでフィルター部材の形状を保持することができる。こうした構成によれば、フィルター部材の形状を保持する部材と多孔質部材とが別部材である場合に比べて、燃料用フィルターの構成部品が少なくなることから、燃料用フィルターの組立時における作業性を向上させることができる。
請求項3に記載の燃料用フィルターは、前記フィルター部材内の燃料を吸引するための吸引口が形成された吸引部材を有し、前記多孔質部材は、該多孔質部材の外表面のうちで前記吸引口と対向する部位と該部位とは異なる他の部位とを繋いで前記吸引口に燃料を導く誘導路を有することを要旨とする。
ここで、例えばフィルター部材の内部が負圧状態になることによって吸引口が多孔質部材で塞がれてしまうと、燃料が吸引口に流入しにくくなりフューエルポンプの吸引負荷が著しく増大してしまう虞がある。この点、請求項3に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材には、その外表面のうちで吸引口に対向する部位と該部位とは異なる他の部位とを繋ぐ誘導路が形成されている。こうした構成によれば、たとえフィルター部材の内部が負圧状態になったときに吸引口が誘導路と対峙することから、吸引口が多孔質部材で塞がれることがなくなるとともに、フィルター部材で濾過された燃料が誘導路を通じて吸引口に流入することになる。それゆえに、燃料用フィルターの貯留機能を維持しつつ、フューエルポンプの吸引負荷を抑えることもできる。
請求項4に記載の燃料用フィルターは、前記誘導路は、前記多孔質部材を貫通し前記吸引口に対向する部位に開口する貫通孔であることを要旨とする。
フィルター部材の内部が負圧状態になると、フィルター部材が多孔質部材に密着することになる。こうした状況下においては、吸引口に流入する燃料の大部分が、多孔質部材に設けた誘導路に対向する部位で濾過された燃料となる。そのため、吸引口側における多孔質部材の外表面にのみ誘導路を形成するとなれば、多孔質部材を挟んで吸引口の反対側における濾材シートで濾過された燃料が吸引口に流入しにくくなる。この点、請求項4に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材を挟んで吸引口の反対側における濾材シートで濾過された燃料を確実に吸引口に流入させることができる。
フィルター部材の内部が負圧状態になると、フィルター部材が多孔質部材に密着することになる。こうした状況下においては、吸引口に流入する燃料の大部分が、多孔質部材に設けた誘導路に対向する部位で濾過された燃料となる。そのため、吸引口側における多孔質部材の外表面にのみ誘導路を形成するとなれば、多孔質部材を挟んで吸引口の反対側における濾材シートで濾過された燃料が吸引口に流入しにくくなる。この点、請求項4に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材を挟んで吸引口の反対側における濾材シートで濾過された燃料を確実に吸引口に流入させることができる。
請求項5に記載の燃料用フィルターは、前記誘導路は、前記貫通孔の開口から前記多孔質部材の外表面に沿って延びる溝を有することを要旨とする。
請求項5に記載の燃料用フィルターによれば、たとえフィルター部材の内部が負圧状態になったとしても、多孔質部材の周縁から吸引口までの流通経路を確保することができる。すなわち、吸引口に流入する燃料の濾過をフィルター部材の広い範囲で行うことができる。これにより、フィルター部材における部分毎の濾過効率の違いを小さくすることができるとともに、フューエルポンプの吸引負荷をさらに抑えることができる。
請求項5に記載の燃料用フィルターによれば、たとえフィルター部材の内部が負圧状態になったとしても、多孔質部材の周縁から吸引口までの流通経路を確保することができる。すなわち、吸引口に流入する燃料の濾過をフィルター部材の広い範囲で行うことができる。これにより、フィルター部材における部分毎の濾過効率の違いを小さくすることができるとともに、フューエルポンプの吸引負荷をさらに抑えることができる。
請求項6に記載の燃料用フィルターは、前記多孔質部材が、粉末状の粒体を焼結させた焼結体で構成されており、前記吸引部材は、インサート成形により前記多孔質部材と一体成形されていることを要旨とする。
請求項6に記載の燃料用フィルターによれば、多孔質部材と吸引部材とが一体形成されていることから、燃料用フィルターの組立時における作業効率を向上させることができる。また、多孔質部材と吸引部材との相対位置が変化しないことから、多孔質部材に上記貫通孔や溝を形成した場合には、多孔質部材によって吸引口が塞がれることを確実に防止することができる。
以下、本発明に係る燃料用フィルターの一実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。まず、燃料用フィルターが用いられる燃料供給装置について説明する。図1は、燃料供給装置の概略構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、燃料供給装置10は、燃料Fが貯留された燃料タンク11と、該燃料タンク11内に配置されたチャンバ12及びフューエルポンプ13と、該チャンバ12内に配設される燃料用フィルター20とを有している。燃料用フィルター20は、屈曲可能に構成されて燃料Fを濾過するフィルター体21と、フィルター体21に接続される連結部材22とを有している。フィルター体21は、その一端がチャンバ12の底壁を押圧するように配置されており、上記連結部材22を介してフューエルポンプ13に接続されている。フューエルポンプ13は、フランジ14によって燃料タンク11に固定された供給用配管15に接続されている。そして燃料供給装置10は、フューエルポンプ13が駆動されることによって、チャンバ12内の燃料Fを燃料用フィルター20で濾過し、供給用配管15を通じて、その濾過された燃料Fを内燃機関16へ供給する。
次に、上述した燃料用フィルター20について図2〜図4を参照して詳しく説明する。図2(a)は、燃料用フィルターの斜視構造を示す斜視図であって、同図2(a)では、燃料用フィルターの内部構造を説明するために、燃料用フィルターの一部が切り欠かれた状態を示す。図2(b)は、溶着部における濾材シートの断面構造を示す断面図である。図3は、燃料用フィルターの断面構造を示す断面図であって、吸引口を含む長手方向に沿う断面構造を示している。図4は、形状保持部材の平面構造を示す平面図である。
図2(a)及び図3に示されるように、燃料用フィルター20は、フィルター体21と連結部材22とを有している。フィルター体21は、対向するシート部分23a,23bによって扁平な袋状に形成されるフィルター部材24と、該フィルター部材24内に配設される塊状の構造体である形状保持部材25と、フィルター体21と連結部材22とを連結するとともにフィルター部材24内の燃料Fを吸引するための吸引口31が形成された吸引部材32とで構成される。
フィルター部材24は、複数のシート状の合成繊維が積層された1枚の濾材シート23から形成されている。フィルター部材24は、一つの折り目で二重に折り重ねられた上記濾材シート23を有し、該折り目で区画された上側シート部分23aと下側シート部分23bとが互いの縁で溶着されることにより袋状に形成されている。図2(b)に示されるように、本実施形態の濾材シート23は、ポリプロピレン繊維で形成された不織布26aを最内層として有し、油と水とを分離可能な平織りのメッシュ織物27を最外層として有している。これら不織布26aとメッシュ織物27との間には、内側に位置するものほどメッシュのサイズが小さくなるように、不織布26b,26cが積層されている。
こうした濾材シート23で構成されるフィルター部材24においては、外側に位置する層で粒径の大きな異物が捕捉され、内側に位置する層で粒径の小さな異物が捕捉される。すなわち、サイズの異なる異物が互いに異なる層で捕捉されるため、各層における目詰まりを抑えることができる。なお、スパンボンド法で形成された不織布を最内層である不織布26aに採用し、且つメルトブロウン法で形成された不織布を中間層である不織布26
b,26cに採用すれば、相対的に高い剛性が不織布26aに与えられるため、不織布26aと形状保持部材25との擦れによって不織布からパーティクルが発生することを抑えることができる。
b,26cに採用すれば、相対的に高い剛性が不織布26aに与えられるため、不織布26aと形状保持部材25との擦れによって不織布からパーティクルが発生することを抑えることができる。
濾材シート23には、最内層となる不織布26a側から不織布26a,26b,26c、メッシュ織物27を超音波溶着法で溶着させた複数の溶着部28が離散的に設けられている。複数の溶着部28の各々は、フィルター部材24の内面に円形孔状に形成されている。このような溶着部28が形成されることによって、積層された不織布26a,26b,26c、及びメッシュ織物27が互いに固定される。そのため、燃料用フィルター20の使用時において、これら不織布26a,26b,26c、及びメッシュ織物27が互いにずれることを抑えることが可能である。また、不織布26a,26b,26c、及びメッシュ織物27が積層された母材から濾材シート23を切り出すこと、さらには、これらが積層された状態で燃料用フィルター20を組み立てることが可能である。
フィルター部材24内に配設される形状保持部材25は、図2〜図4に示されるように、略直方体形状に形成されており、その外表面でフィルター部材24の内面を支持することにより該フィルター部材24の内部空間の形状を保持する。形状保持部材25は、連続気孔構造を有した多孔質材で構成されており、本実施の形態では、合成樹脂からなる粉末状の粒体を金型に充填し、その後の加熱で各粒体を焼結させることによって形成される焼結体である。
吸引部材32は、連結部材22が連結されるとともに吸引口31が貫通形成された多段円筒形状をなしており、形状保持部材25における長手方向の略中央部分に配設されている。吸引部材32は、フィルター部材24に形成された露出孔40を通じて外表面に露出して、その大径円筒部において図示しない係合部を介して連結部材22に連結される。
こうした多孔質材で形状保持部材25を構成することにより、フィルター部材24で濾過された燃料Fの一部が形状保持部材25の気孔に保持されることから、フィルター部材24内における燃料の流動を抑えることができる。すなわち、例えば車両の姿勢の変化にともなってフィルター部材24の一部が燃料Fに浸されなくなっても、一旦濾過された燃料Fがフィルター部材24外へ流出することを抑えることができる。しかも、形状保持部材25が連続気孔構造を有した多孔質材からなることから、フィルター部材24の一端が燃料Fに浸されていれば、毛細管現象によって形状保持部材25全体に燃料Fが浸透する。そのため、燃料Fの残量が少なくなってフィルター部材24の一部が常に燃料Fに浸されない状況になったとしても、形状保持部材25全体で燃料Fを貯留することができる。すなわち、多孔質材で形状保持部材25を構成することによって、燃料用フィルター20の貯留機能を向上させることができる。
ここで、フューエルポンプ13の稼動にともなってフィルター部材24の内部が負圧状態になったとき、吸引部材32の吸引口31が形状保持部材25の上面25aで塞がれてしまうとなればフューエルポンプ13の吸引負荷が著しく増大してしまう。これに対して、本実施の形態の形状保持部材25は、図3及び図4に示されるように、誘導路として、吸引部材32の吸引口31に対向する部位に開口する貫通孔35を有している。こうした構成によれば、吸引口31が形状保持部材25によって塞がれることがなくなり、フィルター部材24で濾過された燃料Fを貫通孔35を通じて吸引口31に流入させることができる。これにより、燃料用フィルター20の貯留機能を維持しつつ、フューエルポンプ13への吸引負荷を抑えることができる。また、上記貫通孔35を設けることによって、形状保持部材25を挟んで吸引口31の反対側にある下側シート部分23bで濾過された燃料が吸引口31に流入しやすくもなる。
一方、フィルター部材24のうちで貫通孔35の開口から離れている部分で濾過された燃料Fは、形状保持部材25とフィルター部材24との隙間を通して貫通孔35に流入することになる。しかし、フィルター部材24の内部が負圧状態になると形状保持部材25とフィルター部材24とが密着してしまうため、形状保持部材25とフィルター部材24との隙間を燃料Fが流通し難くなる。そのため、貫通孔35の開口付近における濾材シート23で濾過された燃料Fが主に吸引口31に流入することになる。すなわち、形状保持部材25に貫通孔35を設けただけでは、フィルター部材24の部分毎に濾過の効率の違いが生じてしまう。
そこで、本実施の形態の形状保持部材25には、図4に示されるように、上面25a及び下面25bに、誘導路として、貫通孔35の開口から周縁部に向かって直線状に延びる流路溝36が複数形成されている。こうした構成であれば、たとえフィルター部材24の内部が負圧状態になったとしても、形状保持部材25の周縁部から吸引口31への燃料Fの流通経路を確保することができる。すなわち、フィルター部材24の周縁部で濾過された燃料Fを流路溝36を通して吸引口31に流入させることができ、これにより、燃料Fの濾過をフィルター部材24の略全体で行うことができる。それゆえに、フィルター部材24における部分毎の濾過の効率の違いを小さくすることができるとともに、フューエルポンプ13の吸引負荷をさらに抑えることもできる。
つまり、上述した構成の形状保持部材25においては、多孔質材による燃料Fの貯留機能の他、貫通孔35及び流路溝36によって吸引口31までの燃料Fの流通経路も確保されている。それゆえに、フューエルポンプ13の吸引負荷、フィルター部材24における濾過の効率のばらつきを抑えつつ、燃料用フィルター20の貯留機能を向上させることができる。
図2(a)及び図3に示されるように、連結部材22の下端部46は、図示しない係合部を介して形状保持部材25の吸引部材32に連結され、連結部材22の上端部47は、フューエルポンプ13に連結される(図1参照)。連結部材22には、下端部46から上端部47までを貫通するように連絡通路45が形成され、この連絡通路45には、その下端部46側において吸引部材32の小径円筒部が挿入される。また連結部材22の下端部46は、吸引部材32の大径円筒部と該下端部46とによって上側シート部分23aが挟持された状態で、吸引部材32に連結されている。そして、フューエルポンプ13が稼動すると、吸引口31に流入した燃料Fは、連結部材22の連絡通路45を通じてフューエルポンプ13に導入される。
なお、本実施の形態の吸引部材32は、焼結成形される形状保持部材25にインサート成形されることで該形状保持部材25と一体形成されている。こうした構成によれば、形状保持部材25と吸引部材32とを別部材で構成した場合に比べて、燃料用フィルター20の組立時における作業効率を向上させることができる。また、形状保持部材25と吸引部材32との相対位置が変化しないことから、形状保持部材25の上面25aが吸引口31を塞ぐことを確実に防止することもできる。
ちなみに、上述した構成の形状保持部材25を焼結成型可能な合成樹脂としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどが挙げられる。また、形状保持部材25における燃料Fの貯留性や毛細管現象による浸透性を考慮すると、形状保持部材25を構成する多孔質材の気孔径は、20〜300μmであることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る燃料用フィルター20によれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)上記実施形態のように、形状保持部材25を多孔質材で構成することにより、濾
過された燃料Fを形状保持部材25の気孔で保持させることができる。これにより、一旦濾過された燃料Fがフィルター部材24外へ流出することを抑えることができる。それゆえに、燃料用フィルター20に燃料を貯留することができる。
(1)上記実施形態のように、形状保持部材25を多孔質材で構成することにより、濾
過された燃料Fを形状保持部材25の気孔で保持させることができる。これにより、一旦濾過された燃料Fがフィルター部材24外へ流出することを抑えることができる。それゆえに、燃料用フィルター20に燃料を貯留することができる。
(2)また、形状保持部材25を多孔質材で構成することにより、多孔質部材と形状保持部材25とが別部材である場合に比べて、燃料用フィルター20の構成部品が少なくなることから、燃料用フィルターの組立時における作業性を向上させることができる。
(3)また、毛細管現象に基づく多孔質部材の浸透性によって、フィルター部材24の一端部で濾過された燃料Fであっても、形状保持部材25全体で貯留することができる。
(4)上記実施形態の形状保持部材25には、吸引口31に対向する部位に開口する貫通孔35が形成されている。こうした構成によれば、吸引口31が形状保持部材25によって塞がれることがなく、濾過された燃料Fを貫通孔35を通じて吸引口31に流入させることができる。これにより、燃料用フィルターの貯留機能を維持しつつ、フューエルポンプ13の吸引負荷を抑えることができる。
(4)上記実施形態の形状保持部材25には、吸引口31に対向する部位に開口する貫通孔35が形成されている。こうした構成によれば、吸引口31が形状保持部材25によって塞がれることがなく、濾過された燃料Fを貫通孔35を通じて吸引口31に流入させることができる。これにより、燃料用フィルターの貯留機能を維持しつつ、フューエルポンプ13の吸引負荷を抑えることができる。
(5)上記実施形態では、形状保持部材25の上面25a及び下面25bに、貫通孔35の開口から周縁部に向かって延びる流路溝36が複数形成されている。こうした構成によれば、フィルター部材24内が負圧状態になったとしても、形状保持部材25の周縁部から貫通孔35への燃料Fの流通経路が確保される。これにより、燃料Fの濾過をフィルター部材24の広い範囲で行うことができる。その結果、フィルター部材24における部分毎の濾過の効率の違いを小さくすることができるとともに、フューエルポンプ13の吸引負荷をさらに抑えることもできる。
(6)上記実施形態では、吸引部材32を形状保持部材25にインサート成形することにより、これらを一体形成した。こうした構成によれば、形状保持部材25と吸引部材32とを別部材で構成した場合に比べて、燃料用フィルター20の組立時における作業効率を向上させることができる。また、形状保持部材25と吸引部材32との相対位置が変化しないことから、形状保持部材25の上面25aが吸引口31を塞ぐことを確実に防止することもできる。
(7)上記実施形態の形状保持部材25は、フィルター部材24の内面を外表面で支持するとともにフィルター部材24内の空間をおおよそ満たすような塊状に形成した。こうした構成によれば、形状保持部材がフィルター部材24内の形状を保持する枠体状のフレーム部材である場合に比べて、より多くの燃料Fを形状保持部材25に貯留させることができる。
(8)上記実施形態のように、燃料用フィルター20の貯留機能が向上することにより、燃料タンク11内に設けたチャンバ12を省くこともできる。
なお、上記実施の形態は、以下のような態様をもって実施することもできる。
なお、上記実施の形態は、以下のような態様をもって実施することもできる。
・上記実施形態では、合成樹脂からなる粒体を焼結することによって多孔質材の形状保持部材25を形成した。これに限らず、形状保持部材25の材質は、焼結成形可能なものあればよく、例えば金属材やセラミックス等であってもよい。
・上記実施形態では、粉末状の粒体を焼結することによって多孔質材の形状保持部材25を形成した。これに限らず、形状保持部材25は、燃料Fを貯留可能な多孔質材で構成されていればよく、例えば、スポンジなどの発泡成型体であってもよい。
・上記実施形態では、形状保持部材25と吸引部材32とが一体形成されている。これ
を限らず、形状保持部材25と吸引部材32とは、一体形成されていなくてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(5)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。このときの吸引部材32は、例えば溶着等によって、形状保持部材25に固定されてもよいしフィルター部材24に固定されてもよい。
を限らず、形状保持部材25と吸引部材32とは、一体形成されていなくてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(5)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。このときの吸引部材32は、例えば溶着等によって、形状保持部材25に固定されてもよいしフィルター部材24に固定されてもよい。
・上記実施形態の誘導路は、貫通孔35に連通する流路溝36を有している。これに限らず誘導路は、流路溝36を割愛して貫通孔35のみで構成されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(4)に記載した効果と同様の効果を得ることができるとともに、流路溝36を割愛した分だけ、形状保持部材25の貯留機能をさらに向上させることができる。
・また、貫通孔35は、該貫通孔35が有する開口の1つが吸引口31に対向する部位にあればよく、例えば、吸引口31に対向する部位の他、形状保持部材25の上面25a及び下面25bに複数の開口を有するような構成であってもよい。
・上記実施形態の誘導路は、吸引口31に対向する部位に開口する貫通孔35を有している。これに限らず誘導路は、貫通孔35を割愛し、吸引口31に対向する部位を通る流路溝36のみで構成されてもよい。なお、この際の流路溝36は、吸引口31に対向する部位から、形状保持部材25の上面25a、側面を通って下面25bまで延びるような構成が好ましい。こうした構成であれば、上記(1)〜(5)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。
・また、誘導路は、例えば、形状保持部材25の上面25a及び下面25bに形成された流路溝36と、これらの流路溝36を連通させる貫通孔とによって構成されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(5)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態の形状保持部材25には、貫通孔35と流路溝36とで構成された誘導路が形成されている。これに限らず、形状保持部材25から誘導路を割愛してもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(3)に記載した効果と同様の効果を得ることができるとともに、誘導路を割愛した分だけ、形状保持部材25の貯留機能をさらに向上させることができる。
・上記実施形態の形状保持部材25は、フィルター部材24の内部を満たすような塊状に形成されている。これを変更して、形状保持部材は、多孔質材で構成されていればよく、例えばフィルター部材24の形状を保つような枠体状であってもよい。こうした構成であっても、上記(1)(2)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、形状保持部材25を多孔質部材とした。これに限らず、形状保持部材と多孔質部材とが各別に備えられる構成であってもよい。例えば、形状保持部材がフィルター部材24の形状を保つ枠体状のフレーム部材である場合には、該フレーム部材で形成されるフィルター部材24内の空間に、別途、多孔質部材が配設されるものであってもよい。こうした構成であっても、上記(1)に記載した効果と同様の効果を得ることができる。
・フィルター部材24の内部には、複数の多孔質部材が配設されていてもよい。
F…燃料、10…燃料供給装置、11…燃料タンク、12…チャンバ、13…フューエルポンプ、14…フランジ、15…供給用配管、16…内燃機関、20…燃料用フィルタ
ー、21…フィルター体、22…接続部材、23…濾材シート、23a…上側シート部分、23b…下側シート部分、24…フィルター部材、25…形状保持部材、25a…上面、25b…下面、26a,26b,26c…不織布、27…メッシュ織物、28…溶着部、31…吸引口、32…吸引部材、35…貫通孔、36…流路溝、40…露出孔、45…連絡通路、46…下端部、47…上端部。
ー、21…フィルター体、22…接続部材、23…濾材シート、23a…上側シート部分、23b…下側シート部分、24…フィルター部材、25…形状保持部材、25a…上面、25b…下面、26a,26b,26c…不織布、27…メッシュ織物、28…溶着部、31…吸引口、32…吸引部材、35…貫通孔、36…流路溝、40…露出孔、45…連絡通路、46…下端部、47…上端部。
Claims (6)
- 濾材シートで袋状に形成されたフィルター部材の内部に燃料を貯留する多孔質部材を有する燃料用フィルター。
- 前記多孔質部材は、
前記フィルター部材を構成する前記濾材シートに包まれた一つの構造体である
請求項1に記載の燃料用フィルター。 - 前記フィルター部材内の燃料を吸引するための吸引口が形成された吸引部材を有し、
前記多孔質部材は、
該多孔質部材の外表面のうちで前記吸引口と対向する部位と該部位とは異なる他の部位とを繋いで前記吸引口に燃料を導く誘導路を有する
請求項2に記載の燃料用フィルター。 - 前記誘導路は、前記多孔質部材を貫通し前記吸引口に対向する部位に開口する貫通孔である
請求項3に記載の燃料用フィルター。 - 前記誘導路は、前記貫通孔の開口から前記多孔質部材の外表面に沿って延びる溝を有する
請求項4に記載の燃料用フィルター。 - 前記多孔質部材が、粉末状の粒体を焼結させた焼結体で構成されており、
前記吸引部材は、インサート成形により前記多孔質部材と一体成形されている
請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料用フィルター。
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JP2010236580A JP2012087726A (ja) | 2010-10-21 | 2010-10-21 | 燃料用フィルター |
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JP2536541Y2 (ja) * | 1991-12-27 | 1997-05-21 | 株式会社ニフコ | 自動車の燃料タンクのインタンクポンプ用のフィルター |
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DE69600608T2 (de) * | 1995-05-17 | 1999-01-28 | General Motors Corp., Detroit, Mich. | Kraftstoffsieb |
-
2010
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2011
- 2011-10-20 CN CN2011103619664A patent/CN102454522A/zh active Pending
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