JP2012087315A - 接着剤並びにインクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

接着剤並びにインクジェットヘッド及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェットヘッド用接着剤および該接着剤で接着されたインクジェットヘッドの提供。
【解決手段】本発明に係るインクジェットヘッド100は、インクのチャネル3を有するチャネル基板1とチャネル基板1に対し接着されるカバープレート2等の被接着部材とを備え、チャネル基板1と前記被接着部材とで12ppm/Kを超える線膨張係数の差があり、チャネル基板1と前記被接着部材とが特定組成の接着剤で接着されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、主剤と硬化剤とが混合された接着剤並びにその接着剤で部材同士が接着されたインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
従来から、メッシュ状のスクリーンに所望のパターンを形成して当該パターンを通過したインクを記録媒体に印刷する「スクリーン印刷技術」が、液晶のカラーフィルターの製造や液晶配向膜の塗布、有機EL(ElectroLuminescence)等の各種精密電子部品の製造等に広く適用されている。
しかしながら、上記スクリーン印刷技術には、印刷前に予めスクリーンを設計・製造しなければならなかったり、パターンを変更するごとに新規のスクリーンを設計・製造し直さなければならなかったりして簡単・安価に画像等の印刷をおこなえないという不都合があるため、近年では、簡単・安価に画像等の記録をおこなえる「インクジェット技術」が上記スクリーン印刷技術に代わる技術として適用され始めている。
インクジェット技術というのは、インクを滴として吐出する「インクジェットヘッド」を記録媒体上で走査して当該記録媒体に画像等を記録する技術であるが、上記スクリーン印刷技術では記録媒体として樹脂製記録媒体を使用するのが主であるため、当該インクジェット技術を上記スクリーン印刷技術の代替技術として使用する場合(記録媒体として樹脂製記録媒体を適用する場合)には、インクとして、樹脂に浸透し易く記録媒体そのものの耐久性を向上させることができる「溶剤系インク」が使用されている。
ここで、上記インクジェットヘッドはそれを構成する部材同士が接着剤で接着されているが、溶剤系インクを適用した場合には当該溶剤系インクが接着剤を溶解してしまうため、当該接着剤として、溶剤に対し耐性を有する「エポキシ系接着剤」を使用するのがよい。エポキシ系接着剤の一例が特許文献1に開示されている。具体的に特許文献1に記載の技術では、接着剤を乾燥・硬化させるのに常温から100℃までの昇温速度を緩やかに設定し、これにより架橋密度を高めて溶剤系インクに対する耐性を高めている(段落番号0034〜0041参照)。
特開2003−266708号公報
ところで、上記エポキシ系接着剤には「エポキシ樹脂」と「硬化剤」とが含有されているが、当該エポキシ系接着剤は硬化剤の種類により硬化するための反応機構が異なっている。当該硬化剤としては一般的に「アミン系硬化剤」が適用されることが多く、その他に「イミダゾール系硬化剤」が適用されることもある。
硬化剤としてアミン系硬化剤が適用されたアミン系のエポキシ系接着剤では、アミン系硬化剤中に存する1級アミンの活性が高く、当該1級アミンがエポキシ樹脂中のエポキシ基を室温で開環させてこれに付加し、2級アミンと水酸基とが生成され、この反応が繰り返しおこなわれて鎖が線状に成長する。そして上記2級アミンが更にエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応すると、3級アミンと水酸基とが生成され、この反応が繰り返しおこなわれて3次元の架橋構造が形成される。このような経緯から、アミン系のエポキシ系接着剤は溶剤に対しある程度の耐性を有する。
しかしながら、アミン系のエポキシ系接着剤では、上記架橋構造中にアミン系硬化剤が取り込まれるとともに水酸基が含まれているため、当該アミン系のエポキシ系接着剤は溶剤を吸収して膨潤しやすいという欠点を有している。そこで架橋構造中に残留するアミノ基や水酸基を未反応のエポキシ基と反応させればよいのであるが、当該反応を開始させようとすると、その時点で既に架橋構造が形成されガラス転移点が高くなっているため、ガラス転移点以上に加熱しなければ当該反応を開始させることができない。以上から、アミン系のエポキシ系接着剤を十分に硬化させるには、150〜200℃以上の高温で加熱しなければならない。
これに対し、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤が適用されたイミダゾール系のエポキシ系接着剤では、上記アミン系硬化剤とは硬化反応機構が異なり、イミダゾールが硬化反応を開始させる触媒として機能し、硬化反応が開始されると、エポキシ樹脂同士がエーテル結合により架橋する。この反応機構では、架橋物中に極性基が含まれてはおらず、架橋点間距離も短くなっている。このような経緯から、当該イミダゾール系のエポキシ系接着剤は、上記アミン系のエポキシ系接着剤のように溶剤を吸収するという欠点はなく、溶剤に対しても耐性を有している。
しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂などの一般的なエポキシ樹脂と一般的なイミダゾール系硬化剤とを組み合わせて用いると、十分な耐溶剤性を得るためには150℃程度の高温で加熱しなければならない。
インクジェットヘッドは基本的にそれを構成する部材同士が互いに異なる線膨張係数(熱膨張係数)を有しているため、高温で硬化させると、硬化後において温度が室温に戻る際に、部材間の収縮率の違いから硬化後の接着剤と部材との間で収縮の差による応力が掛かる。
その結果、接着剤そのものにひび割れが生じたり、接着力が低下したりする。特に、インクジェットヘッドが製品として輸送される場合や、インクジェットヘッドの運転とその停止との繰り返し操作に供される場合に、それに伴って度重なる温度変動を受け、ひび割れや接着力の低下が起こりやすい。また部材に着目した場合にも、部材にひび割れが発生したり、部材が歪んだり、一方の部材が他方の部材から剥がれ落ちたりする可能性がある。
更に、インクジェットヘッドが一構成部材として圧電素子を有している場合に、接着剤を高温で硬化させると、当該圧電素子で脱分極が生じて当該圧電素子の性能が低下する。
本発明の目的は、溶剤系インクに対して耐性を有し、更に低温において硬化可能で可撓性を有する接着剤を提供することであり、本発明の他の目的は、部材のひび割れ、歪み、剥離等を防止することができるインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため第1の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、前記第1のエポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂であることを特徴としている。
第2の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、樹脂微粒子が添加されていることを特徴としている。
第3の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、シランカップリング剤が添加されていることを特徴としている。
第4の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、ジルコネートが添加されていることを特徴としている。
第1〜第4の発明のように、第1のエポキシ樹脂が主剤中に20〜90重量%含有されかつ第2のエポキシ樹脂が主剤中に10〜80重量%含有され、イミダゾール硬化剤が主剤100重量部に6重量部以上含有されることにより、60℃以下でも硬化が進行し高い耐溶剤性と可撓性が得られる。
第5の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、第1の発明に係る接着剤で接着されていることを特徴としている。
第5の発明に係るインクジェットヘッドにおいては、前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があってもよい。
第6の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、第2の発明に係る接着剤で接着されていることを特徴としている。
第6の発明に係るインクジェットヘッドにおいては、前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があってもよい。
第7の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、第3の発明に係る接着剤で接着されていることを特徴としている。
第7の発明に係るインクジェットヘッドにおいては、前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があってもよい。
第8の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、第4の発明に係る接着剤で接着されていることを特徴としている。
第8の発明に係るインクジェットヘッドにおいては、前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があってもよい。
ここで、被接着部材と第2の被接着部材とで線膨張係数が12ppm/Kを超える程度に異なる場合、一般的なエポキシ樹脂と一般的なイミダゾール硬化剤との組み合わせに適合する硬化温度を適用すると、剥離が生じたり、部材が破断したり、インク出射速度の分布が大きくなるという問題が生じるが、本発明(第5〜第8の発明)により上記の問題を解決できた。
第9の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、第1の発明に係る接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴としている。
第10の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、第2の発明に係る接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴としている。
第11の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、第3の発明に係る接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴としている。
第12の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、第4の発明に係る接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴としている。
第1〜第4の発明によれば、溶剤系インクに対して耐性を有し、更に低温において硬化可能で可撓性を有する接着剤を提供することができる(下記実施例1,2参照)。
第5〜第8の発明では、チャネル基板と被接着部材とが又は被接着部材と第2の被接着部材とが上記接着剤で接着されているから、硬化後の接着剤とチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材との間に作用する応力を緩和することができ、ひいてはチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材にひび割れが発生したり、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材が歪んだり、被接着部材がチャネル基板から剥がれ落ちたり、第2の被接着部材が被接着部材から剥がれ落ちたりするのを防止することができる。
なお、ある部材がチャネル基板と被接着部材の両者と上記接着剤で接着されている場合には、その部材とチャネル基板との関係が第5〜第8の発明の「被接着部材」と「チャネル基板」との関係に相当し、また、その部材と被接着部材との関係が第5〜第8の発明の「第2の被接着部材」と「被接着部材」との関係に相当する。このとき、どちらか一方の関係が第5〜第8の発明に記載の関係を満足すれば上記効果を得ることができる。
第9〜第12の発明では、上記接着剤に60℃以下の熱を加えて当該接着剤を硬化させるため、硬化後の接着剤の温度が硬化温度から室温に低下する際のその温度差が小さく、接着剤とチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材との間に作用する応力が緩和される。そのため、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材にひび割れが発生したり、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材が歪んだり、被接着部材がチャネル基板から剥がれ落ちたり、第2の被接着部材が被接着部材から剥がれ落ちたりするのを防止することができる。更に、請求項9〜12の発明では、チャネル基板が圧電素子から構成されている場合に、当該圧電素子において脱分極が生じるのを防止することができる。
インクジェットヘッド100の概略構成を示す側面断面図である。 チャネル基板1、カバープレート2及びノズルプレート5の要部構成を示す分解斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 各電極膜7に電圧が印加された場合の隔壁6の変動を示す状態変化図である。 インクジェットヘッド1の製造方法の一部工程を説明するための図面である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲は以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
図1は本発明に係るインクジェットヘッド100の概略構成を示す側面断面図である。
図1に示す通り、インクジェットヘッド100はインクの流路(チャネル3)が形成されたチャネル基板1を有している。チャネル基板1の前側の上部には接着部aを介してカバープレート2が接着されている。カバープレート2はガラス,セラミックス,金属,樹脂等の材料から構成されている。
チャネル基板1とカバープレート2との前端面には、インクを滴として吐出する吐出口4を有するノズルプレート5が接着部bを介して接着されている。チャネル基板1には中央部から前端部にかけて延在するチャネル3(溝)が形成されており、当該チャネル3がノズルプレート5の吐出口4に連通している。ノズルプレート5はポリイミド等の樹脂から構成されている。
図2は上記チャネル基板1、カバープレート2及びノズルプレート5の要部構成を示す分解斜視図である。
図2に示す通り、チャネル基板1は2枚の基板1a,1bが接着部jを介して互いに接着された構成を有している。各基板1a,1bはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料から構成されており、厚さ方向において互いに逆方向に分極されている。チャネル基板1には互いに等間隔をあけた状態で複数のチャネル3,3,…が形成されており、各チャネル3間に隔壁6が形成されている。すなわち、チャネル基板1にはチャネル3と隔壁6とが交互に形成されている。
各チャネル3はチャネル基板1の中央部から前端部にかけて切り欠かれた溝であり、チャネル基板1の厚さ方向において基板1aから基板1bの中途部にかけて切り欠かれている。特に、各チャネル3は後方部分が基板1aの上部から基板1bの中途部にかけて後方から前方に向かう方向に緩やかに傾斜しており、基板1aの上方からチャネル3の内部にインクが円滑に流入するようになっている。
以上の構成を具備するチャネル基板1において、各チャネル3の上方を覆うように基板1aの上部にカバープレート2が接着され、各チャネル3に吐出口4が連通するようにチャネル基板1の前端面にノズルプレート5が接着されるようになっている。
図3は図1のA−A線に沿う断面図である。
図3に示す通り、各チャネル3の内壁にはアルミニウム等の金属製の電極膜7がU字状に製膜されており、各電極膜7の内壁と接着部aの下部の一部とには保護膜8が矩形状に製膜されている。各保護膜8は電極膜7を保護するものであり、絶縁性のポリ−p−キシリレンから構成されている。
インクジェットヘッド100では、上記の通り基板1a,1bが互いに逆方向に分極されているため、図4(a)に示す状態において各電極膜7に電圧が印加されると、図4(b)に示す通り、各隔壁6が基板1a,1bとの接着部jを中心としてく字状(又は逆く字状)に屈曲(剪断変形)するようになっている。この場合において、各チャネル3の内部容積が変化してインクに加わる圧力が変動し、当該圧力が所定値に達すると、インクが吐出口4から吐出されるようになっている。他方、各電極7に電圧が印加された図4(b)の状態において、その電圧の印加が解除されると、図4(c)に示す通り、各隔壁6がもとの状態に戻るようになっている。
図1に示す通り、チャネル基板1の上方には、各チャネル3にインクを供給するためのインクチューブ10が配されている。インクチューブ10は、一方の端部がインクを貯留したタンク(図示略)に接続されており、他方の端部がマニホールド11に接続されている。マニホールド11は、インクチューブ10とチャネル基板1とをつなぐ継手として機能するものである。インクチューブ10は接着部hを介してマニホールド11に接着されており、マニホールド11は接着部e,fを介してチャネル基板1とカバープレート2とにそれぞれ接着されている。
マニホールド11の内部には網目状を呈した金属製のフィルタ12が配されている。フィルタ12はインクから当該インク中の異物を除去するもので、接着部gを介してマニホールド11に接着されている。
チャネル基板1の後方にはFPC(Flexible Print Cable)20が配されている。FPC20は接着部c,iを介してチャネル基板1に接着されている。特に、接着部iは、FPC20がチャネル基板1から剥離しないように、チャネル基板1に対しFPC20を補強的に接着する部位となっている。詳しくは図示しないが、FPC20は各チャネル3に製膜された電極膜7と通電されている。
FPC20には接着部dを介して駆動IC(Integrated Circuit)21が接着されている。駆動IC21は、チャネル基板1の各隔壁6を剪断変形させるための電圧の発生源として機能するものであり、FPC20を通じて転送されてきた画像信号に基づき当該電圧を発生させてFPC20を通じてその電圧を各電極膜7に印加するようになっている。
以上の構成を具備するインクジェットヘッド100では、ノズルプレート5が突出した状態でそれ以外の部位が箱状の筐体30で略覆われている。詳しくは筐体30には開口部31が形成されており、当該開口部31にチャネル基板1及びカバープレート2の前端部が嵌合している。
また、インクジェットヘッド100では、各接着部a〜jを介して接着されている部材同士が互いに12ppm/Kを超える線膨張係数の差を有している(一部の部材同士のみが互いに12ppm/Kを超える線膨張係数の差を有していてもよい。)。例えば、接着部eを介して接着されているチャネル基板1とマニホールド11とを例に挙げれば、チャネル基板1の線膨張係数とマニホールド11の線膨張係数との差が12ppm/Kを超えている。
また、ノズルプレート5がポリイミドで構成されている場合、ノズルプレート5の線膨張係数とチャネル基板1の線膨張係数との差が12ppm/Kを超えるが、この場合において、本実施形態では、チャネル基板1のチャネル3に対しノズルプレート5の吐出口4が位置ずれした状態で接着されたり、接着部bを構成する接着剤が吐出口4に流れ込んでインクの吐出性能が低下したりすることはない。
ここで、上記部材同士を接着している各接着部a〜iは下記の「接着剤」から構成されており、下記では本発明に係る当該接着剤について詳細に説明する。
本発明に係る接着剤は「(1)主剤」と「(2)硬化剤」との混合物であり、100重量部の主剤に対し6重量部以上の硬化剤を(好ましくは100重量部の主剤に対し8重量部以上の硬化剤を)混合したものである。
(1)主剤
主剤は、2官能以下の官能基を有する「(1.1)第1のエポキシ樹脂」と3官能以上の官能基を有する「(1.2)第2のエポキシ樹脂」との含有物であり、当該主剤全体のエポキシ当量が150以下のものである。
(1.1)第1のエポキシ樹脂
第1のエポキシ樹脂は主剤中に20〜90重量%含有されるものである。当該第1のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が適用可能であり、その具体例としては、エピコート806,807(ジャパンエポキシレジン製),RE303S−L(日本化薬社製)等が挙げられる。
(1.2)第2のエポキシ樹脂
第2のエポキシ樹脂は主剤中に10〜80重量%含有されるものである。当該第2のエポキシ樹脂としては、トリグリシジル−p−アミノフェノール,テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン,トリグリシジルイソシアヌレート,トリグリシジルウラゾール,トリグリシジルアミノクレゾール,テトラグリシジル−1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン,グリセロールトリグリシジルエーテル等が適用可能である。
更に、第2のエポキシ樹脂として「ノボラックエポキシ樹脂」を適用してもよい。
ノボラックエポキシ樹脂としては、「フェノールノボラック型エポキシ樹脂」と「クレゾールノボラック型エポキシ樹脂」とが適用可能である。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の具体例としては、EPPN201,202(日本化薬製),エピコート154(ジャパンエポキシレジン製),DEN−438(ダウケミカル製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の具体例としては、EOCN102,103S,104S,1020,1025,1027(日本化薬製),エピコート180S(ジャパンエポキシレジン製)等が挙げられる。
これら第2のエポキシ樹脂の化合物中では、耐溶剤性の観点からトリグリシジル−p−アミノフェノールを適用するのが特に好ましい。
なお、主剤の適用に際しては、上記(1.2)のいずれか1種のエポキシ樹脂と上記(1.1)のエポキシ樹脂とを組み合わせてもよいし、上記(1.2)の互いに異なる複数種のエポキシ樹脂と上記(1.1)のエポキシ樹脂とを組み合わせてもよい。
(2)硬化剤
硬化剤としては、イミダゾール類(1位又は1位及び2位をアルキル基で置換したイミダゾール)が適用可能である。当該アルキル基としては、メチル基,エチル基,イソプロピル基,t−ブチル基,ヘキシル基,ドデシル基,ペンタデシル基等の分岐・直鎖アルキル基や、シクロペンチル基,シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、これらアルキル基には置換基が配されていてもよい。当該置換基としては、アルキル基,アルケニル基,アリール基,ヘテロ環基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アリールオキシ基,アルコキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,スルホンアミド基,スルファモイル基,ウレイド基,アシル基,アシルオキシ基,カルバモイル基,アルキルスルホニル基,アリールスルホニル基,シアノ基,ニトロ基,スルホ基,ヒドロキシル基等が挙げられる。また、1位をアルキル基で置換したイミダゾール類においては1位以外の位置に置換基が配されていてもよく、1位及び2位をアルキル基で置換したイミダゾール類においては1位及び2位以外の位置に置換基が配されていてもよく、当該置換基としては上記アルキル基に配される置換基として挙げられたものが適用可能である。
1位又は1位及び2位をアルキル基で置換したイミダゾールの具体例としては、1−メチルイミダゾール,1−ベンジル−2−メチルイミダゾール,1,2−ジメチルイミダゾール,1−イソブチル−2−メチルイミダゾール,1−メチル−2−エチルイミダゾール,1−エチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール,1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール,1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化後の上記接着剤からは、熱分解GCマススペクトルによりイミダゾール環含有化合物と、3つ以上のエポキシ基を有する化合物がそのエポキシ基が脱離した形で検出される。また固体NMRによりイミダゾール環含有化合物が検出される。
なお、本発明に係る接着剤には、添加剤として「(3)樹脂微粒子」,「(4)シランカップリング剤」,「(5)ジルコネート」が添加されてもよい。これら添加剤は単独で添加されてもよいし、2種以上の添加剤が同時に添加されてもよい。
(3)樹脂微粒子
樹脂微粒子としては、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体等の粒子が適用可能である。
(4)シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤が適用可能である。
(5)ジルコネート
ジルコネートとしては、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリネオデカノイルジルコネート,ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルジルコネート,ネオペンチル(ジアリル)オキシ・トリ(p−アミノ)ベンゾエート・ジルコネート(LZ−37),テトラプロピルジルコネート,テトラブチルジルコネート,テトラ(エタノールアミン)ジルコネート,テトライソプロピルジルコネート,イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)ジルコネート,ジイソプロピルジ(4−アミノベンゾイル)ジルコネート,トリス−2−プロポキシ(2−エチルアミノ)エチルジルコネート,トリス[(2,2−ビス2−プロペニルオキシメチル)ブトキシ]エチレンジアミノエトキシジルコネート等が適用可能である。
また、インクジェットヘッド100から吐出される「インク」は、染料,顔料などの色材やそれを溶解させる溶媒(溶剤)などから構成されているもので、その種類は特には限定しないが、SP(Solubility Parameter)値((cal/cm)1/2)が9.5〜15.0でかつ双極子能率が2.0〜5.0である溶媒を全溶媒に対し3重量%以上含有しているものであることが印刷画像の定着性の点から好ましく、本実施形態によれば、このようなインクに対して耐久性が劣化しないという特徴を有する。当該溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(SP値=12.1,双極子能率=3.86),N−メチル−2−ピロリジノン(SP値=11.3,双極子能率=4.09),乳酸エチル(SP値=10.0,双極子能率=2.14),シクロヘキサノン(SP値=9.9,双極子能率=3.01),2−ピロリジノン(SP値=14.7,双極子能率=3.83)などが挙げられる。
なお、ここでの双極子能率はMOPACのAM1により算出したもので、SP値はBicerano法により算出したものである。「Bicerano法」はPrediction of Polymer Properties (Plastics Engineering, 65)Jozef Bicerano (著)に記載されている。
続いて、本発明に係る「インクジェットヘッド100の製造方法」について説明する。
始めに、平板状の2枚の基板1a,1bに対し上記接着剤を塗布して各基板1a,1bを貼り合わせ(接着部jを形成し)、当該接着部jに60℃(好ましくは40℃)以下の熱を加えて当該接着部jを硬化させ、各基板1a,1bを接着する。各基板1a,1bを接着してチャネル基板1を製造したら、チャネル基板1に対しダイシングブレード等を用いて複数のチャネル3,3,…を形成し、各チャネル3の内壁に対し公知の蒸着処理を施して各チャネル3の内部に電極膜7を製膜する。
各チャネル3の内壁に電極膜7を製膜したら、チャネル基板1の基板1aの上部に上記接着剤を塗布してカバープレート2を貼り合わせ(接着部aを形成し)、当該接着部aに60℃(好ましくは40℃)以下の熱を加えて当該接着部aを硬化させ、図5(a),(b)に示す通り、基板1aの上部にカバープレート2を接着する(図5(b)は図5(a)中B−B線に沿う断面図であり、図5(a)〜(c)中には各接着部a,j及び電極膜7は図示されていない。)
カバープレート2を接着したら、電極膜7の内壁に対しCVD(Chemical Vapor Deposition)法でポリ−p−キシリレン処理を施して、各チャネル3の内部に保護膜8を製膜する。保護膜8を製膜したら、図5(c)に示す通り、各チャネル3の長さ方向に対し直交する方向に沿ってチャネル基板1とカバープレート2との中央部を切断し(2分割し)、2片のヘッドチップ101,101を製造する(図5(c)中には電極膜7及び保護膜8は図示されていない。)。
ヘッドチップ101を製造したら、チャネル基板1とカバープレート2との各端面に上記接着剤を塗布し、各吐出口4がチャネル3に連通するようにそれら各端面に対しノズルプレート5を貼り合わせ(接着部bを形成し)、当該接着部bに60℃(好ましくは40℃)以下の熱を加えて当該接着部bを硬化させ、チャネル基板1とカバープレート2との各端面にノズルプレート5を接着する。
ノズルプレート5を接着したら、インクジェットヘッド100を構成する上記以外のマニホールド11,FPC20,筐体30等の部材に接着剤を塗布し、ヘッドチップ101の所定位置にこれら部材を貼り合わせ(接着部c〜jを形成し)、各接着部c〜iに60℃(好ましくは40℃)以下の熱を加えて各接着部c〜iを硬化させ、これら部材とヘッドチップ101とを接着する。以上の工程の処理を経ることにより、本発明に係るインクジェットヘッド100を製造することができる。
なお、本実施形態では、各接着部a〜jを形成するごとに各接着部a〜jに熱を加えて各接着部a〜jを硬化させたが、各接着部a〜jを全て形成して(部材同士を全て貼り合せて)から全接着部a〜jに同時に熱を加えて全接着部a〜jを一度に硬化させてもよい。
続いて、インクジェットヘッド100の動作・作用について説明する。
インクチューブ10を通じてインクタンク(図示略)からインクチューブ10を経てマニホールド11にインクを流入させると、当該インクはフィルタ12を通じて異物が除去され、マニホールド11と各チャネル3との内部に貯留される(図1中矢印参照)。
この状態において、FPC20を通じて画像信号が駆動IC21に転送されると、駆動IC21が、当該画像信号に基づいてチャネル基板1の各隔壁6を剪断変形させるための駆動電圧を発生させ、FPC20を通じてその駆動電圧を各電極膜7に印加する。
各電極膜7が駆動電圧の印加を受けると、各隔壁6が基板1a,1bの接着部jを中心としてく字状又は逆く字状に剪断変形し(図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態に移行し)、各チャネル3の内部容積が変化してインクに加わる圧力が変動する。そして当該圧力が所定値に達したときに、インクジェットヘッド100が吐出口4からインクを滴として吐出する。
以上の本実施形態では、各接着部a〜jが上記接着剤で構成され、かつ、インクジェットヘッド100を製造する際に各接着部a〜jに60℃以下の熱を加えて硬化させているため、硬化後の各接着部a〜jとそれにより接着される部材との間(例えば、接着部aとチャネル基板1又はカバープレート2との間)に作用する応力が緩和される。
すなわち、接着剤とそれにより接着される被接着部材との間で発生する「応力P」は下記式(A)で求められる。
P≒EΔα(t−t) … (A)
式(A)中、E:接着剤の弾性率,Δα:接着剤と被接着部材との間の線膨張係数の差,t:硬化温度(接着剤に加える熱の温度),t:室温
上記式(A)を元に、例えば、接着部aの弾性率を3430MPaと、チャネル基板1の線膨張係数を2×10−6/℃と、接着部aの線膨張係数を8×10−5/℃と想定し、接着部aに対し「100℃」の熱を加えて接着部aを硬化させた場合においては、接着部aが室温(25℃)に戻るときに発生する応力は20.07MPaと算出され、20MPa程度の応力が接着部aとチャネル基板1との間に発生する。この場合において、チャネル基板1には撓みが生じてチャネル基板1そのものの内部に圧縮ストレスが掛かり、その結果、チャネル基板1を部分的に脱分極させてしまい、インクの吐出変動を引き起こすと考えられる。
しかしながら、本実施形態のように、接着部aに対し60℃の熱を加えて接着部aを硬化させた場合には、接着部aが室温(25℃)に戻るときに発生する応力は9.3MPaと算出され、接着部aとチャネル基板1との間に発生する応力が略半減し、接着部aとチャネル基板1との間に作用する応力が緩和される。
以上から、硬化後の各接着部a〜jと、チャネル基板1、チャネル基板1に接着される被接着部材(カバープレート2、ノズルプレート5、マニホールド11等)又は当該被接着部材に接着される第2の被接着部材(マニホールド11、インクチューブ10、フィルタ12等)との間に作用する応力が緩和され、インクジェットヘッド1を構成する各部材にひび割れが発生したり、それら各部材が歪んだり、一方の部材から他方の部材が剥がれ落ちたりするのを防止することができる。
特に、マニホールド11が熱可塑性樹脂で成形される場合には、その成形が容易ではあるが、当該マニホールド11は線膨張係数が大きくてチャネル基板1やカバープレート2との間において線膨張係数の差が12ppm/Kを超え易く、更に、断面積が大きいためにチャネル基板1やカバープレート2から受ける応力が大きい(逆に、チャネル基板1やカバープレート2も当該マニホールド11から受ける応力が大きい。)。そのため、この場合には、チャネル基板1、カバープレート2及びマニホールド11はひび割れ、歪み、剥離等を生じやすいが、本実施形態ではこれら部材が上記接着剤で接着されているから、当該部材のひび割れ、歪み、剥離等を有効に防止することができる。
[実施例1]
(1.1)試料1〜13の作製
主剤と硬化剤とを混合(任意に樹脂微粒子、シランカップリング剤及びジルコネートも混合)し、その混合物を1粒当たり0.1〜0.2gの粒状物としてテフロン(登録商標)シート上に滴下した。その後、滴下した各粒状物を45℃で10時間放置して硬化させ、接着剤の錠剤を作製し、これらを「試料1〜13」とした。各試料1〜13の組成(主剤、硬化剤、樹脂微粒子、シランカップリング剤及びジルコネートの有無とその種類)は下記表1に示す通りである。
(1.2)試料1〜13の質量増加率の測定
試料1〜13の作製後、各試料1〜13の質量を測定し、各試料1〜13を溶剤(N−メチルピロリドン)中に浸漬させて60℃で7日間放置した。7日間経過後、各試料1〜13を溶剤から取り出して洗瓶のイソプロピルアルコールで洗浄した。洗浄後、各試料1〜13の表面に付着したイソプロピルアルコールを除去し、各試料1〜13の質量を再度測定した。
再度の質量測定後、各試料1〜13の質量増加率を下記式に従って算出した。算出結果は下記表1に示す通りである。
質量増加率(%)=(((溶剤浸漬後の質量)−(溶剤浸漬前の質量))/(溶剤浸漬前の質量))×100
Figure 2012087315
なお、表1「主剤」の項目中、「E1」はビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能,エピコート828(ジャパンエポキシレジン製),184〜194g/eq)であり、「E2」はビスフェノールF型エポキシ樹脂(2官能,エピコート806(ジャパンエポキシレジン製),160〜170g/eq)であり、「E3」はフェノールノボラック型エポキシ樹脂(3官能以上,エピコート152(ジャパンエポキシレジン製))であり、「E4」はトリグリシジル−p−アミノフェノールであり、「E5」はテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンであり、括弧内の数字は主剤を構成する各化合物の重量(重量部)を示す。
表1「硬化剤」の項目中、「Z1」は2−エチル−4−メチルイミダゾールであり、「Z3」は1−ベンジル−2−メチルイミダゾールであり、「Z4」は2,4−ジメチルイミダゾールであり、「H3」はトリエチレンテトラミンであり、括弧内の数字は主剤100重量部に対するその硬化剤の重量部を示す。
表1「樹脂微粒子」,「シランカップリング剤」,「ジルコネート」の項目中、「A」はメチルメタアクリレートとブチルアクリレートの共重合体粒子(平均粒子径約0.3μm)であり、「B」はγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、「C」はイソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)ジルコネートであり、括弧内の数字は主剤100重量部に対するその添加剤の重量部を示す。
(1.3)結び
表1に示す通り、試料1〜6,13はそれ以外の試料7〜12に比較して重量変化率が極めて低く、試料1〜6,13が溶剤に溶解されにくいことがわかる。以上から、試料1〜6,13のような特定組成の接着剤は、60℃以下の低温で硬化して溶剤に対しても耐性を有することがわかる。
[実施例2]
(2.1)試料1〜13の作製
「第1のPZT基板(厚さ150μm,キューリー温度210℃,線膨張係数4ppm/K)」と「第2のPZT基板(厚さ700μm,キューリー温度210℃,線膨張係数4ppm/K)」との2枚のPZT基板を準備して、これら第1,第2の各PZT基板を分極方向が反対向きになるように接着剤で接着した。第1のPZT基板と第2のPZT基板との接着に際しては、接着剤としてエポテック353ND((株)理経製)を使用し、当該接着剤に80〜100℃の熱を加えて当該接着剤を硬化させた。
第1,第2の各PZT基板を接着したら、第1のPZT基板から第2のPZT基板に向けて深さ300μm,幅70μmのチャネル(溝)を形成し、当該チャネルの内壁にアルミニウムを蒸着してチャネルの内部にアルミニウム製の電極膜を製膜した。
電極膜を製膜したら、カバープレート(厚さ700μmの窒化アルミニウム,線膨張係数4ppm/K)を第1のPZT基板上に接着剤で接着した(図5(a),(b)参照)。カバープレートと第1のPZT基板との接着に際しては、接着剤としてエポテック353ND((株)理経製)を使用し、当該接着剤に80〜100℃の熱を加えて当該接着剤を硬化させた。
カバープレートを接着したら、電極膜の内壁に対しCVD法によるポリ−p−キシリレン処理を施してチャネルの内部に保護膜を製膜した。保護膜を製膜したら、チャネルの長さ方向と直交する方向に沿って第1,第2の各PZT基板及びカバープレートを切断し、ヘッドチップを製造した(図5(c)参照)。
ヘッドチップを製造したら、そのヘッドチップに対しノズルプレート(厚さ100μmのポリイミドに直径30μmの吐出口を形成したもの)を接着剤で接着した。カバープレートとヘッドチップ(第1のPZT基板)との接着に際しては、接着剤としてエポテック353ND((株)理経製)を使用し、当該接着剤に80〜100℃の熱を加えて当該接着剤を硬化させた。
ノズルプレートを接着したら、マニホールド(ポリアミド製,線膨張係数50ppm/K)等の他の部材をヘッドチップに接着剤で接着し、インクジェットヘッドを製造した。本実施例2では、マニホールドの接着(マニホールドとカバープレートとの接着及びマニホールドと第1のPZT基板との接着)において、下記表2に示す13種類の接着剤を適用し、それら各接着剤に40℃の熱を17時間加えて当該各接着剤を硬化させた。そして、それら接着剤の種類に応じた合計13種類のインクジェットヘッドを製造し、これらインクジェットヘッドを「試料1〜13」とした。
(2.2)各試料1〜13の評価
(2.2.1)吐出試験
インクの代替物としてブトキシエチルアセテート90重量部と2−ピロリジノン10重量部との混合物を適用し、各試料1〜13から当該混合物を吐出し続け、各試料1〜13の吐出性能(いつインクの漏れが発生したか)を評価した。評価結果を下記表2に示す。
(2.2.2)ヒートサイクル試験
1回目のヒートサイクル試験として、25℃→(60℃,1時間)→(25℃,30分)→(0℃,1時間)→(25℃,30分)を1サイクルとした3サイクル分のヒートサイクル環境に各試料1〜13を供し、各試料1〜13のチャネルを減圧して当該チャネルに空気漏れがあるか否かを確認した。
その後更に、2回目のヒートサイクル試験として、25℃→(60℃,1時間)→(25℃,30分)→(−20℃,1時間)→(25℃,30分)を1サイクルとした3サイクル分のヒートサイクル環境に各試料1〜13を供し、各試料1〜13のチャネルを減圧して当該チャネルに空気漏れがあるか否かを確認した。
試験結果を下記表2に示す。表2「ヒートサイクル試験」の項目中、◎,○,△,×の各基準は下記の通りである。
◎…1,2回目の両ヒートサイクル試験で空気漏れが無かった
○…1回目のヒートサイクル試験では空気漏れは無かったが2回目のヒートサイクル試験で空気漏れが発生した
△…1回目のヒートサイクル試験で若干の空気漏れが発生した
×…1回目のヒートサイクル試験で空気漏れが発生した。
(2.2.3)ひび割れの有無の観察
上記ヒートサイクル試験後において、カバープレートとマニホールドとの間の接着剤にひび割れがあるか否かを各試料1〜13ごとに目視により観察した。観察結果を下記表2に示す。表2「ひび割れ」の項目中、○,△,×の各基準は下記の通りである。
○…ひび割れは無かった
△…1〜2箇所のひび割れが認められた
×…3箇所以上のひび割れが認められた。
Figure 2012087315
なお、表2「主剤」,「硬化剤」,「樹脂微粒子」,「シランカップリング剤」,「ジルコネート」の各項目中の種類や括弧内の数字等は実施例1の表1と同様である。
(2.3)結び
表2に示す通り、試料1〜6,13はそれ以外の試料7〜12に比較して結果が良好であり、特に、吐出試験及びヒートサイクル試験からはマニホールド等の部材においてひび割れ、歪み、剥離等がないことがわかり、ひび割れの観察からは接着剤が可撓性を有している(ひび割れや接着力の低下がない)のがわかる。以上から、試料1〜6,13のような特定組成の接着剤は、60℃以下の熱で硬化して可撓性を有することがわかる。更に、このような接着剤が部材のひび割れ、歪み、剥離等を防止するのに有効に機能することもわかる。
100 インクジェットヘッド
101 ヘッドチップ
a〜j 接着部
1 チャネル基板
2 カバープレート(被接着部材)
3 チャネル
4 吐出口
5 ノズルプレート(被接着部材)
6 隔壁
7 電極膜
8 保護膜
10 インクチューブ(第2の被接着部材)
11 マニホールド(被接着部材,第2の被接着部材)
12 フィルタ(第2の被接着部材)
20 FPC(被接着部材)
21 駆動IC(第2の被接着部材)
30 筐体
の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、樹脂微粒子が添加されていることを特徴としている。
の発明は、
主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、前記硬化剤がイミダゾール類であり、100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、ジルコネートが添加されていることを特徴としている。
第1又は第2の発明のように、第1のエポキシ樹脂が主剤中に20〜90重量%含有されかつ第2のエポキシ樹脂が主剤中に10〜80重量%含有され、イミダゾール硬化剤が主剤100重量部に6重量部以上含有されることにより、60℃以下でも硬化が進行し高い耐溶剤性と可撓性が得られる。
の発明は、
インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、第1又は第2の発明に係る接着剤で接着されていることを特徴としている。
第4の発明は、
第3の発明に係るインクジェットヘッドであって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があることを特徴としている。
ここで、被接着部材と第2の被接着部材とで線膨張係数が12ppm/Kを超える程度に異なる場合、一般的なエポキシ樹脂と一般的なイミダゾール硬化剤との組み合わせに適合する硬化温度を適用すると、剥離が生じたり、部材が破断したり、インク出射速度の分布が大きくなるという問題が生じるが、本発明(第3の発明)により上記の問題を解決できた。
の発明は、
第3又は第4の発明に係るインクジェットヘッドを製造する、インクジェットヘッドの製造方法であって、前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、前記接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴としている。
第1又は第2の発明によれば、溶剤系インクに対して耐性を有し、更に低温において硬化可能で可撓性を有する接着剤を提供することができる(下記実施例1,2参照)。
の発明では、チャネル基板と被接着部材とが又は被接着部材と第2の被接着部材とが上記接着剤で接着されているから、硬化後の接着剤とチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材との間に作用する応力を緩和することができ、ひいてはチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材にひび割れが発生したり、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材が歪んだり、被接着部材がチャネル基板から剥がれ落ちたり、第2の被接着部材が被接着部材から剥がれ落ちたりするのを防止することができる。
なお、ある部材がチャネル基板と被接着部材の両者と上記接着剤で接着されている場合には、その部材とチャネル基板との関係が第の発明の「被接着部材」と「チャネル基板」との関係に相当し、また、その部材と被接着部材との関係が第の発明の「第2の被接着部材」と「被接着部材」との関係に相当する。このとき、どちらか一方の関係が第の発明に記載の関係を満足すれば上記効果を得ることができる。
の発明では、上記接着剤に60℃以下の熱を加えて当該接着剤を硬化させるため、硬化後の接着剤の温度が硬化温度から室温に低下する際のその温度差が小さく、接着剤とチャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材との間に作用する応力が緩和される。そのため、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材にひび割れが発生したり、チャネル基板、被接着部材又は第2の被接着部材が歪んだり、被接着部材がチャネル基板から剥がれ落ちたり、第2の被接着部材が被接着部材から剥がれ落ちたりするのを防止することができる。更に、第5の発明では、チャネル基板が圧電素子から構成されている場合に、当該圧電素子において脱分極が生じるのを防止することができる。
質量増加率(%)=(((溶剤浸漬後の質量)−(溶剤浸漬前の質量))/(溶剤浸漬前の質量))×100
Figure 2012087315
なお、表1「主剤」の項目中、「E1」はビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能,エピコート828(ジャパンエポキシレジン製),184〜194g/eq)であり、「E2」はビスフェノールF型エポキシ樹脂(2官能,エピコート806(ジャパンエポキシレジン製),160〜170g/eq)であり、「E3」はフェノールノボラック型エポキシ樹脂(3官能以上,エピコート152(ジャパンエポキシレジン製))であり、「E4」はトリグリシジル−p−アミノフェノールであり、「E5」はテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンであり、括弧内の数字は主剤を構成する各化合物の重量(重量部)を示す。
(1.3)結び
表1に示す通り、試料2,4,5,13は比較例の試料7〜12に比較して質量増加率が極めて低く、試料2,4,5,13が溶剤に溶解されにくいことがわかる。以上から、試料2,4,5,13のような特定組成の接着剤は、60℃以下の低温で硬化して溶剤に対しても耐性を有することがわかる。
Figure 2012087315
なお、表2「主剤」,「硬化剤」,「樹脂微粒子」,「シランカップリング剤」,「ジルコネート」の各項目中の種類や括弧内の数字等は実施例1の表1と同様である。
(2.3)結び
表2に示す通り、試料2,4,5,13は比較例の試料7〜12に比較して結果が良好であり、特に、吐出試験及びヒートサイクル試験からはマニホールド等の部材においてひび割れ、歪み、剥離等がないことがわかり、ひび割れの観察からは接着剤が可撓性を有している(ひび割れや接着力の低下がない)のがわかる。以上から、試料2,4,5,13のような特定組成の接着剤は、60℃以下の熱で硬化して可撓性を有することがわかる。更に、このような接着剤が部材のひび割れ、歪み、剥離等を防止するのに有効に機能することもわかる。

Claims (16)

  1. 主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、
    前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、
    前記硬化剤がイミダゾール類であり、
    100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、前記第1のエポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂であることを特徴とする接着剤。
  2. 主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、
    前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、
    前記硬化剤がイミダゾール類であり、
    100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、樹脂微粒子が添加されていることを特徴とする接着剤。
  3. 主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、
    前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、
    前記硬化剤がイミダゾール類であり、
    100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、シランカップリング剤が添加されていることを特徴とする接着剤。
  4. 主剤と硬化剤とが混合された接着剤であって、
    前記主剤が、2官能以下の官能基を有する第1のエポキシ樹脂と3官能以上の官能基を有する第2のエポキシ樹脂とを含有し、前記第1のエポキシ樹脂が当該主剤中に20〜90重量%含有されかつ前記第2のエポキシ樹脂が当該主剤中に10〜80重量%含有されており、
    前記硬化剤がイミダゾール類であり、
    100重量部の前記主剤に対し6重量部以上の前記硬化剤が混合され、かつ、ジルコネートが添加されていることを特徴とする接着剤。
  5. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、請求項1に記載の接着剤で接着されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 請求項5に記載のインクジェットヘッドにおいて、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があることを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、請求項2に記載の接着剤で接着されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 請求項7に記載のインクジェットヘッドにおいて、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があることを特徴とするインクジェットヘッド。
  9. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、請求項3に記載の接着剤で接着されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  10. 請求項9に記載のインクジェットヘッドにおいて、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があることを特徴とするインクジェットヘッド。
  11. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドであって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材とが、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とが、請求項4に記載の接着剤で接着されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  12. 請求項11に記載のインクジェットヘッドにおいて、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間で、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間で、12ppm/Kを超える線膨張係数の差があることを特徴とするインクジェットヘッド。
  13. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、請求項1に記載の接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  14. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、請求項2に記載の接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  15. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、請求項3に記載の接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  16. インクのチャネルを有するチャネル基板と、前記チャネル基板に対し接着される被接着部材と、前記被接着部材に対し更に接着される第2の被接着部材と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記チャネル基板と前記被接着部材との間に、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材との間に、請求項4に記載の接着剤を塗布し、前記接着剤に60℃以下の熱を加えて前記接着剤を硬化させ、前記チャネル基板と前記被接着部材とを、又は前記被接着部材と前記第2の被接着部材とを接着させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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