JP2013059966A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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尚史 羽橋
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドの上記のような現状に鑑み、インクジェットヘッドを構成するため接着された複数の異なる部材間の剥離強度が充分であり、かつ、水性及び油性のインク浸透による劣化のない液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】液体流路を形成する複数の異なる部材が接着剤により接合されてなる液体吐出ヘッドにおいて、該吐出ヘッドは、アミド系有機溶剤を含む水系液体の吐出用のものであり、前記接着剤が、メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分と、熱潜在性硬化剤からなる硬化成分とを含む接着剤であり、かつ接着剤からなる層は液晶状態を有していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッドに関するものである。
例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置において使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(加圧室、吐出室、圧力室、加圧液室等とも称される。 )と、この液室内のインクを加圧する圧力発生手段(駆動手段、或いはエネルギー発生手段)とを備えて、圧力発生手段を駆動することで液室内インクを加圧してノズルからインク滴を吐出させるものである。
従来、インクジェットヘッドとしては、圧電素子を用いて液室の壁面を形成する振動板を変形させてインク滴を吐出させるようにしたもの(特許文献1:特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵抗体を用いて液室内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるようにしたもの(特許文献2:特開昭61−59911号公報参照)、液室の壁面を形成する振動板と電極とを平行に配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることでインク滴を吐出させるようにしたもの(特許文献3:特開平6−71882号公報等参照)などが知られている。
ところで、インクジェットヘッドは、液室、この液室にインクを供給する流体抵抗部、流体抵抗部を介して液室に供給するための共通インク液室、インク滴を吐出するためのノズル孔或いはノズル溝などの各種流路を形成する必要があり、例えば、液室などの流路を形成するための流路基板(液室基板)とノズルを有するノズル板などの部材を接合してヘッドが形成される。
従来、インクジェットヘッドを構成する部材の接合には湿式の接着剤、フィルム接着剤などの接着剤接合が一般的であるが、この他、シリコン基板を液室基板やノズル板に用いた場合には直接接合や金属材料を介した共晶接合、あるいは金属材料を用いた場合には陽極接合なども行われている。
インクジェットヘッドは複数の異なる部材が接着されてなるものであり、かつ、インク吐出時には、強い振動と吐出圧力が加わるので、接着部における部材間には高い接合強度が必要となる。また、接着部の端部がインクに曝されており、インク吐出の圧力がこの部分の部材間にかかる。これらの吐出サイクルは数kHzであり、高周波の圧力変動を受ける部材のため接着部の劣化が進みやすい。そのため一般的な接着より耐液性が求められる。
ところで、一般的に2つの部材の接合を行う場合には、部品精度を保ち、信頼性の高い接合を実現しなければならないという要請がある。ところが、インクジェットヘッドにおいては、接合される部位はインクと接触する部位が多く、このインクとの接触は、接合剤自体を劣化させたり、接合界面に浸透し、剥離を生じさせたりと信頼性に関して大きな問題を引き起こすことになる。
そのため接着剤は使用されるインクに対して耐性を持ち、かつ接合界面への浸透乖離を極力抑えて十分な接合強度を持つものが望まれているが、すべてのインクに対して優位な接着剤は存在しておらず、特定のインクに対する低劣化な接着剤の選定も極めて困難であった。
近年、家庭用インクジェットプリンタや産業用インクジェットプロッタが普及したため水系インクや油系インクを吐出する機会が増えており、これらのインクに対応する接着剤も見出されている。
しかし最近は紙媒体への印字におけるカールの抑制や非吸収性フィルム媒体への印字のためのインクが開発されており、従来の水系インクや油系インクとは異なる特性を有している。すなわち特許文献4:特開2005−220296号公報に示されるように、カール抑制インクは、インク中の水分を押さえ溶剤を増やした組成を示しており、従来の水系インクのように水の特性が強く出たものではなく、水溶性有機溶媒の特性がより強く表れたインクとなっている。また、特許文献5:特許第4277898号公報に示されるような非吸収性フィルム媒体への印字インクは、メチルピロリドンのような溶解性の高い溶媒を多く添加するインクとなっており、従来の水性インクに比べて有機材料物への攻撃性が高くなっている。
これらのインクの特徴は水を伴ったインクでありながら有機溶媒の特性が強く出ているインクのため従来の水系インクより有機構造体への浸透性が増している点が従来の水系インクと異なっている。そのため水系インクに用いていた接着剤を用いると接着剤にインクが浸透しやすく、また界面への水分の浸透が有るため、金属や酸化膜の様に接着表面が親水性であるものの接着強度を著しく低下させる課題がある。
また従来は接着剤の架橋密度を上げて耐溶剤性を向上させていたが、凝集力は向上するが脆くなるため剥離強度の低い接着剤となり、貼り合わせ面に対する垂直方向の強度が上がらない課題がある。
したがって、本発明の目的は、液体吐出ヘッドの上記のような現状に鑑み、インクジェットヘッドを構成するため接着された複数の異なる部材間の剥離強度が充分であり、かつ、水性及び油性のインク浸透による劣化のない液体吐出ヘッドを提供することにある。
上記課題は、本発明の(1)〜(15)によって達成される。
(1)「 液体流路を形成する複数の異なる部材が接着剤により接合されてなる液体吐出ヘッドにおいて、該吐出ヘッドは、アミド系有機溶剤を含む水系液体の吐出用のものであり、前記接着剤が、メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分と、熱潜在性硬化剤からなる硬化成分とを含む接着剤であり、かつ接着剤からなる層は液晶状態を有していることを特徴とする液体吐出ヘッド」。
(2)「 前記接着剤による接合が、前記メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分の液晶相温度での接着剤の硬化によることを特徴とする前記(1)項に記載の液体吐出ヘッド」。
(3)「 前記アミド系有機溶剤を含む水系液体は、20重量%以上70重量%以下のアミド系有機溶剤を含むものであることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の液体吐出ヘッド」。
(4)「 前記硬化した接着剤からなる接着剤部分は液晶状態を有しているものであることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の液体吐出ヘッド」。
(5)「 前記アミド系有機溶剤が、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、下記一般式(1)で表されるアミド材料のいずれか一つ以上を含むものであることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の液体吐出ヘッド;
Figure 2013059966

(式中、RはC1〜C21のアルキル基を表わす。)」。
また、本発明はつぎの(6)〜(15)項に記載の「液体吐出ヘッドの製造方法」、「インクジェット記録方法」を包含する。
(6)「 液体流路を形成する複数の異なる部材を接着剤により接合する工程を含む液体吐出ヘッドの製造方法において、該吐出ヘッドは、アミド系有機溶剤を含む水系液体の吐出用のものであり、前記接合工程は、前記接着剤として、メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分と、熱潜在性硬化剤からなる硬化成分とを含み、液晶状態を有しているものを用いる工程であることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法」。
(7)「 前記接着剤による接合工程が、前記メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分の液晶相温度で接着剤を硬化させるものであることを特徴とする前記(6)項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法」。
(8)「 前記アミド系有機溶剤を含む水系液体は、20重量%以上70重量%以下のアミド系有機溶剤を含むものであることを特徴とする前記(6)項又は(7)項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法」。
(9)「 前記硬化した接着剤からなる接着剤部分は液晶状態を有しているものであることを特徴とする前記(6)項乃至(8)項のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法」。
(10)「 前記アミド系有機溶剤が、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、下記一般式(1)で表されるアミド材料のいずれか一つ以上を含むものであることを特徴とする前記(6)項乃至(9)項のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法;
Figure 2013059966

(式中、RはC1〜C21のアルキル基を表わす。)」。
(11)「 液体流路を形成する複数の異なる部材が接着剤により接合されてなる液体吐出ヘッドによりインクを吐出して画像を形成する記録方法であって、前記インクは、アミド系有機溶剤を含む水系液体のインクであり、前記接着剤が、メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分と、熱潜在性硬化剤からなる硬化成分とを含む接着剤であり、かつ接着剤からなる層は液晶状態を有していることを特徴とする画像記録方法」。
(12)「 前記接着剤による接合が、前記メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分の液晶相温度での接着剤の硬化によることを特徴とする前記(11)項に記載の画像記録方法」。
(13)「 前記インクは、20重量%以上70重量%以下のアミド系有機溶剤を含むものであることを特徴とする前記(11)項又は(12)項に記載の画像記録方法」。
(14)「 前記硬化した接着剤からなる接着剤部分は液晶状態を有しているものであることを特徴とする前記(11)項乃至(13)項のいずれかに記載の画像記録方法」。
(15)「 前記アミド系有機溶剤が、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、下記一般式(1)で表されるアミド材料のいずれか一つ以上を含むインクを吐出することを特徴とする前記(11)項乃至(14)項のいずれかに記載の画像記録方法;
Figure 2013059966

(式中、RはC1〜C21のアルキル基を表わす。)」。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかように、本発明によれば、インクジェットヘッドを構成するため接着された複数の異なる部材間の剥離強度が充分であり、かつ、水性及び油性のインク浸透による劣化のない高耐久性の液体吐出ヘッドとその製造方法、及びこれを用いた画像形成方法が提供されるという優れた効果を奏するものである。
本発明の画像形成装置における記録ユニットを構成する液滴吐出ヘッドの構成を示した液室長手方向に沿う部分断面図である。 本発明の画像形成装置における記録ユニットを構成する液滴吐出ヘッドの構成を示した液室短手方向(ノズルの並び方向)の部分断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例を示す斜視説明図である。 同画像形成装置の機構部の側面説明図である。
[複数部材の接着により構成される液体吐出ヘッド、そのため接着剤]
以下に、本発明を詳細に説明する。
上記のように、インクを構成する成分としての親水性有機溶剤や水分が、接着剤や接着界面に浸透することで剥離を促進し接着強度を低下させる原因となっている。そのため接着剤へインクの浸透を押さえることが重要となる。インクの浸透を抑制するには硬化後の構造面からは接着剤の密度を向上させ接着剤の膨潤を押さえ込むことと、化学面からはインクと合い交えない組成とし浸透を防ぐことが必要となる。
エポキシ接着剤は複数のエポキシ基が3次元架橋を行うことで接着するため、他の接着剤に比べて架橋密度が高く膨潤しにくいことが特徴となっている。そのため従来の水系インクに対して効果的な接着剤となっている。しかしエポキシ接着剤を含む樹脂構造物の弱点として、非結晶樹脂構造体のため密度が低く分子間の空間が広く、水や溶剤が浸透しやすく、浸透した溶剤成分によって接着界面への攻撃や樹脂の強度低下を引き起こす事があり、低い温度域でガラス転移点を持つため、温度変化で物性変化を起こしやすく耐熱性に課題がある場合が多い。
接着強度に関しても、微小な液体流路の場合では接着部に対して余裕を持った形状とすることができず応力方向に対して貼り合わせることが多いため、剪断接着強さと共に剥離接着強さが求められる。膨潤を押さえるための3次元架橋構造を強固にした剛直な接着剤とすると剪断接着強さは向上するが剥離接着強さは低下する。剥離接着強度を強くするためには樹脂の柔軟性を高める必要があり、その場合は架橋密度を高くすることができない。そのため溶剤浸積時の剥離接着強度の確保は困難となっている。
さらに剥離強度を高めるために弾性樹脂を添加し、エポキシ樹脂と混合系での接着剤が開発されているが、微小な液体流路の場合では流路の精度を高めるため接着剤層の厚みを少なくすることが多く、塗布厚が弾性樹脂の粒径以下となると接着障害になるため安易に添加できない。また弾性樹脂は耐溶剤性が低いため、添加することで膨潤したり、透湿性を上げてしまい接着強度の劣化を進める傾向にある。
すなわち、現在のSUS板、プラスチック板、ガラス板を含むヘッド部材組立用接着剤は、「剥離強度」と「インク浸積劣化防止」の両立が大きな課題であるといえるが、剥離強度には接着剤の柔らかさが寄与するので、この点から見ればやわらかな樹脂が良いことになるが、柔らかな樹脂材料は一般的に構造が粗く、吸湿性(透湿性)が高いものが多い。そして、インク浸積劣化には、接着剤の透湿性が影響するので、構造が密(硬い樹脂が多い)なものが好ましいが、そのような硬い樹脂材料は、柔軟性に欠け、剥離強度が低いという問題が多い。
これら問題に対処するため開発された本発明においては、接着剤骨格に、機能性高分子材料のエンプラ機能の説明中にしばしば登場する一種の液晶形態相であるメソゲン相を出現するメソゲン骨格を導入することで溶剤浸積時の剥離接着強度の確保を可能としている。メソゲン相高分子材料は、密でありながら応力が掛かると構造スライドが起こり、柔らかさを発現することで知られている。一般的なエポキシ樹脂が非晶質のガラス状態を取ることに対し、メソゲン骨格を導入することで液晶相と呼ばれる中間相を発現でき、特異的な特性を得ることができる。これは、メソゲン骨格間がπ-πスタッキングにて配列することで半結晶性となるため、例えば、一般的なビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂に対して水蒸気の透過性が1/5程度まで下がり、水分や溶剤の浸透性を低下させることができる。
またメソゲン骨格が樹脂内で液晶状態として存在することで、強い応力が掛かったときにメソゲン骨格部分が塑性変形することで応力緩和を行い、樹脂の破壊を防ぐことができ、そのためビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂に対して、剥離強度を向上させることができる。
しかし、これらのメソゲン骨格化合物は結晶性が高いためもあって融点が高く、エポキシ樹脂として硬化剤と反応させる条件が限られてしまう。また硬化温度が高すぎると液晶状態ではなくランダム状態のまま硬化することとなるため、上記のメソゲン骨格を用いる効果が得られなくなる。そのため硬化温度はエポキシ樹脂硬化物が液晶状態を取ることができる温度が必要で、好ましくはエポキシ樹脂が液晶状態を取る温度以下である。この液晶状態としてはネマチックおよびスメクチック液晶の状態であり、好ましくはスメクチック液晶であることが望ましい。
反応時間に関しても短時間ではランダムな硬化状態にて固化し、ガラス状の樹脂となってしまう。反応時間を長くすることでメソゲン骨格が再配列することができるため硬化物に液晶状態を生成することが可能となる。硬化時間は硬化剤の種類や量に依存するため一様ではないが、10分以上は必要で好ましくは1時間以上、望ましくは5時間以上である。
メソゲン液晶性は、共鳴系で繋がった芳香族化合物にて発現しやすく、エポキシ基を持つこのようなメソゲン骨格液晶性化合物としては、ビフェニル型、アジン型、スチルベン型、安息香酸エステル型化合物が挙げられるが、上記の化合物に限らすメソゲン相液晶性を示す化合物のエポキシ基含有化合物は本発明に利用可能である。
ビフェノールジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテル、テレフタリリデン−ビス−(4−アミノフェノール)ジグリシジルエーテル、1,5−ビス−[4−[2−アザ−2−(メチル−4−ヒドロキシフェニル)−ビニル]フェノキシ]ペンタンジグリシジルエーテル、1,4−ビス−[4−(4−ヒドロキシベンゾエート)フェノキシ]ブタンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシ−α−メチルスチルベンジグリシジルエーテル等が、使用可能な具体例として挙げられる。
これらの化合物の中では、3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テレフタリリデン‐ビス‐(4‐アミノ‐3‐メチルフェノール)ジグリシジルエーテルが好ましく、つまり、溶液への溶解性の面で3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルが良好であり、接着剤に溶解混和が可能である。また液晶性と入手性の点からテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテルが本発明に用いるには好ましい。
上記のようなメソゲン骨格化合物は、エポキシ樹脂として単独もしくは他のエポキシ樹脂と組み合わせてエポキシ接着剤中に自由に混和させて使用することができる。メソゲン骨格による液晶性を示すためにも、メソゲン骨格化合物のエポキシ接着剤中に添加される量は固形比で30重量%以上が望ましく、好ましくは50重量%以上である。
また接着剤の硬化時には熱だけでなく電場、磁場を付与することで液晶の配向性を制御することができ、硬化物に特異方向に物性を変化させることが可能となる。剥離応力が掛かる方向にメソゲン骨格を配向させることで、剥離方向への変形性を上げることができ、応力緩和の効果から剥離強度を向上させることができる。
エポキシ接着剤を構成するエポキシ樹脂については、上記メソゲン骨格持つエポキシ化合物以外に一般的なエポキシ化合物を併用することも可能である。その中でもエポキシ基を有する多官能化合物を使用することで、三次元架橋を構成した硬化物が得られる。エポキシ樹脂としてはグリシジル基の結合部位によって、グリシジルエ−テル系、グリジルエステル系、グリシジルアミン系などと分けることができ、また結合母体となる化合物によっても幅広く化合物が得られている。接着剤に用いるエポキシ樹脂は種類は特に制限されず、結合材料とインクの特性に応じて最適なものを選択することが可能である。
また上記メソゲン骨格を持つエポキシ化合物は結晶性が高いため高融点のものが多く、接着剤の流動性を低下させる欠点がある。一般的なエポキシ樹脂と混和することでメソゲン骨格を持つエポキシ化合物の流動性や接着剤成分からの分離性を改善することができる。
インクに対して浸透性を抑制し膨潤することをなくすためには、エポキシ樹脂の親水性を低減させて三次元架橋を増やす必要がある。そのため膨潤に対してはグリシジルアミン系のような多官能エポキシや、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化合物などが好ましい。吸湿性の面から水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂やジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂が好ましく、特性に合わせて混合可能である。
これらの接着剤は部材への濡れ性や吸着性の面を考慮する必要があり、樹脂の物理特性をコントロールすることが求められる。そのため複数の樹脂を混合して特性を制御することが可能である。また部材に対する結合性から樹脂を選択する必要があり、金属への水素結合性からビスフェノールAのグリシジルエーテルが好ましく、分子量も大きいほど弾性に富む樹脂構成となり得るが、インクに対する膨潤や水素結合の切断もあるため、適切に混合して使用することが可能である。
これらのエポキシ樹脂は、三菱化学、四国化成工業、アデカ、DICを含め多数より発売されており、何れからも購入することができる。
エポキシ樹脂の硬化剤についても、メソゲン骨格の液晶性を発現する上で添加量や種に影響を受けるが、接着特性をコントロールするために種々の選択が可能である。硬化剤によってエポキシ樹脂の硬化温度が変化するため、メソゲン骨格を持つエポキシ樹脂の流動点以上で反応する硬化剤が望ましい。この硬化剤についてもメソゲン骨格を持つものを用いると、接着強度を上げることが可能となるが、硬化剤の融点が上がり溶解性が低下することがある。
上記のエポキシ接着剤を使用する際には、半硬化状態(Bステージ状態)を取ることが出来る接着剤の方が、部材接着を精密に微調整してから接着することが可能となるためを望ましい。ここで言うBステージ状態は、エポキシ樹脂と硬化剤が未硬化もしくは硬化途中で反応性を保持されている状態であり、塗布に適した溶液の初期状態に対して、Bステージ状態はゲル状〜固体となりエポキシ樹脂の流動性が著しく低下した状態を示している。
Bステージ状態を得るにはエポキシ接着剤の反応性を押さえ硬化温度を高温に引き上げることが好ましく、反応性を変更するにはエポキシ樹脂や硬化剤の種類によって硬化温度を選択できる。反応性を押さえた高温反応用の硬化剤は熱潜在性硬化触媒あるいは熱潜在性硬化促進剤と呼ばれることもあり、その種類は特に制限されず、混合後室温ではエポキシ基を重合させ得る能力が低く、加熱によりエポキシ基を重合させ得る能力を有す化合物であればよい。
具体的には脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミノアミド等の1級、2級アミン類、酸無水物類、カルボン酸、フェノール類、メルカプタン類、イソシアネート類等の硬化剤、3級アミン類、イミダゾール類等のアニオン重合触媒、ルイス酸類等のカチオン重合触媒、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド類、N,N−ジメチル尿素誘導体、アミンアダクト類、メラミン類、アミンイミド類、ハロゲン化ホウ素錯体、ブロックカルボン酸類、およびそれらの変性物、それらのアダクト化物、それらのマイクロカプセル化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの熱潜在性硬化剤は、単独または2種類以上を混合して使用することができる。
これらのうちで好ましいものとしては、ジシアンジアミド、N,N−ジメチル尿素誘導体、室温で固体のイミダゾール、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化剤、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)、アミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)が挙げられる。
これら潜在性硬化促進剤は、例えば所謂「一液性エポキシ樹脂硬化剤」として、三菱化学、四国化成工業、味の素ファインテクノ、アデカ、旭化成ケミカルズ、富士化成工業などから購入することが可能である。
エポキシ接着剤としては無溶剤で有って良いし、適度な粘度になるように希釈溶剤で希釈することも可能である。希釈溶剤としてはエポキシ基と反応性がある活性水素のある溶剤より活性水素のない溶剤が接着剤の保存性の面から好ましいが、部材への濡れ性や乾燥速度、粘度等の面から自由に選択することが可能であり、完全に溶解した状態ではなく分散した状態であっても乾燥時に接着剤層が形成されるなら、問題なく使用可能である。
溶剤の乾燥に関しては室温や、反応しない範囲での加温も可能である。また減圧乾燥を行うことも可能であり、減圧乾燥を行うことで高沸点の溶剤を使用してもエポキシ樹脂を反応させずに乾燥させることは可能である。
使用可能な溶剤はエポキシ樹脂、硬化剤、その他添加剤に応じて自由に選択することができるが、硬化反応を安定的に進めるためにも不純物が管理された溶剤が望ましい。
接着強度を高めるために、接着界面にアンカー剤を作用させてイオン結合や共有結合によって強固に接着剤と部材を固定することが効果的である。接着部材が金属である場合、油性インクにおいては水素結合性にて強固に固定されるが、水性インクに対しては接着界面に浸透した水によって水素結合が切られてしまい接着強度が著しく低下してしまう。そのためにも共有結合を接着剤と部材間で持たせることが望ましい。
金属とエポキシ接着剤を共有結合で結合させるには、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤を使用することが効果的である。接着される金属部材表面にカップリング剤を直接処理しても良いし、またカップリング剤の結合性を高める表面処理を行ってからカップリング剤処理をしても強固な結合が得られる。
カップリング処理の前に行う表面処理としては、シランカップリング剤に対してはSiOやSiCスパッタ処理が非常に効果的であり、TiO2やTiN処理はチタネート系カップリング剤だけでなくシランカップリング剤に対しても効果的である。これらの前処理は厚く処理を行うと処理層の強度が接着強度に影響を示してしまうため、極力薄層であることが望ましい。
これらに用いるカップリング剤の例を以下に示す。
・シランカップリング剤
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
N-2(-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-2(-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(1,3-ジメチル-ブチリデン)─プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N-(2-(ビニルベンジンアミノ)エチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、1,2-エタンジアミン,N-{3-(トリメトキシシリル)プロピル}-,N-{(エテニルフェニル)メチル}誘導体・塩酸塩
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランシランカップリング剤の有機性基に関してはエポキシ樹脂と反応する官能基を有するものが好ましく、上記のカップリング剤はその一例である。、
これらは信越化学、東レダウコーニング、チッソなどから購入可能である。
・チタネート系、アルミネート系カップリング剤
テトラ-i-プロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン、チタニウム-i-プロポキシオクチレングリコレート、ジ-i-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ポリ(ジ-i-プロポキシ・オキシチタン)、ポリ(ジ-n-ブトキシ・オキシチタン)、ジ-n-ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(トリエタノ-ルアミネ-ト)チタン、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートチタネート系、アルミネート系カップリング剤は無機表面に高分子有機被膜を形成することで接着剤の濡れ性を向上させて接着強度を向上させる。上記はチタネート系カップリング剤の一例であり限定されるものではない。これらは三菱ガス化学、日本曹達、味の素ファインテクノより購入可能である。
何れのカップリング剤であっても利用可能であるが、好ましくはエポキシ基、もしくはアミン基をもつカップリング剤が望ましく、カップリング剤をエポキシ接着剤に添加して効果を発揮させるためには、接着剤の有効期間の面から常温で反応が進まない面から、エポキシ基のカップリング剤が望ましい。
エポキシ接着剤には上記のエポキシ樹脂や硬化剤、溶剤、カップリング剤以外に、フィラーやその他のバインダー樹脂、粘度調整剤などを含んでもよい。フィラーとしてはシリカやアルミナのような無機粒子で有っても、メラミン樹脂やアクリル樹脂の樹脂微粒子で有っても良い。また粘度調整剤として高級脂肪酸アマイドなどを添加して、接着剤の塗工にて適した粘度に調整することも可能である。また塗膜に泡による塗布斑が発生しないために抑泡剤や消泡剤を添加しても良い。
[インク]
本発明のインクジェット用インクは、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び着色剤を少なくとも含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
(水溶性有機溶剤)
本発明に用いられるインクジェット用インクとして、水溶性有機溶剤に水溶性アミド化合物を含有し、必要応じて下記に記載する水溶性有機溶剤を混合して用いることができる。
水溶性アミド化合物は多くの有機化合物や無機塩を溶解することが可能な極性溶媒となっており、水から有機溶剤へ幅広く混合することが可能である。そのためメディアに対する濡れ性や溶解性、他の成分の混和安定性などを向上させる効果が得られる。
このような水溶性アミド化合物としては、例えば環状アミド化合物として、2−ピロリドン(bp250℃)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204-205℃)など、非環状アミド化合物として、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199-201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176-177℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp165℃)などが挙げられる。
また非環状アミド化合物の一種である下記一般式(1)で示されるアミド化合物も含まれる。
Figure 2013059966

(式中、RはC1〜C21のアルキル基を表わす。)」。

上記一般式(1)のアミド化合物は、アルキル基の長さ等によって水や有機溶媒への混和性が異なってくる。
アルキル基がメチル基のアミド化合物は、沸点が216℃と高く、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量も39.2wt%高く、しかも液粘度が25℃環境で1.48mPa・sと非常に低い。さらに、水溶性有機溶剤及び水に非常に溶解し易いので、インクジェット用インクが低粘度化可能となり、インクジェット用インクに用いる水溶性有機溶剤としては非常に好ましい。このアミド化合物を含有させたインクジェット用インクは、保存安定性、吐出安定性が良好なインク、且つ、インク吐出装置の維持装置に優しいインクとなる。
またアルキル基がブチル基のアミド化合物は、水へ自在に溶解し流動パラフィンやn−ヘキサンの溶解性があり、沸点が252℃と高く、インクへの浸透向上剤や可溶化剤として添加することが可能である。
これらのアミド化合物は何れも溶解性が高く、従来の接着剤に対しても溶解性が高いためインクへの添加量を増やすことが困難であった。そのため積層型ヘッドのような接着剤を用いているインクジェットヘッドでは、使用するインクへのアミド化合物の添加量は10重量%以下であり、多量の添加は積層間の接着剤を攻撃してしまい十分な強度が得られない問題点があった。
本発明の接着剤を用いたヘッドの場合は、前記インクジェット用インク中におけるアミド化合物の含有量は、20重量%以上添加することが可能となる。
このようなアミド化合物の添加量は、印字画像のベタ均一性の面から20重量%以上が好ましく、70重量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣り更に普通紙上の文字品位が低下することがある。
また、上記アミド化合物と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上である多価アルコールを少なくとも1種類以上を含むことが好ましく、例えば前記のように、平衡水分量及び沸点がかなり高い湿潤剤A(湿潤剤Aは、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上、沸点が250℃以上のもの。湿潤剤Aの平衡水分量は、40wt%以上であることが好ましい)、および、平衡水分量は高いが沸点が比較低い湿潤剤B(湿潤剤Bは、23℃、80%での平衡水分量が30wt%以上で、沸点が140℃〜250℃のもの)を含有することが好ましい。
該多価アルコール中、常圧で沸点250℃を越える湿潤剤Aとしては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、38wt%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190-191℃/24hPa、41wt%)、グリセリン(bp290℃、49wt%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、38wt%)、トリエチレングリコール(bp285℃、39wt%)、テトラエチレングリコール(bp324-330℃、37wt%)等が挙げられ、沸点140〜250℃の湿潤剤Bとしてはジエチレングリコール(bp245℃、43wt%)、1,3-ブタンジオール(bp203-204℃、35wt%)等が挙げられる。
これら湿潤剤A、湿潤剤Bは、いずれも、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の吸湿性が高い材料であり、ただ、湿潤剤Bは、湿潤剤Aよりも、蒸発性が比較的高いことも事実である。特に好ましくはグリセリン、1,3-ブタンジオールからなる群から選択されたものが挙げられる。
湿潤剤Aと湿潤剤Bの組合せを用いる場合、湿潤剤Aと湿潤剤Bとの含有量比B/A(質量比)は、他の添加剤の種類や量にも少なからず依存するので、一概に云えないが、例えば10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。
本発明における、平衡水分量は、塩化カリウム/塩化ナトリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、相対湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを保管し、飽和する水分量を求めたものである。
Figure 2013059966
上記多価アルコールを水溶性有機溶剤全体の50wt%以上用いた場合が吐出安定性確保やインク吐出装置の維持装置での廃インク固着防止に優れている。
またインクには、上記湿潤剤A、B以外にも、必要に応じて湿潤剤A、Bの一部に代えて、または湿潤剤A、Bに加えて、その余の有機溶剤を併用することができる。
併用可能な有機溶剤としては、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の水溶性有機溶剤が含まれる。
前記多価アルコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196-198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253-260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199-201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp197℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N-ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N-メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N-メチルエタノールアミン(bp159℃)、N-フェニルエタノールアミン(bp282-287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
その他の固体湿潤剤としては、糖類などが好ましい。
該糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。
ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表わされる。 )、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。
これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
〔着色剤〕
着色剤については、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調整の目的で同時に染料を耐候性を劣化させない範囲内で含有しても構わない。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロ-、カドミウムレッド、クロムイエロ-に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
これら顔料のうち、好ましい形態としては、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。そのためには、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいはまた、次亜ハロゲン酸および/またはその塩を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。なかでも好ましい形態は、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散されている形態である。これも顔料が表面改質されカルボキシル基が結合しているために、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。
またこの形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。またこの自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
上記形態の顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することも可能である。顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及び/またはポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入及び/または吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000-53897号公報、2001-139849号公報に開示されているポリマーを引用する。
本発明では顔料のみでなく、水溶性染料を併用することも可能であり、特に好ましいのは、酸性染料及び直接性染料である。
インク中の着色剤の添加量は、1〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜12重量%程度である。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体例として以下に挙げるものが好適に使用されるが、これらに限定されるわけではない。ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
このような界面活性剤は日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成(株)などの界面活性剤メーカより容易に入手できる。
またアセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)をもちいることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーおよびこの硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルが挙げられる。
このようなフッ素系界面活性剤として市販されているものを挙げると、サーフロンS-111、S-112、S-113、S121、S131、S132、S-141、S-145(旭硝子社製)、フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431、FC-4430(住友スリーエム社製)、FT-110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS-62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO-100、FSN N、FSN-100、FS-300、FSK(Dupont社製)、ポリフォックスPF-136A、PF-156A、PF-151N(OMNOVA社製)などがあり、メーカより容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
界面活性剤総量として浸透性の効果を発揮するためには0.01〜5重量%含有していることが望ましい。界面活性剤総量が0.01重量%未満では添加した効果は無く、5.0重量%より多い添加では記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生する。多くの物性の普通紙に対応するためにも0.5〜2重量%がより好ましい
〔浸透剤〕
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2重量%以上5.0重量%未満のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、5-ヘキセン-1,2-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールなどが、具体例として挙げられる。
これらのなかで最も望ましいものは2-エチル-1,3-ヘキサンジオール及びまたは2、2、4-トリメチル-1、3-ペンタンジオールである。
その他の併用できる浸透剤として、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられるが、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
浸透剤として水への溶解度が低いものであっても、前述のアミド化合物にて可溶化されてインクから析出しないものであれば、浸透剤として利用可能である。従来のインクではアミド化合物の添加量が少なかったため可溶化効果が少なかったが、本発明のインクではアミド化合物を多く添加できるため、従来では使用できなかった難溶性有機物も添加することができる。そのため浸透が困難であった印刷用コート紙などにも浸透させることが可能となる。
浸透剤の添加量としては0.1〜4.0%の範囲が望ましい。添加量が0.1%よりも少ないと、速乾性が得られず滲んだ画像となる。逆に添加量が4.0%よりも多いと着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生する。
〔水分散性樹脂〕
水分散性樹脂としては、縮合系合成樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂など)や付加系合成樹脂(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂など)、天然高分子(セルロース類、ロジン類、天然ゴムなど)を用いることができ、樹脂はホモポリマーとして使用されても良く、またコポリマーして使用して複合系樹脂として用いても良く、単相構造型及びコアシェル型、パワーフィード型エマルジョンの何れのものも使用できる。水分散性樹脂としては、樹脂自身に親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基をもつ樹脂にて分散性を付与したものが使用できる。特にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化および懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。不飽和単量体の乳化重合の場合、不飽和単量体、重合開始剤、及び界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤などを添加した水にて反応を行い樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。使用可能な不飽和単量体としては不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独および複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることで柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行うことで樹脂の特性を改質することもできる。
不飽和単量体を単独および複数組み合わせて用い、重合開始剤にて樹脂化することで柔軟に水分散性樹脂の性質を改質することが可能である。またこのような水分散性樹脂は強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が望ましい。特に水分散着色剤との混和性からpHが6〜11が好ましく、pHが7〜9がより好ましい。
水分散性樹脂の粒径は分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径は50nm以上が望ましい。また粒径が数十μになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させることは知られている。インク吐出性を阻害させないために平均粒子径が500nm以下が望ましく、150nm以下が好ましい。
水分散性樹脂は水分散着色剤を紙面に定着させる働きを持ち、常温で被膜化して色材の定着性を向上させることが望まれている。そのためには最低造膜温度(MFT)が常温以下であることが好ましく20℃以下であることが望ましい。しかしガラス転移点が-40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移点が-30℃以上の水分散性樹脂であることが望ましい。
その他インクに添加する添加剤としては、防腐紡黴剤やpH調整剤、キレート剤、防錆剤などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
pH調整剤としては、調合される記録液に悪影響をおよぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、消泡剤などが挙げられる。
〔pH調整剤〕
pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記pHが7未満及び11を超えるとインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
〔防腐防かび剤〕
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
〔キレート剤〕
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
〔防錆剤〕
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
〔酸化防止剤〕
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
〔紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
〔消泡剤〕
消泡剤としては、シリコーン消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤などが挙げられる。また一般的な消泡剤を併用し、破泡効果を高める観点から無機微粒子を多量に含有するものを使用する場合、該消泡剤を用いた前記記録用インクが、粒径が0.5μm以上の粗大粒子を3.0×107(個/5μl)以下含み、かつ粒径が1μm以上5μm未満の粒子の前記粗大粒子における量が1個数%以下である必要があることから、前記無機微粒子を必要に応じて適宜除去等すればよい。
〔インク〕
本発明のインクは、着色剤、水溶性有機溶剤(湿潤剤)、界面活性剤、浸透剤、水分散性樹脂及び水、更に必要に応じて他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
本発明の記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
前記記録用インクの25℃での粘度は3〜20mPa・sが好ましい。
前記インク粘度が3mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RL−550、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記記録用インクの表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、35mN/mを超えると、記録用メディア上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
本発明の記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。
これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
本発明の記録用インクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特許文献1:特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特許文献2:特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで, インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特許文献3:特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
本発明の記録用インクは、インクジェット記録用インク、万年筆、ボールペン、マジックペン、サインペンなどの各種分野において好適に使用することができるが、特に、インクジェット記録方式による画像形成装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に被記録用紙及び前記記録用インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することも
でき、以下の本発明のインクメディアセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインク記録物に特に好適に使用することができる。
<ヘッド構成>
図1は、この発明の画像形成装置における記録ユニットを構成する液滴吐出ヘッド(1)の構成を示した液室長手方向に沿う部分断面図、図2は液室短手方向(ノズルの並び方向)の部分断面図である。
同図(A)において、液室吐出ヘッド(1)は、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板(11)と、流路板(11)の下面に接合した例えば金属材料層と樹脂材料層で形成した振動板(12)と、流路板(11)の上面に接合したノズルプレート(13)とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル(14)が連通する流路であるノズル連通路(15)と液室(16)と、液室(16)にインクを供給するための共通液室(17)に連通するインク供給口(18)などを形成している。
流路板(11)と振動板(12)及びノズルプレート(13)は、それぞれ位置決め孔を持っており、これらに接着剤を塗布したのちに同一の位置決めピンに挿入することで位置決め接合される。
ここで、流路板(11)は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることによりノズル連通路(15)と液室(16)となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板(12)は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材、多結晶シリコン板をエッチングしたものなどを用いることもできる。
ノズルプレート(13)は各液室(16)に対応して直径10〜30μmのノズル(14)を形成し、流路板(11)に接着剤接合している。このノズルプレート(13)としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。
ノズルプレートノズル面には、撥水処理を施している。 ノズル面に撥水処理を施すことで、ノズル面の汚れ、吐出曲がり、不吐出等の吐出不良を防止することができる。この撥水処理による撥水膜の形成は、真空下での蒸着であっても良いし、適当な溶媒に溶解させて塗布しても良い。
前者について言えば、例えば、真空雰囲気下でRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に前記液体吐出ヘッドのオリフィス面を表面処理して、ノズル面上に撥水膜を形成することができる。 なお、材料及び真空槽内の真空度によっては、常温〜200℃程度の低温での撥水膜を形成することもできる。
また、後者について言えば、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することもできる。
撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が使用できる。 また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、特にアルキルシロキサン基を有する有機化合物が使用できる。
撥水膜の膜厚は、5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
膜厚が5μmを超える場合、塗膜の乾燥が遅くなり生産性が悪くなったり、機械的耐久性が損なわれたりする場合があり、ワイピングしたときに剥がれが生じるおそれがある。
振動板(12)を変形させて液室(16)内の液を加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図2では1列のみ図示)の積層型圧電素子(19)と、この圧電素子(19)を接合固定するベース基板(20)とを備えている。
なお、圧電素子(19)の間には支柱部(21)を設けている。
この支柱部(21)は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子(19)と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子(19)には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル(22)を接続している。
そして、振動板(12)の周縁部をフレーム部材(23)に接合し、このフレーム部材(23)には、圧電素子(19)及びベース基板(20)などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部(24)及び共通液室(17)なる凹部、この共通液室(17)に外部から液を供給するための液供給孔(25)を形成している。
このフレーム部材(23)は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
圧電素子(19)は、圧電材料(26)と内部電極(27)とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。
この圧電素子(19)の交互に異なる端面に引き出された各内部電極(17)には個別電極(28)及び共通電極(29)が接続されている。
この圧電素子(19)の圧電方向として(d33)方向の変位を用いて液室(16)内の液を加圧する構成としているが、同図(B)に示されるように、圧電素子(19)の圧電方向として、電極が液室に対して法線方向に配列する(d31)方向の変位を用いて加圧液室(16)内の液を加圧する構成とすることもできる。
また、1つの基板(20)に1列の圧電素子(19)が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液滴吐出ヘッド(1)においては、例えば圧電素子(19)に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子(19)が収縮し、振動板(12)が下降して液室(16)の容積が膨張することにより液室(16)内に液が流入し、その後、圧電素子(19)に印加する電圧を上げて圧電素子(19)を積層方向に伸長させ、振動板(12)をノズル(14)方向に変形させて液室(16)の容積/体積を収縮させることにより、液室(16)内の記録液が加圧され、ノズル(14)から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子(19)に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板(12)が初期位置に復元し、液室(16)が膨張して負圧が発生して共通液室(18)から液室(16)内に記録液が充填される。
そこで、ノズル(14)のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
<画像形成装置>
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載した画像形成装置であるインクジェット記録装置の一例について図3及び図4を参照して説明する。
なお、図3は同記録装置の斜視説明図、図4は同記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体(111)の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部((112)等を収納し、装置本体(111)の下方部には前方側から多数枚の用紙(113)を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)(114)を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙(113)を手差しで給紙するための手差しトレイ(115)を開倒することができ、給紙カセット(114)或いは手差しトレイ(115)から給送される用紙(113)を取り込み、印字機構部(112)によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ(116)に排紙する。
印字機構部(112)は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド(121)と従ガイドロッド(122)とでキャリッジ(123)を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ(123)にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなるヘッド(124)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ(123)にはヘッド(124)に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ(125(を交換可能に装着している。
インクカートリッジ(125)は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド(124)を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ(123)は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド(121)に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド(122)に摺動自在に載置している。
そして、このキャリッジ(123)を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ(127)で回転駆動される駆動プーリ(128)と従動プーリ(129)との間にタイミングベルト(130)を張装し、このタイミングベルト(130)をキャリッジ(123)に固定しており、主走査モータ(127)の正逆回転によりキャリッジ(123)が往復駆動される。
一方、給紙カセット(114)にセットした用紙(113)をヘッド(124)の下方側に搬送するために、給紙カセット(114)から用紙(113)を分離給装する給紙ローラ(131)及びフリクションパッド(132)と、用紙(113)を案内するガイド部材(133)と、給紙された用紙(113)を反転させて搬送する搬送ローラ(134)と、この搬送ローラ(134)の周面に押し付けられる搬送コロ(135)及び搬送ローラ(134)からの用紙(113)の送り出し角度を規定する先端コロ(136)とを設けている。
搬送ローラ(134)は副走査モータ(137)によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ(123)の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ(134)から送り出された用紙(113)を記録ヘッド(124)の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材(139)を設けている。
この印写受け部材(139)の用紙搬送方向下流側には、用紙(113)を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ(141)、拍車(142)を設け、さらに用紙(113)を排紙トレイ(116)に送り出す排紙ローラ(143)及び拍車(144)と、排紙経路を形成するガイド部材(145),(146)とを配設している。
記録時には、キャリッジ(123)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(124)を駆動することにより、停止している用紙(113)にインクを吐出して1行分を記録し、用紙(113)を所定量搬送後次の行の記録を行う。
記録終了信号または、用紙(113)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙(113)を排紙する。
また、キャリッジ(123)の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド(124)の吐出不良を回復するための回復装置(147)を配置している。
回復装置(147)はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。
キャリッジ(123)は印字待機中にはこの回復装置(147)側に移動されてキャッピング手段でヘッド(124)をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド(124)の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段(例えばワイパーブレード)により除去され吐出不良が回復される。
また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては本発明に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載しているので、コストの低減を図ることができる。
なお、上記実施形態においては、本発明に係る液体吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液体吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液体吐出ヘッドなどにも適用することできる。
また、上記実施形態では、振動板を有する電気機械変換素子を駆動手段に用いたヘッドで説明したが、その他の静電型ヘッド、サーマル型ヘッド(ただし、振動板はない。
)にも適用することができる。
以下にエポキシ接着剤及びインクジェットインク、インクジェットヘッドについて説明する。 以下において、「部」と「%」は重量基準である。
なお、得られたインクジェットヘッド製造用エポキシ樹脂組成物は、下記エポキシ接着剤評価方法で評価した。
(エポキシ接着剤の製造例)
エポキシ接着剤の製造は以下の手順で行ったが、これに限定されるものではない。まずエポキシ樹脂、フィラー、溶剤を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して溶剤に溶かした硬化剤を添加し、15分間攪拌する。この分散液を細口径5μm PTFEメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して評価に用いるエポキシ接着剤を得た。
エポキシ接着剤組成は表1に示す。上記方法で調合し、評価用接着剤とした。
Figure 2013059966
三菱化学製 エピコート YX-4000:3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル
メソゲン骨格エポキシ樹脂A:テレフタリリデン‐ビス‐(4‐アミノ‐3‐メチルフェノール)ジグリシジルエーテル
三菱化学製 エピコート828:ビスフェノールAジグリシジルエーテル
三菱化学製 エピコート1010:ビスフェノールAジグリシジルエーテル
三菱化学製 エピキュアDICY15:ジシアンジアミド
関東化学製 トリエチレンテトラミン
EVONIK製 AEROSIL RY200:有機変性コロイダルシリカ
信越化学製 KBM-403:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(インクジェットインクの製造例)
ポリマー溶液Aの調整
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整
ポリマー溶液A 28gとC.I..ピグメントブルー15:3を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料分20%のシアンポリマー微粒子の水分散体を得た。
顔料樹脂分散液の調整
ジョンクリル679(BASF製、分子量7000、酸価200)を7.7g、トリエタノールアミン22.5g、2−プロパノール0.8gと水331gと攪拌し溶解した均一な状態とする。そこにC.I..ピグメントブルー15:3を155gを撹拌しながら混合して、ビーズミルにて顔料を2時間分散する。純水483gを添加して超遠心分離機で粗大粒子を除去して、顔料分15.5%の青色顔料分散液を得た。

インクの製造は以下の手順で行ったが、これに限定されるものではない。まず湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、水を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して色材、消泡剤を添加し、一時間攪拌する。この分散液を0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して評価に用いるインクを得た。
インク組成は表2に示す。上記方法で調合し、評価用インクとした。
Figure 2013059966
(エポキシ接着剤評価方法)
なお、接着条件等は各実施例、比較例に記載した。
(i)初期接着性:剥離強度試験、引っ張り強度試験で行った。
剥離試験:幅140μm、長さ2000μmのスリットを150dpiピッチで形成し、このスリット群が4列に配列して、スリット位置が42.3μmずつずれて配置された、幅19mm、厚み40μmの圧延SUS304板(接着面積率は64.7%)に、接着面に対してエポキシ接着剤を乾燥膜厚で0.5μmになるように塗布し、100℃、3分で溶剤を揮発乾燥させ、SUS304の幅19mm、厚み50μmの圧延SUS平板と重ね合わせて240cN・mで加圧しつつ加熱し、180℃、5hで接着硬化させた。接着したサンプルを卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、テンシロンSTA−1150)にて90°方向剥離強度測定20mm/minの速度で5mm剥離させたときの平均剥離強度を測定した。
◎:3N以上、○:1〜3N、△:0.5〜1N、×:0.5N以下とした。

(ii)接着信頼性:剥離強度試験、引っ張り強度試験硬化接着後、サンプルを耐インク試験(インク浸漬、50℃、1ヶ月)を実施後、剥離試験及び引っ張り強度試験を行った。
剥離試験:100gf/cm2以上、及び引っ張り強度試験:10kgf/cm2以上のものを○とした。

(iii)インク膨潤性:エポキシ接着剤の硬化物を、インクに浸漬し(50℃、40h、超音波)、膨潤率が5%以下であるものを○とし、それ以上のものは×とした。

(iv)Bステージ性:接着剤を測定用のパンに入れ乾燥後の乾燥物の200℃までのエポキシ硬化発熱量を計測して比較して評価する。乾燥条件A(室温、減圧乾燥)と、乾燥条件B(50℃、1h)とのDSCによる発熱量を計測し、未反応率(%) = (乾燥条件Aの発熱量-乾燥条件Bの発熱量)/乾燥条件Aの発熱量×100として算出した結果が、90%以上でかつドライな場合は○、乾燥後の状態がウエットな場合は△、90%未満を×とした。
(インクジェットヘッド吐出評価)
インクジェットヘッドに関しては、上記説明に準じたヘッドを実施例の接着剤を用いて流路板とノズルプレートを接合させ、評価用のインクジェットヘッドとした。作成したインクジェットヘッドは、表3に示すインクと接着剤の組合せに応じて評価を行った。インクジェットヘッドの評価を以下に示す。

(a)インク充填性:インクジェットヘッドに対して、ヘッドにインクを供給できるように配管し、ノズル面側から50kPa、1分間吸引後、ヘッド面をメンテナンスし適切な負圧を形成して吐出させたときの、吐出率(吐出ノズル数/全ノズル数×100)を評価した。吐出率が98%以上を○、吐出率が90%以上を△、吐出率が90%未満を×とした。

(b)耐インク信頼性:インクを充填したインクジェットヘッドを、60℃、3ヶ月間放置し、放置後の吐出速度の状態を評価した。全ノズルの吐出速度が放置前の平均に対して±10%未満を満たす場合を○、それ以上の場合を×とした。
Figure 2013059966
Figure 2013059966
比較例3、5に関しては、全く接着されなかったため、以後の評価を実施せず。
1;液室吐出ヘッド
11;流路板
12;振動板
13;ノズルプレート
14;ノズル
15;ノズル連通路
16;液室
17;共通液室
18;インク供給口
19;圧電素子
20;ベース基板
21;支柱部
23;フレーム部材
24;貫通部
25;液供給孔
31;金属層
32;樹脂層
33;ダイアフラム部
34;位置決めピン孔
35;液供給孔
100;画像形成装置
111;装置本体
112;印字機構部
113;用紙
114;給紙カセット
115;手差しトレイ
116;排紙トレイ
121;主ガイドロッド
122;従ガイドロッド
123;キャリッジ
124;記録ヘッド
125;インクカートリッジ
127;主走査モータ
128;駆動プーリ
129;従動プーリ
130;タイミングベルト
131;給紙ローラ
132;フリクションパッド
133;ガイド部材
134;搬送ローラ
135;搬送コロ
136;先端コロ
137;副走査モータ
139;印写受け部材
141;搬送コロ
142;拍車
143;排紙ローラ
144;拍車
145,146;ガイド部材
147;回復装置
特開平2−51734号公報 特開昭61−59911号公報 特開平6−71882号公報 特開2005−220296号公報 特許第4277898号公報

Claims (5)

  1. 液体流路を形成する複数の異なる部材が接着剤により接合されてなる液体吐出ヘッドにおいて、該吐出ヘッドは、アミド系有機溶剤を含む水系液体の吐出用のものであり、前記接着剤が、メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分と、熱潜在性硬化剤からなる硬化成分とを含む接着剤であり、かつ接着剤からなる層は液晶状態を有していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記接着剤による接合が、前記メソゲン骨格を有しエポキシ基を有する成分の液晶相温度での接着剤の硬化によることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記アミド系有機溶剤を含む水系液体は、20重量%以上70重量%以下のアミド系有機溶剤を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記硬化した接着剤からなる接着剤部分は液晶状態を有しているものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記アミド系有機溶剤が、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、下記一般式(1)で表されるアミド材料のいずれか一つ以上を含むものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
    Figure 2013059966

    (式中、RはC1〜C21のアルキル基を表わす。)
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