JP2017186451A - 溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテナンス方法 - Google Patents

溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテナンス方法 Download PDF

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Kenichiro Kubota
健一郎 窪田
長瀬 真
Makoto Nagase
真 長瀬
伊東 淳
Atsushi Ito
淳 伊東
小池 直樹
Naoki Koike
直樹 小池
圭司 飯田
Keiji Iida
圭司 飯田
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Abstract

【課題】部材アタック性が低減され、かつ、有機溶剤を主成分とするインクを用いるインクジェット記録装置の洗浄に適した溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテナンス方法の提供。
【解決手段】インクジェット記録装置のメンテナンスに用いる溶剤系メンテナンス液であって、ラクトン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレングリコールモノエーテル系溶剤と、を含有する溶剤系メンテナンス液。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテナンス方法に関
する。
インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインクの液滴によって画像
や文字を記録する、いわゆるインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記
録装置には、例えば、インクジェットインク組成物(以下、「インク」とも呼ぶ。)を貯
留するインク受容部からインクジェット式記録ヘッドにインクを供給するための流路や、
インクジェット式記録ヘッド内においてインクをノズル開口部まで流通させるための流路
等、インクを流通させるためのインク流路が設けられている。
インクジェット記録装置では、例えば、インク流路の詰まりが生じると、インクの供給
が阻害されたり、インクの吐出不良が生じたりする場合がある。このため、このような不
具合を解消するためのインクジェット記録装置のメンテナンス液として、例えば、洗浄液
をインク流路内に流通させることが行われている(特許文献1参照)。
インク流路は、洗浄液で洗浄された後に再度インクで充填される。そのため、洗浄液と
インクとの置き換えを容易にするために、洗浄液に含まれる成分とインクに含まれる成分
の主溶剤を同じにする等、両者に含まれる成分を近いものにすることが知られている(特
許文献2参照)。このような観点から、有機溶剤を主成分とする非水系インクを用いるイ
ンクジェット記録装置では、インク流路を洗浄する際に、非水系インクと同様の有機溶剤
を含む溶剤系洗浄液が用いられることが多い。
特開2007−254550号公報 特開2011−140556号公報
上記のような洗浄液は、インクジェット記録装置のインク流路に供給される前に、容器
内で保存されていることが多い。このような洗浄液の保存に用いる容器は、洗浄液と接触
する部材に、可塑剤を含む樹脂部材を使用している場合がある。
そして、洗浄液として溶剤系の洗浄液を用いる場合、水系の洗浄液と比較して多く含ま
れる有機溶剤の影響により、洗浄液が樹脂部材を膨潤・溶解して容器にダメージを与える
部材アタック性を有する場合がある。洗浄液が部材アタック性を有すると、容器内で可塑
剤等由来の異物が発生し、保存安定性に劣る。また、容器内で発生した異物は、洗浄液と
共にインク流路に流入して、ノズル詰まり等の不具合を生じさせ、インク流路の洗浄を阻
害する場合がある。
同様に、インク流路に可塑剤を含む樹脂部材を使用していると、容器で生じた不具合と
同様の現象が発生し、ノズル詰まり等の不具合や、異物によるインク流路の洗浄阻害が発
生する場合がある。
更に、このような異物の発生を低減させるために、部材アタック性が弱い溶剤を用いる
と、今度は、洗浄性が低下する場合があり、充分にインクジェット記録装置をメンテナン
スすることができない。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで
、部材アタック性が低減され、かつ、有機溶剤を主成分とするインクを用いるインクジェ
ット記録装置の洗浄に適した溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテ
ナンス方法を提供するものである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態
様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る溶剤系メンテナンス液の一態様は、
インクジェット記録装置のメンテナンスに用いる溶剤系メンテナンス液であって、
ラクトン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレ
ングリコールモノエーテル系溶剤と、を含有することを特徴とする。
上記適用例によれば、ラクトン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30
質量%以上のアルキレングリコールモノエーテル系溶剤とを含有することにより、部材ア
タック性が低減され、かつ、インクジェット記録装置の洗浄に適した溶剤系メンテナンス
液を提供することができる。
[適用例2]
上記適用例において、
溶剤の総含有量が、前記溶剤系メンテナンス液の総質量に対して80質量%以上である
ことができる。
上記適用例によれば、さらに洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。
[適用例3]
上記適用例において、
アルキレングリコールエーテル系溶剤とラクトン系溶剤の合計の含有量が、前記溶剤系
メンテナンス液の総質量に対して80質量%以上であることができる。
上記適用例によれば、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メン
テナンス液となる。
[適用例4]
上記適用例において、
アルキレングリコールエーテル系溶剤の含有量が、前記溶剤系メンテナンス液の総質量
に対して80質量%以下であることができる。
上記適用例によれば、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メン
テナンス液となる。
[適用例5]
上記適用例において、
前記アルキレングリコールモノエーテル系溶剤として、下記一般式(1)で表される化
合物を含有することができる。
O−(RO)−OH・・・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。Rは炭素数2以上
4以下のアルキレン基を表す。mは1〜7の整数を表す。)
上記適用例によれば、より部材アタック性低減の点で好ましい溶剤系メンテナンス液と
なる。
[適用例6]
上記適用例において、
前記ラクトン系溶剤の含有量が、20質量%以上であることができる。
上記適用例によれば、より洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。
[適用例7]
上記適用例において、
アルキレングリコールジエーテル系溶剤の含有量が、20質量%以上であることができ
る。
上記適用例によれば、より洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。
[適用例8]
上記適用例において、
前記溶剤系メンテナンス液は、可塑剤を含む樹脂部材からなる容器に収容されているか
、当該樹脂部材からなるインクジェット記録装置の部分のメンテナンスに用いるものであ
ることができる。
上記適用例の溶剤系メンテナンス液は、部材アタック性が低減され、かつ、洗浄性に優
れているため、可塑剤を含む樹脂部材からなる容器や当該樹脂部材からなるインクジェッ
ト記録装置の部分のメンテナンスの使用に好適である。
[適用例9]
上記適用例において、
前記インクジェット記録装置が、非水系インク組成物を用いて記録を行うものであるこ
とができる。
上記適用例の溶剤系メンテナンス液は、非水系インク組成物と溶剤の組成が近く、相溶
性が高いため、溶剤系メンテナンス液とインクとの置換を効率的に行うことができる。こ
のため、インクジェット記録装置の部分のメンテナンスの使用に好適となる。
[適用例10]
本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法の一態様は、
適用例1ないし適用例9のいずれか一例に記載の溶剤系メンテナンス液を用いてインク
ジェット記録装置のメンテナンスを行うことを特徴とする。
上記適用例によれば、部材アタック性が低減され、かつ、インクジェット記録装置の洗
浄に適したインクジェット記録装置のメンテナンス方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法を実施するプリンターの構成を模式的に示す斜視図。 プリンターのインクジェット式記録ヘッドを示す分解部分斜視図。 プリンターのインクジェット式記録ヘッドの部分平面図。 プリンターのインクジェット式記録ヘッドの断面図。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明
の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではな
く、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液(以下、「メンテナンス液」ともいう。)は、
インクジェット記録装置のメンテナンスに用いる溶剤系メンテナンス液であって、ラクト
ン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレングリコ
ールモノエーテル系溶剤と、を含有することを特徴とする。また、本実施形態に係るイン
クジェット記録装置のメンテナンス方法は、本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液を用
いてインクジェット記録装置のメンテナンスを行うことを特徴とする。
以下、本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液及びインクジェット記録装置のメンテナ
ンス方法について、このメンテナンス方法によりメンテナンスを行うインクジェット記録
装置、メンテナンス液、インク組成物(以下、「インク」とも呼ぶ。)、メンテナンス方
法の順に説明する。
1.各構成
1.1.インクジェット記録装置
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法が実施されるインクジェ
ット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係るメ
ンテナンス方法に使用できるインクジェット記録装置は、以下の態様に限定されるもので
はない。
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置としては、例えば、図1に示すような
、インク及びメンテナンス液を流通させるインク流路を備えたインクジェットプリンター
(以下、単に「プリンター」ともいう。)が挙げられる。
図1は、本実施形態におけるプリンター1の構成を示す斜視図である。図1に示すよう
に、プリンター1は、インクジェット式記録ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッ
ジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、インクジェット式記録ヘッド2の下方に配設
され記録媒体6が搬送されるプラテン5と、キャリッジ4を記録媒体6の媒体幅方向(主
走査方向)に移動させるキャリッジ移動機構7と、記録媒体6を媒体送り方向に搬送する
媒体送り機構8と、を備える。プリンター1はさらに制御部CONTを備え、制御部CO
NTによりプリンター1全体の動作が制御される。
インクカートリッジ3は、独立した複数のカートリッジからなり、カートリッジ毎に後
述するインクやメンテナンス液が充填される。なお、メンテナンス液が充填されたカート
リッジは、通常の印刷時にはキャリッジ4上に搭載されていなくてもよく、少なくともイ
ンク流路を洗浄する際にキャリッジ4に装着されていればよい。
本実施形態において、プリンター1として、インクカートリッジ3をキャリッジ4に搭
載した、いわゆるオンキャリッジタイプのプリンターを例示したが、これに限定されるも
のではない。例えば、インクやメンテナンス液が充填された容器(例えば、インクパック
、インクカートリッジ等)をプリンター1の筐体等に装着して、インク供給管を介してヘ
ッド2に供給する、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
図2は、インクジェット式記録ヘッド2の概略構成を示す分解斜視図であり、図3はイ
ンクジェット式記録ヘッド2の部分平面図、図4は図3のA−A断面図である。
図2〜4おいて、インクジェット式記録ヘッド2は、流路形成基板10とノズルプレー
ト20と保護基板30とを備えている。インクジェット式記録ヘッド2は、流路形成基板
10を、ノズルプレート20と保護基板30とで挟んで組み立てられている。
流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面
には予め熱酸化により弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12が並設され
ている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13
が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク
供給路14を介して連通されている。
なお、連通部13は、保護基板30と連通して各圧力発生室12の共通のインク室とな
るマニホールド200(図4参照)を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よ
りも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵
抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反
対側の端部近傍に連通するノズル開口部21が穿設されたノズルプレート20が、マスク
膜52を介して接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレー
ト20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板またはステンレス鋼等から
なる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、圧電アクチュエーター100が設け
られている。圧電アクチュエーター100は、振動板53と駆動手段である圧電素子30
0とを備えている。
振動板53は、厚さが、例えば約1.0μmの弾性膜50と、弾性膜50上に形成され
た酸化ジルコニウムからなる、厚さが約0.35μmの絶縁体膜54とを備えている。
圧電素子300は、振動板53を介して圧力発生室12と対向する領域に形成されてい
る。
絶縁体膜54上には、例えば、厚さが約0.1〜0.2μmの下電極60と、厚さが約
0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが約0.05μmの上電極80とからなる圧電素
子300が形成されている。
なお、一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及
び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、下電
極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極として
いるが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
また、圧電アクチュエーター100は、リード電極90を備えている。各圧電素子30
0の上電極80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され
、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっ
ている。
流路形成基板10には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300を保護する
ための圧電素子保持部31を有する保護基板30を備える。
なお、圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保で
きればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にリザーバ部32が設けられてお
り、このリザーバ部32は、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室1
2の共通のインク室となるマニホールド200を構成している。
さらに、保護基板30の圧電素子保持部31とマニホールド200との間の領域には、
保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極6
0の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら下電極60及びリード電極90
には、制御部CONTから延設される接続配線の一端が接続される。
保護基板30は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラ
ミック材料、シリコン単結晶基板等によって形成されているのが好ましい。
保護基板30の流路形成基板10と対向する面と反対側の面には、封止膜41及び固定
板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低
く可撓性を有する材料、例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)
フィルムからなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。
固定板42は、金属等の硬質の材料、例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS
)等で形成される。この固定板42のマニホールド200に対向する領域は、厚さ方向に
完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド200の一方面は可撓性を
有する封止膜41のみで封止されている。
本実施形態において、インクジェット式記録ヘッド2は、インク供給手段からインクを
取り込み、マニホールド200からノズル開口部21に至るまで内部をインクで満たした
後、制御部CONTからの信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60
と上電極80との間に電圧が印加される。電圧の印加によって、弾性膜50及び圧電体層
70がたわみ変形して各圧力発生室12内の圧力が高まり、ノズル開口部21からインク
滴が吐出される。
なお、本実施形態において、インク流路とは、インクジェット記録装置においてインク
と接触する箇所のことをいう。具体的には、上記プリンター1におけるインク流路として
は、インクカートリッジ3とインクジェット式記録ヘッド2とを接続するための流路(図
示せず)や、インクジェット式記録ヘッド2内のマニホールド200、インク供給路14
、圧力発生室12、ノズル開口部21等が挙げられる。
本実施形態において、プリンター1のインク流路は、インクやメンテナンス液の流通す
る方向に直交する断面の面積が100μm以上1000μm以下である領域を有する
。このような領域としては、例えば、インク供給路14やノズル開口部21が挙げられる
当該インク供給路14は、インクやメンテナンス液の流通する方向に直交する断面の形
状が四角形であることができる。当該四角形の最も短い辺の長さは、15μm以上25μ
m以下であることができる。四角形としては、例えば、長方形、正方形、台形、平行四辺
形等が挙げられる。また、「四角形の最も短い辺」とは、例えば、長方形にあってはその
短辺のことをいう。
当該ノズル開口部21の直径は、15μm以上25μm以下であることができる。ノズ
ル開口部の形状は、例えば、円柱形状、円錐台形状、またはこれらを組み合わせた形状で
あることができ、インクの流通する方向に直交する断面の形状が円であることができる。
このように、インク流路(インク供給路)が狭い場合や、ノズル開口部の直径が小さい
場合であっても、後述する本実施形態に係るメンテナンス液を用いれば、インクの吐出不
良等の不具合が生じにくい。すなわち、本実施形態に係るメンテナンス液は、メンテナン
ス液に起因する異物の発生が低減されているため、狭いインク流路を備えたインクジェッ
ト記録装置に好適に使用できる。
1.2.溶剤系メンテナンス液
次に、本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液について説明する。本実施形態に係る溶
剤系メンテナンス液は、ラクトン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30
質量%以上のアルキレングリコールモノエーテル系溶剤と、を含有する。本実施形態にお
いて、メンテナンス液の態様としては、インク供給路等のインク供給部材を洗浄するため
の洗浄液、インク供給部材中にインクが充填されていた状態から、インクを押し流し、除
去するために流す置換液、プリンターの搬送や停止の際に、インクの代わりに充填するた
めの充填液、インクの吐出チェック等に用いる試験液等が挙げられる。以下、本実施形態
に係る溶剤系メンテナンス液に含まれる成分、及び含まれ得る成分ついて詳細に説明する
なお、本発明における「溶剤系」メンテナンス液とは、溶媒成分として、有機溶剤等の
溶剤を主要な成分として、水を主要な成分としない組成物である。組成物中の水の含有量
は、その組成物100質量%に対して5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2
質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好
ましい。メンテナンス液組成物(100質量%)における有機溶剤等の溶剤の含有量は8
0質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ま
しい。また、限られるものではないが、組成物の調製において主な溶媒成分として意図的
に水を添加せず不純物として不可避的に水分を含んでしまう場合は、許容される組成物と
してもよい。
また、本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液に使用する有機溶剤としては、後述する
インクに含まれる有機溶剤と同様のものを用いることが好ましい。溶剤系メンテナンス液
に含まれる有機溶剤と、インクに含まれる有機溶剤とを共通させると、溶剤系メンテナン
ス液とインクとの置換を効率的に行うことができ、また、洗浄性に優れるものとなる。
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液に含まれる有機溶剤としては、常温常圧下で液
体のアルキレングリコールエーテル系溶剤、ラクトン系溶剤等が挙げられ、特に本実施形
態に係る溶剤系メンテナンス液は、部材アタック性の低減と、有機溶剤を主成分とするイ
ンクを用いるインクジェット記録装置の部材の洗浄性の観点から、ラクトン系溶剤と、溶
剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレングリコールモノエーテ
ル系溶剤と、を含有する。
1.2.1.ラクトン系溶剤
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、溶剤としてラクトン(環状エステル)系溶
を含むことにより、樹脂からなる容器内側のフィルム部材やインク供給部材に含まれる可
塑剤由来の異物等の汚れ除去の洗浄性に優れる。反面、ラクトン系溶剤は樹脂との親和性
が高いため部材アタック性が強く、部材を膨潤・溶解してダメージを与える傾向にあるが
、本実施形態では、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレン
グリコールモノエーテル系溶剤と組み合わせることにより、洗浄性を損なわずに部材アタ
ック性の低減を可能とすることができる。
ラクトンとは、ヒドロキシル基とカルボキシル基とを有する1つの分子において、当該
分子内で、該ヒドロキシル基と該カルボキシル基とが脱水縮合した構造を有する化合物で
ある。環状エステルは、炭素原子を2個以上、酸素原子を1個含む複素環を有し、当該複
素環を形成する酸素原子に隣接してカルボニル基が配置された構造を有する化合物である
ラクトンのうち、単純な構造を有するものとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチ
ロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、σ−バレ
ロラクトン、及びε−カプロラクトン等を例示することができる。なお、ラクトンの複素
環の環員数には特に制限が無く、さらに、例えば、複素環の環員には任意の側鎖が結合し
ていてもよい。ラクトンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい
本実施形態に係るメンテナンス液では、上記例示したラクトンのうち、3員環以上7員
環以下のラクトンが好ましく、5員環または6員環のラクトンを用いることがより好まし
く、いずれの場合でも側鎖を有さないことがより好ましい。このようなラクトンの具体例
としては、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが挙げられる
溶剤系メンテナンス液の全量に対するラクトン系溶剤の含有量(複数種を使用する場合
にはその合計量)は、20質量%以上であることが好ましい。ラクトン系溶剤の含有量が
20質量%以上であることにより、より洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。ラ
クトン系溶剤の含有量は、20質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、2
5質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
1.2.2.アルキレングリコールモノエーテル系溶剤
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、溶剤として溶剤系メンテナンス液の総質量
に対して30質量%以上のアルキレングリコールモノエーテル系溶剤を含む。アルキレン
グリコールモノエーテル系溶剤は部材アタック性が弱いため、溶剤系メンテナンス液の総
質量に対して30質量%以上の含有量でラクトン系溶剤と組み合わせると、ラクトン系溶
剤の洗浄性を損なわずに、部材アタック性の低減が可能となる。
アルキレングリコールモノエーテル系溶剤としては、下記一般式(1)で表される化合
物を含有することが好ましい。
O−(RO)−OH・・・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。Rは炭素数2以上
4以下のアルキレン基を表す。mは1〜7の整数を表す。)
アルキレングリコールモノエーテル系溶剤としては、一般式(1)で表される化合物を
含有する場合には、より部材アタック性低減の点で好ましい溶剤系メンテナンス液となる
ここで、Rにおける「炭素数1以上4以下のアルキル基」としては、直鎖状または分
岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
so−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基等が挙げられる。
また、上記一般式(1)において、Rにおける「炭素数2以上4以下のアルキレン基
」としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、またはブチレ
ン基等が挙げられる。さらに、上記一般式(1)において、Rの炭素数及びmが大きい
ほうが、部材へのダメージ低減の点で好ましく、mは3〜6の整数であることが好ましい
上記一般式(1)で表される化合物である溶剤の具体例としては、例えば、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラ
エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル
、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチル
エーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエーテル、ペンタエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノエチルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独又は2種以上を混合
して使用することができる。
本実施形態において、一般式(1)で表される化合物の含有量は、溶剤系メンテナンス
液の全質量(100質量%)に対して、80質量%以下であることが好ましく、より好ま
しくは40質量%以上75質量以下であり、さらに好ましくは50質量%以上70質量%
以下である。一般式(1)で表される化合物の含有量が80質量%以下であることにより
、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。
1.2.3.アルキレングリコールジエーテル系溶剤
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、溶剤としてアルキレングリコールジエーテ
ル系溶剤を含んでもよい。アルキレングリコールジエーテル系溶剤は、アルキレングリコ
ールモノエーテル系溶剤よりも洗浄性に優れるため、アルキレングリコールエーテル系溶
剤としてアルキレングリコールモノエーテル系溶剤と併用することにより、ラクトン系溶
剤の洗浄性を損なわずに、部材アタック性と洗浄性を調整することができる。
アルキレングリコールジエーテル系溶剤としては、例えば、下記一般式(2)で表され
る化合物が挙げられる。
O−(RO)−R・・・・・(2)
(一般式(2)中、R及びRは、各々独立して炭素数1以上4以下のアルキル基を表
す。Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜7の整数を表す。)
ここで、R及びRにおける「炭素数1以上4以下のアルキル基」としては、直鎖状
または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert
−ブチル基等が挙げられる。
また、上記一般式(2)において、Rにおける「炭素数2以上4以下のアルキレン基
」としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、またはブチレ
ン基等が挙げられる。さらに、上記一般式(2)において、R及びRの炭素数及びn
が大きいほうが、部材へのダメージ低減の点で好ましく、nは3〜6の整数であることが
好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物である溶剤の具体例としては、例えば、エチレング
リコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブ
チルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジ
メチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジ
ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレング
リコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ
ールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールジエチルエーテル等が挙げられる。アルキレングリコールジエーテル類は、1種単独
又は2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態において、一般式(2)で表される化合物の含有量は、溶剤系メンテナンス
液の全質量(100質量%)に対して20質量%以上であることが好ましく、より好まし
くは20質量%以上65質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以上55質量%
以下である。一般式(2)で表される化合物の含有量が20質量%以上であることにより
、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる。
なお、本実施形態において、一般式(1)で表される化合物(アルキレングリコールモ
ノエーテル系溶剤)及び一般式(2)で表される化合物(アルキレングリコールジエーテ
ル系溶剤)の両方を含むアルキレングリコールエーテル系溶剤と、上記ラクトン系溶剤と
の合計の含有量は、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して80質量%以上であることが
好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であ
る。この場合には、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メンテナ
ンス液となる。
また、上記アルキレングリコールエーテル系溶剤の含有量は、溶剤系メンテナンス液の
総質量に対して80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上8
0質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上75質量%以下である。この場合
には、さらに、部材アタック性が低減され、洗浄性に優れた溶剤系メンテナンス液となる
1.2.4.その他の溶剤
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、前記例示した有機溶剤の他に、以下に例示
する溶剤をさらに含有してもよい。
そのような溶剤としては、好ましくは極性有機溶剤、例えば、アルコール類(メチルア
ルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブ
チル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、多価アルコール類(エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,
6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン等)等が挙げられる。
また、溶剤として、(多価)アルコール類を含有してもよい。(多価)アルコール類と
しては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタン
ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジ
オール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロ
パンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1
,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールや、2−メチル
ペンタン−2,4−ジオール等が挙げられる。
また、溶剤系メンテナンス液にはアミン類を配合してもよく、例えば、トリエタノール
アミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミ
ノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミンが挙げ
られ、1種または複数種を用いることができる。
また、溶剤として、ラウリン酸メチル、ヘキサデカン酸イソプロピル(パルミチン酸イ
ソプロピル)、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル等の高
級脂肪酸エステル、炭素数2〜8の脂肪族炭化水素のジカルボン酸(炭素数はカルボキシ
ル基の炭素を除く)を炭素数1〜5のアルキル基でジエステル化した二塩基酸ジエステル
、並びに、炭素数6〜10の脂肪族炭化水素のモノカルボン酸(炭素数はカルボキシル基
の炭素を除く)をアミド化した(アミド窒素原子を置換している置換基がそれぞれ独立し
て水素原子、炭素数1〜4のアルキル基である)アルキルアミド(N,N−ジメチルデカ
ンアミド等)等が挙げられる。
ここで例示したその他の溶剤は、1種又は複数種を、溶剤系メンテナンス液に対して、
適宜の配合量で添加し、溶剤の総含有量がメンテナンス液の総質量に対し80質量%以上
となるように添加することができる。例えば、これらの溶剤の含有量は、溶剤系メンテナ
ンス液の全質量に対して、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.
1質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
1.2.5.その他の成分
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液には、溶剤系メンテナンス液の性能を高める観
点から、前記溶剤の他に、通常の非水系インクに含まれる成分を含有してもよい。このよ
うな成分としては、例えば、界面活性剤、防腐剤・防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤等
が挙げられる。
界面活性剤は、インク流路に対する溶剤系メンテナンス液の濡れ性を高め、インク流路
の洗浄性を高めるという観点から用いることができる。このような界面活性剤としては、
特に限定されないが、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イ
オン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコ
ンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、348、BYK−UV3
500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げ
られる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例と
しては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用い
ることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、T
G(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれ
も日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式
会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンC
X−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム
、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ
酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCR
L、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が
挙げられる。
pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変成物、水酸
化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩類、水酸化アンモニウム、四
級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸リチウム等の炭酸塩類その他燐酸塩等、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、
尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素等の尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等の
アロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレット等のビウレ
ット類等、L−アスコルビン酸及びその塩を挙げることができる。
1.2.6.溶剤系メンテナンス液の物性
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、インク流路の洗浄後にインクジェット式記
録ヘッドのノズル開口部から容易に排出できるように、20℃における粘度が2mPa・
s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下
であることがより好ましい。
なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、2
0℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear R
ate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.2.7.溶剤系メンテナンス液の調製方法
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合す
ることよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因
となる粗大粒子及び異物を除去するためにろ過を行って、目的の溶剤系メンテナンス液を
得ることができる。
1.3.インク組成物
本実施形態において、インク組成物として、本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液と
同様に、有機溶剤等を主要な溶媒とした組成物が好ましい。またメンテナンス液と含まれ
る有機溶剤が共通しているインク組成物を用いることが好ましい。この場合には、溶剤系
メンテナンス液とインクとの置換を効率的に行うことができ、洗浄性を確保できるため、
本実施形態に係る溶剤系メンテナンス液はインクジェット記録装置のメンテナンスに用い
るメンテナンス液として好適である。
このような有機溶剤等を主要な溶媒成分としたインク組成物としては、非水系インク組
成物(以下、「非水系インク」とも呼ぶ。)であることが好ましく、特に、有機溶剤の含
有量が80質量%以上である溶剤系インク組成物であることが好ましい。
ここで、本発明において、非水系インク組成物とは、有機溶剤等を主要な溶媒として、
水を主要な溶媒としないインク組成物であり、インク組成物中の水の含有量はその組成物
100質量%に対して5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がよ
り好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。非水系
インク組成物(100質量%)における有機溶剤等の含有量は50質量%以上が好ましく
、70質量%以上がより好ましい。溶剤系インク組成物である場合には、有機溶剤の含有
量は80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量
%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。また、限られるものではないが
、インクの調製において主な溶媒成分として意図的に水を添加せず不純物として不可避的
に水分を含んでしまう場合は、許容されるインク組成物としてもよい。
以下、本実施形態に係るインク組成物に含まれる成分について説明する。
1.3.1.顔料
本実施形態に係るインク組成物は、顔料を含有する。顔料としては、無機顔料及び有機
顔料等の顔料を用いることができる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種
以上混合して用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔
料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型
レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍
光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シ
リカ、アルミナ等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド系の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、
C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド
6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメント
レッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、
C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメ
ントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144
、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメ
ントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178
、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメ
ントレッド222、C.I.ピグメントレッド224等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー系の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ
31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピ
グメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー
14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピ
グメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー
94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I
.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメント
イエロー180等が挙げられる。
グリーンまたはシアン系の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15
、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピ
グメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、
C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
ブラック系の無機顔料としては、カーボンブラック等が挙げられる。
本実施形態において、インク組成物中における顔料の含有量は、用途や印刷特性によっ
て適宜選択することができるが、インク組成物全質量に対して、好ましくは1.0質量%
以上25質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1質
量%以上10質量%以下である。
1.3.2.有機溶剤
本実施形態において、インク組成物は有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、上記溶
剤系メンテナンス液で例示した成分と同様のものを用いることができるので、その説明を
省略する。
1.3.3.その他の成分
本実施形態において、インク組成物は、通常の非水系インクに含まれる成分を含有する
ことができる。このような成分としては、上記溶剤系メンテナンス液で例示した成分と同
様のもの(界面活性剤、防腐剤・防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤)を用いることがで
きるので、その説明を省略する。
また、本実施形態において、インク組成物は、顔料の分散安定性を向上させる観点から
分散剤を用いることができる。このような分散剤としては、通常の非水系インクにおいて
用いられる任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、有機溶剤の溶解パラメ
ーターが8〜11であるときに有効に作用する分散剤を用いることが好ましい。このよう
な分散剤の具体例としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−
8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製
)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32
000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLU
BRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、
180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレン
DOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパ
ーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050
、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、4
53(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、本実施形態において、インク組成物は、上記成分の他に、インクの粘度を調整す
る目的でバインダー樹脂を添加してもよい。バインダー樹脂としては、例えばアクリル樹
脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、セル
ロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重
合体樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以
上混合して用いてもよい。なお、バインダー樹脂は、その添加量により記録媒体に対する
インクの定着性をさらに良好とすることもできる。
1.3.4.インク組成物の物性
本実施形態において、インク組成物は、記録品質とインクジェット用インクとしての信
頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m
であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。
なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、
20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより
測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態において、インク組成物の20℃における粘度は、
2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mP
a・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−30
0(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1
000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定す
ることができる。
1.3.5.インク組成物の調製方法
本実施形態において、インク組成物は、公知の慣用方法によって製造することができる
。例えば、最初に、顔料、分散剤、及び有機溶剤(一部)を混合した後、ボールミル、ビ
ーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有
するように調整する。続いて、有機溶剤(残量)、及びその他の添加剤(例えば、界面活
性剤やバインダー樹脂)を撹拌下に加えて、目的のインク組成物を得ることができる。
1.3.6.その他のインク組成物
なお、本実施形態で使用可能なインク組成物としては、非水系インク組成物の他に、紫
外線硬化型等の、放射線硬化型インクジェット組成物(以下、「UVインク」とも呼ぶ。
)が挙げられる。UVインクも有機溶剤等を主要な溶剤としたインク組成物であり、本実
施形態に係る溶剤系メンテナンス液を用いたメンテナンス法による効果が得られる。
本実施形態において「放射線硬化型インクジェット組成物」とは、記録媒体に付着した
放射線硬化型インクジェット組成物に対して、活性放射線を照射して硬化膜を得る硬化工
程を有するインクジェット記録方法に用いるインクジェット用インク組成物であり、公知
のものを使用することができる。
例えば、放射線硬化型インクジェット組成物は、顔料と、インク皮膜を形成する重合性
化合物(モノマー)と、重合開始剤と、有機溶剤と、を含有する。
顔料や有機溶剤には、上記非水系インク組成物で例示した成分と同様のものを用いるこ
とができる。
重合性化合物は、単独で、又は光重合開始剤の作用により、光照射時に重合して、記録
媒体上のインクジェット組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては、特に
限定されないが、例えば、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノ
マー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマーとしては、特に限定されないが、
例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸
の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン
、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和
ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、単官能、
2官能、及び3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、
直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ
)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレー
ト、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げ
られる。
重合開始剤としては、活性放射線を照射することによってラジカルやカチオン等の活性
種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。
重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することがで
きるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
その他、放射線硬化型インクジェット組成物は、界面活性剤、分散剤を含むことができ
、さらに、これ以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制
限されないが、例えば、従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進
剤、及び湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレ
ート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
放射線硬化型インクジェット組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応
じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メ
カニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添
加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター
濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態で用いる放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度は、好ま
しくは5mPa・s以上50mPa・s以下であり、より好ましくは20mPa・s以上
40mPa・s以下である。また、20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m
以上30mN/m以下である。
1.3.7.記録媒体
本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されるものではないが、イン
ク低吸収性または非吸収性の記録媒体に記録することが好ましい。本明細書における「イ
ンク低吸収性または非吸収性の記録媒体」とは、インク組成物を全く吸収しない、または
ほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、インク非吸収性または低
吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30m
sec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリス
トー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙
パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「J
APAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−
液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、インク吸収性の
記録媒体とは、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に該当しない記録媒体のことを
指す。
インク非吸収性の記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチッ
クフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチック
フィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ
塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレ
タン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
インク低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられ
た記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マ
ット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン
、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ
、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。これらの記録媒体
は、透明な記録媒体であってもよい。
2.インクジェット記録装置のメンテナンス方法
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法の一例について説
明する。本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、本実施形態に
係る溶剤系メンテナンス液を用いてインクジェット記録装置のメンテナンスを行うことを
特徴とする。つまり、本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、
上記インク組成物を流通させるインク流路を備えた上述のインクジェット記録装置におい
て、当該インク流路を上述の溶剤系メンテナンス液によって洗浄等のメンテナンスを行う
ものである。
具体的には、インク流路の洗浄は、例えば、上述のインクで満たされたインク流路内に
溶剤系メンテナンス液を流入させて、インク流路内のインクを溶剤系メンテナンス液に置
き換えることにより行う。こうすることで、インク流路内の異物がインクと共にノズル開
口部から排出される。
インク流路の洗浄後、インクジェット記録装置を用いた画像の記録を長期間行わない場
合や装置の搬送の場合には、インク流路内を溶剤系メンテナンス液で満たしたままにする
ことができる。これにより、インクに起因する異物の発生を防止することができる。
一方、インクジェット記録装置を用いて画像の記録を行う場合には、溶剤系メンテナン
ス液で満たされたインク流路内にインクを流入させて、溶剤系メンテナンス液をノズル開
口部から排出させることで、再度インク流路内をインクで満たせばよい。
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法では、上述の溶剤系メン
テナンス液を使用する。そのため、異物発生に起因するノズル詰まり等の不具合の発生を
抑制でき、かつ、インクを流通させるインク流路の洗浄性に優れる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実
施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.インク組成物の調製
容器に、ジエチレングリコールジエチルエーテルを投入し、そこにSolsperse
37500(LUBRIZOL社製、商品名)及び顔料を所定量添加して、ホモジナイザ
ーを用いて粉砕処理した。その後、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズ
ミルで分散処理を行うことにより、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液に、下記のイ
ンク組成物の組成となるよう、溶剤の残り及びBYK−340(ビックケミー・ジャパン
株式会社製、フッ素系界面活性剤)を添加してさらに1時間混合撹拌してから、5μmの
PTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、インク組成物を得た。
なお、用いた各材料及び量は以下の通りである。
<顔料>
・C.I.ピグメントイエロー155:クラリアントジャパン製、商品名「PV FAS
T YELLOW HG」、イエロー顔料) 4質量%
<分散剤>
・Solsperse37500:商品名、LUBRIZOL社製、分散剤 4質量%
<溶剤>
・γ−ブチロラクトン:商品名、関東化学株式会社製、溶剤 10質量%
・ジエチレングリコールジエチルエーテル:商品名、日本乳化剤株式会社製、溶剤 50
質量%
・ジエチレングリコールエチルメチルエーテル:商品名、日本乳化剤株式会社製、溶剤
30質量%
<界面活性剤>
・BYK−340:商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤
2質量%
3.2.溶剤系メンテナンス液の調製
表1に記載の組成にしたがって、各成分を混合・攪拌した後、10μmのメンブレンフ
ィルターでろ過することにより、実施例1〜9及び比較例1〜4を調製した。
Figure 2017186451
なお、表1に示す各成分は、以下の通りである。
<ラクトン>
・γ−ブチロラクトン:商品名、関東化学株式会社製
・σ−バレロラクトン:商品名、キシダ化学株式会社製
<グリコールモノエーテル>
・DPGmME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、商品名「メチルプロピレ
ンジグリコール」、日本乳化剤株式会社製
・TetraEGmBE:テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、商品名「ブチ
セノール40」、KHネオケム株式会社製
<グリコールジエーテル>
・DEGdEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル、商品名「ジエチレングリコー
ルジエチルエーテル」、東京化成工業株式会社製
3.3.評価試験
3.3.1.異物の発生試験
インクパック(液体との接触面である内側がポリエチレンフィルム膜からなり、液体と
の非接触面である外側がアルミ蒸着膜からなるもの)に、上記のメンテナンス液を充填し
て、温度30℃の条件下で15日間放置した。その後、インクパック内のメンテナンス液
を取り出して、異物の発生の有無を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:フィルター面上に異物が確認されない。
△:フィルター面上に異物が確認され、フィルター表面積の5%以下が異物で覆われて
いる。
×:フィルター面上に異物が確認され、フィルター表面積の5%超が異物で覆われてい
る。
3.3.2.部材へのダメージ評価
インク供給管としてキャノン製(iPF9400)のヘッドへインクを供給するインク
供給管を取り出して用意した。これにメンテナンス液を充填して密封し、40℃の条件下
で1ヶ月間放置した。放置後のインク供給管に対して、180°折り曲げて戻す操作を行
い、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:1000回の折り曲げでもインク供給管が破損しない。
△:500回超1000回以下の折り曲げでインク供給管が破損した。
×:500回以下の折り曲げでインク供給管が破損した。
3.3.3.洗浄性評価
インクジェットプリンターGS6000(商品名、セイコーエプソン株式会社製)のノ
ズル面に上記インク組成物を塗布した。これを1時間放置した後に、ノズル面に上記のメ
ンテナンス液を3ml吹き付け、その後、不織布製の布ワイパーでノズル面を1方向に5
cm払拭した。これを1セットとして繰り返し、ノズル面のインクを除去した。目視でイ
ンクの残りが見えなくなるまでのセット数を確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:3回以下の払拭でインクの除去ができた。
△:4〜5回の払拭でインクの除去ができた。
×:5回の払拭でインクの除去ができなかった。
3.4.評価結果
評価試験の結果を表2に示す。
Figure 2017186451
異物の発生試験について、実施例と比べて、比較例2〜4では、フィルター面上に異物
が多数確認され、フィルター表面積の5%超が異物で覆われる結果となった。異物を分析
したところ、フタル酸エステルに起因する異物であった。フタル酸エステルは、インクパ
ックの内側に使用されているポリエチレンフィルムの製造工程において、耐久性確保のた
めに添加された可塑剤である。なお、実施例6、8では、他の実施例と異なり、フィルタ
ー面上に異物が確認された。これは、実施例6では、部材アタック性が強いラクトンの含
有量が多いことにより、インクパック内側のポリエチレンフィルムに対するアタック性が
強くなったことが原因であると考えられる。実施例8では、アルキレングリコールジエー
テル系溶剤の含有量が高かったことにより、ポリエチレンフィルムに対するアタック性が
強くなったことが原因であると考えられる。また、比較例1では、アタック性が強いラク
トンを含まなかったため、異物が発生しなかったと考えられる。
部材へのダメージ評価について、実施例と比べて、比較例2、4では、500回以下の
折り曲げでインク供給管が破損する結果となった。これは、比較例2ではインク供給管に
対するアタック性が強いラクトン系溶剤のみを含むことが原因であり、比較例4では、グ
リコールモノエーテル系溶剤の含有量が低く、インク供給管に対するアタック性を充分に
低減できなかったことが原因であると考えられる。なお、実施例1、4、6では、他の実
施例と異なり、500回超1000回以下の折り曲げでインク供給管が破損した。これら
の結果により、ラクトン系溶剤の含有量が低く、かつ、アルキレングリコールモノエーテ
ル系溶剤:RO−(RO)−OHにおいて、Rの炭素数及びmが大きいほうが、
部材へのダメージ低減の点で好ましいことが推察される。
洗浄性評価について、実施例7では4〜5回の払拭でインクの除去ができ、比較例1で
は5回の払拭でインクの除去ができない結果となった。これは、実施例7では、洗浄力が
強いラクトン系溶剤の含有量が低いためと考えられた。また、比較例1ではラクトン系溶
剤を含まないためと考えられた。
以上により、実施例1〜9では、30質量%以上のアルキレングリコールモノエーテル
系溶剤とラクトン系溶剤とを組み合わせることにより、部材へのアタック性の低減と洗浄
性を兼ね備えており、有機溶剤を主成分とするインクを用いるインクジェット記録装置の
洗浄に適していた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例
えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及
び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実
施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実
施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することがで
きる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を
含む。
1…プリンター(インクジェット記録装置)、2…インクジェット式記録ヘッド、3…イ
ンクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、6…記録媒体、7…キャリッジ移動
機構、8…媒体送り機構、10…流路形成基板、11…隔壁、12…圧力発生室、13…
連通部、14…インク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口部、30…保護
基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバ部、33…貫通孔、40…コンプライアン
ス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、52…マスク膜、
53…振動板、54…絶縁体膜、60…下電極、70…圧電体層、80…上電極、90…
リード電極、100…圧電アクチュエーター、200…マニホールド、300…圧電素子

Claims (10)

  1. インクジェット記録装置のメンテナンスに用いる溶剤系メンテナンス液であって、
    ラクトン系溶剤と、溶剤系メンテナンス液の総質量に対して30質量%以上のアルキレ
    ングリコールモノエーテル系溶剤と、を含有する、溶剤系メンテナンス液。
  2. 溶剤の総含有量が、前記溶剤系メンテナンス液の総質量に対して80質量%以上である
    、請求項1に記載の溶剤系メンテナンス液。
  3. アルキレングリコールエーテル系溶剤と前記ラクトン系溶剤の合計の含有量が、前記溶
    剤系メンテナンス液の総質量に対して80質量%以上である、請求項1または請求項2に
    記載の溶剤系メンテナンス液。
  4. アルキレングリコールエーテル系溶剤の含有量が、前記溶剤系メンテナンス液の総質量
    に対して80質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の溶剤系
    メンテナンス液。
  5. 前記アルキレングリコールモノエーテル系溶剤として、下記一般式(1)で表される化
    合物を含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液

    O−(RO)−OH・・・・・(1)
    (一般式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。Rは炭素数2以上
    4以下のアルキレン基を表す。mは1〜7の整数を表す。)
  6. 前記ラクトン系溶剤の含有量が、20質量%以上である、請求項1ないし請求項5のい
    ずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液。
  7. アルキレングリコールジエーテル系溶剤の含有量が、20質量%以上である、請求項1
    ないし請求項6のいずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液。
  8. 前記溶剤系メンテナンス液は、可塑剤を含む樹脂部材からなる容器に収容されているか
    、当該樹脂部材からなるインクジェット記録装置の部分のメンテナンスに用いるものであ
    る、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液。
  9. 前記インクジェット記録装置が、非水系インク組成物を用いて記録を行うものである、
    請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の溶剤系メンテナンス液を用いてインク
    ジェット記録装置のメンテナンスを行う、インクジェット記録装置のメンテナンス方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022211045A1 (ja) 2021-03-31 2022-10-06 株式会社Dnpファインケミカル メンテナンス液、及びそれを使用したインクジェット記録装置のメンテナンス方法
WO2023127740A1 (ja) * 2021-12-28 2023-07-06 株式会社Dnpファインケミカル インクセット
US11981141B2 (en) 2019-09-18 2024-05-14 Ricoh Company, Ltd. Wiping method and image forming apparatus

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