JP2017047669A - 液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド Download PDF

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寛之 萩原
Hiroyuki Hagiwara
寛之 萩原
徳起 菅原
Noriki Sugawara
徳起 菅原
智雄 木下
Tomoo Kinoshita
智雄 木下
八十島 健
Takeshi Yasojima
健 八十島
慎一 板屋
Shinichi Itaya
慎一 板屋
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Kenichiro Kubota
健一郎 窪田
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Atsushi Ito
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Abstract

【課題】水系組成物と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】水を主な溶媒成分とする水系組成物と、ノズルから吐出する非水系インクとを、洗浄液を流路に通水することで置換する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記非水系インクが、有機溶剤としてグリコールエーテル類を含み、前記グリコールエーテル類の含有量は、当該非水系インクの全質量に対して20質量%以下であり、前記洗浄液が、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液体として非水系インクを吐出させる液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッドに関する。
液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を噴射するノズルと連通する複数の圧力発生室と、圧力発生室に連通するマニホールドとを具備し、マニホールドから圧力発生室に供給されたインクを圧電アクチュエーター等の圧力発生手段によって加圧して、ノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドにおいては、製造過程で振動板にクラックが生じてしまうことがある。このため、インクジェット式記録ヘッドの組み立て後に、流路内に検査液を通液して、振動板上の電極の導通状態を検出することで、振動板のクラックの有無を検査する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、非水系インクを吐出させるインクジェット式記録ヘッドの流路内を洗浄する非水系洗浄液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−031559号公報 特開2013−116603号公報
しかしながら、検査に用いた検査液は、導電性を有する水系組成物からなるため、インクジェット式記録ヘッドから噴射するインクとして非水系インクを用いた場合、水系組成物を直接非水系インクに置換すると、水系組成物と非水系インクとが混ざり、非水系インクに含まれる顔料の分散が壊れて異物化し、インク滴の噴射不良や飛翔方向のずれなどの印刷異常が発生するという問題がある。また、特許文献2のように、非水系インクを噴射するインクジェット式記録ヘッドの流路を洗浄する洗浄液として非水系洗浄液が用いられたとしても、水系顔料インクと非水系洗浄液とが混ざった場合にも、顔料の分散が壊れて異物化する。
このため、水系組成物から非水系インクに置換する場合、水系組成物を水系洗浄液で洗浄した後、水系洗浄液を水溶性の溶剤を含む非水系洗浄液で洗浄し、その後、非水系洗浄液から非水系インクに置換する必要があり、洗浄工程が煩雑であるという問題がある。
また、最終的に送品される際前の洗浄液として水系洗浄液を用いた場合には、水系洗浄液が乾燥すると、水系洗浄液に含まれるグリセリンが流路内に残り、非水系インクに相溶せずに印字異常が発生するという問題や、非水系インクを供給する前に、非水系洗浄液で洗浄する必要があり、洗浄工程が煩雑化するという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法だけではなく、インク以外の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、水系組成物と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、水を主な溶媒成分とする水系組成物と、ノズルから吐出する非水系インクとを、洗浄液を流路に通水することで置換する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記非水系インクが、前記有機溶剤としてグリコールエーテル類を含み、前記グリコールエーテル類の含有量は、当該非水系インクの全質量に対して20質量%以下であり、前記洗浄液が、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、洗浄液が水溶性を有するため、水系組成物との置換性がよい。また、洗浄液が有機溶媒であるので、非水系インクとの置換性がよい。したがって、水系組成物と非水系インクとの置換を水溶性の有機溶媒である洗浄液によって効率よく行うことができる。
ここで、前記有機溶剤のSP値は、9以上であることが好ましい。これによれば、流路部材のSP値と離れたSP値とすることができ、流路部材へのアタック性を低減できる。
また、前記有機溶剤は、前記液体噴射ヘッドを構成する部材のうち、硫黄を含む部材のSP値との差が1以上で、且つ前記非水系インクのSP値との差が1.5以内であることが好ましい。これによれば、流路部材からの硫黄の溶出による針状異物の析出を抑制することができると共に、洗浄液の非水系インクへの溶融性を向上できる。
また、前記水系組成物は、保湿剤の含有量が20質量%以下であることが好ましい。これによれば、水系組成物が乾燥した際に保湿剤による残渣が生じるのを抑制することができる。また、水系組成物の保湿剤の含有量が少なければ、クラック検査に用いても、微少なクラックに浸透する保湿剤を抑制して、保湿剤の置換困難性を改善することができる。
また、前記水系組成物は、界面活性剤の含有量が1質量%以下であることが好ましい。これによれば、水系組成物が乾燥した際に界面活性剤による残渣が生じるのを抑制することができる。また、水系組成物の界面活性剤の含有量が少なければ、クラック検査に用いても、微少なクラックに浸透する保湿剤を抑制して、界面活性剤の置換困難性を改善することができる。
また、前記洗浄液は、有機溶剤としてグリコールエーテル類を含むことが好ましい。これによれば、洗浄液の水系組成物との置換性及び非水系インクとの置換性を向上することができる。
また、前記洗浄液は、下記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶剤を含有することが好ましい。
HO−(R−O)−R ・・・(1)
(上記一般式(1)において、Rは、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Rは、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、nは、1以上9以下の整数を表す。)
これによれば、洗浄液の水系組成物との置換性及び非水系インクとの置換性を向上することができる。
また、前記有機溶剤は、標準沸点が170℃以上であることが好ましい。これによれば、洗浄液の揮発を抑制して、乾燥による不具合を抑制することができる。
また、前記水系組成物は、染料を含み、顔料を含まないものであることが好ましい。これによれば、水系組成物が完全に洗浄できずに残留したとしても非水系インクとの混合によって顔料による異物の発生を抑制することができる。
また、前記水系組成物は、導電性を有することが好ましい。これによれば、水系組成物を振動板のクラック検査等の液体の漏出検査に用いることができる。
また、前記水系組成物は、アルカリ性であることが好ましい。これによれば、流路を構成する流路部材の酸化を抑制することができる。
また、前記水系組成物のpHは、12未満であることが好ましい。これによれば、流路を構成する流路部材の酸化を抑制することができる。
また、前記洗浄液が通水された流路の上下流をシールする工程を有することが好ましい。これによれば、新たな洗浄工程が不要となって、工程を簡略化することができる。また、流路をシールすることで流路内の乾燥を抑制した状態で送品することができる。また、洗浄液として水溶性の有機溶媒を用いることで、シール時の洗浄液の乾燥による残渣や異物の発生を抑制することができる。ちなみに、液体噴射ヘッドから置換後の非水系インクを吐出できるように、液体噴射ヘッドに非水系インクを充填するまでを広く「液体噴射ヘッドの製造方法」とする。
また、液体噴射装置に前記液体噴射ヘッドを接続する工程と、前記液体噴射装置の前記非水系インクが保持された供給手段と前記流路とを接続する工程と、を有することが好ましい。これによれば、新たな洗浄工程が不要となって、工程を簡略化することができる。ちなみに、液体噴射ヘッドから置換後の非水系インクを吐出できるように、液体噴射ヘッドに非水系インクを充填するまでを広く「液体噴射ヘッドの製造方法」とする。
さらに、本発明の他の態様は、グリコールエーテル類を含む有機溶剤を含む非水系インクであって、前記グリコールエーテル類の含有量が当該非水系インクの全質量に対して20質量%以下の前記非水系インクを噴射する液体噴射ヘッドであって、前記非水系インクの通水前に、流路の内面には、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下の洗浄液が存在することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、洗浄液が水溶性を有するため、水系組成物との置換性がよい。また、洗浄液が有機溶媒であるので、非水系インクとの置換性がよい。したがって、水系組成物と非水系インクとの置換を水溶性の有機溶媒である洗浄液によって効率よく行うことができる。
本発明の実施形態1に係る記録装置の概略斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の断面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iは、複数のインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1とも言う)を具備する。記録ヘッド1は、供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられ、この記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッド1からは印刷時には、非水系インクが吐出される。
なお、本実施形態では、供給手段であるインクカートリッジ2が、キャリッジ3に搭載された構成を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の供給手段を装置本体4に固定して、供給手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8によりキャリッジ軸5の軸方向とは交差する方向に搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。本実施形態では、記録シートSの搬送方向を第1の方向Xと称する。また、キャリッジ3のキャリッジ軸5に沿った移動方向を第2の方向Yと称する。ちなみに、キャリッジ3は、キャリッジ軸5の一端部側には、特に図示しないが、記録ヘッド1のインク滴が噴射される液体噴射面等をクリーニングするクリーニング手段等が設けられている。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
そして、記録ヘッド1をキャリッジ3の移動方向である第2の方向Yに往復移動させながら、記録シートSを搬送ローラー8によって第1の方向Xに搬送することで、記録シートSに印刷を実行することができる。
このようなインクジェット式記録装置Iに搭載される記録ヘッドの一例について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、記録ヘッドの液体噴射面側の平面図である。ちなみに、本実施形態では、記録ヘッド1の各方向について、インクジェット式記録装置Iに搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。もちろん、記録ヘッド1のインクジェット式記録装置I内の配置は以下に示すものに限定されるものではない。
図示するように、記録ヘッド1は、ヘッドケース130と、ヘッド本体140と、カバーヘッド150と、を具備する。
ヘッドケース130は、インクカートリッジ2が直接又は他の流路部材を介して装着されて、インクカートリッジ2のインクをヘッド本体140に供給するためのものである。このようなヘッドケース130には、インクカートリッジ2のインクを各ヘッド本体140に供給する供給路131が設けられている。例えば、ヘッドケース130に直接インクカートリッジ2が装着される場合には、供給路131の一端には、インク供給針等が設けられる。なお、図2に示す例では、インク供給針に代わって、ヘッドケース130の第3の方向Zの一方面に内部に供給路131が設けられた円筒状の突起部を図示しているが、もちろんこれに限定されず、円錐状に先が尖ったインク供給針であってもよい。
このようなヘッドケース130は、例えば、樹脂材料を成型することにより安価で製造することができる。もちろん、ヘッドケース130は、金属材料で形成してもよい。
ここで、ヘッド本体140についてさらに図4及び図5を参照して詳細に説明する。なお、図4は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図5は、ヘッド本体の断面図である。
図示するように、本実施形態のヘッド本体140は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30及びケース部材等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrOあるいはAlを代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlOのような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル21が並設される方向に沿って並設されている。本実施形態では、この方向を圧力発生室12の並設方向とも称し、上述したインクジェット式記録装置Iの第1の方向Xと一致する。すなわち、記録ヘッド1は、圧力発生室12(ノズル21)の並設方向が、第1の方向Xとなるようにインクジェット式記録装置Iに搭載される。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向は、インクジェット式記録装置Iの第2の方向Yと一致する。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側(積層方向であって−Z方向)には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、各圧力発生室12に連通する複数のノズル21が穿設されたノズルプレート20が接合されている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
また、ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル21が形成されている。すなわち、ノズル21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10をノズルプレート20が接合された面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、振動板50の絶縁体膜52上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、本実施形態では、成膜及びリソグラフィー法によって積層形成されて圧電アクチュエーター300を構成している。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、第1電極60が、複数の圧力発生室12に亘って連続して設けられているため、第1電極60が振動板の一部として機能するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、上述の弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方又は両方を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護して収容するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、厚さ方向である第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。リード電極90の第2電極80に接続された一端部とは反対側の他端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。
また、このような構成のヘッド本体140には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体140と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体140とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体140とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のヘッド本体140では、インクを噴射する際に、インクカートリッジ2からヘッドケース130を介して導入路44からインクを取り込み、マニホールド100からノズル21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル21からインク滴が噴射される。
このようなヘッド本体140は、図2及び図3に示すように、上述したヘッドケース130にノズル列の並び方向、すなわち、第2の方向Yに所定の間隔で4つ固定されている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド1には、ノズル21が並設されたノズル列が8列設けられていることになる。このように複数のヘッド本体140を用いてノズル列の多列化を図ることで、1つのヘッド本体140にノズル列を多列形成するのに比べて歩留まりの低下を防止することができる。また、ノズル列の多列化を図るために複数のヘッド本体140を用いることで、1枚のシリコンウェハから形成できるヘッド本体140の取り数を増大させることができ、シリコンウェハの無駄な領域を減少させて製造コストを低減することができる。
また、ヘッドケース130に固定された4つのヘッド本体140の液体噴射面20a側は、ノズル21を露出した状態でカバーヘッド150によって覆われている。
このようなカバーヘッド150としては、例えば、ステンレス鋼などの金属材料や、セラミック材料、ガラスセラミック材料、酸化物などを用いることができる。
このような記録ヘッド1は、上述したように、第2の方向Yがキャリッジ3の移動方向となるように、インクジェット式記録装置Iに搭載される。
また、このような記録ヘッド1は、詳しくは後述する製造方法によって、当該記録ヘッド1の流路、本実施形態では、供給路131、導入路44、マニホールド100、供給連通路19、圧力発生室12、ノズル連通路16及びノズル21の内面には、非水系洗浄液又は非水系インクを通水することにより付着した非水系洗浄液又は非水系インクなどの非水系組成物160が存在する。なお、記録ヘッド1の流路の内面に非水系組成物160が存在するのは、記録ヘッド1をインクジェット式記録装置Iに搭載して、印刷に使用する非水系インクが記録ヘッド1の流路に通水される前の状態である。ちなみに、記録ヘッド1の流路内に非水系インクが通水されると、流路の内面に存在した非水系組成物160は、非水系インクに相溶するため存在しない。
このように、記録ヘッド1の流路の内面に非水系組成物160が存在することで、詳しくは後述するが、非水系インクを吐出するインクジェット式記録装置Iに記録ヘッド1を搭載した際に、記録ヘッド1の流路を洗浄する洗浄工程を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。
ここで、本実施形態において「非水系インク」とは、有機溶剤を主な溶媒として、水を主な溶媒としないインクである。好ましくは、インク中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しないインクとしてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。非水系インク中の有機溶剤の含有量は、色材や樹脂などの溶媒以外の他の成分を非水系インク組成物が含む場合は、当該他の成分を除く残りの量とすることができ、例えば、70質量%以上、さらには80質量%以上とすることができ、含有量の上限は、100質量%以下、さらには、99質量%以下とすることができる。
非水系インクは、有機溶剤として、グリコールエーテル類を含有することが好ましい。グリコールエーテル類は、記録シートSに対する濡れ性や浸透速度を制御して、記録される画像のムラ等を抑制することができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
非水系インクに含まれるグリコールエーテル類の含有量は、非水系インクの全質量(100質量%)に対して、その下限値が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらにより好ましい。また、上限値は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがより一層好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることが特に好ましい。含有量が20質量%以上であることで、液滴の濡れ拡がり性が向上して、平滑性に優れた良好な画像を形成できる。また、グリコールエーテル系溶剤の含有量が95質量%以下であることで、過剰な濡れ拡がりによる凝集ムラなどを抑制できる場合がある。
本実施形態に係る非水系インクは、有機溶剤として、ラクトンを含有することが好ましい。ラクトンは、記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部に非水系インクを浸透させて、記録媒体に対する非水系インクの密着性を高めることができる。本発明において「ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示したラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ラクトンを含有する場合には、その含有量は、非水系インクの全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ラクトンの含有量が5質量%以上であることで、画像の耐擦性が一層向上する傾向にある。その含有量は75質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。75質量%以下であることで、画像の光沢性が向上する傾向にある。
非水系インクは、上記以外のその他の有機溶剤として、エステル類、炭化水素類、アルコール類を上述の有機溶剤に加えてあるいは代えて含有してもよい。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
炭化水素類としては、脂肪族炭化水素(例えば、パラフィン、イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等)等が挙げられる。このような炭化水素類としては、市販品を用いてもよく、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLX(以上全て出光興産株式会社製の商品名)、Isopar(アイソパー)G、Isopar L、Isopar H、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140(以上全て、Exxon社製の商品名)、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200、NSクリーン220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)等の脂肪族炭化水素系溶剤または脂環式炭化水素系溶剤や、ソルベッソ200(Exxon社製の商品名)等の芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2ペンタノール、アリルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール等が挙げられる。上記のその他の有機溶剤は1つまたは2つ以上を用いもよく、それらの1つ以上の含有量は、非水系インクの全質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
本実施形態に用いる非水系インクは、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、皮膜を形成して非水系インクにより得られた画像を保護する樹脂、画像のインク塗膜の密着性を向上させるための樹脂、画像のインク塗膜の光沢度を調整するための樹脂、その他、画像のインク塗膜の品質を向上させるための樹脂が挙げられる。このうち、皮膜を形成して、非水系インクにより得られた画像を保護する機能を少なくとも有する樹脂が記録物の摩擦堅牢性などの点で好ましく、本発明の実施形態が特に有用である。当該樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂など)、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂など)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記の樹脂の中でも、画像の耐擦性を一層向上させるという観点から、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸の何れかを含むものであり、塩化ビニル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものである。
上記の(メタ)アクリル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
上記の塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、カネビニールS−400、HM515(商品名、株式会社カネカ製)、ソルバインC(商品名、日信化学株式会社)等が挙げられる。
非水系インクに含まれる樹脂には、固形状、溶液状、エマルジョン状態としたもの等、いずれのタイプの樹脂を用いてもよいが、インク中で溶解するもの(インクに溶解している樹脂)を用いることが好ましい。
樹脂の固形分換算における含有量は、非水系インクの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂の含有量を0.5質量%以上とすることで、画像の耐擦性が一層良好となる傾向にある。また、樹脂の含有量を10質量%以下とすることで、非水系インクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に容易に設定することができる。
本実施形態に係る非水系インクは、色材を含有してもよい。色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料および有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
色材の含有量は、所望に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではないが、通常、非水系インクの全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤を含有してもよく、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、非水系インク中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
本実施形態に係る非水系インクは、界面活性剤(例えば、シリコン系界面活性、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
本実施形態に係る非水系インクは、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態に係る非水系インクは、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、非水系インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
ここで、本実施形態の記録ヘッド1の製造方法について説明する。
まず、ヘッドケース130、ヘッド本体140及びカバーヘッド150を組み立てて記録ヘッド1を形成した後、記録ヘッド1の検査工程を行う。本実施形態では、検査工程として、振動板50のクラック検査と、印字検査とを行うようにした。もちろん、検査工程は、振動板50のクラック検査及び印字検査の何れか一方のみを行うようにしてもよい。また、本実施形態では、振動板50のクラック検査を行った後、ノズル21から印字検査液を吐出させて印字検査を行うようにした。これにより、クラック検査によって振動板50にクラックを有する記録ヘッド1の印字検査を除外して、無駄な印字検査を行わずに済むため、検査工程を効率化することができる。もちろん、先に印字検査を行った後に振動板50のクラック検査を行うようにしてもよい。
振動板50のクラック検査は、例えば、特開2011−31559号公報、特開2008−221652号公報等に記載の方法で行うことができる。具体的には、記録ヘッド1の流路内にクラック検査液を充填する。このとき、振動板50にクラックが生じていると、充填されたクラック検査液が振動板50のクラックを介して振動板50上に流出する。このため、記録ヘッド1にクラック検査液を充填した状態で、圧電アクチュエーター300の電極間の導通や、ノズルプレート20が導電性を有する場合にはノズルプレート20と電極間の導通、また、特に図示していないが、特開2011−31559号公報、特開2008−221652号公報等に記載のようにマニホールド100内に電極を設け、この電極と圧電アクチュエーター300の電極との導通などを検出することで振動板50のクラックの有無を判定する。このように、クラック検査液は、異なる電極に接触した際に電極間を導通させる必要があるため、導電性を有する水系組成物が用いられる。
このようなクラック検査液としては、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のアルカリ溶液や水系インクなどを用いることができる。ちなみに、水系インクとは、水を主な溶媒成分とするインクのことであり、例えば、顔料を含む水系顔料インクや、染料を含む水系染料インクなどが挙げられる。
また、クラック検査液は、振動板50のクラックに浸透できるように高い濡れ性が求められる。しかしながら、クラック検査液は検査後に排出・洗浄されるが、振動板50のクラックに浸透したクラック検査液を洗浄するには多少の困難さが伴うため、クラック検査液には保湿剤であるグリセリンや界面活性剤が含まれない方が好ましい。つまり、クラック検査液は、保湿剤であるグリセリンの含有量が20質量%以下であるのが好ましい。また、クラック検査液は、界面活性剤の含有量が1質量%以下であるのが好ましい。あるいは、実質的に保湿剤及び界面活性剤を含有しないクラック検査液としてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。このように、クラック検査液の保湿剤及び界面活性剤のそれぞれの含有量を1質量%以下とすることで、記録ヘッド1の流路内でクラック検査液が乾燥した際に、保湿剤や界面活性剤が残渣となって、印刷時にノズル21を詰まらせることや、インク滴の飛翔曲がりなどの吐出不良が発生する可能性を低減することができる。
また、クラック検査液は、アルカリ性(pH>7)であるのが好ましく、より好ましくはpHが12未満(pH<12)、さらに好ましくは7<pH<10、一層好ましくは9<pH<10である。
このようにアルカリ性のクラック検査液を用いることで、クラック検査液が流れる流路が形成された部材の酸化、特に、流路が金属部材で形成されている場合には金属部材の酸化や、ノズルプレート20の液体噴射面20aに形成された図示しない撥液膜等の酸化、すなわち、ヘッドアタック性を抑制することができる。ただし、クラック検査液として強いアルカリ性を有するものを用いた場合、流路がシリコン部材で形成されている場合にはシリコン部材の浸食による劣化、すなわち、ヘッドアタック性がある(ヘッドアタック性)。
さらに、クラック検査液は、色材を含まない方が好ましく、特に色材として顔料を含まない方が好ましい。ちなみに色材を含む水系インクには、一般的に保湿剤や界面活性剤が含まれているため、上述のように保湿剤や界面活性剤が残渣となって吐出不良が発生してしまうからである。また、クラック検査液が色材を含む水系インクの場合には、色材として染料を含む水系染料インクを用いるのが好ましい。これによれば、クラック検査の後、クラック検査液が他の液体と置換された際に、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて、異物となるのを抑制することができる。すなわち、クラック検査液として顔料を含む水系顔料インクを用いた場合、水を主な溶媒とせず、水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液で洗浄すると、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて異物が発生する。このような異物は、ノズル21の目詰まりや、ノズル21に付着してインク滴の飛翔曲がりなどの吐出不良の原因となる。また、クラック検査液として水系顔料インクを用いた場合に、非水系洗浄液で洗浄したとしても、水系顔料インクを完全に排除できずに残留する虞がある。特に、流路の角部などの流れ難い部分で水系顔料インクが残留し易い。このため、残留した水系顔料インクと非水系インクとが混ざり、顔料の分散が壊れて異物となり、異物がノズル21に付着してノズル21の目詰まりやインク滴の飛翔曲がりなどの吐出不良が発生する。したがって、クラック検査液として顔料を含まないものを用いることで、クラック検査液が残留したとしても顔料による異物の発生を抑制して、吐出不良を抑制することができる。
以上のことから、クラック検査液としては、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のアルカリ溶液や水系染料インクを用いるのが好ましい。
ここで、水系組成物の一例を下記表1に示す。なお、表中で使用した材料は、下記の通りである。
なお、表中で使用した成分のうち、商品名または略称で記載した成分は以下の通りである。
・C.I.ダイレクトブラック9(ブラック染料)
・TEGmBE(トリエチレングリコールモノブチルエーテル、有機溶剤)
・TEG(トリエチレングリコール、有機溶剤)
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、界面活性剤)
・カーボンブラック(ブラック顔料)
・TEA(トリエタノールアミン、有機溶剤)
・サーフィノール465(商品名、日信化学工業株式会社製、界面活性剤)
・C.I.アシッドレッド52(レッド顔料)
Figure 2017047669
表1に示す水系組成物S1〜S7は、何れも導電性を有するため、振動板50のクラック検査に用いることができる。ただし、水系組成物S6は、pHが14に近く、強いアルカリ性を有するため、クラック検査液としては、水系組成物S1〜S5及びS7を用いるのが好ましく、特に7<pH<10の水系組成物S1〜S5及びS7を用いるのがより好ましく、さらに好ましくは9<pH<10の水系組成物S2、S3、S7を用いるのが好適である。
また、水系組成物S3、S7は、顔料を含むため、上述のように水系組成物S3、S7が他の液体と置換される際に、水系組成物S3、S7に含まれる顔料の分散が壊れて、異物が発生する虞がある。このため、クラック検査液としては、水系組成物S1、S2、S4、S5、S6を用いるのが好ましい。
さらに、クラック検査液に保湿剤及び界面活性剤が含まれると、乾燥した際に残渣となる虞があるため、保湿剤及び界面活性剤が含まれない水系組成物S1、S6を用いるのが好ましい。
そして、水系組成物S1〜S7のうち、上記の条件の全てを満たす水系組成物はS1となる。したがって、クラック検査液としては、水系組成物S1を用いるのがより好ましい。
次に、印字検査を行う。具体的には、記録ヘッド1の流路内からクラック検査液を排出し、流路内に印字検査液を充填する。印字検査では、圧電アクチュエーター300を駆動して、流路内の印字検査液をノズル21からインク滴として吐出させて検査を行うものである。このような印字検査に用いられる印字検査液としては、視認する必要があるため、色材を含有するインクを用いる必要がある。特に、印字検査液に用いられるインクとしては、色材としてブラック(K)を含むインクを用いるのが好ましい。これにより、印字検査の結果を識別し易くして、吐出不良等の印字検査の検出精度を向上することができる。なお、印字検査液に用いるインクは、水系インクや非水系インクを用いることができる。
ここで、印字検査液に用いる水系インクとしては、例えば、上述したクラック検査液と同様の水系インクを用いることができる。また、印字検査液に用いる非水系インクとしては、上述した非水系インクを用いることができる。
そして、印字検査液として、水系インクを用いる場合には、クラック検査と印字検査との間で洗浄工程が不要になる。これは、クラック検査では、クラック検査液として導電性を有する水系組成物を用いる必要があるため、水系組成物であるクラック検査液を排出した後、印字検査液として水系インクを直接通水してクラック検査液と印字検査液とが混ざったとしても特に問題は発生しないからである。
また、印字検査液として、水系インクを用いる場合には、顔料を含む水系顔料インク、染料を含む水系染料インクの何れを用いてもよい。ただし、印字検査液として水系顔料インクを用いた場合には、詳しくは後述するが、印字検査の後に行われる第2洗浄工程において、水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液で洗浄した際に、顔料の分散が壊れて異物化するため、第2洗浄工程では水系洗浄液による洗浄と非水系洗浄液による洗浄との2回の洗浄を行う必要が生じ、第2洗浄工程が煩雑になる。また、第2洗浄工程において水系洗浄液で洗浄したとしても、水系顔料インクを完全に除去することができずに流路内に水系顔料インクが残留する虞がある。そして、残留した水系顔料インクと非水系インクとが混ざることで、顔料の分散が壊れて異物が発生し、印刷時のインクの吐出不良が発生する虞がある。したがって、印字検査液として水系インクを用いる場合には、顔料を含まない水系染料インクを用いるのが好ましい。これにより、後の第2洗浄工程で記録ヘッドを洗浄する際に、印字検査液が顔料を含まないので、非水系洗浄液で洗浄しても顔料の分散が壊れて異物化するのを抑制することができる。また、第2洗浄工程では、非水系洗浄液による1回の洗浄のみを行えばよく、洗浄工程を簡略化することができる。さらに、水系染料インクが洗浄によって完全に排除されずに残留したとしても、残留した水系染料インクと非水系インクとが混ざっても異物の発生を抑制することができるため、インクの噴射不良を抑制することができる。ちなみに、印字検査に用いる水系インクは、クラック検査に用いる水系組成物に比べて微少なクラックに浸透する必要がなく、クラック検査に用いる水系組成物に比べて濡れ性は求められない。したがって、印字検査に用いる水系組成物は置換し易いので、保湿剤や界面活性剤が含まれていてもよい。
このように印字検査液として、水系インクを用いる場合には、例えば、上記表1に示す水系組成物S2、S3、S7を用いることができる。また、印字検査液は、上述のように水系染料インクを用いるのが好ましいため、水系組成物S2を用いるのが好ましい。さらに、印字検査液は、視認性を高くするために、色材としてブラック染料を含むものが好ましいため、水系組成物S2を用いるのがより好ましい。
これに対して、非水系インクを印字検査液として用いる場合には、クラック検査と印字検査との間で洗浄工程が必要になる。すなわち、クラック検査液である水系組成物と、非水系インクとが混ざると、非水系インクに含まれる顔料の分散が壊れて異物化してインクの吐出不良が生じる。したがって、印字検査液として非水系インクを用いる場合には、クラック検査液である水系組成物を排出後、記録ヘッド1の流路内を洗浄液で洗浄してから印字検査液を通水する必要がある。
クラック検査と、非水系インクを用いた印字検査との間の洗浄工程で用いられる洗浄液について説明する。なお、本実施形態では、クラック検査と印字検査との間の洗浄工程を第1洗浄工程と称する。
第1洗浄工程で用いる洗浄液は、水溶性の有機溶剤、すなわち、クラック検査に用いた水系組成物に対して水溶性を有すると共に、印字検査に用いる非水系インクに相溶する有機溶剤である。ここで、洗浄液が有機溶剤であるとは、洗浄液中の水の含有量が10質量%以下のことである。なお、洗浄液中の水の含有量は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。あるいは、実質的に水を含有しない洗浄液としてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。
洗浄液は、下記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶剤を含有する。
HO−(R−O)−R ・・・(1)
上記一般式(1)において、Rは、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Rは、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、nは、1以上9以下の整数を表す。「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、ベンジルフェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。また、「炭素数1以上6以下のアルキル基」としては、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル、ペンチル基またはヘキシル基等が挙げられる。「炭素数2以上4以下のアルキレン基」としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、またはブチレン基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、親水性基(―OH基)が含まれているため、有機溶剤が水の分子と結合し易く、すなわち水溶性が高くなる。また、SP値が大きくなり、記録ヘッドを構成する硫黄を含む部材からの硫黄成分の溶出を抑制することができる。
また、上記一般式(1)中、Rは、炭素数2以上4以下のアルキル基であることが好ましい。これにより、非水系インクを溶解(軟化)させる作用が向上して、置換が一層良好となる。
上記一般式(1)中、nは、3以上6以下の整数であることが好ましい。これにより、非水系インクを溶解(軟化)させる作用が向上して、置換が一層良好となる。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記の特定の有機溶剤には、標準沸点が170℃以上であるものを用いることが好ましく、標準沸点が250℃以上であるものを用いることがより好ましい。これにより、洗浄液の乾燥に伴う異物の発生を低減できる。
上記の特定の有機溶剤には、20℃における蒸気圧が1hPa以下であるものを用いることが好ましく、0.5hPa以下であるものを用いることがより好ましく、0.1hPa以下であるものを用いることがより一層好ましく、0.01hPa以下であるものを用いることが特に好ましい。これにより、洗浄液の乾燥に伴う異物の発生を低減できる。
また、上記の特定の有機溶剤としては、20℃における表面張力が25mN/m以上35mN/m以下であるものを用いることが好ましい。これにより、後述する非水系インクとの相溶性が向上するので、クリーニング性が一層向上する傾向にある。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを有機溶剤で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
さらに、特定の有機溶剤の含有量は、洗浄液の全質量(100質量%)に対して、その下限値が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。特定の有機溶剤の含有量が50質量%以上であることで、水系組成物と非水系インクとの相溶性が向上される。もちろん、特定の有機溶剤の洗浄液に対する含有量の上限は限られるものではなく100質量%でもよい。
ここで、洗浄液の一例とその機能について下記表2に示す。なお、表中で使用した成分のうち、商品名または略称で記載した成分は以下の通りである。
・DEGMEE(ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、有機溶媒)
・DEGdEE(ジエチレングリコールジエチルエーテル、有機溶剤)
・顔料(カーボンブラック、ブラック顔料)
・ソルスパーズ32000(LUBRIZOL社製、分散剤)
・BYK331(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・HM515(商品名、株式会社カネカ、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体)
・TEGmBE(トリエチレングリコールモノブチルエーテル、有機溶剤)
Figure 2017047669
表2に示す洗浄液W1〜W3は水溶性を有する。また、洗浄液W5は、水を主な溶媒とする水系洗浄液であり、水溶性を有するものの、非水系インクとの相溶性は低い。さらに、洗浄液W6は、洗浄液W1と同じ水溶性の有機溶剤と水とを含有するものであり、既に水分含有量が15質量%となっていため、水溶性が低く、非水系組成物との相溶性も低い。
また、洗浄液W1、W2は揮発し難く、保湿剤及び界面活性剤を含まないため、保湿剤や界面活性剤が記録ヘッド1の流路内の残渣となり難く、インクの噴射不良が発生し難い。さらに、洗浄液W3は、揮発するが、保湿剤及び界面活性剤を含まないため、保湿剤や界面活性剤が記録ヘッド1の流路内の残渣となり難い。
また、記録ヘッド1に用いられる硫黄を含む部材、例えば、ヘッドケース130やケース部材40などの流路部材の材料として、変性ポリフェニレンエーテルのDG220(商品名:ザイロン、旭化成ケミカルズ社製)が用いられている場合、DG220のSP値は8.5であるため、洗浄液に用いられる有機溶剤は流路部材のSP値から離れたSP値を有するもの、好ましくはSP値が9以上、より好ましくは流路部材のSP値から1以上離れたSP値、すなわち9.5以上のSP値を有するものが好ましい。ちなみに、洗浄液に用いられる有機溶剤として硫黄を含む材料で形成された流路部材のSP値と近いものを用いた場合、流路部材から硫黄成分が溶出し、洗浄液が乾燥することで針状異物として析出され易い。したがって、洗浄液に用いる有機溶剤としては、硫黄を含む材料で形成された流路部材のSP値から離れたSP値を有するものを用いることで、流路部材からの硫黄成分の溶出を抑制して、針状異物の発生によるインク噴射不良を抑制することができる。ただし、洗浄液に用いる有機溶剤のSP値は、11以下が好ましく、より好ましくは10以下である。洗浄液に用いられる有機溶剤のSP値が高すぎると、非水系インク(SP値8〜9)との相溶性が低下するためである。つまり、洗浄液に用いられる有機溶剤は、記録ヘッド1の硫黄を含む材料で形成された流路部材のSP値から1以上離れ、且つ非水系インクのSP値から1.5以内のSP値を有するものが好適である。これにより、針状異物の析出を押さえて、非水系インクと相溶する。なお、「SP値」とは、溶解度パラメーターのことをいう。SP値の算出方法としては、蒸発潜熱方、蒸気圧法、溶解法、膨潤法、表面張力法、臨界圧力法、熱膨張係数法、分子引力定数法等が知られているが、本発明におけるSP値は、「塗料の流動と顔料分散」(植木憲二監訳、共立出版株式会社刊)の第275頁,表13−2に記された「Smallの分子結合定数」に基づいて算出されたものを指す。また、洗浄液が複数種類の有機溶剤を含む場合には、有機溶剤のSP値とは、有機溶剤のSP値を加重平均した値とすればよい。ここで、「有機溶剤のSP値を加重平均した値」とは、洗浄液に含まれる有機溶剤の化合物毎のSP値を、各化合物の含有量で重み付けして得られる加重平均のことをいう。
ちなみに、表2に示す洗浄液W1〜W6のうち、流路部材のSP値(8.5)に近いSP値、すなわち、SP値の差が1より小さいものは、洗浄液W3及びW4である。また、流路部材とのSP値の差が1.5より大きい洗浄液は、洗浄液W5及びW6である。したがって、表2に示す洗浄液W1及びW2を用いることで、流路部材からの硫黄成分の溶出を抑制して針状異物が析出されるのを抑制することができると共に、非水系インクとの相溶性を高めることができる。また、洗浄液W1及びW2は、揮発性が低いため、たとえ流路部材から硫黄成分が溶出したとしても乾燥し難いことから針状異物が生じ難い。
そして、表2に示す洗浄液のうち、上記の条件の全てを満たす洗浄液はW1及びW2となる。したがって、第1洗浄工程で用いる洗浄液としては、洗浄液W1及びW2を用いるのがより好ましい。ちなみに、洗浄液W2は臭気が強いため、さらに好ましくは洗浄液W1を用いるのが好適である。
このように、印字検査において、非水系インクを用いた場合には、クラック検査と印字検査との間で、すなわち、水系組成物であるクラック検査液と、非水系インクである印字検査液とを置換する際に、第1洗浄工程として上述した表2に示す洗浄液W1〜W5、より好ましくは洗浄液W1及びW2、さらに好ましくは洗浄液W1を用いて洗浄する。これにより水系組成物と非水系インクとが混ざることで、非水系インクに含まれる顔料の分散が壊れて異物化するのを抑制することができる。また、印字検査を行う際に印字検査液として非水系インクを用いた場合には、印字検査の後に印字検査液を洗浄する第2洗浄工程が不要となる。
ちなみに、第1洗浄工程において、水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液を用いる場合、上述のように、クラック検査液として水系顔料インクを用いていると、水系顔料インクと洗浄液とが混ざることによって顔料の分散が壊れて異物が発生する。このため、特に印字検査において非水系インクを用いる場合には、クラック検査液として顔料を含まない水系組成物を用いるのが好適である。これにより、第1洗浄工程において顔料による異物の発生を抑制することができると共に工程を簡略化することができる。ちなみに、クラック検査として水系顔料インクを用いると共に、印字検査で非水系インクを用いる場合、顔料による異物の発生を抑制するためには、クラック検査液を水系洗浄液で洗浄した後、水系洗浄液を水溶性の有機溶剤である洗浄液で洗浄する2段階の洗浄が必要となり洗浄工程が煩雑となってしまう。
ここで、上述したように、印字検査液として水系インクを用いて印字検査を行った場合には、記録ヘッド1の流路を非水系インクで置換する前に、流路内を洗浄する第2洗浄工程を行う。
第2洗浄工程で用いる洗浄液は、上述した第1洗浄工程と同様の洗浄液を用いることができる。すなわち、第2洗浄工程で用いる洗浄液は、水溶性の有機溶剤である。
このように第2洗浄工程において、洗浄液として水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液を用いることで、非水系洗浄液によって洗浄した記録ヘッド1を直接インクジェット式記録装置Iに搭載して、記録ヘッド1に非水系インクを供給することが可能となる。
これに対して、例えば、印字検査液として水系インクを用いて印字検査を行った場合などでは、第2洗浄工程において水を主な溶媒とする水系洗浄液で洗浄することも考えられる。しかしながら、第2洗浄工程において、水系洗浄液を用いた場合、水系洗浄液によって洗浄した記録ヘッド1を直接インクジェット式記録装置Iに搭載して、記録ヘッド1に非水系インクを供給すると、記録ヘッド1の流路内で水系洗浄液と、非水系インクとが混ざり、非水系インクに含まれる顔料の分散が壊れて異物が発生してしまう。このため、第2洗浄工程水系洗浄液で洗浄した後、インクジェット式記録装置Iに搭載する前又は後で、記録ヘッド1の流路内の水系洗浄液を洗浄するために、水溶性の非水系洗浄液でさらに洗浄する工程(詳しくは後述する第4洗浄工程)が必要になり、洗浄工程が煩雑になってしまう。本実施形態では、第2洗浄工程において、洗浄液として水溶性の非水系洗浄液を用いることで、第4洗浄工程が不要になり洗浄工程を簡略化して、水系組成物と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
ちなみに、上述したように印字検査で水系染料インクを用いた場合、第2洗浄工程において水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液で洗浄しても異物が発生しない。したがって、印字検査で水系染料インクを用いるのが好ましい。これに対して、印字検査で水系顔料インクを用いた場合、第2洗浄工程で水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液を用いると、顔料の分散が壊れて異物が発生してしまう。しかしながら、第2洗浄工程で水溶性の非水系洗浄液で洗浄された記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置Iに搭載されて非水系インクが通水されるため、この非水系インクの通水によって、第2洗浄工程で生じた異物は排出され易い。したがって、印字検査を水系顔料インクで行ったとしても、吐出不良の影響は抑えられる。
このように第2洗浄工程又は印字検査を行うことで、図5に示す流路の内面に水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液又は非水系インクが存在した記録ヘッド1が製造される。
また、このように製造された記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置Iに搭載される。このとき、記録ヘッド1は流路の上流下流がシール、すなわち、流路の上流下流の開口がシールされて送品される場合と、流路の上流下流がシールされずにそのままインクジェット式記録装置Iに搭載される場合とがある。ここで、流路の上流下流がシールされて送品された記録ヘッド1は、例えば、新規のインクジェット式記録装置Iに搭載されることや、既存のインクジェット式記録装置Iの既存の記録ヘッド1と交換されることに使用される。
ここで、記録ヘッド1の流路を閉塞せずにインクジェット式記録装置Iに搭載する場合には、記録ヘッド1の最終履歴は、第2洗浄工程における水溶性の溶媒である非水系洗浄液、又は、印字検査における非水系インクなどの水を主な溶媒としない非水系組成物となっている。このため、記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置Iに搭載した後、洗浄することなく非水系インクを記録ヘッド1に供給することができる。
一方、記録ヘッド1の流路の上流下流をシールする場合には、当該流路の開口をキャップ等で塞いでもよく、また、記録ヘッド1全体を例えば、通気性の低い材料、例えば、ポリプロピレン(PP)やアルミでパッキン、すなわち、通気性の低い材料で形成された袋に梱包することで塞ぐようにしてもよい。ちなみに、ポリプロピレン製の袋に比べてアルミ製の袋の方が記録ヘッド1の流路内の乾燥及び外気からの吸湿を抑制することができる。
このように記録ヘッド1の流路の上流下流をシールすることで、最終履歴である第2洗浄工程における水溶性の有機溶媒である非水系洗浄液、又は、印字検査における非水系インクの乾燥を抑制することができると共に、非水系洗浄液又は非水系インクが外気から吸湿するのを抑制することができる。ちなみに、記録ヘッド1の流路内に有機溶媒である非水系洗浄液として、記録ヘッド1に用いられた硫黄を含む材料で形成された流路部材のSP値と離れたSP値を有する洗浄液W1及びW2が存在する場合には、洗浄液W1及びW2は乾燥しても針状異物が発生し難いため流路の上流下流をシールする必要はない。しかしながら、洗浄液W1及びW2が外気の湿気を吸湿してしまうため、洗浄液W1及びW2であっても流路の上流下流をシールする方が好ましい。また、非水系インクで印字検査を行った場合には、記録ヘッド1の最終履歴は、非水系インクとなるため、非水系インクが乾燥すると非水系インクに含まれるグリセリンなどの保湿剤や界面活性剤が残渣となってしまう。このため、記録ヘッド1の送品前の最終履歴が非水系インクの場合であっても、流路の上流下流をシールして非水系インクが乾燥して異物が発生するのを抑制するのが好ましい。
また、記録ヘッド1の流路の上流下流をシールする場合には、最終履歴である水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液又は非水系インクを充填した状態でシールしてもよい。特に、揮発し易い非水系洗浄液や非水系インクを用いる場合には、最終履歴である非水系洗浄液又は非水系インクを充填した状態でシールするのが好ましい。これにより、非水系洗浄液又は非水系インクの乾燥を抑制して針状異物や保湿剤及び界面活性剤の残渣を抑制することができる。
さらに、記録ヘッド1を梱包する前に、比較的揮発し難く、乾燥し難い送品液を通水してもよい。つまり、第2洗浄工程で使用した非水系洗浄液又は印字検査で使用した非水系インクとは異なる送品液を通水してもよい。ただし、新たな送品液を用いることで、工程が増大して煩雑になると共にコストが増大してしまう。このため、第2洗浄工程で使用した非水系洗浄液及び印字検査で使用した非水系インクを送品液として使用することで工程を簡略化してコストを低減することができる。
このように梱包された記録ヘッド1は、新規のインクジェット式記録装置Iに搭載されることや、既存のインクジェット式記録装置Iの既存の記録ヘッド1と交換されるのに用いられる。新規のインクジェット式記録装置Iに搭載される場合には、記録ヘッド1の流路の上流下流のシールを解除、すなわち開梱して、インクジェット式記録装置Iに搭載される。このとき上述した送品しない記録ヘッド1の場合と同様に第3洗浄工程及び第4洗浄工程が不要となるため、洗浄工程を簡略化することができ、結果として水系組成物と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
ここで、梱包された記録ヘッド1を既存のインクジェット式記録装置Iの既存の記録ヘッドと交換する工程について説明する。
例えば、記録ヘッド1を梱包前に流路に通水した液体が水系組成物の場合、流路の上流下流のシールを解除、すなわち開梱した記録ヘッド1をインクジェット式記録装置Iに搭載した後で、流路を非水系洗浄液で洗浄する第4洗浄工程が必要になる。これは、水系組成物が残留する記録ヘッド1に非水系インクを供給すると、水系組成物と非水系インクとが混ざり、非水系インクに含まれる顔料の分散が破壊されて異物が発生するからである。第4洗浄工程において、インクジェット式記録装置Iに搭載された記録ヘッド1を水溶性の非水系洗浄液で洗浄することで、水系組成物と非水系インクとが混ざることによる異物の発生を抑制する。
また、第4洗浄工程を行う場合、すなわち、水系組成物を通水した記録ヘッド1をインクジェット式記録装置Iに搭載する場合には、インクジェット式記録装置Iに搭載されていた既存の記録ヘッドを取り外す前に、既存の記録ヘッドの流路を水溶性の非水系洗浄液で洗浄する第3洗浄工程を行う必要がある。これは、既存の記録ヘッドの上流及び下流の流路内に非水系インクが残留していると、新たな記録ヘッド1を取り付けた際に新たな記録ヘッド1の流路内の水系組成物と混ざり、非水系インクに含まれる顔料によって異物が発生する虞があるからである。
これに対して、本実施形態では、記録ヘッド1の梱包前の最終履歴が、水溶性の非水系洗浄液又は非水系インクであるため、上述した第3洗浄工程及び第4洗浄工程が不要となる。つまり、既存の記録ヘッドの上流及び下流の流路に非水系インクが残っていたとしても、交換後の記録ヘッド1内の流路内には水溶性の有機溶剤である非水系洗浄液又は非水系インクが存在するだけなので、両者が混ざったとしても異物が発生するのを抑制することができる。
ここで、実施例1〜12と比較例1〜3とにおいて、各工程の有無と、各工程に用いた溶液とについて下記表3及び4に基づいて行った。
また、実施例1〜12と比較例1〜3とにおいて、異物の発生に関する評価を行った。異物の発生に関する評価は、非水系インク又は非水系洗浄液の非水系溶液と、水系インク又は水系組成物の水系溶液とを1:1で混合した混合液を調整し、得られた混合液を60℃で1週間放置した。放置した後、混合液を10μmのオムニポアメンブレンフィルター(ミリポア社製)でろ過して、メンブレンフィルターを顕微鏡(倍率:50倍)で観察し、異物の発生の有無を確認することにより、異物発生の評価を行った。この結果を表3及び4に示す。
さらに、実施例1〜12と比較例1〜3との組み合わせにおいて、置換性の評価を行った。置換性の評価は、まず、チューブを介して、洗浄液の入ったボトルと記録ヘッドと下流チューブとをつなぐ。そして、下流側からロータリーポンプで引き、上流の洗浄液を持ってくる。具体的には、記録ヘッドに検査インクを充填した後、通液量の水準を振って洗浄液を下流から引くことで通液する。このとき、排出側のチューブ内の液の色を確認し透明になるかも確認しておく。その後、洗浄液を排出状態(空気置換)し、上流を洗浄液からシリンジへ組換えた後、上流側からシリンジで空気を送り、検査インク混じりの残液が排出されないかを確認する。検査インク混じりの残液が排出された場合には置換性バツ(×)、残液が排出されない場合には置換性マル(○)と評価した。これらの結果を表3及び4に示す。
また、洗浄液の流路部材に対する硫黄を溶出させて針状異物が析出されるヘッドアタック性については、上記のような洗浄置換後、60℃5日の環境放置、取出し後はインクジェット式記録装置に取り付けて非水系インクを充填させて印字確認により行った。異常析出が生じると、印字結果として不良が生じると共に、IR顕微鏡等で異物が観察される。この結果も合わせて下記表3及び4に示す。
Figure 2017047669
Figure 2017047669
ここで、上記表3及び4で用いられる非水系インクについて説明する。
容器に、表2の洗浄液W4に記載の濃度に相当する量の溶剤をそれぞれ投入し、マグネチックスターラーを用いて30分間混合撹拌して混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の一部を取り分けて、そこにSolsperse32000(LUBRIZOL社製、商品名)および顔料を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて粉砕処理した。その後、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルで分散処理を行うことにより、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液に、混合溶剤の残部およびBYK−331(ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)を添加してさらに1時間混合撹拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、表2の洗浄液W4に記載の各インク組成物を得た。
なお、表中で使用した材料は、下記の通りである。
・DEGMEE(ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、有機溶媒)
・DEGdEE(ジエチレングリコールジエチルエーテル、有機溶剤)
・顔料(カーボンブラック、ブラック顔料)
・ソルスパーズ32000(LUBRIZOL社製、分散剤)
・BYK331(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・HM515(商品名、株式会社カネカ、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体)
(比較例1)
比較例1では表3に示すように、クラック検査を水系組成物S7で行った後、印字検査を水系組成物S3で行った。このため、第1洗浄工程が不要となる。
次いで、第2洗浄工程を水系組成物W5、すなわち、水系洗浄液で行った後、流路の上流下流のシール(梱包)をPP袋で行った。
次いで、既存のインクジェット式記録装置に搭載されていた記録ヘッドを非水系洗浄液W3で洗浄する工程を行った後、梱包した記録ヘッド1を開梱してインクジェット式記録装置Iに取り付ける。
そして、取り付けた記録ヘッド1を水系の洗浄液W5で洗浄する第4洗浄工程を行う。
このように、比較例1では、第2洗浄工程で、水系の洗浄液W5を用いて洗浄することで、第3洗浄工程及び第4洗浄工程が必要になり、合計3回の洗浄工程が必要になって工程が煩雑化する。
また、水系の洗浄液W5は、SP値が上述した流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と近く、流路部材からの硫黄の成分の溶出し易く、針状異物が発生し易い(ヘッドアタック性)。
また、洗浄液として水系洗浄液W5を用いた場合、洗浄液W5には保湿剤としてグリセリンが含まれているため、流路の上流下流のシールが不十分だと乾燥して保湿剤が残渣となって残ってしまい、インク吐出不良が発生する(水系組成物の残渣なし、送品後の残渣なし)。
(比較例2)
比較例2では、表3に示すように、クラック検査を非水系インクで行った後、印字検査を非水系インクで行った。このため、第1洗浄工程が不要となる。ただし、非水系インクは、絶縁性を有するため、クラック検査を行うことができない。ちなみに、印字検査を非水系インクで行ったため、第2洗浄工程が不要となる。
次いで、記録ヘッドの流路の上流下流をシールすることなく、インクジェット式記録装置に取り付けた。記録ヘッドの最終履歴は、非水系インクであるため第3洗浄工程及び第4洗浄工程が不要となる。
比較例2では、クラック検査を行うことができず、記録ヘッドの信頼性が低下する。
また、比較例2では、送品時に記録ヘッドの流路の上流下流のシールを行っていないため、非水系インクが乾燥して、非水系インクに含まれる界面活性剤が残渣となり、インクと出不良が発生し易い。
(実施例1)
実施例1では、表3に示すように、クラック検査を水系組成物S1で行った後、印字検査を非水系組成物S2で行う。このため、第1洗浄工程が不要となる。
次いで、第2洗浄工程を洗浄液W1、すなわち、水溶性の有機溶剤である洗浄液W1で行った後、流路の上流下流のシールをアルミ製袋で行った。
次いで、既存のインクジェット式記録装置に搭載されていた既存の記録ヘッドを取り外し、新たな記録ヘッドの流路を開口させて、インクジェット式記録装置に取り付け、非水系インクを供給する。このとき、新たな記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査で用いた水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S1及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することによって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるが、乾燥したとしても保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例2)
実施例2では、表3に示すように、クラック検査を水系組成物S1で行った後、第1洗浄工程を洗浄液W1で行い、その後、印字検査を非水系インクで行う。すなわち、クラック検査を水系組成物で行い、印字検査を非水系インクで行うため、クラック検査の水系組成物を洗浄する第1洗浄工程が必要になる。
ただし、印字検査を非水系インクで行ったため、第2洗浄工程を行うことなく、記録ヘッドの流路の上流下流のシールを行う。本実施例では、流路の上流下流のシールをアルミ製袋で行った。
次いで、既存のインクジェット式記録装置に搭載されていた既存の記録ヘッドを取り外し、新たな記録ヘッドの流路を開口させて、インクジェット式記録装置に取り付け、非水系インクを供給する。このとき、新たな記録ヘッドは、印字検査において非水系インクが充填されていたものであるため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第1洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、クラック検査における水系組成物S1と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S1は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、流路の上流下流のシール前の工程である印字工程で用いた水系インクは、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、クラック検査で用いた水系組成物S1には、保湿剤及び界面活性剤を含まないため、乾燥することのよって残渣が発生し難く、インクと出不良が発生し難い(水系組成物の残渣なし)。
また、印字工程で用いた水系インクは、乾燥し易く、界面活性剤を含むものであるが、送品時に記録ヘッドの流路をアルミ製袋でシールすることで、界面活性剤が残渣となるのを抑制することができる(送品時の残渣なし)。
(実施例3)
実施例3では、表3に示すように、クラック検査を水系組成物S1で行った後、印字検査を非水系組成物S2で行う。このため、第1洗浄工程が不要となる。
次いで、第2洗浄工程を洗浄液W3、すなわち、水溶性の有機溶剤である洗浄液W3で行った後、流路の上流下流のシールをアルミ製袋で行った。
次いで、既存のインクジェット式記録装置に搭載されていた既存の記録ヘッドを取り外し、新たな記録ヘッドの流路を開口させて、インクジェット式記録装置に取り付け、非水系インクを供給する。このとき、新たな記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W3で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S1及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W3は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れた近いSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し易く、針状異物が発生し易い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することのよって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W3は、乾燥し易いものであるが、送品時に記録ヘッドの流路をアルミ製袋でシールすることで乾燥を低減できる。また、洗浄液W3が乾燥したとしても、保湿剤、界面活性剤を含まないので、残渣が生じるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例4)
実施例4では、表3に示すように、クラック検査を水系組成物S1で行った後、印字検査を非水系組成物S2で行う。このため、第1洗浄工程が不要となる。
次いで、第2洗浄工程を洗浄液W2、すなわち、水溶性の有機溶剤である洗浄液W2で行った後、流路の上流下流のシールをアルミ製袋で行った。
次いで、既存のインクジェット式記録装置に搭載されていた既存の記録ヘッドを取り外し、新たな記録ヘッドの流路を開口させて、インクジェット式記録装置に取り付け、非水系インクを供給する。このとき、新たな記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W2で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S1及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W2は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することによって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W2は、乾燥し難いものであるが、乾燥したとしても保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例5)
実施例5では、表3に示すように、第2洗浄工程の後、流路の上流下流のシールを行わなかった以外、実施例1と同様である。
本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S1及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することによって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるため、流路の上流下流のシールを行わなくても特に影響がない。また、流路の上流下流のシールを行わないことで、たとえ洗浄液W1が乾燥したとしても、洗浄液W1は保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例6)
実施例6では、表4に示すように、印字検査を水系顔料インクである水系組成物S3で行った以外は、実施例1と同様である。
すなわち、印字検査を顔料を含む水系組成物S3で行った後、第2洗浄工程で水溶性の有機溶剤である洗浄液W1で洗浄することで、顔料による異物が発生する。しかしながら、第4洗浄工程を行わなくても、記録ヘッドに非水系インクを通水することで、顔料による異物を排出することができる(顔料による異物なし)。つまり、非水系インクを通水する際に顔料の異物が発生すると、最も異物を排出するのが困難となりインク吐出不良が発生し易いが、非水系インクを通水する前に発生した異物は非水系インクを通水することで排出することができる。
また、本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程が不要となる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S3と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、第2洗浄工程で、水系の洗浄液で洗浄した後、洗浄液W1で洗浄したとしても、洗浄工程を合計2回で行うだけで済むので、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化することができる。
また、水系組成物S1及びS3は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することによって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるが、乾燥したとしても保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例7)
実施例7では、表4に示すように、クラック検査を水系染料インクである水系組成物S2で行った以外は、実施例1と同様である。
このように、クラック検査を水系染料インクで行ったとしても、クラック検査の後、クラック検査液が他の液体、例えば、洗浄液W1などと置換された際に、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて、異物となるのを抑制することができる。
また、本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することによって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるため、流路の上流下流のシールを行わなくても特に影響がない。また、流路の上流下流のシールを行わないことで、たとえ洗浄液W1が乾燥したとしても、洗浄液W1は保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例8)
実施例8では、表4に示すように、クラック検査を保湿剤を含む水系組成物S4で行った以外は、実施例1と同様である。
このように、クラック検査を保湿剤を含む水系組成物S4で行ったとしても、クラック検査の後、クラック検査液が他の液体、例えば、洗浄液W1などと置換された際に、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて、異物となるのを抑制することができる。
また、本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S4及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、クラック検査で用いた水系組成物S4は、界面活性剤を含み、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することのよって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるため、流路の上流下流のシールを行わなくても特に影響がない。また、流路の上流下流のシールを行わないことで、たとえ洗浄液W1が乾燥したとしても、洗浄液W1は保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例9)
実施例9では、表4に示すように、印字検査を行わなかった以外は、上述した実施例1と同様である。
このように実施例9では、印字検査を行っていないため、記録ヘッドの信頼性が低下する。
ただし、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済むため、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、クラック検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
(実施例10)
実施例10では、表4に示すように、クラック検査を行わなかった以外は、上述した実施例1と同様である。
このように実施例10では、クラック検査を行っていないため、記録ヘッドの信頼性が低下する。
ただし、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済むため、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
(実施例11)
実施例11では、表4に示すように、クラック検査を界面活性剤を含む水系組成物S5で行った以外は、実施例1と同様である。
このように、クラック検査を界面活性剤を含む水系組成物S5で行ったとしても、クラック検査の後、クラック検査液が他の液体、例えば、洗浄液W1などと置換された際に、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて、異物となるのを抑制することができる。
また、本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S5及びS2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、クラック検査で用いた水系組成物S5は、界面活性剤を含み、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することのよって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるため、流路の上流下流のシールを行わなくても特に影響がない。また、流路の上流下流のシールを行わないことで、たとえ洗浄液W1が乾燥したとしても、洗浄液W1は保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(実施例12)
実施例12では、表4に示すように、クラック検査を水系組成物S6で行った以外は、実施例1と同様である。
このように、クラック検査を水系組成物S6で行ったとしても、クラック検査の後、クラック検査液が他の液体、例えば、洗浄液W1などと置換された際に、クラック検査液に含まれる顔料の分散が壊れて、異物となるのを抑制することができる。
また、本実施例の記録ヘッドは、第2洗浄工程において洗浄液W1で洗浄されているため、第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行わなくても、顔料による異物の発生を抑えられる。したがって、洗浄工程が第2洗浄工程の合計1回だけで済み、比較例1に比べて洗浄工程を簡略化して、印字検査における水系組成物S2と非水系インクとの置換を効率的に行うことができる。
また、水系組成物S2は、アルカリ性を有するため、流路を酸化するのを抑制することができる(ヘッドアタック性)。ただし、水系組成物S6は、強いアルカリ性を有するため、流路がシリコン部材で形成されている場合にはシリコン部材の浸食による劣化、すなわち、ヘッドアタック性がある(ヘッドアタック性)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、流路部材に用いたザイロン(SP値8.5)と離れたSP値であるため、流路部材からの硫黄の成分の溶出し難く、針状異物が発生し難い(ヘッドアタック性)。
さらに、クラック検査で用いた水系組成物S5は、界面活性剤を含み、印字検査で用いた水系組成物S2は、保湿剤及び界面活性剤を含むため、乾燥することのよって残渣が発生しやすい(水系組成物の残渣なし)。
また、第2洗浄工程で用いる洗浄液W1は、乾燥し難いものであるため、流路の上流下流のシールを行わなくても特に影響がない。また、流路の上流下流のシールを行わないことで、たとえ洗浄液W1が乾燥したとしても、洗浄液W1は保湿剤及び界面活性剤を含まないため、これらが残渣となるのを抑制することができる(送品後の残渣なし)。
(比較例3)
比較例3では、表3に示すように、第2洗浄工程を洗浄液W6で行った以外は、実施例1と同様である。
このように第2洗浄工程を水分含有量が高い洗浄液W6で行うと、印字検査で使用した水系組成物S2を十分に洗浄することができずに、水系組成物S2が残留し、非水系インクと残留した水系組成物S2と混ざり、顔料による異物が発生する虞がある。また、この顔料による異物の発生を低減するためには、比較例1のように第3洗浄工程及び第4洗浄工程を行う必要があり、工程が煩雑になってしまう。
以上説明したように、実施例1〜12では、水系組成物から非水系インクに置換する際に顔料による異物の発生を抑制すると共に洗浄工程の回数を減少させて、水系組成物から非水系インクへの置換を効率的に行うことができる。
ちなみに、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)から置換後の非水系インクを吐出できるように、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)に非水系インクを充填するまでを広く「液体噴射ヘッドの製造方法」とする。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1では、1つのヘッドケース130にヘッド本体140が4個設けられた構成を例示したが、ヘッド本体140の数及び配置は上述したものに限定されるものではなく、ヘッド本体140は、1つのヘッドケース130に対して1つであっても、また2つ以上の複数であってもよい。また、このような記録ヘッド1は、2以上がインクジェット式記録装置Iに搭載されていてもよい。さらに、2以上の複数の記録ヘッド1を共通の部材に固定して一体化してインクジェット式記録装置Iに搭載してもよい。このように1つのインクジェット式記録装置Iに2以上の記録ヘッド1を設ける場合には、上述した工程によって、単体の記録ヘッド1の交換を行うことも可能である。
また、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて第2の方向Yに移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを第1の方向Xに移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、供給手段であるインクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の供給手段を装置本体4に固定して、供給手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、供給手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
また、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…インクカートリッジ(供給手段)、10…流路形成基板、12…圧力発生室、15…連通板、16…ノズル連通路、17…第1マニホールド部、18…第2マニホールド部、19…供給連通路、20…ノズルプレート、20a…液体噴射面、21…ノズル、30…保護基板、31…保持部、32…貫通孔、40…ケース部材、45…コンプライアンス基板、50…振動板、51…弾性膜、52…絶縁体膜、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、100…マニホールド、130…ヘッドケース、140…ヘッド本体、150…カバーヘッド、160…非水系組成物、300…圧電アクチュエーター
上記課題を解決する本発明の態様は、水を主な溶媒成分とする水系組成物と、ノズルから吐出する非水系インクとを、洗浄液を流路に通水することで置換する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記非水系インクが、有機溶剤としてグリコールエーテル類を含み、前記グリコールエーテル類の含有量は、当該非水系インクの全質量に対して20質量%以上であり、前記洗浄液が、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
さらに、本発明の他の態様は、グリコールエーテル類を含む有機溶剤を含む非水系インクであって、前記グリコールエーテル類の含有量が当該非水系インクの全質量に対して20質量%以上の前記非水系インクを噴射する液体噴射ヘッドであって、前記非水系インクの通水前に、流路の内面には、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下の洗浄液が存在することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。

Claims (15)

  1. 水を主な溶媒成分とする水系組成物と、ノズルから吐出する非水系インクとを、洗浄液を流路に通水することで置換する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記非水系インクが、有機溶剤としてグリコールエーテル類を含み、前記グリコールエーテル類の含有量は、当該非水系インクの全質量に対して20質量%以下であり、
    前記洗浄液が、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記有機溶剤のSP値は、9以上であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記有機溶剤は、前記液体噴射ヘッドを構成する部材のうち、硫黄を含む部材のSP値との差が1以上で、且つ前記非水系インクのSP値との差が1.5以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記水系組成物は、保湿剤の含有量が20質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記水系組成物は、界面活性剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記洗浄液は、前記有機溶剤としてグリコールエーテル類を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記洗浄液は、下記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
    HO−(R−O)−R ・・・(1)
    (上記一般式(1)において、Rは、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Rは、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、nは、1以上9以下の整数を表す。)
  8. 前記有機溶剤は、標準沸点が170℃以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記水系組成物は、染料を含み、顔料を含まないものであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 前記水系組成物は、導電性を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 前記水系組成物は、アルカリ性であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 前記水系組成物のpHは、12未満であることを特徴とする請求項11記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  13. 前記洗浄液が通水された流路の上流下流をシールする工程を有することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  14. 液体噴射装置に前記液体噴射ヘッドを接続する工程と、
    前記液体噴射装置の前記非水系インクが保持された供給手段と前記流路とを接続する工程と、を有することを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  15. グリコールエーテル類を含む有機溶剤を含む非水系インクであって、前記グリコールエーテル類の含有量が当該非水系インクの全質量に対して20質量%以下の前記非水系インクを噴射する液体噴射ヘッドであって、
    前記非水系インクの通水前に、流路の内面には、水溶性の有機溶剤であって、水の含有量が10質量%以下の洗浄液が存在することを特徴とする液体噴射ヘッド。
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