JP2012084435A - シールド管及びワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱い性に優れて取り付けに係る作業性も良好で、異なる車種にも共通して取り付け可能とする。
【解決手段】ワイヤハーネス1において、電線3,3が挿通されるシールド管2は、蛇腹構造の合成樹脂管に軸方向全長に亘ってスリットを形成して一箇所を分断すると共に、当該合成樹脂管の表面全面に金属層7を、分断した一方の端部5の裏面に第2の金属層8をそれぞれ形成し、端部5,6同士を所定の重ね代Hで全長に亘って重ね合わせて形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ワイヤハーネス1において、電線3,3が挿通されるシールド管2は、蛇腹構造の合成樹脂管に軸方向全長に亘ってスリットを形成して一箇所を分断すると共に、当該合成樹脂管の表面全面に金属層7を、分断した一方の端部5の裏面に第2の金属層8をそれぞれ形成し、端部5,6同士を所定の重ね代Hで全長に亘って重ね合わせて形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車用のワイヤハーネスにシールド性能を付与するために用いられるシールド管と、そのシールド管を用いたワイヤハーネスとに関する。
例えば電気自動車のインバータ装置にモータ駆動電流を供給する導電線には、高周波電流による電磁ノイズが発生するため、この電磁ノイズを遮蔽するためにワイヤハーネスにシールド管が用いられている。例えば特許文献1には、ワイヤハーネスの中間部を金属製のパイプからなるメインシールド部で被覆し、インバータ装置と接続される端部には、筒状網組部材と接続用パイプとを含む変形可能なサブシールド部で被覆するシールド管の構成が開示されている。また、特許文献2には、ワイヤハーネスを被覆する金属製の筒状部材の端部に螺旋状の接続ネジ部を形成し、これをコネクタハウジングの導入部に形成された雌ネジ部に螺合させて接続するシールド管の構成が開示されている。なお、筒状部材の間には、屈曲用蛇腹部を断続的に形成して、ワイヤハーネスの経路に沿って任意に屈曲可能としている。
上記従来のシールド管は金属製であるため、重量が大きくて取り扱い性が悪く、車両の床下等に沿わせて取り付ける際には、ブラケット等の取付部材を介して取り付ける必要があって配置スペースも大きくなっていた。また、定位置に高精度の取り付けが要求されることで作業に手間も掛かっていた。
さらに、蛇腹部を設けたりしても柔軟性には限界があるため、一定の車種に適用が制限され、汎用性が低くなっていた。
さらに、蛇腹部を設けたりしても柔軟性には限界があるため、一定の車種に適用が制限され、汎用性が低くなっていた。
そこで、本発明は、シールド性能の確保は勿論、取り扱い性に優れて取り付けに係る作業性も良好で、而も取り付け形状が異なる車種にも共通して取り付けることができ、汎用性にも優れたシールド管及びワイヤハーネスを提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シールド管であって、蛇腹構造の合成樹脂管に、軸方向全長に亘ってスリットを形成して一箇所を分断すると共に、合成樹脂管の表面及び/又は裏面の全面に金属層を形成し、分断した端部同士を所定の重ね代で全長に亘って重ね合わせてなることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、重ね代において端部の金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、分断した一方の端部における金属層が形成されない面に、全長に亘って所定幅の第2の金属層を形成して、第2の金属層を他方の端部に重ねることで互いの金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成において、分断した一方の端部を金属層が形成されない面側へ折り返して他方の端部に重ねることで、互いの金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、重ね代を2mm以上の幅で設定したことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、ワイヤハーネスであって、請求項1乃至5の何れかに記載のシールド管に、1又は複数の電線を挿通させてなることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、重ね代において端部の金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、分断した一方の端部における金属層が形成されない面に、全長に亘って所定幅の第2の金属層を形成して、第2の金属層を他方の端部に重ねることで互いの金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成において、分断した一方の端部を金属層が形成されない面側へ折り返して他方の端部に重ねることで、互いの金属層同士を接触させることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、重ね代を2mm以上の幅で設定したことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、ワイヤハーネスであって、請求項1乃至5の何れかに記載のシールド管に、1又は複数の電線を挿通させてなることを特徴とするものである。
請求項1及び6に記載の発明によれば、好適なシールド性能を維持しつつ合成樹脂管の柔軟性を保持でき、取り扱い性に優れて取り付けに係る作業性も良好となる。而も取り付け形状が異なる車種にも共通して取り付けることができるため、汎用性にも優れたものとなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、金属層同士の接触により、スリットからの電磁ノイズの漏洩を防止して好適なシールド性能を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、第2の金属層の形成により、両端部の重ね合わせと同時に金属層同士が接触する合理的な構成となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、端部の折り返しにより、金属層の形成範囲を表裏の何れか一面のみにしても金属層同士の接触が図られ、コストや製造工程の低減に繋がる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、重ね代の設定により、ワイヤハーネスに必要なシールド性能を得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、金属層同士の接触により、スリットからの電磁ノイズの漏洩を防止して好適なシールド性能を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、第2の金属層の形成により、両端部の重ね合わせと同時に金属層同士が接触する合理的な構成となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、端部の折り返しにより、金属層の形成範囲を表裏の何れか一面のみにしても金属層同士の接触が図られ、コストや製造工程の低減に繋がる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、重ね代の設定により、ワイヤハーネスに必要なシールド性能を得ることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2にワイヤハーネスの一例を示す。このワイヤハーネス1は、筒状のシールド管2に2本の電線3,3を挿通させてなる。ここで使用されるシールド管2は、一般にコルゲートチューブと称される蛇腹構造の合成樹脂管で、軸方向へ全長に亘ってスリットが形成されることで、シールド管2の一箇所が全長に亘って分断されている。このシールド管2におけるスリットと点対称の部位を山折り部4として山折りすることで、分断された周方向の一方の端部5が他方の端部6に所定の重ね代Hで外側から重ね合わされる。
図1,2にワイヤハーネスの一例を示す。このワイヤハーネス1は、筒状のシールド管2に2本の電線3,3を挿通させてなる。ここで使用されるシールド管2は、一般にコルゲートチューブと称される蛇腹構造の合成樹脂管で、軸方向へ全長に亘ってスリットが形成されることで、シールド管2の一箇所が全長に亘って分断されている。このシールド管2におけるスリットと点対称の部位を山折り部4として山折りすることで、分断された周方向の一方の端部5が他方の端部6に所定の重ね代Hで外側から重ね合わされる。
また、シールド管2の表面全体2は、金属層7が形成されると共に、端部5の裏面で重ね代と略同じ幅の帯状部分(図2の点描部分)にも、第2の金属層8が形成されている。この金属層7,8には銅やアルミニウム等が用いられるが、単独の金属に限らず、例えば銅+スズ、銅+ニッケルのように複数層で形成することも考えられる。
金属層7,8の形成手段としては、メッキがよく用いられるが、これ以外に蒸着や塗布、或いは金属箔を加圧接着させることでも形成可能である。
また、金属層7,8の厚みは、ワイヤハーネスに要求されるシールド性能を得るために10μm以上とするのが望ましいが、十分なシールド性能とコストとの兼ね合いからすると50μm〜80μmの範囲が望ましい。
金属層7,8の形成手段としては、メッキがよく用いられるが、これ以外に蒸着や塗布、或いは金属箔を加圧接着させることでも形成可能である。
また、金属層7,8の厚みは、ワイヤハーネスに要求されるシールド性能を得るために10μm以上とするのが望ましいが、十分なシールド性能とコストとの兼ね合いからすると50μm〜80μmの範囲が望ましい。
以上の如く構成されたワイヤハーネス1においては、金属層7,8を形成したシールド管2のスリットから電線3,3を挿通させた後、山折り部4で折曲して端部6に端部5が重ね代Hで外側から重なるように組み付ける。すると、端部5の裏面に形成した第2の金属層8が端部6の表面の金属層7と接触し、全体がシールドされた円筒状のシールド管2に電線3,3が挿通されたワイヤハーネス1が得られる。
ここで、重ね代Hは、シールド性能を得るには少なくとも2mm以上設けるのが望ましいが、特に10kHz〜1GHzまでの周波数帯域に亘って安定したシールド性能を得るには、3mmを超える重ね代が望ましい。重ね代の上限はコスト面を考慮すると10mm程度が考えられる。
ここで、重ね代Hは、シールド性能を得るには少なくとも2mm以上設けるのが望ましいが、特に10kHz〜1GHzまでの周波数帯域に亘って安定したシールド性能を得るには、3mmを超える重ね代が望ましい。重ね代の上限はコスト面を考慮すると10mm程度が考えられる。
得られたワイヤハーネス1は、シールド管2の柔軟性を利用して任意の部位で屈曲させて車両の床下等に沿わせて精度よく配索することができる。シールド管2は、重ね代Hで両端部5,6の蛇腹部分が互いに嵌合することで、軸方向への移動が規制されると共に、合成樹脂の剛性によって重ね代Hでの接触状態が維持される。よって、ワイヤハーネス1を屈曲させても両端部5,6の一体性は維持でき、シールド性能も保たれる。
このように、上記形態のワイヤハーネス1によれば、蛇腹構造の合成樹脂管に軸方向全長に亘ってスリットを形成して一箇所を分断すると共に、当該合成樹脂管の表面全面に金属層7を形成し、分断した端部5,6同士を所定の重ね代Hで全長に亘って重ね合わせてなるシールド管2を採用したことで、好適なシールド性能を維持しつつ合成樹脂管の柔軟性を保持でき、取り扱い性に優れて取り付けに係る作業性も良好となる。而も取り付け形状が異なる車種にも共通して取り付けることができるため、汎用性にも優れたものとなる。
また、ここでは、重ね代において端部5,6の金属層7,8同士を接触させているので、スリットからの電磁ノイズの漏洩を防止して好適なシールド性能を確保することができる。特に、一方の端部5の裏面に第2の金属層8を形成して、第2の金属層8を他方の端部6に重ねることで互いの金属層7,8同士を接触させているので、両端部5,6の重ね合わせと同時に金属層7,8同士が接触する合理的な構成となる。
さらに、重ね代を2mm以上の幅で設定したことで、ワイヤハーネスに必要なシールド性能を得ることができる。
さらに、重ね代を2mm以上の幅で設定したことで、ワイヤハーネスに必要なシールド性能を得ることができる。
なお、金属層は、表面全体と一方の端部の裏面とに形成する場合に限らず、裏面全体と一方の端部の表面とに形成したり、表裏の両面全体に形成したりしてもよい。但し、第2の金属層は、シールド性能の確保とコストとを考慮すれば、20mm以内とするのが望ましい。
また、表面に金属層を形成する場合、金属層の外側に合成樹脂等によるコーティングを施すようにすれば、金属層が露出することがなく、他の電線等が接触しても金属層による短絡等が防止される。
また、表面に金属層を形成する場合、金属層の外側に合成樹脂等によるコーティングを施すようにすれば、金属層が露出することがなく、他の電線等が接触しても金属層による短絡等が防止される。
さらに、第2の金属層を省略して、例えば図3に示すワイヤハーネス10のように、表面全体に金属層7を形成したシールド管2の一方の端部5を軸方向の全長に亘って所定幅(ここでは20mm)で内側に折り返すことで、表面の金属層7を裏面側に位置させて、両端部5,6の重ね合わせによって互いの金属層7同士を接触させる(金属層7を全周に亘って連続させる)ようにしてもよい。
逆に、裏面全体に金属層を形成したシールド管の一方の端部を外側に折り返すことで裏面の金属層を表側に位置させて、金属層同士を接触させることも考えられる。
逆に、裏面全体に金属層を形成したシールド管の一方の端部を外側に折り返すことで裏面の金属層を表側に位置させて、金属層同士を接触させることも考えられる。
このように、分断した一方の端部を金属層が形成されない面側へ折り返して他方の端部に重ねることで、互いの金属層同士を接触させるようにすれば、金属層の形成範囲を表裏の何れか一面のみにしても金属層同士の接触が図られ、コストや製造工程の低減に繋がる。
但し、両端部の金属層は互いに接触するものに限らず、所定のシールド性能が得られれば、表面若しくは裏面のみに金属層が形成された合成樹脂管の端部同士を重ね合わせてシールド管を形成することも可能である。
但し、両端部の金属層は互いに接触するものに限らず、所定のシールド性能が得られれば、表面若しくは裏面のみに金属層が形成された合成樹脂管の端部同士を重ね合わせてシールド管を形成することも可能である。
一方、シールド管は円形断面に限らず、長円形や楕円形の断面であっても差し支えない。但し、シールド管が長円や楕円の扁平断面の場合、剛性を確保するためにスリットによる分断位置は短軸との平行面(厚みが薄い側)に形成するのが望ましい。
その他、配索形態等によっては、電線を挿通させて端部同士を重ね合わせたシールド管を結束バンドやテープ等の結束手段によって結束することで、端部同士の重ね合わせを維持させることもできる。
その他、配索形態等によっては、電線を挿通させて端部同士を重ね合わせたシールド管を結束バンドやテープ等の結束手段によって結束することで、端部同士の重ね合わせを維持させることもできる。
一箇所にスリットを形成したコルゲートチューブ(COT)の表面全体に、30μm厚の銅メッキを施して金属層を形成する一方、分断された一方の端部の裏面にも20mm幅で30μm厚の銅メッキを施して第2の金属層を形成してシールド管を得た。このシールド管に15sqの電線を2本挿通させてワイヤハーネスを作成し、両端部の重ね代を2mm、5mm、8mm、10mmに変更してそれぞれのシールド性能を測定した。測定結果を図4に示す。
この測定結果によれば、重ね代が2mmであっても10kHz〜1GHzの全周波数領域に亘って30dB以上のシールド性能が得られ、重ね代が5mmでは全周波数領域に亘って40dBを超えるシールド性能が得られることがわかった。特に重ね代が8mm〜10mmでは、全周波数領域において50dB以上と十分なシールド性能が確保されている。
1,10・・ワイヤハーネス、2・・シールド管、3・・電線、4・・山折り部、5,6・・端部、7・・金属層、8・・第2の金属層、H・・重ね代。
Claims (6)
- 蛇腹構造の合成樹脂管に、軸方向全長に亘ってスリットを形成して一箇所を分断すると共に、前記合成樹脂管の表面及び/又は裏面の全面に金属層を形成し、前記分断した端部同士を所定の重ね代で全長に亘って重ね合わせてなるシールド管。
- 前記重ね代において前記端部の金属層同士を接触させることを特徴とする請求項1に記載のシールド管。
- 前記分断した一方の端部における前記金属層が形成されない面に、全長に亘って所定幅の第2の金属層を形成して、前記第2の金属層を他方の端部に重ねることで互いの金属層同士を接触させることを特徴とする請求項2に記載のシールド管。
- 前記分断した一方の端部を前記金属層が形成されない面側へ折り返して他方の端部に重ねることで、互いの金属層同士を接触させることを特徴とする請求項2に記載のシールド管。
- 前記重ね代を2mm以上の幅で設定したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のシールド管。
- 請求項1乃至5の何れかに記載のシールド管に、1又は複数の電線を挿通させてなるワイヤハーネス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010230681A JP2012084435A (ja) | 2010-10-13 | 2010-10-13 | シールド管及びワイヤハーネス |
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Family
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103621195A (zh) * | 2012-06-21 | 2014-03-05 | 古河电气工业株式会社 | 电磁屏蔽管、屏蔽电缆的构造、电磁屏蔽管的弯曲加工方法、电磁屏蔽管的制造方法以及屏蔽电缆的末端加工方法 |
-
2010
- 2010-10-13 JP JP2010230681A patent/JP2012084435A/ja active Pending
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CN103621195A (zh) * | 2012-06-21 | 2014-03-05 | 古河电气工业株式会社 | 电磁屏蔽管、屏蔽电缆的构造、电磁屏蔽管的弯曲加工方法、电磁屏蔽管的制造方法以及屏蔽电缆的末端加工方法 |
CN103621195B (zh) * | 2012-06-21 | 2018-07-06 | 古河电气工业株式会社 | 电磁屏蔽管、屏蔽电缆的构造、电磁屏蔽管的弯曲加工方法、电磁屏蔽管的制造方法以及屏蔽电缆的末端加工方法 |
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