JP2012084430A - 酸化物超電導導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化物超電導導体の製造方法は、YAGレーザーの第3高調波(波長355nm)を、ターゲット27上でのエネルギー密度が1〜3J/cm2となるように該ターゲットの表面に照射して、このターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、この構成粒子を基材25上に堆積させて酸化物超電導層を形成することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
RE−123系酸化物超電導体を導電体として使用するためには、テープ状基材などの長尺基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を形成する必要がある。これは、この種の希土類酸化物系超電導体の結晶が、その結晶軸のa軸方向とb軸方向には電気を流しやすいが、c軸方向には電気を流し難いという電気的異方性を有しており、長尺基材上に酸化物超電導層を形成する場合、電気を流す方向にa軸あるいはb軸を配向させ、c軸をその他の方向に配向させる必要があるためである。
しかしながら、エキシマレーザーは、高価な希ガスや有毒なハロゲンガスを使用するため、コスト面及び安全面において不利である。そこで、希ガスやハロゲンガスを使用しない他のレーザー光を用いて、酸化物超電導層を成膜する方法の開発が望まれる。
エキシマレーザー以外の光源として、YAGレーザーの酸化物超電導層成膜への適用が検討されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、前述の如く、酸化物超電導体を導電体として使用するためには、金属テープ等の長尺基材上に中間層を介して結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を形成する必要があるが、単結晶基板上にYAGレーザーを用いて酸化物超電導層を成膜することができたという非特許文献1に記載の技術を、金属テープ等の長尺基材上に成膜して超電導導体を製造する技術に適用できるか否かは、各々の製造条件の相違点が多いので、研究を重ねてみなければ明らかではない。
本発明の酸化物超電導導体の製造方法において、前記酸化物超電導層を形成する雰囲気の酸素分圧を90〜120Paとすることができる。
本発明の酸化物超電導導体の製造方法において、前記基材の移動方向を転向させる転向部材を少なくとも一対、対向配置するとともに、これらの転向部材間に前記基材が複数の隣接するレーンを構成するように前記基材を巻回し、該転向部材間にて複数のレーンを構成した状態の前記基材の表面に対向するように前記ターゲット配し、前記基材を前記転向部材間を周回させることにより前記ターゲットの構成粒子の堆積領域を複数回通過させて、該堆積領域を通過毎に前記基材上に前記構成粒子を堆積させて前記酸化物超電導層を形成することもできる。
本発明の酸化物超電導導体の製造方法において、前記基材がイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)により形成された配向層を含む中間層を備え、この中間層上に前記酸化物超電導層を形成することもできる。
図1は本発明の酸化物超電導導体の製造方法で使用されるレーザー蒸着装置の一例を示す構成説明図であり、図2は図1に示すレーザー蒸着装置の要部を示す概略斜視図である。なお、以下に示す本実施形態では、図3に示す構成の酸化物超電導導体10を製造する場合を例示して説明する。
図3に示す酸化物超電導導体10は、長尺のテープ基材1上に中間層2が積層されてなる長尺の基材25の中間層2上に、酸化物超電導層3が積層されて構成されている。
酸化物超電導導体10は、より詳細には図4に示す如く、テープ基材1の上面に拡散防止層11とベッド層12と配向層13とキャップ層14とからなる中間層2が積層され、その上に酸化物超電導層3を積層して構成されているが、図3では図示の簡略化のために中間層2を1層のように描いている。なお、拡散防止層11とベッド層12は必須ではなく、場合によっては略しても良い。
テープ基材1の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで強度が一層向上し、上限値以下とすることでオーバーオールの臨界電流密度を一層向上させることができる。
この配向層13をIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition、イオンビームアシスト蒸着)法により良好な結晶配向性(例えば結晶配向度15゜以下)で成膜するならば、その上に形成するキャップ層14の結晶配向性を良好な値(例えば結晶配向度5゜前後)とすることができ、これによりキャップ層14の上に成膜する酸化物超電導層3の結晶配向性を良好なものとして優れた超電導特性を発揮できる酸化物超電導導体10を得ることができる。
例えば、Gd2Zr2O7、MgO又はZrO2−Y2O3(YSZ)からなる配向層13は、IBAD法における結晶配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
図5に示す装置は、拡散防止層11とベッド層12を備えたテープ基材1をその長手方向に走行するための走行系(図示略)と、その表面がテープ基材1の表面に対して斜めに向いて対峙されたターゲット41と、ターゲット41にイオンを照射するスパッタビーム照射装置42と、テープ基材1の表面に対して斜め方向からイオン(希ガスイオンと酸素イオンの混合イオン)を照射するイオン源43とを有しており、これらの各装置は真空容器(図示略)内に配置されている。
このように、ベッド層12の表面に、ターゲット41の構成粒子を堆積させつつ、所定の入射角度でイオン照射を行うことにより、形成されるスパッタ膜の特定の結晶軸がイオンの入射方向に固定され、結晶のc軸が金属基板の表面に対して垂直方向に配向するとともに、結晶のa軸及びb軸が面内において一定方向に配向する。このため、IBAD法によってベッド層12上に形成された配向層13は、高い面内配向度、例えばΔφ=12〜16゜程度を得ることができる。
例えばCeO2によって構成されるキャップ層14は、上述のように自己配向していることにより、配向層13よりも更に高い面内配向度、例えばΔΦ=4〜6゜程度を得ることができる。
キャップ層14であるCeO2層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、50〜5000nmの範囲、より好ましくは100〜5000nmの範囲とすることができる。
金属安定化層は、酸化物超電導層3の一部領域が常電導状態に遷移しようとした場合に、酸化物超電導層3からの電流を転流させることで、酸化物超電導層3を安定化させて焼損を防止するものであり、導電性が良好な金属からなるものが好ましい。金属安定化層の材質として具体的には、銀、銀合金、銅又は銅合金が例示できる。金属安定化層の厚さは、1〜30μmであることが好ましい。下限値以上とすることで、酸化物超電導層3を安定化する一層高い効果が得られ、上限値以下とすることで、超電導線材を薄型化できる。金属安定化層は、公知の方法で積層できるが、なかでもスパッタ法が好ましい。また、金属安定化層を形成する最終工程で、酸素熱処理を行うことが好ましい。
絶縁層は、従来公知の絶縁性材質からなるものであり、具体的には、樹脂や酸化物などから形成されている。絶縁層による被覆の厚さは特に限定されず、被覆対象部位等に応じて、適宜調節すれば良い。絶縁層は、その材質に応じて公知の方法で形成すれば良い。
基材25、基材25の移動方向を転向させる転向部材群23、24、送出リール21、巻取リール22、ターゲット27および基材ホルダ26は、処理容器31内に収容され、処理容器31内の圧力が所定の圧力に減圧されている間は、基材25の長手方向の全体が処理容器31内の減圧下に置かれるようになっている。
加熱手段34としては、熱を放散して基材ホルダ26および堆積領域35内の基材25を加熱することができるものであれば特に限定されず、通電式の加熱ヒーター等が挙げられる。
YAGレーザー光の基本波(1064nm)は非線形結晶を用いて、第2高調波(波長532nm)、第3高調波(波長355nm)、第4高調波(波長266nm)、第5高調波(波長213nm)へと波長を変えることができる。本実施形態においては、ターゲット27の照射するレーザー光Lとして、YAGレーザー光の第3高調波を用いる構成とした。
これに対し、YAGレーザー光の第3高調波は、第4高調波および第5高調波と比較して、波長変換に使用する非線形結晶の数が少ないために出力が大きくなり、エキシマレーザーとほぼ同等のパルスエネルギーとなる。そのため、YAGレーザー光の第3高調波を用いて成膜することにより、ターゲット27からの構成粒子(蒸着粒子)の基材25への堆積速度(成膜速度)を良好なものとすることができるので、良好な生産性で酸化物超電導層3を成膜することができる。
また、レーザー光Lは、その照射位置を移動させる手段(図示略)により、レーザー光Lの照射位置をターゲット27の表面上で移動可能とされていることが好ましい。このようにレーザー光Lの照射位置をターゲット27の表面上で移動可能とすることにより、ターゲット27が局所的に削られて、ターゲット27の寿命が短くなることを防止することがきできる。また、ターゲット27の表面上でレーザー光Lの照射位置を移動可能とすることにより、ターゲット27からのプルーム29を複数発生させて、ターゲット27の構成粒子の堆積領域35を広くすることができる。
これにより、一対の転向部材群23、24に巻回された長尺の基材25が、これらの転向部材群23、24を周回し、ターゲット27に対向する位置に複数列並んで移動するようになる。その後、真空排気装置32を駆動し、少なくとも転向部材群23、24間を走行する基材25を覆うように設置された処理容器31内を減圧する。
基材ホルダ26の温度を前記上限値以下とすることにより、基材ホルダ26に保持された基材25の温度が高くなり過ぎて酸化物超電導層が熱により劣化することを抑止し、超電導特性が低下することを防ぐことができる。また、基材ホルダ26の温度を前記下限値以上とすることにより、基材ホルダ26に保持された基材25の温度が低くなり過ぎて、基材25の厚さ方向に所望のc軸配向ではなく、a軸配向した結晶配向性の酸化物超電導層が成膜され易くなり、超電導特性が低下することを防ぐことができる。成膜時の基材ホルダ26の温度を900〜920℃に設定することにより、成膜される酸化物超電導層3の結晶配向性がより良好となり、超電導特性をより向上させることができるため、特に好ましい。
ターゲット27に照射するYAGレーザー光Lのエネルギー密度を3J/cm2以下とすることにより、エネルギー密度が高過ぎてターゲット27からの構成粒子の噴流であるプルーム29が水平方向に広がり過ぎてしまい、成膜される酸化物超電導層の組成ずれが起こることを防ぐことができる。また、ターゲット27に照射するYAGレーザー光Lのエネルギー密度を1J/cm2以上とすることにより、エネルギー密度が低すぎてターゲット27の構成粒子を上手く叩き出し若しくは蒸発させることができずに、成膜される酸化物超電導層の結晶配向性が低下することを防ぐことができる。
さらに、YAGレーザーはエキシマレーザーと比較してビームの集光性が良いため、YAGレーザーを用いることにより、エキシマレーザーを用いた場合よりもエネルギー密度の均一性を上げることができるという特長がある。これにより、所望の超電導特性を有する酸化物超電導層3及び酸化物超電導導体10を作製することができる。
酸化物超電導層3の成膜後、得られた酸化物超電導導体10は巻取リール21に巻き取られる。
以上の工程により、基材25(テープ基材1上の中間層2の上面)に、酸化物超電導層3を成膜し、酸化物超電導導体10を製造することができる。
本発明の酸化物超電導導体の製造方法は、設備やランニングコストが高価なエキシマレーザーを用いずに、YAGレーザー光の第3高調波を使用することにより低コストで酸化物超電導導体を製造することができる。また、ターゲット上のエネルギー密度が1〜3J/cm2となるように、YAGレーザー光をターゲットに照射して酸化物超電導層を成膜することにより、エネルギー密度が高過ぎてターゲットからの構成粒子の噴流が水平方向に広がり過ぎてしまい、成膜される酸化物超電導層の組成ずれが起こることを防ぐことができる。また、エネルギー密度が低すぎてターゲットの構成粒子を上手く叩き出し若しくは蒸発させることができずに、成膜される酸化物超電導層の結晶配向性が低下することを防ぐことができる。従って、本発明によれば、良好な結晶配向性の酸化物超電導層をエキシマレーザーを用いた場合よりも低コストで成膜することができ、良好な超電導特性の酸化物超電導導体を低コストで製造することができる。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第3高調波を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度2J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃、基材の搬送速度8m/h。
得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度を測定したところ、2.4MA/cm2であった。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20において、YAGレーザー光の第3高調波の代わりにエキシマレーザー(KrFレーザー、波長248nm)を用い、パルスレーザー蒸着法(PLD法)により基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
エキシマレーザー光の周波数200Hz、エキシマレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度2J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧70Pa、基材ホルダ温度900℃、基材の搬送速度8m/h。
得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度を測定したところ、2.5MA/cm2であった。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第3高調波を表1記載のエネルギー密度に設定してターゲットに照射することにより、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。なお、その他の成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃、基材の搬送速度8m/h。
得られた試料No.1〜5の酸化物超電導導体について、臨界電流密度を測定した。結果を表1に併記した。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、表2記載の酸素分圧に設定して基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより、酸化物超電導導体を作製した。なお、その他の成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度2J/cm2、基材ホルダ温度900℃、基材の搬送速度8m/h。
得られた試料No.6〜11の酸化物超電導導体について、臨界電流密度を測定した。結果を表2に併記した。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、表3記載の基材ホルダ温度に設定して基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより、酸化物超電導導体を作製した。なお、その他の成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度2J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材の搬送速度8m/h。
得られた試料No.12〜18の酸化物超電導導体について、臨界電流密度を測定した。結果を表3に併記した。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度を測定したところ、1.7MA/cm2であった。
YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)の代わりにYAGレーザー光の第2高調波(波長532nm)を使用したこと以外は、実施例5と同様の成膜条件で、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。
得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度を測定したところ、0.21MA/cm2であった。
YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)の代わりにYAGレーザー光の基本波(波長1064nm)を使用したこと以外は、実施例5と同様の成膜条件で、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。
得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度を測定したところ、0MA/cm2であり、比較例2の酸化物超電導導体は超電導特性を示さなかった。
長さ1cmに切断した基材を、CeO2(キャップ層)側がターゲットと対向するように基材ホルダにより保持して配置し、YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
得られた酸化物超電導導体の酸化物超電導層の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した(図6(a))。
YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)の代わりにYAGレーザー光の第2高調波(波長532nm)を使用したこと以外は、実施例6と同様の成膜条件で、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。
得られた酸化物超電導導体の酸化物超電導層の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した(図6(b))。
YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)の代わりにYAGレーザー光の基本波(波長1064nm)を使用したこと以外は、実施例6と同様の成膜条件で、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。
得られた酸化物超電導導体の酸化物超電導層の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した(図6(c))。
長さ1cmに切断した基材を、CeO2(キャップ層)側がターゲットと対向するように基材ホルダにより保持して配置し、エキシマレーザー(KrFレーザー)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
エキシマレーザー光の周波数10Hz、エキシマレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度940℃。
得られた酸化物超電導導体の酸化物超電導層の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した(図7)。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第4高調波(波長266nm)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、YAGレーザー光の第5高調波(波長213nm)を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
図1および図2に示すレーザー蒸着装置20を用い、表5に示すYAGレーザー光を使用したパルスレーザー蒸着法(PLD法)により、基材上に酸化物超電導層としてGd1Ba2Cu3O7−x(膜厚1.0μm)を成膜することにより酸化物超電導導体を作製した。成膜条件は以下の通りである。
YAGレーザー光の周波数10Hz、YAGレーザー光のターゲット上でのエネルギー密度1J/cm2、成膜雰囲気の酸素分圧100Pa、基材ホルダ温度900℃。
実施例8および比較例7〜10で得られた酸化物超電導導体の臨界電流Ic(A)を表5に示す。また、実施例8および比較例7〜10について、1時間当たりの酸化物超電導導体の製造長さL(m)と臨界電流Ic(A)との積Ic×L(A・m)を算出した値を表5に併記した。このIc×L(A・m)の数値が大きいほど、良好な生産性と、製造される酸化物超電導導体の特性とを兼ね備えた製造方法であると言える。
Claims (4)
- YAGレーザー光の第3高調波(波長355nm)を、ターゲット上でのエネルギー密度が1〜3J/cm2となるように該ターゲットの表面に照射して、このターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、この構成粒子を基材上に堆積させて酸化物超電導層を形成することを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
- 前記酸化物超電導層を形成する雰囲気の酸素分圧を90〜120Paとすることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導導体の製造方法。
- 前記基材の移動方向を転向させる転向部材を少なくとも一対、対向配置するとともに、
これらの転向部材間に前記基材が複数の隣接するレーンを構成するように前記基材を巻回し、
該転向部材間にて複数のレーンを構成した状態の前記基材の表面に対向するように前記ターゲット配し、
前記基材を前記転向部材間を周回させることにより前記ターゲットの構成粒子の堆積領域を複数回通過させて、該堆積領域を通過毎に前記基材上に前記構成粒子を堆積させて前記酸化物超電導層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導導体の製造方法。 - 前記基材がイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)により形成された配向層を含む中間層を備え、この中間層上に前記酸化物超電導層を形成すること特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物超電導導体の製造方法。
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2010
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