JP2012083538A - 異方拡散スクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数の映像投影装置を用いた立体映像システムにおいて、液晶プロジェクタ等が形成する規則的に配置された画素からなる映像をスクリーンに投影した際にモアレ干渉縞が発生することなく、かつクロストークが少ない立体映像投影用スクリーンを提供すること。
【解決手段】 少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有する立体映像投影用スクリーン2を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】 少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有する立体映像投影用スクリーン2を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明はプロジェクタ等の映像投影装置による投影映像の鑑賞に用いられるスクリーンに関し、特に、複数の映像投影装置を用いることで奥行き感のある立体映像を表示させるためのスクリーンに関する。
現在、立体映像を鑑賞するための手段として、偏光メガネを用いる方法や電子シャッターメガネを用いる方法、並びにカラーフィルターメガネを用いる方法等が利用されている。しかしながら、立体映像観賞用メガネを介した立体映像の鑑賞では、輝度が低下する、鑑賞者の数だけ立体映像観賞用メガネを揃える必要がある、特に視力矯正用メガネを着用する鑑賞者に対して立体映像観賞用メガネの装着に伴う不快感を与える、といった欠点がある。そこで、立体映像観賞用メガネの装着が不要な裸眼立体視のための技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、水平方向に並べた複数のプロジェクタのような投射装置によってスクリーンのような光線制御子へ映像を投射する立体映像表示装置が開示されている。特許文献1に開示された立体映像表示装置は、視点位置ごとに異なる映像を表示させることで、裸眼による立体映像の鑑賞を可能にするものである。
その一方で、プロジェクタ等の映像投影装置による投影映像の鑑賞に用いられるスクリーンとしては、拡散層と、反射層と、を有する各種のスクリーンが提案されている。例えば、特許文献2には、光成形表面微細形状と、反射層と、を有する表示スクリーンが開示されている。
特許文献3には、拡散角度に異方性のある光拡散フィルムと、反射層と、からなるスクリーンが開示されている。そのような光拡散フィルムの製造方法としては、ブラストガンを金型母材に対して寝かせた状態でサンドブラスト加工する方法が開示されており、平均凹凸間隔がX軸方向で0.13mm、Y軸方向で0.07mmの金型を作製し、該金型を用いて光拡散フィルムを作製し、該光拡散フィルムを用いて垂直方向の拡散角度が32°で水平方向の拡散角度が51°の異方性のあるスクリーンを作製した旨の実施例が開示されている。
特許文献4には、スクリーンの上下方向での拡散に比して水平方向で相対的に拡散を大きくした反射型スクリーンが開示されている。そのようなスクリーンの水平方向視野角拡大層として、シリンドリカル形状やプリズム形状、並びにウェーブ形状の凸条が開示されている。また、特許文献5には、水平方向に等間隔に並べて配置したレンズアレイを有するスクリーンが開示されている。さらに、特許文献6には、複数の光ビームを垂直方向に分散させるホログラフィースクリーンを透過させる3次元画像生成装置が開示されている。
特許文献7には、特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過するとともに、該特定方向から入射した光の散乱光強度の半値幅が2つの散乱面で異なる異方性散乱フィルムをスクリーンとして前面に配置した投射型画像表示装置が開示されている。そのようなフィルムの製造方法としてホログラフィック手法が開示されており、スクリーンの上下方向の拡散角度が32°で左右方向の拡散角度が75°、並びにスクリーンの上下方向の拡散角度が42°で左右方向の拡散角度が103°の実施例が開示されている。
プロジェクタ等の映像投影装置を複数用い、視点位置によって異なる映像を表示させることで立体映像を鑑賞する立体映像上映システムにおいて、一つの視点に対して複数の映像が表示される(クロストーク)ことは、表示画像の品質を著しく劣化させるので好ましくない。また、スクリーンの拡散性を向上させるための手段としてレンズアレイ等の規則的な表面構造を用いることは、液晶プロジェクタ等が形成する規則的に配置された画素からなる映像をスクリーンに投影した際にモアレ干渉縞が発生することがあり、画質を損なう可能性があるので好ましくない。
そこで、本発明は、複数の映像投影装置を用いた立体映像システムにおいて、液晶プロジェクタ等で形成される規則的に配置された画素からなる映像をスクリーンに投影した際にモアレ干渉縞が発生することなく、かつクロストークが少ない投影用スクリーンを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、地平面に対して水平方向への拡散性を極力抑える一方で、上下方向への拡散性は一般のスクリーンと同等程度に有するスクリーンが、モアレ干渉縞の発生と、クロストークと、を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の態様に係る投影用スクリーンは、少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有するものである。
また、表面凹凸構造の最小平均ピッチが20マイクロメートル以下であることが望ましい。
また、表面凹凸構造のピーク間又はボトム間の距離(ピッチ)の平均値が最大となる方向がスクリーンの長辺と同じであることが望ましい。
また、表面凹凸構造を有する表層と、樹脂からなる基材層と、の少なくとも2層からなるものとすることができる。
また、本発明の態様に係るスクリーンは、光透過性であり、出射光の拡散角度の最小値が1度以下であるものとすることができる。
また、本発明の態様に係るスクリーンの一部は、着色されているものとすることができる。
また、本発明の態様に係るスクリーンの法線に対して15度から当該スクリーンに入射し、15度から出射する光の強度と、スクリーンの法線に対して0度からスクリーンに入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値は、0.95以上であることが望ましい。
また、本発明の態様に係るスクリーンの法線に対して30度から当該スクリーンに入射し、30度から出射する光の強度と、スクリーンの法線に対して0度からスクリーンに入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値は、0.8以上であることが望ましい。
また、本発明の態様に係るスクリーンは、少なくとも一方の面に反射層をさらに有するものとすることができる。
また、反射層が金属若しくは合金、金属酸化物、又は誘電体多層膜のいずれかからなることが望ましい。
また、金属がアルミニウムであることが望ましい。
本発明の態様に係る立体映像上映システムは、少なくとも2台以上の映像投影装置と、上述した投影用スクリーンと、を備えるものである。
また、映像投影装置が投影用スクリーンに対して観察者と反対側に設置されるものとすることができる。
また、映像投影装置が投影用スクリーンに対して観察者と同じ側に設置されるものとすることができる。
本発明のスクリーンによれば、液晶プロジェクタ等で形成される規則的に配置された画素からなる映像をスクリーンに投影した際のモアレ干渉縞及びクロストークの発生を抑制することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態(以下において、「本実施形態」又は「実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施形態は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。なお、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、上方から見た第1の実施形態に係る背面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図2は、側方から見た第1の実施形態に係る背面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、水平方向に並べられた複数の映像投影装置1によって投射された映像は、第1の実施形態に係る少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有する投影用スクリーン2を介して鑑賞者100に対して表示される。
図1は、上方から見た第1の実施形態に係る背面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図2は、側方から見た第1の実施形態に係る背面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、水平方向に並べられた複数の映像投影装置1によって投射された映像は、第1の実施形態に係る少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有する投影用スクリーン2を介して鑑賞者100に対して表示される。
映像投影装置1はスクリーンに映像を投射する機能を有し、その表示形態、寸法、投射範囲は限定されない。映像投影装置1としてはプロジェクタを用いることが好ましいが、その方式は限定されず、例えば透過型液晶プロジェクタ、反射型液晶プロジェクタ、デジタル・ライト・プロセッシング(DLP、登録商標)プロジェクタ、陰極線管(CRT)プロジェクタ、及びGLV(Grating Light Valve)プロジェクタ等が挙げられる。その他の映像投影装置1としては液晶ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)、有機/無機EL(electroluminescence)ディスプレイ、電界放出型ディスプレイ、及び発光ダイオードディスプレイ等が挙げられる。
投影用スクリーン2は、光透過性で平面状の基材からなる基材層4を備え、基材層4の少なくとも一方の表面に表面凹凸構造を有する表層3が形成されている。具体的には、表面凹凸構造を有する表層3、及び基材層4の2層構成のスクリーン、あるいは表面凹凸構造を有する表層3、基材層4、及び着色層5の3層構成のスクリーンが、投影用スクリーン2として例示される。図1及び図2に示すように、投影用スクリーン2に対して、映像投影装置1を、表面凹凸構造を有する表層3側に設置して鑑賞することが好ましい。
基材層4としては、光透過性を有するシート、フィルム、膜、又は板等を用いることができる。基材層4の材質としては有機材料、無機材料、又は有機材料と無機材料からなる複合材料を用いることができる。ここで、有機高分子材料等の有機材料は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコー ル、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、及びシクロオレフィンポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
投影用スクリーン2の表層3の表面凹凸構造は、多数の微細突起部からなる構造で、突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、及び略放物面状のいずれでもよく、また、突起部間は、連続的な曲面でつながっていてもよい。凸部の高さ及びピッチの少なくとも片方は非周期的であり、凸部の高さ及びピッチの両方が非周期的であることがモアレ防止のために好ましい。ここでいう「非周期的」とは、隣接する数個の突起部の高さ及びピッチの少なくとも片方がランダムであることを意味する。
投影用スクリーンが有する表層3の表面凹凸構造は、ある点を中心に各方向へライン走査したときに、表面凹凸構造のピーク間又はボトム間の距離(ピッチ)の平均値が最大となる方向(以下「長軸方向」ともいう。)と、最小となる方向(以下「短軸方向」ともいう。)と、が存在するとき異方性を有し、その異方度は、前記長軸方向の平均ピッチ(平均ピッチの最大値)と、前記短軸方向の平均ピッチ(平均ピッチの最小値)とから、次の式(1)によって求めることができる。
(異方度)=(平均ピッチの最大値)/(平均ピッチの最小値)…(1)
上述したように、平均ピッチとは投影用スクリーン2の表面凹凸構造のピーク間又はボトム間のピッチの平均のことであり、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザー顕微鏡、及び表面形状測定機等を用いて観察することで得ることができる。
(異方度)=(平均ピッチの最大値)/(平均ピッチの最小値)…(1)
上述したように、平均ピッチとは投影用スクリーン2の表面凹凸構造のピーク間又はボトム間のピッチの平均のことであり、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザー顕微鏡、及び表面形状測定機等を用いて観察することで得ることができる。
表層3の表面凹凸構造は、具体的には、次のようにして形成することができる。まず、予め干渉露光によりスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製し、このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着することによりこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。さらに、光透過性基材に、マスタ型を用いて紫外線硬化樹脂による腑形を行うことにより、光透過性基材の表面にスペックルパターンを転写する。このスペックルパターンが投影用スクリーン2の表層3の表面凹凸構造に対応する。スペックルパターンとは、コヒーレントな光が拡散板を通過した後の空間に干渉によって生成するランダムな強度を有する光分布パターンのことであるが、該空間に感光性樹脂層を有する基板を設置して露光及び現像することによって、ランダムな表面凹凸構造に変換され、該構造を有するサブマスタ型を製造することができる。以下では、このランダムな表面凹凸構造のこともスペックルパターンという。
表面凹凸構造の具体的なサイズとしては、アスペクト比は0.5〜3であることが好ましい。アスペクト比は、凸部高さと、凸部高さの1/2の位置における凸部の幅との比(高さ/幅)で定義される。
上記のサブマスタ型の詳細な製造方法については、例えば特許第3413519号公報に開示されている公知の方法を用いることができる。ホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製し、該サブマスタ型からスクリーンへと表面構造を転写することによって凹凸構造を有するスクリーンを得ることができる。スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、投影用スクリーン2の表面凹凸構造が調節され、凹凸構造の平均ピッチを制御することができる。スペックルパターンの寸法・形状及び方向の調節方法については、例えば特許第3390954号公報に開示されている公知の方法を用いることができる。
また、スペックルパターンで特徴づけられた投影用スクリーン2の表面凹凸構造を有する表層3は、投影用スクリーン2のどちらか一方の面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
投影用スクリーン2の水平方向の拡散性を極力抑えるため、投影用スクリーン2の表面凹凸構造の異方度は20以上が好ましく、より好ましくは200以上であり、更に好ましくは400以上である。このような異方度の高い投影用スクリーン2は、上述のサブマスタ型を作製する際の露光で用いるホログラフ拡散体として、異方度の高いスペックルパターンを有するホログラフ拡散体を使用することで得ることができる。なお、ホログラフ拡散体における「異方度」の定義も、上記式(1)で与えられる。投影用スクリーン2の異方度を高くするために用いられる異方度の高いスペックルパターンを有するホログラフ拡散体とは、具体的には、拡散角度の最小値が好ましくは0.1度以下であるもの、より好ましくは0.05度以下であるもの、更に好ましくは0.03度以下であるものをいう。また、拡散角度の最大値が好ましくは5度以上であるもの、より好ましくは10度以上であるもの、更に好ましくは20度以上であるものをいう。
投影用スクリーン2の表面凹凸構造の平均ピッチの最小値は、精細な画像を表示するためには100μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下であり、更に好ましくは10μm以下であり、よりさらに好ましくは5μm以下である。また、平均ピッチの最小値は、580nm(可視光の中心波長)以上であることが好ましく、780nm(可視光の上限波長)以上であることがより好ましい。
投影用スクリーン2が有する表面凹凸構造の長軸方向が投影用スクリーン2の長辺と同じになり、短軸方向が地平面に対して上下方向となるように投影用スクリーン2を設置すると、上下方向の視野角を広く確保することができ、好ましい。
投影用スクリーンは2層以上からなっていてもよく、例えば表面凹凸構造を有する表層3を紫外線硬化樹脂によって平滑な基材層4の上に賦形してもよい。
第1の実施形態の背面投射型立体映像上映システムの場合は、投影用スクリーン2は、画像を鑑賞者100に対して表示させるために光透過性であり、出射光の拡散角度の最小値(水平方向)は1度以下であることが好ましく、より好ましくは0.2度以下、更に好ましくは0.1度以下である。
出射光の拡散角度は、例えば日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)やフォトン・インク(Photon Inc.)製のビームプロファイラ(NanoScan)を用いて、投影用スクリーン2に対して法線方向から、投影用スクリーン2の表面凹凸構造を有する表層3に入射した光の出射角度に対する透過光強度の分布を測定し、出射光強度の最大値の半分以上の値となる拡散角度の範囲(半値幅)を求めることによって得られる。投影用スクリーン2に対する法線方向とは、投影用スクリーン2の表面に対して垂直な方向のことである。
表示画像のコントラストを向上させるために投影用スクリーン2の一部が着色されていてもよく、例えば投影用スクリーンの基材層4や表面凹凸構造を有する表層3に着色された素材を使用することができるほか、図1に示すように着色層5を設けてもよい。着色層5は、基材層4の表層3を貼った面と反対側の面に設けてもよい。あるいは、表面凹凸構造を有する表層3と、基材層4と、の間に設けてもよい。
投影用スクリーン2から出射する光の強度は、例えば日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いて、図3に示すように、投影用スクリーン2の法線104に対して入射角度105から光を投影用スクリーン2に入射し、出射角度106から出射した光を測定することによって求めることが可能であり、ピークの値を出射光の強度とする。投影スクリーン2の面内の光の強度の分布を均一にするためには視野角の範囲において十分な透過性を持つことが好ましく、15度から投影スクリーン2に入射し、15度から出射する光の強度と、投影スクリーン2の法線に対して0度からの投影スクリーン2に入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値が0.95以上であることが好ましく、より好ましくは0.97以上である。投影スクリーン2の端部まで光の強度の分布を均一にするためには、30度から投影スクリーン2に入射し、30度から出射する光の強度と、投影スクリーンの法線に対して0度からの投影スクリーン2に入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値が0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.85以上である。
以上説明した第1の実施形態に係る投影用スクリーン2を用いれば、液晶プロジェクタ等で形成される規則的に配置された画素からなる映像を投影用スクリーン2に投影した際に、モアレ干渉縞及びクロストークが発生しにくい。そのため、プロジェクタ等の映像投影装置1の設置の自由度が高めることが可能となる。
(第2の実施形態)
図4は上方から見た第2の実施形態に係る前面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図5は側方から見た第2の実施形態に係る前面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図4に示すように、水平方向に並べられた複数の映像投影装置1によって投射された映像は、第2の実施形態に係る投影用スクリーン2によって反射されて鑑賞者100に対して表示される。
図4は上方から見た第2の実施形態に係る前面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図5は側方から見た第2の実施形態に係る前面投射型立体映像上映システムの構成を示す模式図である。図4に示すように、水平方向に並べられた複数の映像投影装置1によって投射された映像は、第2の実施形態に係る投影用スクリーン2によって反射されて鑑賞者100に対して表示される。
投影用スクリーン2は、光透過性で平面状の基材からなる基材層4を備え、基材層4の少なくとも一方の表面に表面凹凸構造を有する表層3が形成されている。映像投影装置1によって投射された映像の強度を損なわずに鑑賞者100に対して表示することが望ましいことから、投影用スクリーン2は反射層15を有することが好ましい。具体的には、表面凹凸構造を有する表層3、基材層4、及び反射層15の3層構成の投影用スクリーン2が例示される。これらの投影用スクリーン2に対して、映像投影装置1を、表面凹凸構造を有する表層3側に設置して鑑賞することが好ましい。
映像投影装置1、並びに投影用スクリーン2の表面凹凸構造を有する表層3及び基材層4の詳細については、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
反射層15の材質や厚み、スクリーン内での位置は限定されない。製造を容易にするためには反射層15が投影用スクリーン2の一方の面に付与されていることが好ましく、その手段は限定されないが、例えば塗布、蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、及び電鋳等が挙げられる。反射層15の材質としては例えば金属若しくは合金、金属酸化物、又は誘電体多層膜等が挙げられる。金属としては、アルミニウムが可視光の反射率が高く、比較的安価なことから好ましいほか、銀や金、ロジウム、ニッケル、ステンレス、並びに白金等が挙げられる。
本実施形態を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例においては、投影用スクリーンの表面凹凸構造の長軸方向(拡散角度が低い方向)を地平面に対して水平に設置するものとし、特に断らない限り、角度は水平方向の角度を意味するものとする。
[実施例1]
実施例1に係る投影用スクリーンを製造する際には、特許第3413519号公報に記載のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製した。該感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体としてスクリーンの地平面に対して上下方向となる方向の拡散角度が30度、水平方向となる方向の拡散角度が0.08度の拡散板を使用した。該サブマスタ型と、基材(厚さ80ミクロンの東洋紡製PET基材A4300と)と、の間で、厚さ約20マイクロメートルとなるように塗布した光硬化性樹脂(ノーランド社製光学用接着剤NOA63)を光硬化させた後、該サブマスタ型を剥離させることによって、表面凹凸構造を有する表層を基材上に形成した実施例1に係る投影用スクリーンを製造した。
実施例1に係る投影用スクリーンを製造する際には、特許第3413519号公報に記載のホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することによって、スペックルパターンに由来する非周期的な表面凹凸構造を有するサブマスタ型を作製した。該感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体としてスクリーンの地平面に対して上下方向となる方向の拡散角度が30度、水平方向となる方向の拡散角度が0.08度の拡散板を使用した。該サブマスタ型と、基材(厚さ80ミクロンの東洋紡製PET基材A4300と)と、の間で、厚さ約20マイクロメートルとなるように塗布した光硬化性樹脂(ノーランド社製光学用接着剤NOA63)を光硬化させた後、該サブマスタ型を剥離させることによって、表面凹凸構造を有する表層を基材上に形成した実施例1に係る投影用スクリーンを製造した。
スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、以下の4種類の投影用スクリーンを得た。なお、スペックルパターンの方向は、製造する投影用スクリーンの上下及び水平方向を考慮して、調節される。
[実施例2]
実施例1で得られた各スクリーンの拡散角度の最小値をフォトン・インク(Photon Inc.)製のビームプロファイラ(NanoScan)を用い、JDS Uniphase社のヘリウムネオン(He−Ne)レーザー1107Pを各スクリーンの表面凹凸構造を有する面から照射して測定したところ、以下のような結果が得られた。
実施例1で得られた各スクリーンの拡散角度の最小値をフォトン・インク(Photon Inc.)製のビームプロファイラ(NanoScan)を用い、JDS Uniphase社のヘリウムネオン(He−Ne)レーザー1107Pを各スクリーンの表面凹凸構造を有する面から照射して測定したところ、以下のような結果が得られた。
[実施例3]
実施例1で得られた各スクリーンについて、日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いてスクリーンの法線に対して0度からスクリーンに入射し、0度から出射する光の強度、15度からスクリーンに入射し、15度から出射する光の強度、30度からスクリーンに入射し、30度から出射する光の強度を測定したところ、以下のような結果が得られた。
実施例1で得られた各スクリーンについて、日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いてスクリーンの法線に対して0度からスクリーンに入射し、0度から出射する光の強度、15度からスクリーンに入射し、15度から出射する光の強度、30度からスクリーンに入射し、30度から出射する光の強度を測定したところ、以下のような結果が得られた。
[実施例4]
図1のように鑑賞者100に対して投影用スクリーン2の背面に複数の映像投影装置1を水平に並べた立体映像上映システムを製作した。水平に並べられた複数の映像投影装置1は、鑑賞者100の左右の目に異なる映像を写すことによって視差を生じさせ、映像を立体的に見せることができるものである。鑑賞者100の位置がスクリーンに対して水平方向に移動したとしても、その位置に呼応した映像が左右の目に写るため、より実在感を演出することができる。
図1のように鑑賞者100に対して投影用スクリーン2の背面に複数の映像投影装置1を水平に並べた立体映像上映システムを製作した。水平に並べられた複数の映像投影装置1は、鑑賞者100の左右の目に異なる映像を写すことによって視差を生じさせ、映像を立体的に見せることができるものである。鑑賞者100の位置がスクリーンに対して水平方向に移動したとしても、その位置に呼応した映像が左右の目に写るため、より実在感を演出することができる。
米国映画テレビ技術者協会の定める基準EG18−1994によれば視野角の30〜36度がプロジェクタ用スクリーンとして適切サイズであることから、縦横比16:9で80インチのスクリーンに対して、視野角30度となる視聴距離3.0メートルを設定した。ヒトの両目の間隔の平均が約6.5センチメートルであることから、スクリーン上の点から右目までの線101と左目までの線102のなす角度αは、スクリーン中央(視野角0度)で約1.24度、スクリーンの端(視野角30度)で約1.16度、スクリーン中央と端の中点(視野角15度)で約1.22度となる。
片方の目に入射すべき映像が反対側の目にも入射してしまうことで発生するクロストークを解消するためには、それぞれの視野角においてスクリーンからの光が上述した角度αの範囲を超えて散乱しないことが求められる。クロストークの程度を見極めるため、実施例1で得られた各スクリーンの0度から入射し、0±1度から出射する光の強度、15度から入射し、15±1度から出射する光の強度、30度から入射し、30±1度から出射する光の強度を、それぞれ0度から入射し、0度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度と比較したところ、以下のような結果が得られた。
また、本立体映像上映システムによって立体映像を表示させて観察し、立体感が得られているかどうかを判定した結果も併せて記載する。
[比較例1]
実施例1と同様に、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、以下の4種類の投影用スクリーンを得た。感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体としてスクリーンの地平面に対して上下方向となる方向の拡散角度と、水平方向となる方向の拡散角度がともに5度の拡散板を使用した。
実施例1と同様に、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、以下の4種類の投影用スクリーンを得た。感光性媒体を露光する際のホログラフ拡散体としてスクリーンの地平面に対して上下方向となる方向の拡散角度と、水平方向となる方向の拡散角度がともに5度の拡散板を使用した。
[比較例2]
比較例1で得られた各スクリーンの拡散角度の最小値を日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いて測定したところ、以下のような結果が得られた。
比較例1で得られた各スクリーンの拡散角度の最小値を日本電色工業株式会社製の変角光度計(GC−5000L)を用いて測定したところ、以下のような結果が得られた。
[比較例3]
比較例1で得られた各スクリーンについて、実施例3と同様にスクリーンの法線に対して0度から入射し、0度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度を測定したところ、以下のような結果が得られた。
比較例1で得られた各スクリーンについて、実施例3と同様にスクリーンの法線に対して0度から入射し、0度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度を測定したところ、以下のような結果が得られた。
[比較例4]
実施例4と同様に、製作した立体映像上映システムにおいてクロストークの程度を見極めるため、比較例1で得られた各スクリーンの0度から入射し、0±1度から出射する光の強度、15度から入射し、15±1度から出射する光の強度、30度から入射し、30±1度から出射する光の強度を、それぞれ0度から入射し、0度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度と比較したところ、以下のような結果が得られた。また、立体感が得られているかどうかを確認した結果も併せて記載する。
実施例4と同様に、製作した立体映像上映システムにおいてクロストークの程度を見極めるため、比較例1で得られた各スクリーンの0度から入射し、0±1度から出射する光の強度、15度から入射し、15±1度から出射する光の強度、30度から入射し、30±1度から出射する光の強度を、それぞれ0度から入射し、0度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度と比較したところ、以下のような結果が得られた。また、立体感が得られているかどうかを確認した結果も併せて記載する。
[実施例5]
実施例1で得られたスクリーンのうち、PS174−4の表面凹凸構造を有する面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着して反射層としたものをPS174−4R、表面凹凸構造の無い面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着して反射層としたものをPS174−4Fとした。次いで、図4のように投影用スクリーン2の前面にプロジェクタ1を水平に並べた立体映像上映システムを製作した。
実施例1で得られたスクリーンのうち、PS174−4の表面凹凸構造を有する面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着して反射層としたものをPS174−4R、表面凹凸構造の無い面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着して反射層としたものをPS174−4Fとした。次いで、図4のように投影用スクリーン2の前面にプロジェクタ1を水平に並べた立体映像上映システムを製作した。
スクリーンのサイズは80インチとし、視聴距離は3.0メートルとした。クロストークの程度を見極めるため、各スクリーンの5度から入射し、5±1度から出射する光の強度、15度から入射し、15±1度から出射する光の強度、30度から入射し、30±1度から出射する光の強度を、それぞれ5度から入射し、5度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度と比較したところ、以下のような結果が得られた。
また、本立体映像上映システムによって立体映像を表示させて観察し、立体感が得られているかどうかを判定した結果も併せて記載する。なお、図5における映像投影装置1と投影用スクリーン2と鑑賞者100が上下方向になす角度は30度であった。
[比較例5]
比較例1で得られたスクリーンのうち、PS050−5の表面凹凸構造を有する面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着し、反射層を設けたものをPS050−5R、表面凹凸構造の無い面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着し、反射層を設けたものをPS050−5Fとした。次いで、実施例5と同様の立体映像上映システムを製作した。
比較例1で得られたスクリーンのうち、PS050−5の表面凹凸構造を有する面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着し、反射層を設けたものをPS050−5R、表面凹凸構造の無い面にアルミニウムを0.1ミリメートルの厚さに真空蒸着し、反射層を設けたものをPS050−5Fとした。次いで、実施例5と同様の立体映像上映システムを製作した。
クロストークの程度を見極めるため、各スクリーンの5度から入射し、5±1度から出射する光の強度、15度から入射し、15±1度から出射する光の強度、30度から入射し、30±1度から出射する光の強度を、それぞれ5度から入射し、5度から出射する光の強度、15度から入射し、15度から出射する光の強度、30度から入射し、30度から出射する光の強度と比較したところ、以下のような結果が得られた。
また、実施例5と同様に立体感が得られているかどうかを確認した結果も併せて記載する。
本発明は、立体映像表示用装置で好適に利用できる。
1 映像投影装置
2 投影用スクリーン
3 表面凹凸構造を有する表層
4 基材層
5 着色層
15 反射層
100 鑑賞者
101 スクリーン上の点から鑑賞者の右目までの線
102 スクリーン上の点から鑑賞者の左目までの線
104 法線
105 入射角度
106 出射角度
2 投影用スクリーン
3 表面凹凸構造を有する表層
4 基材層
5 着色層
15 反射層
100 鑑賞者
101 スクリーン上の点から鑑賞者の右目までの線
102 スクリーン上の点から鑑賞者の左目までの線
104 法線
105 入射角度
106 出射角度
Claims (14)
- 少なくとも一方の面に異方度が20以上の非周期的な表面凹凸構造を有する立体映像投影用スクリーン。
- 前記表面凹凸構造のピーク間又はボトム間の最小平均ピッチが20マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体映像投影用スクリーン。
- 前記表面凹凸構造のピーク間又はボトム間のピッチの平均値が最大となる方向がスクリーンの長辺と同じであることを特徴とする、請求項1乃至2に記載の立体映像投影用スクリーン。
- 前記表面凹凸構造を有する表層と、樹脂からなる基材層と、の少なくとも2層からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 光透過性であり、出射光の拡散角度の最小値が1度以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 一部が着色されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 当該スクリーンの法線に対して15度から入射し、15度から出射する光の強度と、当該スクリーンの法線に対して0度から入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値が0.95以上であることを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 当該スクリーンの法線に対して30度から入射し、30度から出射する光の最大値と、当該スクリーンの法線に対して0度から入射し、0度から出射する光の強度との比の最大値が0.8以上であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 少なくとも一方の面に反射層を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の立体映像投影用スクリーン。
- 前記反射層が金属若しくは合金、金属酸化物、又は誘電体多層膜のいずれかからなることを特徴とする請求項9に記載の立体映像投影用スクリーン。
- 前記金属がアルミニウムであることを特徴とする請求項10に記載の立体映像投影用スクリーン。
- 少なくとも2台以上の映像投影装置と、請求項1乃至11のいずれかに記載の投影用スクリーンと、を備える立体映像上映システム。
- 前記映像投影装置が前記投影用スクリーンに対して観察者と反対側に設置されることを特徴とする請求項12に記載の立体映像上映システム。
- 前記映像投影装置が前記投影用スクリーンに対して観察者と同じ側に設置されることを特徴とする請求項12に記載の立体映像上映システム。
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