JP2012082370A - ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオール成分とポリカルボン酸成分が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W1)中に分散させる工程を含むポリエステル樹脂水性分散体の製造方法において、(a)がスルホン酸基、およびスルホン酸塩基から選ばれる少なくとも一種類の官能基を合計で0.1〜1mmol/g含有し、(a)中のカルボキシル基に由来する酸価(m)とカルボキシル基の中和当量(n)の関係が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
0≦m×n≦5 ・・・式(1)
【選択図】 なし
Description
すなわち本発明は、ポリオール成分とポリカルボン酸成分が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W1)中に分散させる工程を含むポリエステル樹脂水性分散体の製造方法において、(a)がスルホン酸基、およびスルホン酸塩基から選ばれる少なくとも一種類の官能基を合計で0.1〜1mmol/g含有し、(a)中のカルボキシル基に由来する酸価(m)とカルボキシル基の中和当量(n)の関係が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法である。
0≦m×n≦5 ・・・式(1)
本発明におけるポリエステル樹脂(a)は、スルホン酸基、およびスルホン酸塩基から選ばれる少なくとも一種類の官能基を有する樹脂であり、ポリオール成分ならびにポリカルボン酸成分を重縮合させて製造される。
ポリオール成分(g)としては、ジオール(g1)、3価〜8価もしくはそれ以上のポリオール(g2)、並びにスルホン酸基および/またはスルホン酸塩基を有するポリオール(g3)が挙げられる。一方でポリカルボン酸成分(h)としては、ジカルボン酸(h1)、3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸(h2)、並びにスルホン酸基および/またはスルホン酸塩基を有するポリカルボン酸(h3)が挙げられる。
ポリオール成分中のビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテル(ビスフェノールAのPO付加物)の含有量は、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、とくに好ましくは90%以上である。
上記および以下において、%は特に断りの無い場合、重量%を意味する。
ビスフェノールAのPO2モル付加物(オキシプロピレン単位の数が2のビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテル)とビスフェノールAのPO3モル付加物(オキシプロピレン単位の数が3のビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテル)の重量比は、複合樹脂粒子の保存安定性の観点から、好ましくは100/0〜40/60であり、さらに好ましくは98/2〜49/51である。
<測定方法>
試料30〜50mgにシリル化剤〔TMSI−H、ジーエルサイエンス(株)製〕1mlを加え、湯浴(50〜70℃)にて溶解させた後、2分間振とうしてシリル化を行い、静置分離し、下記の条件で上澄み液のガスクロマトグラフィーによる分析を行い、ビスフェノールAのPO付加物の各々の付加モル数のピーク面積の比率から求める。
[ガスクロマトグラフィーの測定条件]
ガスクロマトグラフィー:GC―14B〔(株)島津製作所製〕
キャリアーガス:ヘリウム
流量:5mL/分
検出器:水素炎イオン化検出器
水素流量:0.6kg/cm2
空気流量:0.5kg/cm2
カラム温度:200〜300℃(昇温速度:15℃/分)
これらのうち好ましいものはトリメリット酸およびピロメリット酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
また、これらのカルボン酸のエステル形成性誘導体も同様に使用することができる。
(a)中のスルホン酸基、およびスルホン酸塩基の合計含有量は、樹脂1g中のスルホン酸基、スルホン酸塩基の合計のモル数が、0.1mmol/g以上1mmol/g以下であり、好ましくは0.15〜0.8mmol/gである。スルホン酸基、スルホン酸塩基の合計含有量が0.1mmol/g未満であると、水性分散体(X)の製造時に十分な樹脂粒子(A)の分散粒径が得られず、1mmol/gを超えると、それを用いて得られる複合樹脂粒子の保存安定性に問題が生じる。
中和に用いる塩基としてはスルホン酸基と同様に、アミン類(トリエチルアミン、アルカノールアミン、モルホリンなど)、アルカリ金属(ナトリウムなど)、およびアルカリ土類金属(カルシウムなど)などが使用でき、その中でもアルカリ金属が好適に用いられる。
0≦m×n≦5 ・・・式(1)
0≦m×n≦4 ・・・式(1’)
上記カルボキシル基に由来する酸価(m)とカルボキシル基の中和当量(n)の積が5を超えると、pHを酸性に変化させた際に、複合樹脂粒子形成に先んじてポリエステル樹脂粒子同士の凝集が起こってしまうためにポリエステル樹脂の表面付着状態が悪化し、十分な複合樹脂粒子(C)の被覆率が得られない。上記式(1)は実験結果から得られたものである。
本発明における酸価(mgKOH/g、以下同じ)は、JIS K0070(1992年版)に従って、電位差滴定法で測定される。なお、ポリエステル樹脂(a)のカルボキシル基に由来する酸価(m)において、スルホン酸基を有する(a)の場合は、カルボキシル基の滴定終点とスルホン酸基の滴定終点に由来する2つの変曲点が観測されるが、より滴定量が少ない側を以ってカルボキシル基に由来する酸価(m)とする。
本発明におけるカルボキシル基の中和当量(n)は、樹脂(a)中のカルボキシル基1当量に対する、中和に用いる塩基の当量で定義される。
また、カルボキシル基の中和当量(n)は、式(1)を満たす範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0〜2当量、さらに好ましくは0〜1.5当量である。
本発明において、ポリエステル樹脂(a)中のチタン元素の含有量は、蛍光X線分析装置(PANalytical社製)によって測定される。(a)の組成が特定されている場合は、チタン含有触媒等のチタン元素を含有する成分の(a)中の含有量から求められる計算値であってもよい。
チタン元素含有量を上記範囲に調整する方法としては、(a)を得る際の重縮合反応時に1種以上のチタン含有触媒を用い、その使用量で調整する方法が好ましい。チタン元素含有量が100ppm以上となる使用量では、重縮合触媒としての作用が十分得られ、4000ppm以下となる使用量であると、触媒量に応じて高い触媒作用が得られる。
Ti(−X)m(−OR1)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR1)q (II)
[式(I)および(II)中、R1はH、1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの場合、他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、それぞれのR1は同一であっても異なっていてもよい。]
炭素数1〜18のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。
炭素数1〜18のアシル基の具体例としては、炭素数1〜18の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族モノカルボン酸または芳香族ポリカルボン酸から、1個のCOOH基中のOHを除いた残基である。脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。脂肪族ポリカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。芳香族モノカルボン酸の具体例としては、安息香酸、サリチル酸、ナフチル酸などが挙げられる。芳香族ポリカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
これらR1のうち好ましくは、Hおよび炭素数1〜18のアシル基であり、さらに好ましくは、Hおよび脂肪族モノカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸から1個のCOOH基中のOHを除いた残基であり、特に好ましくは、Hおよびアセチル基であり、最も好ましくはHである。
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在し、それが同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマー成分が増え、保存安定性悪化の原因になる。
Xとして好ましいものは、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)の残基、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。 mまたはpが2以上の場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
nが2以上の場合、複数存在するR1は同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタン・トリエタノールアミン(4)〔チタンにトリエタノールアミンが4個配位した化合物を意味する。以下同様の記載法で表記する。〕、チタン・ジエタノールアミン(4)、チタン・モノエタノールアミン(4)、チタン・トリエタノールアミン(3)・ジエタノールアミン(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(3)、チタン・トリエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・ジエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(2)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノプロパノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・プロピオン酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(3)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(2)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(1)・OH(1)・マレイン酸(1)・アジピン酸(1)、チタン・N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(1)・OH(1)・トリメリット酸(2)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(I−1)、(I−2)、または(I−3)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(II−1)または(II−2)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
(a)のTgが50℃以上であると、ポリエステル樹脂水性分散体(X)中での樹脂粒子(A)の再凝集を防止でき、また複合樹脂粒子を形成した際の保存安定性が向上する。
本発明において、Tgは、セイコー電子工業(株)製DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
(i)ポリエステル樹脂(a)を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子(A)を得た後、必要に応じて適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(ii)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子(A)を得た後、樹脂粒子(A)を必要に応じて適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(iii)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子(A)を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子(A)を得た後、必要に応じて適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(iv)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体(W1)中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法、
(v)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液中に、必要に応じて適当な分散剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、
等が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは通常1または2;mは1または2;Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
具体的には、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
ポリエステル樹脂(a)との親和性の観点から、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが用いられる。
上記の方法において有機溶剤(S)を除去する方法は特に限定されず、公知の方法が適用でき、例えば以下の〔1〕〜〔2〕及びこれらを組合せた方法等が適用できる。
〔1〕一般的な攪拌脱溶剤槽やフィルムエバポレータ等において、加熱及び/又は減圧により脱溶剤する方法。
〔2〕液面、あるいは液中においてエアーブローして脱溶剤する方法。
上記〔1〕の方法で、加熱する際の温度は、樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、通常Tgより5℃以上低い温度が好ましく、より好ましくは10℃以上低い温度、特に好ましくは20℃以上低い温度である。減圧する際の減圧度(ゲージ圧)は、−0.03MPa以下が好ましく、より好ましくは−0.05MPa以下である。
また、ポリエステル樹脂水性分散体(X)中の樹脂粒子(A)の含量としては、(X)中での(A)の再凝集を防止するため、40%以下であることが好ましい。さらに好ましくは35%以下、特に好ましくは5〜30%である。
なお、本発明において、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチサイザーIII(コールター社製)、光学系としてレーザードップラー法を用いるELS−800(大塚電子社製)などで測定できる。もし、各測定装置間で粒径の測定値に差を生じた場合は、ELS−800での測定値を採用する。
1≦D(2.0)/D(7.0)≦10 ・・・式(2)
1≦D(2.0)/D(7.0)≦8 ・・・式(2’)
D(2.0)/D(7.0)の値が式(2)の範囲内であれば、複合樹脂粒子(C)の被覆性が良好となる。式(2)の関係は、実験結果から得られたものである。式(2)を満たすには、例えば前記の分散剤の種類・量を変更することで適宜調整され、分散剤として非イオン性界面活性剤や両性界面活性剤を用いたり、分散剤使用量を増加することでD(2.0)/D(7.0)の値を1に近づけることができる。なお、水性分散体(X)のpHの調整は、酸(塩酸等)、またはアルカリ(水酸化ナトリウム等)で行う。
以下この複合樹脂粒子(C)の製造方法について説明する。
なお、樹脂(b)としては、複合樹脂粒子水性分散体(Z)を作成する際に、(b)の水性分散体(Y)代わりに(b)の前躯体の水性分散体(Y’)をポリエステル樹脂水性分散体(X)と混合し、その場で前躯体を反応させて形成させた樹脂であってもよい。
樹脂(b)のTgは、ポリエステル樹脂(a)に比べて低いほうが、樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)に付着しやすく、好ましい。(b)のTgは、具体的には、好ましくは20〜65℃、さらに好ましくは25〜60℃である。
(1−1)脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;およびビニルナフタレン。
O−(AO)nSO3H
|
CH2=CHCH2−OCH2CHCH2O−Ar−R (3−1)
CH=CH−CH3
|
R−Ar−O−(AO)nSO3H (3−2)
CH2COOR’
|
HO3SCHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (3−3)
(6−1)アミノ基含有ビニルモノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
(6−2)アミド基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
(6−3)ニトリル基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)
(6−5)ニトロ基含有ビニルモノマー:ニトロスチレン等
(9−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等
(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン
(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
なお、スルホン酸基および/またはスルホン酸塩基を有するポリオール(g3)、並びにスルホン酸基および/またはスルホン酸塩基を有するポリカルボン酸(h3)を用いることは必須ではない。
樹脂(b)を水性媒体(W2)に分散させ、樹脂粒子(B)の水性分散体(Y)を得る方法としては、前記のポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を水性媒体(W1)中に分散させ、水性分散体(X)を得る場合と同様の方法を用いることができる。
複合樹脂粒子水性分散体(Z)の製造に使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであればとくに限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製) 、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
pH調整のために加える酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、蟻酸、シュウ酸などの有機カルボン酸等が使用でき、塩酸、硫酸などが好ましく用いられる。
水性分散体(X)と水性分散体(Y)との混合物に酸を添加する際の温度は、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは25〜75℃である。また、酸は一括して投入せずに、pHを確認しながら徐々に投入するのが好ましい。
上記の方法としては、(B)に付着された(A)を有機溶剤に溶解させる方法、および複合樹脂粒子(C1)の水性分散体(Z1)を加熱して(A)を溶融し被膜化させる方法が挙げられ、これらの方法を併用してもよい。
有機溶剤としては、(b)との親和性が高いものが好ましく、具体例としては、前記の有機溶剤(S)と同様のものが挙げられる。(S)の中で好ましいものは、被膜化の点から、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、および酢酸エチルである。
(a)を溶剤に溶解させる際の、水性樹脂分散体(Z)中の溶剤濃度は、好ましくは3〜60%、さらに好ましくは10〜45%、とくに好ましくは15〜30%である。また、溶解は、水性樹脂分散体(Z)を、例えば1〜10時間攪拌することにより行い、溶解時の温度は、15〜45℃が好ましく、15〜30℃がさらに好ましい。
なお、被膜化処理の方法とし、溶剤含有量が2%以下の複合樹脂粒子(C1)の水性分散体(Z1)を加熱処理し、(A)を溶融させることでより表面が平滑な複合樹脂粒子(C)を得る際の好ましい加熱処理温度は、樹脂(a)のTg以上であり、また90℃以下の温度範囲が好ましい。加熱処理温度が(a)のTg未満であると得られる複合樹脂粒子(C)の表面平滑性はほとんど変化がない。また90℃を越える温度で加熱処理すると樹脂粒子(A)由来の被膜が樹脂粒子(B)から剥がれる場合がある。
これらの(A)の被膜化方法の中で、好ましい方法は、(A)を溶融させる方法、および(A)を溶解させる方法と(A)を溶融させる方法の併用である。
〔1〕 複合樹脂粒子水性分散体(Z)を減圧下または常圧下で乾燥する方法
〔2〕 遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
〔3〕 複合樹脂粒子水性分散体(Z)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)等が例示される。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
両粒子の付着力をさらに強めたい場合には、水性媒体(W)中に分散した際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにしたり、樹脂粒子(A)、(B)が同一の電荷を持つ場合には、界面活性剤または水溶性ポリマーのうち、樹脂粒子(A)および(B)と逆電荷を持つものを使用したり、またポリエステル樹脂(a)と樹脂(b)のsp値差(sp値はFedorsらの方法による。以下同様。)をできるだけ小さく(例えば2以下)したりすることが有効である。
〔1〕 複合樹脂粒子水性分散体(Z)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにすると吸着力が発生し、この場合、(A)、(B)各々の電荷を大きくするほど、吸着力が強くなり(A)の(B)に対する被覆率が大きくなる。
〔2〕 複合樹脂粒子水性分散体(Z)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が同極性(どちらも正、またはどちらも負)の電荷を持つようにすると、被覆率は下がる傾向にある。この場合、一般に界面活性剤および/または水溶性ポリマー[とくに(A)および(B)と逆電荷を有するもの]を使用すると被覆率が上がる。
〔3〕 複合樹脂粒子水性分散体(Z)を製造する際に、ポリエステル樹脂(a)がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)であるときは、水性媒体(W)のpHが低いほど被覆率が大きくなる。逆に、pHを高くするほど被覆率が小さくなる。
〔4〕 ポリエステル樹脂(a)と樹脂(b)のsp値差を小さくすると被覆率が大きくなる。
また、複合樹脂粒子(C)においては、添加剤は、必ずしも、(X)中で樹脂粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、有機溶剤(S)とともに上記添加剤を含浸させることもできる。
なお、樹脂粒子(B)中の樹脂(b)の含有量は、粒子の強度の点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
表面被覆率(%)=100×[樹脂粒子(A)もしくは(A)に由来する被膜に覆われている部分の面積]/[樹脂粒子(A)もしくは(A)に由来する被膜に覆われている部分の面積+樹脂粒子(B)が露出している部分の面積]
[ポリエステル樹脂(a−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸139部、イソフタル酸139部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)727部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム66部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)[チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)]4部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2になるまで反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−1)とする。
(a−1)のTgは79℃、チタン元素の含有量は660ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸108部、イソフタル酸108部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)703部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム158部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)4部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2になるまで反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−2)とする。
(a−2)のTgは84℃、チタン元素の含有量は650ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸139部、イソフタル酸139部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)727部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム66部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)12部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸9部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−3)とする。
(a−3)のTgは82℃、チタン元素の含有量は1970ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸139部、イソフタル酸139部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−3P(三洋化成工業製:PO2モル付加物30%、3モル付加物41%、4モル付加物23%、5モル以上付加物6%)900部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム100部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)12部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸9部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−4)とする。
(a−4)のTgは60℃、チタン元素の含有量は1650ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸163部、イソフタル酸163部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)79部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−3P(三洋化成工業製:PO2モル付加物30%、3モル付加物41%、4モル付加物23%、5モル以上付加物6%)818部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム110部、、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)4部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸9部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−5)とする。
(a−5)のTgは63℃、チタン元素の含有量は525ppmであった。
[ポリエステル樹脂(Ra−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸163部、イソフタル酸163部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)645部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−3P(三洋化成工業製:PO2モル付加物30%、3モル付加物41%、4モル付加物23%、5モル以上付加物6%)83部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)4部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸15部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(Ra−1)とする。
(Ra−1)のTgは79℃、チタン元素の含有量は650ppmであった。
[ポリエステル樹脂(Ra−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸42部、イソフタル酸42部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)648部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム245部、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)4部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2になるまで反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(Ra−2)とする。
(Ra−2)のTgは86℃、チタン元素の含有量は595ppmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)の調整]
製造例1で得られたポリエステル樹脂(a−1)10部をテトラヒドロフラン(THF)23部に溶解した。よく撹拌されているこの溶液に水30部を徐々に加えた後、40℃、−0.03MPaでガスクロマトグラフィーで測定したTHF含有量が0.1%となるまで脱溶剤して、ポリエステル樹脂(a−1)を含有する樹脂粒子(A−1)の水性分散体(X−1)を得た。
水性分散体(X−1)のpHは4.0、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−1)の体積平均粒径は0.07μmであった。また、0.1%塩酸で(X−1)のpHを2.0に調整して測定した(A−1)の体積平均粒径D(2.0)と、0.1%水酸化ナトリウムで(X−1)のpHを7.0に調整して測定した(A−1)の体積平均粒径D(7.0)の比率であるD(2.0)/D(7.0)は2.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−2)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を製造例2で得られたポリエステル樹脂(a−2)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−2)を含有する樹脂粒子(A−2)の水性分散体(X−2)を得た。
水性分散体(X−2)のpHは3.9、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−2)の体積平均粒径は0.03μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(A−2)のD(2.0)/D(7.0)は4.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−3)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を製造例3で得られたポリエステル樹脂(a−3)に変え、THF含有量が0.05%となるまで脱溶剤した他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−3)を含有する樹脂粒子(A−3)の水性分散体(X−3)を得た。
水性分散体(X−3)のpHは3.9、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−3)の体積平均粒径は0.07μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(A−3)のD(2.0)/D(7.0)は2.5であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−4)の調整]
製造例1で得られたポリエステル樹脂(a−1)10部をテトラヒドロフラン(THF)23部に溶解し、水酸化カリウム0.02部を加えた。よく撹拌されているこの溶液に水30部を徐々に加えた後、40℃、−0.03MPaでガスクロマトグラフィーで測定したTHF含有量が0.5%となるまで脱溶剤して、ポリエステル樹脂(a−1)を含有する樹脂粒子(A−4)の水性分散体(X−4)を得た。
水性分散体(X−4)のpHは8.0、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−4)の体積平均粒径は0.05μmであった。また、0.1%塩酸で(X−4)のpHを2.0に調整して測定した(A−4)の体積平均粒径D(2.0)と、0.1%塩酸で(X−4)のpHを7.0に調整して測定した(A−4)の体積平均粒径D(7.0)の比率であるD(2.0)/D(7.0)は8.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−5)の調整]
製造例1で得られたポリエステル樹脂(a−1)10部をテトラヒドロフラン(THF)23部に溶解し、水酸化カリウム0.03部を加えた。よく撹拌されているこの溶液に水30部を徐々に加えた後、40℃、−0.03MPaでガスクロマトグラフィーで測定したTHF含有量が0.1%となるまで脱溶剤して、ポリエステル樹脂(a−1)を含有する樹脂粒子(A−5)の水性分散体(X−5)を得た。
水性分散体(X−5)のpHは9.0、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−5)の体積平均粒径は0.05μmであった。また、実施例4と同様にして測定した(A−5)のD(2.0)/D(7.0)は8.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−6)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を製造例4で得られたポリエステル樹脂(a−4)に変え、THF含有量が0.05%となるまで脱溶剤した他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−4)を含有する樹脂粒子(A−6)の水性分散体(X−6)を得た。
水性分散体(X−6)のpHは3.9、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−6)の体積平均粒径は0.04μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(A−6)のD(2.0)/D(7.0)は1.6であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−7)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を製造例5で得られたポリエステル樹脂(a−5)に変え、THF含有量が0.08%となるまで脱溶剤した他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−5)を含有する樹脂粒子(A−7)の水性分散体(X−7)を得た。
水性分散体(X−7)のpHは3.9、ELS−800で測定した樹脂粒子(A−7)の体積平均粒径は0.10μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(A−7)のD(2.0)/D(7.0)は1.7であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(RX−1)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を比較製造例1で得られたポリエステル樹脂(Ra−1)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(Ra−1)を含有する樹脂粒子(RA−1)の水性分散体(RX−1)を得た。
水性分散体(RX−1)のpHは6.5、ELS−800で測定した樹脂粒子(RA−1)の体積平均粒径は1.0μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(RA−1)のD(2.0)/D(7.0)は8.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(RX−2)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)を比較製造例2で得られたポリエステル樹脂(Ra−2)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(Ra−2)を含有する樹脂粒子(RA−2)の水性分散体(RX−2)を得た。
水性分散体(RX−2)のpHは3.8、ELS−800で測定した樹脂粒子(RA−2)の体積平均粒径は0.03μmであった。また、実施例1と同様にして測定した(RA−2)のD(2.0)/D(7.0)は2.0であった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(RX−3)の調整]
製造例3で得られたポリエステル樹脂(a−3)10部をテトラヒドロフラン(THF)30部に溶解し、水酸化カリウム0.07部を加えた。よく撹拌されているこの溶液に水23部を徐々に加えた後、40℃、−0.03MPaでガスクロマトグラフィーで測定したTHF含有量が0.1%となるまで脱溶剤して、ポリエステル樹脂(a−3)を含有する樹脂粒子(RA−3)の水性分散体(RX−3)を得た。
水性分散体(RX−3)のpHは9.0、ELS−800で測定した樹脂粒子(RA−3)の体積平均粒径は0.03μmであった。また、実施例4と同様にして測定した(RA−3)のD(2.0)/D(7.0)は15.0であった。
[樹脂粒子(B−1)の水性分散体(Y−1)の調整]
イオン交換水695部、ドデシル硫酸ナトリウム5部、酢酸エチル80部を加え、よく撹拌した。そこに、デスモフェンA575X(水酸基含有アクリル系ポリマー)[住友バイエルウレタン株式会社製]/デュラネートTPA−B80E(硬化剤:HDIイソシアヌレート型ブロック化物)[旭化成工業株式会社製]/ジブチル錫ラウレート(重量比67/32/1)の混合物を286部加えた後、得られた混合溶液をTKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を用いて12000rpm、2分間撹拌した。その後、耐圧反応容器に移し、酢酸エチル濃度が0.5%以下となるまで減圧下で脱溶剤することにより、[ビニル・ウレタン複合樹脂b1]を含有する樹脂粒子(B−1)の水性分散体(Y−1)を得た。樹脂粒子(B−1)の体積平均粒径は20μmであった。また、(B−1)を濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、揮発分を0.5%以下として測定したTgは28℃であった。
[線形ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール765部、テレフタル酸ジメチルエステル821部、アジピン酸47部、および縮合触媒としてテレフタル酸チタン1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が180℃になった時点で無水トリメリット酸24部を仕込み、180℃で1時間攪拌した後、取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは372部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[ポリエステル樹脂b2]を得た。[ポリエステル樹脂b2]のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は1900、Tgは55℃であった。
[非線形ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール781部、テレフタル酸ジメチルエステル794部、アジピン酸66部、無水トリメリット酸38部および縮合触媒としてテレフタル酸チタン1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。回収された1,2−プロピレングリコールは400部であった。次いで180℃まで冷却し、軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[ポリエステル樹脂b3]を得た。[ポリエステル樹脂b3]のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は5500、Tgは57℃であった。
[樹脂溶液の製造]
温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[ポリエステル樹脂b3]10部および酢酸エチル10部を入れ、攪拌して均一分散させ、[樹脂溶液b3]を得た。
ビーカー内に[ポリエステル樹脂b2]24部および[樹脂溶液b3]12部を入れ、25℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[樹脂溶液1]を得た。
ビーカー内にイオン交換水97部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。ついで25℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1]75部を投入し2分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、昇温して35℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、[ポリエステル樹脂b2]と[ポリエステル樹脂b3]の混合樹脂を含有する樹脂粒子(B−2)の水性分散体(Y−2)を得た。樹脂粒子(B−2)の体積平均粒径は5.5μmであった。また、(B−2)を濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、揮発分を0.5%以下として測定したTgは56℃であった。
イオン交換水973部、0.1mol/L Na3PO3水溶液329部、1.0mol/L CaCl3水溶液49部を60℃で撹拌・混合して[水性媒体W−1]を調整した。
スチレン230部、n−ブチルアクリレート98部、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル9.8部を撹拌混合し、ビニルモノマー混合液を作成した。
製造例11で別途作成した[水性媒体W−1]に上記のビニルモノマー混合液を投入し、TKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を用いて60℃、12000rpm、窒素雰囲気下で15分間撹拌し、懸濁液を作成した。得られた懸濁液をパドル撹拌翼で撹拌しながら60℃で15時間重合し、[ビニル樹脂(b4)]を含有する樹脂粒子(B−3)の水性分散体(Y−3)を得た。樹脂粒子(B−3)の体積平均粒径は10μmであった。また、(B−3)を濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、揮発分を0.5%以下として測定したTgは40℃であった。
製造例6で得た樹脂粒子(B−1)の水性分散体(Y−1)100部に製造例11で作成した[水性媒体W−1]200部を加えて3時間撹拌した。
ここにポリエステル樹脂水性分散体(X−1)を6部添加し、さらに15分撹拌した。温度65℃まで昇温し、ついで0.2mol/Lの塩酸水溶液を0.001L/minの速度で分散液のpHが1.5になるまで滴下して、1時間撹拌し、冷却して、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−1)の水性分散体(Z−1)を得た。
さらに(Z−1)をろ過、水洗、乾燥し、揮発分を0.5%以下として、複合樹脂粒子(C−1)を得た。(C−1)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−2)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−2)の水性分散体(Z−2)ならびに複合樹脂粒子(C−2)を得た。(C−2)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−3)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−3)の水性分散体(Z−3)ならびに複合樹脂粒子(C−3)を得た。(C−3)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−4)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−4)の水性分散体(Z−4)ならびに複合樹脂粒子(C−4)を得た。(C−4)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−5)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−5)の水性分散体(Z−5)ならびに複合樹脂粒子(C−5)を得た。(C−5)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
製造例10で得た樹脂粒子(B−2)の水性分散体(Y−2)100部に製造例11で作成した[水性媒体W−1]200部を加えて3時間撹拌した。
ここにポリエステル樹脂水性分散体(X−1)を8部添加し、さらに15分撹拌した。温度70℃まで昇温し、ついで0.2mol/Lの塩酸水溶液を0.001L/minの速度で分散液のpHが1.5になるまで滴下して、1時間撹拌し、冷却して、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−6)の水性分散体(Z−6)を得た。
さらに(Z−6)をろ過、水洗、乾燥し、揮発分を0.5%以下として、複合樹脂粒子(C−6)を得た。(C−6)の体積平均粒子径は5.5μm、Tgは56℃であった。
製造例12で得た樹脂粒子(B−3)の水性分散体(Y−3)100部にポリエステル樹脂水性分散体(X−1)を4部添加し、15分撹拌した。温度55℃まで昇温し、ついで0.2mol/Lの塩酸水溶液を0.001L/minの速度で分散液のpHが1.5になるまで滴下して、1時間撹拌し、冷却して、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−7)の水性分散体(Z−7)を得た。
さらに(Z−7)をろ過、水洗、乾燥し、揮発分を0.5%以下として、複合樹脂粒子(C−7)を得た。(C−7)の体積平均粒子径は10μm、Tgは40℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−6)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−8)の水性分散体(Z−8)ならびに複合樹脂粒子(C−8)を得た。(C−8)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−7)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−9)の水性分散体(Z−9)ならびに複合樹脂粒子(C−9)を得た。(C−9)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(RX−1)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(RC−1)の水性分散体(RZ−1)ならびに複合樹脂粒子(RC−1)を得た。(RC−1)の体積平均粒子径は26μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(RX−2)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(RC−2)の水性分散体(RZ−2)ならびに複合樹脂粒子(RC−2)を得た。(RC−2)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(RX−3)に変更した以外は評価例1と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(RC−3)の水性分散体(RZ−3)ならびに複合樹脂粒子(RC−3)を得た。(RC−3)の体積平均粒子径は21μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)〜(X−7)、および(RX−1)〜(RX−3)のそれぞれを用いて表面被覆した複合樹脂粒子(C−1)〜(C−9)、(RC−1)〜(RC−3)の、下記の方法で評価した保存安定性と、前記の方法で測定した表面被覆率の評価結果を表1に示す。
〔保存安定性〕
50℃に温調された乾燥機に樹脂粒子を15時間静置し、ブロッキングの程度により下記の基準で評価した。
○ : ブロッキングが発生しない。
△ : ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
× : ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。
得られた複合樹脂粒子は、塗料用添加剤、化粧品用添加剤、紙塗工用添加剤、スラッシュ成型用樹脂、粉体塗料、電子写真トナー用母体粒子、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、医療診断用担体、電気粘性用粒子、その他成型用樹脂粒子等として有用である。
Claims (5)
- ポリオール成分とポリカルボン酸成分が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W1)中に分散させる工程を含むポリエステル樹脂水性分散体の製造方法において、(a)がスルホン酸基、およびスルホン酸塩基から選ばれる少なくとも一種類の官能基を合計で0.1〜1mmol/g含有し、(a)中のカルボキシル基に由来する酸価(m)とカルボキシル基の中和当量(n)の関係が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
0≦m×n≦5 ・・・式(1) - 樹脂粒子(A)のpH7.0での体積平均粒径D(7.0)とpH2.0での体積平均粒径D(2.0)が下記式(2)を満足する、請求項1記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
1≦D(2.0)/D(7.0)≦10 ・・・式(2) - ポリエステル樹脂(a)のポリオール成分がビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を含有し、該ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物中の2モル付加物と3モル付加物の重量比が100/0〜40/60であり、ポリカルボン酸成分中の芳香環を有さないポリカルボン酸の含有量が5重量%以下であり、かつチタン元素の含有量が(a)の重量に対して100〜4000ppmである、請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
- 得られるポリエステル樹脂水性分散体(X)中の有機溶剤(S)の含有量が0.02〜2重量%である、請求項1〜3のいずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
- 樹脂粒子(A)の体積平均粒径が0.01〜5μmである、請求項1〜4のいずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)の製造方法。
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