JP2011089118A - ポリエステル樹脂水性分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオール成分(g)とポリカルボン酸成分(h)が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W)中に分散されてなる水性分散体において、(a)のポリオール成分(g)が炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(g1)を80モル%以上含有し、ポリカルボン酸成分(h)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(h1)を合計で80モル%以上と3価以上のポリカルボン酸(h2)を含有し、かつチタン元素の含有量が(a)の重量に対して100〜4000ppmである、ポリエステル樹脂水性分散体(X)。
【選択図】 なし
Description
すなわち本発明は、以下の(I)から(III)で表される。
(I) ポリオール成分(g)とポリカルボン酸成分(h)が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W)中に分散されてなる水性分散体において、(a)のポリオール成分(g)が炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(g1)を80モル%以上含有し、ポリカルボン酸成分(h)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(h1)を合計で80モル%以上と3価以上のポリカルボン酸(h2)を含有し、かつチタン元素の含有量が(a)の重量に対して100〜4000ppmである、ポリエステル樹脂水性分散体(X)。
(II) 上記のポリエステル樹脂水性分散体(X)と樹脂(b)またはその有機溶剤溶液(O)とを混合し、(X)中に(O)を分散させ、必要により(X)中で、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることで、(B)の表面が樹脂粒子(A)、または(A)に由来する被膜で被覆された構造の複合樹脂粒子(C)の水性分散体(Y)を得ることを特徴とする、複合樹脂粒子水性分散体の製造方法。
(III)上記の複合樹脂粒子水性分散体の製造方法により得られた水性分散体から水性媒体が除去されてなる複合樹脂粒子(C)。
本発明におけるポリエステル樹脂(a)は、ポリオール成分(g)およびポリカルボン酸成分(h)を用いて製造される。ポリオール成分(g)としては、ジオールおよび/または3価以上のポリオールが挙げられる。ポリカルボン酸成分(h)としては、ジカルボン酸および/または3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。
複合樹脂粒子を形成させた時の保存安定性の点から、ポリオール成分(g)は、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(g1)を80モル%以上含有し、ポリカルボン酸成分(h)は、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(h1)を合計で80モル%以上と、3価以上のポリカルボン酸(h2)を含有する。
これら(g1)のうち、複合樹脂粒子を形成させた時の保存安定性の観点から、分子末端に1級水酸基を有する分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸とその同一ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、1種として数える。
これら(h1)のうち、複合樹脂粒子を形成させた時の保存安定性の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=3/7〜7/3であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=3/7〜7/3である。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(h)中の(h2)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは2〜17モル%、とくに好ましくは5〜15モル%である。
本発明において、ポリエステル樹脂(a)中のチタン元素の含有量は、蛍光X線分析装置(PANalytical社製)によって測定される。(a)の組成が特定されている場合は、チタン含有触媒等のチタン元素を含有する成分の(a)中の含有量から求められる計算値であってもよい。
チタン元素含有量を上記範囲に調整する方法としては、(a)を得る際の重縮合反応時に1種以上のチタン含有触媒を用い、その使用量で調整する方法が好ましい。チタン元素含有量が100ppm以上となる使用量では、重縮合触媒としての作用が十分得られ、4000ppm以下となる使用量であると、触媒量に応じて高い触媒作用が得られる。
Ti(−X)m(−OR1)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR1)q (II)
[式(I)および(II)中、R1はH、1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの場合、他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、それぞれのR1は同一であっても異なっていてもよい。]
炭素数1〜18のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。
炭素数1〜18のアシル基の具体例としては、炭素数1〜18の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族モノカルボン酸または芳香族ポリカルボン酸から、1個のCOOH基中のOHを除いた残基である。脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。脂肪族ポリカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。芳香族モノカルボン酸の具体例としては、安息香酸、サリチル酸、ナフチル酸などが挙げられる。芳香族ポリカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
これらR1のうち好ましくは、Hおよび炭素数1〜18のアシル基であり、さらに好ましくは、Hおよび脂肪族モノカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸から1個のCOOH基中のOHを除いた残基であり、特に好ましくは、Hおよびアセチル基であり、最も好ましくはHである。
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在し、それが同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマー成分が増え、保存安定性悪化の原因になる。
Xとして好ましいものは、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)の残基、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。 mまたはpが2以上の場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
nが2以上の場合、複数存在するR1は同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタン・トリエタノールアミン(4)〔チタンにトリエタノールアミンが4個配位した化合物を意味する。以下同様の記載法で表記する。〕、チタン・ジエタノールアミン(4)、チタン・モノエタノールアミン(4)、チタン・トリエタノールアミン(3)・ジエタノールアミン(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(3)、チタン・トリエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・ジエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(2)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノプロパノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・プロピオン酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(3)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(2)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(1)・OH(1)・マレイン酸(1)・アジピン酸(1)、チタン・N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(1)・OH(1)・トリメリット酸(2)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(I−1)、(I−2)、または(I−3)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(II−1)または(II−2)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
ポリオール成分(g)とポリカルボン酸成分(h)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じて重縮合触媒を使用することができる。重縮合触媒としては、前記チタン含有触媒が好ましい。
(a)のTgが50℃以上であると、ポリエステル樹脂水性分散体(X)中での樹脂粒子(A)の再凝集を防止でき、また複合樹脂粒子を形成した際の保存安定性が向上する。
本発明において、Tgは、セイコー電子工業(株)製DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<フロー軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
(i)ポリエステル樹脂(a)を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子(A)を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(ii)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子(A)を得た後、樹脂粒子(A)を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(iii)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子(A)を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子(A)を得た後、それを適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(iv)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法、
(v)ポリエステル樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な分散剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、
等が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは通常1または2;mは1または2;Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
具体的には、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
ポリエステル樹脂(a)との親和性の観点から、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが用いられる。
上記の方法において有機溶剤(S)を除去する方法は特に限定されず、公知の方法が適用でき、例えば以下の〔1〕〜〔2〕及びこれらを組合せた方法等が適用できる。
〔1〕一般的な攪拌脱溶剤槽やフィルムエバポレータ等において、加熱及び/又は減圧により脱溶剤する方法。
〔2〕液面、あるいは液中においてエアーブローして脱溶剤する方法。
上記〔1〕の方法で、加熱する際の温度は、樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、通常Tgより5℃以上低い温度が好ましく、より好ましくは10℃以上低い温度、特に好ましくは20℃以上低い温度である。減圧する際の減圧度(ゲージ圧)は、−0.03MPa以下が好ましく、より好ましくは−0.05MPa以下である。
また、ポリエステル樹脂水性分散体(X)中の樹脂粒子(A)の含量としては、(X)中での(A)の再凝集を防止するため、40%以下であることが好ましい。さらに好ましくは35%以下、特に好ましくは5〜30%である。
なお、本発明において、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチサイザーIII(コールター社製)、光学系としてレーザードップラー法を用いるELS−800(大塚電子社製)などで測定できる。もし、各測定装置間で粒径の測定値に差を生じた場合は、ELS−800での測定値を採用する。
なお、樹脂(b)としては、複合樹脂粒子水性分散体(Y)を作成する際に、(b)の代わりに(b)の前躯体をポリエステル樹脂水性分散体(X)と混合し、その場で前躯体を反応させて形成させた樹脂であってもよい。
樹脂(b)のTgは、ポリエステル樹脂(a)に比べて低いほうが、樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)に付着しやすく、好ましい。(b)のTgは、具体的には、好ましくは20〜65℃、さらに好ましくは25〜60℃である。
(1−1)脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(1−2)脂環式ビニル系炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
(1−3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;およびビニルナフタレン。
O−(AO)nSO3H
|
CH2=CHCH2−OCH2CHCH2O−Ar−R (3−1)
CH=CH−CH3
|
R−Ar−O−(AO)nSO3H (3−2)
CH2COOR’
|
HO3SCHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (3−3)
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダムでもブロックでもよい。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示し、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。)
(6−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
(6−2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
(6−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)
(6−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等
(9−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等
(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン
(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
ジオールとして好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。更に好ましいものは、ビスフェノール類(特にビスフェノールA)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜8)、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールであり、3〜8価もしくはそれ以上のポリオールのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ジカルボン酸として好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体であり、3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸として好ましいものはトリメリット酸およびピロメリット酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
本発明の複合樹脂粒子水性分散体の製造方法で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであればとくに限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製) 、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
樹脂(b)の有機溶剤溶液に用いる有機溶剤は、樹脂(b)を常温もしくは加熱下で溶解しうる溶剤であればとくに限定されず、具体的には、有機溶剤(S)と同様のものが例示される。好ましいものは樹脂(b)の種類によって異なるが、(b)とのsp値差(sp値はFedorsらの方法による。以下同様。)が3以下であるのが好適である。また、複合樹脂粒子(C)の粒径均一性の観点からは、樹脂(b)を溶解させるが、ポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を溶解・膨潤させにくい溶剤が好ましい。
上記の方法としては、(B)に付着された(A)を有機溶剤に溶解させる方法、および複合樹脂粒子(C1)の水性分散体(Y1)を加熱して(A)を溶融し被膜化させる方法が挙げられ、これらの方法を併用してもよい。
溶剤としては、(b)との親和性が高いものが好ましく、具体例としては、前記の溶剤(S)と同様のものが挙げられる。(S)の中で好ましいものは、被膜化の点から、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、および酢酸エチルである。
(a)を溶剤に溶解させる際の、水性樹脂分散体(Y)中の溶剤濃度は、好ましくは3〜60%、さらに好ましくは10〜45%、とくに好ましくは15〜30%である。また、溶解は、水性樹脂分散体(Y)を、例えば1〜10時間攪拌することにより行い、溶解時の温度は、15〜45℃が好ましく、15〜30℃がさらに好ましい。
なお、被膜化処理の方法とし、溶剤含有量が2%以下の複合樹脂粒子(C)の水性分散体(Y)を加熱処理し、(A)を溶融させることでより表面が平滑な複合樹脂粒子(C)を得る際の好ましい加熱処理温度は、樹脂(a)のTg以上であり、また80℃以下の温度範囲が好ましい。加熱処理温度が(a)のTg未満であると得られる複合樹脂粒子(C)の表面平滑性はほとんど変化がない。また80℃を越える温度で加熱処理すると樹脂粒子(A)由来の被膜が樹脂粒子(B)から剥がれる場合がある。
これらの(A)の被膜化方法の中で、好ましい方法は、(A)を溶融させる方法、および(A)を溶解させる方法と(A)を溶融させる方法の併用である。
〔1〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を減圧下または常圧下で乾燥する方法
〔2〕 遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
〔3〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)等が例示される。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
両粒子の付着力をさらに強めたい場合には、水性媒体中に分散した際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにしたり、樹脂粒子(A)、(B)が同一の電荷を持つ場合には、界面活性剤または水溶性ポリマーのうち、樹脂粒子(A)および(B)と逆電荷を持つものを使用したり、またポリエステル樹脂(a)と樹脂(b)のsp値差をできるだけ小さく(例えば2以下)したりすることが有効である。
〔1〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにすると吸着力が発生し、この場合、(A)、(B)各々の電荷を大きくするほど、吸着力が強くなり(A)の(B)に対する被覆率が大きくなる。
〔2〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が同極性(どちらも正、またはどちらも負)の電荷を持つようにすると、被覆率は下がる傾向にある。この場合、一般に界面活性剤および/または水溶性ポリマー[とくに(A)および(B)と逆電荷を有するもの]を使用すると被覆率が上がる。
〔3〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を製造する際に、ポリエステル樹脂(a)がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性媒体のpHが低いほど被覆率が大きくなる。逆に、pHを高くするほど被覆率が小さくなる。
〔4〕 複合樹脂粒子水性分散体(Y)を製造する際に、ポリエステル樹脂(a)が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性官能基を有する樹脂(一般に塩基性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性媒体のpHが高いほど被覆率が大きくなる。逆に、pHを低くするほど被覆率が小さくなる。
〔5〕 ポリエステル樹脂(a)と樹脂(b)のΔsp値を小さくすると被覆率が大きくなる。
また、本発明の複合樹脂粒子(C)においては、添加剤は、必ずしも、(X)中で樹脂粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、有機溶剤(S)とともに上記添加剤を含浸させることもできる。
なお、樹脂粒子(B)中の樹脂(b)の含有量は、粒子の強度の点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
表面被覆率(%)=100×[樹脂粒子(A)もしくは(A)に由来する被膜に覆われている部分の面積]/[樹脂粒子(A)もしくは(A)に由来する被膜に覆われている部分の面積+樹脂粒子(B)が露出している部分の面積]
[ポリエステル樹脂(a−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸163部(0.98モル)、イソフタル酸163部(0.98モル)、エチレングリコール248部(4.0モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)[チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)]2.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸8.3部(0.043モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のフロー軟化点(Tm)で取り出した。回収されたエチレングリコールは124部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−1)とする。
(a−1)のTgは79℃、Tmは141℃、チタン元素の含有量は635ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸224部(1.35モル)、イソフタル酸96部(0.58モル)、エチレングリコール248部(4.0モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸7.6部(0.04モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のTmで取り出した。回収されたエチレングリコールは126部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−2)とする。
(a−2)のTgは78℃、Tmは140℃、チタン元素の含有量は648ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸224部(1.35モル)、無水フタル酸86部(0.58モル)、エチレングリコール248部(4.0モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸7.6部(0.04モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のTmで取り出した。回収されたエチレングリコールは126部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−3)とする。
(a−3)のTgは73℃、Tmは138℃、チタン元素の含有量は668ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸96部(0.58モル)、イソフタル酸224部(1.35モル)、エチレングリコール248部(4.0モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸7.6部(0.04モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のTmで取り出した。回収されたエチレングリコールは126部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−4)とする。
(a−4)のTgは71℃、Tmは136℃、チタン元素の含有量は322ppmであった。
[ポリエステル樹脂(a−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸96部(0.58モル)、無水フタル酸200部(1.35モル)、エチレングリコール248部(4.0モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)4.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸7.6部(0.04モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のTmで取り出した。回収されたエチレングリコールは126部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−5)とする。
(a−5)のTgは71℃、Tmは136℃、チタン元素の含有量は1290ppmであった。
[ポリエステル樹脂(Ra−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸320部(1.93モル)、エチレングリコール186部(3.0モル)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下POと記載する。)付加物:ニューポールBP−3P(三洋化成工業製:PO2モル付加物30%、3モル付加物41%、4モル付加物23%、5モル以上付加物6%)402部(1.0モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸12部(0.06モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定のTmで取り出した。回収されたエチレングリコールは124部(2.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(Ra−1)とする。
(Ra−1)のTgは71℃、Tmは140℃、チタン元素の含有量は339ppmであった。
[ポリエステル樹脂(Ra−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸289部(1.74モル)、フマル酸22部(0.19モル)、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物98%、3モル付加物2%)530部(1.52モル)、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−3P 204部(0.51モル)、重合触媒としてチタニウムジヒドロキシビストリエタノールアミネート5.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸19部(0.10モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(Ra−2)とする。
(Ra−2)のTgは69℃、Tmは142℃、チタン元素の含有量は635ppmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)の調整]
製造例1で得られたポリエステル樹脂(a−1)10部をテトラヒドロフラン(THF)30部に溶解し、トリエチルアミン2部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON−7」)1部を加えた。よく撹拌されているこの溶液に水23部を徐々に加えた後、40℃、−0.03MPaで、ガスクロマトグラフィーで測定したTHF含有量が0.1%となるまで脱溶剤して、ポリエステル樹脂(a−1)を含有する樹脂粒子の水性分散体(X−1)を得た。
ELS−800で測定した樹脂粒子の体積平均粒径は0.06μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−2)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(a−2)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−2)を含有する樹脂粒子の水性分散体(X−2)を得た。
ELS−800で測定した樹脂粒子の体積平均粒径は0.03μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−3)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(a−3)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−3)を含有する樹脂粒子の水性分散体(X−3)を得た。
ELS−800で測定した樹脂粒子の体積平均粒径は0.04μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−4)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(a−4)に変え、THF含有量が0.05重量%となるまで脱溶剤した他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−4)を含有する樹脂粒子の水性分散体(X−4)を得た。
ELS−800で測定した樹脂粒子の体積平均粒径は0.10μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(X−5)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(a−5)に変え、THF含有量が0.5重量%となるまで脱溶剤した他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(a−5)を含有する樹脂粒子の水性分散体(X−5)を得た。
ELS−800で測定した樹脂粒子の体積平均粒径は0.05μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(RX−1)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(Ra−1)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(Ra−1)を含有する樹脂粒子の水性分散体(RX−1)を得た。
ELS−800で測定した体積平均粒径は0.04μmであった。
[ポリエステル樹脂水性分散体(RX−2)の調整]
ポリエステル樹脂(a−1)をポリエステル樹脂(Ra−2)に変える他は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂(Ra−2)を含有する樹脂粒子の水性分散体(RX−2)を得た。
ELS−800で測定した体積平均粒径は0.05μmであった。
イオン交換水795部、ドデシル硫酸ナトリウム5部、酢酸エチル80部を加え、よく撹拌した。この混合溶液に、デスモフェンA575X(水酸基含有アクリル系ポリマー)[住友バイエルウレタン株式会社製]/デュラネートTPA−B80E(HDIイソシアヌレート型ブロック化物)[旭化成工業株式会社製]/ジブチル錫ラウレート(重量比67/32/1)の混合物を286部加えた。得られた混合溶液をTKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を用いて12000rpm、2分間撹拌した後、耐圧反応容器に移し、40℃まで昇温しながら常圧で脱溶剤することにより、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液を凍結乾燥法で粉体として取り出し、[ビニル・ウレタン複合樹脂b1]を含有する樹脂粒子(B−1)を得た。体積平均粒径は19μm、Tgは28℃であった。[ビニル・ウレタン複合樹脂b1]は、後述する実施例6において、樹脂粒子(B)を形成する樹脂である。
[線形ポリエステル樹脂の合成]
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール765部、テレフタル酸ジメチルエステル821部、アジピン酸47部、および縮合触媒としてテレフタル酸チタン1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が180℃になった時点で無水トリメリット酸24部を仕込み、180℃で1時間攪拌した後、取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは372部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[ポリエステル樹脂b2]を得た。[ポリエステル樹脂b2]のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は1900、Tgは55℃であった。
[非線形ポリエステル樹脂の合成]
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール781部、テレフタル酸ジメチルエステル794部、アジピン酸66部、無水トリメリット酸38部および縮合触媒としてテレフタル酸チタン1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。回収された1,2−プロピレングリコールは400部であった。次いで180℃まで冷却し、軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[ポリエステル樹脂b3]を得た。[ポリエステル樹脂b3]のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は5500、Tgは57℃であった。
[樹脂溶液の製造]
温度計および撹拌機の付いた反応容器中に、[ポリエステル樹脂b3]10部および酢酸エチル10部を入れ、攪拌して均一分散させ、[樹脂溶液b3]を得た。
イオン交換水695部、ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)100部、ドデシル硫酸ナトリウム5部、酢酸エチル80部を加え、よく撹拌した。そこに、デスモフェンA575X(水酸基含有アクリル系ポリマー)[住友バイエルウレタン株式会社製]/デュラネートTPA−B80E(硬化剤:HDIイソシアヌレート型ブロック化物)[旭化成工業株式会社製]/ジブチル錫ラウレート(重量比67/32/1)の混合物を286部加えた後、得られた混合溶液をTKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を用いて12000rpm、2分間撹拌した。その後、耐圧反応容器に移し、40℃まで昇温しながら酢酸エチル濃度が0.5%以下となるまで常圧で脱溶剤することにより、[ビニル・ウレタン複合樹脂b1]を含有する樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−1)の水性分散体(Y−1)を得た。
さらに(Y−1)をろ過、水洗、乾燥し、揮発分を0.5%以下として、複合樹脂粒子(C−1)を得た。(C−1)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−2)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−2)の水性分散体(Y−2)ならびに複合樹脂粒子(C−2)を得た。(C−2)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−3)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−3)の水性分散体(Y−3)ならびに複合樹脂粒子(C−3)を得た。(C−3)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−4)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−4)の水性分散体(Y−4)ならびに複合樹脂粒子(C−4)を得た。(C−4)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(X−5)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(C−5)の水性分散体(Y−5)ならびに複合樹脂粒子(C−5)を得た。(C−5)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ビーカー内に[ポリエステル樹脂b2]24部および[樹脂溶液b3]12部を入れ、25℃にてTK式ホモミキサーで8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[樹脂溶液1A]を得た。
ビーカー内にイオン交換水97部、ポリエステル樹脂水性分散体(X−2)15.4部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。ついで25℃で、TK式ホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1A]75部を投入し2分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、昇温して35℃で濃度が0.5%以下となるまで酢酸エチルを留去し、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子水性分散体(Y−6)を得た。次いで濾別し、40℃×18時間乾燥を行い、揮発分を0.5%以下として、複合樹脂粒子(C−6)を得た。複合樹脂粒子(C−6)の体積平均粒径は5.5μm、Tgは56℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(RX−1)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(RC−1)の水性分散体(RY−1)ならびに複合樹脂粒子(RC−1)を得た。(RC−1)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)をポリエステル樹脂水性分散体(RX−2)に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂粒子(B)の表面にポリエステル樹脂の被膜が形成された複合樹脂粒子(RC−2)の水性分散体(RY−2)ならびに複合樹脂粒子(RC−2)を得た。(RC−2)の体積平均粒子径は20μm、Tgは28℃であった。
ポリエステル樹脂水性分散体(X−1)〜(X−5)、および(RX−1)〜(RX−2)のそれぞれを用いて表面被覆した複合樹脂粒子(C−1)〜(C−6)、(RC−1)〜(RC−2)の、下記の方法で評価した保存安定性と、前記の方法で測定した表面被覆率の評価結果を表1に示す。
〔保存安定性〕
50℃に温調された乾燥機に樹脂粒子を15時間静置し、ブロッキングの程度により下記の基準で評価した。
○ : ブロッキングが発生しない。
△ : ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
× : ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。
得られた複合樹脂粒子は、塗料用添加剤、化粧品用添加剤、紙塗工用添加剤、スラッシュ成型用樹脂、粉体塗料、電子写真トナー用母体粒子、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、医療診断用担体、電気粘性用粒子、その他成型用樹脂粒子等として有用である。
Claims (7)
- ポリオール成分(g)とポリカルボン酸成分(h)が重縮合されてなるポリエステル樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)が、必要により有機溶剤(S)を含有する水性媒体(W)中に分散されてなる水性分散体において、(a)のポリオール成分(g)が炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(g1)を80モル%以上含有し、ポリカルボン酸成分(h)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(h1)を合計で80モル%以上と3価以上のポリカルボン酸(h2)を含有し、かつチタン元素の含有量が(a)の重量に対して100〜4000ppmである、ポリエステル樹脂水性分散体(X)。
- ポリエステル樹脂水性分散体(X)中の有機溶剤(S)の含有量が0.02〜2重量%である、請求項1記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)。
- 樹脂粒子(A)の体積平均粒径が0.01〜5μmである、請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)。
- 請求項1〜3いずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体(X)と樹脂(b)またはその有機溶剤溶液(O)とを混合し、(X)中に(O)を分散させ、必要により(X)中で、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることで、(B)の表面が樹脂粒子(A)、または(A)に由来する被膜で被覆された構造の複合樹脂粒子(C)の水性分散体(Y)を得ることを特徴とする、複合樹脂粒子水性分散体の製造方法。
- 樹脂(b)が、ポリエステル樹脂(a)よりもガラス転移温度が低い、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびシリコーン樹脂の群より選ばれる少なくとも1種類を含有し、樹脂粒子(B)中の60重量%以上が樹脂(b)である、請求項4記載の複合樹脂粒子水性分散体の製造方法。
- 得られる複合樹脂粒子(C)の体積平均粒径が、樹脂粒子(A)の体積平均粒径の10倍以上である、請求項4または5記載の複合樹脂粒子水性分散体の製造方法。
- 請求項4〜6いずれか記載の複合樹脂粒子水性分散体の製造方法により得られた水性分散体から水性媒体が除去されてなる複合樹脂粒子(C)。
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