JP2012081582A - 生産システム用汎用セル及び該汎用セルを用いた生産システム - Google Patents
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Abstract
【課題】生産システムを構成する汎用セルとしての高い汎用性によってラインレイアウトの自由度を高く維持し、ひいてはライン構成の変更等に際しての時間的、コスト的なロスをより好適に削減する。
【解決手段】生産システムを構成する汎用セルとして、被加工物(ワーク)の加工に最低限必要とされる要素、すなわちロボット60が支持されたベースユニット10、ロボット60に対してワークの部品を供給する部品供給ユニット20、そしてベースユニット10の外側に延設される加工エリア30をセットとして1つの汎用セル100を構成する。ベースユニット10は、平面形状が正六角正からなって、少なくともワークの搬送に用いられるロボット60をこの正六角形からなる平面領域上を移動可能に支持する。そして、このロボット60の動作範囲を、加工エリア30の少なくとも一部を含むかたちで、ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定する。
【選択図】図1
【解決手段】生産システムを構成する汎用セルとして、被加工物(ワーク)の加工に最低限必要とされる要素、すなわちロボット60が支持されたベースユニット10、ロボット60に対してワークの部品を供給する部品供給ユニット20、そしてベースユニット10の外側に延設される加工エリア30をセットとして1つの汎用セル100を構成する。ベースユニット10は、平面形状が正六角正からなって、少なくともワークの搬送に用いられるロボット60をこの正六角形からなる平面領域上を移動可能に支持する。そして、このロボット60の動作範囲を、加工エリア30の少なくとも一部を含むかたちで、ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いてラインレイアウトされる生産システムに関するものである。
近年、小型の電機製品や電子製品等は、多品種少量生産化や製品サイクルの短期間化が進んでおり、これら電機製品や電子製品等を生産する生産ラインも、生産対象となる製品にあわせて、ライン構成の組み替えが頻繁に行われる傾向にある。こうした生産ラインは、他の製品の生産に移行する際のライン変更に時間やコストがかかることから、人手によるセル生産で対応している場合も多いものの、このような場合にあっても製品の品質や生産安定性の面からは生産ラインを自動化することが望まれている。
そこで従来は、例えば特許文献1に見られるように、被加工物(ワーク)をその保持媒体であるパレットに載置した状態でこれを搬送するコンベアと共々、生産システムを複数の組立セルとしてセル化することによって、ライン構成にかかるこうした時間的な、そしてコスト的なロスの削減を狙ったシステムなども提案されている。すなわちこのシステムでは、それら分割した各セルに対し、別途に設けられた複数の部品供給装置からの選択的な部品の供給を可能とし、またそれらセル自体に多品種にわたる被加工物に対応してこれを加工する機能を持たせることによって、上記時間的、並びにコスト的なロスの削減を図るとともに、自動化の促進を図るようにしている。
また従来は、例えば特許文献2に記載のシステムのように、作業台を介して隣接されるセル(ロボット部)の基台上に設置されたロボットを備え、このロボットの組立ツールと被加工物の部品とを共に該当するセルに搬送して、ロボット自身にその組立ツールの着脱及び被加工物の加工を行わせるようにしたシステムも提案されている。このように各セルのロボットに必要とされる組立ツールを被加工物の部品と併せて搬入し、また、使用後の組立ツールについては、当該ロボットによって加工された被加工物と併せて搬出する搬送手段を備えることで、上記自動化のさらなる促進が図られるようになる。
また一方、これも従来の例えば特許文献3に記載のシステムのように、上記ロボットが基台上に設置されることの不都合に鑑み、組立作業台とは別途の支持部材を通じてロボットを天吊り状に支持するとともに、それらロボットの可動範囲内に対して部品供給を行う部品供給ユニットをそれらロボットに対向して配置するようにしたものもある。ロボットをこうして天吊り状に支持することで、組立作業台(基台)上のスペースを広く確保することができ、ひいては組立作業台上での組立動作にかかる自由度もより高く維持することができるようになる。
このように、生産システムとしてのライン構成の変更にかかる時間的、並びにコスト的なロスの削減、さらには自動化の促進を図るべく、従来より種々のシステムが提案されてはいるものの、上記セルとしての汎用性、あるいはラインレイアウトの自由度等といった観点からすると、いまだ改良の余地を残すものとなっている。
例えば、上記特許文献1に記載のセルあるいはシステムの場合、まずは生産対象となる複数種の被加工物(製品)の別に上記被加工物を保持するためのパレットを用意する必要があることから、同システムの実用に際しては多量のパレットが必要となり、その設計や製作にかかる時間、並びにコストが無視できない。しかも、それらパレットがコンベアによって搬送されるシステムであることから、該コンベア自体の搬送能力によってラインとしての生産量、生産能力が制限されてしまう不都合もある。
また、特許文献2に記載のシステムにあっては、上記コンベア等は不要であるものの、上述のようにセルを構成する基台上にロボットが設置される構造であることから、ロボット自身による組立ツールの着脱はもとより、被加工物の加工等にかかる作業領域の制限、さらには上記搬送手段によって搬送されるトレーサイズの制限が無視できない。また、同システムにあって、これら作業領域やトレーサイズを大きく確保しようとすれば、セルをはじめとする生産システム全体としての大型化も避けられない。
そして、上記特許文献3に記載のシステムにしろ、組立作業台上のスペースを広く確保することができるとはいえ、部品供給ユニットがそれら組立作業台に対向配置される構造であることから、ラインレイアウト上の自由度も自ずと制限されることとなり、結局は、ライン構成の変更にかかる時間的、並びにコスト的なロスの削減も難しい。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルとしての高い汎用性によってラインレイアウトの自由度を高く維持することができ、ひいてはライン構成の変更等に際しての時間的、コスト的なロスをより好適に削減することのできる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムを提供することにある。
本発明の生産システム用汎用セルでは、受け入れた被加工物を加工して送り出す生産システムにあって同被加工物の加工、搬送に汎用的に用いられる生産システム用汎用セルとして、平面形状が多角形からなって、少なくとも前記被加工物の搬送に用いられるロボットがこの多角形からなる平面領域上を移動可能に支持されてなるベースユニットと、該ベースユニットに支持されたロボットに対して前記被加工物の部品を供給する部品供給ユニットと、前記ベースユニットの外側に延設された加工エリアとを備え、前記ベースユニットに支持されたロボットの動作範囲が、前記加工エリアの少なくとも一部を含むかたちで、同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されるようにしている。
生産システム用汎用セルとしてのこのような構成によれば、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、いわば生産システム用のセルとして被加工物の加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの汎用セルが構成される。このため、当該セルに対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が自ずと高められることとなり、同セルの羅列のみで生産システムに求められる各種生産機能の実現が可能となる。すなわち、生産システムを構成する際のラインレイアウトの自由度が高く維持されるようになる。またこの汎用セルでは、上記加工エリアがベースユニットの外側に延設されるとともに、ベースユニットに設けられたロボットの動作範囲がこの加工エリアの一部を含むかたちで同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されていることから、こうした加工エリアとしての用途も自ずと広がり、例えば人手による手作業を行うためのエリアとしての利用も含めて、
(イ)ロボットにより搬送される被加工物に対して所要の加工を行う専用の加工機を設置するためのエリアとしての利用。
(ロ)ロボット自身が被加工物に対して所要の加工を行うためのエリアとしての利用。
等々、同加工エリアを種々の用途で利用することができるようになる。そしてこの場合であれ、被加工物の加工に必要とされる部品はセル毎に上記部品供給ユニットを通じて供給されることから、当該セルを単位として割り当てられる作業もしくは生産機能も、同セル毎に完結されるようになる。しかも、上記ベースユニット自体、その平面形状が多角形からなることで、互いにロボットの動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持されるとともに、上記ロボットがこの多角形からなる平面領域を移動可能に同ベースユニットに対して支持されることで、ベースユニットを構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セルとしての不要な大型化を招くこともなくなる。なお、こうした汎用セルにおいて、当該セルを構成する上記加工エリアについてはこれを、例えば交換可能な別体の構造体として上記ベースユニットの外側に延設される構造とすることもできる。この場合には、これら加工エリアとベースユニットとの間における振動等の伝達抑制効果が期待できるようにもなる。
(イ)ロボットにより搬送される被加工物に対して所要の加工を行う専用の加工機を設置するためのエリアとしての利用。
(ロ)ロボット自身が被加工物に対して所要の加工を行うためのエリアとしての利用。
等々、同加工エリアを種々の用途で利用することができるようになる。そしてこの場合であれ、被加工物の加工に必要とされる部品はセル毎に上記部品供給ユニットを通じて供給されることから、当該セルを単位として割り当てられる作業もしくは生産機能も、同セル毎に完結されるようになる。しかも、上記ベースユニット自体、その平面形状が多角形からなることで、互いにロボットの動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持されるとともに、上記ロボットがこの多角形からなる平面領域を移動可能に同ベースユニットに対して支持されることで、ベースユニットを構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セルとしての不要な大型化を招くこともなくなる。なお、こうした汎用セルにおいて、当該セルを構成する上記加工エリアについてはこれを、例えば交換可能な別体の構造体として上記ベースユニットの外側に延設される構造とすることもできる。この場合には、これら加工エリアとベースユニットとの間における振動等の伝達抑制効果が期待できるようにもなる。
また、この生産システム用汎用セルにおいて、前記被加工物の当該セルに対する供給、及び同被加工物の当該セルからの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリアが前記ロボットの動作範囲に収まる態様にて前記ベースユニットの外側にさらに延設される構成を採用するようにしてもよい。
このような生産システム用汎用セルによれば、例えばセル間での被加工物の搬送も、ロボットの動作範囲内におかれる上記給材、除材エリアを通じて行うことができるようになり、いわゆるバケット・ブリゲード(バケツ・リレー)方式による被加工物の当該セルへの供給や、同被加工物の当該セルからの排除も容易となる。
また、こうした生産システム用汎用セルにおいては、前記ベースユニットに同ベースユニットから直立する側壁を前記加工エリアから離間して設けるとともに、前記ロボットはこの側壁から突出する態様にて前記ベースユニットに支持されるロボットの支持態様が有効である。
この生産システム用汎用セルによるように、ロボットが上記多角形からなる平面領域を移動可能にベースユニットに対して支持される支持形態の一例として、ベースユニット内で、ロボットがこうして設けられた側壁から突出する態様にて支持されるようにすることで、ベースユニットとしての必要領域の確保、そして特に上記加工エリア側でのロボットの動作範囲の確保も容易となる。
そして、このような生産システム用汎用セルでは、前記加工エリアは前記ベースユニットよりも高い位置に段差をもって同ベースユニットからテーブル状に延設されてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーを前記側壁の裏面側から前記ベースユニットを経て前記テーブル状からなる加工エリアの下方に搬送するトレーフィーダを有する構成とすることが望ましい。
この生産システム用汎用セルによれば、部品供給ユニットから部品トレーに載置されて供給される部品が、上記トレーフィーダによりベースユニットを経て加工エリアの下方、すなわち加工エリアよりも低い位置に搬送可能となる。これにより、上記ベースユニット上の側壁から突出するロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等がより円滑になされるとともに、テーブル状からなる加工エリア全体をより有効に利用することができるようになる。
一方、こうした生産システム用汎用セルにおいては、前記ベースユニットの上方に支柱を介して支持された天井部を設けるとともに、前記ロボットはこの天井部から吊り下げられる態様にて前記ベースユニットに支持されるロボットの支持態様も有効である。
この生産システム用汎用セルによるように、ロボットが上記多角形からなる平面領域を移動可能にベースユニットに対して支持される支持形態の他の例として、ベースユニット内で、ロボットがこうして天井部から吊り下げられる態様にて支持されるようにすることで、同ロボットの動作範囲も、その下方の全領域を含む広い範囲をカバーすることが可能となり、特にベースユニットを構成する領域のさらなる有効利用が図られるようになる。
そして、このような生産システム用汎用セルでは、前記ロボットとして、互いに円形もしくは円弧状の動作領域をもつ第1及び第2のアームを有するとともに、前記第2のアームは、前記第1のアームと重なる位置を通過することが可能なスカラ型ロボットを採用することが特に望ましい。
この生産システム用汎用セルによれば、ロボットは、それぞれ動作範囲が円形もしくは円弧状を基本として、相互に重なり合う位置を通過できる第1及び第2のアームを備える。このことから、同ロボット全体としての動作範囲も、それら第1及び第2のアームの協働により、円形もしくは円弧状を基本として、それら円形もしくは円弧状の内部、すなわちベースユニットの内側から外側に至るように設定されているロボットの動作範囲において、その必要領域を効率よくカバーすることができるようになる。
また、こうした生産システム用汎用セルでは、前記部品供給ユニットが、前記被加工物の部品を前記加工エリアの近傍に供給することがより望ましい。
ロボットが天井部から吊り下げられる態様にて支持される場合、部品供給ユニットがする部品の供給を阻止する部分も基本的に存在しないことから、部品供給ユニットの配設にかかる自由度も自ずと高く維持される。すなわち、この生産システム用汎用セルによるように、部品供給ユニットは、部品を加工エリアの近傍に搬送可能なものであればよく、これによっても、ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等は円滑に実行されるようになる。しかもこの場合、ロボットの動作範囲がベースユニットに部品を搬送する部品供給ユニットの搬送領域を広く覆うことともなるため、例えば部品供給ユニット自体の大型化等を通じて、上記部品供給ユニットを通じた部品の供給にかかる操作頻度を低減することができるようにもなる。
ロボットが天井部から吊り下げられる態様にて支持される場合、部品供給ユニットがする部品の供給を阻止する部分も基本的に存在しないことから、部品供給ユニットの配設にかかる自由度も自ずと高く維持される。すなわち、この生産システム用汎用セルによるように、部品供給ユニットは、部品を加工エリアの近傍に搬送可能なものであればよく、これによっても、ロボットによる該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボットによる加工エリアへの搬送動作等は円滑に実行されるようになる。しかもこの場合、ロボットの動作範囲がベースユニットに部品を搬送する部品供給ユニットの搬送領域を広く覆うことともなるため、例えば部品供給ユニット自体の大型化等を通じて、上記部品供給ユニットを通じた部品の供給にかかる操作頻度を低減することができるようにもなる。
他方、この生産システム用汎用セルにおいて、前記加工エリアに前記被加工物の加工を行う専用の加工機が設置されるとき、前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.前記加工機を通じて加工された被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うことができる。
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.前記加工機を通じて加工された被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うことができる。
この生産システム用汎用セルは、前記(イ)として例示した加工エリアの利用態様についてこれを具現したものである。すなわちここでは、加工エリアに設置された加工機を通じて被加工物の加工が専用に行われることから、当該セルの羅列によって生産システムが構成される場合であれ、ベースユニットに設けられたロボットは、上記a.〜d.の操作のみを繰り返し実行することで済むこととなる。これにより、こうした汎用セルとしての標準化が促進されるとともに、その汎用性も極めて高く維持されるようになる。
また、この生産システム用汎用セルにおいて、前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.この部品を組み込んだ被加工物の前記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.この部品を組み込んだ被加工物の前記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
この生産システム用汎用セルは、前記(ロ)として例示した加工エリアの利用態様についてこれを具現したものである。ここでは、ベースユニットに設けられたロボットを通じて上記a.〜e.の操作、すなわち当該セルとして行うべき全ての操作が行われる。このため、同セルの羅列によって生産システムを構成する場合、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要はあるものの、それら設定内容さえ予め記憶装置等に登録しておけば、例えばライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となり、この場合も必要とされる汎用性は維持される。
またさらに、この生産システム用汎用セルにおいて、前記加工エリアに前記ロボットが自らのハンドを自動付け替えするオートツールチェンジャが設置されるとき、前記ロボットは、
a.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
c.この部品を組み込んだ被加工物の加工、及び
d.この加工した被加工物の送り出し、及び
e.前記オートツールチェンジャを通じた前記a.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
a.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
c.この部品を組み込んだ被加工物の加工、及び
d.この加工した被加工物の送り出し、及び
e.前記オートツールチェンジャを通じた前記a.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うものとして、同セルの機能設定を行うこともできる。
この生産システム用汎用セルは、加工エリアの利用態様についてのさらに異なる態様についてこれを具現したものであるが、この場合も基本的にはベースユニットに設けられたロボットを通じて上記a.〜e.の操作、すなわち当該セルとして行うべき全ての操作が行われる。しかもここでは上記e.の操作として、加工エリアに設置されたオートツールチェンジャを通じての必要に応じたロボットハンド(ツール)の自動付け替えも併せて行われることから、より多くの種類の作業に対応することが可能となる。もっともこの場合であれ、同セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要があるものの、ここでもそれら設定内容さえ予め記憶装置等に登録しておくことで、それら設定内容の更新を通じた、当該セルとしての必要とされる汎用性は好適に維持される。
そして、本発明の汎用セルを用いた生産システムでは、このような生産システム用汎用セルの複数が、互いに隣接するセル同士で前記ロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列される構成を採る。
ここで用いられる生産システム用汎用セル自体が、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、生産システム用のセルとして被加工物の加工に最低限必要とされる各要素のセットからなり、それらセルに対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が大きく高められていることは上述した。このため、こうした汎用セルの複数が互いに隣接するセル同士でそのロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列されてなる本発明の生産システムによれば、被加工物を搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、ラインレイアウトそのものの自由度が高く維持されており、上記多角形形状に応じて、例えば2方向に被加工物を送り出したり、2方向から被加工物を受入れたりするライン構成、あるいは途中で分岐したり、合流したりする「Y字」状のライン構成、さらにはこれら分岐及び合流を組み合わせて並列化したライン構成、またさらには円弧状(閉ループも含む)や千鳥状のライン構成等々、当該生産システムを設置するスペース等に応じた極めて自由なラインレイアウトが、しかも低コストにて実現可能となる。
また、こうした生産システムでは、前記ロボットの動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボットの動作範囲内での被加工物の授受を可能とすべく同被加工物を自動搬送する被加工物自動搬送ユニットをさらに備える構成が有効である。
このような生産システムによれば、上述の態様でのラインレイアウトに加えて、上記被加工物自動搬送ユニットを通じてラインの一部あるいは全部を並列化する等のより多彩なラインレイアウトが可能となり、各セル間での被加工物の加工内容等に応じたライン速度の調整や搬送タイミングの調整なども容易となる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムを具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
以下、本発明にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムを具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、この第1の実施形態にかかる生産システム用汎用セルについてその全体の斜視構造を示したものである。
同図1に示されるように、汎用セル100は、ロボット60を支持するベースユニット10を中心に、図中に付記した三次元座標中、共にX軸方向に連なるかたちで、部品供給ユニット20、及び加工エリア30を備える構成となっている。そして、本実施形態において、汎用セル100を構成するこれらベースユニット10、部品供給ユニット20及び加工エリア30の各部分は、いずれも剛性のある金属などからなって互いが適宜に連結されており、その下面40に設けられているキャスター41及びフットジャッキ42を通じて、セル単位での移動、並びに設置が可能となっている。すなわちこの汎用セル100は、その下面40に設けられているキャスター41によって床面上を任意の方向に移動可能であるとともに、同じくその下面40に設けられているフットジャッキ42を通じて所望の設置位置への固定が可能となっている。なお、本実施形態においては、ベースユニット10の平面形状が正六角形をなしており、こうした汎用セル100を複数用いて生産システムを構成する際のラインレイアウト設計を容易としている。また、この汎用セル100において、ベースユニット10の下方となる部分にはキャビネット43が設けられており、このキャビネット43の中に、当該汎用セル100の上記ロボット60をはじめとする各部を統括制御する制御装置などが収容されている。
同図1に示されるように、汎用セル100は、ロボット60を支持するベースユニット10を中心に、図中に付記した三次元座標中、共にX軸方向に連なるかたちで、部品供給ユニット20、及び加工エリア30を備える構成となっている。そして、本実施形態において、汎用セル100を構成するこれらベースユニット10、部品供給ユニット20及び加工エリア30の各部分は、いずれも剛性のある金属などからなって互いが適宜に連結されており、その下面40に設けられているキャスター41及びフットジャッキ42を通じて、セル単位での移動、並びに設置が可能となっている。すなわちこの汎用セル100は、その下面40に設けられているキャスター41によって床面上を任意の方向に移動可能であるとともに、同じくその下面40に設けられているフットジャッキ42を通じて所望の設置位置への固定が可能となっている。なお、本実施形態においては、ベースユニット10の平面形状が正六角形をなしており、こうした汎用セル100を複数用いて生産システムを構成する際のラインレイアウト設計を容易としている。また、この汎用セル100において、ベースユニット10の下方となる部分にはキャビネット43が設けられており、このキャビネット43の中に、当該汎用セル100の上記ロボット60をはじめとする各部を統括制御する制御装置などが収容されている。
ここで、まずは上記ベースユニット10についてその具体的な構成を説明する。
同図1に示されるように、このベースユニット10には、同ベースユニット10に対して直立する側壁11が部品供給ユニット20との境界側に設けられており、上記ロボット(ここでの例ではスカラ型ロボット)60は、この側壁11から加工エリア30側に突出する態様にて支持されている。すなわちこのロボット60は、ベースユニット10の上面にあたる平面形状六角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10、正確には側壁11に対して支持されている。そして、本実施形態にあっては、被加工物(ワーク)の当該セル100に対する供給部及び排除部となる給材、除材エリア51a〜51dが、ロボット60の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の両側に設けられた側板13a〜13dからベースユニット10の側方にかけて延設されている。図2は、こうしたロボット60の側面構造を示したものであり、以下、この図2を併せ参照して、ロボット60の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
同図1に示されるように、このベースユニット10には、同ベースユニット10に対して直立する側壁11が部品供給ユニット20との境界側に設けられており、上記ロボット(ここでの例ではスカラ型ロボット)60は、この側壁11から加工エリア30側に突出する態様にて支持されている。すなわちこのロボット60は、ベースユニット10の上面にあたる平面形状六角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10、正確には側壁11に対して支持されている。そして、本実施形態にあっては、被加工物(ワーク)の当該セル100に対する供給部及び排除部となる給材、除材エリア51a〜51dが、ロボット60の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の両側に設けられた側板13a〜13dからベースユニット10の側方にかけて延設されている。図2は、こうしたロボット60の側面構造を示したものであり、以下、この図2を併せ参照して、ロボット60の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
同図2に示されるように、このロボット60は、上記側壁11から図中のX方向に延出された基台61によって支持されるとともに、それぞれ第1及び第2の軸62,64を介して水平方向(図中のX−Y方向)に各別に回動可能な第1及び第2のアーム63,65を有して構成されている。このうち、第2のアーム65の先端部には、上記第1及び第2の軸62,64と同一方向(図中のZ方向)に延びる第3の軸66がさらに設けられており、この第3の軸66中、上記第2のアーム65の下方に位置する部分には、これも水平方向において第2のアーム65の回動とは独立して回転可能なヘッドユニット67が設けられている。このヘッドユニット67は、その先端にツール取付具68を有しており、該ツール取付具68に任意のツールが取り付けられた状態で、上記第3の軸66内に収納された位置(最短位置)から図2中に破線にて示す距離L1だけ伸長した位置(最長位置)の間で自在に伸縮可能となっている。なお、上記第1の軸62は、基台61内に設けられた第1モータM1を通じてその中心線C1を中心に左右に回転することにより、同軸62に基端が連結されている上記第1のアーム63を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第1のアーム63の回動角度が同じく基台61内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる。また、上記第2の軸64は、上記第2のアーム65を回動せしめる軸である。すなわち、この第2の軸64も第1のアーム63の先端に連結されており、第2のアーム65内に設けられた第2モータM2を通じてその中心線C2を中心に同軸64を左右に回転させようとすると、その反力が第2のアーム65自身に作用して同第2のアームが回動するようになる。そして、その回転角度すなわち第2のアーム65の回動角度も、同じく第2のアーム65内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる。また、上記第3の軸66内で回転、伸縮する上記ヘッドユニット67は、第2のアーム65内に設けられた第3モータM3を通じてその中心線C3を中心に左右に回転し、その回転角度が同じく第2のアーム65内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる。他方、同ヘッドユニット67の伸縮は、これも第2のアーム65内に設けられた昇降モータM4を通じてその伸縮度合いが制御され、その制御された伸縮度合いが同じく第2のアーム65内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる。なお、第2のアーム65内に設けられているこれらモータやエンコーダの制御信号あるいはモニタ信号の各信号線はフレキシブルな配線チューブ63tを介して基台61内にまとめられ、上記第1モータM1や第1エンコーダEm1の信号線と共に、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
図3は、図1では便宜上図示を割愛した部品トレーTrも含めて、当該汎用セル100の平面構造を示したものであり、この汎用セル100では、こうしたロボット60の動作範囲を同図3に領域Ra(二点鎖線)として示す範囲、すなわち加工エリア30の一部を含むかたちで、上記ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定している。これにより、以下に説明する部品供給ユニット20を通じて供給される部品トレーTrからの部品のピックアップをはじめ、上記各給材、除材エリア51a〜51d及び加工エリア30間でのワークの搬送(移動)なども、高い汎用性をもって、容易に実現されるようになる。
図4も、図3と同様、当該汎用セル100の平面構造を示したものであるが、ここでは特に、上記部品供給ユニット20の平面構造を中心に図示しており、次にこの図4を併せ参照して、部品供給ユニット20の構成、並びに機能について、加工エリア30との関係も含めて詳述する。
同図4に示されるように、この部品供給ユニット20は、ベースユニット10の上面にあたる上記平面形状六角形からなる領域12上に敷設された一対のレール22a,22bを有し、このレール22a,22bを通じて、部品載置用のポケットPが設けられた部品トレーTrを図中のX方向に自動搬送するトレーフィーダ21を備えて構成されている。ここで、上記一対のレール22a,22bには、各々その内部に、ボールネジ(図示略)が同レールの全長に渡って配されるとともに、上記部品トレーTrの前後にはこのボールネジに螺合するように係合される爪23a,23b及び24a,24bが設けられている。すなわちこのトレーフィーダ21では、一対のレール22a,22bの内部に対して各々配されている上記ボールネジの回転を通じて、これに螺合するように係合されている上記爪23a,23b及び24a,24bと共々、部品トレーTrを図中のX方向に随時自動搬送する。なおこのトレーフィーダ21において、こうしたボールネジの回転駆動は、同トレーフィーダ21の基端部に設けられている第1及び第2シャトルモータMSa,MSbを通じて行われる。その第1及び第2シャトルモータMSa,MSbの回転量すなわち部品トレーTrの移動量は、同じくトレーフィーダ21の基端部に設けられている第1及び第2シャトルエンコーダESa,ESbを通じてモニタされる。そして、これらシャトルモータやシャトルエンコーダの信号線も、上記ロボット60の各モータや各エンコーダの信号線と同様、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
また、先の図1に示されるように、上記一対のレール22a,22bは、高い剛性を維持すべくその平面形状が「コの字」状に形成されている上記側壁11の開口部11aを介して、すなわち同側壁11の裏面側から上記ベースユニット10を経て、テーブル状からなる加工エリア30の下方に至るように敷設されている。そして、図4に二点鎖線にて付記する上記側壁11の裏面側で所要とされる部品が載置された部品トレーTrは、上記トレーフィーダ21を通じて、同図4に矢印F1にて示される態様で所望とされる位置まで随時自動搬送されることとなる。このように、部品トレーTrが上記テーブル状からなる加工エリア30よりも低い位置に搬送可能となることで、ロボット60による部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット60による加工エリア30への搬送動作等が円滑になされるようになる。またこれにより、テーブル状からなる上記加工エリア30全体を常に有効に利用しつつ、ロボット60としての限られた動作範囲を補うべく上記部品トレーTrの搬送位置(トレーフィーダ21でのフィード位置)を順次調整することができるようにもなる。
一方、加工エリア30は、先の図1に示されるように、上記ベースユニット10、正確にはベースユニット10の上面にあたる上記平面形状六角形からなる領域12よりも高い位置に段差をもって、同ベースユニット10からテーブル状に延設されている。ちなみにこの加工エリア30は、テーブル状のステージ31が脚部32によって支持される構造となっており、特に本実施形態にあっては、このステージ31上に、ワークに対してセル毎に割り当てられた専用の加工を行う加工機70を設置するようにしている。同加工機70自体、専用のロボットを採用するなど、その構成は任意であるが、少なくともこのような加工機70を加工エリア30のステージ31上に設置することで、当該汎用セル100としても基本的に上記ロボット60を通じてワークの搬送やその部品のピックアップのみを行えばよいことになり、その標準化が促進されることとなる。なお、図3に示されるように、同加工機70には、搬送されたワークを保持するためのワーク保持エリア71が設けられている。そして、このワーク保持エリア71には、ワークを保持するためのチャック(図示略)が設けられており、このチャックがワーク保持エリア71内に設けられている切換バルブBL1の駆動を通じて開閉される。また、このチャックを通じてワークが保持されているか否かが、同ワーク保持エリア71内に設けられているセンサーU1を通じてモニタされる。なお、これらバルブやセンサーの信号線も、上記ロボット60の各モータや各エンコーダの信号線、さらには上記トレーフィーダ21のシャトルモータやシャトルエンコーダの信号線等と同様、上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されている。
ここで、図5を併せ参照して、上記制御装置を中心とする当該汎用セル100の電気的な構成について説明する。
同図5に示されるように、上記キャビネット43に収容されている制御装置は基本的に、コンピュータからなって上記各部を統括制御する制御部110、並びに該制御部110に対してバス接続された各種ドライバ回路やインターフェース回路を含む装置として構成されている。
同図5に示されるように、上記キャビネット43に収容されている制御装置は基本的に、コンピュータからなって上記各部を統括制御する制御部110、並びに該制御部110に対してバス接続された各種ドライバ回路やインターフェース回路を含む装置として構成されている。
このうち、制御部110は、上述した各種モニタ信号を取り込みつつ、CPU111を通じてROM112に格納されているプログラムを実行することによって、各々該当するアクチュエータに対する制御信号を生成出力する部分である。なお、データメモリであるRAM113には、上記取り込まれたモニタ信号や上記制御信号を生成する際の演算結果等が一時的に記憶される。また、通信IF(インターフェース)114は、生産システムとして当該汎用セル100を複数配列して所望とされるラインレイアウトを組む際に、主制御装置となる中央制御部や他の汎用セルとの間での通信を行う部分である。このような通信IF114を通じて授受される情報に基づき、他の各汎用セルとの間でのタイミング的な調整等が図られるようになる。そして、このような通信に際しての便宜を図るため、各汎用セルには、それらセル毎に、その制御部110に対して、システム内でユニークな識別子(ID)が付与されている。
一方、こうした制御部110に対してバス接続されている各種ドライバ回路やインターフェース回路は、それぞれ次のような回路である。
まず、第1モータドライバ101は、制御部110からの制御指令CM1に基づいて生成される駆動信号DM1によって上記ロボット60の基台61内に設けられている第1モータM1を駆動する回路である。また、この第1モータドライバ101では、同じく基台61内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる信号、すなわち第1モータM1の駆動量に対応した第1のアーム63の回転角度を示す信号S1を取り込み、この取り込んだモニタ信号S1を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
まず、第1モータドライバ101は、制御部110からの制御指令CM1に基づいて生成される駆動信号DM1によって上記ロボット60の基台61内に設けられている第1モータM1を駆動する回路である。また、この第1モータドライバ101では、同じく基台61内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる信号、すなわち第1モータM1の駆動量に対応した第1のアーム63の回転角度を示す信号S1を取り込み、この取り込んだモニタ信号S1を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第2モータドライバ102は、制御部110からの制御指令CM2に基づいて生成される駆動信号DM2によって上記ロボット60の第2のアーム65内に設けられている第2モータM2を駆動する回路である。また、この第2モータドライバ102では、同じく第2のアーム65内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる信号、すなわち第2モータM2の駆動量に対応した第2のアーム65の回転角度を示す信号S2を取り込み、この取り込んだモニタ信号S2を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第3モータドライバ103は、制御部110からの制御指令CM3に基づいて生成される駆動信号DM3によって上記ロボット60の同じく第2のアーム65内に設けられている第3モータM3を駆動する回路である。また、この第3モータドライバ103では、同第2のアーム65内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる信号、すなわち第3モータM3の駆動量に対応したヘッドユニット67の回転角度を示す信号S3を取り込み、この取り込んだモニタ信号S3を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、昇降モータドライバ104は、制御部110からの制御指令CM4に基づいて生成される駆動信号DM4によって上記ロボット60の同じく第2のアーム65内に設けられている昇降モータM4を駆動する回路である。また、この昇降モータドライバ104では、同第2のアーム65内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる信号、すなわち昇降モータM4の駆動量に対応したヘッドユニット67の伸縮度合いを示す信号S4を取り込み、この取り込んだモニタ信号S4を上記制御部110に対して返信する動作を併せて実行する。
また、第1シャトルモータドライバ105は、制御部110からの制御指令CMSaに基づいて生成される駆動信号DMSaによって上記トレーフィーダ21に設けられている第1シャトルモータMSaを駆動する回路である。また、この第1シャトルモータドライバ105では、同じくトレーフィーダ21に設けられている第1シャトルエンコーダESaを通じてモニタされる信号、すなわち第1シャトルモータMSaの駆動量に対応した部品トレーTrの移動量を示す信号SSaを取り込み、この取り込んだモニタ信号SSaを制御部110に返信する動作を併せて実行する。
また、第2シャトルモータドライバ106は、制御部110からの制御指令CMSbに基づいて生成される駆動信号DMSbによって上記トレーフィーダ21に設けられている第2シャトルモータMSbを駆動する回路である。また、この第2シャトルモータドライバ106では、同じくトレーフィーダ21に設けられている第2シャトルエンコーダESbを通じてモニタされる信号、すなわち第2シャトルモータMSbの駆動量に対応した部品トレーTrの移動量を示す信号SSbを取り込み、この取り込んだモニタ信号SSbを制御部110に返信する動作を併せて実行する。
また、バルブドライバ107は、制御部110からの制御指令CMBcに基づいて上記加工機70のワーク保持エリア71内に設けられている切換バルブBL1を駆動する回路である。なお本実施形態において、上記ワーク保持エリア71においてワークを保持するチャックとしては、圧縮空気の供給の有無に基づいて開閉するタイプのチャックを想定しており、上記切換バルブBL1は、その駆動に基づいてこうした圧縮空気の供給の有無を切換制御するバルブとして構成されている。
また、外部入出力IF(インターフェース)108は、基本的にはティーチングペンダントやパーソナルコンピュータ等の周辺装置と接続されて、それら周辺装置と上記制御部110との間で授受される各種情報の仲介を行う回路である。ただし、本実施形態では、上記ワーク保持エリア71内に設けられているセンサーU1を通じてモニタされる情報、すなわち上記チャックを通じてワークが保持されているか否かを示す情報SBcを取り込み、この取り込んだモニタ情報SBcを制御部110に対して出力する動作も、この外部入出力IF108を通じて行われる。さらに本実施形態においては、上述した加工機70も、周辺装置の1つとしてその制御部がこの外部入出力IF108に接続され、上記制御部110と加工機70との間の動作上の同期調整等もこの外部入出力IF108を介して行われるものとする。
図6は、このように構成された汎用セル100のセル単体としての動作例を示したものであり、次に、この図6を併せ参照して、当該汎用セル100を通じて実行される動作の一例について説明する。
本実施形態では上述のように、加工エリア30のステージ31上に専用の加工機70を設置するようにしたことで、当該汎用セル100としても基本的にロボット60を通じてワークの搬送やその部品のピックアップのみを行えばよく、その標準化が促進されている。なお、このような汎用セル100としての以下の動作は、全て制御装置による上述した制御との協働のもとに実行されることとなる。
すなわちいま、図6(a)に示されるように、上記給材、除材エリア51aに被加工物であるワークWが供給されたとすると、同汎用セル100では、上記ロボット60を給材、除材エリア51aに移動させ、同ロボット60に取り付けられているワーク搬送用の適宜のツールを通じてこの供給されたワークWを把持する。
こうしてロボット60によりワークWを把持した汎用セル100は次に、同ワークWを把持した状態でこれを加工エリア30に搬送し、図6(b)に示す態様にてこの搬送したワークWを加工機70の上記ワーク保持エリア71にセットする。
こうしてワーク保持エリア71に対するワークWのセットを終えると、汎用セル100は次に、同じく図6(b)に示す態様にて、部品トレーTrのポケットPに載置されている部品Tをロボット60によりピックアップする。なお、ワークWの加工に用いられる部品Tが載置された部品トレーTrは、上記トレーフィーダ21(図4)を通じて、図6(a)に示した工程以前に既に所定の位置に搬送されている。また、ロボット60によりこうしてピックアップされた部品Tの、上記ワーク保持エリア71にセットされているワークWへの組み込みが、引き続き図6(c)に示す態様で、同ロボット60を通じて行われる。
ワークWに対し、こうして部品Tが組み込まれると、当該汎用セル100の上記制御部110からの指示により、以降は上記加工機70による専用の加工が行われる。そして、加工機70による加工の終了に伴い、同加工機70を通じてその旨の情報が制御部110に送られると、当該汎用セル100では、これによって加工機70による加工が終了した旨を判断し、ワークWの保持(セット)を解除する。
こうして加工機70による加工が終了した旨を判断した汎用セル100は、ワーク保持エリア71にある加工済みのワークWをロボット60により再び把持するとともに、これを図6(d)に示す態様にて給材、除材エリア51bに搬送して、一連の動作を終了する。
なお、こうした動作が繰り返し実行される中で、上記部品トレーTrに載置されている部品Tの上記ロボット60によるピックアップが同トレーTrの先頭から1列分ずつ終了する毎に、上記トレーフィーダ21(図4)を通じて部品Tの載置間隔に見合った分だけこの部品トレーTrの位置が順次先方(加工エリア30方向)にシフトされる。また、同部品トレーTrに載置されている部品Tの全ての組み込みが終了した旨が判断される場合には、先の図4に二点鎖線にて示した基端位置までトレーフィーダ21による部品トレーTrのリターンフィードが行われ、同トレーTrへの部品Tの補給が促される。
図7は、このような汎用セル100を複数(ここでの例では汎用セル100A〜100Dの4台)用いて構成される生産システムについてその一例を示したものであり、以下では、こうした生産システムとしての構成例、並びにその可能性について説明する。
同図7に示されるように、この生産システムでは、上記汎用セル100(100A〜100D)が一列に配列されるラインレイアウトを採用している。すなわちこの場合、それら複数のセル100A〜100Dは、その互いに隣接するセル同士で上記ロボット60(60A〜60D)の動作範囲の一部を共有する態様にて配列されることとなる。そして、それら互いに隣接するセル同士でロボット60の動作範囲を共有する部分として上記給材、除材エリア51a〜51dのいずれかが用いられる。具体的には、例えば汎用セル100Aと汎用セル100Bとの間では、それらセル間に介在する共通の給材、除材エリア51b,51dが、セル100Aにとっては除材エリアとして用いられ、同時にセル100Bにとっては給材エリアとして用いられる。なお、説明の都合上、同図7で示す汎用セル100(100A〜100D)では、給材、除材エリア51a及び51cの配設を割愛したが、もちろんこれら給材、除材エリア51a及び51cを備えていてもよい。
また図8は、こうして汎用セル100を複数用いて生産システム(生産ライン)を構成する場合の電気的な構成を模式的に示したものである。この図8に示されるように、実際には図7において図示を割愛している中央制御部120との通信を通じて、それら複数の汎用セル100(100A〜100n(n:自然数))間での動作タイミング等の同期が図られるようになる。
ちなみに、この図8に示す中央制御部120において、ホストコンピュータ121は、当該生産システム全体を統括制御する部分であり、また、データベース122は、例えば各種生産対象別の生産管理情報や生産ラインの変更時等に必要とされる各汎用セル100の制御データや制御プログラム等が格納されている部分である。また、入出力装置123は、主にキーボードや表示装置、印字装置等からなる部分であり、これらキーボードや表示装置、印字装置を通じて上記ホストコンピュータ121に対する制御情報の入力やシステム全体の稼働状況の表示、印字等が行われる。そして、通信IF(インターフェース)124は、同中央制御部120と上記各汎用セル100との間での通信に際してその仲介を行う部分であり、バスラインを介して先の図5に示した各汎用セル100の制御部110に設けられている通信IF114に接続されている。
図7に例示した生産システムが、電気的にはこのような態様で通信可能に接続されることで、上記中央制御部120による統括制御のもと、ロボット60A〜60E間の干渉を避けつつ、具体的には、以下のような態様でワークに対する加工や搬送が行われるようになる。
すなわちいま、図示しないワーク搬入装置を通じて先頭の汎用セル100Aの給材、除材エリア51bに対するワークの搬入が開始されたとすると、同汎用セル100Aでは上述のように、ロボット60Aによってこの搬入されたワークをステージ(加工ステージ)31、正確にはその上に設置された加工機(図示略)のワーク保持エリアに搬送する。そして、これも上述の態様にてワークに対する部品の組み込み、並びに加工機による加工が行われた後、この加工されたワークをロボット60Aによって給材、除材エリア51d(セル100Bにとっての給材エリア)に搬送する。なお、給材、除材エリア51dへのワークの搬送を終えた汎用セル100Aに対する上記ワーク搬入装置を通じてのワークの搬入、そして同汎用セル100Aによるこうしたワークの搬送、加工等にかかる処理は、所定数のワークの投入が終了するまで繰り返し実行される。
一方、こうして給材、除材エリア51bにワークが搬入(供給)された汎用セル100Bでは、これも上述のように、ロボット60Bによってこの搬入されたワークをステージ31に搬送し、専用の加工機による加工が行われた後、この加工されたワークをロボット60Bによって給材、除材エリア51d(セル100Cにとっての給材エリア)に搬送する。そして、当該セル100Bによるこうした処理も、その給材エリアに対するワークの搬入が終了するまで繰り返し実行される。
以下、同様の処理が汎用セル100C及び100Dにおいても実行され、特に終段のセル100Dから給材、除材エリア51dに対して搬出されたワークは完成品、もしくは半完成品として図示しないワーク搬出装置によって、これも図示しない収容棚等へ順次収容されるようになる。
このように、本実施形態にかかる汎用セルを用いた生産システムにあっては、ワークを搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、互いに隣接するセル間に共通のエリアとして介在する給材、除材エリア51a〜51dの配設態様等に応じてラインレイアウトそのものの自由度が高く維持されるようになる。図9及び図10に、当該生産システムとしてのこうしたラインレイアウトの自由度の高さを裏付ける他の生産ラインの例を示す。
図9は、複数の汎用セル100(ここでの例では汎用セル100A〜100Gの7台)の配列を、それら汎用セル100のベースユニット10の形状、本実施形態では特に平面形状正六角形に応じてラインレイアウトした一例である。このラインレイアウトにおいては、各汎用セル100A〜100C,100Fによって千鳥状にされた配列例を示すとともに、汎用セル100Aから汎用セル100Cを経て汎用セル100Dの方向及び汎用セル100Fの方向の2方向に分岐する「Y字」状にされた配列例を示している。すなわちここでは、汎用セル100は、平面形状正六角形のベースユニット10のうちトレーフィーダ21が配置されていない辺については、他の汎用セル100を隣接配置することができることを示している。例えば汎用セル100Aと汎用セル100Bとを隣接させ、その間には隣接するセルの給材エリア及び除材エリアとなる共通のエリア(給材、除材エリア51a,51c)を設けるとともに、汎用セル100Bには、汎用セル100Aに対向しない辺に汎用セル100Cを隣接させ、その間にも共通のエリア(給材、除材エリア51d,51b)を設ける。同様に、汎用セル100Cには、汎用セル100Bに対向しない辺に汎用セル100Fを隣接させて、その間に同じく共通のエリア(給材、除材エリア51a,51a)を設けることで、千鳥状のラインレイアウトを可能にしている。また、汎用セル100Cに隣接した汎用セル100Fには、汎用セル100Cと対向する辺に汎用セル100Gを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51c,51a)を設ける。一方、汎用セル100Cには、汎用セル100Bと対抗する辺に汎用セル100Dを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51d,51b)を設けるとともに、汎用セル100Dには、汎用セル100Cと対向する辺に汎用セル100Eを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51d,51b)を設ける。これによって、汎用セル100Aから汎用セル100Cにて分岐する「Y字」状のラインレイアウトを可能にしている。この場合、汎用セル100Cのロボット60Cは、ライン構成の中で、例えば汎用セル100Bから搬入されたワークを汎用セル100Dもしくは汎用セル100Fの2方向に送り出す役割を担うこととなる。これらの場合であっても、各汎用セル100A〜100Gとしての基本的な機能は先の汎用セル100と同様であり、セル構造のこうした簡単な変更を通じて、千鳥形状はもとより、「Y字」状の分岐や合流、さらにはより複雑な形状のラインレイアウトも可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作は、基本的に先の図7に例示したシステムと同様であり、ここでの重複する説明は割愛する。
また図10は、複数の汎用セル100(ここでの例では汎用セル100A〜100Iの9台)の配列を、それら汎用セル100のベースユニット10の平面形状正六角形からなる形状に応じてラインレイアウトした他の一例である。このラインレイアウトにおいては、汎用セル100F〜100H及び100C〜100Eによって並列化された配列の例を示すとともに、汎用セル100C〜100Hによって円弧状に閉ループとされた配列の例を示している。並列化された配列として例えば、汎用セル100Bには、汎用セル100Aと対向する辺に汎用セル100Cを隣接させて、その間に共通のエリア(給材、除材エリア51d,51b)を設けるとともに、汎用セル100Cには、汎用セル100Bに対向する辺に汎用セル100Dを隣接させる。そして、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51d,51b)を設ける。続いて、汎用セル100Dには、汎用セル100Cに対向しない辺に汎用セル100Eを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51a,51c)を設け、汎用セル100Eには、汎用セル100Dに対向する辺に汎用セル100Iを設けて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51a,51c)を設ける。これによって並列ラインとなる1つのラインを形成する。他方、汎用セル100Bには、汎用セル100Aと対向しない辺に汎用セル100Fを隣接させて、その間に隣接する共通のエリア(給材、除材エリア51a,51a)を設けるとともに、汎用セル100Fには、汎用セル100Bに対向する辺に汎用セル100Gを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51c,51a)を設ける。続いて、汎用セル100Gには、汎用セル100Fに対向しない辺に汎用セル100Hを隣接させて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51b,51d)を設けるとともに、汎用セル100Hには、汎用セル100Gに対向する辺に汎用セル100Iを設けて、その間には共通のエリア(給材、除材エリア51b,51b)を設ける。これによって、同並列ラインを構成するもう1つのラインを形成する。このようなセルの配列を通じて、汎用セル100Bを分岐点として且つ、汎用セル100Iを合流点とする並列化したラインレイアウトを構成することができる。その一方、上記並列化された構成に加えて、汎用セル100Cと汎用セル100Fの間に共通の加工エリア30(ステージ31)を設けるとともに、汎用セル100Eと汎用セル100Hの間に共通の加工エリア30(ステージ31)を設けることで、汎用セル100C〜100Hによる円弧状の閉ループからなるラインレイアウトを構成することもできる。これらの場合であっても、各汎用セル100A〜100Iとしての基本的な機能は先の汎用セル100と同様であり、セル構造のこうした簡単な変更を通じて、並列化はもとより、円弧状の閉ループのような、より複雑な形状のラインレイアウトも可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作も、基本的に先の図7に例示したシステムと同様であり、ここでもそれら動作に関する重複する説明は割愛する。
以上説明したように、本実施形態にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)上記ベースユニット10、部品供給ユニット20、及び加工エリア30といった、いわば生産システム用のセルとしてワークの加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの生産システム用汎用セル100を構成することとした。これにより、各セル100に対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が自ずと高められることとなり、こうしたセル100の羅列のみで生産システムに求められる各種生産機能を実現することができるようになる。すなわち、生産システムを構成する際のラインレイアウトの自由度が高く維持されるようになる。しかも、上記ベースユニット10自体、その平面形状が正六角形からなることで、互いにロボット60の動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持される。さらに、上記ロボット60がこの正六角形からなる平面領域を移動可能にベースユニット10に対して支持されることで、ベースユニット10を構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セル100としての不要な大型化を招くこともなくなる。
(1)上記ベースユニット10、部品供給ユニット20、及び加工エリア30といった、いわば生産システム用のセルとしてワークの加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの生産システム用汎用セル100を構成することとした。これにより、各セル100に対する作業割当の自由度、すなわち汎用性が自ずと高められることとなり、こうしたセル100の羅列のみで生産システムに求められる各種生産機能を実現することができるようになる。すなわち、生産システムを構成する際のラインレイアウトの自由度が高く維持されるようになる。しかも、上記ベースユニット10自体、その平面形状が正六角形からなることで、互いにロボット60の動作範囲を共有するかたちでのセル同士の羅列にかかる自由度がより高く維持される。さらに、上記ロボット60がこの正六角形からなる平面領域を移動可能にベースユニット10に対して支持されることで、ベースユニット10を構成する領域の有効利用が図られるようになり、当該汎用セル100としての不要な大型化を招くこともなくなる。
(2)また、上記汎用セル100は、上記加工エリア30がベースユニット10の外側に延設されるとともに、ベースユニット10に設けられたロボット60の動作範囲をこの加工エリア30の一部を含むかたちで同ベースユニット10の内側から外側に至る範囲に設定したことで、こうした加工エリア30としての用途も広がる。ちなみに、同加工エリア30についてはこれを、例えば人手による手作業を行うためのエリアとして利用することも可能であるが、上記汎用セル100では特に、同加工エリア30を構成するステージ31上に専用の加工機70を設置するようにしたことで、その自動化はもとより、セルとしての標準化も大きく促進されるようになる。すなわちこの場合、ロボット60は基本的に、ワークの上記加工エリア30(加工機70のワーク保持エリア71)への搬送、部品供給ユニット20を介して供給される部品のピックアップ、このピックアップした部品のワークへの組み込み、及び加工機70を通じて加工されたワークの送り出し、といった各操作のみを行うことで済む。
(3)ワークの当該汎用セル100に対する供給、及び同ワークの当該汎用セル100からの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリア51a〜51dが、ロボット60の動作範囲に収まる態様にて上記ベースユニット10の外側にさらに延設されるようにした。これにより、セル間でのワークの搬送も、ロボット60の動作範囲内におかれる上記給材、除材エリア51a〜51dを通じて行うことができるようになり、いわゆるバケット・ブリゲード(バケツ・リレー)方式によるワークの当該汎用セル100への供給や、同ワークの当該汎用セル100からの排除も容易となる。
(4)上記ベースユニット10には同ベースユニット10に対して直立する側壁11を設け、上記ロボット60はこの側壁11からベースユニット10の平面形状六角形からなる領域12上に突出する態様にて同ベースユニット10に支持される構造とした。ベースユニット10内で、ロボット60がこうして設けられた側壁11から突出する態様にて支持されるようにすることで、ベースユニット10としての必要領域の確保、そして特に上記加工エリア30側でのロボットの動作範囲の確保も容易となる。
(5)上記加工エリア30は、ベースユニット10、正確にはその平面形状六角形からなる領域12よりも高い位置に段差をもって同ベースユニット10から上記ステージ31がテーブル状に延設されるようにした。そして、上記部品供給ユニット20は、ワークの部品が載置される部品トレーTrを上記側壁11の裏面側からベースユニット10を経て上記テーブル状からなるステージ31の下方に搬送するトレーフィーダ21を有する構成とした。すなわち、部品供給ユニット20から部品トレーTrに載置されて供給される部品が、上記トレーフィーダ21によりベースユニット10を経て加工エリア30の下方、すなわち加工エリア30よりも低い位置に搬送される構成とした。これにより、上記ベースユニット10の側壁11から突出するロボット60による該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット60による加工エリア30への搬送動作等がより円滑になされるとともに、テーブル状からなる加工エリア30全体をより有効に利用することができるようになる。またこの場合、上記部品トレーTrをロボット60の動作範囲に合わせて加工エリア30(ステージ31)の下方に順次移動させることができることから、同部品トレーTrとして、より大きい、もしくはより長いトレーを採用することも可能となる。
(6)汎用セルを用いた生産システムとしても、上記汎用セル100の複数が、互いに隣接するセル同士でロボット60の動作範囲の一部を共有する態様にて配列されるようにしたことで、ワークを搬送するためのパレットやコンベア等が不要であることはもとより、ラインレイアウトそのものの自由度が高く維持される。このため、平面形状正六角形の形状に応じて、例えばそれらセルを図7に例示したように直線状に配列したり、あるいは図9や図10に例示したように2方向に被加工物であるワークを送り出したり、2方向から被加工物を受け入れたりするライン構成、あるいは途中で分岐したり、合流したりする「Y字」状のライン構成が可能となる。さらには、これら分岐及び合流を組み合わせて並列化したライン構成、またさらには円弧状(閉ループも含む)や千鳥状のライン構成等々、当該生産システムを設置するスペース等に応じた極めて自由なラインレイアウトが、しかも低コストにて実現可能となる。
(第2の実施形態)
図11に、本発明にかかる生産システム用汎用セルの第2の実施形態についてその斜視構造を示す。なお、この第2の実施形態は、ベースユニットに対するロボットの支持形態を、先の側壁から突出される形態からいわゆる天吊りされる形態に変更したものであり、以下では主に、先の第1の実施形態との相違点を中心に、同汎用セルとしての具体構成について説明する。
図11に、本発明にかかる生産システム用汎用セルの第2の実施形態についてその斜視構造を示す。なお、この第2の実施形態は、ベースユニットに対するロボットの支持形態を、先の側壁から突出される形態からいわゆる天吊りされる形態に変更したものであり、以下では主に、先の第1の実施形態との相違点を中心に、同汎用セルとしての具体構成について説明する。
図11に示されるように、本実施形態にかかる汎用セル200も、ロボット90を支持するベースユニット10aを中心に、図中に付記した三次元座標中、共にX軸方向に連なるかたちで、部品供給ユニット20a、及び加工エリア30aを備える構成となっている。そして、本実施形態においても、汎用セル200を構成するこれらベースユニット10a、部品供給ユニット20a及び加工エリア30aの各部分は、いずれも剛性のある金属などからなって互いが適宜に連結されており、その下面40に設けられているキャスター41及びフットジャッキ42を通じて、セル単位での移動や設置が可能となっている。なお、本実施形態においては、ベースユニット10aの平面形状が八角形をなしており、こうした汎用セル200を複数用いて生産システムを構成する際のラインレイアウト設計を容易としている。またこの汎用セル200において、ベースユニット10aの下方となる部分にはキャビネット43が設けられており、このキャビネット43の中に、当該汎用セル200の上記ロボット90をはじめとする各部を統括制御する制御装置などが収容されていることは、先の第1の実施形態の汎用セル100と同様である。
ここでもまずは、上記ベースユニット10aについてその具体的な構成を説明する。
同図11に示されるように、このベースユニット10aには、支柱11pによって支持された天井部11rが設けられており、上記ロボット(ここでの例でもスカラ型ロボット)90は、この天井部11rから吊り下げられる態様にて当該ベースユニット10aに支持されている。すなわちこのロボット90も、ベースユニット10aの上面にあたる平面形状八角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10a、正確には天井部11rによって支持されている。そして、本実施形態にあっても、被加工物(ワーク)の当該セル200との間での授受に用いられる給材、除材エリア51a、51bが、ロボット90の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の両側に設けられた側板13a,13bからベースユニット10aの両側方(Y方向)にかけて延設されている。図12(a)は、こうしたロボット90の側面構造を示したものであり、また図12(b)〜(d)は、同ロボット90の下方から見た動作態様、並びに動作範囲をそれぞれ示したものであり、以下、この図12(a)〜(d)を併せ参照して、ロボット90の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
同図11に示されるように、このベースユニット10aには、支柱11pによって支持された天井部11rが設けられており、上記ロボット(ここでの例でもスカラ型ロボット)90は、この天井部11rから吊り下げられる態様にて当該ベースユニット10aに支持されている。すなわちこのロボット90も、ベースユニット10aの上面にあたる平面形状八角形からなる領域12上を三次元座標のX,Y,Z方向に移動可能に同ベースユニット10a、正確には天井部11rによって支持されている。そして、本実施形態にあっても、被加工物(ワーク)の当該セル200との間での授受に用いられる給材、除材エリア51a、51bが、ロボット90の動作範囲に収まる態様にて、上記領域12の両側に設けられた側板13a,13bからベースユニット10aの両側方(Y方向)にかけて延設されている。図12(a)は、こうしたロボット90の側面構造を示したものであり、また図12(b)〜(d)は、同ロボット90の下方から見た動作態様、並びに動作範囲をそれぞれ示したものであり、以下、この図12(a)〜(d)を併せ参照して、ロボット90の構成、並びに機能についてさらに詳述する。
図12(a)に示されるように、このロボット90は、上記天井部11rに貫通して設けられて、同天井部11rから垂直方向に延出された第1の軸91によって支持されるとともに、該第1の軸91及び第2の軸93を介してそれぞれ水平方向に各別に回動可能な第1及び第2のアーム92,94を有して構成されている。このうち、第2のアーム94の先端部には、上記第1及び第2の軸91,93と同一方向(垂直方向)に延びる第3の軸95がさらに設けられており、この第3の軸95中、上記第2のアーム94の下方に位置する部分には、これも水平方向において第2のアーム94の回動とは独立して回転可能なヘッドユニット96が設けられている。このヘッドユニット96は、その先端にツール取付具97を有しており、該ツール取付具97に任意のツールが取り付けられた状態で、上記第3の軸95内に収納された位置(最短位置)から図12(a)中に破線にて示す距離L1だけ伸長した位置(最長位置)の間で自在に伸縮可能となっている。なお、上記第1の軸91は、その内部に設けられた第1モータM1を通じてその中心線C1を中心に左右に回転することにより、同軸91に先端が連結されている上記第1のアーム92を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第1のアーム92の回動角度が同じく第1の軸91内に設けられている第1エンコーダEm1を通じてモニタされる。また、上記第2の軸93は、その内部に設けられた第2モータM2を通じてその中心線C2を中心に左右に回転することにより、同軸93に先端が連結されている上記第2のアーム94を回動せしめる軸であり、その回転角度すなわち第2のアーム94の回動角度が同じく第2の軸93内に設けられている第2エンコーダEm2を通じてモニタされる。また、上記第3の軸95内で回転、伸縮する上記ヘッドユニット96は、第2のアーム94内に設けられた第3モータM3を通じてその中心線C3を中心に左右に回転し、その回転角度が同じく第2のアーム94内に設けられている第3エンコーダEm3を通じてモニタされる。他方、同ヘッドユニット96の伸縮は、これも第2のアーム94内に設けられた昇降モータM4を通じてその伸縮度合いが制御され、その制御された伸縮度合いが同じく第2のアーム94内に設けられている昇降エンコーダEm4を通じてモニタされる。なお、これらモータやエンコーダの制御信号あるいはモニタ信号の各信号線が上記キャビネット43に収容されている制御装置の各対応する端子に接続されていることは先の第1の実施形態と同様である。
そして、同ロボット90において、上記第1及び第2のアーム92,94は、共にその動作領域が円形を基本として相互に重なり合う位置を通過できる同一長に設定されており、それら各アームの協働によって、図12(b)に動作範囲Ra1として示す円形領域の全領域での動作がカバーされるようにしている。すなわち図12(b)は、上記第1及び第2のアーム92,94が「コの字」状に重なり合ったいわゆる原点姿勢にあるロボット90を下方から見た状態を示したものである。そして本実施形態にあっては、この状態において、上記第2のアーム94がポイントP1を中心に時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ回動可能となっており、また同様に、上記第1のアーム92も、同図12(b)の中心点を中心にポイントP1を時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ振るかたちで独立に回動可能となっている。ちなみに図12(c)は、それら第1及び第2のアーム92,94の回動軌跡すなわち動作範囲Ra2を示しており、第1のアーム92が第2のアーム94を時計回りに225°だけ振ったとすると、第2のアーム94は、ポイントP1からポイントP2にかけてそれらポイントを中心とした時計回り及び反時計回りへの225°の回動が可能となる。同じく図12(d)は、同第1及び第2のアーム92,94の回動軌跡すなわち動作範囲Ra3を示しており、第1のアーム92が第2のアーム94を反時計回りに225°だけ振ったとすると、第2のアーム94は、ポイントP1からポイントP3にかけてそれらポイントを中心とした時計回り及び反時計回りへの225°の回動が可能となる。そして、これら回動軌跡を合成して示したものが図12(b)であり、結局は上述のように、それら第1及び第2のアーム92,94の協働によって、動作範囲Ra1として示す円形領域の全領域での動作がカバーされるようになる。なお本実施形態にあっては、上記ヘッドユニット96も、第2のアーム94とは独立して、時計回り及び反時計回りにそれぞれ225°だけ回動可能となっている。
ロボット90としてのこうした動作により、少なくとも上記ベースユニット10a上、正確には平面形状八角形からなる領域12上での死角は全て解消されるようになる。このため、図11に示した汎用セル200としても、前述したワークの搬送や、部品供給ユニット20aのトレーフィーダ21を通じて搬送される部品トレー(図示略)に載置されている部品のピックアップ等もより円滑に実行されるようになる。
なお、同図11に示した汎用セル200おいて、ベースユニット10aの天井部11rには、その上部にキーボードやモニタ用の表示装置等(いずれも図示略)を有する操作盤OPが設けられおり、この操作盤OPを通じて、セル毎に必要とされる各種設定が可能となっている。また、同操作盤OP上に設けられた状態表示器PLは、当該汎用セル200のその都度の稼働状況等をそれぞれ異なる色の発光器を通じて作業員等に知らしめる装置である。
その他、本実施形態にかかる汎用セルにおいて、先の図3〜図6を参照して説明した各事項、すなわちトレーフィーダ21としての基本構成やステージ(加工ステージ)31との関係、セル内部での電気的な構成、加工機70との協働に基づくセル動作、等々は基本的に先の第1の実施形態と同様である。
図13は、複数の汎用セル200(ここでの例では汎用セル200A〜200Eの5台)の配列を、それら汎用セル200のベースユニット10aの平面形状八角形からなる形状に応じてラインレイアウトした一例である。このラインレイアウトにおいては、汎用セル200A〜200Eによって千鳥状、もしくは「Y字」状の分岐、並列化された配列例を示している。すなわちここでは、汎用セル200は、平面形状八角形のベースユニット10aのうちトレーフィーダ21及びステージ(加工ステージ)31のいずれも配置されていない辺については、他の汎用セル100を隣接配置することができることを示している。例えば、汎用セル200Aと汎用セル200Bとを隣接させて、その間に隣接するセルとの共通のエリアとして給材、除材エリア51a,51bを設けるとともに、汎用セル200Bの汎用セル200Aに対する辺に直交する辺に汎用セル200Dを隣接させる。そして、その間にも共通のエリアとして給材、除材エリア51a,51bを設けることで、千鳥状のラインレイアウトを可能にしている。また、汎用セル200Aの汎用セル200Bに対する辺に直交する辺に汎用セル200Cを隣接させて、その間に共通のエリアとして給材、除材エリア51a,51bを設けることで、汎用セル200Aを分岐点として、汎用セル200B方向と汎用セル200C方向に分岐するラインレイアウトを可能にしている。また、このように配置された汎用セル200Bと汎用セル200Cとの双方に隣接する位置に汎用セル200Dを隣接させて、汎用セル200Bとの間に共通のエリアとして給材、除材エリア51a,51bを設けるとともに、汎用セル200Cとの間にも共通のエリアとして給材、除材エリア51a,51bを設ける。このようなセルの配置を通じて、汎用セル200Dに向かって合流するラインレイアウトを構成している。これらの場合であっても、各汎用セル200A〜200Eとしての基本的な機能は先の汎用セル200と同様であり、この場合も、セル構造のこうした簡単な変更を通じて、上述した複雑な形状のラインレイアウトが可能となる。なお、当該生産システムとしての上記中央制御部による統括制御のもとに実行される各セルの動作も、基本的に先の図7に例示したシステムと同様であり、それら動作に関するここでの重複する説明は割愛する。
以上説明したように、本実施形態にかかる生産システム用汎用セル、及び該汎用セルを用いた生産システムによっても、先の第1の実施形態の前記(1)〜(6)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、そのうちの特に前記(4)の効果については、その効果をさらに促進する次のような効果が得られるようになる。
(7)ベースユニット10aの上方に支柱11pを介して支持された天井部11rを設けるとともに、ロボット90はこの天井部11rから吊り下げられる態様にて当該ベースユニット10aに支持される構造とした。これにより、ロボット90の動作範囲も、その下方の全領域を含む広い範囲をカバーすることが可能となり、特にベースユニット10aを構成する領域のさらなる有効利用が図られるようになる。
(8)特に、ロボット90としては、互いに円形の動作領域をもって相互に重なり合う位置を通過できる同一長の第1及び第2のアーム92,94を有する。そしてそれら各アームが重なり合った姿勢を原点姿勢として、同第1及び第2のアーム92,94が時計回り及び反時計回りに各々225°に渡って旋回(回動)可能に構成されたスカラ型ロボットを採用することとした。これによりロボット90全体としての動作範囲も、それら第1及び第2のアーム92,94の協働により、円形を基本として、それら円の内部の全領域にわたってこれをカバーすることができるようになる。すなわち、ベースユニット10aの内側から外側に至るように設定されているロボット90の動作範囲において、その少なくともベースユニット10a内での死角は確実に解消されるようになり、例えば部品トレーからの部品のピックアップ動作等についてのより円滑な動作が期待できるようになる。
(9)こうしてベースユニット10aを構成する領域のさらなる有効利用が図られるとともに、同領域でのロボット90の死角が解消されることに伴い、部品供給ユニット20を構成するトレーフィーダ21を通じて搬送される部品トレーとしてもそのさらなる大型化が可能となる。すなわち、当該汎用セル200に対して一度に供給することのできる部品数を増やし、部品供給ユニット20を構成するトレーフィーダ21を通じた部品の供給にかかる操作頻度を低減することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・特に上記第1の実施形態では、ベースユニット10に対しその部品供給ユニット20の基端側から直立する態様にてロボット60を支持する側壁11を設けるようにしたが、ベースユニット10としてのスペース的な余裕が見込まれる場合には、同ベースユニット10の途中から直立する態様にて同側壁11を設けるようにしてもよい。要は、ロボット60の動作範囲との兼ね合いで、その動作範囲が加工エリア30の少なくとも一部に及ぶように、この加工エリア30から離間されるかたちで側壁11が設けられる構造であればよい。これにより部品供給ユニット20を構成するトレーフィーダ21の線路長の短縮が図られる場合には、汎用セル100自体の体格について、その小型化を図ることも可能となる。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・特に上記第1の実施形態では、ベースユニット10に対しその部品供給ユニット20の基端側から直立する態様にてロボット60を支持する側壁11を設けるようにしたが、ベースユニット10としてのスペース的な余裕が見込まれる場合には、同ベースユニット10の途中から直立する態様にて同側壁11を設けるようにしてもよい。要は、ロボット60の動作範囲との兼ね合いで、その動作範囲が加工エリア30の少なくとも一部に及ぶように、この加工エリア30から離間されるかたちで側壁11が設けられる構造であればよい。これにより部品供給ユニット20を構成するトレーフィーダ21の線路長の短縮が図られる場合には、汎用セル100自体の体格について、その小型化を図ることも可能となる。
・他方、上記第2の実施形態では、ロボット90を構成する第1及び第2のアーム92,94の各々原点姿勢からの旋回(回動)可能角度を時計回り及び反時計回りに、すなわち「±」方向にそれぞれ「225°」に設定した。ただし、これら旋回(回動)可能角度についてはこれを「±180°」以上に設定することで、図12(b)に例示した円内部の全領域について死角を確実に解消してこれをカバーすることはできる。また、第1及び第2のアーム92,94の旋回(回動)可能角度については「±180°」以上に設定することに限られず、必要な動作範囲が確保できればそれぞれ「±180°」未満に設定してもよい。
・同じく上記第2の実施形態では、部品供給ユニット20aを構成するトレーフィーダ21についても、第1の実施形態と同様、部品トレーに載置されて供給される部品を、上記ベースユニット10aを経て加工エリア30aの下方、すなわちステージ31よりも低い位置に搬送可能とするセル構造を採用した。しかし、同第2の実施形態の場合、ロボット90が天井部11rから吊り下げられる態様にて支持されることから、上記部品トレーの移動を阻止する部分も基本的に存在しない。このため、上記トレーフィーダ21の配設にかかる自由度も自ずと高く維持されており、同トレーフィーダ21はこの場合、上記部品トレーを、ベースユニット10aを経て加工エリア30a(ステージ31)の近傍に搬送可能なものであればよい。すなわち、ベースユニット10aの平面形状八角形からなる領域12と加工エリア30aを構成するステージ31との間に段差等を設ける必要はない。これによっても、ロボット90による該当部品のピックアップ動作、及び該ピックアップした部品の同ロボット90による加工エリア30aへの搬送動作等は円滑に実行されるようになる。しかも、同第2の実施形態の場合、ロボット90の動作範囲がベースユニット10aに搬送される部品トレーも含めてその搬送領域を広く覆うことともなるため、これによっても上述のように、部品トレー自体の大型化等を通じて、上記トレーフィーダ21を通じた部品の供給にかかる操作頻度を低減することはできる。
・上記各実施形態では、給材、除材エリア51a〜51dをワークの供給及び排除に用いたが、給材、除材エリア51a〜51dの用途は任意であり、例えば部品供給ユニット20,20aが供給する部品とは異なる部品を別途供給するためのエリアとしても用いることができる。具体的には、図6において、給材、除材エリア51c,51d等の所定の位置に載置された異なる部品をロボット60によりピックアップして、ワーク保持エリア71にセットされているワークWへの組み込みを行なうこともできる。
・上記実施形態では、生産システムの構築に際し、隣接する汎用セル100,200のロボット60,90の動作範囲が重なる位置に隣接する給材、除材エリア51a〜51dを備えて、隣接するセル100,200間でのワークの授受を可能とした。しかし、ロボット60,90の動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボット60の動作範囲内でのワークの授受を可能とすべく同ワークを自動搬送する被加工物(ワーク)自動搬送ユニットをさらに備えてもよい。これにより、上述の態様でのラインレイアウトに加え、ワーク自動搬送ユニットを通じてラインの一部あるいは全部を並列化する等のより多彩なラインレイアウトが可能となり、各セル間でのワークの加工内容等に応じたライン速度の調整や搬送タイミングの調整なども容易となる。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21として、ボールネジ及びこれに螺合するように係合される爪を備えて各々対象となるトレー等を自動搬送する機構を採用することとしたが、その搬送機構はこれに限らず任意である。こうしたユニットとしては、他に例えば、搬送対象を電磁的に誘導、移動せしめる機構等も適宜採用することができる。これは、上記被加工物(ワーク)自動搬送ユニットについても、同様である。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21は、第1及び第2シャトルモータMSa,MSbによって2本のレール22a,22bを駆動したが、1つのシャトルモータで両レール22a,22bを駆動してもよい。また、トレーフィーダ21は、1本のレールから構成されてもよい。
・上記各実施形態では、部品供給ユニット20,20aを構成するトレーフィーダ21は、2本のレール22a,22bを共動させて部品トレーTrを搬送するようにした。しかしこれに限らず、各レール22a,22bをそれぞれ個別に駆動して、それぞれのレール22a,22bによって相互に干渉しないサイズの部品トレーを交互に搬送すれば、当該セル100,200への部品供給を滞りなく行うことができる。
・上記各実施形態では、汎用セルを複数用いた生産システムの構築に際し、図8に例示したような通信回線を介してその電気的な接続を図ることとしたが、その通信形態は有線あるいは無線に限らず任意である。また、中央制御部120をあえて設けずに、汎用セル100,200のいずれか1つをマスタセルとして同等の通信網を組むこともできる。
・上記各実施形態では、加工エリア30,30aに対して専用の加工機70を設置し、被加工物(ワーク)の加工をこの加工機70を通じて行うこととしたが、上記各汎用セルにおいて、加工エリア30,30aをはじめ、ロボット60,90の用途は任意であり、例えば次のような態様にて、これら加工エリアやロボットの利用を図ることもできる。
(A)加工エリアには搬送されたワークを保持するための機構等のみを設けることとして、ロボット自身がワークの加工を含めた全ての操作を行う。すなわちこの場合、該ロボットは、
a.ワークの上記加工エリアへの搬送、及び
b.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品のワークへの組み込み、及び
d.この部品を組み込んだワークの上記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うこととなる。ちなみにこの場合、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要はあるものの、それら設定内容さえ予めデータベース122(図8)などの記憶装置に登録しておけば、例えばライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。すなわち、この場合も必要とされる汎用性は維持される。
a.ワークの上記加工エリアへの搬送、及び
b.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品のワークへの組み込み、及び
d.この部品を組み込んだワークの上記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行うこととなる。ちなみにこの場合、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要はあるものの、それら設定内容さえ予めデータベース122(図8)などの記憶装置に登録しておけば、例えばライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。すなわち、この場合も必要とされる汎用性は維持される。
(B)加工エリアにはロボットが自らのハンド(ツール)を自動付け替えするオートツールチェンジャを設置し、こうしたツールの自動付け替え及びワークの加工も含めてロボット自身が全ての操作を行う。すなわちこの場合、該ロボットは、
a.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の上記ワークへの組み込み、及び
c.この部品を組み込んだワークの加工、及び
d.この加工したワークの送り出し、及び
e.上記オートツールチェンジャを通じたこれらa.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うこととなる。特にこの場合には、上記e.の操作として、加工エリアに設置されたオートツールチェンジャを通じての必要に応じたロボットハンド(ツール)の自動付け替えも併せて行われることから、より多くの種類の作業に対応することが可能となる。もっともこの場合であれ、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要があるものの、ここでもそれら設定内容さえ予めデータベース122(図8)などの記憶装置に登録しておくことで、当該セルとしての必要とされる汎用性は好適に維持される。すなわち、ライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。
a.部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の上記ワークへの組み込み、及び
c.この部品を組み込んだワークの加工、及び
d.この加工したワークの送り出し、及び
e.上記オートツールチェンジャを通じたこれらa.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行うこととなる。特にこの場合には、上記e.の操作として、加工エリアに設置されたオートツールチェンジャを通じての必要に応じたロボットハンド(ツール)の自動付け替えも併せて行われることから、より多くの種類の作業に対応することが可能となる。もっともこの場合であれ、上記セルの羅列によって生産システムを構成する際には、ロボットが行うべき加工内容をセル毎に設定(プログラム)する必要があるものの、ここでもそれら設定内容さえ予めデータベース122(図8)などの記憶装置に登録しておくことで、当該セルとしての必要とされる汎用性は好適に維持される。すなわち、ライン構成の変更等に際しても、セル毎にそれら設定内容の更新を行うことで対応可能となる。
・上記各実施形態では、ロボット60,90として、いずれもスカラ型ロボットを採用することとしているが、特に上記(A),(B)のような利用を図る場合には、その型式も任意である。他に例えば、「人間の手」のような機能を有する型式のロボット等も適宜採用することができる。
・上記各実施形態では、加工エリア30,30aがそれぞれベースユニット10,10aに一体に連結される例について示したが、上記各汎用セル100,200を構成する同加工エリア30,30aについてはこれを、例えば交換可能な別体の構造体としてベースユニット10,10aの外側に延設される構造とすることもできる。そしてこの場合には、これら加工エリア30,30aとベースユニット10,10aとの間における振動等の伝達抑制効果が期待できるようにもなる。これによると、一般的には振動の影響を受けやすい検査装置による検査であっても加工エリアにて好適に行うことができるようにもなる。しかもこの場合、先の図9や図10に例示した各汎用セル100のようなセル構造のアレンジも容易となり、ひいては同図9や図10に示したようなラインレイアウトの自由度もさらに高められるようになる。すなわち、生産システム用汎用セルとして要は、ベースユニット、部品供給ユニット、及び加工エリアといった、いわば生産システム用のセルとして被加工物(ワーク)の加工に最低限必要とされる各要素のセットとして1つの汎用セルが構成されるものであればよい。またその意味では、上記給材、除材エリア51a〜51dの配設も同汎用セルにとって必須ではなく、例えば隣接されるセルのロボット同士でワークの受け渡し等が可能である場合には、これら給材及び除材エリア51a〜51dの配設を割愛することもできる。また、第1の実施形態ではベースユニット10が平面形状正六角形、第2の実施形態ではベースユニット10aが平面形状八角形からなる例について示したが、これらベースユニット10,10aの平面形状もこれらの形状に限定されるものではなく、正八角形などの五角形以上の多角形からなるものであればよい。
10,10a…ベースユニット、11…側壁、11p…支柱、11r…天井部、12…ベースユニット上の平面形状六角形もしくは八角形からなる領域、13a,13b,13c,13d…側板、20,20a…部品供給ユニット、21…トレーフィーダ、22a,22b…レール、23a,23b,24a,24b…爪、30,30a…加工エリア、31…ステージ(加工ステージ)、32…脚部、40…下面、41…キャスター、42…フットジャッキ、43…キャビネット、51a,51b,51c,51d…給材、除材エリア、60,90…ロボット、61…基台、62,91…第1の軸、63,92…第1のアーム、64,93…第2の軸、65,94…第2のアーム、66,95…第3の軸、67,96…ヘッドユニット、68,97…ツール取付具、70…加工機、71…ワーク保持エリア、100,100A〜100I,200,200A〜200E…汎用セル、101…第1モータドライバ、102…第2モータドライバ、103…第3モータドライバ、104…昇降モータドライバ、105…第1シャトルモータドライバ、106…第2シャトルモータドライバ、107…バルブドライバ、108…外部入出力IF(インターフェース)、110…制御部、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…通信IF(インターフェース)、120…中央制御部、121…ホストコンピュータ、122…データベース、123…入出力装置、124…通信IF(インターフェース)、M1…第1モータ、M2…第2モータ、M3…第3モータ、M4…昇降モータ、MSa…第1シャトルモータ、MSb…第2シャトルモータ、BL1…切換バルブ、U1…センサー、Em1…第1エンコーダ、Em2…第2エンコーダ、Em3…第3エンコーダ、Em4…昇降エンコーダ、ESa…第1シャトルエンコーダ、ESb…第2シャトルエンコーダ。
Claims (12)
- 受け入れた被加工物を加工して送り出す生産システムにあって同被加工物の加工、搬送に汎用的に用いられる生産システム用汎用セルであって、
平面形状が多角形からなって、少なくとも前記被加工物の搬送に用いられるロボットがこの多角形からなる平面領域上を移動可能に支持されてなるベースユニットと、該ベースユニットに支持されたロボットに対して前記被加工物の部品を供給する部品供給ユニットと、前記ベースユニットの外側に延設された加工エリアとを備え、
前記ベースユニットに支持されたロボットの動作範囲が、前記加工エリアの少なくとも一部を含むかたちで、同ベースユニットの内側から外側に至る範囲に設定されてなる
ことを特徴とする生産システム用汎用セル。 - 前記被加工物の当該セルに対する供給、及び同被加工物の当該セルからの排除の少なくとも一方に用いられる給材、除材エリアが前記ロボットの動作範囲に収まる態様にて前記ベースユニットの外側にさらに延設されてなる
請求項1に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記ベースユニットには同ベースユニットから直立する側壁が前記加工エリアから離間して設けられてなり、前記ロボットはこの側壁から突出する態様にて前記ベースユニットに支持されてなる
請求項1または2に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記加工エリアは前記ベースユニットよりも高い位置に段差をもって同ベースユニットからテーブル状に延設されてなり、前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品が載置される部品トレーを前記側壁の裏面側から前記ベースユニットを経て前記テーブル状からなる加工エリアの下方に搬送するトレーフィーダを有してなる
請求項3に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記ベースユニットの上方には支柱を介して支持された天井部が設けられてなり、前記ロボットはこの天井部から吊り下げられる態様にて前記ベースユニットに支持されてなる
請求項1または2に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記ロボットは、互いに円形もしくは円弧状の動作領域をもつ第1及び第2のアームを有するとともに、前記第2のアームは、前記第1のアームと重なる位置を通過することが可能なスカラ型ロボットからなる
請求項5に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記部品供給ユニットは、前記被加工物の部品を前記加工エリアの近傍に供給するものである
請求項5または6に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記加工エリアには前記被加工物の加工を行う専用の加工機が設置され、前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.前記加工機を通じて加工された被加工物の送り出し、
の各操作を行う
請求項1〜7のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記ロボットは、
a.前記被加工物の前記加工エリアへの搬送、及び
b.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
c.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
d.この部品を組み込んだ被加工物の前記加工エリアでの加工、及び
e.この加工エリアで加工した被加工物の送り出し、
の各操作を行う
請求項1〜7のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。 - 前記加工エリアには前記ロボットが自らのハンドを自動付け替えするオートツールチェンジャが設置され、前記ロボットは、
a.前記部品供給ユニットを介して供給される部品のピックアップ、及び
b.このピックアップした部品の前記被加工物への組み込み、及び
c.この部品を組み込んだ被加工物の加工、及び
d.この加工した被加工物の送り出し、及び
e.前記オートツールチェンジャを通じた前記a.〜d.の操作に対する必要に応じてのロボットハンドの自動付け替え、
の各操作を行う
請求項1〜7のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セル。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の生産システム用汎用セルの複数が、互いに隣接するセル同士で前記ロボットの動作範囲の一部を共有する態様にて配列されてなる
ことを特徴とする汎用セルを用いた生産システム。 - 前記ロボットの動作範囲が及ばないセル間においてそれらロボットの動作範囲内での被加工物の授受を可能とすべく同被加工物を自動搬送する被加工物自動搬送ユニットをさらに備える
請求項11に記載の汎用セルを用いた生産システム。
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