JP2012080878A - ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法 - Google Patents

ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アミノ基供与体としてアミノ酸を要求しないビニルグリシン誘導体の製造方法等を提供する。
【解決手段】一般式(1)
Figure 2012080878

(式中、Rは水素原子、などを表す。)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩に、アミノ酸脱水素酵素などを作用させ、一般式(2)
Figure 2012080878

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法等。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法等に関する。
蛋白質を通常構成しないアミノ酸である「ビニルグリシン」は、真菌類から単離され、多くの酵素類を阻害することが示されてきており、その誘導体も併せて酵素阻害剤や抗生物質として広く利用されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2等参照)。
ビニルグリシンを酵素法による製造する方法としては、アミノ酸のアミノ基を2−オキソ酸(即ち、ビニルケト酸(ビニルグリオキシル酸))に転移して、別のオキソ酸とアミノ酸(即ち、ビニルグリシン誘導体)を生じる反応を触媒する酵素である「アミノトランスフェラーゼ」(EC 2.6.1.X)を利用するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第4080539号 特開平5−105657 特開2007−295865
Accounts of Chemical Research, 8 (8), 281-288 (1975) Current Medicinal Chemistry, 14 (12), 1291-1324 (2007)
しかしながら、上記の酵素法では、アミノ基供与体としてアミノ酸を要求するので、当該方法によるビニルグリシン誘導体の製造はコストの増大を避けることが容易ではなかった。
本発明者は、このような状況下鋭意検討を行った結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.一般式(1)
Figure 2012080878
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素(以下、本酵素と記すこともある。)又は該酵素の産生能を有する微生物(以下、本微生物と記すこともある。)の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含むことを特徴とする、一般式(2)
Figure 2012080878
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法(以下、本発明製造方法と記すこともある。);
2.前記補因子が、NADHまたはNADPHであることを特徴とする前項1記載の製造方法;
3.前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素原子または炭素数1−5のアルキル基であることを特徴とする前項1または2記載の製造方法;
4.前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素原子であることを特徴とする前項1乃至3のいずれかの請求項記載の製造方法;
5.前記酵素が、下記の酵素群から選ばれる1以上の酵素であることを特徴とする前項1乃至4のいずれかの前項記載の製造方法;
<酵素群>
(1)アラニン脱水素酵素
(2)グルタミン酸脱水素酵素
(3)ロイシン脱水素酵素
(4)フェニルアラニン脱水素酵素
6.前記酵素が、プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)IFO12930株を起源とするグルタミン酸脱水素酵素、又は、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列を有する酵素であることを特徴とする前項1乃至4のいずれかの前項記載の製造方法;
7.一般式(1)
Figure 2012080878
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩を、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、一般式(2)
Figure 2012080878
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩に変換するための触媒としての、アミノ酸脱水素酵素又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物の使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
等を提供するものである。
本発明では、アミノ基供与体としてアミノ酸を要求せず、アンモニアを利用するため、本発明製造方法によるビニルグリシン誘導体の製造はコストの増大を避けることが容易になった。
図1は、本発明の一実施例において、各種のアミノ酸脱水素酵素を2−ケト−3−ブテン酸に反応させた場合での吸光度(A340)の変化を示す図である。尚、図中の記号は、下記の通りである。「-*-」:番号1(アミノ酸脱水素酵素の種類:ロイシン脱水素酵素、起源:Bacillus cereus)「-○-」:番号2(アミノ酸脱水素酵素の種類:ロイシン脱水素酵素、起源:Bacillus stearothermophilus)「-+-」:番号3(アミノ酸脱水素酵素の種類:ロイシン脱水素酵素、起源:Bacillus sphaericus)「-◇-」:番号4(アミノ酸脱水素酵素の種類:アラニン脱水素酵素、起源:Bacillus subtilis)「-△-」:番号5(アミノ酸脱水素酵素の種類:グルタミン脱水素酵素、起源:Bovine liver)「-×-」:番号6(アミノ酸脱水素酵素の種類:グルタミン脱水素酵素、起源:Proteus inconstans)「-□-」:番号7(アミノ酸脱水素酵素の種類:グルタミン脱水素酵素、起源:Saccharomyces cerevisiae)「-〓-」:番号8(アミノ酸脱水素酵素の種類:フェニルアラニン脱水素酵素、起源:Sporosarcinaureae)
本明細書に記載される発明は記載されている特定の方法論、プロトコール、及び、試薬に限定されず、可変であると考えられる。また、本明細書で用いる用語は単に特定の実施形態を記載するためのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではないと考えられる。
特に断りの無い限り、本明細書で用いる全ての技術用語、及び、化学用語は、本発明が属する技術分野の熟練者に共通に理解されているものと同じ意味を持つ。本発明を実施又は試験する上で、本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法、及び、材料のいずれを用いてもよいが、以下、好ましい方法、装置、及び、材料を記載する。
本発明製造方法において、補因子(ほいんし、cofactor)とは、酵素の触媒活性に必要なタンパク質以外の化学物質で、酵素が働くために酵素と結合する必要があるものを意味する。具体的には例えば、補酵素(ほこうそ、coenzyme)等を挙げることができる。当該物質は、タンパク質以外の有機分子であり、官能基を酵素間で輸送する。これらの分子は酵素とゆるく結合し、酵素反応の通常の段階では解離される。
以下、更に詳細に本発明を説明する。
本発明製造方法は、一般式(2)
Figure 2012080878
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(以下、化合物(2)と記すこともある。
)の製造方法であり、一般式(1)
Figure 2012080878
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(以下、化合物(1)と記すこともある。
)に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素(即ち、本酵素)又は該酵素の産生能を有する微生物(即ち、本微生物)の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含む。
ここで、化合物(1)及び化合物(2)において、Rで示される「炭素数1−8のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基を挙げることができる。また、Rで示される「炭素数6−20のアリール基」としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
好ましいRとしては、例えば、水素原子または炭素数1−5のアルキル基等が挙げられる。より好ましいRとしては、例えば、水素原子等が挙げられる。
本発明製造方法において用いられる触媒としての酵素又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物は、化合物(1)から化合物(2)に変換する能力を有する。
このような能力を有する酵素(即ち、本酵素)としては、例えば、アラニン脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、ロイシン脱水素酵素およびフェニルアラニン脱水素酵素からなる群より選ばれる1以上の酵素を挙げることができる。尚、これら酵素の起源は、ウシ等の哺乳動物由来の各種組織(例えば、肝臓)であってもよく、下記のような微生物であってもよい。
これら酵素は、上記起源から通常の生化学的手法に従い分離してもよいし、各試薬メーカー等より市販品として購入することにより容易に入手することができる。
一方、このような能力を有する微生物(即ち、本微生物)としては、例えば、バシラス(Bacillus)属、プロテウス(Proteus)属、スポロサルシナ(Sporosarcina)属およびサッカロマイセス(Saccharomyces)属からなる群より選ばれる1以上の微生物を挙げることができる。
また、このような能力を有する微生物(即ち、本微生物)としては、下記の微生物群から選ばれる少なくとも1つ以上の微生物を挙げることができる。
<微生物群>
バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)
バシラス・セレウス(Bacillus cereus)
バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)
プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)
スポロサルシナ・ウレアエ(Sporosarcina ureae)
サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)
これら菌株は天然から分離してもよいし、各菌株保存機関より購入することにより容易に入手することができる。
このような菌株を購入できる各菌株保存機関として、例えば、下記の菌株保存機関を挙げることができる。
1.IFO(Institute of Fermentation Osaka:財団法人 醗酵研究所)
現在は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源部門(NBRC)で取り扱い可能であり、入手に際しては http://www.nbrc.nite.go.jp/NBRC2/NBRCDispSearchServlet?lang=jp にアクセスすればよい。
2.ATCC(American Type Culture Collection)
住商ファーマインターナショナル株式会社 ATCC事業グループで取り扱い可能であり、入手に際しては http://www.summitpharma.co.jp/japanese/service/s_ATCC.html にアクセスすればよい。
3.IAMカルチャーコレクション
現在は、IAMカルチャーコレクション保存菌株のうち、細菌、酵母、糸状菌の場合には独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に、また微細藻類の場合には独立行政法人 国立環境研究所微生物系統保存施設(NIES)に移管されている。入手に際しては http://www.jcm.riken.go.jp/JCM/aboutJCM_J.shtml、http://mcc.nies.go.jp/aboutOnlineOrder.do にアクセスすればよい。
4.JCM(理化学研究所微生物系統保存施設 (Japan Collection of Microorganisms, JCM)
現在は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター (RIKEN BRC) 微生物材料開発室に移管されている。入手に際しては http://www.jcm.riken.go.jp/JCM/aboutJCM_J.shtml にアクセスすればよい。
また、本発明製造方法において用いられる触媒としての酵素又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物は、化合物(1)を化合物(2)に変換する能力を有する酵素又は微生物を探索することにより入手・調製することもできる。具体的には、例えば、試験管に滅菌済み培地5mlを入れ、これに各菌株保存機関より購入することにより入手された菌体又は土壌中から純粋分離することにより調製された菌体を植菌する。
これを30℃で好気条件下、振盪培養する。培養終了後、遠心分離により菌体を回収することにより、生菌体を得る。得られる生菌体に0.2Mリン酸カリウムバッファー(pH7.0)を1.5ml加え、懸濁後、2%(w/v)2−ケト−3-ブテン酸水溶液を0.065ml添加した後、得られる混合物を30℃で2〜3日間振盪させる。
反応終了後、反応液をサンプリングし、反応液中に生成するビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィー等により分析する。
このようにして、2−ケト−3-ブテン酸を対応するビニルグリシンに変換する能力を有する酵素の産生能を有する微生物を選抜する。
本発明製造方法において用いられる触媒としての酵素としては、具体的には例えば、プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)IFO12930株を起源とするグルタミン酸脱水素酵素(尚、当該微生物を起源とする酵素は東洋紡社から購入可能である。)や配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する酵素を好ましく挙げることができる。当該酵素の起源としては、具体的には例えば、
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はシグマ社から購入可能である。)、
(2)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素は和光純薬社から購入可能である。)、
(3)配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素は東洋紡社から購入可能である。)、
(4)配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はシグマ社から購入可能である。)、
(5)配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、ウシ等の哺乳動物由来の組織(例えば、肝臓)(尚、当該組織を起源とする酵素はMP Biochemicals社から購入可能である。)、
(6)配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はオリエンタル酵母社から購入可能である。)、
(7)配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、スポロサルシナ・ウレアエ(Sporosarcina ureae)等のスポロサルシナ(Sporosarcina)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はMP Biochemicals社から購入可能である。)
等を挙げることができる。
次に、本微生物の調製方法について説明する。
本微生物は、炭素源、窒素源、有機塩、無機塩等を適宜含有する各種の微生物を培養するための培地を用いて培養すればよい。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1%(w/v)〜30%(w/v)程度である。
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1%(w/v)〜30%(w/v)程度である。
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001%(w/v)〜5%(w/v)程度である。
培養方法としては、例えば、固体培養、液体培養(試験管培養、フラスコ培養、ジャーファーメンター培養等)が挙げられる。
培養温度及び培養液のpHは、本微生物が生育する範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば、培養温度は約15℃〜約45℃の範囲、培養液のpHは約4〜約8の範囲を挙げることができる。培養時間は、培養条件により適宜選択することができるが、通常、約1日間〜約7日間である。
本微生物の培養物は、そのまま本発明製造方法の触媒として用いることができる。本微生物の培養物を用いる方法のうち、本微生物の菌体をそのまま用いる方法としては、例えば、(1)培養液をそのまま用いる方法、(2)培養液を遠心分離等することにより回収された菌体(必要に応じて、緩衝液又は水で洗浄した後の湿菌体)を用いる方法等を挙げることができる。
また本発明製造方法の触媒として、本微生物の培養物の処理物を用いることもできる。
当該処理物としては、例えば、培養して得られた菌体を有機溶媒(アセトン、エタノール等)処理したもの、凍結乾燥処理したもの若しくはアルカリ処理したもの、又は、菌体を物理的若しくは酵素的に破砕したもの、又は、これらのものから分離・抽出された粗酵素等を挙げることができる。さらに、前記処理物には、前記処理を施した後、公知の方法により固定化処理したものも含まれる。
本微生物の培養物から本酵素を精製する方法としては、通常のタンパク質の精製において使用される方法を適用すればよい。例えば、次のような方法を挙げることができる。
まず、本微生物の培養物から遠心分離等により菌体を集めた後、これを超音波処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルタ−濾過等により不純物を除去することにより無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって、本酵素を精製することができる。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロ−ス、デキストリン又はアガロ−ス等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもでき、かかる市販の担体充填済カラムとしては、例えば、Q−Sepharose FF、Phenyl−Sepharose HP(商品名、いずれもアマシャム ファルマシア バイオテク社製)、TSK−gel G3000SW(商品名、東ソ−社製)等が挙げられる。
尚、本酵素を含む画分を選抜するには、例えば、本発明における「ビニルグリオキシル酸またはその塩を該当するビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力」の存在有無又はその程度に基づき選抜すればよい。
具体的な形態としては、例えば、本微生物の培養物、かかる培養物の処理物(例えば、無細胞抽出液、粗精製タンパク質、精製タンパク質及びこれらの固定化物等)を挙げることができる。ここで、培養物の処理物としては、例えば、凍結乾燥微生物、有機溶媒処理微生物、乾燥微生物、微生物摩砕物、微生物の自己消化物、微生物の超音波処理物、微生物抽出物、微生物のアルカリ処理物を挙げることができる。また、固定化物を得る方法としては、例えば、担体結合法(シリカゲルやセラミック等の無機担体、セルロース、イオン交換樹脂等に本酵素等を吸着させる方法)及び包括法(ポリアクリルアミド、含硫多糖ゲル(例えばカラギ−ナンゲル)、アルギン酸ゲル、寒天ゲル等の高分子の網目構造の中に本酵素等を閉じ込める方法)を挙げることができる。
尚、本微生物を用いた工業的な生産を考慮すれば、未処理状態の微生物を用いる方法よりも当該微生物を死滅化させた処理物を用いる方法のほうが製造設備の制限等の点から好ましい場合がある。そのための死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン、抗生物質)を挙げることができる。
一般的には、これらの殺菌法のうちできるだけ本酵素の前記「N−カルバモイルアミノ化合物を対応する5−(アミノメチル)−2−クロロチアゾールに変換する能力」を失活させず、且つ、反応系への残留、汚染等の影響が少ない処理方法を選択することが望ましい。
以下、更に具体的に説明する。
1.培養物の処理物(その1)
本微生物の培養物から菌体を回収するには、遠心分離法や膜ろ過法を用いることができる。遠心分離は、限定されるわけではないが、例えば、3,000〜4,500×g、5〜20分間、4℃の条件で行うことができる。回収された本微生物を、必要に応じて、リン酸−ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液等で洗浄し、懸濁することができる。このようにして菌体懸濁液が得られる。
菌体の破砕方法としては、超音波処理、フレンチプレスやホモジナイザーによる高圧処理、ガラスビーズ等による磨砕処理、リゾチーム、セルラーゼ、ペクチナーゼ等を用いる酵素処理、凍結融解処理、低張液処理、ファージによる溶菌誘導処理等を利用することができる。破砕処理は、必要に応じて氷冷下で行う。例えば、菌体懸濁液を超音波破砕機VP−15S(タイテック、日本)を用いて、出力コントロール4、DUTY CYCLE 40%、PULS、TIMER=Bモード10sの条件で氷冷下に1〜5分、好ましくは3分間破砕すればよい。また、例えば、菌体懸濁液を100 MPa加圧条件でNiro Soavi社製ホモジナイザーPANDA2K型を用いて破砕してもよい。
破砕後、本微生物の破砕物から、必要に応じて菌体の破砕残渣を除くことができる。残渣を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過等が挙げられる。必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して残渣除去効率を上げることもできる。遠心分離は、限定されるわけではないが、例えば、4,000〜25,000×g、3〜45分間、4℃の条件で行うことができる。このようにして破砕物から残渣を除去すればよい。
2.培養物の処理物(その2)
前記の本微生物の破砕物や無細胞抽出液を加熱処理することにより、本酵素以外の多くのタンパク質を変性させることができる。従って、本微生物の破砕物又は無細胞抽出液を加熱処理することにより、本酵素液を可溶性画分として取得することができる。本酵素には、上記のように取得される本酵素液が含まれる。
ここで「加熱処理」とは、本微生物に由来する本酵素以外のタンパク質を変性させるために行う熱失活操作をいい、当該加熱処理の温度は好ましくは50℃以上75℃以下、さらに好ましくは55℃以上60℃以下である。加熱処理の時間は特に限定されないが、本微生物の破砕物や無細胞抽出液が設定温度となってから10分以上が好ましい。さらに好ましくは30分以上1時間以下である。
例えば、加熱処理は、本微生物の破砕物等を試験管に入れ、所定の温度に設定したウォーターバスにおいて所定の時間インキュベートすることにより行うことができる。また、温度計を付した三ツ口フラスコに本微生物の破砕物等を入れ、所定の温度まで加熱し、所定の時間加熱処理を行うこともできる。
また、本発明において、本微生物の破砕物を加熱処理(前加熱)した後、破砕残渣を除き、その後再び加熱処理を行ってもよい。再加熱の際、亜鉛塩を存在させてもよい。
加熱処理により生じた不溶性物を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過等が挙げられ、必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して除去効率を上げることもできる。必要があれば、各種クロマトグラフィー等(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等)を用いて更に精製してもよい。
本発明製造方法は、通常、水の存在下で行われる。この場合の水は、緩衝液の形態であってもよい。当該緩衝液に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸のアルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸のアルカリ金属塩、Tris−塩酸緩衝液、Tris−クエン酸、Tris−グリシン緩衝液等のアルカリ性緩衝液等が挙げられる。
また本発明製造方法は、更に疎水性有機溶媒を用いて、水と疎水性有機溶媒との存在下で行うこともできる。この場合に用いられる疎水性有機溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−オクチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合物を挙げることができる。
また本発明製造方法は、更に親水性有機溶媒を用いて、水と水性媒体との存在下で行うこともできる。この場合に用いられる親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明製造方法では、アミノ基供与体としてアンモニアを利用するため、通常、反応系内にアンモニア塩化物が添加させる。添加されるアンモニア塩化物としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。反応系内におけるアンモニアの量としては、通常、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量と等モルかまたはそれ以上であり、反応開始時に添加しておくのが好ましい。
本発明製造方法では、共役系として補因子を利用するため、通常、反応系内に補酵素を添加させるとよい。添加される補酵素としては、例えば、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(即ち、NADH)や、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(即ち、NADPH)等を挙げることができる。反応系内における補因子の量としては、通常、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量と等モルかまたはそれ以上であり、反応開始時に添加しておくのが好ましい。
本発明製造方法は、通常、水層のpHが3〜11の範囲内で行われるが、反応が進行する範囲内で適宜変化させてもよい。好ましくはアルカリ側で行われることがよく、より好ましくは水層のpHが7〜10の範囲内で行われることがよい。
本発明製造方法は、通常、約0℃〜約60℃、好ましくは約10℃〜約50℃、の範囲内で行われるが、反応が進行する範囲内で適宜変化させてもよい。
本発明製造方法は、通常、約0.5時間〜約10日間の範囲内で行われる。反応の終点は、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の添加終了後、例えば、反応液中の当該一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(即ち、化合物(2))、又は、一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量を、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により測定することにより確認することができる。
また、前記の共役系を利用することにより、上記のような液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により直接的な定量分析を行うことなく、例えば、NADH、NADPH等の補因子に基づく特定波長(例えば、340nm)での吸光度の変化を測定することにより、反応経過の追跡を簡便に実施することもできる。
本発明製造方法における原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の濃度は、通常、50%(w/v)以下であり、反応系中の当該一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の濃度を略一定に保つために、当該一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))を反応系に連続又は逐次加えてもよい。
本発明製造方法では、必要に応じて反応系に、例えば、グルコース、シュークロース、フルクトース等の糖類、又は、TritonX−100若しくはTween60等の界面活性剤等を加えることもできる。
反応液からの一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(即ち、化合物(2))の回収は、一般に知られている任意の方法で行えばよい。
例えば、反応液の有機溶媒抽出操作、濃縮操作等の後処理を、必要によりカラムクロマトグラフィ−、蒸留等を組み合わせて、行うことにより精製する方法を挙げることができる。
具体的には例えば、反応液に塩酸等の鉱酸を加えて、加熱還流下にて1時間攪拌し、放冷後、反応混合物をクロロホルム洗浄する。水層を濃縮乾固し、残渣にアセトンを加えて加熱還流下に10分間攪拌洗浄する。放冷した後、結晶をろ取し、アセトン、クロロホルムで洗浄して、一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体の鉱酸塩として結晶精製する方法を好ましく挙げることができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 (本発明製造方法による、ビニルグリオキシル酸またはその塩からのビニルグリシン誘導体またはその塩の製造例)
試験で用いられる出発原料である2−ケト−3−ブテン酸の標品は、特表2008−526720に記載される方法に準じて合成した。反応生成物であるビニルグリシン塩酸塩の標品は、Journal of Organic Chemistry, 45, 4817 (1980)に記載される方法に準じて合成した。また、アミノ基供与体として用いられる塩化アンモニウムは、ナカライテスク社から市販品を購入し、これを用いた。
試験で用いられる触媒としての試料は、以下のように調製された。
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素(ロイシン脱水素酵素)の場合には、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物を起源とする酵素であり、シグマ社から市販品を購入した。購入された市販品のうち1mgを、0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより、試験で用いられる触媒としての試料を調製し、これを使用した。
(2)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する酵素(ロイシン脱水素酵素)の場合には、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物を起源とする酵素であり、和光純薬社から市販品を購入した。購入された市販品のうち5mgを、0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより、試験で用いられる触媒としての試料を調製し、これを使用した。
(3)配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する酵素(ロイシン脱水素酵素)の場合には、バシラス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物を起源とする酵素であり、東洋紡社から市販品を購入した。購入された市販品のうち10mgを、0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより、試験で用いられる触媒としての試料を調製し、これを使用した。
(4)配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する酵素(アラニン脱水素酵素)の場合には、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物を起源とする酵素であり、シグマ社から市販品を購入した。
購入された市販品(溶液)の原液そのままを、試験で用いられる触媒としての試料に使用した。
(5)配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する酵素(グルタミン酸脱水素酵素)の場合には、ウシ等の哺乳動物由来の組織(例えば、肝臓)を起源とする酵素であり、MP Biochemicals社から市販品を購入した。購入された市販品(溶液)の原液そのままを、試験で用いられる触媒としての試料に使用した。
(6)配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する酵素(グルタミン酸脱水素酵素)の場合には、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する微生物を起源とする酵素であり、オリエンタル酵母社から市販品を購入した。購入された市販品のうち100mgを、0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより、試験で用いられる触媒としての試料を調製し、これを使用した。
(7)配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する酵素(フェニルアラニン脱水素酵素)の場合には、スポロサルシナ・ウレアエ(Sporosarcina ureae)等のスポロサルシナ(Sporosarcina)属に属する微生物を起源とする酵素であり、MP Biochemicals社から市販品を購入した。購入された市販品のうち4mgを、0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより、試験で用いられる触媒としての試料を調製し、これを使用した。
(8)プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)IFO12930株を起源とするグルタミン酸脱水素酵素であり、東洋紡社から市販品を購入した。購入された市販品(溶液)の原液そのままを、試験で用いられる触媒としての試料に使用した。
細胞培養用マルチプレート96F(住友ベークライト社製)の1ウェルに、1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.161mlと、上記のようにして調製された触媒としての試料0.005mlと、3.3M塩化アンモニウム水溶液0.014mlと、7.5mM 補因子水溶液(表1参照)(7.5mM NADH水溶液、又は、7.5mM NADPH水溶液のいずれか一方)0.013mlとを加えて混合した。得られた混合液を30℃に保温した後、これに2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液0.007mlを添加し、得られた混合液の温度を30℃に維持することにより、反応を17時間行った。
反応終了後、反応液を全量サンプリングした。サンプリングされた反応液をフィルター濾過して得られる濾液の中に含まれるビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィーにより分析した。得られた結果を表1、表2及び図1に示す。
<含量分析条件>
カラム:ユニゾン(Unison) UK−C18(4.6mmφ×250mm、3μm)(Imtakt社製)
移動相:A液 (50mMリン酸+10mMヘプタンスルホン酸ナトリウム 水溶液)、B液 (メタノール)
移動相の送液:A液(%):B液(%)=90:10(一定)
分析時間:60分
流速:0.8ml/分
カラム温度:37℃
検出:210nm
また、反応経過を簡便に追跡するために、反応開始から約8分間マルチプレートリーダー(日本モレキュラーデバイス社製SPECTRA max 340PC)にて波長340nmでのNADH又はNADPHの吸光度(A340)の変化も測定した。
Figure 2012080878
Figure 2012080878
終濃度が0.231Mとなる塩化アンモニウムを含む1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に、0.001%(w/v)となるように溶解されたビニルグリシン水溶液を標品として、液体クロマトグラフィーにより約14分のRT(保持時間)で溶出されるピークの面積値を100とした。
実施例2 (ビニルグリオキシル酸またはその塩を対応するビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素の産生能を有する微生物の探索)
試験管に滅菌済み培地(1Lの水に、グルコース20g、ポリペプトン5g、酵母エキス3g、肉エキス3g、硫酸アンモニウム2g、リン酸2水素カリウム1g及び硫酸マグネシウム7水和物0.5gを加えた後、pHを7.0に調整したもの)5mlを入れ、これに、各菌株保存機関より購入することにより入手された菌体又は土壌中から純粋分離することにより調製された菌体を植菌する。これを30℃で好気条件下、振盪培養する。培養終了後、遠心分離により菌体を回収することにより、生菌体を得る。ねじ口試験管に0.2Mリン酸カリウムバッファー(pH7.0)を1.5ml入れ、これに上記の生菌体を加えた後、懸濁する。得られる懸濁液に、2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液を0.065ml添加した後、得られる混合物を30℃で2〜3日間振盪させる。
反応終了後、反応液を0.6mlサンプリングする。サンプリングされた反応液から菌体を除去した後、反応液中に生成したビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィーにより分析する。
このようにして、ビニルグリオキシル酸またはその塩を対応するビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素の産生能を有する微生物を選抜する。
<含量分析条件>
カラム:ユニゾン(Unison) UK−C18(4.6mmφ×250mm、3μm)(Imtakt社製)
移動相:A液 (50mMリン酸+10mMヘプタンスルホン酸ナトリウム 水溶液)、B液 (メタノール)
移動相の送液:A液(%):B液(%)=90:10(一定)
分析時間:60分
流速:0.8ml/分
カラム温度:37℃
検出:210nm
参考例1 (吸光度減少量(A340)とビニルグリシンの生成量との相関関係)
細胞培養用マルチプレート96F(住友ベークライト社製)の1ウェルに、1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.161mlと、市販のバシラス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)由来のロイシン脱水素酵素(東洋紡社製)10mgを0.2%(w/v)BSAと50mM EDTAとを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.6)1mlに溶解することにより得られた酵素液0.005mlと、3.3M塩化アンモニウム水溶液0.014mlと、7.5mM NADH水溶液0.013mlとを加えて混合した。得られた混合液を30℃に保温した後、これに2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液0.007mlを添加し、得られた混合液の温度を30℃に維持することにより、約5分間で反応が終了した。
反応終了後、反応液を全量サンプリングした。サンプリングされた反応液をフィルター濾過して得られる濾液の中に含まれるビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィーにより分析した。
また、同様に、細胞培養用マルチプレート96F(住友ベークライト社製)の1ウェルに、1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.161mlと、市販のプロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)由来のグルタミン酸脱水素酵素を含む酵素液の原液(東洋紡社製)0.005mlと、3.3M塩化アンモニウム水溶液0.014mlと、7.5mM NADPH水溶液0.013mlとを加えて混合した。得られた混合液を30℃に保温した後、これに2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液0.007mlを添加し、得られた混合液の温度を30℃に維持することにより、約5分間で反応が終了した。
反応終了後、反応液を全量サンプリングした。サンプリングされた反応液をフィルター濾過して得られる濾液の中に含まれるビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィーにより分析した。
上記の2つの反応において、マルチプレートリーダーにて波長340nmで測定したNADH又はNADPHの吸光度の変化が止まった時点を反応終点として、反応開始時から反応終了時までの間における吸光度減少量(ΔA340)と、その反応マスを液体クロマトグラフィーにより定量分析して測定されたビニルグリシンの生成量との間には以下の相関関係が確認された。
X=ΔA340/24.29
(式中、「X」は液体クロマトグラフィーにより定量分析して算出された生成物の濃度(mM)を表している。)
当該結果より、生成物の濃度を上記の相関関係に基づく計算式を用いて、マルチプレートリーダーにて波長340nmで測定したNADHの吸光度の減少量より算出でき、当該方法は簡便な定量分析法として利用可能であることが確認された。
<含量分析条件>
カラム:ユニゾン(Unison) UK−C18(4.6mmφ×250mm、3μm)(Imtakt社製)
移動相:A液 (50mMリン酸+10mMヘプタンスルホン酸ナトリウム 水溶液)、B液 (メタノール)
移動相の送液:A液(%):B液(%)=90:10(一定)
分析時間:60分
流速:0.8ml/分
カラム温度:37℃
検出:210nm
本発明により、新たなビニルグリシン誘導体の製造方法等を提供することが可能となる。

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 2012080878
    (式中、Rは水素、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
    で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含むことを特徴とする、一般式(2)
    Figure 2012080878
    (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法。
  2. 前記補因子が、NADHまたはNADPHであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素または炭素数1−5のアルキル基であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項記載の製造方法。
  5. 前記酵素が、下記の酵素群から選ばれる1以上の酵素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの請求項記載の製造方法。
    <酵素群>
    (1)アラニン脱水素酵素
    (2)グルタミン酸脱水素酵素
    (3)ロイシン脱水素酵素
    (4)フェニルアラニン脱水素酵素
  6. 前記酵素が、プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)IFO12930株を起源とするグルタミン酸脱水素酵素、又は、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列を有する酵素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの請求項記載の製造方法。
  7. 一般式(1)
    Figure 2012080878
    (式中、Rは水素、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
    で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩を、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、一般式(2)
    Figure 2012080878
    (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩に変換するための触媒としての、アミノ酸脱水素酵素又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物の使用。
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