JP2012078161A - 試料中の測定対象物質の測定方法、測定試薬及び測定値差の改善方法 - Google Patents

試料中の測定対象物質の測定方法、測定試薬及び測定値差の改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料の種類によって測定値に差が生じることを防ぐことができる、新たな測定方法、測定試薬、及び測定値差の改善方法を提供する。
【解決手段】測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する方法において、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応による測定対象物質の測定における、試料中の測定対象物質の測定方法、試料中の測定対象物質の測定試薬、及び試料の種類による測定値差の改善方法に関する。
本発明は、臨床検査、免疫学及び医学などの生命科学分野、分析化学などの化学分野、食品衛生分野、並びに環境衛生分野等において有用なものである。
抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドとレセプター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用した試料中に含まれる微量の測定対象物質の測定方法及び測定試薬は種々のものが知られている。
これは、試料中に含まれる測定対象物質と、この測定対象物質に対して結合する特異的結合物質(測定対象物質に対する特異的結合物質)との結合の有無、又は結合の量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものである。
これらの測定対象物質に結合する特異的結合物質を用いる測定対象物質の測定方法及び測定試薬としては、特に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することによる、試料中の測定対象物質の測定方法、及びこの測定方法を測定原理とする試料中の測定対象物質の測定試薬が知られ、繁用されている。
これらの試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬における担体としては、ラテックス粒子、有機高分子粒子、無機粒子、金属粒子、磁性粒子、又は赤血球等が知られているが、特にラテックス粒子が繁用されている。(例えば、特許文献1、及び非特許文献1参照。)。
国際公開パンフレットWO2010/058860
「臨床検査法提要」,改訂第31版,第40頁〜第41頁,金原出版,1998年発行
本発明者らは、前記の、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応による、試料中の測定対象物質の測定の際に、例えば、生体試料における測定値と標準液等の水系溶媒試料における測定値との間等のように、試料の種類により測定値に差が生じることに気付いた。
これは、例えば、生体試料における測定対象物質の濃度と、水系溶媒試料における測定対象物質の濃度とが例え同一であったとしても、この生体試料と水系溶媒試料とのように試料の種類が異なることにより、測定により得られる測定値に差が生じてしまうのである。
よって、本発明の課題は、試料の種類によって測定値に差が生じることを防ぐことができる、新たな測定方法、測定試薬、及び測定値差の改善方法を提供することである。
〔1〕本発明
本発明者らは、上記の課題の解決を目指して鋭意検討を行った結果、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応による、試料中の測定対象物質の測定の際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることにより、試料の種類による測定値差を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する方法において、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。
(2) 以下の第1段階:
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
及び、以下の第2段階:
前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
による前記(1)記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(3) 以下の第1段階:
水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
及び、以下の第2段階:
前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
による前記(1)記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(4) 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(5) 担体がラテックス粒子である、前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(6) 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、前記(1)〜(5)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(7) 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする試料中の測定対象物質の測定に用いられる測定試薬であって、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有する、試料中の測定対象物質の測定試薬。
(8) 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第1試薬と、当該特異的結合物質を固定化した担体を含有する第2試薬とを含む、前記(7)記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(9) 水系溶媒を含有する第1試薬と、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第2試薬とを含む、前記(7)記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(10) 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、前記(7)〜(9)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(11) 担体がラテックス粒子である、前記(7)〜(10)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(12) 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、前記(7)〜(11)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(13) 測定試薬キットである、前記(7)〜(12)のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(14) 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料の種類による測定値差の改善方法。
(15) 以下の第1段階:
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
及び、以下の第2段階:
前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
による前記(14)記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
(16) 以下の第1段階:
水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
及び、以下の第2段階:
前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
による前記(14)記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
(17) 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、前記(14)〜(16)のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
(18) 担体がラテックス粒子である、前記(14)〜(17)のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
(19) 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、前記(14)〜(18)のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
〔2〕測定対象物質に結合する特異的結合物質
本発明において、測定対象物質に結合する特異的結合物質は、測定対象物質に特異的に結合することができる物質であり、このように測定対象物質に特異的に結合することができる物質であれば特に限定はない。
この測定対象物質に結合する特異的結合物質としては、例えば、測定対象物質に結合することができる抗体(抗測定対象物質抗体)、アプタマー(核酸アプタマー若しくはペプチドアプタマー)、アフィボディー、糖若しくはレクチン、ヌクレオチド鎖、又はレセプター等を挙げることができる。
なお、測定対象物質に結合することができる抗体(抗測定対象物質抗体)としては、例えば、測定対象物質に結合することができるモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗血清、抗体の断片〔Fab及びF(ab’)など〕、又は一本鎖抗体(scFv)等を挙げることができる。
また、この測定対象物質に結合することができる抗体は、遺伝子組み換え技術等により免疫原(測定対象物質)を免疫する動物とは異なる動物種のアミノ酸配列に変化させた抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト化抗体等)であっても良い。
そして、測定対象物質に結合する特異的結合物質としては、測定対象物質に結合することができる抗体(抗測定対象物質抗体)が好ましく、当該抗体がモノクローナル抗体であることがより好ましい。
なお、本発明においては、2種以上の、測定対象物質に結合する特異的結合物質を用いても良い。
そして、測定対象物質に結合する特異的結合物質は、公知の方法等により、適宜調製することができる。
〔3〕測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体
本発明における、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体は、前記の「測定対象物質に結合する特異的結合物質」を、担体に固定化したものである。
この担体の材質は、特に限定はなく、例えば、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ポリアクロレイン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、ゼラチン、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等を挙げることができる。
そして、この担体としては、粒子であることが好ましく、ラテックス粒子であることが特に好ましい。
なお、測定対象物質に結合する特異的結合物質を担体に固定化することは、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により行なうことができる。
物理的吸着法による場合は、公知の方法に従い、測定対象物質に結合する特異的結合物質と、担体とを、緩衝液等の溶液中で混合し接触させたり、又は緩衝液等に溶解した測定対象物質に結合する特異的結合物質を、担体に接触させること等により行うことができる。
また、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、測定対象物質に結合する特異的結合物質と、担体とを、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、測定対象物質に結合する特異的結合物質と、担体の、それぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と前記の二価性の架橋試薬とを反応させること等により行うことができる。
なお、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の自然凝集や、非特異的反応等を抑制するために処理を行う必要があれば、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の表面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、担体のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
なお、本発明における試料中の測定対象物質の測定を、ラテックス比濁法等の比濁法により測定を行う場合、このラテックス粒子等の担体の大きさ(粒径)については、特に制限はない。
しかし、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体が、試料中に含まれていた測定対象物質との複合体凝集物(凝集塊)を生成する程度、及びこの生成した複合体凝集物(凝集塊)の測定の容易さ等の理由より、この担体の大きさ(粒径)は、その平均径(平均粒径)が、0.02μm〜2μmであることが好ましく、0.04μm〜0.5μmであることがより好ましい。
なお、本発明における試料中の測定対象物質の測定を、ラテックス比濁法等の比濁法により測定を行う場合、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の測定反応時における濃度は、前記の特異的結合物質の担体表面上での分布密度、担体の大きさ(粒径)、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概に言うことはできない。
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、担体に固定化された「測定対象物質に結合する特異的結合物質」と、試料に含まれていた測定対象物質とが接触し、これらによる特異的結合反応が行われる測定反応時に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の濃度が、この測定反応時の反応混合液中において0.005〜1%(w/v)となるようにするのが一般的であり、この場合、反応混合液中においてこのような濃度になるような濃度の「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を測定試薬に含有させることが好ましい。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、測定試薬、及び試料の種類による測定値差の改善方法においては、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;カルシウムイオンなどの各種金属イオン;カルシウム塩などの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上と共存させてもよい。
なお、上記の各物質を共存させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
〔4〕測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体
本発明における、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」は、前記の「測定対象物質に結合する特異的結合物質」を固定化していない担体である。
この「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」における担体(以下、この「担体」を「非固定化用担体」ということがある)の材質は、特に限定はなく、例えば、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ポリアクロレイン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、ゼラチン、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等を挙げることができる。
この非固定化用担体は、粒子であることが好ましく、ラテックス粒子であることが特に好ましい。
なお、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」における「担体」と、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」における「担体」(非固定化用担体)は、同一の材質のものが好ましい。
また、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」の自然凝集や、非特異的反応等を抑制するために処理を行う必要があれば、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」の表面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、非固定化用担体のブロッキング処理(マスキング処理)等を行ってもよい。
なお、この非固定化用担体の大きさ(粒径)については、特に制限はない。
しかし、試料の種類による測定値差を改善する効果の大きさ、並びに測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物(凝集塊)の生成及びこの測定に影響を及ぼさないこと等の理由より、非固定化用担体の大きさ(粒径)は、その平均径(平均粒径)が、0.01μm〜1μmであることが好ましく、0.02μm〜0.4μmであることがより好ましい。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、測定試薬、及び試料の種類による測定値差の改善方法において、非固定化用担体は、その大きさ(粒径)、材質、又は形状等が異なる2種類以上の担体を使用してもよい。
なお、本発明における「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させる際の濃度は、非固定化用担体の大きさ(粒径)、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体の大きさ(粒径)及び濃度、非固定化用担体の材質、並びに試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概に言うことはできない。
しかし、通常は、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させる際に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」の濃度が、この混合液中において0.005〜0.1%(w/v)となるようにするのが好ましい。この場合、この混合液中においてこのような濃度になるような濃度の「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を測定試薬に含有させることが好ましい。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、測定試薬、及び試料の種類による測定値差の改善方法においては、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;カルシウムイオンなどの各種金属イオン;カルシウム塩などの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上と共存させてもよい。
なお、上記の各物質を共存させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
〔5〕試料
本発明において、試料とは、測定対象物質が存在する可能性があり、かつ測定対象物質の存在の有無、又は含有量(濃度)の測定を行おうとするものをいう。
本発明における試料は、このようなものであれば特に限定されないが、例えば、ヒトあるいは動物の、血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、咽頭拭い液、羊水、若しくはその他の体液等を挙げることができる。
また、試料が血液(全血)である場合、この全血試料を、水又は界面活性剤を含有する水系溶媒等の低張液と混合し、赤血球を破裂させる処理を行うことが、その後の測定を支障なく行う上で、好ましい。
なお、本発明において、水系溶媒としては、特に限定はないが、例えば、水、生理食塩水、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
なお、この水系溶媒のpHは、pH5〜pH10の範囲にあることが好ましい。
〔6〕測定対象物質
本発明において、測定対象物質とは、試料中におけるその存在の有無、又は含有量(濃度)を測定しようとする物質である。
この測定対象物質としては、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定することができるものであれば如何なるものでもよい。
この測定対象物質を例示すると、例えば、タンパク質、糖質、脂質、核酸などのような有機物質等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、HBs抗原、抗HBs抗体、HBe抗原、抗HBe抗体、抗HBc抗体、HCV抗原、抗HCV抗体、HIV抗原、抗HIV抗体、抗ATLV抗体等のウイルス関連の抗原又は抗体;
大腸菌O157抗原、抗トレポネーマ・パリダム抗体、抗マイコプラズマ抗体、抗ストレプトリジンO抗体(ASO)、赤痢菌、コレラ菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、キャンピロバクター、ヘリコバクターピロリ、MRSA、若しくはレジオネラ菌等の細菌関連の抗原又は抗体;免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンM(IgM)、若しくは免疫グロブリンE(IgE)等の免疫グロブリン;C反応性タンパク質(CRP)、α1−酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、補体C3
、補体C4 、リウマトイド因子等の炎症マーカー;α−フェトプロテイン、CEA、CA19−9等の腫瘍マーカー;ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン等のホルモン;アレルゲン、アレルゲン特異IgE抗体等のアレルギー関連の抗原又は抗体;アンチトロンビンIII(ATIII)等の血液凝固系関連物質;フィブリン体分解物(FDP)、Dダイマー等の線溶系関連物質;リポタンパク質(a)、フェリチン等の他の疾病に関連した物質等を例示することができる。
本発明において、測定対象物質としては、SCCA(Squamous Cell Carcinoma Antigen;扁平上皮細胞癌抗原)のアイソフォームであるSCCA1、SCCA2が好ましい。
〔7〕測定方法
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する方法において、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法である。
これにより、試料の種類により測定値に差が生じることを改善することができるのである。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法における測定操作は、公知の測定操作に準じて行うことができる。
例えば、まず、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を含有する測定試薬、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」及び「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬、又は「水系溶媒」を含有する測定試薬等を調製し、準備する。
次に、例えば、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬と、試料とを混合し、これにより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させる。
次に、先の「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬と、試料との混合物に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を含有する測定試薬を混合することにより「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を試料と接触させる。
これにより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の「特異的結合物質」と、試料中に含まれていた「測定対象物質」との、特異的結合反応を行わせる。
そして、これより生成した、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と「測定対象物質」との複合体凝集物を測定する。
この生成した複合体凝集物の測定は、この複合体凝集物が存在する測定反応時の反応混合液の透過光又は散乱光などの吸光度等の測定を、エンドポイント法又はレート法等により行うことにより、実施する。
そして、試料を測定して得た吸光度等の測定値を、標準物質(測定対象物質の濃度が既知の試料)を測定して得た吸光度等の測定値と比較して、試料中に含まれていた測定対象物質の濃度(定量値)を算出する。
なお、透過光又は散乱光などの吸光度等の測定は、透過光を測定しても、又は散乱光を測定してもよく、そして、1波長測定であっても、又は2波長測定(2つの波長による差又は比)であってもよい。
なお、測定波長は、500nmから800nmの中から選ばれるのが一般的である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定は、用手法により行ってもよいし、又は測定装置等の装置を用いて行ってもよい。
測定装置は、汎用自動分析装置であっても、専用の測定装置(専用機)であってもよい。
また、この測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
本発明の試料中の測定対象物質の測定において、測定に用いる容器は、特に限定はなく、適した物を用いることができる。
なお、より具体的には、本発明における試料中の測定対象物質の測定は、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と測定対象物質との複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測ることにより、試料中に含まれていた測定対象物質の量(濃度)又は存在の有無の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、又は粒子凝集反応法等により実施することができる。特に、ラテックス比濁法によって実施することが、より好ましい。
そして、本発明における試料中の測定対象物質の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等により実施する場合には、溶媒として、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液又はグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコールなどの反応促進剤や非特異的反応抑制剤等を含ませてもよい。
なお、前記のラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等における測定の操作法は、公知の方法等により行うことができるが、例えば、光学的方法により測定する場合には、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、エンドポイント法又はレート法により、透過光や散乱光を測定すること等により行うことができる。
また、目視的に測定する場合には、プレートやマイクロタイタープレート(マイクロプレート)等の容器中で、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、凝集の状態を目視的に判定すること等により行うことができる。
なお、この目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダー等の機器を用いて測定を行ってもよい。
以下、ラテックス比濁法を測定原理とする、試料中の測定対象物質の測定を行う方法を例にとって、具体的に説明を行う。
(1) まず、試料中の測定対象物質の測定試薬として、以下のものを調製し、準備する。
第1試薬:
「測定対象物質に結合する抗体を固定化していないラテックス粒子」を含有する緩衝液
第2試薬:
「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」を含有する緩衝液
(2) 血清等の試料の一定量と前記の第1試薬の一定量を混合し、「測定対象物質に結合する抗体を固定化していないラテックス粒子」と試料とを接触させる。
なお、試料と第1試薬の混合比率(量比)は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
(3) 一定時間後、前記の試料と第1試薬との混合液に、前記の第2試薬の一定量を添加、混合し、反応混合液として、一定温度下で一定時間静置する。
これにより、「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」と試料とを接触させる。
なお、第2試薬の添加量は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
そして、前記の静置の時間は、1分以上、かつ15分以下の一定時間であることが好ましい。
試料と第1試薬との混合液への第2試薬の添加、混合により、ラテックス粒子に固定化した測定対象物質に結合する抗体と、試料中に含まれていた測定対象物質との抗原抗体反応(特異的結合反応)を行わせる。
そして、この抗原抗体反応(測定反応)により、測定対象物質を介した「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」同士の複合体凝集物が生成する。
(4) そして、分析装置又は分光光度計等において、反応混合液に光を照射して、生成したラテックス粒子同士の複合体凝集物により生じるシグナルである適当な波長の透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加を測定することにより、生成した前記複合体凝集物の量、すなわち、試料中に含まれていた測定対象物質の量を求める。
(5) そして、「試料の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」と、「標準液又は標準血清等の標準物質〔濃度既知の測定対象物質を含む試料〕の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」とを比較することにより、測定を行った試料中に含まれる測定対象物質の量(濃度)の算出を行う。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、以下の第1段階及び第2段階による試料中の測定対象物質の測定方法であってもよい。
第1段階:
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
第2段階:
前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、以下の第1段階及び第2段階による試料中の測定対象物質の測定方法であってもよい。
第1段階:
水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
第2段階:
前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法においては、測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体であることが好ましい。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法においては、担体がラテックス粒子であることが好ましい。
そして、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法においては、測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2であることが好ましい。
〔8〕測定試薬
本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする試料中の測定対象物質の測定に用いられる測定試薬であって、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有するものである。
すなわち、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、次の(1)及び(2)を満たすものである。
(1) 「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」、及び「当該特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬である。
(2) 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする試料中の測定対象物質の測定に用いられる測定試薬である。
これにより、試料の種類により測定値に差が生じることを改善することができるのである。
本発明の測定試薬は、一つの測定試薬よりなるものであってよい。
この場合、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体は、その一つの測定試薬に含有される。
また、本発明の測定試薬は、二つ以上の測定試薬より構成されるものであってよい。
この場合、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体は、二つ以上の測定試薬の内の一つの測定試薬に含有されるものであってもよく、また、二つ以上の測定試薬に含有されるものであってもよい。
例えば、本発明の測定試薬が、第1試薬及び第2試薬の二つの測定試薬より構成されるものである場合、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体は、第1試薬にのみ含有させてもよく、また、第2試薬にのみ含有させてもよく、更には、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、本発明の測定試薬が二つの測定試薬より構成される場合、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体は、第2試薬に含有させることが好ましい。
また、本発明の測定試薬が二つの測定試薬より構成される場合、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体は、第1試薬に含有させることが好ましい。
そして、本発明の測定試薬が二つ以上の測定試薬より構成されるものである場合、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」及び「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する試薬以外の試薬、すなわち、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」及び「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有しない試薬は、例えば水系溶媒を含有する試薬等であってよい。
なお、本発明の測定試薬の溶媒としては、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、水、若しくは生理食塩水等を挙げることができ、又は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH6〜pH10の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、前記の「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」及び「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;カルシウムイオンなどの各種金属イオン;カルシウム塩などの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜含有させてもよい。
なお、これらを本発明の測定試薬に含有させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
そして、前記の界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。

なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は試料中の測定対象物質の測定に使用することができる。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中の測定対象物質の測定に使用することもできる。
前記の他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、又は校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第1試薬と、当該特異的結合物質を固定化した担体を含有する第2試薬とを含む、試料中の測定対象物質の測定試薬であってもよい。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、水系溶媒を含有する第1試薬と、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第2試薬とを含む、試料中の測定対象物質の測定試薬であってもよい。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体であることが好ましい。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、担体がラテックス粒子であることが好ましい。
そして、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2であることが好ましい。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、測定試薬キットであることが好ましい。
より具体的には、本発明における試料中の測定対象物質の測定試薬は、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と測定対象物質との複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測ることにより、試料中に含まれていた測定対象物質の量(濃度)又は存在の有無の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等により実施する方法を、その測定原理とするもの等の測定試薬を挙げることができる。特に、ラテックス比濁法によって実施する測定試薬が、より好ましい。
なお、前記のラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等における測定は、公知の方法等により行うものであってよいが、例えば、光学的方法により測定する場合には、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、エンドポイント法又はレート法により、透過光や散乱光を測定すること等により行うもの等を挙げることができる。
また、目視的に測定する場合には、プレートやマイクロタイタープレート(マイクロプレート)等の容器中で、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、凝集の状態を目視的に判定すること等により行うもの等を挙げることができる。
そして、この目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダー等の機器を用いて測定を行うものであってもよい。
〔9〕試料の種類による測定値差の改善方法
本発明の試料の種類による測定値差の改善方法は、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料の種類による測定値差の改善方法である。
これにより、試料の種類により測定値に差が生じることを改善することができるのである。
本発明の試料の種類による測定値差の改善方法における測定の操作は、公知の測定操作に準じて行うことができ、特に限定はない。
例えば、まず、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を含有する測定試薬、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」及び「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬、又は「水系溶媒」を含有する測定試薬等を調製し、準備する。
次に、例えば、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬と、試料とを混合し、これにより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させる。
次に、先の「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」を含有する測定試薬と、試料との混合物に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を含有する測定試薬を混合することにより「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」を試料と接触させる。
これにより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」の「特異的結合物質」と、試料中に含まれていた「測定対象物質」との、特異的結合反応を行わせる。
そして、これより生成した、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と「測定対象物質」との複合体凝集物を測定する。
この生成した複合体凝集物の測定は、この複合体凝集物が存在する測定反応時の反応混合液の透過光又は散乱光などの吸光度等の測定を、エンドポイント法又はレート法等により行うことにより、実施する。
そして、試料を測定して得た吸光度等の測定値を、標準物質(測定対象物質の濃度が既知の試料)を測定して得た吸光度等の測定値と比較して、試料中に含まれていた測定対象物質の濃度(定量値)を算出する。
なお、透過光又は散乱光などの吸光度等の測定は、透過光を測定しても、又は散乱光を測定してもよく、そして、1波長測定であっても、又は2波長測定(2つの波長による差又は比)であってもよい。
なお、測定波長は、500nmから800nmの中から選ばれるのが一般的である。
なお、試料中の測定対象物質の測定は、用手法により行ってもよいし、又は測定装置等の装置を用いて行ってもよい。
測定装置は、汎用自動分析装置であっても、専用の測定装置(専用機)であってもよい。
また、この測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
なお、より具体的には、本発明における試料中の測定対象物質の測定は、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と測定対象物質との複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測ることにより、試料中に含まれていた測定対象物質の量(濃度)又は存在の有無の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等により実施することができる。特に、ラテックス比濁法によって実施することが、より好ましい。
そして、本発明における試料中の測定対象物質の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等により実施する場合には、溶媒として、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液又はグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコールなどの反応促進剤や非特異的反応抑制剤等を含ませてもよい。
なお、前記のラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法又は粒子凝集反応法等における測定の操作法は、公知の方法等により行うことができるが、例えば、光学的方法により測定する場合には、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、エンドポイント法又はレート法により、透過光や散乱光を測定すること等により行うことができる。
また、目視的に測定する場合には、プレートやマイクロタイタープレート(マイクロプレート)等の容器中で、試料と、担体に固定化した「測定対象物質に結合する特異的結合物質」とを反応させ、凝集の状態を目視的に判定すること等により行うことができる。
なお、この目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダー等の機器を用いて測定を行ってもよい。
以下、ラテックス比濁法を測定原理とする、試料中の測定対象物質の測定を行う場合を例にとって、具体的に説明を行う。
(1) まず、試料中の測定対象物質の測定試薬として、以下のものを調製し、準備する。
第1試薬:
「測定対象物質に結合する抗体を固定化していないラテックス粒子」を含有する緩衝液
第2試薬:
「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」を含有する緩衝液
(2) 血清等の試料の一定量と前記の第1試薬の一定量を混合し、「測定対象物質に結合する抗体を固定化していないラテックス粒子」と試料とを接触させる。
なお、試料と第1試薬の混合比率(量比)は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
(3) 前記の試料と第1試薬との混合液に、前記の第2試薬の一定量を添加、混合し、反応混合液として、一定温度下で一定時間静置する。
これにより、「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」と試料とを接触させる。
なお、第2試薬の添加量は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
そして、前記の静置の時間は、1分以上、かつ15分以下の一定時間であることが好ましい。
試料と第1試薬との混合液への第2試薬の添加、混合により、ラテックス粒子に固定化した測定対象物質に結合する抗体と、試料中に含まれていた測定対象物質との抗原抗体反応(特異的結合反応)を行わせる。
そして、この抗原抗体反応(測定反応)により、測定対象物質を介した「測定対象物質に結合する抗体を固定化したラテックス粒子」同士の免疫複合体凝集物が生成する。
(4) そして、分析装置又は分光光度計等において、反応混合液に光を照射して、生成したラテックス粒子同士の複合体凝集物により生じるシグナルである適当な波長の透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加を測定することにより、生成した前記複合体凝集物の量、すなわち、試料中に含まれていた測定対象物質の量を求める。
(5) そして、「試料の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」と、「標準液又は標準血清等の標準物質〔濃度既知の測定対象物質を含む試料〕の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」とを比較することにより、測定を行った試料中に含まれる測定対象物質の量(濃度)の算出を行う。
なお、本発明の試料の種類による測定値差の改善方法は、以下の第1段階及び第2段階による試料の種類による測定値差の改善方法であってもよい。
第1段階:
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
第2段階:
前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
また、本発明の試料の種類による測定値差の改善方法は、以下の第1段階及び第2段階による試料の種類による測定値差の改善方法であってもよい。
第1段階:
水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
第2段階:
前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
なお、本発明の試料の種類による測定値差の改善方法においては、測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体であることが好ましい。
また、本発明の試料の種類による測定値差の改善方法においては、担体がラテックス粒子であることが好ましい。
そして、本発明の試料の種類による測定値差の改善方法においては、測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2であることが好ましい。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、並びに試料の種類による測定値差の改善方法においては、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応による、試料中の測定対象物質の測定の際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることにより、生体試料における測定値と水系溶媒試料における測定値との間などのように、試料の種類により測定値に差が生じることを改善することができるものであり、すなわち、試料の種類によって測定値に差が生じることを防ぐことができるものである。
第1試薬として第1試薬(担体不含)を用い、従来の方法及び試薬により、水系溶媒試料及び生体試料それぞれのSCCA1を測定した場合の測定結果を示した図である。 第1試薬として第1試薬(担体含有)を用い、本発明の方法及び試薬により、水系溶媒試料及び生体試料それぞれのSCCA1を測定した場合の測定結果を示した図である。 第1試薬として第1試薬(担体不含)を用い、従来の方法及び試薬により、水系溶媒試料及び生体試料それぞれのSCCA2を測定した場合の測定結果を示した図である。 第1試薬として第1試薬(担体含有)を用い、本発明の方法及び試薬により、水系溶媒試料及び生体試料それぞれのSCCA2を測定した場合の測定結果を示した図である。
以下、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
参考例1
SCCA1、及びSCCA2のそれぞれを調製した。
(1)SCCA1
SCCA1のcDNAを、GEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA1を精製した。
これにトロンビンにてGSTを切断し、GSTを付加しないSCCA1を精製した。
これをブラッドフォード法にて定量し、SCCA1の標準物質とした。
一方、抗体スクリーニング用の抗原としては、SCCA1のcDNAを、pIRESpuro3ベクター(Clontech社、米国)に組み込んで、HEK293T細胞にトランスフェクションした後、puromycin耐性株を選択して、SCCA1の安定発現細胞株(293T/SCCA1)を樹立し、この293T/SCCA1細胞株の培養上清を、SCCA1として用いた。
(2)SCCA2
SCCA2のcDNAを、GEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA2を精製した。
これにトロンビンにてGSTを切断し、GSTを付加しないSCCA2を精製した。
これをブラッドフォード法にて定量し、SCCA2の標準物質とした。
一方、抗体スクリーニング用の抗原としては、SCCA2のcDNAを、pIRESpuro3ベクター(Clontech社、米国)に組み込んで、HEK293T細胞にトランスフェクションした後、puromycin耐性株を選択して、SCCA2の安定発現細胞株(293T/SCCA2)を樹立し、この293T/SCCA2細胞株の培養上清を、SCCA2として用いた。
参考例2
SCCA1に結合する抗体(抗SCCA1抗体)、SCCA2に結合する抗体(抗SCCA2抗体)、並びにSCCA1及びSCCA2に結合する抗体(抗SCCA1及びSCCA2抗体)をそれぞれ調製した。
(1)抗SCCA1抗体
GST付加SCCA1を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与した(50μg/ラット)。
2週間〜2ヵ月後、同じ抗原を足蹠皮下に投与し、3日後に、鼠径、膝窩、及び腸骨リンパ節よりリンパ球を調製し、Sp2/Oミエローマ細胞とポリエチレングリコール法にて細胞融合した。
抗体産生ハイブリドーマクローンのスクリーニングは、固相化抗体としてSCCA1及びSCCA2に結合する抗体(ポリクローナル抗体)を用い、抗原についてはSCCA1抗原として293T/SCCA1細胞株の培養上清を用い(又はSCCA2抗原として293T/SCCA2細胞株の培養上清を用い)、そして検出抗体としてこの抗体産生ハイブリドーマの培養上清を用いた酵素免疫測定法(ELISA)により行った。
SCCA1に結合し、SCCA2には結合しないモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS11G細胞株を、SCCA1に結合する抗体である抗SCCA1抗体の産生細胞株として選択した。
そして、以後、このSS11G細胞株が産生するモノクローナル抗体を、抗SCCA1抗体として用いた。
(2)抗SCCA2抗体
前記のGST付加SCCA1に代えて、このGST付加SCCA2を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与(50μg/ラット)する以外は、前記(1)の記載の通りに行い、SCCA2に結合し、SCCA1には結合しないモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS8G細胞株を、SCCA2に結合する抗体である抗SCCA2抗体の産生細胞株として選択した。
そして、以後、このSS8G細胞株が産生するモノクローナル抗体を、抗SCCA2抗体として用いた。
(3)抗SCCA1及びSCCA2抗体
前記のGST付加SCCA1に代えて、このGST付加SCCA2を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与(50μg/ラット)する以外は、前記(1)の記載の通りに行い、SCCA1に結合し、かつSCCA2にも結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS14B細胞株、及びSS14D細胞株を、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体(抗SCCA1及びSCCA2抗体)の産生細胞株として選択した。
そして、以後、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体(抗SCCA1及びSCCA2抗体)として、このSS14B細胞株が産生するモノクローナル抗体、又はこのSS14D細胞株が産生するモノクローナル抗体を用いた。
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体を試料と接触させた場合、接触させない場合それぞれで試料中のSCCA1の測定を行い、本発明の効果を確かめた。
1.測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬(担体不含)
2%のBSA、150mMの塩化ナトリウム、150mMのアルギニン塩酸塩、100mMのアルギニン、1%のデキストラン200,000、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む150mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH9.1)を調製し、これを「第1試薬(担体不含)」とした。
(b)第1試薬(担体含有)
0.015%のラテックス粒子(平均粒径:0.07μm)〔測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体〕の懸濁液、2%のBSA、150mMの塩化ナトリウム、150mMのアルギニン塩酸塩、100mMのアルギニン、1%のデキストラン200K、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む150mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH9.1)を調製し、これを「第1試薬(担体含有)」とした。
(2)第2試薬
(a)抗SCCA1抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
4%のラテックス粒子(平均粒径:0.35μm)の懸濁液及び0.3mg/mLの水溶性カルボジイミドを含む20mMのMES緩衝液(pH6.0)と、前記参考例2の(1)で調製した抗SCCA1抗体(SS11G細胞株由来)であって濃度を2mg/mLに調整したものとを、1:1に混合し、5℃にて一晩撹拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMのトリス緩衝液(pH8.5)を加え懸濁し、室温下で30分間撹拌後、5℃にて一晩放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により上清を除去した後、0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMトリス緩衝液(pH8.5)にて、波長570nmにおける吸光度が16となるよう(すなわち、100倍希釈後の吸光度が0.16となるよう)に調製したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、抗SCCA1抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(b)抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
4%のラテックス粒子(平均粒径:0.3μm)の懸濁液及び0.3mg/mLの水溶性カルボジイミドを含む20mMのMES緩衝液(pH6.0)と、前記参考例2の(3)で調製した抗SCCA1及びSCCA2抗体(SS14B細胞株由来)であって濃度を2mg/mLに調整したものとを、1:1で混合し、5℃にて一晩撹拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMのトリス緩衝液(pH8.5)を加え懸濁し、室温下で30分間撹拌後、5℃にて一晩放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により上清を除去した後、0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMトリス緩衝液(pH8.5)にて、波長570nmにおける吸光度が16となるよう(すなわち、100倍希釈後の吸光度が0.16となるよう)に調製したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(c)第2試薬の調製
前記(a)で調製した抗SCCA1抗体固定化ラテックス粒子懸濁液と、前記(b)で調製した抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とを、1:1で混合し、これらを混合したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、第2試薬とした。
2.試料
(1)水系溶媒試料
参考例1の(1)で調製したSCCA1を、4%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて希釈し、下記の水系溶媒試料A2、水系溶媒試料A3、及び水系溶媒試料A4をそれぞれ調製した。
また、この4%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、SCCA1濃度が0ng/mLである水系溶媒試料A1とした。
(a)水系溶媒試料A1(SCCA1濃度:0ng/mL)
(b)水系溶媒試料A2(SCCA1濃度:5ng/mL)
(c)水系溶媒試料A3(SCCA1濃度:15ng/mL)
(d)水系溶媒試料A4(SCCA1濃度:30ng/mL)
(2)生体試料
参考例1の(1)で調製したSCCA1を、SCCA1を1ng/mLの濃度で含むヒト血清にて希釈し、下記の生体試料A1、生体試料A2、及び生体試料A3をそれぞれ調製した。
(a)生体試料A1(SCCA1濃度:5ng/mL)
(b)生体試料A2(SCCA1濃度:15ng/mL)
(c)生体試料A3(SCCA1濃度:30ng/mL)
3.測定
(a) 測定は、免疫比濁測定装置クイックターボ(シノテスト販売)を使用してラテックス比濁法により行った。
まず、測定用セルに、前記1の(1)の(a)の第1試薬(担体不含)の320μLを分注し、これに前記2の(1)の水系溶媒試料A1の16μLを添加した。
(b) 次に、これに前記1の(2)の(c)の第2試薬の32μLを添加・攪拌し、抗原抗体反応を行わせ、生じた複合体凝集物に由来する10分後の585nmにおける吸光度を測定した。〔この水系溶媒試料A1の測定値(吸光度)が試薬盲検となる〕
(c) 次に、前記(a)における水系溶媒試料A1に替えて、前記2の(1)の水系溶媒試料A2、水系溶媒試料A3又は水系溶媒試料A4をそれぞれ添加する以外は、前記(a)及び(b)の通りに測定を行った。
(d) 次に、前記(a)における水系溶媒試料A1に替えて、前記2の(2)の生体試料A1、生体試料A2又は生体試料A3をそれぞれ添加する以外は、前記(a)及び(b)の通りに測定を行った。
(e) 次に、前記(a)における第1試薬(担体不含)に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬(担体含有)を分注する以外は、前記(a)〜(d)の通りに測定を行った。
(f) 以上の測定結果において、第1試薬として第1試薬(担体不含)を用いた場合の測定結果を表1及び図1に示し、第1試薬として第1試薬(担体含有)を用いた場合の測定結果を表2及び図2に示した。
なお、表1及び表2のいずれにおいても、各試料のSCCA1の測定により得た測定値は、前記の585nmにおける吸光度から試薬盲検を差し引いたものを表す。そして、更に、生体試料における測定値を水系溶媒試料における測定値で除した比の値(パーセント)をも示した。
また、図1及び図2のいずれにおいても、横軸は試料に含まれるSCCA1の濃度(ng/mL)を表し、縦軸は各試料のSCCA1の測定により得た測定値〔前記の585nmにおける吸光度から試薬盲検を差し引いたもの〕を表す。
そして、図1及び図2のいずれにおいても、試料が水系溶媒試料であるときの測定値を「▲」で表し、試料が生体試料であるときの測定値を「●」で表す。
Figure 2012078161
Figure 2012078161
4.考察
表1及び図1より、第1試薬として第1試薬(担体不含)を用いた場合、すなわち従来の方法及び試薬においては、生体試料の測定値に負の誤差が生じ、生体試料と水系溶媒試料との間に著しい測定値差が観られることが分かる。
これに対して、表2及び図2より、第1試薬として第1試薬(担体含有)を用いた場合、すなわち本発明の方法及び試薬においては、生体試料の測定値に負の誤差が生じておらず、生体試料と水系溶媒試料との間の測定値差が無くなり、改善していることが分かる。
これらのことより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と試料との接触の前又はこれと同時に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させることにより、試料の種類による測定値差を改善することができるという本発明の効果が確かめられた。
なお、このように試料の種類により測定値差が生じること、及び前記の通り「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させることにより当該測定値差を改善できることは、本発明者らが初めて見出したものである。
ところで、試料の種類により測定値差が生じるのは、生体試料中に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」に吸着する物質が存在し、これにより当該特異的結合反応に負の影響を与えたためと考えられる。そして、前記の通り「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させることにより、生体試料に由来する非特異的物質の影響を受けずに測定できるようになったものと推察される。
測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体を試料と接触させた場合、接触させない場合それぞれで試料中のSCCA2の測定を行い、本発明の効果を確かめた。
1.測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬(担体不含)
2%のBSA、150mMの塩化ナトリウム、200mMのアルギニン塩酸塩、180mMのアルギニン、1%のデキストラン200K、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む150mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH9.3)を調製し、これを「第1試薬(担体不含)」とした。
(b)第1試薬(担体含有)
0.015%のラテックス粒子(平均粒径:0.070μm)〔測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体〕の懸濁液、2%のBSA、150mMの塩化ナトリウム、200mMのアルギニン塩酸塩、180mMのアルギニン、1%のデキストラン200,000、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む150mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH9.3)を調製し、これを「第1試薬(担体含有)」とした。
(2)第2試薬
(a)抗SCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
4%のラテックス粒子(平均粒径:0.35μm)の懸濁液及び0.3mg/mLの水溶性カルボジイミドを含む20mMのMES緩衝液(pH6.0)と、前記参考例2の(2)で調製した抗SCCA2抗体(SS8G細胞株由来)であって濃度を2mg/mLに調整したものとを、1:1に混合し、5℃にて一晩撹拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMのトリス緩衝液(pH8.5)を加え懸濁し、室温下で30分間撹拌後、5℃にて一晩放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により上清を除去した後、0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMトリス緩衝液(pH8.5)にて、波長570nmにおける吸光度が16となるよう(すなわち、100倍希釈後の吸光度が0.16となるよう)に調製したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、抗SCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(b)抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
4%のラテックス粒子(平均粒径:0.3μm)の懸濁液及び0.3mg/mLの水溶性カルボジイミドを含む20mMのMES緩衝液(pH6.0)と、前記参考例2の(3)で調製した抗SCCA1及びSCCA2抗体(SS14D細胞株由来)であって濃度を2mg/mLに調整したものとを、1:1で混合し、5℃にて一晩撹拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMのトリス緩衝液(pH8.5)を加え懸濁し、室温下で30分間撹拌後、5℃にて一晩放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により上清を除去した後、0.2%のBSA、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む20mMトリス緩衝液(pH8.5)にて、波長570nmにおける吸光度が16となるよう(すなわち、100倍希釈後の吸光度が0.16となるよう)に調製したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(c)第2試薬の調製
前記(a)で調製した抗SCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液と、前記(b)で調製した抗SCCA1及びSCCA2抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とを、1:1で混合し、これらを混合したラテックス粒子懸濁液を得た。
これを、第2試薬とした。
2.試料
(1)水系溶媒試料
参考例1の(2)で調製したSCCA2を、4%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて希釈し、下記の水系溶媒試料B2、水系溶媒試料B3、及び水系溶媒試料B4をそれぞれ調製した。
また、この4%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、SCCA2濃度が0ng/mLである水系溶媒試料B1とした。
(a)水系溶媒試料B1(SCCA2濃度:0ng/mL)
(b)水系溶媒試料B2(SCCA2濃度:5ng/mL)
(c)水系溶媒試料B3(SCCA2濃度:15ng/mL)
(d)水系溶媒試料B4(SCCA2濃度:30ng/mL)
(2)生体試料
参考例1の(2)で調製したSCCA2を、SCCA2を0.5ng/mLの濃度で含むヒト血清にて希釈し、下記の生体試料B1、生体試料B2、及び生体試料B3をそれぞれ調製した。
(a)生体試料B1(SCCA2濃度:5ng/mL)
(b)生体試料B2(SCCA2濃度:15ng/mL)
(c)生体試料B3(SCCA2濃度:30ng/mL)
3.測定
(a) 測定は、免疫比濁測定装置クイックターボ(シノテスト販売)を使用してラテックス比濁法により行った。
まず、測定用セルに、前記1の(1)の(a)の第1試薬(担体不含)の320μLを分注し、これに前記2の(1)の水系溶媒試料B1の16μLを添加した。
(b) 次に、これに前記1の(2)の(c)の第2試薬の32μLを添加・攪拌し、抗原抗体反応を行わせ、生じた複合体凝集物に由来する10分後の585nmにおける吸光度を測定した。〔この水系溶媒試料B1の測定値(吸光度)が試薬盲検となる〕
(c) 次に、前記(a)における水系溶媒試料B1に替えて、前記2の(1)の水系溶媒試料B2、水系溶媒試料B3又は水系溶媒試料B4をそれぞれ添加する以外は、前記(a)及び(b)の通りに測定を行った。
(d) 次に、前記(a)における水系溶媒試料B1に替えて、前記2の(2)の生体試料B1、生体試料B2又は生体試料B3をそれぞれ添加する以外は、前記(a)及び(b)の通りに測定を行った。
(e) 次に、前記(a)における第1試薬(担体不含)に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬(担体含有)を分注する以外は、前記(a)〜(d)の通りに測定を行った。
(f) 以上の測定結果において、第1試薬として第1試薬(担体不含)を用いた場合の測定結果を表3及び図3に示し、第1試薬として第1試薬(担体含有)を用いた場合の測定結果を表4及び図4に示した。
なお、表3及び表4のいずれにおいても、各試料のSCCA2の測定により得た測定値は、前記の585nmにおける吸光度から試薬盲検を差し引いたものを表す。そして、更に、生体試料における測定値を水系溶媒試料における測定値で除した比の値(パーセント)をも示した。
また、図3及び図4のいずれにおいても、横軸は試料に含まれるSCCA2の濃度(ng/mL)を表し、縦軸は各試料のSCCA2の測定により得た測定値〔前記の585nmにおける吸光度から試薬盲検を差し引いたもの〕を表す。
そして、図3及び図4のいずれにおいても、試料が水系溶媒試料であるときの測定値を「▲」で表し、試料が生体試料であるときの測定値を「●」で表す。
Figure 2012078161
Figure 2012078161
4.考察
表3及び図3より、第1試薬として第1試薬(担体不含)を用いた場合、すなわち従来の方法及び試薬においては、生体試料の測定値に負の誤差が生じ、生体試料と水系溶媒試料との間に著しい測定値差が観られることが分かる。
これに対して、表4及び図4より、第1試薬として第1試薬(担体含有)を用いた場合、すなわち本発明の方法及び試薬においては、生体試料の測定値に負の誤差が生じておらず、生体試料と水系溶媒試料との間の測定値差が無くなり、改善していることが分かる。
これらのことより、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体」と試料との接触の前又はこれと同時に、「測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体」と試料とを接触させることにより、試料の種類による測定値差を改善することができるという本発明の効果が再度確かめられた。

Claims (19)

  1. 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する方法において、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。
  2. 以下の第1段階:
    測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
    及び、以下の第2段階:
    前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
    による請求項1記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
  3. 以下の第1段階:
    水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
    及び、以下の第2段階:
    前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
    による請求項1記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
  4. 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
  5. 担体がラテックス粒子である、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
  6. 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
  7. 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする試料中の測定対象物質の測定に用いられる測定試薬であって、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有する、試料中の測定対象物質の測定試薬。
  8. 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第1試薬と、当該特異的結合物質を固定化した担体を含有する第2試薬とを含む、請求項7記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  9. 水系溶媒を含有する第1試薬と、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体、及び当該特異的結合物質を固定化していない担体を含有する第2試薬とを含む、請求項7記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  10. 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、請求項7〜請求項9のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  11. 担体がラテックス粒子である、請求項7〜請求項10のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  12. 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、請求項7〜請求項11のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  13. 測定試薬キットである、請求項7〜請求項12のいずれか1項記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
  14. 測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、試料とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定することにより、試料中の測定対象物質を測定する際に、当該特異的結合物質を固定化した担体と試料との接触の前又はこれと同時に、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料とを接触させることを特徴とする、試料の種類による測定値差の改善方法。
  15. 以下の第1段階:
    測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化していない担体と、試料とを混合し、接触させる;
    及び、以下の第2段階:
    前記第1段階の後、当該特異的結合物質を固定化していない担体と試料との混合物に、当該特異的結合物質を固定化した担体を接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
    による請求項14記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
  16. 以下の第1段階:
    水系溶媒と、試料とを混合し、接触させる;
    及び、以下の第2段階:
    前記第1段階の後、水系溶媒と試料との混合物に、測定対象物質に結合する特異的結合物質を固定化した担体と、当該特異的結合物質を固定化していない担体とを接触させ、これにより、当該特異的結合物質を固定化した担体の当該特異的結合物質と試料中に含まれていた測定対象物質との特異的結合反応を行わせ、これより生成した当該特異的結合物質を固定化した担体と測定対象物質との複合体凝集物を測定する;
    による請求項14記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
  17. 測定対象物質に結合する特異的結合物質が、測定対象物質に結合する抗体である、請求項14〜請求項16のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
  18. 担体がラテックス粒子である、請求項14〜請求項17のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
  19. 測定対象物質がSCCA1及び/又はSCCA2である、請求項14〜請求項18のいずれか1項記載の試料の種類による測定値差の改善方法。
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