JP2012078132A - 板ガラス検査方法及び板ガラス検査装置 - Google Patents

板ガラス検査方法及び板ガラス検査装置 Download PDF

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正一 谷田
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Abstract

【課題】板ガラスの辺に沿う端縁部や貫通孔の内壁部等の検査対象部に破損原因となる欠陥が存在する場合に、当該板ガラスの良否を正確且つ確実に検査する。
【解決手段】略矩形状をなす板ガラス1の検査対象部(辺21に沿う端縁部21a)に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査するに際して、検査対象部21aに引張応力が発現した態様となるように、板ガラス1を表裏両側から加熱手段3により均等に加熱して、引張応力により板ガラス1に破損が生じるか否かを判別する。
【選択図】図2

Description

本発明は、板ガラス検査方法及び板ガラス検査装置に係り、詳しくは、略矩形状をなす板ガラスの検査対象部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査するための技術的思想に関する。
周知のように、フロート法やダウンドロー法等によって溶融ガラスから成形された帯状のガラスリボンは、所定の寸法に切断されて、略矩形状をなす板ガラス(ガラス基板)として製品化される。この種の板ガラスは、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OLED)などに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)、或いは太陽電池などの製作に使用されているのが実情である。
この種の略矩形状をなす板ガラスは、ガラスリボンから切断された段階では、辺に沿う端縁部にクラックや欠け等の欠陥が存在し、その後の搬送や各処理工程で機械的或いは熱的な応力が加えられた際に、その欠陥を起点として板ガラスが破損する。このような事態を回避するために、板ガラスの端面に研磨加工や面取り加工が施されているが、これらの加工を施しても、板ガラスの端面を含む端縁部に生じる微細なクラックや欠け等の欠陥を完全に除去することが困難であるため、破損の原因となる欠陥が依然として残存することになる。
更に、近年においては、FPD等の大型化に伴って、この種の板ガラスも大型化が図られているのが実情であるが、板ガラスが大型化されると、全体としてより大きな応力が発生し、その応力に起因して板ガラスの端縁部を起点とする破損が増加する傾向にある。また、この種の板ガラスには、端縁部の近傍等に孔加工による貫通孔(例えば排気孔)が形成されるものがあるが、この貫通孔の内壁部は特に応力が集中し易く、その内壁部に欠陥が存在していると、それを起点として破損を招く可能性が高くなる。
そして、FPD等の製造過程では、この種の板ガラスに対して素子の形成等を目的とした熱処理が繰り返し行われるが、この熱処理時に当該板ガラスに発生する熱応力は、辺に沿う端縁部と、貫通孔の内壁部とに集中することが一般に知られている。その場合、この種の板ガラスが大型化されたことに起因して、従来とは異なる処理条件になっているにも拘わらず、検査工程で従来の判定基準(過去の経験による判定基準)を採用していたのでは、適切に良品と不良品との選別を行うことができなくなる。
そのため、検査工程で良品と判定された板ガラスが、その後の熱処理工程等で破損する事態を招き、工程の大きな混乱要因となる可能性がある。なお、このような問題を回避するには、検査基準を厳しくすればよいが、そのようにした場合、本来ならば問題が起こらずに良品として使用可能な板ガラスまで、不良品として排除してしまうことを避けることができなくなる。
この場合の検査方法としては、例えば、特許文献1、2に開示されているように、板ガラスの端面に研磨加工や面取り加工を施した後に、カメラ等の撮像手段を用いて当該板ガラスの端縁部を撮像し、その端縁部に破損の原因となる欠陥が存在しているか否かの検査が行われている。そして、この検査段階では、上述の欠陥の有無に応じて板ガラスが良品か否かの選別が行われ、不良品と判断された板ガラスは、製品から排除されているのが通例である。
しかしながら、このような光学的な検査は、均質な領域の中に、異質なものや異常な状態が存在していることを検出する上では効果があるものの、一定の粗さによる乱反射で観察が容易でない板ガラスの辺に沿う端縁部や、内壁面の観察が困難な貫通孔の欠陥の検出については、十分な効果を期待することができない。
そこで、このような問題に対処するための有用な方策として、特許文献3によれば、板ガラスの端縁部(端面)から約25mm離間した位置を基準として、その位置から中央側に亘る領域の表面にヒータを付設すると共に、その領域を5〜15K/分の昇温速度で加熱して、端縁部に引張応力を発生させることにより、破壊を起こすか否かを評価する方法が開示されている。このような方法を、板ガラスの検査方法に適用すれば、加熱によって板ガラスが現実に破損するか否かを把握できるため、上述の特許文献1、2に開示された検査方法と比較して、より適切な検査を行い得ることが期待できる。
特開平6−258231号公報 特開2005−156254号公報 特開2008−218417号公報
しかしながら、特許文献3に開示された方法は、板ガラスの端縁部に安定して適切な大きさの引張応力を発現させることが前提となっているが、このような単純な方法では、板ガラスの端縁部に確実に引張応力を発現させることは困難である。そのため、本来的に要求される引張応力の大きさが不足し、不良品でありながら、当該板ガラスが端縁部の欠陥を起点として破損しないという事態が起こり得ることになり、正確な選別を行う上で支障を来たすことになる。
詳述すると、この方法は、理論的には、板ガラスにおける端縁部から離間した領域を加熱することにより、その加熱領域に圧縮応力を発現させ、これに起因して、端縁部に引張応力を発現させるものである。しかしながら、板ガラスの表面に付設されたヒータが当該加熱領域を加熱した場合には、その裏面側との熱膨張差によって板ガラスが変形し、その結果として応力緩和が生じるため、板ガラスの端縁部には要求通りの引張応力が発現しなくなる。そのため、板ガラスの良否の判別要因である破損が正確に起こり得なくなり、選別に狂いが生じることになる。
このような不具合は、近年における板ガラスの大型化のみならず、薄肉化の推進に伴って、ヒータによる加熱時に板ガラスが変形し易くなったことから、顕著になって現れているのが実情である。
また、このような不具合は、PDP用やFED用等のように、板ガラスの端縁部の近傍に、ドリル等による孔加工で形成された貫通孔(排気孔)の内壁部等を検査対象部とする場合についても、同様に生じ得る。
本発明は、上記事情に鑑み、板ガラスの辺に沿う端縁部や貫通孔の内壁部等の検査対象部に破損原因となる欠陥が存在する場合に、当該板ガラスの良否を正確且つ確実に検査することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、略矩形状をなす板ガラスの検査対象部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査する板ガラス検査方法であって、前記検査対象部に引張応力が発現した態様となるように、前記板ガラスを表裏両側から均等に加熱して、前記引張応力により破損が生じるか否かを判別することに特徴づけられる。ここで、板ガラスとしては、各辺の長さが1m以上で、厚さが0.5〜3.0mmのFPD用や太陽電池用等のガラス基板であることが好ましい。
このような方法によれば、板ガラスの検査対象部に引張応力を発現させるに際して、当該板ガラスを表裏両側から均等に加熱するようにしたから、板ガラスの加熱部における表裏両面間に生じ得る熱膨張差を低減させることができ、これに起因して加熱時における板ガラスの変形が生じ難くなる。したがって、板ガラスを加熱した場合に生じ得る応力緩和を可及的に低減させることができ、これに伴って検査対象部に要求通りの引張応力を確実に発現させることが可能となる。そして、このようにして検査対象部に適切に発現した引張応力によって、破損が生じるか否かが判別されるため、検査対象部に破損原因となる欠陥が存在している場合には、破損の発生が確実化され、そのような欠陥が存在しない場合には、破損の非発生が確実化される。したがって、板ガラスが良品であるか不良品であるかの選別が、正確に行われ得ることになり、その後における良品の板ガラスに対する搬送工程や熱処理工程で、不測にも板ガラスが破損する等の不具合が効果的に回避される。なお、上述の搬送工程や熱処理工程で、現実に板ガラスの検査対象部(検査対象部であった部位)に発現する引張応力の最大値は、それらの工程に応じて予め判明しているため、それらの最大値に相当する引張応力を本検査方法で板ガラスの検査対象部に発生させれば、上述の種々の利点を有効に享受することができる。したがって、例えば、上述の熱処理工程での板ガラスに対する加熱温度と、本検査方法での板ガラスに対する加熱温度とを略同一にするなどの対策を講じることが効果的となる。
この方法において、前記検査対象部は、板ガラスの辺に沿う端縁部とすることができる。ここで、「板ガラスの辺」とは、板ガラスの最外端を囲繞する輪郭線の直線部分を意味し、「辺に沿う端縁部」とは、辺を含む板ガラスの端面近傍部を意味する。
このようにすれば、板ガラスの辺に沿う端縁部に要求通りの引張応力が作用することにより、その端縁部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かに応じて、現実に板ガラスが破損するか否かつまり不良品か否かが判明する。したがって、その後に良品の板ガラスに対して搬送工程や熱処理工程を実行しても、当該板ガラスの端縁部の欠陥を起点として破損が生じるという不具合が回避される。
この場合、前記検査対象部は、前記板ガラスの辺に沿う端縁部の長手方向両端から該端縁部の全長の12.5%の領域を除外した中央部領域であることが好ましい。
すなわち、本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、板ガラスに対して熱処理工程を実行した場合に、当該板ガラスの辺に沿う端縁部の長手方向両端から該端縁部の全長の12.5%以内の領域であれば、本来破損を発生し得るような欠陥が存在していても、その欠陥を起点として板ガラスを破損に至らしめるような引張応力が発生しないことを知見した。したがって、特に熱処理工程での板ガラスの破損に対応するためには、上記の領域を除外した端縁部の長手方向中央部領域に存在する欠陥を対象とする必要がある。そこで、板ガラスの端縁部の当該中央部領域のみを検査対象部としておけば、板ガラスに対する加熱領域を狭くすることができ、検査に要するコストの削減が図られると共に、その後の熱処理時における板ガラスの破損に対して効果的に対処し得る。
また、この方法において、前記検査対象部は、孔加工により形成された貫通孔の内壁部とすることができる。ここで、「孔加工により形成された貫通孔」とは、板ガラスを製作した後に、その板ガラスに孔加工を施して形成された貫通孔を意味する。また、「貫通孔の内壁部」とは、貫通孔の内壁面を含むその近傍部を意味する。
このようにすれば、板ガラスに形成された貫通孔の内壁部に要求通りの引張応力が作用することにより、その貫通孔の内壁部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かに応じて、現実に板ガラスが破損するか否かつまり不良品か否かが判明する。したがって、その後に良品の板ガラスに対して搬送工程や熱処理工程を実行しても、当該板ガラスに形成された貫通孔の内壁部の欠陥を起点として破損が生じるという不具合が回避される。
この場合、前記貫通孔が、前記板ガラスの辺の両端から該辺の全長の12.5%の領域を除外した中央部領域で且つ該辺から該辺と対向する辺側への離間距離が50mm以内の領域に形成されていることが好ましい。
すなわち、本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、板ガラスに対して熱処理工程を実行した場合に、当該板ガラスの辺の両端から該辺の全長の12.5%以内の領域、或いは辺から該辺と対向する辺側への離間距離が50mmを超える領域に、貫通孔が形成されている場合には、該貫通孔の内壁部に本来破損を発生し得るような欠陥が存在していても、その欠陥を起点として板ガラスを破損に至らしめるような引張応力が発生しないことを知見した。したがって、特に熱処理工程での板ガラスの破損に対応するためには、上記の領域を除外した領域に存在する貫通孔の欠陥を対象とする必要がある。そこで、板ガラスの辺の中央部領域で且つ辺からの離隔距離が50mm以内の領域に存在する貫通孔の内壁部のみを検査対象部としておけば、板ガラスに対する加熱領域を狭くすることができ、検査に要するコストの削減が図られると共に、その後の熱処理時における板ガラスの破損に対して効果的に対処し得る。
以上の方法において、前記板ガラスに対する加熱部位は、前記検査対象部から板ガラス面方向に離間していることが好ましい。
このようにすれば、検査対象部が板ガラスに対する加熱部位から離間しているので、加熱部位が熱膨脹するのに対して、検査対象部はそのような熱膨脹が抑制され、その結果として、加熱部位に圧縮応力が発生し、その影響を受けて検査対象部に引張応力を発現させることが可能となる。したがって、検査対象部に存在している欠陥に効果的に引張応力を作用させることができ、その欠陥が破損原因となる程度のものである場合には、板ガラスを的確に破損に至らしめることが可能となる。
この場合、検査対象部が板ガラスの辺に沿う端縁部である場合には、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記板ガラスの辺との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであることが好ましい。
すなわち、この離間距離が10mm未満である場合には、加熱部位から端縁部への熱伝導が短時間で行われるため、加熱部位と端縁部との間に温度差が生じ難くなり、その結果として、端縁部には欠陥を起点として板ガラスを破損に至らしめるに必要な引張応力が発現し難くなる。一方、この離間距離が40mmを超える場合には、加熱部位の高温による影響を端縁部に与えることができず、この場合にも、端縁部には欠陥を起点として板ガラスを破損に至らしめるに必要な引張応力が発現し難くなる。したがって、この離間距離が10〜40mmであれば、以上のような不具合が生じ難くなる。このような観点から、この離間距離は、下限値が20mm、上限値が30mmであることがより好ましい。
また、検査対象部が板ガラスに孔加工により形成された貫通孔の内壁部である場合には、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記孔加工により形成された貫通孔の内壁面との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであることが好ましい。
すなわち、この場合にも、この離間距離が10mm未満である場合と40mmを超える場合との何れにおいても、貫通孔の内壁部には欠陥を起点として板ガラスを破損に至らしめるに必要な引張応力が発現し難くなる。そして、この離間距離が10〜40mmであれば、以上のような不具合が生じ難くなり、このような観点から、この離間距離は、下限値が20mm、上限値が30mmであることがより好ましい。
更に、前記検査対象部が、板ガラスの一辺に沿う端縁部であって、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記板ガラスの一辺との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであると共に、前記板ガラスに対する加熱部位と、検査対象部以外の端縁部の三辺との板ガラス面方向に沿う各離間距離が、10mmよりも短尺または40mmよりも長尺であることが好ましい。
このようにすれば、板ガラスの検査対象部以外の端縁部の三辺と加熱部位とについて、それらの各離間距離が10mmよりも短尺または40mmよりも長尺であることにより、検査対象部以外の各端縁部は、加熱部位の影響による引張応力の発現が抑制され、本来の検査対象部である端縁部のみに要求通りの引張応力を発現させることが可能となる。ここで、上記の各離間距離が10mmよりも短尺であるとは、その距離がマイナスつまり加熱部位(例えば後述する面発熱体)が板ガラスの対応する辺から食み出している場合を含む意味である。
また、前記検査対象部が、前記孔加工により形成された貫通孔の内壁部であって、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記貫通孔の内壁面との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであると共に、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記貫通孔に最も近い一辺以外の三辺との板ガラス面方向に沿う各離間距離が、10mmよりも短尺または40mmよりも長尺であることが好ましい。
このようにした場合にも、本来の検査対象部である貫通孔の内壁部のみに要求通りの引張応力を発現させ、検査対象部以外の三辺に沿う各端縁部に引張応力が発現することを抑制できる。この場合にも、上記の各離間距離はマイナスであってもよい。
以上の方法において、前記板ガラスに対する加熱は、該板ガラスの表裏両側に配置された面発熱体により行われることが好ましい。
このようにすれば、面発熱体の面形状に応じた領域が加熱されることになるため、加熱領域を適正に区画することができ、検査対象部の正確な位置に要求通りの引張応力を発現させる上で有利となる。この場合、面発熱体の面形状は、略矩形であることが好ましく、また、板ガラスの辺とこれに対応する面発熱体の辺とは平行に配列されることが好ましい。
この場合、前記面発熱体は、前記板ガラスの表裏両側を同一条件で加熱することが好ましい。ここで、「同一条件」とは、二つの面発熱体の加熱温度や加熱位置さらにはタイムスケジュールが同一であることを意味する。
このようにすれば、板ガラスの表裏両側について、各面発熱体により加熱領域が同一位置となるように適正に区画され、それぞれの区画された領域が表裏両側で均等に加熱されるため、板ガラスの表裏両面間での熱膨脹差が生じ難くなる。これにより、板ガラスの変形(例えば反り)が抑制されて、応力緩和が生じ難くなるため、検査対象部に確実に引張応力を発現させ得るのみならず、薄肉の板ガラスであっても変形等の支障を来たすことなく適正な加熱が行われる。
更に、前記面発熱体は、前記板ガラスの表裏両側の面から離間していてもよいが、それらの面に圧接されていることが好ましい。
このようにすれば、板ガラスの表裏両面がそれぞれ面発熱体の発熱面に圧接されているため、板ガラスの変形が面発熱体により阻止されることになり、検査対象部に、要求通りの引張応力を発現させる上で有利になるばかりでなく、特に薄肉の板ガラスの変形を阻止する上で極めて有利となる。
一方、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、略矩形状をなす板ガラスの検査対象部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査する板ガラス検査装置であって、前記検査対象部に引張応力が発生した態様となるように、前記板ガラスを表裏両側から均等に加熱する加熱手段を備え、該加熱手段による加熱に伴って発現した前記引張応力により破損が生じるか否かを判別するように構成したことに特徴づけられる。
この装置の構成は、上述の本発明に係る方法のうち冒頭で述べた方法の構成と実質的に同一であるので、作用効果を含む説明事項は、当該方法について既に述べた説明事項と実質的に同一である。
以上のように本発明によれば、板ガラスの検査対象部に引張応力を発現させるに際して、当該板ガラスを表裏両側から均等に加熱するようにしたから、板ガラスの加熱時に生じ得る変形及びこれに起因する応力緩和を可及的に低減させることができ、検査対象部に要求通りの引張応力を確実に発現させることが可能となる。したがって、検査対象部に破損原因となる欠陥が存在している場合には、破損の発生が確実化され、そのような欠陥が存在しない場合には、破損の非発生が確実化され、板ガラスが良品であるか不良品であるかの選別が正確に行われ得ることになる。
本発明の第一実施形態に係る板ガラス検査装置を使用して検査をしている状況を示す概略縦断側面図である。 本発明の第一実施形態に係る板ガラス検査装置を使用して検査をしている状況を示す概略正面図である。 本発明の第一実施形態において検査対象となる板ガラスについての熱応力シミュレーションによる検討結果を示す概略図である。 本発明の第一実施形態において検査対象となる板ガラスについての熱応力シミュレーションによる検討結果を示す概略図である。 本発明の第二実施形態に係る板ガラス検査装置を使用して検査をしている状況を示す概略正面図である。 本発明の第二実施形態において検査対象となる板ガラスについての熱応力シミュレーションによる検討結果を示す概略図である。 本発明の第三実施形態に係る板ガラス検査装置を使用して検査をしている状況を示す概略縦断側面図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、PDPやLCD等のFPDさらには太陽電池等の製作に使用される板ガラス(各辺が1m以上で、厚さが0.5〜3.0mm)を対象とする。
図1及び図2は、本発明の第一実施形態に係る板ガラス検査装置1(板ガラス検査方法の実施状況)を例示している。これらの各図に示すように、この板ガラス検査装置1は、略矩形状をなす板ガラス2の表裏両側に配列された加熱手段としての一対の面発熱体3を備えている。この一対の面発熱体3は、略矩形状をなす発熱面3aをそれぞれ有し、これらの発熱面3aは、板ガラス2の表裏両面2aにそれぞれ密接(本実施形態では圧接)している。したがって、これらの面発熱体3が板ガラス2を加熱する領域は、発熱面3aと同一面積で略矩形状に区画された領域となる。
また、この一対の面発熱体3は、それぞれが同一の形状及び同一の大きさ並びに同一の能力を有し、且つ、それぞれが板ガラス2の同一位置に対向して配置されている。したがって、板ガラス2は、この一対の面発熱体3によって、表裏両側から均等に且つ同一の条件で加熱されるように構成されている。すなわち、板ガラス2は、表裏両側から同一の温度で同一の位置に同一のタイムスケジュールで加熱されるように構成されている。
板ガラス2と面発熱体3との位置関係を詳述すると、図2に示すように、板ガラス2の検査対象部である第一の辺21に沿う端縁部21aに対して、面発熱体3の当該第一の辺21に最も近い側面31aが離間している。詳しくは、板ガラス2の第一の辺21と、この第一の辺21に最も近い面発熱体3の側面31aとが、平行に配列され、且つ、その第一の辺21と側面31aとの板ガラス面方向に沿う相互間の離間距離A1が、10〜40mm(好ましくは20〜30mm)とされている。
また、板ガラス2の検査対象部以外の端縁部22a、23a、24aにおける第二、第三及び第四の辺22、23、24と、面発熱体3のこれらに対応する側面32a、33a、34aとの板ガラス面方向の離間距離A2、A3、A4は、図示の状態では40mmよりも長尺とされている。また、これらの離間距離A2、A3、A4は、図示の状態とは相違するものの、10mmよりも短尺(面発熱体3が板ガラス2から食み出した状態を含む)とされていてもよい。
ここで、板ガラス2の第一〜第四の辺21〜24とは、板ガラス2の最外端を囲繞する輪郭線の直線部分を意味する。また、板ガラス2の端縁部21a〜24aとは、板ガラス2の辺21〜24を含む端面近傍部、例えば端面を含み且つ該端面から0.3〜1.0mm程度内側まで入り込んだ部位である。
板ガラス2に対して面発熱体3が上記のような位置関係で配置されていると、板ガラス2における面発熱体3による加熱部位に圧縮応力が発生し、これに起因して、板ガラス2の検査対象部である端縁部21aを含むその周辺の第一領域X1つまり図2にクロスハッチングを付した領域に引張応力が発現する。なお、同図にハッチングを付した第二領域X2、第三領域X3及び第四領域X4は、そこに検査対象部以外の三つの辺22、23、24が存在していたならば、引張応力が発現すると推測される領域である。この場合、同図においては、検査対象部以外の三つの辺22、23、24が、これらの領域X2、X3、X4から離間しているので、その三つの辺22、23、24に沿う各端縁部22a、23a、24aには引張応力が発現しない。
更に、板ガラス2の検査対象部は、第一の辺21に沿う端縁部21aの長手方向両端から該端縁部21aの全長の12.5%の領域Y2を除外した中央部領域Y1とされると共に、引張応力が発現する第一領域X1は、その端縁部21aの中央部領域Y1と略同一長さで且つ長手方向位置が一致するように設定されている。
以上のような構成によれば、一対の面発熱体3による加熱温度を例えば200℃程度とすることにより、板ガラス2は、その加熱部位に圧縮応力が発生し、第一領域X1に引張応力が発現した態様となる。そして、この板ガラス2の第一領域X1には、検査対象部である端縁部21aが含まれているため、この端縁部21aに破損原因となる欠陥が存在していると、第一領域X1に発現している引張応力が作用することにより、その欠陥を起点として板ガラス2に破損が生じる。一方、この端縁部21aに破損原因となる欠陥が存在していない場合には、第一領域X1に引張応力が発現していても、板ガラス2に破損が生じることはない。そして、このときの板ガラス2の破損の発生及び非発生により、板ガラス2が良品であるか不良品であるかの判別が行われる。
なお、この板ガラス2に対しては、その後に搬送工程や熱処理工程などが実行されるが、それらの工程で板ガラス2の端縁部21a〜24aに発現する引張応力の最大値は、予め判明している。したがって、それらの工程に応じた最大の引張応力を、本実施形態に係る検査で板ガラス2の端縁部21aに発現させれば、破損原因となる欠陥を起点として確実に板ガラス2に破損が生じる。そして、この検査で板ガラス2に破損が生じなかった場合には、その板ガラス2は、その後の搬送工程や熱処理工程などにおいても破損が生じることはない。
この場合、板ガラス2は、表裏両側から均等に加熱されるため、片側のみから加熱した場合のような板ガラス2の変形(反り)及びこれに起因する応力緩和が抑制され、確実に要求通りの引張応力が第一領域X1に発現する。これにより、板ガラス2の破損の発生及び非発生が確実化される。しかも、一対の面発熱体3は、板ガラス2を圧接挟持しているため、板ガラス2の変形及び応力緩和がより一層抑制され、これに伴って板ガラス2の破損の発生及び非発生もより一層確実化される。
また、板ガラス2の検査対象部は、端縁部21aの長手方向両端から該端縁部21aの全長の12.5%の領域Y2を除外した中央部領域Y1とされているため、この板ガラス2に対して、その後に熱処理工程が実行される場合には、有効に板ガラス2の破損の発生及び非発生を検査することができる。その根拠は、以下に示す通りである。
すなわち、本発明者は、熱応力シミュレーションを、形状の相違する2種の板ガラス2X、2Yについて行った。その結果を図3及び図4に示す。なお、この熱応力シミュレーションは、板ガラス2X、2Yにおける縦方向の一点鎖線で仮想区画される左半分についてのみ行ったものであり、またこの左半分は横方向の一点鎖線により単なる目安として仮想区画されている。
これらの各図に示すように、板ガラス2X、2Yを焼成炉内でそれぞれ矢印Y方向に進行させた場合に、板ガラス2X、2Yの進行方向前側の辺23x、23yにはそれぞれ符号Dx、Dyで示す領域に引張応力が発生すると共に、板ガラス2X、2Yの進行方向後側の辺21x、21yにはそれぞれ符号Ex、Eyで示す領域に引張応力が発生する。この符号Dx、Dy、Ex、Eyで示す領域は、対応する辺23x、23y、21x、21yの左端からその全長の12.5%を僅かに超えた位置に存在している。また、板ガラス2X、2Yの左側の辺22x、22yにはそれぞれ符号Fx、Fyで示す領域に引張応力が発生する。この符号Fx、Fyで示す領域は、対応する辺22x、22yの後端からその全長の12.5%を僅かに超えた位置に存在している。そして、上記の符号Dx、Dy、Ex、Ey、Fx、Fyで示す領域に微細な傷や欠け或いはクラック等が発生していると、それを起点として板ガラス2X、2Yが破損することを推認できる。
このような熱応力シミュレーションによれば、図2に示す板ガラス2の端縁部21aの中央部領域Y1に引張応力を作用させて、板ガラス2の破損の発生及び非発生を検査することにより、その後に同等の熱処理工程に付される板ガラス2の良否を正確に判別することができる。なお、この熱処理工程での焼成炉内の雰囲気温度は、最大値が200℃程度であって、上述の面発熱体3による加熱温度と略同等である。
そして、以上の検査は、板ガラス2の検査工程で所謂バッチ処理として行うこともできるが、板ガラス2を縦姿勢や水平姿勢或いは傾斜姿勢で搬送しながら、もしくは搬送途中で一時停止させて行うようにしてもよい。
また、板ガラス2の第二、第三、第四の辺22、23、24に沿う各端縁部22a、23a、24aについても、それらを検査対象部としてそれぞれ検査を行う必要があるが、その場合には、各端縁部22a、23a、24aに対する面発熱体3の位置関係が、既述の第一の辺21に沿う端縁部21aの場合の位置関係と同一とされる。
図5は、本発明の第二実施形態に係る板ガラス検査装置1(板ガラス検査方法の実施状況)を例示するものである。この第二実施形態においては、板ガラス2に、ドリル等を用いた孔加工により貫通孔(排気孔)4が形成されており、検査対象部が、この貫通孔4の内壁部41aとされている。そして、この貫通孔4の内壁面41(当該内壁面41の第三の辺23に最も近い部位)と、対応する面発熱体3の側面31aとの離間距離A1が、10〜40mm(好ましくは20〜30mm)とされている。また、この貫通孔4は、板ガラス2の第一領域X1に存在していることにより、その内壁部41aには引張応力が作用している。したがって、この貫通孔4の内壁部41aに破損原因となる欠陥が存在していると、板ガラス2に破損が生じるが、そのような欠陥が存在していなければ、板ガラス2に破損は生じない。
ここで、貫通孔4の内壁面41とは、貫通孔4の内表面を意味し、また、貫通孔4の内壁部41aとは、貫通孔4の内壁面41を含むその近傍部、例えば内壁面41を含み該内壁面41から0.3〜1.0mm程度外側まで入り込んだ部位である。
更に、板ガラス2の検査対象部は、第一の辺21の両端から該辺21の全長の12.5%の領域Y2を除外した中央部領域Y1で且つ第一の辺21から第三の辺23側への離間距離A5が50mm以内の領域に形成された貫通孔4とされている。このような貫通孔4を有する板ガラス2に対して、その後に熱処理工程が実行される場合には、有効に板ガラス2の破損の発生及び非発生を検査することができる。その根拠は、以下に示す通りである。
すなわち、本発明者は、熱応力シミュレーションを行った。そこで、そのシミュレーション及びその結果事例について説明すると、先ず本発明者は、貫通孔が形成されていない板ガラスを、水平姿勢で熱処理炉(焼成炉)に投入し、その焼成炉の内部を搬送通過させて搬出させた。その場合に、焼成炉内での冷却工程または焼成炉から搬出した後の冷却工程の何れの冷却過程においても、図6に示すガラス基板1の温度分布パターンは、中央部2cが最も高く、外周側に移行するに連れて同心円状に温度が低くなることを見出した。
そこで、短辺が1712mm及び長辺が1929mmの6枚取りの第一板ガラスと、短辺が1361mm及び長辺が2301mmの4枚取りの第二板ガラスとについて、それらの板ガラスの平面内での温度分布を、温度傾斜が一様に変化するように設定して、図6に符号L、M、Nで示す位置の引張応力の最大値を計算した。
この計算結果は、第一板ガラスの中央部2cの平均温度が318℃でその外周(図6に示す辺の近傍領域1Aa、1Ba)の平均温度が267℃である場合つまり板ガラスの最高温度と最低温度との差が50℃程度の場合は、L、M、Nの引張応力はそれぞれ17.8MPa、18.3MPa、18.3MPaであり、また第一板ガラスの中央部2cの平均温度が288℃でその外周1Aa、1Baの平均温度が237℃である場合つまり板ガラスの最高温度と最低温度との差が50℃程度の場合は、L、M、Nの引張応力はそれぞれ17.7MPa、18.3MPa、18.3MPaであった。更に、同様に、第二板ガラスの中央部2cの平均温度が318℃でその外周1Aa、1Baの平均温度が267℃である場合は、L、M、Nの引張応力はそれぞれ8.7MPa、24.8MPa、24.6MPaであり、また第二板ガラスの中央部2cの温度が288℃でその外周1Aa、1Baの平均温度が237℃である場合は、L、M、Nの引張応力はそれぞれ8.7MPa、24.8MPa、24.6MPaであった。
そして、これらの計算結果を加味して、本発明者が実験を行った結果、板ガラス2の各辺の全長の75%未満の中央部領域で且つ各辺からの離間距離が50mm以内の領域である禁止領域を除外して貫通孔4を形成することにより、板ガラス2の貫通孔4の内壁部41aを起点とする破損の発生確率を大幅に低減できることを確認した。したがって、その後に熱処理工程に付される板ガラス2の貫通孔4は、上記の禁止領域に形成することにより、その後の熱処理工程での破損原因となる欠陥が貫通孔4の内壁部41aに存在している場合には、板ガラス2に破損が発生し、そのような欠陥が存在しない場合には板ガラス2に破損が発生しなくなり、正確に板ガラス2の良否を判別できることになる。
なお、図5に、ハッチングを付した第二、第三、第四領域X2、X3、X4は、そこに貫通孔4が存在していならば、その貫通孔4に引張応力が作用して貫通孔4の内壁部41aを起点として破損が生じる領域である。
以上、説明した事項以外の事項については、上述の第一実施形態に係る検査装置1と同一であるので、図5において、両実施形態に共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図7は、本発明の第三実施形態に係る板ガラス検査装置1(板ガラス検査方法の実施状況)を例示するものである。この第三実施形態においては、一対の面発熱体3が、板ガラス2の表裏両面2aからそれぞれ離間して配置されている。この離間距離は特に限定されるものではないが、例えば1mm以上で50mm以下であることが好ましい。このような構成は、上述の第一、第二実施形態に適用可能であって、板ガラス2に対する加熱部位の面積や位置、更には引張り応力が発現する部位は、それらの実施形態と同一とする必要がある。このような構成によれば、板ガラス2の表裏両面2aに面発熱体3が接触しないため、板ガラス2の表裏両面2aに傷や汚れが付かないことになり、それらの面2aを保護する上で有利となる。また、板ガラス2の搬送途中で検査を行う上でも有利となる。
なお、以上の実施形態では、加熱手段として面発熱体3を使用したが、面発熱体3以外のヒータや熱風吹き付け手段などを使用してもよい。
また、以上の実施形態では、厚さが0.5〜3.0mmの板ガラスを対象としたが、近年の薄肉化に伴う板ガラス、例えば、厚さが0.5mm以下さらには0.2mm以下の板ガラスについても同様に本発明を適用することができる。
本発明者等は、以下に示すような試験を行うことにより、本発明者等による試行錯誤や知見などに基づいて案出された本発明が所期の目的を達成できるか否かを検査した。なお、本発明の実施例1、2及び比較例1〜4は何れも、検査対象である板ガラスが、縦方向寸法が600mm及び横方向寸法が300mmであって板厚が1.8mmの略矩形状をなすPDP用板ガラスである。
下記の表1に示すように、本発明の実施例1、2は何れも、図1及び図2に示すように板ガラスの表裏両側に、予め180℃に加熱している略矩形状をなす面発熱体を密着させて配置し、それぞれの板ガラスの辺に沿う端縁部を起点とする破損が生じるか否かを検査したものである。そして、実施例1は、板ガラスの端面(辺)から該辺に平行な面発熱体の側面(側縁)までの離間距離を26mmとし、実施例2は、その離間距離を50mmとして、それぞれ検査を50回に亘って実施したものである。
これに対して、比較例1〜3は何れも、板ガラスの表裏一方側の面にのみ、予め180℃に加熱している略矩形状をなす面発熱体を密着させて配置し、それぞれの板ガラスの辺に沿う端縁部を起点とする破損が生じるか否かを検査したものである。そして、比較例1は、板ガラスの辺から面発熱体の側縁までの離間距離を26mmとし、比較例2は、その離間距離を50mmとし、比較例3は、その離間距離を、0mmとして、それぞれ検査を50回に亘って実施したものである。また、比較例4は、図1及び図2に示すように板ガラスの表裏両側に、予め180℃に加熱している略矩形状をなす面発熱体を密着させて配置し、板ガラスの辺から面発熱体の側縁までの離間距離を0mmとした状態で、板ガラスの辺に沿う端縁部を起点とする破損が生じるか否かを50回に亘って検査したものである。
この場合、実施例1、2及び比較例1〜4における試験に際しては、板ガラスの辺に沿う端縁部に破損を招来すべき欠陥が存在しているものと存在していないものとについて、実際に破損が生じるか否かを検査した。そして、その試験の成功数と成功率とを下記の表1に示す。なお、下記の表1中、破壊応力は、破損した板ガラスのオリジン部の破断面に現れるミラーサーフェースの大きさより算出した値として示されている。
Figure 2012078132
上記の表1によれば、実施例1及び実施例2はそれぞれ、試験成功数(試験成功率)が50回(100%)及び40回(80%)であって、高い数値を示している。但し、実施例2は、50回(100%)に満たないので、板ガラスの辺に沿う端縁部に適度な引張応力が発現して試験成功数(試験成功率)としては合格であると認められるものの、発現する引張応力がやや不十分であったことが推認できる。一方、比較例1〜4はそれぞれ、試験成功数(試験成功率)が15回(30%)、10回(20%)、0回(0%)、0回(0%)であって、何れもが板ガラスの辺に沿う端縁部に適切な引張応力が発現していないが故に低い数値を示している。なお、比較例1における試験で成功しなかった板ガラスについては、同一の条件で面発熱体のみを板ガラスの表裏両側に配置して検査を再度実施したところ、試験成功数(試験成功率)が50回(100%)であった。以上の検査結果から、板ガラスの表裏両側を均等に加熱し、且つ、その加熱部位を板ガラスの辺から適切に離間させて当該辺に沿う端縁部に要求に応じた引張応力を発現させれば、良品と不良品との判別が正確に行えることを確認するに至った。
なお、板ガラスの貫通孔の内壁部を起点とする破損の発生については、ここでは特に試験結果を示していないが、板ガラスの表裏両側に上記と同様にして面発熱体を配置し、且つ、それらの面発熱体の側縁を板ガラスの貫通孔の内壁面から適切に離間させて当該貫通孔の内壁部に要求に応じた引張応力を発現させれば、良品と不良品との判別が正確に行えるものと推認することができる。
1 板ガラス検査装置
2 板ガラス
2a 板ガラスの表裏面
3 面発熱体
3a 発熱体の発熱面
4 貫通孔
21 第一の辺
21a 検査対象部である端縁部
22 第二の辺(検査対象部以外の辺)
23 第三の辺(検査対象部以外の辺)
24 第四の辺(検査対象部以外の辺)
41 貫通孔の内壁面
41a 貫通孔の内壁部
X1 引張応力が発現している領域(第一領域)
Y1 中央部領域

Claims (14)

  1. 略矩形状をなす板ガラスの検査対象部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査する板ガラス検査方法であって、
    前記検査対象部に引張応力が発現した態様となるように、前記板ガラスを表裏両側から均等に加熱して、前記引張応力により破損が生じるか否かを判別することを特徴とする板ガラス検査方法。
  2. 前記検査対象部が、板ガラスの辺に沿う端縁部であることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス検査方法。
  3. 前記検査対象部が、前記板ガラスの辺に沿う端縁部の長手方向両端から該端縁部の全長の12.5%の領域を除外した中央部領域であることを特徴とする請求項2に記載の板ガラス検査方法。
  4. 前記検査対象部が、孔加工により形成された貫通孔の内壁部であることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス検査方法。
  5. 前記貫通孔が、前記板ガラスの辺の両端から該辺の全長の12.5%の領域を除外した中央部領域で且つ該辺から該辺と対向する辺側への離間距離が50mm以内の領域に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の板ガラス検査方法。
  6. 前記板ガラスに対する加熱部位が、前記検査対象部から板ガラス面方向に離間していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の板ガラス検査方法。
  7. 前記板ガラスに対する加熱部位と、前記板ガラスの辺との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであることを特徴とする請求項2または3に記載の板ガラス検査方法。
  8. 前記板ガラスに対する加熱部位と、前記孔加工により形成された貫通孔の内壁面との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであることを特徴とする請求項4または5に記載の板ガラス検査方法。
  9. 前記検査対象部が、板ガラスの一辺に沿う端縁部であって、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記板ガラスの一辺との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであると共に、前記板ガラスに対する加熱部位と、検査対象部以外の端縁部の三辺との板ガラス面方向に沿う各離間距離が、10mmよりも短尺または40mmよりも長尺であることを特徴とする請求項7に記載の板ガラス検査方法。
  10. 前記検査対象部が、前記孔加工により形成された貫通孔の内壁部であって、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記貫通孔の内壁面との板ガラス面方向における離間距離が、10〜40mmであると共に、前記板ガラスに対する加熱部位と、前記貫通孔に最も近い一辺以外の三辺との板ガラス面方向に沿う各離間距離が、10mmよりも短尺または40mmよりも長尺であることを特徴とする請求項8に記載の板ガラス検査方法。
  11. 前記板ガラスに対する加熱が、該板ガラスの表裏両側に配置された面発熱体により行われることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の板ガラス検査方法。
  12. 前記面発熱体は、前記板ガラスの表裏両側を同一条件で加熱することを特徴とする請求項11に記載の板ガラス検査方法。
  13. 前記面発熱体は、前記板ガラスの表裏両側の面に圧接されていることを特徴とする請求項11または12に記載の板ガラス検査方法。
  14. 略矩形状をなす板ガラスの検査対象部に破損原因となる欠陥が存在しているか否かを検査する板ガラス検査装置であって、
    前記検査対象部に引張応力が発現した態様となるように、前記板ガラスを表裏両側から均等に加熱する加熱手段を備え、該加熱手段による加熱に伴って発現した前記引張応力により破損が生じるか否かを判別するように構成したことを特徴とする板ガラス検査装置。
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