JP2012073190A - 妊娠高血圧症候群マーカーおよびそれを用いた診断 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被験者より採取した生体試料中の、α-2-HS-glycoprotein(AHSG)の分解産物の量を測定することを特徴とする、該被験者における妊娠高血圧症候群の診断のための検査方法。
【選択図】なし
Description
しかし、これらのタンパク質フラグメントと妊娠高血圧症候群との関連は何ら報告されていない。
本発明者らは、これらの知見に基づいて、これらのペプチドを妊娠高血圧症候群の診断マーカーとして新たに同定し、本発明を完成するに至った。
[1]被験者より採取した生体試料中の、Kininogen-1、フィブリノーゲンα鎖、C4A、C4B、AHSGおよびITIH4の分解産物からなる群より選ばれる1以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被験者における妊娠高血圧症候群の診断のための検査方法;
[2]Kininogen-1の分解産物が、配列番号1〜3に示される各アミノ酸配列からなるペプチド群であり、フィブリノーゲンα鎖の分解産物が、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、C4AまたはC4Bの分解産物が、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、AHSGの分解産物が、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、ITIH4の分解産物が、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記[1]記載の方法;
[3]生体試料が体液である、上記[1]または[2]記載の方法;
[4]体液が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、涙液、眼房水、硝子体液およびリンパ液からなる群より選択される、上記[3]記載の方法;
[5]生体試料を質量分析にかけることを含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法;
[6]測定するペプチドを特異的に認識する抗体を用いることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法;
[7]妊娠高血圧症候群患者から時系列で生体試料を採取し、該試料における、Kininogen-1、フィブリノーゲンα鎖、C4A、C4B、AHSGおよびITIH4の分解産物からなる群より選ばれる1以上のペプチドの量の経時変化を調べることを特徴とする、該患者における該疾患の経過観察のための検査方法;
[8]妊娠高血圧症候群患者における治療効果の評価方法であって、治療が施される前後に該患者から採取した生体試料における、Kininogen-1、フィブリノーゲンα鎖、C4A、C4B、AHSGおよびITIH4の分解産物からなる群より選ばれる1以上のペプチドの量の変化を調べることを特徴とする方法;
[9]配列番号1、2、5および6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドなどを提供する。
(I)妊娠高血圧症候群で発現レベルが上昇するペプチド
ペプチド 平均質量
I-1 2678.39
I-2 2962.26
I-3 3259.24
I-4 3518.78
I-5 3693.21
I-6 5342.18
I-7 5356.25
I-8 5909.36
I-9 5925.24
(II)妊娠高血圧症候群で発現レベルが低下するペプチド
II-1 2148.53
II-2 3291.95
II-3 3816.57
II-4 3974.21
II-5 3990.14
II-6 4258.32
II-7 4300.77
血清や血漿を用いる場合、常法に従って患者から採血し、液性成分を分離することにより調製することができる。測定対象である本発明の妊娠高血圧症候群マーカーが比較的低分子量(例えば10000以下、5000以下など)のペプチドの場合には、必要に応じ、スピンカラムなどを用いて濃縮し、予め高分子量のタンパク質画分などを分離除去しておくこともできる。
飛行時間型質量分析計に適合可能なプレートは、検出対象である本発明のペプチドを効率よく吸着し得る表面構造を有している限り、いかなるものであってもよい。そのような表面構造としては、例えば、官能基付加ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO2、SiN4、改質シリコン、広範囲のゲル又はポリマー(例えば、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンジフロリド、ポリスチレン、ポリカーボネート、又はこれらの組合せなど)によるコーティングが挙げられる。複数のモノマー又はポリマー配列を有する表面構造としては、例えば、核酸の直鎖状及び環状ポリマー、ポリサッカライド、脂質、α-、β-又はω-アミノ酸を有するペプチド、クロマトグラフィーで使用されるゲル表面の担体(陰イオン性/陽イオン性化合物、炭素鎖1〜18からなる疎水性化合物、親水性化合物(例えば、シリカ、ニトロセルロース、セルロースアセテート、アガロース等)と架橋した担体など)、人工ホモポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート等)、上記化合物のいずれかに既知の薬物又は天然化合物が結合(共有及び非共有結合)したヘテロポリマー等によるコーティングが挙げられる。
薄層の厚さは、組織もしくは細胞に含まれる分子の転写効率および質量分析の測定感度等に好ましくない影響を与えない範囲で適宜選択することができるが、例えば、約0.001〜約100 μm、好ましくは約0.01〜約30 μmである。
「塗布」する場合、コーティング分子を、適当な溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide;DMF)などの有機溶媒に適当な濃度(例えば、約1〜約100 mg/mL程度)で溶解したもの(コーティング分子含有溶液)を、刷毛などの適当な道具を用いて基材に塗布することができる。
「噴霧」する場合、上記と同様にして調製したコーティング分子含有溶液を噴霧器に入れ、基材上に均一にPVDFが堆積されるように噴霧すればよい。
「蒸着」する場合、通常の有機薄膜作製用真空蒸着装置を用い、基材を入れた真空槽中でコーティング分子(固体でも溶液でもよい)を加熱・気化させることにより、基材表面上に該分子の薄層を形成させることができる。
「浸漬」させる場合、上記と同様にして調製したコーティング分子含有溶液中に基材を浸漬させればよい。
「印刷(プリント)」する場合は、基材の材質に応じて通常使用され得る各種印刷技術を適宜選択して利用することができ、例えば、スクリーン印刷などが好ましく用いられる。
「スパッタリング」する場合は、例えば、真空中に不活性ガス(例、Arガス等)を導入しながら基材とコーティング分子間に直流高電圧を印加し、イオン化したガスを該分子に衝突させて、はじき飛ばされたコーティング分子を基材上に堆積させて薄層を形成させることができる。
コーティングは基材全面に施してもよいし、質量分析に供される面(画分)のみに施してもよい。
質量分析装置は、ガス状の試料をイオン化した後、その分子や分子断片を電磁場に投入し、その移動状況から質量数/電荷数によって分離、物質のスペクトルを求めることにより、物質の分子量を測定・検出する装置である。試料とレーザー光を吸収するマトリックスを混合、乾燥させて結晶化し、マトリックスからのエネルギー移動によるイオン化とレーザー照射による瞬間加熱により、イオン化した分析対象物を真空中に導くマトリックス支援レーザー脱イオン化(MALDI)と、初期加速による試料分子イオンの飛行時間差で質量数を分析する飛行時間型質量分析(TOFMS)とをあわせて用いるMALDI-TOFMS法、1分析対象物を1液滴にのせて液体から直接電気的にイオン化する方法、試料溶液を電気的に大気中にスプレーして、個々の分析対象物多価イオンをunfoldの状態で気相に導くナノエレクトロスプレー質量分析(nano-ESMS)法等の原理に基づく質量分析装置を使用することができる。
質量分析用プレート上の分子を質量分析する方法自体は公知である。例えば、WO 2004/031759に記載の方法を、必要に応じて適宜改変して使用することができる。
チドを含むタンパク質をコードするcDNAを得るか、あるいは該オリゴヌクレオチドをプライマーとして該患者由来のRNAを鋳型にしてRT-PCRを行うことにより、該ペプチドをコードするcDNA断片を得て、該cDNA断片を適当な発現ベクターに組み込んで適当な宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して組換えペプチドを採取することによって、本発明の妊娠高血圧症候群マーカーを大量に調製することができる。あるいは上記のようにして得られるcDNAを鋳型として、無細胞転写・翻訳系を用いて本発明の妊娠高血圧症候群マーカーを取得することもできる。さらに有機合成法により大量に調製することも可能である。
競合法では、被験試料中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた後、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被験試料中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離にポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被験試料の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被験試料中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させた後、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被験試料中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被験試料中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A))、同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D: Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
具体的には、治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの活性を増大させる物質としては、該ペプチド自体あるいはそれと同様のアゴニスト作用を有する分子が挙げられる。あるいは、治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの活性を増大させる物質として、該ペプチドの非中和抗体、好ましくはアゴニスト抗体なども挙げることができる。一方、増悪ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの活性を低減させる物質としては、該ペプチドのアンタゴニスト作用を有する分子、あるいは該ペプチドに対する中和抗体などが挙げられる。
また、治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの産生を増大させる物質としては、生体内に存在する親タンパク質(Kininogen-1、フィブリノーゲンα鎖、C4A、C4B、AHSG、ITIH4)から該ペプチドを遊離する分解酵素、該ペプチドのN末側および/またはC末側に該分解酵素により認識・切断されるアミノ酸配列をさらに含む、該分解酵素の基質もしくは基質アナログ分子、該分解酵素の産生を促進する分子(類似化合物を含む)、該分解酵素の活性を促進する分子、該分解酵素のインヒビターの産生を抑制する分子などが挙げられる。該ペプチドのN末側および/またはC末側のアミノ酸配列から、該ペプチドを遊離させる分解酵素の存在が示唆され、該ペプチドのN末側および/またはC末側のアミノ酸配列をプローブにした分解酵素探索と同定が可能となる。こうして同定された分解酵素の基質もしくは基質アナログ分子、即ち、該ペプチドのN末側および/またはC末側に該分解酵素により認識・切断されるアミノ酸配列をさらに含むペプチド分子は、妊娠高血圧症候群患者の体内で該分解酵素により切断されて治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーもしくはそのアナログ分子を遊離するので、同様の治療効果を奏することができる。一方、同定された分解酵素の産生および/または活性を促進する物質も、間接的に治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの産生を増大させることができる。これらの物質は、標的の分解酵素が同定されれば、自体公知の手法によりスクリーニングし、あるいは分子設計することができる。
一方、増悪ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの産生を低減させる物質としては、生体内に存在するタンパク質から該ペプチドを遊離する分解酵素の産生を抑制する分子、該分解酵素のインヒビター、該インヒビターの産生を促進する分子などが挙げられる。増悪ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーを遊離する分解酵素は、上記治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーと同様の手法により探索・同定することができる。こうして同定された分解酵素を用いて、自体公知の手法により、該分解酵素の産生もしくは活性を直接または間接的に抑制(阻害)する物質をスクリーニングし、あるいは分子設計することができる。
例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤、関節内注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従って、例えば、上記化合物またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO-50(polyoxyethylene(50 mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記化合物またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
なお前記した各組成物は、上記治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの量もしくは活性を増大させる物質または増悪ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの量もしくは活性を低減させる物質との配合により、好ましくない相互作用を生じない限り、他の活性成分を含有してもよい。
治療ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの量もしくは活性を増大させる物質および増悪ペプチドとしての本発明の妊娠高血圧症候群マーカーの量もしくは活性を低減させる物質の投与量は、その作用、投与ルート、患者の重篤度、年齢、体重、薬物受容性などにより差異はあるが、例えば、成人1日あたり活性成分量として約0.0008〜約25 mg/kg、好ましくは約0.008〜約2 mg/kgの範囲であり、これを1回もしくは数回に分けて投与することができる。
順天堂大学環境医学研究所でサンプリングした妊娠高血圧症候群患者の血清11例および正常妊婦の血清13例(表1)1.5μLを電気泳動用サンプル処理液(NuPAGE(登録商標)LDS Sample Buffer 4x ;Invitrogen)4.5μLと混合し、70℃で10分間、加熱処理した後、4-12%グラジェントポリアクリルアミドゲル(Invitorigen)にアプライし電気泳動を行った。
解析
電気泳動終了後、ゲルを切り出しBLOTCHIP(登録商標)(Protosera, Inc.)に積層し、電気転写用バッファー(BLOTBufferTM;Protosera, Inc.)中で90mA、120分間転写した。転写終了後、チップの表面を超純水でリンスし、チップ全体にマトリックス(α-Cyano-4-hydroxy cinnamic acid)を塗布後、matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight (MALDI-TOF) mass spectrometer (Bruker Daltnics社製UltraFlexII)で質量分析を行った。測定パラメータは、Detector voltage 1685V, Supression1000, Laser Intensity は28〜35のFuzzyモードで、1チップあたり415点、1点あたり500回のレーザー照射で、総計207,500回レーザー照射を行った。得られたスペクトル中の各ピーク強度をM/z毎に積算し、1個の積算スペクトルに変換した。積算スペクトルをClinProTools (Bruker Daltonik GmbH) を用いて、妊娠高血圧症候群患者血清と正常妊婦血清の間でディファレンシャルプロファイリング解析を行った。解析手法は以下の通りである。
(a)CrinPro Tools 2.2(Bruker)による解析
解析ソフトClinPro Tools 2.2を使用し、2群間で比較を行い、有意差のあったピークを抽出した。解析については複数の条件で実施し、ClinPro Tools 2.2の平均積算スペクトルは、群内の積算スペクトルをノーマライゼーション(標準化)した。
(b)Peak-Analysis(Protosera)による解析
解析ソフトPeak-Analysisを使用し、2群間で比較を行い、有意差のあったピークを抽出した。Peak-Analysisの平均積算スペクトルは群内の積算スペクトルそのものの平均値を表示した。
(c)Data mining Tool(Protosera)による解析
解析ソフトData mining Toolを使用し、感度・特異度検定を行い閾値(70)以上の感度または特異度を有するピークを抽出した。Data mining Toolの平均積算スペクトルは、群内の積算スペクトルをノーマライゼーションした。
以上のディファレンシャルプロファイリング解析の結果、有意差を有したピークをピックアップし、バイオマーカー候補(ターゲットペプチド)群とした。結果を表2に示す。妊娠高血圧症候群(PIH)患者で正常妊婦(Control)に比べて血清レベルが有意に低下したペプチドが11種、有意に上昇したペプチドが12種検出された(p<0.05)。代表的な7種のペプチドについての、質量分析におけるピークの積算スペクトルおよび各症例(PIHおよびControl)におけるピーク強度のプロットを図1〜7に示す。
検体血清200μLに最終濃度が10%になるようにトリフルオロ酢酸を加え、氷上で30分インキュベーションし、遠心してタンパク質を沈殿させた。上清を回収し、Sep-Pak Plus C18 Cartrigeで固相抽出を行い、脱脂、脱塩した。このサンプルを逆相クロマトグラフィーでグラジエントをかけて73フラクションに分画し、遠心濃縮機で10μL以下になるまで濃縮した。
上記(3)で得た各フラクションをマトリックスと混合してground steelターゲットプレートにスポットし、MALDI-TOF型質量分析計UltraflexIIのLinearモードで測定して、ターゲットペプチドの有無とm/zを確認した。図1〜7に示したターゲットペプチドのあったフラクションのスポットに対し、MALDI-TOF型質量分析計UltraflexIIのReflectorモードでモノアイソトピック質量[M+H]+を測定した。得られたモノアイソトピック質量[M+H]+をParent Massに指定して、Liftモード(PSD)でMS/MS測定を行った。測定結果をMASCOT Serverで検索し、ペプチドを同定した。結果を表3に示す。また、図6のペプチドについての解析結果を図8に示す。
上記(2)の結果を、2種のバイオマーカーの組合せで評価した。即ち、妊娠高血圧症候群患者および正常妊婦におけるペプチドGPのピーク強度をグラフの縦軸に、ペプチドK3、4A/BまたはH4のピーク強度をグラフの横軸にプロットした。その結果、図9に示すように、2つのバイオマーカーを組合わせることにより、極めて高い正診率が得られることが示された。
Claims (9)
- 被験者より採取した生体試料中の、AHSGの分解産物の量を測定することを特徴とする、該被験者における妊娠高血圧症候群の診断のための検査方法。
- AHSGの分解産物が、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1記載の方法。
- 生体試料が体液である、請求項1または2記載の方法。
- 体液が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、涙液、眼房水、硝子体液およびリンパ液からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
- 生体試料を質量分析にかけることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 測定するペプチドを特異的に認識する抗体を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 妊娠高血圧症候群患者から時系列で生体試料を採取し、該試料における、AHSGの分解産物の量の経時変化を調べることを特徴とする、該患者における該疾患の経過観察のための検査方法。
- 妊娠高血圧症候群患者における治療効果の評価方法であって、治療が施される前後に該患者から採取した生体試料における、AHSGの分解産物の量の変化を調べることを特徴とする方法。
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるペプチド。
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